日本国憲法第66条に基づき、1947年1月16日に成立し翌年改正された「内閣法」という法律がある。
その「第2条」では、「内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣をもつて、これを組織」し、国務大臣の数は14人だが、特別に必要がある場合においては3人を限度にその数を増加し、最大17人までが閣僚に入れる。
従って毎年のように閣僚名簿が発表される日本の場合は、いつも総理大臣以外は17名の閣僚が名前を連ねていた。
「WHO 総人口ランキング・国別順位(2011年)」によると、日本の人口は約1億2700万人だが、フランスの人口はその半分の約6億2千万人である。
そのフランスでは先の大統領選挙で社会党出身のオランド大統領が誕生し、その下に日本の閣僚の倍の人数の新しい閣僚が発表された。
<オランド仏大統領、新内閣は半数が女性>
2012年05月17日 AFP BBNews
【5月17日 AFP】フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)新大統領は16日、社会党や自身の盟友らを中心に据えた新内閣の顔ぶれを発表した。公約通り仏内閣として初めて男女の閣僚が同数となったが、重要ポストには依然として男性が就いている。
【下の写真は、ジャンマルク・エロー首相と17人の女性閣僚たち】 
新首相には15日、ジャンマルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)氏が任命されている。1995年以来となる社会党出身大統領となったオランド氏同様に閣僚経験はないが、ベテラン議員として合意形成の手腕には定評がある。
外相にはローラン・ファビウス(Laurent Fabius)元首相(65)、経済相には大統領選でオランド陣営の選挙対策本部の責任者を務めたピエール・モスコビシ(Pierre Moscovici)氏(54)が起用された。
その一方で、社会党党首のマルチヌ・オブリ(Martine Aubry)第1書記の名前が閣僚名簿にないことが目を引く。オブリ氏は党内左派勢力の主要人物だが、同党の大統領選候補を選ぶ決選投票でオランド氏に敗れた際、オランド氏が勝利しても新内閣には加わらないと意志表明していた。
エロー首相は記者会見で、新内閣に時間を浪費している暇はなく、休日でも17日に初閣議を招集し経済問題を協議すると語った。17日の閣議でのオランド内閣の初仕事は、選挙公約の大統領以下全閣僚の給与30%カットの提案となる見通しだ。(c)AFP
日本の国会議員の年収は、給与に当たる月々の歳費と、ボーナスに当たる年2回の期末手当を合わせ2106万円に上る。
国立国会図書館の調査によると、米国1357万円、ドイツ947万円、フランス877万円、英国802万円に大差をつけ世界最高水準である。
日仏間で比較すると、日本とフランスでは、人口では2倍の日本が閣僚数ではフランスの半分にもかかわらず、議員歳費はフランスの約2.4倍ということになる。
言い換えれば、人口に比べて閣僚数が半分にもかかわらず倍以上の収入を得ているのが日本の閣僚たちということになる。
首相を除いた34名の全閣僚名簿をみると、オランド大統領の公約通り、男女17名ずつで構成されている。
フランスという国の歴史的な先進性を感じさせるのだが、外務、教育、経済、国防等の主要閣僚はすべて男性が占めている。
しかし、欧州最大の多民族国家であるフランスは、本土ではケルト人・ラテン人・ゲルマン系のフランク人などの混成民族であるフランス人が大半を占める共和制の国である。
アラブ系フランス人の大臣はサルコジ時代も当たり前だったが、今回の組閣では、韓国系フランス人女性のフルール・ペルランが入閣するなど、「多様性のフランス」らしさがよく出ている。
フランス新政府閣僚名簿発表(■:男性 ◇:女性)
■ローラン・ファビウス 外務大臣
■ヴァンサン・ペイヨン 国民教育大臣
◇クリスチャーヌ・トビラ 国璽尚書、司法大臣
■ピエール・モスコヴィシ 経済・財務・貿易大臣
◇マリソル・トゥーレーヌ 厚生大臣
◇セシル・デュフロ 地域間平等・住宅大臣
■マニュエル・ヴァルス 内務大臣
◇ニコル・ブリック 環境・持続可能開発・エネルギー大臣
■アルノー・モントブール 生産活性化大臣
■ミシェル・サパン 労働・雇用・職業教育・労使対話大臣
■ジャン=イヴ・ル・ドリアン 国防大臣
◇オレリー・フィリペティ 文化・通信大臣
◇ジュヌヴィエーヴ・フィオラゾ 高等教育・研究大臣
◇ナジャット・ヴァロー=ベルカセム 女性権利大臣、政府報道官
■ステファヌ・ル・フォル 農業・農産物食品業大臣
◇マリリーズ・ルブランシュ 国家改革・地方分権・公務員大臣
■ヴィクトラン・リュレル 海外県・海外領土大臣
◇ヴァレリー・フールネロン スポーツ・青少年・社会教育・市民活動大臣
■ジェローム・カユザック 経済・財務・貿易大臣付予算担当大臣
◇ジョルジュ・ポー=ランジュヴァン 国民教育大臣付教育成功担当大臣
■アラン・ヴィダリス 首相付国会関係担当大臣
◇デルフィーヌ・バト 国璽尚書、司法大臣付副大臣
■フランソワ・ラミ 地域間平等・住宅大臣付都市担当大臣
■ベルナール・カズヌーヴ 外務大臣付ヨーロッパ問題大臣
◇ミシェル・ドロネ 厚生大臣付高齢者・要介護者担当大臣
◇シルヴィア・ピネル 生産活性化大臣付手工業・商業・観光担当大臣
■ブノワ・アモン 経済・財務・貿易大臣付社会的・連帯経済担当大臣
◇ドミニック・ベルティノティ 厚生大臣付家族担当大臣
◇マリー=アルレット・カルロティ 厚生大臣付障害者担当大臣
■パスカル・カンファン 外務大臣付開発担当大臣
◇ヤミナ・ベンギギ 外務大臣付在外フランス人・フランコフォニー担当大臣
■フレデリック・キュヴィエ 環境・持続可能開発・エネルギー大臣付運輸・海運経済担当大臣
◇フルール・ペルラン 生産活性化大臣付中小企業・イノベーション・デジタル経済担当大臣
■カデル・アリフ 国防大臣付退役軍人担当大臣
これら閣僚の年代も下は34歳から上は66歳までと幅広く、とても日本では望むべくもない。
それにしても、上記の閣僚名簿の肩書き(担当)を見ると、日本にはみられない大臣が多い。
「生産活性化大臣」
「労働・雇用・職業教育・労使対話大臣」
「女性権利大臣」
「地域間平等・住宅大臣付都市担当大臣 」
「厚生大臣付高齢者・要介護者担当大臣」
「経済・財務・貿易大臣付社会的・連帯経済担当大臣」
「厚生大臣付障害者担当大臣」
「生産活性化大臣付中小企業・イノベーション・デジタル経済担当大臣」
時事通信社が10〜13日実施した5月の世論調査によると、民主党の支持率が9.0%、対する野党自民党ですら11.9%。
その他の全ての政党の支持率を合わせても、既成政党の支持率は30%に満たない。
次の総選挙がいつになるかは分からないが、70%を超える「無党派層」が選ぶ人物によっては、日本の方向も少しは変わってくるかもしれないが、まだまだフランス並みの男女同数内閣が誕生するには今後数世紀かかるかもしれない、とオジサンは思う。



