2015年11月30日

立党の原点はどこへ行ったのか?

昨日は午後から日比谷野音での集会に参加し、沖縄からの訴えに心を一つにした4500人の参加者の一人となった。
 
<「そばで見て それだけでも力に」 日比谷で辺野古反対に協力訴え>
 2015年11月30日 朝刊 東京新聞
20151130henokodemo.jpg 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設に反対する集会が29日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂であり、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で座り込みを続ける沖縄県民らが、集まった4500人に反対運動への協力を訴えた。
 市民団体「ヘリ基地反対協議会」の安次富浩(あしとみひろし)共同代表は「先日の一斉行動では、朝6時半から8時の間に1200人がゲート前に集まった。人が集まれば作業車は基地内に入れず、機動隊も手を出せない」と活動の盛り上がりを紹介。「行政と沖縄は真っ向勝負をしている」と力を込めた。
 今月、米議会を訪れて移設計画の見直しを訴えた「沖縄『建白書』を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」の高里鈴代共同代表は「多くの議員に会い、アメリカも当事者であり責任があるというメッセージを伝えた」。来場者に「座り込みに参加せずとも、ゲート前で何が行われているかを見るだけでも大事な証人になる。そばでじっと見てくれるだけでも力になる」と、辺野古を訪れるよう呼び掛けた。
 移設計画をめぐっては、翁長雄志(おながたけし)知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し処分を撤回するよう国が求めた代執行訴訟の口頭弁論が、来月2日に開かれる。
 
リレートークの発言者の中には、「戦争法の強行成立と辺野古新基地建設強行する民意を無視した安倍政権を倒さなければならない」という声が多かった。
 
その戦争大好き本性をむき出しにしている安倍晋三首相は一昨日は身内の会合では、さらに危険な本音を曝け出していた。 
 
<「憲法改正へ参院選結束を」安倍首相、超党派議連で協力求める>
 2015.11.29 00:05 産経新聞
 安倍晋三首相は28日夜、自身が会長を務める保守系の超党派議員連盟「創生日本」が都内で開いた研修会後の懇親会に出席し、自民党が立党60年を迎えたことに触れた上で「憲法改正をはじめ、占領時代に作られたさまざまな仕組みを変えていこうというのが立党の原点だ」と述べ、憲法改正に意欲を示した。さらに、「その推進のためにも、来年の参院選にみなさまの支援をお願いしたい」と協力を求めた。
 首相は今月11日の参院予算委員会で「憲法改正には国民の理解が不可欠だ。具体的な内容は国民的な議論と理解の中でおのずと定まってくる」と述べていたが、この日の発言は憲法改正に取り組む決意を明確にしたもので、来年の通常国会や参院選を前に保守勢力の結束を強める狙いがあるとみられる。
 議連の研修会では、会長代行を務める自民党の中曽根弘文元外相が「国家の在り方を考えながら憲法などについて議論し、提言したい」と強調。最高顧問である自民党の平沼赳夫元経済産業相も「自民党を中心に改憲を是とする勢力を糾合すれば、憲法改正への道は間違いなく開ける」とのメッセージを寄せるなど、憲法改正の必要性を訴える意見が相次いだ。
 研修会には国会議員19人や地方議員などを含めて約600人が出席した。
 
「戦後レジームからの脱却」が口癖だった安倍晋三首相の発言だが、改めて「占領時代に作られたさまざまな仕組み」について、自ら「自由主義史観研究会 理事」と名乗る人のホームページ「戦後の大改革」から確認してみたい。
 
占領時代とはGHQが日本を支配していた時代であるが、戦前の悪しき制度を止めさせたり、なかった制度を作ったりして、新しい時代を生きる日本人のためになったことも多い。
 
たとえば「GHQによる戦後の5大改革」としては以下の項目が特徴的である。
 
1.秘密警察の廃止
2.労働組合の結成奨励
3.婦人の解放(男女同権)
4.教育の自由化(教育勅語とそれに基づいた修身教育の禁止)
5.経済機構の民主化(財閥解体)
 
そして安倍晋三首相が口を開けば「GHQに押し付けられた」という憲法も、それまでの軍国主義推進のための憲法から、大きく改善されたことは言うまでもない。
  
【憲法改正】
国民主権
戦争放棄と自衛隊の創設
基本的人権
 
さらに安倍晋三首相が「立党の原点だ」といった立党宣言は、自民党のホームページによるとこうなっている。
 
立党宣言
昭和三十年十一月十五日

 政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う
 大戦終熄して既に十年、世界の大勢は著しく相貌を変じ、原子科学の発達と共に、全人類の歴史は日々新しい頁を書き加えつつある。今日の政治は、少なくとも十年後の世界を目標に描いて、創造の努力を払い、過去及び現在の制度機構の中から健全なるものを生かし、古き無用なるものを除き、社会的欠陥を是正することに勇敢であらねばならない。
 われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。第二に、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本的条件となす。故に、権力による専制と階級主義に反対する。
 われらは、秩序の中に前進をもとめ、知性を磨き、進歩的諸政策を敢行し、文化的民主国家の諸制度を確立して、祖国再建の大業に邁進せんとするものである。
 右宣言する。

◇=◇=◇=◇◇=◇◇=◇◇=◇◇=◇◇=◇◇=◇◇=◇◇=◇◇=◇ 
綱領
昭和三十年十一月十五日

一、わが党は、民主主義の理念を基調として諸般の制度、機構を刷新改善し、文化的民主国家の完成を期する。
一、わが党は、平和と自由を希求する人類普遍の正義に立脚して、国際関係を是正し、調整し、自主独立の完成を期する。
一、わが党は、公共の福祉を規範とし、個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期する。  
 
安倍晋三が第3次小泉改造内閣で内閣官房長官として初入閣した年の2010年の「立党50年宣言・平成17年11月22日」は構造改革が前面にでてきた年でもあった。
 
「政治は俺様のもの」、「その使命は米国隷属」であり「公共より公益」であり、戦争法により「積極的戦争主義」を主張し、「民主主義の本義を破壊」している現状から反省して、「政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。われらは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓う。」という原点に戻るならば大いに歓迎する。
 
昨日、東京都内のホテルで開かれた結党60年の記念式典では安倍晋三首相は参院選を意識してか憲法改正については言及しなかった。
 
改憲『急ぐ必要ない』57% 自民60年、党員意識 朝日新聞社調査
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【朝日新聞より】

 
世論調査では、「ほかに人がいないから」という理由で相対的に総理大臣としての支持率が高いのだが、安倍晋三支持派と田中角栄支持派の自民党員の間には大きな開きがあるようである。 
 
『安倍』『角栄』二つの層 自民党員、評価する総裁は 朝日新聞社調査
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【朝日新聞より】
 
 
憲法無視してまでも臨時国会の開会を避け続けてきた安倍晋三首相は、海外に行くしかなく「安倍首相:『テロには決して屈しない』COP21へ出発」とフランス・パリに出かけたのだが、安倍晋三の実態を見抜いているのかのように、現地ではこんなポスターが迎えているという。
頭に生えた煙突は垂れ流されるCO2を象徴しているようだが、見方を変えれば放射性物質を国内に拡散し続けさせ4年経っても打つ手がない無策な日本を嘲笑ってるように見えてしまう。
 
東京という「都市が開催する」というオリンピック精神を無視して、まるで国威発揚の場であるかのようにオリンピックを利用して「一億総活躍時代」を鼓舞し、被災地にまでオリンピック会場の輪を広げることで、福島第一原発事故の収束を演出するという姑息なポピュリズム総理の下心を世界中がすでに見透かしているのではないだろうか、とオジサンは思う。

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2015年11月29日

辺野古の海の将来を想像してみよう

辺野古基金にはそれなりの寄付をしたのだが、実は自分の目で辺野古の海を見たことが無い。
 
それでネットで辺野古の海の素晴らしさを現しているような画像を何枚か探してきた。
 
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やはりこの海が埋め立てられて沖縄県民にとっては少しも生活の役には立たない代物が作られてしまうことは、とても耐えられない。
 
しかし既に裁判闘争に入り、今後は司法の判断に委ねられることになるのだが、「三権分立にもかかわらず司法は行政の意向に左右されるのか」でも指摘したように「安倍政権が露骨な人事 沖縄『代執行』訴訟に“体制寄り”裁判官」となってしまったので「おそらく那覇支部の人事は国が必ず勝つための布石」なので、判決はほとんど期待はできない状況である。
 
そこで近い将来辺野古の沖に邪悪なものがつくられるのか、作られないのか、それは神のみぞ知ることであるが「砂上の楼閣」になることを願うという妄想から、ハーバード大学講師 マシュー・カリナー (Matthew Kaliner)には申し訳ないが、彼の「サンドアート(砂の芸術)」の数々を紹介する。
 
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そして、現実の世界に戻れば、やはり世論の力で辺野古には新基地なんかつくらせないという運動を広めなくてはならない。
 
頭に中で考えても事態は変わらないので、取りあえず今日は日比谷野外音楽堂の大集会に「O60's」(OverSixty's)の仲間と出かけることにする。
 
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2015年11月28日

華やかなCMの裏側では労働者イジメが横行している

己の経済無策を国家権力で糊塗しようとしているかのような最近の安倍晋三首相の発言の数々。
 
「最低賃金を1000円」とか「企業の内部留保を賃上げに」という要求は、数年前から春闘時期に共産党を始め多くの労働組合が声高々に言ってきたことである。
 
側近の誰の入れ知恵かは知らないが、安倍晋三本人もまさか政府・与党幹部が言っている内容の本家が共産党だとは思ってもみなかったのではないだろうか。 
 
<経済政策:政府、矢継ぎ早 参院選にらみ「弾込め」>
 毎日新聞 2015年11月28日 01時23分 
 安全保障関連法を成立させて「経済回帰」を掲げる安倍政権が今週、経済政策を矢継ぎ早に打ち出した。来夏の参院選をにらんだ弾込めを一気に仕上げた形で、アベノミクスの好循環を導き出すことに躍起だ。【田中成之】
 「今週は、経済、経済、経済という会合(が続く形)になった」
 菅義偉官房長官は27日夕、来年度予算案編成の基本方針を決定した臨時閣議後の記者会見で、こう語った。
 安倍晋三首相は23日に外遊から帰国し、24日に最低賃金(時給)の全国平均1000円を目指す方針を表明。25日には、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)対策の政策大綱を決定し、農家や中小企業向け支援策をアピール。26日に1億総活躍社会実現に向けた緊急対策をまとめ、「官民対話」では経済界から設備投資増加の見通しや賃上げの「回答」を引き出した。
 仕上げが27日の予算案の基本方針決定だ。27日は全国知事会議や地方6団体との懇談もあり、首相は「全都道府県で税収が増加し、有効求人倍率は上昇した」と胸を張った。
 ただ、実際に好循環が実現するかは不透明だ。1億総活躍の緊急対策では介護職員の賃金改善策は先送りされ、経済界が示した設備投資増加方針も目標にとどまる。焦点の賃上げを、政府が率先して経済界に迫る構図には「官製春闘」とやゆする声も根強い。
 政府・与党には、連合の「ベースアップ2%程度」という春闘方針が低すぎるとして皮肉交じりの批判が相次ぐ。官邸幹部は「なんでそんなに低いのか。びっくりした」と語り、自民税制調査会幹部も「内部留保を賃金に回して個人消費を回復させないといけない。連合は何をやってるんだ」と苦笑する。
 野党は一連の動きに厳しい目を注ぐ。民主党の枝野幸男幹事長は25日の会見で「民主党政権が最低賃金1000円を掲げた際、自民党政調会長だった石破茂氏は『アンチビジネス以外の何物でもない』と発言した。1億総活躍の自民党提言も家計収入を上げ、子育てや介護を安定させる民主党政権が推進した項目が多々並ぶ」と不快感を示した。共産党の志位和夫委員長は26日の会見で「私たちがずっと言ってきた『大企業の内部留保を活用し賃上げを』という方向を(政権が)無視できなくなった」と語った。
 ◇安倍政権の経済政策を巡る今週の主な動き
24日 経済財政諮問会議で首相が最低賃金1000円を目指すと表明
25日 政府のTPP総合対策本部で政策大綱を決定
26日 1億総活躍社会実現に向けた緊急対策を決定
   「官民対話」で経済界が設備投資増加の見通しと賃上げ方針を表明
27日 2015年度補正予算案と16年度当初予算案の編成方針を決定
 
1980年代後半までの「バブル時代」にはそれなりに春闘では賃上げが実現されていた。
 
経営側の支払い能力に応じて労働組合の賃上げ要求内容も上昇していた。
 
それがバブル崩壊とさらには2008年のリーマンショックが続き、体力のない企業は中々回復できず、それに伴い組合が要求する賃上げ額も低くなり、賃上げゼロ(定昇のみ)という回答が多くなってきた。
 
経済界の人件費コストの削減策により正社員が減少し非正規社員が増加し始め、遂には労働者の40%が非正規社員となる時代に入ってしまった。
 
正社員の減少に伴い、企業内で組織される労働組合の組織率も年々右肩下がりになってきており、働く者の声が経営者に届かなくなってきている。
 
利益追求が資本主義社会における経営方針である限りは、企業の利益を減らしてまでも労働者の賃金を上げようとする経営者は皆無であろう。
 
「企業の社会的責任」とか「法令遵守」などとは全く無関係な企業も昨今は多くなり、労組法で認められている労働組合それ自体を無視したり否定したりする経営者も決して少なくない。
 
労働組合が企業の利益を奪う存在で忌み嫌うというとんでもない経営者もいる。
 
この数年、こんなCMを見た人も多いと思う。
 

 
「印刷通販」で拡大を続ける「株式会社プリントパック」(印刷業、本社京都府向日市)。
 
「うまい、やすい、はやい」は牛丼チェーン店の吉野家コンセプトであったが、この印刷業界も「安い」というキーワードが顧客獲得には必須らしいのだが、この会社のサイトのなかで「プリントパックが日本一の安さに挑戦する理由」が説明されており、「昨今の厳しい受注競争に打ち勝っていただく大きな要因」であるらしい。
 
そのためか、プリントパックは「フライヤー印刷が安いおすすめの印刷会社ランキング2位」になっている。 
 
安さに挑戦することは利用者にとっては大いに歓迎するところなのだが、問題は、どうやってその安さを実現したかという点である。
 
実はこの会社は5年前の2010年3月に当時26歳の青年が大型機械に頭を挟まれて死亡するという労災事故を起こしている。
    
印刷労働現場の長時間労働と労災死亡事故
 去る3月22日京都市右京区の印刷会社プリントパックで入社してわずか一ケ月半,希望溢れる26歳の青年労働者が菊全判8色機の大型印刷機デリバリ部分(排紙部分)に頭を挟まれ死亡する労災事故が起こりました。京都市域ではこの20年間で2度目の死亡労災事故です。
 このプリントパックは前身が進洋製版という製版会社でしたが、「印刷通販」と銘打ってインターネット受注による365日、24時間操業を行い、2005年売上7億円から2009年同52億円と5年間で売上を7.5倍に拡大急成長させています。印刷関連産業の中で製版業は生産器機のデジタル統合が進み、多くの部門が印刷会社社内で内製化された事で、業態として存続できなくなり生き残りをかけて新規事業への転換を進めている最中の事故でした。京都ではプリントパックと同様に伏見区のグラフィックという会社が、京阪写真製版から業態変革して同じようにインターネット受注による24時間365日繰業で急成長しています。この二社は同地域でしのぎを削るライバル競合企業で,事故の背景にはこういった過酷な企業間競争もありました。事故の翌日同社のホームページには次の様なお詫びが掲示されていました。
 「機械の不具合により暫くの間受注ができません」と。一人の未来ある青年の死は「機械の不具合」と扱われています。
 同社の木村進治常務は顧客向けパンフレットの中で自社を次のように紹介しています。『新しい印刷のカタチを開発する。従来高品質であるがゆえに価格も高く、敷居の高かった「オフセット印刷」の世界にインターネットをはじめとするIT技術を活用することで圧倒的な低価格を実現。これによりデザイン・印刷関係などのプロフェッショナルユーザーには「受注競争に勝ち抜く価格」を、また一般企業のクライアントには「印刷経費の激減売上アップ効果」を提供すべく取り組んでいる。こうした評価として業界屈指のリピート利用率や年間100回以上利用のヘビーユーザーも多い。また個人顧客からの利用も急増しており「オフセット印刷の感動を広める」「誰もが気軽にオフセット印刷を利用できる」ことを志している。現在会社を挙げての「日本一安い価格」への挑戦を続けている』。
 しかしインターネット受注は、24時間型物流体制に支えられて地域間距離差を取り除き、ひたすら安さ」を競い合うベンチャー企業は全国に拡大しています。これらの企業競争は、あたかも牛丼の価格競争のようにどこかが倒れるまで単価を下げるダンピング競争となり結果として「ひたすら受注し続ける」事でだけ企業が存立できる構造的な自転車操業を作り出しています。どの企業も「低価格」を他社より一歩でも進めるため、コストカットに躍起となり、労務コストをカットし雇用をカットしそしてついに安全衛生もカットして労働者の命が犠牲となりました。産業構造全体の熾烈なコストカット競争の結果が今回の死亡労災事故であり、決して一企業の偶発的な事故ではありません。こういった淘汰の市場競争を展開する企業は、当然地元の経営者団体に(京都府印刷工業組合など)加盟しないアウトロー企業で、業界としての経営・生産秩序にも参加する意思を持ってはいません。
 一方、昨年末にはこの会社で働く労働者から「月130時間の残業が常態化しておりこのままでは身も心ももたない」と地域労組に労働相談が持ち込まれ、全印総連が「労働組合に入って労働条件を改善しよう」と情宣活動を強めていた矢先の事故でした。
 印刷産業は京都府においては全国に2府県しかない産業別最低賃金の対象となっているように(長野県と共に)地場産業的な色彩を持つ一方で、先に指摘したような厳しい過当競争の中でダンピングが横行する受注産業です。とにかく「安く早く」を競い合う業態は、他の製造業とは違って計画的な生産が困難な構造を持つ産業といえます。そのため、無理な受注を続けると、労働基準法諸規定を守るどころか労働者の安全や健康すらもないがしろにされかねない構造的な条件・環境があります。
 しかし、命が脅かされるような産業にしたくないという思いは働く労働者が共通して持っています。全印総連京都地連はこのような労働者の願いをもとに、業界団体である京都府印刷工業組合、京都労働局、プリントパック社にそれぞれ申し入れ行動を行いました。
 京都労働局には4月5日、事故の原因究明・公開とともに、事故の背景として印刷産業に蔓延する36協定無視や協定の捏造、36協定未締結の長時間残業など重大事故に繋がる就労実態を今後監督指導することを申し入れました。しかし事故原因の調査結果公表には「絶対にそれはしないし出来ない」と頑なに拒否しています。印刷機器の構造はどのメーカーの機器も同一で、「それでは産業としてこのような事故の予防対策が講じられない」と指摘すると押し黙っていましたが、この様な重大事故の原因を当該企業内の「改善指導」に留めるのではなく同一産業内での事故防止の教訓とする指導が必要なはずです。行政としての規定があるのでしょうが、労働行政一般論ではなく労働者保護行政の視点が必要と痛感しています。
 4月7日には全印総連京都地連の役員とともにプリントパック社を訪れ社長らに次の申入れ文を手渡して説明を行ないました。
一、今回の死亡事故原因および再発対策を早急に社内外に公表し、従業員も利用者も納得・安心できる措置をとること。
−、今回の労災犠牲者ご遺族に対して充分な補償を行うこと。
一、労安法で設置が義務付けられている安全衛生委員会に閑し、貴社における委員会の毎月開催・議事録作成・従業員への審議内容公開を実施すること。
一、緒法令に基づき、36協定等を遵守し所定外労働削減、過重労働による健康障害防止の対策を講じ、従業員が安心して働き続けられる職場作りをすすめること。
 同社の木村社長は、これに対し、「あってはならない事故でご迷惑をおかけしている」「対策委員会を立ち上げて今対策を検討している」等と応え、真摯に対応することをその場では表明し調査結果は逐次ホサムページ上で公開すると説明しましたが、5月中旬現在その調査結果公開はされていません。
 一人の労働着がなぜ職場で死ななくてはならないのか。過労死や過労自殺が後を絶たない日本社会は異常です。人の命の重さをもう一度再認識しケガや死亡が出ない職場にしていかなくてはなりません。そのためには、労働組合が「安全なくして労働なし」というスローガンをかかげ、自らの職場の安全、衛生を守る闘いをすすめなければなりません。
 また印刷産業に広くはびこる長時間労働は、今回のような事故の温床ともいえます。2010春闘でも10年以上に渡って36協定未締結で慢性的な長時間残業を放置してきた企業との協定締儀交渉で、企業側はこれまでの長時間残業の実態を追認するだけの【1日5時間まで労働時間延長】の案を出してきました。理由は『「受注産業」だから』です。
 長時間残業、36協定無視や協定の捏造、36協定未締結の残業など、重大事故につながる就労実態を改善することが求められています。多くの労働者にこのことを知らせ、労働条件の改善の取り組みを広げていくために奮闘します。
以上
全印総連・京都地連 奥田雅雄
(京都職業病対策連絡会議 働くもののいのちと健康を守る京都センター
 『Humanly きょうと』第177号 2010年6月1日 より)
 
この労災事故が起きた年の3年後の10月に、「2交代・12時間シフト・365日操業」という超過密・長時間労働という労働環境をすこしでも改善したいと願う若者たちが立ち上がり労働組合を結成したが、ネット上ではすでにこんな評判が広がっていた。

当時の過酷な労働条件は以下のようであった。

【ブラックな労働条件】
●機械は24時間稼働
●2交代制(12時間勤務)
●休憩時間も機械は運転中
●有給休暇取得困難
●基本給は固定(最賃スレスレ)
●固定残業代の残業時間は90時間
●若者雇用の使い捨て
 
組合結成後はプリントパックは形式的な不誠実な団交に終始し、翌2014年9月には京都府労働委員会の斡旋も拒否し、さらには組合の委員長や書記長に対する不当な配置転換や賃金差別、「懲戒解雇するぞ」という恫喝まで行い、組合つぶしの姿勢が露わになっているという。
   
詳細は「『印刷通販』プリントパックで 人権無視の「魔女狩り」=分会員摘発が続く」を参照。
 
2010年の労災事故の1年前には、すでにネット掲示板にこんなコメントが掲載されていた。
 
2009/08/23(日) 05:50:28
最近急成長らしい。
会社説明会では体育会系ブラック企業臭がプンプンしたが、実際どーなの?
 
2009/08/23(日) 09:24:22
俺も説明会行ってきたよ。
有給無いんじゃねーかこの会社?
なんでも金でしか解決する事しかできない経営者にウンザリ。
福利厚生の待遇が醜いと思う。
残業の多いとこは絶対ブラックだ。
体ぶっ壊しに誰が行くかよ(笑)
騙されないように!
  
急成長する企業には必ず影の部分がある。
 
それも技術革新というよりは、安い労働力の「使い捨て」が多いのも特徴である。
 
木村進治・代表取締役社長は「お客さまにとことん尽くす、というイノベーションがあると思います。」と同社に応募する若者に対してこう語っている。
  

20151128printpacksyachou.jpgプリントパックが求めているのは、決して奇抜な人材ではありません。当たり前のことに、真面目に向き合えること。それが、モノづくりにおける「イノベイティブ」なアウトプットの基礎だと考えています。
プリントパックでは、「自分のやりがい」や「自分の達成感」よりも、まず「お客さまの幸せ」を優先します。その行動は、その発言は、そのアイデアは、真にお客さまの幸せになっているのか。そこに、どこまで尽くせるか、が問われます。そして、「お客さまの幸せ」をとことん追求すれば、必ず個人個人の「やりがい」「達成感」も訪れるものだと、私たちは信じています。
皆さんは何のために働きたいですか。誰のために働きたいですか。あなたを待っているお客さまが、世の中には大勢いらっしゃいます。ぜひ皆さんの志をお聞かせください。
 
「『お客さまの幸せ』をとことん追求する」という錦の御旗の下、安い賃金で社員を長時間働かせても構わないという、「ブラック企業」と呼ばれる企業の本音がこの木村社長から感じられ、いつかは業界から淘汰されるのではないだろうか、とオジサンは思う。 

posted by 定年オジサン at 12:42| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働争議 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月27日

玉砕ありきで国土を差し出す日本政府

南西諸島に駐留していた米軍がみすみす沖縄を戦場にする。
 
まさかという人も多いだろう。
 
米国が戦場と想定しているのは沖縄だけではない。
 
描かれる対中戦略は、日本全体を「バトルゾーン」とみなしている。
 
こんな絵空事も飛び交うなか防衛配備が進んでいるのが沖縄県の「標的の島」である。
 
異例の警視庁機動隊の辺野古と常態化のくい打ち偽装」のつぶやきの冒頭で紹介した、琉球朝日放送 (QAB)の元アナウンサーであり、映画監督、ドキュメンタリー映像作家の三上智恵が先月末の週刊金曜日にこんな記事を書いていた。
 
 私は焦っている。沖縄の放送局で20年必死に報道しドキュメンタリーを量産したが、状況に追いつかない。新型輸送機オスプレイ(V22)を世に問う『標的の村』を2013年に映画化したのも、退社して、『戦場ぬ止み』をこの夏公開し、辺野古(名護市)での新基地建設に抵抗する県民の70年の苦しみを描いたのも、沖縄が日本や米国の軍事的道具として再び戦渦に巻き込まれるのではないかという危機感からだ。しかし状況は悪化の一途を辿っている。辺野古は弾薬庫と軍港を備えた日米の出撃基地になるので造らせるわけにはいかない。とはいえ、辺野古を止めても先島(宮古・八重山)諸島に自衛隊ミサイル部隊を配置されれば県土の「戦場化」は免れない。集団的自衛権を真っ先に発動する舞台は、とりわけ宮古島になる可能性が高い。
 今月5月に突然発表された先島へのミサイル配備計画。宮古島には地対艦、地対空ミサイルと800人規模の部隊、それだけでなく実弾射撃訓練場、水陸戦車の着上陸訓練場、弾薬庫、その上、先島から奄美諸島まで網羅するミサイル防衛の司令部を、なんと宮古島の地下に造るという。
 防衛省は来年、衛星誘導爆弾のJDAMや、空中から地上を狙うミサイルAGM158などを搭載可能なF35戦闘機を導入する。なぜ専守防衛の日本にこうした武器が必要なのか。6月1日の国会で中谷元防衛大臣は、外国に撃ち込む打ち込むのではなく国土が占拠された場合を想定、といった答弁をしていた。
 敵軍が上陸する可能性が最も高いとされているのは南西諸島だ。すると、宮古島にミサイル基地を置く→敵に攻撃される→上陸される→奪還するために自衛隊が地上を空爆する、との図式が成り立つ。なるほど司令部は地下に置くしかない。だがその時、住民はどうやって「守られる」のか?
 
実際に衝突した場合 米軍はまず退く
 
 ここ数年、自衛隊と米軍は盛んに離党奪還訓練を強化している。陸上自衛隊の広報ビデオを見ると、勇ましい自衛隊員が尖閣に見せかけた仮想の島を奪還する訓練が戦争映画のように映し出される。本土の人には頼もしく。格好よく見えるのだろうか。戦場にされる「沖縄」はたまったもんじゃない。
 しかも現地を守るのは自衛隊であり、米軍ではないそうだ。中国からの攻撃事態に際して米軍は一度ハワイあたりまで退く。初期攻撃は同盟国軍(日本・韓国・フィリピン)が当たることになっている。
 それは、沖縄の米軍基地の用途が変わりつつあることからも見て取れる。かつて基地は米兵が訓練し出撃する場所だったのが、今は、この島が戦場となる前提の訓練や配置をするようになった。沖縄は近代化した中国軍のミサイルの射程圏内に入ってしまったので、海兵隊は主な機能をグアム、ハワイまで後退させ、対中国での島嶼の守りは新設される日本版の海兵隊「水陸機動隊」に任せるべく、その訓練・育成にあたっている。
 
2週間の戦闘で沖縄壊滅 日本全土がバトルゾーン
 
 米国のシンクタンク「戦略・予算評価センター(CSBA)」が10年前に発表したエアシーバトル構想は、増大する中国「脅威」を念頭に5つの領域(空、陸、海、宇宙、サイバー空間)で優位に立つ統合作戦だ。ここで自衛隊は米軍と共に「第一列島戦線」(日本から台湾・フィリッピンに至る概念上の海域)から中国軍を出さずにコントロールするパートナーと位置づけられる。先頭の部隊は日本列島を含む周辺海域、日本全体が「防波堤」だ。
 米国としては、中国と経済発展を支え合う関係性にあり、万が一、軍事衝突が勃発しても核兵器を含む全面戦争は回避したい。その手前で止めるための「中間的戦略」という概念があり、「オフショア・コントロール構想」や「海上制限戦争戦略」等のプランが出ている。中国が軍事的に動いたとしても、第一列島線の内側で潜水艦攻撃や機雷敷設を通じ中国の海上交通を遮断、その領域の外側の空域及び海域を支配する。「暴走する敵軍」を抑え込むため、あえて小さな「海上制限戦争」に持ち込み、大勢を立て直した米軍や国連軍で囲む戦略だ。ただし衝突が起きた場合、沖縄は2週間ほどで壊滅、その後は日本列島が戦場になる。
 注意すべきは、この制限戦争の始まり方だ。中国が日本に宣戦布告も何もしていない段階で宮古島からミサイルを撃つ公算は高い。たとえば中国の軍艦が台湾有事で動いた時、米国が「ならず者国家が危険な動きをした。危機が迫っている。宮古島からミサイルを撃て」と言えば、集団的自衛権の行使で自衛隊が撃つという始まりを迎えてしまう。相手にとって日米両軍からの宣戦布告であり、日本を攻撃する充分な理由になる。
 米軍は同盟国(日本)に自国から先手でミサイルを撃たせることが可能かどうか、それがこの構想の肝だと心配していたようだが、日本は急いで集団的自衛権を確立させ、米国を安心させたわけだ。
 日本を「防波堤」にし、米国から遠く離れた局地的な紛争に抑え込み、国際協力で早期に火消しにを図る。米国にとっては悪くないアイデアだろう。しかし安保条約を維持するために日本がこの構想に協力するということは、国土を戦場に差し出すのと同じだ。
 
三上智恵の危機感は決して妄想なんかではなく、「米国のシンクタンク「戦略・予算評価センター(CSBA)」が10年前に発表したエアシーバトル構想」は「JAM-GC (国際公共財におけるアクセスと機動のための統合構想)」へと変更されたという。 (USNI News)。
 
<専門家が説く対中抑止「第一列島線上における陸上部隊の活用法」>
 2015年02月23日 18:00 海国防衛ジャーナル 
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 米シンクタンク・戦略予算評価センター (CSBA) のアンドリュー・クレピネビッチ所長が、島嶼防衛 (Archipelagic Defense) の視点から中国をいかにして抑止するか、というエッセイを『フォーリン・アフェアーズ』に寄稿しています。第一列島線上における陸上部隊の有効活用、といったはなしですね。
・・・中略・・・
●米軍の「ピボット」はすでに始まっており、2020年までに空・海軍の60%がアジア太平洋地域に配備される。
●高脅威環境下では、限られたリソースを新型・長距離爆撃機と原子力潜水艦に振り分けようとしている。
●中国の領土拡張主義が、第一列島線上にある日本、フィリピン、台湾といったワシントンが守る義務のある国々を脅かしている。
●航空攻撃や海上封鎖といった懲罰的抑止は中国の冒険主義をくじく役割を果たすだろうが、米国とその同盟国は中国に対し、力の行使によって彼らの修正主義的な目的が達成されることはないと納得するよう拒否的抑止を達成すべきである。
●このことは、米国やその同盟国の陸上兵力を活用することで達成することができる。
●中国は平和的に台頭していると主張するが、実際は西太平洋の支配を目論む修正主義的パワーだ。
●軍が強大になるとその国の指導者は安心し、その態度は穏やかなものになるという者もいるが、中国は逆だ。
●北京による周辺国への挑発は、軍事力の成長と軌を一にする。
●中国軍は西太平洋が米軍にとって立入禁止区域になるようA2AD(接近阻止・領域拒否)能力を強化しつつある。
●中国のASAT(対衛星攻撃)能力、通常弾頭の弾道/巡航ミサイル能力、衛星や無人機による長距離監視・探知能力などは、第一列島線内の米軍のアセット利用や米海軍の航行を制限するよう企図されている。
●米軍が国防予算を減らす一方で、中国は予算を積み上げている。
●中国の戦略文化として、ゆっくりとしかし容赦なく地域の軍事バランスを有利に変え、地域の周辺国は中国の強制に服従する以外にほとんど選択肢がなくなる状態を好む。
●外交や経済的関与でこうした事実を変えることができないことを周辺国は確信している。
●日本、フィリピン、ベトナムは中国の野心に対抗するために軍事力を用いようとしているが、彼ら個々の能力では不十分であることを熟知している。
●米軍のサポートがあってはじめて中国の侵略や強制を抑止する態勢を整えることができる。
●防空において、列島線沿いの国家は高機動・短距離ミサイルを装備した陸上部隊を配備することで中国のアクセスを拒否することができる(陸上発射型シースパロー&ジラフ・レーダーの組み合わせのような)。
●一方、米軍は日本のような同盟国とより先進的な長距離迎撃システムを運用することができる。
●第一列島線上の国ではないが、ベトナムはすでに航空拒否 (air-denial) 能力を強化しつつあり、広範な防衛協力に貢献しうる。
●中国軍の海上コントロールを拒否するタスクもある。
●米議会では沿岸防衛に砲兵を配置するという第二次大戦後に廃れた任務を復活させようという動きもある。
●このアイデアはシンプルで注目に値するものだ。
●中国軍の防衛圏内に軍艦を派遣したり、より優先度の高い任務に就いていた潜水艦を転用したりするリスクをとるよりも、米国と同盟国は対艦ミサイルを持った陸上部隊を第一列島線に配備することで同等の作戦効果を得ることができる。
●日本は演習でSSMを南西諸島に展開した実績がある。
●ベトナムも同様のシステムを持ち、他の国もそれに続いている。
●陸上部隊の別の任務として、機雷戦がある。
●掃海・掃討任務は海軍の持ち場であるが、敷設に関しては陸上部隊も役割を果たすことが可能だ。
●短距離ロケット、ヘリコプター、はしけなどを使って陸上基地から機雷を敷設することで、中国海軍に対する長大な立入禁止線を設けることができる。
●第一列島線のチョークポイント上にある機雷原は、中国海軍に複雑さをもたらし行動を制限する。
●さらに、沿岸に配備されたSSM部隊が、航路啓開にあたる中国海軍艦船の行動を妨げることができる。
●長期的に見れば、陸上部隊は中国の潜水艦に対抗する作戦をサポートすることもできる。
●潜水艦はその防御力を隠密性に頼るところが大きく、気づかれれば接触を回避したり破壊される危険も想定しなければならない。
●我が方は第一列島線上の水面下に、低周波・音響センサーを配置することで、中国の潜水艦を探知する能力を向上できる。
●センサーによる探知を受けて沿岸配備の砲兵隊がロケットで魚雷を発射し、接近する潜水艦に任務の放棄を促す。
●中国が米国の同盟国や友好国に侵略した場合、米陸軍はたとえわずかな数であっても抵抗に備えるその国の軍隊にとって助けとなるだろう。
●中国による空と海のコントロールに対する拒否作戦を地上部隊が担うことで、我が方の空・海軍は彼らにしかできない任務(長距離偵察や航空攻撃)に専念することができる。
●抑止政策として確かな報復能力が要求されるが、ここでも陸上部隊は有効である。
●現在米軍が持つ報復攻撃能力は、脆弱な前線配備基地や空母上に配備されている。
●国防総省は新型潜水艦や長距離ステルス爆撃機によってこの問題に当ろうとしているが、これらハードウェアのコストはその控え目なペイロードを考慮すれば高価である。
●それに比べれば、陸上部隊における火力の追加は安く済み、武器のリロードのために遠く離れた基地に戻る必要もない。
●有事において中国は陸上配備の準中距離/中距離弾道ミサイルといった非対称兵器の恩恵を得られる。
●米国はINF条約に縛られておりこうしたシステムを配備できない。
●しかし、条約の範囲内にある安価なミサイルを装備した陸上部隊を列島線上にある前線に配備することで、米国とその同盟国は中国との不均衡を修正することができる。
●第一列島線の最大の弱点は、米軍の戦闘ネットワークである。
●このネットワークは現在、衛星と非ステルス無人機に依るところが大きく、どちらも中国軍が攻撃目標とするものだ。
●解決法としては、光ケーブルを地下や海底に設置し、陸上の硬化指揮施設からデータを送受信できるようにネットワークを確立することだ。
●あらゆる作戦構想がそうであるように、島嶼防衛構想も問題を抱えている;財政的なものと、地政学的なものだ。
●米国では危険な安全保障環境に相応しくない予算削減傾向にある。
●そんな中、島嶼防衛構想に投資することは西太平洋を越えたところでも将来リターンを得られるかもしれないという議論をペンタゴンは展開している。
●例えば1970年代に掲げられた「エアランド・バトル構想」は中央ヨーロッパで成功しただけでなく、ワルシャワ条約機構によるNATOへの攻撃を抑止することを助け、修正されながら湾岸戦争でも用いられた。
●島嶼防衛構想の要素は、ペルシャ湾やバルト海にある他の地域の同盟国・友好国を守るために利用することができる。
●国防総省が予算を確保できない場合、全体的な態勢を現在の安全保障環境に沿うようにさらに変更しなければならない。
●ひとつの例として、北朝鮮から韓国を守るために米国はかなりの数の陸上部隊を展開している。しかし、大規模な侵攻はほとんどあり得ず、より大きな脅威は核や化学兵器を弾頭に搭載したミサイル攻撃である。
●韓国は敵の2倍の人口と15倍の1人当たりの収入を持つのだから、韓国は伝統的な地上侵攻に対して自らの防衛予算をもっと負担すべきだ。
●米国はそれぞれの同盟・友好国ごとに異なる役割を考慮しなければならない。
●日本は凄まじい能力を持ち、米国の支援をそれほど受けなくとも陸上部隊の強化を進めることができる。
●対照的に、フィリピンにおいては米国の陸上部隊が大きな役割を果たさなければならない。
●一方、台湾は米国と外交関係がないことから、米陸軍の援助はほとんど得られないかもしれない。
●日本とベトナムはすでに島嶼防衛構想に要求されるシステム構築に真剣に取り組み始めている。
●第一列島線を越えたオーストラリアやシンガポールも基地提供や兵站支援などで協力しようとしている。
●ただ、NATOがワルシャワ条約機構に確固とした通常抑止力を確立するまでに10年あまりを要したように、米国とその同盟が一朝一夕に島嶼防衛 (Archipelagic Defense) 構想を確立することはできない。
 
上記の内容から日本に関する項目を抜出し、「その同盟国」を「日本」に置き換えると「国土を戦場に差し出すのと同じ」ということが明確になる 
 
●航空攻撃や海上封鎖といった懲罰的抑止は中国の冒険主義をくじく役割を果たすだろうが、米国と日本は中国に対し、力の行使によって彼らの修正主義的な目的が達成されることはないと納得するよう拒否的抑止を達成すべきである。
●このことは、米国や日本の陸上兵力を活用することで達成することができる。
●日本、フィリピン、ベトナムは中国の野心に対抗するために軍事力を用いようとしているが、彼ら個々の能力では不十分であることを熟知している。
●一方、米軍は日本のような同盟国とより先進的な長距離迎撃システムを運用することができる。
●中国軍の防衛圏内に軍艦を派遣したり、より優先度の高い任務に就いていた潜水艦を転用したりするリスクをとるよりも、米国と日本は対艦ミサイルを持った陸上部隊を第一列島線に配備することで同等の作戦効果を得ることができる。
●日本は演習でSSMを南西諸島に展開した実績がある。
●しかし、条約の範囲内にある安価なミサイルを装備した陸上部隊を列島線上にある前線に配備することで、米国と日本は中国との不均衡を修正することができる。
●米国は日本や友好国ごとに異なる役割を考慮しなければならない。
●日本は凄まじい能力を持ち、米国の支援をそれほど受けなくとも陸上部隊の強化を進めることができる。
●日本とベトナムはすでに島嶼防衛構想に要求されるシステム構築に真剣に取り組み始めている。
 
まさに日本は軍事的行動力において、米国と同等、または肩代わりしなければならない枠に組み込まれていることは明らかではないだろうか、とオジサンは思う。


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2015年11月26日

虚妄の安保政策のツケは誰が払うのか

11月25日、米海兵隊トップのロバート・ネラー司令官と官邸で会談し、米軍普天間基地の名護市辺野古移設に関して「確固たる決意で進める」と伝えた安倍晋三首相。
 
その会談の冒頭では戦争法が成立したことに触れ「日米の協力をさまざまな分野で進め、同盟をさらなる高みに導いていきたい」と高揚感にあふれていた。
 
戦争法の国会審議中には幾度となく、「集団的自衛権が行使されることにより日米同盟がより深化し、抑止力が高まりわが国の安全が保障される」と言っていた。
  
日米同盟が深化すれば日本の安全保障が担保されるという前提は、日本に駐留している米軍がいざとなったら日本を守ってくれる、ということらしいのだが、これが全くの思い込みに過ぎなかったという事実が最近明らかになった。
 
週刊文春の12月3日号の「機密解除 米政府の外交文書でわかった『在日米軍は日本防衛に直接関与しない』」という記事を今朝の新聞広告で知った。
  
その記事の著者は、元共同通信社論説副委員長で専門は日米外交とインテリジェンス、核問題を扱っているジャーナリストの春名幹男であり、数日前にこんなツイートを発信していた。

ネットで検索すると、この週刊文春を読んだ天木直人ブログが見つかり、さらには文春新書を読み終えた共同通信社で約20年間、書籍編集をやっていて現在はフリーの著作家である人のブログ「海神日和」が既にあったので以下に紹介する。
 
<『仮面の日米同盟』(春名幹男著)をめぐって >
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 日本人はアメリカを日本の頼れる同盟国だと思いこんでいますが、本書は日米同盟の仮面をあばきながら、戦後の外交史をふりかえり、日本の今後をもう一度考えなおしてみるための本といえるでしょう。
 とりわけ衝撃的なのは、新しい「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」には、米軍が絶対的に日本を守ると書かれていないことが判明したというくだりです。日本を守るのは自衛隊であって、米軍ではないというのです。
 しかも、万一の事態が発生した場合にも、米軍が自衛隊を支援するとはかぎらないというニュアンスすら残されています。新ガイドラインには、むしろ米軍が日本の引き起こす可能性のある戦闘(たとえば尖閣問題)に巻きこまれたくないという思いさえ、にじみでているかのようです。
 さらに衝撃的なのは、著者が次のような米政府機密文書を発見したことでした。そこにはこう書かれていました。
「在日米軍は日本本土を防衛するために日本に駐留しているわけではなく(それは日本自身の責任である)、韓国、台湾、および東南アジアの戦略的防衛のために駐留している」
 これは1971年の文書ですが、米軍の駐留目的は現在も変わらないでしょう。むしろその戦略的防衛範囲は、西アジアや中東地域にまで拡大しているとみてよいかもしれません。さらに、この文書には在日米軍基地の目的が、兵站、すなわち物資・装備の調達や補給にあることも明記されています。
 こうしてみると、在日米軍基地は、アメリカにとって、アジア・中東の防衛戦略拠点であるとともに、米軍の補給、訓練、休養場所として位置づけられていることがわかります。
 日本人は米軍が日本を守ってくれる代わりに、米軍に基地を提供していると思っています。しかし、それだけでは申し訳ないので、米軍基地の費用を負担する「思いやり予算」をつけ、さらには「集団的自衛権」で米軍にもっと協力するため、新安保法制を成立させ、実質的な憲法改正をおこないました。
 ところが、じつは在日米軍は日本の防衛に直接関与しないことが、米機密文書にもはっきりと示されていたのです。集団的自衛権を認めた新安保法制が、日本政府のいうように、はたして抑止力を高めることになるかは、はなはだ疑問だ、と著者はいいます。
 著者は「アメリカ側は往々にして、同盟国相手といえども、真意を隠し、米国益の追求に邁進する」と記していますが、これはまったくそのとおりでしょう。
 知られざる戦後史の真実が、いま徐々にあきらかになりつつあります。
 たとえば沖縄返還交渉の裏には何があったのでしょう。そこにもさまざまな駆け引きがありました。当時、沖縄では日本への復帰要求が高まっていました。佐藤政権は沖縄の祖国復帰を最大の政治課題とし、復帰の方向性として「核抜き本土並み」というスローガンをかかげました。
 すると、アメリカはこうした沖縄の住民や日本政府の声にこたえるかたちで、沖縄を日本に返還したのでしょうか。いや、そうではない、と著者はいいます。
 たしかに沖縄返還の合意ができなければ、1969年に佐藤政権が倒れるかもしれないという懸念を米政府がいだいていたことは事実です。そのため、ニクソン政権が返還交渉を急いだという側面もあります。
 本書には、そうした沖縄返還交渉の舞台裏がこと細かに記されていますが、それは読んでいただいてのお楽しみということにして、この交渉でもっとも重要だったポイントは、沖縄の施政権を日本に返還するとしても、日本側がアメリカに「米軍基地の自由使用」と「緊急時の核持ち込み」を認めるということでした。
 日本側はこれを呑んで、建前上の「核抜き本土並み」の沖縄返還が実現します。しかし、秘密合意を含むこの返還協定は、将来に禍根を残すことになりました。米軍基地の存続と、緊急時の核持ち込みが、沖縄の民意をよそに、日米間で合意されていたのですから。
 沖縄返還交渉の実態は何だったのでしょう。それは著者のいうように「アメリカは在日米軍基地を維持するために、沖縄返還交渉に応じた」ということです。アメリカは住民からの反発も強く、維持コストもかかる沖縄の施政だけを日本にゆだね、そのいっぽうで米軍基地を存続・拡充させる方策を実現したのです。
 沖縄返還交渉にはもうひとつの裏取引がありました。交渉にさいして、アメリカは日本に繊維製品の対米輸出を自主規制するよう迫りました。そもそも繊維問題は沖縄とはまったく無関係なはずです。それなのに、アメリカは沖縄で恩を着せたかのようにふるまい、日本に繊維規制を求め、佐藤首相はあいまいにそれを約束したのです。
 実際には日本国内で繊維の対米自主規制問題は難航します。日本が調整に手間取っているのをみたニクソン政権は、これに報復するかのように、事前に日本側に通告することなく、「ニクソン訪中」と「ドル防衛措置」を立て続けに発表するのです。いわゆる「ニクソン・ショック」と呼ばれるものです。
 これによって、ニクソン政権は円の対ドルレートを一挙に引き上げ、さらに強権を発揮して日本に繊維問題の決着を迫りました。
 これをみても、自国の利益を守るためには、アメリカがなりふりかまわぬ行動をとることがわかります。
 次にアメリカがこころみたのは、米中正常化でした。ニクソンはみずからの訪中に先立ち、キッシンジャーを特使として北京に送り、周恩来との会談を実現させます。
 中国は日米安保条約に反対し、米軍のアジアからの撤退を求めていました。これにたいし、キッシンジャーがもちだしたのが、いわゆる「瓶のふた」論です。
 著者によると、「瓶のふた」論とは、「日本の再軍備や核武装、対外軍事進出を抑えるために、日米安保条約は必要であり、在日米軍はその任務のため日本に駐留している」という理屈です。安保条約は、日本の軍国主義復活を防ぐための手立てだというわけです。
 キッシンジャーはこういう理屈を展開することによって、中国側の歓心を買いました。ここにはアメリカの二枚舌外交をかいまみることができます。とはいえ、日本を押さえつけておきたいというのは、たしかにアメリカ外交のホンネでした。
 田中角栄による日中国交回復を、アメリカがおもしろく思っていなかったのはとうぜんです。本書では、そのあたりのことはふれられていませんが、いずれにせよ米中国交回復によって、米中間には、日中間以上に(いやひょっとしたら日米間以上に)強いコネクションが結ばれました。
 本書では尖閣問題についても論じられています。オバマ大統領は「尖閣諸島は日米安保条約の対象」と、くり返し明言しています。しかし、そのいっぽうでアメリカは日中間の領土紛争に巻きこまれたくないため、早くから尖閣諸島の主権問題については中立の立場をとることを決めていたというのです。
 このあいまいさは、いったい何を意味するのでしょう。
 はっきりいうと、アメリカは尖閣諸島の領有権が日本にあると明言したことはないのです。それではなぜ、尖閣は日米安保条約の対象なのでしょうか。
 沖縄返還によって、アメリカは尖閣の施政権も日本に返還したことになっています。しかし、すでに当時、台湾が尖閣の主権を主張していることも認識しており、尖閣の主権の帰属は未定とする立場をとったというのです。
 現在も、尖閣諸島の領有権について、アメリカが中立的な立場をとるのは、将来起こりうる日中台間の領有権争いに、アメリカ自身が巻きこまれたくないからだ、と著者はいいます。
 しかし、もし尖閣諸島に中国の武装した漁民などが上陸した場合は、日本側はどう対応するのでしょう。まず沖縄県警と海上保安庁が上陸者排除へと動きだすでしょう。
 しかし、さらに事態が悪化すれば、自衛隊が出動することになるのでしょうか。自衛隊と米軍のあいだでは、離島奪還訓練がおこなわれています。これをみて、日本人は尖閣問題では、米軍がバックについてくれているから安心だと思い込んでいます。しかし、実際に万一の事態が発生したときに、米軍がどう自衛隊に協力するかは、まったくわからない、と著者はいいます。
 現在、米中関係は強いパイプで結ばれ、日本を軽視するなかで、話し合いが進められているといいます。これにたいし、日米関係はむしろ希薄で、かたちだけになっているように思えます。何度も会う機会はあったのに、「安倍はオバマにスルーされてきた、という印象さえある」と、著者は記しています。
 この本から学ぶべき教訓。それは次のようなことです。
 アメリカはどんなことがあっても、日本を守るとはかぎらないこと。
 尖閣で戦闘があった場合もアメリカは積極的に日本を助けないこと。
 アメリカは日本のためを思って行動しているわけではなく、常に自国の利益のために行動していること。
 そしてアメリカと中国の動きを正確に把握する情報が、いかにたいせつかということ。
 何よりも有事を発生させないようにする手立てを、日本はあらゆる方法を使って進めなければならないこと。
 さらにいえば、新安保法制の名のもとで、日本はアメリカの尻馬に乗って突き進まないようにすること。
 東アジアに永続的平和を築くための安保戦略を構築しなければならないこと
、などです。
 これはお勧めの好著です。
 
「在日米軍は日本本土を防衛するために日本に駐留しているわけではなく、韓国、台湾、および東南アジアの戦略的防衛のために駐留している」
 
言葉換えれば、在日米軍と基地は、完全に米国に戦争のためにあるということである。

著者の春名幹男は元防衛官僚にこの機密文書を見せたら、「政治家は誰も知らないでしょうが、私は気づいていました」と言ってのけたという。
 
「アメリカ側は往々にして、同盟国相手といえども、真意を隠し、米国益の追求に邁進する」
 
こんな米国に嬉々として尻尾を振るのだが、「安倍はオバマにスルーされてきた、という印象さえある」と指摘されている安倍晋三首相は、米海兵隊トップのロバート・ネラー司令官に対して辺野古新基地建設は「確固たる決意で進める」とまで言い切り基地建設に反対する沖縄県民を愚弄する。
 
戦争法案審議中にも「日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。だから日本も自衛隊が米軍を支援できるようにして日米同盟を強化しなけばいけません」と「血の同盟」論を繰り返してきた安倍晋三首相。
 
まさに『仮面の日米同盟』なのだが、こんな虚妄の下で成立させたのが戦争法である。
 
暴力的に他人の家に入り込み長年にわたり居座っていた「用心棒」と思っていた人間が、いざとなったら少しも役に立たず、無駄飯を貪っていた、ということに日本人が気付いた時にはもう手遅れであろう、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:05| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 集団的自衛権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月25日

おおさか維新の会の圧勝で軽減税率協議は官邸主導か

地続きの欧州各国に比べ隣国と接していない島国の日本では考えられない事件が起きていた。
 
つくづく、戦争ができる国の恐ろしさと危うさを感じさせる出来事である。  
 
トルコ、ロシア軍機撃墜 シリアとの国境付近 プーチン氏は強く批判
 
内乱が続くシリアをめぐる周辺諸国の関係が、イスラム国(IS)の出現によりますます複雑になっている。 
 
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【朝日新聞より】

 
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【朝日新聞より】
 
 
<ロシア軍機撃墜:プーチン大統領「ロシアは容認しない」>
 毎日新聞 2015年11月25日 05時48分
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撃墜された同型のスホイ24戦闘爆撃機=ロシア国防省提供、ロイター

 
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トルコ・シリア国境地帯で墜落する戦闘機=2015年11月24日、ゲッティ共同

 
 ◇「テロリストの共犯者に背中から撃たれた」とも
 【エルサレム大治朋子、モスクワ杉尾直哉】トルコなどからの報道によると、トルコ軍のF16戦闘機2機が24日、シリアとの国境付近でロシア軍のスホイ24戦闘爆撃機1機を撃墜した。墜落地点は、シリア北西部ラタキア付近とみられる。乗員2人は脱出したが、シリア反体制派は2人が死亡したと語った。ロシアは強く反発しており、トルコが加盟する北大西洋条約機構(NATO)との関係悪化につながる恐れが強い。
 トルコはロシア軍機が領空侵犯したと主張しているが、プーチン露大統領は「トルコ領から1キロ離れたシリア領内を飛行していた」と否定。トルコが過激派組織「イスラム国」(IS)の石油密輸ルートになっていると指摘、「テロリストの共犯者に背中から撃たれた」と、トルコを「テロ支援者」になぞらえて批判した。プーチン氏はさらに「このような犯罪をロシアは容認しない。事件は両国関係に重大な結果をもたらすだろう」と強硬な姿勢を示した。
 AP通信によると、トルコのダウトオール首相は、国際法違反の領空侵犯に対して「すべての措置を取る義務がある」と言明。トルコ軍の措置は正当だったという見方を示した。NATOは、トルコの要請を受けて大使級臨時理事会を24日夕に開くことを決めた。
 イラク駐留米軍のウォレン報道官は24日、「純粋にトルコとロシアの事件だ」と述べて距離を置く姿勢を示した。NATOとロシアの直接対決にエスカレートさせたくないという米国の思惑を反映し、慎重な姿勢を見せている模様だ。
 ウォレン報道官はさらに、ロシア軍機について「本来飛ぶべきでない空域を飛行していた」と述べた。
 トルコのアナトリア通信によると、トルコ空軍機は、領空侵犯機に対して5分の間に10回警告を出したが、領空から離れなかったため撃墜したという。
 
「イスラム国」(IS)は正式な自国領土ばどは存在せず、その拠点も至る所にあり、そこを空爆するには必ず他国の制空権内に入らなければならない。
 
だからといって「『イスラム国』の石油密輸ルートになっている」国に勝手に入ってもいいという理屈は通らないだろう。 
 
イスラム国により旅客機を墜落させられたロシアが今度はトルコに戦闘機を墜落させられたとなれば、プーチン大統領のメンツは丸つぶれとなったことは容易に想像がつく。
 
武力を簡単に行使することの恐ろしさを改めて感じてしまう。 
 
さて、オジサンにとっては不愉快な連中がマスメディアに「再び」取り上げられたことにより、一層の不快感が増す「おおさか維新の会」のW選挙圧勝の裏側である。 
 
大阪での選挙戦は、「安倍首相や菅官房長官が入らないんだから本気じゃなかった」と漏らす自民党議員がいたらしいが、一方の橋下市長も街頭演説で「安倍首相とは考えが合う」とヨイショしまくり、安倍首相―橋下市長の蜜月が強調されるばかりの選挙戦だったらしい。
 
「参院選に向け、両者の水面下の連携はますます強まるでしょう。6月に安倍首相、菅長官、橋下市長、松井知事の4者で会食した際、『憲法改正に維新が協力』ということで話ができているといいます」と事情通の某自民党議員。
 
こんな水面下での連携があったので「橋下維新の会が勝つことはとっくに分かっていた」と息巻いていたのは天木直人ブログ
 
・・・前略・・・
 分かっていながらメディアがまったく優勢を報じなかった。
 橋下優勢を報じれば反対票が増えることを恐れた安倍・菅政権がそれを封じたからだ。
 メディアから完全に封印して勝利を確実にした上での昨晩の勝利宣言だ。
 おまけに安倍自民党は大阪維新の会に対立候補まで出し、自公はおろか、民主、共産まで巻き込んで橋下大阪維新に対抗する芝居までした。
 そこまで安倍・菅政権は策を弄したのだ。
・・・後略・・・
 
simatyan2のブログ」では、今までのメディア報道記事を時系列に並べて、大阪W選挙はある程度のシナリオが出来上がっていたと得心していた。

<恐るべし、やはり大阪W選挙は仕組まれていた!!>
・・・前略・・・
今回の大阪府知事、市長のW選挙は、心理誘導と不正の2重に仕組まれていたようです。
まず、10月28日の段階で松井大阪府知事は菅官房長官に面会に行っています。
このときに新党発足後も一定の協力関係を維持する姿勢を示して、ある程度のシナリオが出来上がっていたんでしょうね。
 
菅官房長官、松井大阪府知事と会談し良好関係を強調
http://www.47news.jp/CN/201510/CN2015102801001733.html
 
つまり官邸側はダブル選で表向き維新と対決姿勢をとっていても、裏では応援していたということです。
これは31日、橋下徹が大阪市内で「おおさか維新の会」の結党大会を開いたときに菅官房長官が、
「橋下、松井両氏は覚悟を持っている」
と語り、安倍首相が、「橋下徹という政治家を放っておきたくない」
と語っていることからも容易に推測できます。
これ以外にも安倍官邸側が橋下維新をバックアップしている発言が数多くあります。
橋下新党に期待感示す菅義偉官房長官「改革姿勢の中で結成されればいい」
http://www.sankei.com/politics/news/151001/plt1510010040-n1.html
 
「自共」共闘に疑問=菅長官
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015102100676
 
安倍首相、公明党大阪に対し「橋下さんと仲良くやってください」
http://www.sankei.com/west/news/151024/wst1510240075-n2.html
 
自民支持層の54%、安倍支持層の59%が都構想復活に賛成
http://www.asahi.com/articles/ASHBV2TKBHBVPTIL002.html?iref=comtop_6_01
 
菅官房長官」「橋下さんは捨て身で政治をやって実績を上げた」
http://president.jp/articles/-/16561?page=3
 
しかも、いつもなら自民党推薦候補の陣営に、必勝を祈願する
「為書(ためがき)」
というのを、今回の大阪自民には送っていなかったのです。
 
自民推薦候補に為書送らず=菅長官
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015111300751
 
さらに公明党まで維新との全面対決回避するために自主投票にしています。
 
大阪ダブル選:公明、自主投票へ 維新との全面対決回避へ
http://mainichi.jp/select/news/20151026k0000e010212000c.html
 
これはもう大阪自民は身内の自民党含め全部を敵に廻したようなものです。
つまり「維新」「公明」「安倍自民」の大連合、対「大阪自民」の構図です。
形だけ石破、稲田、甘利、茂木などを応援演説に行かせてますがまるで力の抜けた応援演説だったんですね。
これはアリバイ作りと、「組織票の大阪自民」対「橋下維新」を印象付けるためです。
共産党のみ大阪自民を応援してましたが、これは維新支持派に攻撃材料を与える口実になったりして逆効果になったようです。
とまあ、ここまでの表向きの検証だけでも大阪自民にとってマイナス要素ばかりりです。
・・・後略・・・
 
もし上記内容のシナリオが狂ってしまえば、安倍晋三首相のこんな発言は飛び出したりはしなかったのではないだろうか。 
 
<軽減税率「税収減4000億円以内に」 首相指示、生鮮食品を対象軸>
 2015年11月24日 夕刊 東京新聞
 消費税率10%引き上げ時に導入する軽減税率制度をめぐり、安倍晋三首相は24日午前、自民党の谷垣禎一幹事長、宮沢洋一税制調査会長と党本部で協議した。谷垣氏によると、首相は軽減税率導入に伴う税収減を4000億円以内にとどめる範囲で対象品目を決めるよう指示したという。この場合、対象品目は最大でも生鮮食品と加工食品の一部にとどまる計算になる。
 谷垣氏は協議後の記者会見で、軽減税率の財源について安倍首相が「財政再建計画や社会保障と税の一体改革など今までいろいろな議論の積み重ねがあり、用意できる財源は限られている」と述べた、と説明した。対象品目の線引きなどが分かりやすい制度にすることも指示したという。
 公明党は対象品目に関し「幅広く取らないと痛税感の緩和にならない」と主張し酒を除く飲食料品(税収減は1兆3000億円)を目標に広げるよう求めており反発は必至。菅義偉(すがよしひで)官房長官は同日午前の記者会見で、社会保障と税の一体改革の枠内で議論してほしいと首相が指示した、との谷垣氏の説明に対し「枠内とは聞いていない。首相もそこまで具体的な形で指示はしていないだろう」と述べた。
 自民、公明両党は軽減税率の導入で減る税収を穴埋めする財源として、低所得者の医療費などを国が補助する「総合合算制度」の新設を見送ることで浮く約4000億円を充てることでは合意している。軽減税率で消費税率を8%に据え置く場合、財務省の試算では対象品目を「生鮮食品」とすると減収額は約3400億円だが、「加工食品」全体を対象に含めると減収額は約1兆円、菓子と飲料を除いた加工食品でも約8200億円に膨らむ。

過去の消費税税収からみれば、1%の増税で約2兆円税収が見込まれたのだが、現在の8%から10%にすれば4兆円の増収となることはありえず、あくまでも机上の計算なので実際には国内個人消費が伸びないので実際の税収増はもっと低くなる。
 
したがって軽減税率を公明党の主張通りにすれば税収減は1兆3000億円となり、財務省が認めるはずがない。
 
そうなれば、財務省の試算の対象品目を「生鮮食品」とすると減収額は約3400億円なので、公明党の顔を若干立てて600億円程減収額を増やすということで、決着を付けようとしている。
  
そして公明党が応じなければ「連立解消」というお得意の恫喝にでて、その背景には公明党がいなくても「おおさか維新の会」と連立するぞ、という「集団的自衛権容認」に向けて行われた自公の与党内協議と同じ流れを安倍晋三は念頭に置いているのであろう。
 
そもそも、軽減税率云々よりも消費税を上げなければ済む話であり、財源は大資産家に対する「資産課税」を創設して僅か数%課税するだけで賄えることになる。 
 
日本の資産家BEST10(2014年版)総資産は総額745億ドル
1位:孫正義 :184億ドル
2位:柳井正 :179億ドル
3位:三木谷浩史 :93億ドル
4位:滝崎武光 :66億ドル
5位:毒島邦雄 :49億ドル
6位:森章 :42億ドル
7位:高原慶一朗 :35億ドル
7位:伊藤雅俊 :35億ドル
9位:韓昌祐 :34億ドル
10位:三木正浩:28億ドル
 
さらに、高所得者優遇の累進課税を見直し、昔のように戻せば「軽減税率」なんてことばも出なくなるのではないだろうか、とオジサンは思う。 
 
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上場金融機関124社「役員報酬」ランキングより

posted by 定年オジサン at 12:35| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月24日

レッドカードが出された「もんじゅ」をどうして安倍政権は廃炉を決断できないのか

日本経済新聞出身の経済ジャーナリストの町田徹はこの数か月の間に原発関連レポートを「現代ビジネス ニュースの深層」に書いている。
 
8月には「東電元幹部らを強制起訴!この国の未来のために、検察がメスを入れるべき3つの『タブー』」を書き、9月には「『原子力ムラ』の良心が動き出した? 新安全評価基軸の導入を!」と書いている。
 
もっとも筋金入りの脱原発論者ではなく、本業の経済の観点からは「まるで大本営発表! 安倍首相・新アベノミクス会見はウソとゴマカシだらけ 〜政府が隠した『不都合な数字』と、消された移民問題」と、安倍政権の経済政策を以下のようにしっかりと批判していた。
 
バラ色の絵空事で支持率を得ることができたのは、3年前のアベノミクス提唱時だけだと、安倍首相は自覚すべきである。これまでのように、いい加減な発言を繰り返し続けるようでは、首相への信頼と支持率は地に落ちるだろう。
首相は、われわれの置かれている状況の深刻さと、苦難は伴うものの、その苦境を打開する道がまだ残っていることを国民に真摯に語りかけるべきである。日本再建のラストチャンスというべき時期に、首相の座についた責任を果たす道は他にないはずだ。  
 
そして、最近槍玉に挙げられている「もんじゅ」だけではなく「安全が確認できない原発」に対しても、はたして再稼働の大義があるのかと批判し、「(原発依存度を)可能な限り低減させる」という公約を遵守するためにも、もんじゅの廃炉は避けるべきと主張している。
 
<原子力規制委員会がついに「もんじゅ」にレッドカード! どうして安倍政権は廃炉を決断できないのか>
 2015年11月24日 現代ビジネス ニュースの深層
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【PHOTO】gettyimages

廃炉か、再稼働か
もんじゅ、敦賀原発、美浜原発……。
いずれも、原子力規制委員会(田中俊一委員長)がレッドカードやイエローカードを突き付けており、廃炉という選択肢が現実味を帯びている原子力発電所だ。
そろって福井県に立地しているほか、それぞれの再稼働に向けて残された猶予期間が刻々と少なくなっている点でも共通している。
ところが、安倍政権は政権を奪還して以来、原発については「安全が確認された原発は再稼働する」というワンパターンのコメントを繰り返すだけで、安全が確認できない原発に関する施策には頑なに沈黙を守っている。
とはいえ、昨年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、原発依存度を「可能な限り低減させる」と公約しているだけに、そうした玉虫色の先送りもそろそろ限界だ。
そこで、この3原発に再稼働の大義があるか、最新状況を検証してみよう。
まず、もんじゅである。この原発は、使った分より燃料を増やせる「夢の原子炉」という触れ込みの高速増殖炉だ。田中俊一原子力規制委員会委員長が今月13日、馳浩文部科学大臣に、運営主体の交代か、廃炉を含む抜本的見直しを迫る勧告を手渡した。
勧告に至った理由は、核燃料サイクルの中核技術として50年以上前から実用化を目指して開発を始め、完成から約24年の歳月が過ぎたにもかかわらず、トラブルが続出してほとんど運転していないことと、福島第一原発事故の発生を機に原発依存度の引き下げが課題になり、「2050年以降の商用化を目指す」高速増殖炉の必要性が薄れたことだ。
もんじゅは、旧原子力委員会が2012年末にまとめた見解<今後の原子力研究開発の在り方について>でも「年限を区切った研究計画を策定・実行し、成果を確認の上、研究を終了すべきである」と近い将来、お役御免にすることを求められていた。
今回、規制委員会は、日本原子力研究開発機構以外への運営主体の変更か、廃炉を含む抜本的な見直しを求めた。が、機構は日本で唯一の原子力に関する総合的研究開発機関だ。加えて、規制委員会が文科省に与えた猶予は「概ね半年程度」と短い。
このため、機構に代わる運営主体探しは不可能に近いとみられる。実際、田中規制委員会委員長が勧告の際に、「そう簡単にできるものではないと思います」と指摘しているほどだ。
田中委員長もダメ出し
これに対して、安倍首相は11月11日の国会の閉会中審査で、「(もんじゅを)国際的な研究拠点と位置付けている。速やかに課題解決に対応すべきだ」と述べ、もんじゅの存続に強い意欲をみせた。
国策を容易には覆せないというメンツと、廃炉にした場合に立地自治体に対して新たな産業・雇用対策を講じる必要があることが、存続にこだわる背景とみられる。
しかし、規制委員会は、政府が原発の安全性確立のために新設した“番人”である。その委員会が「もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと」との表現で、選択肢の一つとして廃炉を示唆した事実は、非常に重い。
しかも、田中委員長は、機構の前身にあたる日本原子力研究所・副理事長を経て、日本原子力研究開発機構の特別顧問を務めた人物だ。いわばかつての身内がダメだしするほど、機構ともんじゅには問題が多いのである。
50年前はバラ色の夢だと思われた原発が、悪夢の原発と化した今、「エネルギー基本計画」で打ち出した「(原発依存度を)可能な限り低減させる」という公約を遵守するためにも、もんじゅの廃炉は避けるべきではないだろう。
一方で、もんじゅの総事業費はすでに1兆円に達し、維持費だけで年間200億円を費消している。短期間のうちに2度も消費増税を予定するなど、財政状況が逼迫している時期だけに、大変なカネ食い虫であるもんじゅに、これ以上の無駄遣いをさせるのは大きな問題だ。
次が、日本原子力発電の保有する敦賀原発2号機だ。この原発の問題点は、規制委員会の有識者会合が今年3月に、重要設備の直下に「活断層」があるとの評価をまとめていることだ。
規制委員会は2013年7月に施行した「実用発電用原子炉に係る新規制基準(いわゆる新規制基準)」で、原発の重要設備を活断層の上に設置することを禁じている。有識者会合の評価に強制力がないとはいえ、規制委員会の新規制基準の適合性審査で重要な知見として扱われる。
つまり、この評価は、原電に敦賀2号機の廃炉を迫る最後通告のようなものだった。
原電の「危ない経営」
ところが、原電はこの評価に手続きも含めて猛反発、抗議書を提出した。そのうえで、今月5日、再稼働を目指して、新規制基準の適合性審査を申請したのだ。
ここで見逃せないのは、敦賀2号機の廃炉が、企業としての原電の存続に関わりかねないことだ。原電は福島第一原発事故の前から、敦賀2号機の他に、敦賀1号機と東海第2(茨城県)の2原発を所有していた。
このうち、敦賀1号機は営業運転の開始から45年を経ている。この原発に安全対策コストを講じると採算が取れないと判断、すでに今年4月に廃炉にした。
一方の東海第2は新規制基準の適合性審査に入っているものの、仮に審査にパスしても、東日本大震災で福島第一同様に全電源喪失に至った経緯がある。立地自治体の反発も強く、運転再開が一筋縄ではいかない原発だ。つまり、原電は保有原発の3基すべてが廃炉リスクを抱えているわけだ。
そうした中で、福島第一原発事故後、まったく発電できず経営危機に直面した。大株主である電力9社や原発メーカーの財政的支援で、なんとかここまで命脈を繋いできた。
政府は、単年度で一括計上することになっていた廃炉の会計処理を10年かけて分割計上できる仕組みを作ったり、東京電力から福島第一原発の廃炉作業の一部を請け負わせるなどの支援策を講じてきた。
しかし、まだ原電の経営安定化には不十分で、同社は敦賀第2や東海第2の再稼働にこだわらざるを得ないという。
敦賀第2のような原発の廃炉を円滑に進めるには、例えば、大事故を起こした東電による運転再開に根強い反発がある柏崎刈羽原発(新潟県)を原電に譲渡、あるいは運転委託するなどして、原電の経営の安定を図る必要があるとの見方は根強い。こうした面でリーダーシップが発揮できるかどうか、政府の指導力が問われている。
社内にも不満がくすぶっている
最後が、関西電力の美浜原発3号機だ。焦点は、原則40年に制限されている運転期間を60年に延長するための認可を規制委員会に申請しているものの、その審査が進んでおらず、来年(2016年)11月末に迫ったタイムリミットまでに認可を得られなければ、自動的に廃炉になることだ。
関電はもともと、美浜1〜3号機、大飯1〜4号機、高浜1〜4号機の合計11原発を保持していたが、今年3月、特に老朽化が進み安全対策コストがかさむ美浜1、2号機の廃炉を決めた。
高浜3、4号機と大飯3、4号機で通常の新規制基準の適合性審査の申請を進める一方で、高浜1、2号機と美浜3号機で60年に運転期間延長する認可取得手続きを進めているのだ。
規制委員会は10月27日、この中で遅れが目立つ美浜3号機を巡って、臨時会合を開催。関電から八木誠社長ら7人を呼び、その対応を質した。議事録や双方が提出した資料によると、田中委員長が「進捗にやや懸念を持っている」と述べ、審査に必要な資料の多くを関電が提出できていないことを指摘した。
これに対し、八木社長は今年6月から原子力以外の部門からも人員を回したほか、審査が進んだ高浜3、4号機担当の人員を美浜3号機にシフトする措置を取り、対応のスピードアップを目指すと釈明した。
だが、同社が古くて発電容量の小さい美浜3号機や高浜1、2号機の運転期間延長を目指すために、より新しくて発電能力の高い大飯1、2号機の適合性審査の申請を後回しにしていることは、社内外から厳しい視線を浴びている。
社内には大飯1、2号機を優先したほうが投資効率がよく、より大きな収益の確保が期待できるとの声がくすぶっているほか、同業他社からは高浜1、2号機や美浜3号機の審査に規制委員会が忙殺されてしまい、他の原発の審査が滞るとの苛立ちが募っているのだ。
地元の美浜町は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設受け入れに前向きで、関電には残された3号機の運転延長を断念して、発電所をなくすことへの抵抗が強いという。
しかし、国策として原発依存度を可能な限り引き下げることを掲げていることへの配慮や、投資の早期回収に軸足を置いた経営戦略を同社は求められているのではないだろうか。
福島第一原発事故前に、東海第一(原電)、浜岡1、2号機が廃炉に踏み切ったほか、事故後に敦賀1号機、美浜1、2号機、島根1号機(中国電力)、玄海1号機(九州電力)の廃炉が決まり、国内に現存する原発は43機に減った。
しかし、太陽光発電設備の急増で今年夏の電力需要に大きな余裕が生じたことを勘案すれば、安倍政権は「可能な限り引き下げる」と公約した原発依存度の引き下げに、十分な努力をしているとは言い難い。
 
「安倍政権は『可能な限り引き下げる』と公約した原発依存度の引き下げに、十分な努力をしているとは言い難い」どころか、原発を所有する電力会社の経営難から回避する政策にのみ努力していることは明らかである。 
 
福島第一原発の大事故から4年半以上が経ち、年が明ければ5年目に入ろうとしている。
 
廃棄物、決まらぬ行方 16.6万トン、一時保管のまま 東日本大震災5年目」 

20151124osenbussitu.jpg
宮城県登米市の農地の一画に、汚染された稲わら約194トンが一時保管されているビニールハウスが並ぶ。放射線の遮蔽(しゃへい)効果を期待して、周りには土嚢(どのう)が積まれている=17日 
 
原発から放出された放射性物質による汚染問題は農地だけではなく「福島第一 海側遮水壁1カ月 外洋流出に効果見えず」と汚染水は「完全にブロック」されているということが、まったくのデタラメであることが証明されている。

20151124fukusimaosendo.jpg 
安倍晋三の虚偽プレゼンで決まった2020年五輪招致も新国立競技場建設問題が白紙に戻され、さらには不透明な「パクリ五輪エンブレム」は白紙撤回され、24日正午から「東京五輪・パラのエンブレム募集」となるらしい。
 
米国の原子力空母の日本の首相として初めて乗船し、世界どこへでも自衛隊を送りますと米国の手先として戦争ゴッコ気分の安倍晋三首相は、5年後の五輪開会時にはもちろん「フツーの政治家」になっているだろうが、その前に国民がレッドカードを叩きつけて「フツーの人」に引きずり落とさなければならないだろう、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 11:47| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 原発関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月23日

これでは来年の参院選挙の結果が恐ろしい

サラリーマンに取っては3連休の最後の日が「勤労感謝の日」となり、家族サービスは止めて本当の休養日と決め込んでいるかもしれない。
 
しかし働きたくても様々な理由から働けない人たちから見れば「勤労感謝の日」なんてブラックジョークに過ぎない。
  
もっとも年金生活のオジサン達にとっては「勤労」していないので、少々後ろめたい気もしながら、いつもの休日を過ごす。
 
こんな呑気なことを思っていたが、先日オジサンがツイートした内容にリツイートした月刊誌『KOKKO』編集者・井上伸氏のブログの一部を紹介する。
  
「同時テロへの報復空爆でシリアの罪なき子ども4人含む市民53人を殺戮(フランスなど有志連合の5日間の空爆)、米軍ドローンによるパキスタンへの空爆で殺害された3,989人のうち965人は罪なき市民」と題して、現地の人のfacebookからこう報告している。
 
パリ同時テロ(11月13日)から1週間が経過しました。
そして、15日からフランスはシリアへの報復空爆を開始しました。
日本を含め欧米諸国のマスコミでは、パリでの同時テロについては連日詳細な報道が続いていますが、シリアへのフランスなどの報復空爆についてはまったくと言っていいほど報道されていません。なので、少し調べてみました。
Airwarsのサイトによると、フランスの報復空爆が11月15日に始まってからの有志連合による空爆での罪のない民間一般市民の死者数は以下の通りです。
11月15日 空爆による罪のない市民の死者3人
11月16日 空爆による罪のない市民の死者26人(うち子ども4人)
11月17日 空爆による罪のない市民の死者1人
11月18日 空爆による罪のない市民の死者10人
11月19日 空爆による罪のない市民の死者13人
合計 53人(うち子ども4人)
パリ同時テロに対する5日間の報復空爆で、シリアの罪のない子ども4人を含む53人の民間一般市民が殺戮されたのです。このことはなぜ日本や欧米諸国のマスコミで報道されないのでしょうか? パリ市民の130人の命と報復空爆で殺戮された罪のない子ども4人を含む53人の「命の格差」はいったいどこから来るものなのでしょうか?
 
さて、昨夜の8時過ぎからのツイッターには大阪W選挙結果に失望した多くの人たちの恨み節があふれていた。
 
累計ページビュー数が2000万に達しそうな某政治ブロガーの今朝の「きまぐれな日々」には「あまりにも予想通りだった大阪ダブル選『維新2勝』」と題した記事には、脱力感と悲壮感が漂っていた。
 
選挙前から自明ではあったが、今回の大阪ダブル選挙の結果は、国政にも悪い影響を及ぼすことは必至だ。
 かくして、「崩壊の時代」の崩壊は進む一方である。崩壊を止める目処は全く立たない。何か大きな外力が働かない限りそれは止まりそうにもないという悲観的な予想を否定することは、今の私にはできない。 
 
在京大手紙は「大阪維新、ダブル選圧勝 自民系破る 『都構想』再挑戦へ」(朝日新聞)とか、「大阪ダブル選 大阪維新、圧勝 橋下氏、影響力回復 都構想再提案へ」(毎日新聞)などと、あたかも一度潰された「都構想」が復活するかのような書き方だった。
 
しかし大阪維新の会候補に投票した人たちの代表的な意見は、「半年前の住民投票では反対票を入れたが住民投票後に何も変わらないことに不満を感じ、『自民党では駄目』と思った」と言ったところではないだろうか。
 
戦争法の強行採決という政府・自民党の横暴振りは全国的に知れ渡っており、そんな自民党が単独で候補者を立て、民主・共産が支援するという、東京とは真逆の選挙態勢だったので、まんまと橋下徹に「利権守りの野合」と激しく攻め立てられてしまった。
 
だからと言って維新候補を当選させた大阪市民の民意をとやかく言う資格は誰にもない。
 
しかしこの人がいみじくもズバリと大阪人に橋下徹の危険性を指摘していた。  


大阪はしばらくは置いといても、来年の参院選に多くの国民が注目と期待しているのが、自民党候補に対抗する野党統一候補の擁立なのだが、共産党から散々秋波を送られながらも、民主党内の「隠れ自民党派」の存在がこれを阻んでいる。
 
そして彼らの背後連中との癒着をあらためてリテラは詳説していた。 
 
<民主党解党を画策の前原、細野、長島の本音は安保法制推進! 背後に米国ジャパンハンドラーとの癒着が>
 2015.11.22 リテラ
 ここにきて、急速に民主党解党論が再燃している。発端は、11月12日に前原誠司元外相が岡田克也代表に民主党を解党して新党結成で維新の党と合流すべきだと進言したことだ。その前日の11日には、前原氏と細野豪志政調会長が維新の党の江田憲司前代表と会談し、双方の党を解党して新党をつくる方向で意見が一致したという。
 その後、岡田執行部が解党要請を拒否して表面上は収まったかのように見えているが、火種はまだくすぶっている。
 今月16日、都内のホテル(ルポール麹町)で「これが我々の野党再編・政権奪還戦略だ!」と題するセミナーが行われた。主催は今回の騒動の黒幕といわれる長島昭久元防衛副大臣で、ゲストには細野氏のほか馬淵澄夫元国交相が顔を揃えた。
 その詳報が翌日の「産経ニュース」で配信された。これを読むと、解党騒動の背景がよくわかる。この3人(とくに細野氏と長島氏)が強く主張しているのが、要するに安全保障政策については「現実的対応」をすべきだ(つまり集団的自衛権行使容認)ということと、共産党との協力はいかなるケースも「ありえない」という2点なのだ。
 発言のいくつかを拾ってみると──。
「SEALDsのデモの先頭に立つなんて論外だ」「国家の基本問題に対して、彼らが言っているような『戦争反対』で通用するはずがない」「そんなものは共産党にまかせておけばいい」「万年野党をやらせるなら共産党の右、いや“左”に出る政党はない」「ここを脱却しなければ、政権復帰は難しい」「国際的にみると、共産主義を掲げる政党がこれだけの議席を持っている先進国は珍しい」「共産党と民主党が組むという選択は明確にない」「とくに安保の問題については一線を引いていく」「共産党とは一緒にできない」「『選挙協力』はいかんと思う」
 細野氏が、民主党が掲げるべき柱として(1)内政はリベラル、(2)安全保障は現実対応、(3)そして改革──をあげ、「この3つの旗であれば、きょうは(維新の党の)石関(貴史)さんも来られているし、柿沢(未途)さんも来られていますけれども、お二人も乗れるんじゃないかと思うんです」と発言し、会場にいた柿沢氏が手で「マル」のサインを送る場面もあったという。
 表向きは「リベラルと改革」の旗を掲げて野党再編をして政権を狙うと言っているが、発言内容を見ればおわかりのとおりホンネは真逆と言っていいだろう。冒頭のニュースも解党要請というよりは、現執行部への叛旗であり、共産党との連携や安保法制廃止の動きに対する牽制なのだ。大手紙政治部記者が解説する。
「まさに民主党内のイデオロギー闘争と言っていいでしょう。主役は前原、細野、長島の3人です。彼らが恐れているのは共産党が提唱する『国民連合政府』構想が実現して、安保法制が廃止になること。岡田代表も『連合政府』には躊躇があるが、候補者調整などの選挙協力なら歓迎との姿勢を見せたことがあった。たとえ選挙協力だけでも共産党と手を組めば、安保法制廃止、辺野古反対に舵を切らざるを得ないので、それをさせないためにも、あの手この手で揺さぶりをかけているんです」
 要は、前原氏らが目指しているのは、反共産の“安保法制推進党”ということなのだ。
 前原氏自身もそのことは隠していない。今月14日の読売テレビの番組で「政権を取りに行くのであれば(安全保障政策は)現実対応すべきだ」と述べ、安保法制の廃止や撤回を考えていないことを明言している。また、共産党との連携についても「(共産党は)シロアリみたいなもの。協力したら(民主党の)土台が崩れる」と端から否定の立場なのだ。なぜ、そうなのか。
 そもそも前原氏は京大で親米現実主義保守派の理論的支柱とされた高坂正堯教授の薫陶を受け、松下政経塾を経て政治家になった人物だ。安倍晋三首相とは同期当選で議員会館も隣の部屋だったことから、安保政策では気心の知れる仲になった。2000年代の初めには自民党防衛族の石破茂氏らとも気脈を通じ、勉強会を開いて、集団的自衛権行使容認はもとより、徴兵制や核武装論にまで言及していたという。その石破氏に、やはり自民党の米田建三氏らを加えて「新世紀の安全保障を確立する若手議員の会」(新世紀安保議連)の世話人をやっていたこともある。
 彼らに共通するのは、若手議員のころからCSIS(米戦略国際問題研究所)などの在米シンクタンクを頻繁に訪れ、アメリカの超党派知日派(ジャパンハンドラー)との交流に熱心だったことだ。リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイ、マイケル・グリーンといった連中だ。集団的自衛権行使容認は彼らジャパンハンドラーの悲願だった。
 この日米ネオコンの橋渡し役を長く担っていたのが、2007年に発覚した防衛庁汚職に絡んで所得税法違反などで逮捕された秋山直紀氏だ。日米防衛人脈のフィクサーとして永田町では知る人ぞ知る存在だった。その秋山氏が専務理事を務めた社団法人「日米平和・文化交流協会」が親米ネオコン議員の溜まり場になっていたという。当時の登記簿を見ると、その一端が垣間見られる。錚々たるメンバーが理事に名を連ねているのだ。
 自民党からは安倍氏、石破氏、中谷元氏、額賀福志郎氏、久間章生氏ら、財界からは葛西敬之・JR東海会長のほか、三菱系の重役たち。米政府関係者では元国防長官のウィリアム・コーエン氏、元国務次官のウィリアム・シュナイダー氏、元駐日大使のマイケル・アマコスト氏……と、いずれも大物ぞろいだ。そして、こんな面々の中に民主党ネオコン議員筆頭の前原氏もしっかり名前を刻んでいた。当時を知る関係者は言う。
「協会が主催するフォーラムが年に2回、5月はアメリカ、11月は日本で開催されます。アメリカでの開催時にはネオコン派を中心とする日本の国会議員が大挙してワシントンを訪れ、秋山さんの手引きでシンクタンクや軍需関係企業を回ってジャパンハンドラーや安保ロビイストにコネクションをつけるんです。アメリカの側からすると、アメリカの国益を代弁させる親米派議員をつくるツールでした。その意味で、前原氏は早くから野党の親米派として取り込まれていったというわけです」
 民主党解党騒動の背後にも、やはりジャパンハンドラーの影がチラついている。
 前原氏と並ぶキーマンが長島昭久氏だ。党内右派の筆頭格で、今年6月には櫻井よしこ氏が理事長を務める極右シンクタンク「国家基本問題研究所」のホームページに「目を覚ませ、民主党!」と題した痛烈な執行部批判の寄稿を掲載した(ちなみに、前出の長島氏主催のセミナーには、過去に櫻井氏が講師として登壇している)。前原氏と同い年だが政治家としては弟分に当たる。元は自民党の石原伸晃議員の公設第一秘書で、その後、アメリカに渡りワシントンD.C.のジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で国際関係論を学び修士号を取得する。
 1997年には日本人として初の米外交問題評議会の研究員に選ばれている。米外交問題評議会は米ロックフェラー財団に支配されるシンクタンクを含む超党派組織で、アメリカの外交政策決定に強い影響力をもつと言われる。外交誌「フォーリン・アフェアーズ」の刊行元としても知られている。長島氏は、この日本人初の米外交問題評議会研究員の肩書きをウリに2003年に初当選する。その意味では、長島氏は日本の政治家というよりは、アメリカの国益のために日本の政界に送り込まれた親米派リーダー候補のひとりと言っていいだろう。
 安倍首相と同じくアーミテージ・ナイリポートの忠実な信奉者で、野党議員であるにもかかわらず安保法制の成立を喜んでいた。9月20日付のツイッターではこうつぶやいている。
〈抑止力の維持強化とともに、平和外交に徹し、この安保法制が文字通り「戦争法」でないことを天下に示さねばならない。それは、発足当時多くの憲法学者から「違憲」と断定され、国民の多くから税金の無駄遣いと罵られた自衛隊が、数十年かけて合憲の存在として国民の信頼を勝ち得たように…〉
 万一、民主党が共産党と組んで安保法制廃止や辺野古反対を言い出したら、アメリカにどんな報復をされるかわからない。だから必死にならざるを得ないのだ。
 民主党の“隠れ安保法制賛成派”には、前原氏、長島氏のようなジャパンハンドラーの手先となって動く親米ネオコン議員のほか、野田佳彦元首相(父親が自衛官)、松本剛明元外相(父親が元防衛相)のような自衛隊の利害関係者、そして極右の日本会議メンバーと大きく3つの流れがあり、多くが重なり合っている。
 本サイトの読者ならいまさら説明の必要もないと思うが、日本会議は神社本庁などの復古的歴史観を持つ宗教団体を背景とした右翼組織で、改憲や愛国心を盛り込んだ教育の実施、首相の靖国神社公式参拝の実現などを目標に掲げている。日本会議国会議員懇談会という組織を持ち、「FRIDAY」(講談社)の報道によれば安倍内閣の閣僚の19人のうち13人が名を連ねているという。
 民主党内では前原氏のほか、松原仁氏、原口一博氏、鷲尾英一郎氏、笠浩史氏、芝博一氏、金子洋一氏、渡辺周氏らが参加しているといわれる。長島氏はかつてメンバーだったが本人が「退会した」と明言している。ほぼ全員が憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認に賛成で、前原氏が主宰する党内の「防衛研究会」に名を連ねる。ちなみに、細野豪志氏も防衛研究会のメンバーだ。
 もうおわかりだろう。これが民主党の“解党”を仕掛ける連中の正体だ。彼らが党内のリベラル派を切って、「改憲・安保法制賛成」で一致する維新の党(おおさかを含む)と手を握ろうという話なのだ。
 一方、岡田代表も枝野幹事長もけっしてリベラルというわけではない。とくに岡田代表は辺野古については自身が鳩山政権の外相だった手前もあって「いまさら反対とは言えない」立場だ。TPPも賛成で、原発も一部再稼働は黙認という。党を割りたくないと言っているのは、政党助成金の内部留保の200億円にしがみついているからだ。結局、誰が残って誰が出て行っても、この支離滅裂さは変わりそうもない。
 民主党の最大の欠点は政権を担っていた時から求心力がないことだ。むしろ遠心力が働いてどんどんバラバラになっていく。しかも、党内には国民に対する裏切り者といえる“隠れ安保法制賛成派”がウジャウジャいる。だったら、いったんバラバラに解党して、リベラル派が理念の下に再結集すべきだろう。
 前原一派には自民党とくっつくなり、親米ネオコン路線を標榜する新党をつくるなりしてもらい、そうではないリベラル派は、まずは安保法制廃止と、辺野古、TPP、原発再稼働の「反対3点セット」の旗を掲げ、社民、共産、生活などと「オリーブの木」方式でしっかり選挙区調整をしてくれたほうが、有権者としてはわかりやすい。
 現実的な選挙戦への対応を考えても、サポーターが激減し、地方組織がガタガタの民主党議員にとって共産党の集票力は魅力だ。10月25日に投開票された宮城県議選で、共産党は前回の4議席から倍増となる8議席を獲得し、2議席減の5議席となった民主党を抜いて野党第1党になった。国政選挙では、2012年の衆院選で小選挙区470万票、比例区370万票だったのが、2013年の参院選は選挙区560万票、比例区520万票になり、2014年の衆院選では小選挙区700万票、比例区600万票にまで伸びている。
 自民党にかわる「受け皿」として、安保法制廃止を訴える「リベラル連合」と、ジャパンハンドラーに操られた安保法制推進(集団的自衛権行使容認)の「親米ネオコン&極右連合」のどちらがふさわしいか。選ぶのは有権者だ。
 
4年前の9月頃に「危険な政治屋−その1」で前原誠司について、こうつぶやいていた。
前原誠司の売国行為に関して今まで多くの噂と状況証拠が指摘されてきたが確固たる証拠はなかった。
しかし今回ウィリークスが公表した米外交公電を読めば、前原誠司が米国のスパイであったことをうかがわせてしまう。
叩けば埃がまだまだ出そうな前原誠司。
現在の日本で最も危険な政治屋ではないか、とオジサンは思っている。  
 
そして同年の翌10月には「危険な政治屋-その2」で橋下徹について、こうつぶやいた。
大阪で、橋下徹にこんなことを自由にやらせたならば、ますます増長し「小泉純一郎とジャイアンを足し合わせた人物」程度では済まされない、日本にとっても危険な政治屋になってしまうのではないか、とオジサンは杞憂している。
 
民主党政権崩壊と共に前原誠司は表舞台から消え、大阪都構想が住民投票で否定され橋下徹が市長を辞めると宣言したまでは良かったのだが、この時期に来てこの二人が再び頭をもたげてくると、来年の参院選が衆参同時選挙になれば自民党に大きく利することは否めない、とオジサンは思う。 

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2015年11月22日

テロ根絶は武力ではなく格差是正が必須である

1か月前には「景況感3期ぶり悪化 大企業・製造、中国減速で 9月短観」という状況であった日本の状況。
 
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2週間後には政府は経済界3団体トップに対して積極的な設備投資を促したが、「設備投資拡大、官民ですれ違い 企業『規制緩和先決』」という結果に終わっていた。
 
そして1か月後には「鈍い設備投資、景気停滞 GDP年率0.8%減、2期連続マイナス 7〜9月期」となった。

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この状況を海外メディアは「笛吹けども踊らず、国内企業は設備投資削減−安倍政権に衝撃的とも」と冷静に分析していた。
 
自らの経済政策の無策ぶりを認めようとはせず、内閣支持率上昇という目先のことしか考えられない安倍政権は、上から目線で経済界の首脳を恫喝すればなんとかなるという浅はかな発想しかなかったようである。  
 
<景気「足踏み」、急増58社 賃金伸びず消費停滞 主要100社調査>
 2015年11月22日05時00 朝日新聞DIGITAL
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 朝日新聞が今月実施した主要企業100社への景気アンケートで、国内の景気が「足踏み状態」にあるとみている企業が58社にのぼった。6月の前回調査の4社から急増した。個人消費や設備投資が力強さを欠き、今夏以降に中国経済の減速が表面化したことで、産業界に景気の停滞感が急速に広がっているようだ。
 調査は年2回で、原則として経営トップに面談している。今回は2〜13日に実施した。
 国内の景気が「緩やかに拡大している」とみる企業が前回の92社から41社に大きく減る一方、「足踏み状態」にあると判断する企業が大幅に増えた。「足踏み状態」と答える企業が50社を超えたのは2012年11月調査以来3年ぶり。第2次安倍政権下では最多だ。
 「足踏み状態」とみている58社に、そう判断する根拠を二つまで選んでもらったところ、「個人消費」が43社で最も多く、「設備投資」の15社が続いた。セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は「個人消費は停滞を始めた。実質賃金が上がっていないことが要因だ。アベノミクスは一つの壁に突き当たっている」と話す。
 個人消費の回復が鈍い理由を100社に三つまで選んでもらったところ、「賃金が十分に伸びていない」が50社で最も多く、「円安に伴う食料品などの値上げ」「海外経済の影響も含めた景況感の停滞」(ともに41社)が続いた。「医療や年金などの不安が解消されないと、給与が上がっても消費に回らない」(明治ホールディングスの松尾正彦社長)など、日本の将来への不安を挙げる声も多かった。
 15年度末の国内の景気については、現時点より「拡大の兆しがみえている」が52社で最多。先行きの懸念材料を二つまで選んでもらったところ、「海外経済の先行き」が64社で最も多く、「個人消費の停滞」(46社)を上回った。三菱商事の小島順彦会長は「海外経済の成長が鈍化するなか、輸出や設備投資の急回復は望みがたい」とみる。
 世界経済の懸念材料を一つ選んでもらう質問では、80社が「中国経済の減速」を挙げた。(大内奏)
 
安倍政権が失速してしまえば「一蓮托生」の経済界は遂に「経団連、賃上げ要請受け入れへ ベア容認も」という事態に至るのだが、所詮は上位100社程度の企業での賃上げレベルでは、とてもじゃないが個人消費の大幅な伸びは期待できない。
 
政治が最初に行うことは国民から集めた税金の最適な「再分配」なのだが、今の安倍政権は集めた税金は米国への上納金とでも思っているらしい。 
 
<米DSCA:無人偵察機3機、日本に売却へ 議会に通知>
 毎日新聞 2015年11月21日 22時06分)
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米国防安全保障協力局が、日本に売却する方針を米議会に通知した滞空型無人偵察機「グローバルホーク」=青森県三沢市の三沢基地航空祭で2014年9月7日、宮城裕也撮影
 
 【ワシントン西田進一郎】米国防安全保障協力局(DSCA)は20日、滞空型無人偵察機「グローバルホーク」3機と関連装備などを推計12億ドル(約1480億円)で日本に売却する方針を米議会に通知したと発表した。
 DSCAは声明で、日本は東アジアや西太平洋地域の平和と安定を確保するうえで米国の重要なパートナーだと指摘。19日付で議会に通知したグローバルホークの売却について、「日本の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)能力を著しく高める」と分析し、「日本が地域における脅威を引き続き監視し、抑止していくことが確実にできるようにするため役立つ」と意義を説明した。
 防衛省は「広域における常続監視能力の強化」を目的にグローバルホークの取得を目指しており、2016年度予算の概算要求では3機の購入費用として367億円を計上した。東シナ海などで活発化する中国軍の活動などが念頭にある。日米両政府は米議会の承認を経て、販売に向けた交渉を加速化させる。
 
まさに戦争ゴッコの高価なオモチャに過ぎない滞空型無人偵察機なんかは日本では全く必要としない代物であり、米軍に替わって南シナ海の監視を肩代わりするつもりなのだろうか。
 
それにしても3機で367億円にもかかわらず関連装備等を含めると1480億円になるというのは全く納得できない買い物である。
 
これだけあれば削減された多くの社会保障費が復活し多くの国民の生命が守られるということを安倍晋三は想像だにしない。
 
ところで今朝のTBS「サンデーモーニング」で日本のアラブ地域研究者で東アラブ政治やアラブ民族主義思想を専門としている青山弘之・東京外国語大学総合国際学研究院国際社会部門教授はフランスのパリでの連続テロ事件についてこんなことを言っていた。
 
「フランスには多くの移民者がいるが現在はフランス生まれの移民2世、3世の若者たちが多く、今回のテロ実行犯も皆フランス生まれであり、オランド大統領はテロとの戦争といったが、実はフランスの国内問題である」  
 
移民の子はたとえフランス生まれでも最初から差別され満足な職に就けず貧困に陥る可能性が高い。
 
今年の1月に発生したフランスの連続テロ事件から、今回のテロ事件をすでに予見していたのが双日総合研究所副所長主任エコノミストの吉崎達彦である。 
 
<テロと格差の2015年を考える>
 2015年01月23日 22:22 BLOGOS 
 大荒れの年明けです。1月7日にフランスで起きた連続テロ事件により、全世界的な緊張が走りました。最初はのんびりしていた国内も、日本人2人が「イスラム国」の人質になって空気が変わりました。今年は「テロ」問題が、重く圧し掛かる1年となりそうです。
もうひとつ、世界的に注目を集めているテーマが「格差」です。日本でもトマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)が売れ行き好調のようですが、これまた打開策の見えにくい2015年の大テーマと言えるでしょう。
「テロと格差」は、いずれも定番の問題ですが、互いにけっして無関係ではありません。いずれも「低成長で戦争のない時代」の産物であり、どんな対策が可能であるのか。国際的な論議を盛り上げていく必要があるのではないかと思います。
・・・中略・・・
●移民社会が突きつける問題
 今回の事件では、フランスという国の特殊性も無視できないものがある。同国はフランス革命以来、流血の上に多くの権利を獲得してきた歴史を持ち、それが誇りでもある。米国人漫画家から見ても過激なシャルリー・エブド紙は、単なる「表現の自由」というよりも、「信仰を風刺する権利」を命懸けで守ろうとしているかのように見える。フランス人が「教会を批判する権利」を獲得するために、どれだけの犠牲を払ってきたことか。「イスラム教徒は例外にせよ」と言われても、容易には受け入れられないのではないか。
さらに移民社会という問題がある。既にイスラム教徒が人口の7%以上を占めているといわれる。彼らに対し、「フランス語を話し、フランス文化を共有するフランス人」となるように求めているのが同国の移民政策である。そのために、「公的な場でイスラム教徒の女性のスカーフ着用を認めるべきではない」といった問題も生じることになる。
これに対し、移民の生活様式を守ったままで受け入れているのが米国や英国のスタイルである。国内に多くのエスニックグループが誕生することになるが、もともとそういう社会であるし、異文化を許容することには自信があるというお国柄である。とはいえ、今の米国で不法移民問題が深刻な政治課題になっていることはご案内の通りである。
さらに言えば、移民を積極的に受け入れるつもりはないけれども、自国の言語や文化を深く愛し、社会に溶け込んでくれた外国人を受け入れることはやぶさかではない、というのが日本式と言えよう。この方式では、人口減少を補うにはとても足りないのであるが、社会としての一体性を守ることの方を優先しているわけである。
さて、問題はフランス方式である。彼らの移民政策は表向き成功していることになっているが、そこには多くの偽善が入っていることも間違いない。往々にして移民社会は、「格差」や「差別」を「見える化」してしまう。そしてまた、移民を嫌う極右勢力も増大することになる。おそらくイスラム教徒の移民にとっては、「預言者に対する侮辱」はたくさんある不満のうちのほんの一部を占めるに過ぎないのではないだろうか。
フランス政府としては、彼らの制度が「うまく機能している」と言い続けざるを得ない。今さら米英型や日本型にシフトすることもできない。こうしてみると、文明の衝突が「フランスの漫画」で起きたのは、ある種の必然があったようにも思えてしまうのである。
・・・中略・・・
●低成長で平和な時代をどう生きるか
大きな戦争がなく、成長率も低い時代においては、経済的な格差が固定化しやすくなる。これにグローバル化が重なると移民人口が増え、宗教的対立から「文明の衝突」が起きやすくなる。結果としてテロ事件が発生したり、過激な「イスラム国」が勢力を伸ばしたりする……。
これが2015年の大問題であるとしたら、事態を解決するために大規模な戦争を起こそう、というのはもちろん論外なので、世界経済の健全性を保つためにどうやって社会の流動性を高めるかという視点が重要になってくる。
・・・中略・・・
「テロと格差」を論じるのは楽しからざる作業である。とはいえ、「低成長で戦争のない時代」とは、「大きな戦争の時代」よりもはるかにマシであるはずだ。
 
浮き彫りになったフランスの難題 国外でもテロの標的にさらされる恐れ」があるフランスは、旧宗主国としてマリをはじめ、北・西アフリカ諸国とのつながりが深く、経済的な権益も持っているのだが、少なくともフランスの移民政策は行き過ぎた「同化政策」であり、それが格差を生み出している根源になっているのではないだろうか、とオジサンは思う。 


posted by 定年オジサン at 12:31| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困と格差 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月21日

強いだけではテロには対抗できない

13歳だった1967年初場所で初土俵を踏んだ「北の怪童」。
 
出世が早く、71年夏場所に17歳11カ月で新十両、72年初場所に18歳7カ月で新入幕、74年初場所に20歳8カ月で初優勝など、当時の最年少記録を次々と塗り替えた。
 
74年名古屋場所後に果たした21歳2カ月での横綱昇進の若年記録は今も破られていない。
 
昨日(20日)朝に「北の湖理事長:貧血で休場 大相撲九州場所13日目」と発表されたが、早くも夜には帰らぬ人となってしまった。
 
昭和28年生まれで相撲界の「花のニッパチ組」(北の湖・若乃花 <2代>・麒麟児・金城・大錦)の筆頭格であった北の湖の死亡を朝食時に同じ年のオバサンに告げたら、即座にオバサンの口から「憎らしいほど強い」という言葉が飛び出した。
 
確かに今朝の新聞にも「北の湖さん死去:『憎らしいほど強い』毅然とした理事長」(毎日新聞)、「憎らしいほど強かった 激動の角界、愛した親分 北の湖理事長死去」(朝日新聞)と申し合わせたようにタイトルに書かれていた。
 
勝負の世界では「可愛いくらいに弱い」は問題外だが、「憎らしいほど強い」は最大のほめ言葉でもある。
  
ところが政治の世界では、「憎らしいほど弱腰」のお方がいる。
 
長かった通常国会が終わり、内閣改造を行い、国民の眼をくらますような経済政策をぶち上げておきながら、臨時国会を開くと野党から追及されるとばかりに国外に逃亡し続けた安倍晋三首相。
 
安倍首相、外遊ラッシュ控え人間ドック」と慶応大病院で人間ドックを受けていたという。
 
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<1カ月の半分 首相外遊 G20、ASEAN、COP21…>
 2015年11月21日 朝刊 東京新聞
20151121kokusaikaigirame.jpg 【クアラルンプール=関口克己】安倍晋三首相は20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議出席のためマレーシアに到着した。首相は11月、多くの国際会議などに出席し、1カ月の半分を海外で過ごすことになる。
 1、2日はソウルを訪問し、約3年半ぶりの日中韓首脳会談を行った。中韓首脳とは個別にも会談。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領と就任後、初の首脳会談を行った。中国の李克強首相とは、東シナ海でのガス田開発問題などを話し合った。
 13日からは、トルコ最大の都市イスタンブールを訪問し、エルドアン大統領と会談。15、16日は同国のアンタルヤでの20カ国・地域(G20)首脳会合に出席した。
 17日昼にいったん帰国し、翌18日早朝にはフィリピンに向け出発。マニラでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席した。19日にはオバマ米大統領と4月以来の日米首脳会談を行った。
 マレーシアには20日から23日まで滞在。日ASEAN首脳会議や日中韓ASEAN首脳会議、米国などを含めた東アジア首脳会議(EAS)などが予定されている。29日からは、パリで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に参加する予定だ。
 11月は毎年、世界各地で国際会議が開かれる。12月のクリスマスシーズンを前に1年間を総括する会議が開かれるためだ。
 
日本にはクリスマスシーズンは「政治休戦」なんていう習慣がないことは昨年12月の総選挙が行われたことからも明らかである。
 
ことしは年末選挙がないので日程的には十分に臨時国会の開催は可能であったにもかかわらず、政府・自民党は回避してしまった。
 
「外遊」と称して海外逃亡している総裁のおひざ元では、またもや歴史修正主義連中が世界の動きと逆行するかのような行動に出ている。
  
<自民が歴史検証組織 東京裁判など「修正主義」指摘も>
 2015年11月21日 朝刊 東京新聞
 自民党は20日の総務会で、極東国際軍事裁判(東京裁判)や占領時の憲法制定過程など過去の歴史を検証する「歴史を学び未来を考える本部」の設置を決めた。党総裁である安倍晋三首相の直属機関とする。29日の結党60年記念式典に合わせて発足させる。米国や中国、韓国などからは「歴史修正主義」につながる動きと受け取られる可能性がある。
 本部では、学識経験者を講師に招き、所属の国会議員が歴史認識を議論する。対象範囲は日清戦争(1894年)から第2次世界大戦後まで。第2次世界大戦後の連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策に限らなかったのは、戦勝国である米国などの批判をかわす狙いがある。
 あくまでも歴史を学ぶ勉強会としての位置付けにとどめ、提言も作成しない方針。本部長には谷垣禎一幹事長を充てた。
 二階俊博総務会長は20日の記者会見で、歴史修正主義との懸念について「こじつけて言えばそういうこともあるかもしれないが、立党60年、戦後70年を勘案して勉強しようということだ」と強調した。
 一方、保守色の強い稲田朋美政調会長は「東京裁判で裁かれた日本の歴史、占領期間も含めてきちんと自分たちで検証することが必要だ」と繰り返している。本部設置は従来の歴史認識に不満を持つ保守層の声を受けて決まった側面がある。
 稲田氏は東京裁判に関して「裁判を受け入れて日本は独立を回復したので、効力は認めるが、とらわれる必要はない」と主張してきた。東京裁判のやり方や判決の内容などに疑問を示すような議論になれば、米国の反発は避けられない。
 中国と事実認定が食い違う南京事件や、韓国との懸案である慰安婦問題も取り上げる予定。国会議員が自ら都合よく歴史認識を示す場になりかねず、中韓との関係改善の動きに水を差す恐れもある。 (後藤孝好)
 
「立党60年、戦後70年を勘案して勉強しようということ」がこじつけであることは誰が見ても明らかなのは、「安倍首相は歴史修正主義ではない」「東京裁判は法的に問題」と言って憚らない稲田朋美政調会長の強い要望があったからである。
 
相変わらず日本の侵略戦争が「植民地の解放のための聖戦」と思っている輩がまだまだ根強く残っている。
 
パリで起きたテロ事件に関しても、好戦メディアの産経新聞は連日、こんな煽り記事を垂れ流している。
 
テロとの戦い 強固な連帯で分断許すな」  2015.11.17 05:04(主張)
国内のテロ対策 官民で警戒水準を高めよ」 2015.11.18 05:04(主張)
『イスラム国』 壊滅へ国際連携を強めよ」 2015.11.19 05:0(主張)
 
さらには、讀賣新聞は日本が有志連合として、戦うことを強く進めているようである。
 
パリ同時テロ 『イスラム国』打倒へ結束せよ」と題した社説では、「『イスラム国』との間に対話は成立しない。空爆など軍事力行使に加え、インターネットによる宣伝戦への対抗措置など、包括的な対策を講じるしかあるまい。」と勇ましい。 
  
メディアが今回のテロ事件を奇禍として、「テロとの戦争」を煽るような報道には強く批判したい。
 
パリ同時多発テロで妻を亡くした仏人ジャーナリストが、テロリストに向けてつづったフェイスブック上の文章に、共感が広がっている。
 
憎しみの連鎖を断ち切る勇気を伝えたその内容を紹介する。 
  
<テロで妻を失ったレリスさんのメッセージ和訳全文>
 2015年11月20日01時18分 朝日新聞DIGITAL
 「君たちに私の憎しみはあげない」 
 金曜の夜、君たちは素晴らしい人の命を奪った。私の最愛の人であり、息子の母親だった。でも君たちを憎むつもりはない。君たちが誰かも知らないし、知りたくもない。君たちは死んだ魂だ。君たちは、神の名において無差別な殺戮をした。もし神が自らの姿に似せて我々人間をつくったのだとしたら、妻の体に撃ち込まれた銃弾の一つ一つは神の心の傷となっているだろう。
 だから、決して君たちに憎しみという贈り物はあげない。君たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる。君たちは、私が恐れ、隣人を疑いの目で見つめ、安全のために自由を犠牲にすることを望んだ。だが君たちの負けだ。(私という)プレーヤーはまだここにいる。
 今朝、ついに妻と再会した。何日も待ち続けた末に。彼女は金曜の夜に出かけた時のまま、そして私が恋に落ちた12年以上前と同じように美しかった。もちろん悲しみに打ちのめされている。君たちの小さな勝利を認めよう。でもそれはごくわずかな時間だけだ。妻はいつも私たちとともにあり、再び巡り合うだろう。君たちが決してたどり着けない自由な魂たちの天国で。
 私と息子は2人になった。でも世界中の軍隊よりも強い。そして君たちのために割く時間はこれ以上ない。昼寝から目覚めたメルビルのところに行かなければいけない。彼は生後17カ月で、いつものようにおやつを食べ、私たちはいつものように遊ぶ。そして幼い彼の人生が幸せで自由であり続けることが君たちを辱めるだろう。彼の憎しみを勝ち取ることもないのだから。
 
「パリにおけるテロ行為に対し、強い衝撃と怒りを覚える。いかなる理由があろうともテロは許されない。断固非難する」と怒って見せていた安倍晋三首相は、最愛の妻を失ったこのジャーナリストの言葉に謙虚に耳を傾けるべきであろう、とオジサンは思う。

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2015年11月19日

三権分立にもかかわらず司法は行政の意向に左右されるのか

2年前、安倍政権が「特定秘密保護法」の成立を狙っているという夏の頃、都内で開かれたある学習会に参加した時、講師の憲法学専門の準教授に質問したことがある。
 
それだけ憲法違反の疑いが強いのなら、なぜ憲法学者たちが違憲訴訟を起こさないのですか?
 
この質問に対しては、その講師は「訴訟で負けたらその法律が合憲とお墨付きをもらってしまうから」という、なんとも情けない回答をしていたことを思い出した。
 
その後、秋から年末にかけて激しい反対運動が盛り上がり、委員会で強行採決され本会議で採決という山場では国会周辺に深夜まで多くの反対する人々が集まっていた。
 
そして2013年12月6日に成立、同年12月13日に公布され、2014年12月10日に施行された。
 
その間、成立後の2014年3月には「2014/03/15 公安警察による『報道の検問』にNO! ?フリーランス表現者ら30人、秘密保護法の差し止めを国に提訴」した。
 
残念ながら「表現の自由と取材が制限される」と主張していた大手紙の記者たちはスルーを決め込んでいた。
 
提訴から3か月後に「2014/06/25 法の施行で「フリーランスが根絶やしにされる」危険性 〜秘密保護法違憲訴訟 第一回口頭弁論」が開かれ、原告側が意見陳述を行った。
 
意見陳述とはあくまでも原告側が訴訟に至った経緯を述べるだけであり、なんら訴訟上の証拠にはならないものである。
 
当時はかなり関心が高く東京地裁の一番大きな法廷が100名の傍聴者で満員になっていた。
 
そして9月17日、秘密保護法違憲訴訟第2回口頭弁論においては、谷口豊裁判長より「意見陳述よりも、きちんと証拠として残せる原告本人尋問という形でやった方がいいと考えられる」と提案されそれ以降原告の尋問が続いた。
 
大勢の傍聴者を前に本人尋問を促す谷口豊裁判長に当時は大いなる期待をしていたが、残念ながら昨日「<秘密保護法>違憲訴訟でフリー記者ら敗訴『取材活動が困難になったといえない』」という判決が下された。
 

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「特定秘密保護法は憲法に違反している」として、フリーランスのジャーナリストら43人が、違憲無効の確認や慰謝料などを求めて国を訴えた裁判で、東京地裁は11月18日、原告の請求を退ける判決を下した。
原告は、フリーで活動するジャーナリストやカメラマン、映画監督など。特定秘密保護法(2013年成立、2014年施行)が、「報道・取材の自由」などの基本的人権を侵害し、憲法に違反していると主張して、昨年3月に国を相手取って、提訴していた。東京地裁の谷口豊裁判長は「特定秘密保護法に関する具体的な紛争が生じているということはできない」などとして、違憲無効の確認の訴えを却下した。また、慰謝料については、「原告らの法的利益が侵害されているといえる程度に取材の困難などがもたらされているとまでは認められなかった」として、請求を棄却した。原告は判決を不服として控訴する方針。
(弁護士ドットコムニュース)  
  
地方裁判所や高等裁判所では決して「憲法判断」は行わず、違憲訴訟はほとんどが却下されているのが実情である。
 
そしてなぜフリージャーナリストだけが立ち上がったのかといえば、日本の健全なジャーナリズムを阻害する諸悪の根源である記者クラブ制度があるからである。
   
政府関係や警察関連情報はそれぞれ専門の記者クラブが仕切っており、基本的にはフリージャーナリストたちは疎外されている。
 
昨日の判決を下す法廷ではこの記者クラブを優遇する裁判所の姿勢が問題になっていた。
 
<裁判所と司法記者クラブの癒着問い 原告が抗議の退廷>
 2015年11月18日 19:00 田中龍作ジャーナル
 
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入廷前に記念撮影する原告団。=18日、東京地裁前 写真:筆者=

    
 原告が裁判所に抗議して自ら退廷する“事件”が、きょう、東京地裁で起きた。
 「特定秘密保護法は国民の知る権利を侵害し違憲である」・・・フリーランス記者ら43人が、法律の差止めを求めていた訴訟の判決が、きょう、東京地裁であった。
 判決にあたって原告は法廷(開廷前)の写真撮影を申請していた。だが東京地裁は拒否した。
 写真撮影はいつものように記者クラブだけとなった。原告のY氏がいきなり立ちあがった。
 「フリーランスに撮影させないという差別的な扱いに抗議して退廷します」。Y氏が法廷を退出すると5名のフリーランスが続いた。
 「裁判所と記者クラブの癒着だよ(それを問いたかった)」。Y氏は退廷の理由を語る。
 退廷のリーダーとなったY氏は元大手紙の記者だ。裁判所とマスコミの体質を身をもって知っている。
 法廷撮影は記者クラブだけに限られている特権だ。Y氏が指摘するように裁判所と記者クラブとの癒着の産物である。
 
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判決後の報告集会。特定秘密保護法の危険性をいち早く街頭で訴えた山本太郎議員は、裁判を傍聴し続けた。=18日、参院会館 写真:筆者= 
 
 裁判所は判決文の提供や数か月前からの期日簿の閲覧など記者クラブに便宜を図っている。
 その見返りに記者クラブは不当判決であっても批判したりしない。
『絶望の裁判所』の著者で元判事の瀬木比呂志氏は「裁判所と記者クラブは利益を共にする」と話す(2014年2月、FCCJ記者会見)。
 Y氏はここを問いたかったのである。
 フリージャーナリストは、ありとあらゆる取材現場で著しく不当な扱いを受ける。
 特定秘密保護法の下、官庁などは同法を盾にフリージャーナリストの取材を今以上に制限してくるのではないかと予想されている。
 裁判所は警察、検察と並ぶ取材制限の権化である。特定秘密保護法をフルに活用すれば、都合の悪い事柄をいくらでも隠すことができる。
 裁判所を可視化させようとしたフリーランスの抗議は大きな意味があった。
 フリージャーナリストたちが特定秘密保護法の違憲性を問うた裁判。原告の訴えは却下された。原告団は判決を不服として控訴する方針だ。
 
裁判所と記者クラブの癒着もさることながら、もっと大きな問題は訴訟を取り仕切る裁判長が、訴訟の被告となる国の意向で交代させられるということである。
 
<安倍政権が露骨な人事 沖縄「代執行」訴訟に“体制寄り”裁判官>
 2015年11月19日 日刊ゲンダイ
 いよいよ法廷闘争に突入した、沖縄県の米軍普天間基地の名護市辺野古移設をめぐる「県VS国」のガチンコ対決。国は17日、辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長知事の処分を違法として、県に代わって国が処分を撤回する「代執行」を求める行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。
 米軍基地をめぐって県と国が法廷で争うのは20年ぶり。1995年に当時の大田知事が米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否して以来だ。国は訴状で、埋め立て承認取り消しについて「日米両国で積み上げてきた努力が無に帰す」と主張。これに対し、翁長知事は会見で「基地建設は何があっても容認できない」と反論。自ら法廷で意見陳述する方針だ。ガチンコ対決の行方は司法の場に移ったわけだが、早くも“主戦場”となる那覇支部の裁判官人事で不穏な動きがあった。10月30日付で、東京地、家裁立川支部部総括判事の多見谷寿郎裁判官が那覇支部長に異動したのである。
 「前那覇支部長は『C型肝炎訴訟』や『原爆症認定訴訟』などで国の責任を厳しく指弾している須田啓之裁判官でした。新任の多見谷裁判官は大阪や東京、千葉などで勤務経験のある裁判官で、主に手掛けてきたのは住民が自治体や議員を訴える訴訟です。とはいえ、判決は住民寄りではない。成田空港用地内の農家男性に空港会社が土地の明け渡しを求めていた2013年の成田空港訴訟では男性に明け渡しを命じる判決を言い渡しています。11年に浦安市民が政務調査費の使われ方が不当として、市長と議員に返還を求めた訴訟では原告の請求を棄却している。体制寄りの判決を下す、ともっぱらの裁判官です」(司法ジャーナリスト)
 そんな“ヒラメ裁判官”が、寄りによってこのタイミングで那覇支部長に就いたのだ。県民じゃなくても「怪しい人事」に見えてしまう。なにしろ、安倍政権は憲法違反を正当化するために法の番人、内閣法制局長官のクビをすげ替えるぐらいだ。菅官房長官は「司法の判断を仰ぐことにした」なんて言っているが、本音は「多見谷裁判官よ、分かっているな」というプレッシャーがありありではないか。
 元大阪高裁判事の生田暉雄弁護士は「おそらく那覇支部の人事は国が必ず勝つための布石」とした上で、こう言った。
「今の司法は独立しておらず、行政の一部と化しています。まったくヒドイ状況だし、ますます悪くなっています」
 裁判の結果が今から見えてくるようだ。
 (現物はこれ) 
 
日本の裁判は、特に下級審である地方裁判所の裁判官は自分の判決が今後の出世に大きく影響し、上昇志向の強い裁判官は特に「ヒラメ裁判官」と呼ばれ最高裁事務局の顔色を絶えず伺って判決文を書く。
 
出世を特に望まない良心的な裁判官や退官近い裁判官らは、時には驚くような判決文を書く。
 
多見谷裁判官による2013年7月の判決に関しては当時「天神峰やぐら裁判、多見谷裁判長の訴訟指揮を弾劾」と厳しく非難されていた。
 
「沖縄県vs安倍政権」の裁判訴訟は沖縄の将来の帰趨がかかっている。
 
「ヒラメ裁判官」であろうとも、この訴訟は憲法判断を伴うというよりは「沖縄差別」という人権問題として捉えるべきであり、「裁判の結果が今から見えてくるようだ」といわれないように、まさに裁判官としての矜恃が特に問われるのではないだろうか、とオジサンは思う。  

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2015年11月18日

事実を捻じ曲げても強行するのか辺野古新基地建設

Web版の無料新聞記事は大いに参照、活用させてもらっているが、新聞の広告に関してはWeb版では確認できない。
 
したがって購読者になるか、現物を購入しなければ分からないことがある。
 
評論家とか生業的な政治ブロガーたちならば、幅広く大手各紙を購入しているかも知れない。
 
江戸っ子だった父はかなり前から讀賣新聞を購読していた。
 
オジサンは社会人になった頃から朝日新聞を購読し始めたが、10年前の正月の記事を見てから東京新聞に替えた経緯がある。
 
その後、「つぶやき」では度々登場する讀賣新聞の記事は皮肉を込めて「政府広報紙」とか「自民党第2機関紙」と呼んでいる。
 
その政府広報紙が政府に替わって、全面広告という形で毎日新聞特別編集委員の岸井成格の個人攻撃をしていたという。 
 
<違法な報道?、全面広告にびっくり>
 2015年11月15日 東芝弘明の日々雑感
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 読売新聞に全面広告が掲載された。驚くべきことに「News23」の岸井成格氏を名指しで批判する全面広告だった。「私たちは、違法な報道を見逃しません」というタイトルで書かれた全面広告は、放送法第4条を盾に岸井氏の「メディアとしても(安保法案の)廃棄に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」を「放送法第4条の規定に対する重大な違反行為」だと書いている。
理由は3点(以下抜粋)
1点目「メインキャスター、司会者が一方的な意見を断定的に視聴者に押しつけることは、放送法第4条に規定された番組編集準則に明らかに抵触します」
2点目「『メディアとしても(安保法案の)廃棄に向けて声をずっと上げ続けるべきだ』は、放送事業者全般に対して、放送法への違反行為を積極的に促す発言と受けとめざるを得ない点で悪質です」
3点目「当日の番組では、法案に賛成する第3者の意見が紹介される場面は皆無でした。それどころか「News23」は法案成立までの一週間、法案反対側の報道のみに終始しています(※1参照〔──記事の左下のグラフ〕)。下図を見れば明らかなように、余りにも一方的な時間配分です」
この全面広告の呼びかけ人は、すぎやまこういち/代表(作曲家)、渡部昇一(上智大学名誉教授)、渡辺利夫(拓殖大学総長)、鍵山秀三郎(株式会社イエローハット創業者)、ケント・ギルバート(カリフォルニア州弁護士・タレント)、上念司(経済評論家)、小川榮太カ(文藝評論家)となっており、広告は、寄附によって行ったものだと書いている。
しかし、この全面広告は、「News23」の報道姿勢を全面的に検証したものではなく、岸井氏の9月16日の発言を切り取って、批判したものだ。このような批判の仕方には、ものすごく違和感がある。ときどき「News23」を見ていたものとして、この批判の仕方はいただけないと感じる。番組は、反対運動の高まりの中で、長きにわたって法案の審議の内容を伝えていた。安全保障関連法案に対する批判がどこにあり、政府の説明のどこに問題があるのかという点で、検証しながら番組を編成していたというのが、実際の姿ではないだろうか。
安全保障関連法案は、憲法違反かどうかが鋭く問われ、憲法学者へのアンケートも行われた。圧倒的多数の憲法学者が違憲だという見解を明らかにし、最終的には元最高裁長官や元判事の3人の方が違憲だという見解を示した。「News23」はこういう内容を伝えながら、同時にこれに対する政府の説明も行い、その上で岸井氏が見解を述べるということを行っていた。「司会者が一方的な意見を断定的に視聴者に押しつける」というようなものではなかったのではないだろうか。
放送法第4条だけを抜き出して、法律違反だと論じているのにも無理がある。
放送法第1条の目的は、
「第1条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」
と規定している。
この目的は、日本国憲法の精神を具体化するものとして、読むべきものだと思われる。国民主権が根底にあって、国民への普及があり、表現の自由、国民の知る権利の保障、民主主義の発展に資することが明らかにされているのではないだろうか。
第3条は(放送番組編成の自由)を規定している。
第3条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
これを踏まえて、
放送法第4条(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。がある。
不偏不党や真実及び自律の保障によって表現の自由を守ること、放送番組編制の自由の上で、放送法第4条があることを考えると、放送法第4条だけを切り離して論じることは、論点をせばめ、意図的な結論を見いだすような感じを受ける。
このような意見広告を出して、放送のあり方に問題があるようにいい、政府の見解に批判的な報道や番組はあたかも片寄っているかのようにいうのは、恐ろしい。日本国憲法は、現代憲法なので権力の監視と権力の手を縛るものになっており、その一方で国民の権利を保障している。憲法を無視して安全保障法案を数の力で押し通そうそしていたときに、権力の暴走を批判し、国民主権の側に立って事実を伝えようとしたテレビ番組は、日本国憲法と放送法の精神に基づいて番組を編成していたのではないか。偏向どころか、放送の王道を貫いていたのではないだろうか。
 
上記の著者は和歌山県かつらぎ町の日本共産党議員なので、コメント欄にはネトウヨ連中が押し寄せていた。
 
この全面広告の呼びかけ人の中で、経済評論家の上念司は以下のような発言をしている輩であり、
  
産経新聞に「ケント・ギルバート氏『日本は天皇陛下が残ったことでまとまることができたが、米国が植え付けた自虐史観がなお…』」という記事がでているケント・ギルバートや、今年の2月11日に「2月11日は、建国記念の日―全国各地の行事にご参加を!(平成27年)」で講師を務めた文藝評論家の小川榮太カとか、2007年に慰安婦問題でワシントンポストに広告を出した一人のすぎやまこういち、といった面々なので、この全面広告の意図が安倍政権の意を汲んだものであることは明白である。
 
さて、遂に辺野古新基地建設問題では「辺野古:沖縄知事も提訴へ 国の代執行提訴受け」と「沖縄県vs日本政府」という法廷闘争に突入するのだが、沖縄県宮古島市生まれで、琉球新報論説委員長も経験しているこの人は「『二者択一は不公平』 沖縄国際大前泊教授が国の対応批判」と援護射撃をしている。
 
以前、「沖縄も、日本中の労働者もカネで支配しようとしている安倍政権」というつぶやきの中で、
国が直接支払いを明言した名護市「辺野古」「豊原」「久志」の3地区は単なる「行政区」であり、当然、議会機能は持っていないし、公的監査も期待できない。
ましてや区長も選挙で選ばれた人物でもなく単なる町内会の会長レベルだという。
そんな辺野古新基地建設賛成派の連中に今年度分で計1000万〜3000万円の「国費を投じる」ということは、まさに国が行う贈収賄ではないだろうか。 
 
と、「久辺3区」の区長たちと彼らに直接カネを渡すという安倍晋三政権を批判した。
 
そして10月10日衆院予算委員会で共産党の赤嶺政賢議員に追及されて「振興費直接交付は反対への『対応策』辺野古移設で菅氏」と答えていた菅義偉官房長官。
 
ところが「久辺3区」の内2人の区長は条件付きの辺野古容認は事実と異なることが判明した。 
 
<辺野古容認 地元2区長が否定 基地移設で政府説明と食い違い>
 2015年11月18日 朝刊 東京新聞
20151118kube3ku.jpg 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)沿岸部への新基地建設計画について、地元3区が地域振興策と引き換えの「条件付き容認」の立場に必ずしも立っていないことが、3区長への取材で分かった。2区長は「条件付き容認」を明確に否定。政府は17日、県の埋め立て承認取り消し処分を撤回する「代執行」に向けて訴訟を起こしたが、新基地建設を正当化する根拠としていた地元の理解に疑問符がついた。 (生島章弘)
 3区は、新基地建設が予定される米軍キャンプ・シュワブに接する辺野古(5月末現在の住民2014人)、豊原(同427人)、久志(同611人)各区で、合わせて「久辺(くべ)3区」と呼ばれる。菅義偉(すがよしひで)官房長官は17日の記者会見で「一番被害がかかる地元の人たちも、条件つきで辺野古移設に賛同している」と強調した。
 しかし、本紙が3区長に面会し、条件付きで容認しているのか確認したところ、辺野古区の嘉陽宗克(かようむねかつ)区長は「全然違う」、久志区の宮里武継区長は「誤解だ」と否定。宮里氏は区が以前行った移設反対決議が「まだ生きている」と強調した。豊原区の宮城行雄区長は「基地に来てほしいなんていう人は、誰ひとりいない」と話した。
 3区長は、区には新基地建設計画を止める権限はないとも指摘。国への補助金要求は、計画容認の見返りでなく、地元の意向と無関係に進められる建設工事への代償と位置づけていると説明した。建設に反対する稲嶺進市長の就任後、米軍再編交付金が停止され、地域振興予算を確保しなければならない事情も話した。
 
まさに政権の焦りと危機感が露わになっている証なのだが、東京新聞独自取材した3区の区長談話を下記に掲げておく。
  
201511183kuchoudannwa.jpg
 
同じ日本人にも係らず、米国のためなら沖縄を丸ごと犠牲にしても構わないという安倍政権の沖縄差別政策が続く限りは、沖縄の人々は最後まで闘い続けるだろうし、本土では彼らの闘争を支援するために「11.29辺野古に基地は造らせない大集会」を多くの人の参加者で成功させたい、とオジサンは思っている。



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2015年11月17日

おバカ首相に抜擢された変節女性政治屋

「嘘がつけなければ政治家にはなれない」という警句はよく耳にするが、「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉は、かなり昔から言い伝えられてきた言葉である。
 
この2つを合わせれば、「政治家は泥棒の始まり」となり、国民の負託に応えられない政治家は、まさに「税金泥棒」そのものである。
 
その昔、「わたしは決して嘘は申しません」と国会で大嘘の大見得を切って失笑を買った総理大臣がいた。
 
嘘つきは古今東西、「わたしは嘘はいいません」というから面白い。
 
最近の総理大臣では「息を吐くように嘘をつく」安倍晋三が群を抜いている。 
 
「嘘つき」と断言してしまえば身も蓋もない話になるが、古くから「変身」ではなく「変節」する政治家と称する輩が多く存在する。
 
それらは政治屋と言った方が適切であり多くは男性政治屋が多かったのだが、安倍政権になってからは女性政治屋が目立つようになっている。
 
最近では、「やはり大惨事内閣への始まりか」の中では「稲田朋美政調会長のように、カメレオンも驚くほどの変わり身の早い政治家がいる。」と紹介した。
 
辺野古移設に関する本土の常識の誤解を解く」の中では「節操がまるでない、公約やぶりの恥知らず議員の島尻安伊子」と批判した女性政治屋もいた。
 

 
さらには同じ安倍第三次内閣に新入閣した女性政治屋に丸川珠代がいる。
 
 
 
彼女は「派遣業界と癒着」しているというのが一般的な評価である。
 
国会で「日雇い派遣の原則禁止」を批判し、派遣事業は「雇用の安定をもたらす」と述べ、低賃金・不安定雇用を持ち上げていたことがある。
 
具体的には第2次安倍内閣の厚生労働政務官時代に、法令を遵守させる立場にありながら派遣会社の広告に出演し、日雇い派遣の「原則禁止」は「見直すべきだ」と発言し、派遣業界でつくる政治団体「政治連盟新労働研究会」からパーティー券を購入してもらうなど業界との癒着が発覚し、参院厚労委員会で全会一致で問責決議が可決されたことがあった。
 
そんな丸川珠代なのだが、彼女の変身ぶりを評論家の佐高信が「おバカ首相に抜擢された丸川珠代の変節」と題したコラムを3週間ほど前に書いていたことを思い出した。
 
以下、「佐高信の新・政経外科」より紹介する。
 
 前略 丸川珠代様
 面識のあるあなたが環境大臣とやらになって、おめでとうと言う気になれないのは、やはり私が偏屈だからでしょうか?
金子勝さんとあなたの共著『ダマされるな! 目からウロコの政治経済学』(ダイヤモンド社)を前に、金子さんはどう思って入るんだろうなと考えています。
 この本が出た2003年春にあなたはまだテレビ朝日のアナウンサーでした。
「女子アナは、損得が考えられなければ、務まらない仕事です。出演者でありながら会社員という立場にいる女子アナは、皆様に可愛がられてなんぼ。言いたいことを言っていればいい、というものではありません」
 当時32歳のあなたはこう書き「何でも思った通りに口にすわ、セクハラされてブチ切れるわ、おまけに、ステキな結婚の御縁もないわ、私は、間違いなく女子アナ失格です」
と続けています。
 そんな自己規定よりも問題なのは、現在とは全く違う次のような与党政治家批判でしょう。
「『自立』は素晴らしい、と奨励する政治家は、そもそもカネ勘定すら怪しいものです。なかでも危なっかしいのが『ニッポンの自立』。これ以上まだ借金つくって、軍事費にあてるんでしょうか。そんなことしたら、たちまち日本経済は崩壊です。その上、中国に反発を買って、あの巨大マーケットで出遅れたらニッポンは自立どころか、もう立ち直れないかもしれません。それでも『自立』は損得の勘定ではない、と反論するセンセイ方には、もはや国益を語る資格はないでしょう。国益こそまさに、わが国にとっての得はなにか、ということ。損得を勘定してこその国益ではありませんか。”自立の沙汰も損得から”、それもできない政治家に国家や国民の行く末を語れるはずがないのです」
 あのころの首相は小泉純一郎氏でしたが、これはこのまま、安倍晋三首相への痛烈な批判となるのではありませんか。
 

「ダマされ」たのは
金子さんと有権者

 
「有事法制やメディア規制法にうつつを抜かしている暇があったら、小泉首相には国民が不安になっている年金制度をなんとかしてほしいーー、丸川さんが言う通りですよね」
 と金子さんは答えていますが、アッという間のあなたの変身(変心)というべきでしょうか。
 しかし、あなたはこの本で、ノーベル賞を受賞した島津製作所の田中耕一さんはスゴイと言い、こんなことも書いているのです。
「なんたって20年間変節なし、ただ一筋にタンパク質の分析法に取り組んだのですから。自分の軽率な振り回されっぷりを反省し、これからはコウちゃんを見習って、わが道を行くことにします。きっとノーベル賞級の大きな幸せを掴める・・・・はず!?」
 残念ながら東大経済学部の先輩である金子さんの指導はあなたには浸透しなかったようですね。題名をもじって言えば「ダマされ」たのは金子さんであり、あなたに投票した人ということになるでしょう。あなたは、ブッシュ大統領を「あのおバカ大統領」と言っていますが、あなたを抜擢した人は、それ以上に「おバカ」なのではありませんか。
 イラクへの戦争を始めたブッシュ氏に「景気が悪くなったり、大統領のスキャンダルが発覚するたびに、アメリカが戦争を始めようとする」と批判し、「アメリカの愛国心って誰の役に立っているの」と問うあなたは、もちろん、日本の愛国心についても同じように考えているのでしょうね。提案ですが、大臣就任のお祝いのお返しにこの本を配ったらどうですか。
 
12年前の政治家になる前と現在の立場での立ち居振る舞いを比較され批判されてしまう丸川珠代には少々気の毒かも知れないが、やはり選挙前と当選後のブレというのは、有権者を騙したことになるのは事実である。
 
それにしても、今まで紹介した女性政治屋たちが活躍する社会というよりは永田町という閉鎖社会を見るにつけ、昨年9月に亡くなったこんな女性を思い出す。
 
2004年のTBS時事放談で、自民党長老の中曽根康弘に「非常に生一本な、理念を重んずる、そして真一文字に進んでいく、立派な社会党の党首だと、そういう風に敬意を表していましたね」と言われた土井たか子元社会党党首。
 
ダメなものはダメ」と、竹下内閣が導入した消費税に反対し、1989年の参議院選挙で改選22議席を倍増の26議席当選させ、参議院で与野党が逆転し「山は動いた」と表現していた。
 
あまりにも変節が激しい昨今の与党女性議員たちを、生きていればどのように叱咤するのか土井たか子に聞いてみたいものである、とオジサンは思う。 

posted by 定年オジサン at 11:00| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月16日

文明の衝突を回避するには何が必要か

その昔、画家や料理人、または音楽家などを夢見た多くの人々が、日本から遠く離れた憧れのフランスに渡った。
 
しかし今やフランスは欧州でも最も危険な国になりつつあるようだ。
 
日本時間では14日早朝に起きたイスラム国による大量無差別殺人事件。
 
短時間内で複数の場所で発生したので「パリ同時多発テロ」と今後は呼ばれそうである。
   
昨日の在京大手各紙の社説をいつものように読み比べてみた。
 
■朝日新聞「パリの同時多発テロ 許せぬ自由社会への暴力
・日本を含む国際社会は、力を合わせてその取り組みを支えたい。テロの矛先が向いているのは、フランスだけではない。明日は自国に突きつけられる問題だとの意識を肝に銘じたい。
・仏政府は昨年から、中東での軍事行動に踏み切った。米国主導の有志連合に加わり、イラクに加え、この秋からはシリアでもISを狙う空爆を始めた。
 今回がその報復であるとしたら、世界はあらためて、国境や地域を越えた地球規模の暴力の連鎖を目の当たりにしていることになる。
・日本を含む各国も、フランスの人びとの苦しみ、悲しみに心を寄せるとともに、テロなき世界への決意を新たにしたい。
 
■毎日新聞「パリ同時テロ 市民社会切り裂く蛮行
 今回のテロが声明通りISの犯行だとすれば、事件が仏以外の対シリア有志連合参加国に波及する恐れもある。ISは9月にシリアで空爆を始めたロシアにも報復テロを警告している。
 国際社会は結束して、これまで以上にテロ対策を講じる必要がある。トルコで15日から開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議でも緊急の議題になるだろう。各国が情報の共有を一層緊密にすることが求められる。 
 
■讀賣新聞「パリ同時テロ 非道な「戦争行為」は許されぬ
・オバマ米大統領は、今回のテロを、「人類全体と我々が共有する普遍的な価値への攻撃だ」と非難した。キャメロン英首相も、フランスに対し、「支援できることは何でもする」と語った。
 安倍首相は「テロ防止に向けてフランスをはじめ国際社会と緊密に連携し、取り組んでいく」と強調した。世界各国がテロ情報を共有し、出入国管理などで協調を一層深めることが肝要であ 
 
■産経新聞「パリ同時多発テロ ともに立ち向かう決意を
・オランド仏大統領は過激組織「イスラム国」による「戦争行為」だと非難した。
 主要国の首都で、無差別に罪のない人々の命を奪った卑劣な犯行だ。自由と民主主義などの普遍的価値観と相いれないテロを許すことはできない。
 オバマ米大統領は直ちに「フランスとともにテロや過激主義に立ち向かう」と表明した。安倍晋三首相が、テロの未然防止に向けて国際社会と緊密に連携する決意を示したのも当然である。 
・日本も来年は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議長国として、国内で重要な国際会議を多く予定している。
 これらの開催を万全にする備えも、テロとの戦いの一環だ。国内対策の強化と同時に、各国との情報共有に力を入れるべきだ。 
 
昨日の朝刊の時点ではテロ事件の全貌が明確になっていないこともあり、各紙とも表面的な、ステレオタイプな内容である。
 
テロ実行者やその関係者以外は、テロを称賛し支持する国や国民は世界中にいないことは確かである。 
 
テロを憎みイスラム国を非難し、危機感を世界中で共有することは当然であろう。
 
しかしテロがパリで発生した前日にも大きなテロが起きていたのだが、日本国内では大きくは報道されていなかった。
 
ベイルートで連続自爆攻撃、200人以上死傷」 
 
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「これは戦争だ」と当時のブッシュ米国大統領が叫び、「テロとの戦い」が始まりの契機となったのが2001年9月の「9・11米国同時多発テロ事件」であった。
 
そしてテロとの戦争はそれ以降、終わりのない戦争となっている。
 
戦争は侵略国がいて、それに対抗する国が存在して初めて成り立つものである。
 
そして軍事力に勝っている国が表面的な勝利を収めるはずだが、この近年、米国が仕掛けた戦争は必ずしも米国の勝利とは言い難いものが多い。
 
むしろ憎しみの連鎖を生み出し、新たなテロ集団を誕生させてしまった。 
 
しかしたとえ「イスラム国」と自称していても、国ではない相手とは戦争にはならない。
 
そんな連中を旧来の手法で絶対的な軍事力で制圧しようとしても、それは不可能である。
 
今朝の東京新聞の社説には大手紙とは一味異なる内容であった。
 
<週のはじめに考える 9・11からパリ・テロへ>
 2015年11月16日 東京新聞
 パリで起きた大規模なテロを知り、14年前のアメリカの9・11テロを思い出した人もいるでしょう。世界は何をし、また何をし損なってきたのか。 
 9・11テロのあった日、アラブ・イスラム世界の一大中心都市エジプトのカイロはどうだったか。
 電話で中産階級の知人に聞くとこうでした。
 <街路は喜びにわいている。アメリカに一撃をくれてやったということだ。アメリカはイスラエルを助けパレスチナ人を苦しめている。鬱憤(うっぷん)が晴れたということさ>
◆アラブの街路の歓喜
 アメリカの悲嘆と怒り、欧米社会のテロ非難とは裏腹にアラブ・イスラム世界の網の目のような無数の街路は暗い歓喜に満たされていたようなのです。
 欧米で憎まれるテロは、世界を異にすれば聖戦という美名で呼ばれることは、それが間違っていようがいまいが、動かせぬ事実でもあるのです。
 アメリカはテロに対しいくつもの行動をとりました。
 一つはアフガン、イラクの戦争です。ビンラディンを追うアフガン戦争は空爆であっけなく勝利したかのような印象を与えたが、今も終わらず無人機空爆は無辜(むこ)の住民の巻き添え死を招いている。
 イラク戦争は、サダム・フセインさえいなければ民主化により、自由と経済の活性がテロを締め出すという、いわば無邪気な発想で始まったものの、その泥沼化は目を覆うばかり。最悪の予想すらこえてイスラム国(IS)誕生につながってしまった。
 テロとの戦いで武力行使の必要性は否定はしませんが、机上の戦争作戦が無視したもの、あるいは過剰に軽視したものの一つは住民感情、街路の世論だったかもしれません。
 アメリカが対テロでとったもう一つの行動は、民主化運動の推進でした。それはいわゆる「アラブの春」として結実した。
◆中東学者の見る偏見
 エジプトでネット運動をした若者は米国務省の支援を受けています。民主化運動で市民の政治参加を促し、イスラム勢力の言い分も国民参加の政治の場で聞いて問題解決しようというのは正しい。
 トルコはそのモデルでした。イスラム勢力が政権を選挙でとり、経済発展もした。政教分離が国是の国で実現したのです。アラブの春は失敗と決めつけるより、なお途上と言ってもいいでしょう。今は混乱していても、民主化の道が閉ざされたわけではありません。
 アメリカの対テロ政策は、戦争は無思慮と独善のそしりは免れないとしても、全部が失敗であったとまでは言い切れません。
 アラブ・イスラム世界の専門家らは、テロによってもたらされる偏見、その偏見を利用するテロリスト、政治家たちを警戒します。
 たとえばフランスの中東学者ジル・ケペル氏は9・11後、仏紙ルモンドにこう記しています。
 <今や「9・11」のレンズを通してのみアメリカは世界を見る>(池内恵訳「中東戦記」より)
 続けて、イスラエル右派は対テロ戦争の論理を自らの利益のために流用し、パレスチナ人はイスラエル国内で自爆テロを行うことによってアメリカでのイメージ戦争に敗れる危険を冒している、と述べます。
 その通りでしょう。
 テロはテロの悪以上に悪用されもするのです。世界を善悪二元論に分けて、亀裂を深めれば深めるほど得をするのがテロリストたちです。
 冷戦後、世界的ベストセラーになった本に米国政治学者サミュエル・ハンチントン氏の「文明の衝突」があります。よく知られるように、冷戦時代の米ソ対立に代わって、冷戦後は西欧対非西欧(特にイスラム)の対立になると予見して論争を巻き起こし、のちに9・11を予想した書とまでいわれました。
 その「文明の衝突」がアラビア語に翻訳され、イスラム過激派の発行物にしばしば引用されているそうです。衝突はテロリストに好都合に違いありません。
 衝突が世界史のうえの論考だとしても、それがテロリストたちに悪用されてはならない。テロと憎悪と復讐(ふくしゅう)の負の連鎖にならぬよう世界は、私たちは、踏みとどまらねばならない。そのためには衝突とはまさに逆方向の相互理解が欠かせない。
◆戦争とテロの犠牲者と
 それはきれい事にほかならないともいわれそうですが、米欧また日本の社会がどれほどイスラム世界を理解しているのかというとどうでしょう。二つの戦争による膨大な死者と、パリのテロの無辜の犠牲者とをならべて考えることもまた必要ではないでしょうか。おおげさにいえば、世界史の中で今私たちは試されているのです。
 
サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」に関しては、学説上賛否があるらしいのだが、こんな「文明の衝突」の書評や「ハンチントンの『文明の衝突』と日本文明の役割」等を参照してもらいたい。

「テロと憎悪と復讐の負の連鎖にならぬよう世界は、私たちは、踏みとどまらねばならない。」にも拘わらず、「安倍首相、仏外相に支援約束」とあるように、フランスのファビウス外相に「日本はフランスと共にある。できることは何でもする」と支援を約束し、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長には「われわれが共有し、守ろうとする価値に対する挑戦だ。国際社会が一致して断固非難すべきだ」と強調するばかりであった。
 
「米欧また日本の社会がどれほどイスラム世界を理解しているのか」との問いに明確な回答と解決策を見出さない限りは、「西欧対非西欧(特にイスラム)の対立」が今後も「文明の衝突」という形で続くのではないだろうか、とオジサンは思う。 
 
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2015年11月15日

11・15怒りの大集会

「週刊金曜日」編集委員の一人である作家の落合恵子が同誌の「犬の遠吠え 花に風」という10月某日のコラムの中で、こんなことをつぶやいていた。
 
・・・前略・・・
 明らかな憲法違反でしかない安保法制にしても、
 川内原発1号機に続いて2号機の再稼働にしても、
 次は愛媛の伊方という前のめりぶりにしても。
 沖縄の基地反対闘争に対するこの国のやり方にしても、
 4年と7か月が経とうとしているのに、
 今頃になって汚染水の遮蔽壁云々が「ニュースになる」ことにしても。
 国際オリンピック委員会総会で「ブロック」という言葉を使ったのは誰だっけ?
 TPPはどうした!
 ひとつひとつとっても、現政権は市民の声など全く聞こうとはしていないことは自明の理。
 パブリックコメントも、一応「やりました」という極めて形式的なイベントでしかない。
 血が通う人間がやることとは到底思えない。
 強権発動ばかり、酷いもんだ。

・・・後略・・・
 
そして彼女は最後に、ほぼ同世代のアメリカの政治家アンジェラ・デービスの自伝から「壁が横に倒れると、それは橋になる」という言葉を引いて、「橋を作ろう」と結んでいた。
 
約1か月前に毎年参加している集会実行委員会から、こんな趣旨文(檄文)と集会参加の依頼がメールで来た。
 
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まさに安倍政権の悪行三昧に反対し、安倍政権それ自体を打倒そうという市民が集まる「怒りの大集会」である。
 
【スローガン】

 ●戦争法廃棄! 地球規模の日米同盟づくり反対!
 自衛隊の海外派兵反対!
 ●「集団的自衛権行使」合憲化反対! 憲法改悪を許すな!
 ●辺野古新基地建設を阻止しよう!
 ●愛国心教育の強制反対!特定秘密保護法を廃止せよ!
 ●原発再稼働反対!
 ●労働諸法制の改悪反対! 社会保障切り捨て反対!
 ●戦争とファシズムに反対する団結をつくり出し、安倍政権を打ち倒そう! 

 
今日は浅草公会堂で約1000人を集めて開かれる予定なので、オジサンもその中の1人としてこれから出かけることにする。

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2015年11月14日

目くらまし? それとも単なるガス抜きか、行政レビュー

約1か月ほど前にこんなツイッターが飛んでいた。

そして、その行政事業レビューとやらが昨日終了した。
 
<行政レビュー 目立つ踏み込み不足 評価に効率優先の傾向も>
 2015年11月14日 東京新聞
20151114gyouseireviewresult.jpg 有識者が公開の場で、国の事業について税金の無駄遣いや執行状況を検証する「秋のレビュー」が13日、3日間にわたる議論を終えた。原発関連事業など、国民の目に触れにくい分野で問題点を明示した点は評価できるが、踏み込み不足の結論も多く、評価の物差しは効率優先が目についた。無駄の自己点検は、まだ道半ばだ。 (高山晶一、篠ケ瀬祐司)
 対象事業は、脱原発を訴えてきた河野太郎行政改革担当相の意向で、全55五事業のうち原発・エネルギー関連が19を占めた。
 注目を集めたのは、使用済み核燃料運搬船「開栄丸」をめぐる問題。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)がほとんど稼働していない影響で6年間、輸送実績がないのに年間12億円の維持費が必要。
 もんじゅの使用済み核燃料の再処理研究施設として着工した「リサイクル機器試験施設(RETF)」(茨城県東海村)も、もんじゅの事故を受けて建設を中断したが、年間2700万円の維持費がかかる。こうした原発政策に伴う税金の無駄遣いが、国民の目に触れた意義は大きい。
 府省側が東京五輪・パラリンピック関連とした3事業についても、五輪との関連が薄いと結論づけ、「便乗手法」の問題点を明らかにした。
 半面、有識者の結論は踏み込み不足が目立った。
 開栄丸に関しては「契約の打ち切り」に言及する一方、コスト削減を前提に当面の使用も認めた。RETFも、別目的に改造する予算計上を見送った文部科学省の判断を追認し、コスト意識を求めただけ。もんじゅの廃止や、破綻状態にある核燃料サイクル自体の見直しなど、根源的な改革は求めなかった。
 スーパーコンピューター「京(けい)」や後継機開発をめぐっては、巨額の国費投入に見合う成果が問題になったが、企業の出資増加や納税者への説明責任を求めるにとどまった。
 今回のレビューは、基本的に事業の目的に沿って無駄を点検し、意見を述べるもの。事業自体の存廃まで判定する権限はない。政府に方針転換を促すような提言は出せなかった。
 議論の方向性自体が疑わしい場面も。13日に取り上げた「医療保険給付費国庫負担金等」は、財政再建に向けて社会保障に切り込む必要があるという問題意識から、一部有識者は「最終的には医療費の適正化になる」と医療費削減に言及。英語教育強化事業では、約3000億円を使いながら英語を話せる子どもが少ない現状が問題に。有識者から「上位5%の英語を流ちょうにするように、資源投入の仕方を変えては」との声が出たが、全体の底上げが大事という世論も根強い。
 レビューの結論は月内にまとめられ、安倍晋三首相に提出。予算編成への反映も、十分な監視が必要だ。
 
レビュー結果は他紙もほぼ同様で「河野流裁き、官邸印 矛先、五輪へ宇宙へ 『税金のムダ』検証終了」と、いった程度であった。
 
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【朝日新聞より】

 
しかしレビューにしては余りにもお粗末であり、大胆な「結論」が下せず、「強制力」もない、国民へのめくらましレビューであったらしい。
 
<まやかし「行政事業レビュー」 河野行革相で国民に目くらまし>
 2015年11月14日 日刊ゲンダイ
 3日間の日程で行われている中央省庁の予算を検証する「行政事業レビュー」。新聞・テレビは「どこまで切り込めるか」なんて持ち上げているが、これには鼻白んでしまう。事業レビューは民主党政権の「事業仕分け」のように「廃止」などの結論を出すワケでもなく、評価する有識者の指摘には何ら強制力もない。つまり、省庁側にとっては何を指摘されても屁のかっぱ。税金のムダ削減なんて到底、期待できないからだ。
「数ある事業の中で最も説明がされてこなかったのがスパコン(スーパーコンピューター)だ」
 12日は科学技術関連事業としてスパコンの「京」の開発費が取り上げられ、河野太郎行革担当相がドヤ顔で、そう強調していた。最終的に「予算削減に努力すべき」となったのだが、スパコンの「京」といえば、09年の事業仕分けでも見直し対象になり、蓮舫行政刷新担当相の「2位じゃダメなのか」というフレーズに批判が殺到した。当時の自民党議員やメディアは「科学技術を知らないシロートの発想」「中国に抜かれる」とボロクソだったが、今回はなぜか静観しているからクビをひねりたくなる。
 レビュー自体を否定するワケじゃないが、民主党政権が事業仕分けで「廃止」と決めたのに、中央省庁が後でコッソリと復活させた「ゾンビ事業」はゴロゴロある。役人ベッタリの自民党政権がバッサリできるハズがなく、予算折衝で所管大臣に突っぱねられてチョンだろう
 菅官房長官だって、そんなコトはとっくに承知しているのに、レビューで使用済み核燃料運搬船の維持費打ち切りが示されたことに対して、「極めて重要な指摘」なんて言っているから許し難い。本気で「極めて重要」と考えているなら、核燃料リサイクル事業そのものの廃止に言及すればいい。廃止すれば運搬船の維持費どころか、この先、数千億〜数兆円単位のムダが削減できる。原発を再稼働させ、核燃料リサイクル事業も継続させながら、よく言うよだ。元外交官の天木直人氏がこう言う。
しょせんは目くらましなんですよ。ムダな事業と言ったら、今の安倍政権のやっている事業はすべてムダ。社会保障費を削り、国民生活をどんどん追い込んでいる。アベノミクス自体が壮大なムダです。レビューは、支持率が落ちた安倍政権が、国民ウケのいい“行革の河野”というイメージを利用しているのです
 ムダ遣いばかりの安倍政権にムダは削減できない。
 
安倍晋三首相と菅義偉官房長官から「頑張って」「やっちゃって」と激励されたことを自ら紹介する河野太郎行政改革担当相。
 
あたかも官邸の「お墨付き」を得て事業に切り込んでいるとアピールしたかったようだが、安倍政権の看板政策の裁き方には甘さ丸出しで、地方創生を取り上げた際、「地方創生を目玉でやるなら、新型交付金をきちっと使うようにしていかないと」と強調し、地方創生で設けた新型交付金と既存事業との重複を問われると、既存事業だけを切り捨てる裁定を出す始末。
 
脱原発を訴えてきた数少ない自民党議員であるため、全55五事業のうち原発・エネルギー関連が19を占めたにもかかわらず、国民が期待しているような裁定はできなかった。
 
安倍政権の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働について「核のゴミには目をつぶり、やみくもに再稼働しようというのは無責任です」と批判してきたが、大参事ではなく第三次安倍内閣に取り込まれた途端に脱原発関連メッセージを発信していた自分のブログ「ごまめの歯ぎしり」を「メンテナンス中」として、閲覧できない状態にしてしまった日和見政治屋には期待すること自体滑稽であるということである。
 
もんじゅ最後通告 新たな運営主体探し困難 規制委勧告」と最後通牒を下された「もんじゅ」をバッサリと廃炉にすべしと宣言するような行政事業レビューならば評価はできたのだろうが、結果は予想通りの不満鬱積している国民の「目くらまし」と「ガス抜き」に過ぎなかった、とオジサンは思う。 

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【もんじゅ】

 
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【破綻しているサイクル】
 
posted by 定年オジサン at 11:52| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月13日

まだまだ政府に物申す機関がある

NHKと民放連によって設置された第三者機関がBPO(Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization)という放送倫理・番組向上機構。
 
この機関を構成する委員たちはどこから見ても政府の息がかかってはいない人たちであろう。 
 
オジサンが我が家を暫く離れた日に、BPOが「『クローズアップ現代』"出家詐欺"報道に関する意見」という意見書を公表した。
  
内容的には目新しくはなかったのだが、その公表意見書の最後の部分で総務省の介入を批判した箇所に政府が反論していた。
 
それに対してはBPOの委員長代行の是枝裕和が「『放送』と『公権力』の関係について
〜NHK総合『クローズアップ現代』“出家詐欺”報道に関するBPO(放送倫理検証委員会)の意見書公表を受けての私見〜
」という長い文章を自分のブログで発表していたが、リテラがその要約をしてくれていた。
  
<安倍政権の圧力に抗議…BPO委員の是枝監督が政治家の放送介入の実態を暴露!「BPOは政治家の駆け込み寺じゃない」>
 2015.11.07 リテラ
・・・前略・・・
 是枝氏は今回、意見書を出した放送倫理検証委員会のメンバーだが、本日7日、自身のブログに今回の意見書の私見を綴っている。
〈僕の予想が正しければおそらく当事者であるNHKはともかく、他局のニュースの多くは意見書の中で述べられた「重大な放送倫理違反があった」という委員会の判断について大半の時間を割いているのではないでしょうか。(といっても2、3分のことだとは思いますが)〉
〈僕の危惧が杞憂に終わっていれば良いのですが、この2つ目の指摘(編集部注:公権力による放送への介入について)がいろいろな思惑からメディア自身によってスルーされるのではないかという不安からペンをとることにした次第です〉
 まず是枝氏は、放送法第1条2号「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」を取り上げ、1950年の衆院電気通信委員会における綱島毅電波監理庁長官の発言を引き、〈第1条は放送従事者に向けられているのではなく政府(公権力)の自戒の言葉であることを、政府自らが明らかにしているんですね〉と解説する。
〈なぜそんな自戒の規定が必要だったかと言えば、それは放送という媒体がその成り立ちや電波という物理的性格からいって公権力の干渉を招きやすいメディアであるからなのです。敗戦の5年後にこの議論が行われていることに注目しなくてはいけません。つまりは「公権力」と「放送」が結託したことによってもたらされた不幸な過去への反省からこの「放送法」はスタートしているわけです〉
 また、もっとわかりやすいようにと、是枝氏は放送法の条文をこのように現代訳する。
「我々(公権力)の意向を忖度したりするとまたこの間みたいな失敗を繰り返しちゃうから、そんなことは気にせずに真実を追求してよ。その為のあなた方の自由は憲法で保障されてるのと同様に私たちが保障するからご心配なく。だけど電波は限られてるから、そこんとこは自分たちで考えて慎重にね」
 安倍首相は今年3月3日の衆院予算委員会で、昨年末自民党が在京テレビに「選挙報道の公正中立」を要請する“圧力”文書を出したことを問われ、「不偏不党な放送をしてもらいたいのは当然だ」と語っている。だが、この現代訳を読めば、いかに安倍首相が厚顔無恥であるかがよくわかるというものだ。
 そして、是枝氏は、〈安易な介入はむしろ公権力自身が放送法に違反していると考えられます〉と述べ、この放送法を〈公権力も多くの放送従事者もそして視聴者も逆に受けとってしまっていること〉が〈一連の介入が許し許されている〉と考察。その上で、あたかも報道の原理原則のように語られる「両論併記」や「中立」といった言葉にも切り込む。
〈公権力はあたかも当然の権利であるかのように「圧力」として、放送局は真実を追求することを放棄した「言い訳」として、「両論併記」だ「中立」だなどという言葉を口にする事態を招いているのです。
 作り手にとって「不偏不党」とは何よりもまず、自分の頭で考えるということです。考え続けるということです。安易な「両論併記」で声の大きい人たちから叩かれないようにしようなどという姑息な態度は単なる作り手の「思考停止」であり、視聴者の思考が成熟していくことをむしろ妨げているのだということを肝に銘じてください〉
 臭い物には蓋をして「両論併記」でその身を守ることは、ただの思考停止にすぎない──。この是枝氏の指摘は、テレビに限らず、新聞や雑誌などのメディアにも当てはまる重要な問題だ。圧力を恐れるより前に、権力による介入を断固許してはならないし、なによりまず「知る権利」を死守する、その使命をメディアは忘れてはならないのだから。
 しかし、他方の権力側は「テレビなんて放送法で簡単に黙らせられる」と言わんばかりに我が物顔をしている。是枝氏も、現状の異常事態をこう綴る。
〈近年BPOには政治家や政党から、番組内で自身や自身の主張が一方的に批判されたり不当に扱われており放送法に定められた「政治的公平」に反しているといった異議申し立てが相次いでいます。自分たちを批判するコメンテーターを差し替えろなどといった番組内容に直接言及するような要求までなされています〉
 このような身の程知らずの態度に、是枝氏はずばり〈BPOは政治家たちの駆け込み寺ではありません〉と断言。そして制作者たちに、いま一度、再考を促すのだ。
〈「批判を受けた」放送人が考えなくてはいけないのは、批判の理由が果して本当に公平感を欠いたものだったのか?それとも政治家にとって不都合な真実が暴かれたからなのか?その一点につきるでしょう。後者であるならば、まさに放送法に記されている通り、誰にも邪魔されずにその「真実」を追究する自由は保障されていますし、BPOもそんなあなたの取り組みを全面的に支持するでしょう〉
 BPO意見書と同様、是枝氏の“私見”は非常に真っ当な見識だ。第三者機関としての役割を果たそうとするBPOの今回の意見書は全面的に支持したいが、問題は、政権側が今後“BPO潰し”を本格化させる可能性が強まったことだろう。
 というのも、今年4月、自民党の川崎二郎・情報通信戦略調査会会長は、「テレビ局がお金を出し合う機関できちんとチェックできないなら、独立した機関の方がいい。BPOがお手盛りと言われるなら、少し変えなければならないのかなという思いはある」と発言。自民党はBPOに政府が関与する仕組みにしようと検討する方針を固めたのだ。つまり、政府が個々の番組に口を挟める体制をつくってしまおう、と画策しているわけである。今回、BPOが政権に対して「圧力そのもの」と批判したことで、この動きがさらに強まることは必至だ。
 もしもBPOが政府機関になれば、お手盛りどころか、放送の自由は完全に失われることになる。戦後に放送を開始したテレビは戦争協力を経験していないメディアだったが、テレビが言論弾圧に加担する日は、そう遠くないのかもしれない。
(水井多賀子)
 
最近「政治的」というレッテルによって政府にとって不都合な言動を批判したり自粛させたりする風潮が強まり、さらに「不偏不党」という言葉で自民党に対する批判を封じるかのような動きが露骨になっている。
 
たとえば「政治的中立」という言葉に関しては、若きライターが「『政治的中立性』という言葉にビビりすぎている」と題したコラムの中でこう言っていた。
 
政治的ではない学問とは一体どこにあるのか、ご教示願いたい。日頃の講義で、教授が見解を述べ、生徒が反応する。こうして持論を大勢に投じること、引き受けて学ぶことは、常に政治性を帯びているのではないか。特定の思想を強いるのは問題だが、誰かが持つ思想を投じることを安易に手放しすぎではないか。
*
「政治的中立性」という言葉に慣らされることでその手の事態が頻発していないか。「中立性」にビビる、って、その言葉がもはやフラットではないことを教えてくれる。政治的中立性が、思考を停止させるスイッチになりつつある。この言葉で増殖する自粛を真に受けすぎてはいけない。
 
安倍晋三首相が「不偏不党な放送をしてもらいたいのは当然だ」という言い方は、まともな政党がまともな政治を行っている場合には正当性があるが、明らかに民意を無視した政策や違憲と指摘されている法律を押し通す政府・与党にはそのような資格はない。
 
それを正すのがマスメディアの本来の使命なのだが、「両論併記」メディアが蔓延れば情報の受け取り手の国民は真の問題点を正確に把握することは困難になる。
 
こんな風潮にまともに批判したのが今回のBPOの意見書だったのだが、時の人になった感がある川端和治委員長は大手マスメディアのインタビューを掛け持ちするほどであった。
 
毎日新聞では「NHKやらせ疑惑:総務相の行政指導批判 BPO委員長『表現の自由縛る』」と語り、朝日新聞のインタビューでは政治介入を批判していた。
  
<「放送法根拠に政治介入」批判 BPO川端委員長インタビュー NHK番組問題>
 2015年11月13日05時00分 朝日新聞DIGITAL
20151113kawabatabpoiincho.jpg 放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会の川端和治(よしはる)委員長は12日、朝日新聞のインタビューに応じ、「放送法を根拠にした放送への政治介入は認められない」と改めて主張した。NHK「クローズアップ現代」の放送倫理違反を指摘した委員会の意見書で、政府や自民党を批判したことに対し、安倍晋ログイン前の続き三首相や高市早苗総務相らから反論が相次いでいた。
 ■法は事業者の「倫理規範」
 安倍首相や高市総務相は放送法の規定は行政処分の根拠になる「法規範」だとして、BPOの意見書を批判した。一方、BPOは、放送法は放送事業者が自らを律する「倫理規範」だとして対立している。
20151113jimintouhanron.jpg
 
 川端委員長は「放送法が倫理規範であるということは、ほとんどの法律学者が認めている」と説明。一方で、「元々(放送免許の許認可権を持つ)総務省、旧郵政省が行政指導をしてきたのは放送法に法規範性があるという考え方からだから、立場の違いがあることは十分承知していた」とした。
 「倫理規範」と解釈する理由について、法が成立した経緯をあげる。「戦前の日本の言論統制に対する反省から、政治権力が直接規制を加えることがあれば、表現の自由を保障する日本の憲法のもとでは問題があるという意識は皆持っていた」。1950年に放送法が国会に上程された際の趣旨説明をあげ、「『放送番組に対する検閲、監督等は一切行わない』と述べていた」と説明する。
 BPOは2009年、総務省がBPOの結論を待たずにTBSの番組に厳重注意したことに対し、委員長談話で「懸念」を表明した。その後6年間は行政指導が「パタッと止まった」という。今回の行政指導に「談話を境に出なくなったのに、また出たので非常に懸念を持った。BPOに任せて見守ろうという立場に戻ってほしい」と話す。
 自民党の事情聴取について安倍首相が「(NHKの)予算を国会で承認する国会議員が事実を議論するのは当然」と反論したことには、「私がコメントする問題ではない」としつつも、「番組の内容によって予算変えるんですかね」と皮肉った。さらに、政府・自民党が介入する場合の問題点を「放送の現場の意欲をそぎ、萎縮させてしまう」と改めて主張した。
 自民党にBPOも呼ばれたらどうするのか。「実際に起きた時にならないと決められない。ただ我々は、政党にいちいち説明をして回るような機関ではない
 BPOは、法律家、ルポライター、漫画家など専門性を持った委員が集まる。川端委員長は弁護士で企業コンプライアンスなどに詳しく、07年の放送倫理検証委員会発足以来委員長を務めてきた。「委員に共通するのは、日本の表現の自由を守ろうという思い。政治権力からの事実上の圧力で放送局が萎縮して、国民が本当に知りたい情報が伝わらなくならないように、と考えている」と語った。
 ■解釈、政府や自民と対立
 BPOが政府・自民党を批判したことについて、上智大の音好宏教授(メディア論)は「放送の自主自律を守るBPOとしては当然のこと」と話す。
 BPOと政府・自民党は放送法をどう位置づけるかで意見が対立しているが、「放送法の4条にある『報道は事実をまげないですること』などの放送番組基準は倫理規範だというのが定説」と説明する。もし放送の内容を制約する定めだとすると、表現の自由を保障する憲法21条に違反することになるからだ。
 一方で国も、放送法を根拠に行政処分ができるとの立場をとりつつ、番組内容への介入には慎重だった。1972年、当時の広瀬正雄郵政相は参院逓信委員会で番組への行政指導について「効果の少ないものであり、いろいろ弊害を伴う」と答弁している。
 政治の介入が強まるきっかけとなったのが、93年の「椿(つばき)問題」。テレビ朝日の報道局長が非自民政権が生まれる報道をするよう指示したとされ、放送免許の不交付が検討された。以後、厳重注意など放送局への行政処分が増えていった。
 NHKと民放は2003年、政治介入を避けるため放送倫理上の問題に自主的に取り組むBPOを設立。07年には放送局への「調査権」などを付与した放送倫理検証委員会を新設し、機能を強化した。
 ただ、青山学院大の大石泰彦教授(メディア倫理)は「表現の自由の主体であるテレビ局が、BPOという用心棒の陰に隠れてしまってはいないか。表現の自由を守る役割までBPOに外注されては困る」と指摘する。
 (星賀亨弘、佐藤美鈴)
 
先に紹介したリテラの記者の最後の〆の「もしもBPOが政府機関になれば、お手盛りどころか、放送の自由は完全に失われることになる。戦後に放送を開始したテレビは戦争協力を経験していないメディアだったが、テレビが言論弾圧に加担する日は、そう遠くないのかもしれない。」という問いかけが杞憂に終わればよいのだが、余りにも政府批判が完璧にスルーされる昨今のテレビ界を見れば、すでに無言の言論弾圧が始まっているのかもしれない、とオジサンは思う。 

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2015年11月12日

敵に塩なのか「新9条」論議

昨日、出先から帰宅して5日ぶりに「東京新聞」を読んだ。
 
1面には大きく「北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手」と独自取材によるスクープ記事が掲載されていた。
 
本来のジャーナリズムの神髄だと言えよう。
 
しかし「本音のコラム」に目が移ったとたん点になった。 
 
それを伝えるツイッターが以下である。


たしかに10月14日付け「こちら特報部」の紙面に「平和のための新9条論」と題打って、小林節、伊勢崎賢治、今井一の3人による憲法9条の改正案が特集報道されたという内容はオジサンの記憶にも残っているが、その時には対して興味もなく内容も精読していなかった。
 
さっそく「新9条」でネット検索してみると、「世に倦む日日」による批判文章があった。 
 
東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」
  2015-10-19 23:30 
先週(10/14)、東京新聞の「こちら特報部」の紙面に「平和のための新9条論」と題打って、小林節、伊勢崎賢治、今井一の3人による憲法9条の改正案が特集報道された。解釈の余地を政権に与えないため、専守防衛の自衛隊を明確に位置づけるための新9条の制定だと紹介されている。記事を企画編集した記者の署名は、中山洋子、池田悌一、佐藤圭。冒頭の説明に「安倍流の改憲を許さないための新九条である」とあり、東京新聞がこの提案を積極的に肯定し推進していることが分かる。今井一の新9条案には、「わが国が他国の軍隊や武装集団の武力攻撃の対象とされた場合に限り、個別的自衛権の行使としての国の交戦権を認める」とある。伊勢崎賢治の新9条案にも、「個別的自衛権を行使するため、陸海空の自衛戦力を保持(する)」とある。
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完全な明文改憲だ。小林節はもともと生粋の改憲論者であり、従来からの主張なので驚くには当たらない。他の2人についても、この明文改憲は以前からの持論なのだろう。最初に言っておかないといけないことは、この主張の中身が、ずっと前から9条改定を目論む保守派によって唱えられてきたものと同じで、小沢一郎の「普通の国」の所論と同じだということだ。戦争と軍隊を放棄した9条を止揚する。自衛隊を憲法に正式に位置づけ、個別的自衛権を明確に認める。「普通の国」になる。まさしく、自民党など改憲派の本筋がこれであり、憲法を現実に合わせる立場の基本がこれだった。
これら改憲派の面々が、この9条改正論をこの機に打ち出して国民的議論にしようという思惑は理解できる。不可解で面妖なのは、それを東京新聞が担いで「こちら特報部」でキャンペーンした事実である。東京新聞の「こち特」と言えば、まさに現在のこの国の左翼リベラルを代表するマスコミ言論の象徴であり、多くの市民が信頼を寄せて注目する情報源だ。共同の配信で全国の地方紙に掲載されていて、ここ数年、反動政治に抵抗する言論の拠点として人気を集めてきた。40年前の朝日の論説のような位置だろうか。この新9条論が、朝日の紙面でプロモートされたのなら、まだ話は分かる。5月に池澤夏樹が全く同じ主張を試みて、時節が安保法案が審議入りする直前だったため、護憲派の警戒感を刺激して非難囂々の結果となった。東京新聞より右寄りに立つ朝日が、こうした「左折の改憲」へ世論を誘導する動機は頷ける。しかし、護憲派の急先鋒と思っていた東京新聞がこのような挙に出るのは、想定していない意外きわまる出来事だった。記事を見るかぎり、明らかに東京新聞はこの意見と運動を肯定していて、読者をこの改憲の方向に導いている。「新9条」などと巧妙な表現で化粧しているが、3人と編集部の主張は9条の原理原則とは全く異なるもので、それを真っ向から否定する反動の論理に他ならない。戦後一貫して、親米保守派が実現に狂奔してきた改憲論の中身そのものである。
・・・中略・・・
70年間、憲法前文と9条を変えずに守り抜いた。非武装が平和憲法の核心であり、戦後日本人の理想であったことを、東京新聞は肝に銘じなくてはならない。
東京新聞と3人の論者は、現行憲法と現実との間に乖離がありすぎるから、どんどん解釈で法制を暴走させ、憲法をなし崩しにされてしまうのだと説明する。9条を変えて自衛隊と個別的自衛権を認め、集団的自衛権を禁止すれば、条文の縛りが効いて政権による勝手な解釈を止められると言う。だが、本当にそうか。仮に3人の言うとおりに憲法9条を変えたとして、解釈や政策がそこから先に転がらないという保証がどこにあるのだろう。例えば、今回の集団的自衛権にしても、政府与党は、フルの集団的自衛権と限定的な集団的自衛権という詭弁を開発し、砂川判決で自衛権を認めたから合憲だなどという卒倒するような荒唐無稽なこじつけ論法を繰り出してきた。憲法を破壊する勢力が政権に就けば、どんな無理な詭弁工作でも平気で断行するし、積み重ねた法制局の解釈体系を壊滅させてしまう。今井一らの新9条で最も危険なのは、容認された個別的自衛権の範囲が広がることであり、歯止めをかけられなくなることだ。例えば、在留邦人の安全を保障するという任務が個別的自衛権の論理で正当化され、自衛隊が(侵略戦争に)出撃する大義名分になる。戦前はそのようになり、満蒙は帝国の生命線だと喧伝され、自衛の名目で侵略戦争が無限に中国大陸に拡大した。現時点で、すでに朝鮮半島有事は個別的自衛権行使の範囲という了解になっていて、その言説が左右を超えた常識になてしまっている。これまでは、憲法9条(戦争と武装の放棄)が歯止めになっていた。
現実と距離の甚だしい憲法だからこそ、為政者の歯止めとして機能した。それゆえ、アーミテージは憲法9条を自分たちを邪魔するバリケードだと呪い、その除去をマスコミを使って扇動してきたのだ。どれほど自衛隊を普通の軍隊にし、米軍の指揮下で戦争させようとしても、憲法9条が明文で掲げられている以上、その歯止めの効力は大きくて、どうしても自衛隊は縛りをかけられ、逸脱させるのに限界があったのである。東京新聞の明文改憲の方向を選ぶことは、アーミテージのバリケードを左翼リベラル自らが撤去することを意味する。今回、こうして、左翼リベラルの側から9条改正の提起が出たことに、言いようのない恐怖と不快を私は覚える。25年前の「政治改革」を思い出す。小選挙区制導入は自民党の悲願で、50年代のハトマンダーから70年代のカクマンダーまで、戦後の保守派が虎視眈々と狙ってきた制度変革の獲物だった。保守派だけが推進したのなら、「政治改革」を潰すことはできたのである。ところが、山口二郎と後房雄が左から扇動し、岩波と朝日が先頭に立って左を切り崩す工作を仕掛け、まさかと思った小選挙区制が実現してしまった。消費税も同じで、左が結束して抵抗を続けていれば、8%への引き上げは阻止できていた。やはり岩波と朝日が賛成に回って旗を振り、山口二郎と神野直彦と宮本太郎が調略作戦を担当し、湯浅誠が政府の広告塔となって「社会保障のための財源」と「広く薄く分かち合い」のプロパガンダを吐き、左が切り崩されて押し切られてしまった。
同じパターンで政治戦に完敗した。今回、不気味なのは、左翼リベラル界隈の機関紙のような東京新聞が、9条改正を正面から提起し、「普通の国」への移行を主導し始めたことである。左翼リベラルの売れっ子の想田和弘も、この佞悪な動きに早くから加わって明文改憲の世論工作をリードしていた。自衛隊と個別的自衛権を認める中身で9条を変えること、この改憲路線は、現時点で維新・民主・生活の3党で一致できるものだ。公明も喜んで乗ることのできる。左からの初めての本格的な改憲策動に寒気と目眩を禁じ得ない。
 
上記のブログ主は、新9条案は完全な明文改憲であり「この主張の中身が、ずっと前から9条改定を目論む保守派によって唱えられてきたものと同じで、小沢一郎の『普通の国』の所論と同じ」であり今さら議論の俎上に乗せるほどではないのだが、東京新聞がそのような改憲派の思惑をあたかも「担いで『こちら特報部』でキャンペーンした事実」が「想定していない意外きわまる出来事」であり「言いようのない恐怖と不快」を覚えたという。
 
日米同盟を堅持し集団的自衛権を積極的に推奨していた長谷川幸洋という論説委員を擁する東京新聞が、「左翼リベラル界隈の機関紙のよう」と過分に持ち上げられてしまうと、東京新聞もこそばゆい気持ちになったことであろう。
 
「この新9条論が、朝日の紙面でプロモートされたのなら、まだ話は分かる」と太鼓判をおされた朝日新聞はさっそく「『左折の改憲』へ世論を誘導する」記事を書いていた。 
 
<「新9条」相次ぐ提案 憲法論議に第三の視点>
 2015年11月10日05時00分 朝日新聞DIGITAL
  戦争放棄などをうたう憲法9条を、新たな姿にしようという提案が相次いでいる。米軍基地や自衛隊のあり方を見直して条文に反映し、平和主義の理念をより進めようとする考え方だ。憲法や安全保障を取り巻く状況の変化が影響しているようだ。
 1990年代の評論『敗戦後論』で知られ、戦後日本とは何かをめぐる議論を長年リードしてきた文芸評論家の加藤典洋さんが先月、新著『戦後入門』で新9条案を提起し、注目されている。従来〈9条は変えない方が望ましい〉との立場だったが、今回初めて改正案を提起した。
 加藤さんの9条案には次のような内容が含まれる。陸海空の戦力は一部を国土防衛隊、残りは国連の待機軍とし、交戦権を国連に委譲する▽外国の軍事基地は許可しない――。
 「米国との同盟から、国連との同盟へ。そう転換するよう呼びかける9条案です」と加藤さんは語る。
 この10年間に見えてきた米国の衰退や中国の台頭という国際状況の変化と、対米追従の姿勢を強めつつ復古的な改憲に向かう安倍政権の登場などが、発想を後押ししたという。
 「米軍基地や安保法制の問題を通じて顕在化されたのは、主権国家として米国と対等に交渉できない日本の姿でした。もはや、『9条と米軍基地をセットにして成り立ってきた戦後日本の形』を根本的に見直す作業に着手するしかない」
 国連平和維持活動(PKO)や武装解除の実務経験のある東京外大大学院教授の伊勢崎賢治さんは今年、在日米軍やPKOの実態を踏まえた提案をした。9条のおかげで紛争地でも日本に協力が得られる、として護憲派だったが、「実態をはっきりさせないといけない」と考えた。
 まず、日米地位協定を改め、在日米軍基地が日本以外の国での武力行使に使われないようにする。そして、集団的自衛権は行使しない▽個別的自衛権の行使は日本の施政下の領域に限定、などと9条に記す。
 「在日米軍も規制して初めて『日本は戦争をしていない』と言える」と伊勢崎さん。近年のPKOは武装勢力への対処も迫られるが、「やってはいけないことはやらない」と規定、武力行使が必要なPKOには参加しない。「9条を子どもにも言える大義名分にするんです」と話す。
 出版社の書籍情報社代表の矢部宏治さんも昨秋、著書『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』で、憲法に外国軍基地を許可しないと書き込むべきだと主張。作家の池澤夏樹さんは今年4月、本紙コラム「終わりと始まり」でこの案を紹介し、「左折の改憲を考えるべき時かもしれない」と記した。
 映画作家の想田和弘さんも護憲の立場だったが、9月に、ウェブサイト「マガジン9」に連載しているコラムで、集団的自衛権は禁止すると明記して「恣意(しい)的な解釈」ができない新9条の制定を提案した。
 個別的自衛権と集団的自衛権も認められて9条は「死文化した」。一方、安保法制の議論で「立憲主義」が注目され、「安倍政権のおかげで、主権者としての意識が目覚めたのではないか」と想田さん。このタイミングを「チャンス」とし、新9条について議論を呼びかけている。
 平和主義を守る改憲を主張した先例に、評論家の田原総一朗さんがいる。2001年の9・11テロ後の自衛隊海外派遣を機に護憲派から、自衛隊の存在や最低限の自衛権行使を認める「護憲的改憲」派になった。
 新9条案について田原さんは、「日米関係や日本の防衛力の現実を見れば、簡単ではない」と距離を置く。特に集団的自衛権については、新しい安保法制での武力行使の新3要件は厳しく、現状では憲法で禁止するまでもない、と考える。「米国との関係が大事。何もしなくても、やり過ぎてもいけない」
 憲法論議は、「平和国家」の根幹を形づくってきた規定は維持し続けるべきだという護憲派と、「防衛軍」などを規定して「普通の国」にしようとする改憲派の間で主に繰り広げられてきた。第三の選択肢ともいえる新9条案は、憲法を改めて考える契機になりそうだ。
 
東京新聞も朝日新聞も「新9条」論に関しては、複数の記者の署名記事であり、社説による自社の主張ではないことは、言うまでもない。
 
社説以外の記事では、基本的に賛否分かれるテーマについては両陣営の主張を併記することが常である。
 
しかし朝日新聞の上記の記事は「護憲」でも「改憲」でもない第三の選択として「創憲」を一切の批判無く紹介しており、朝日流のプロモートなのであろう。
 
硬派弁護士の澤藤統一郎はブログ「澤藤統一郎の憲法日記」で真っ向から「新9条論」を批判していた。  
 
<「新九条論」は連帯への配慮を欠いた提言として有害である> 
 2015年10月23日
10月14日付東京新聞「こちら特報部」が「平和のための新九条論」を大きく取り上げた。今井一、小林節、伊勢崎賢治らの名を上げて、専守防衛に徹する自衛隊の存在を明記した新九条案を紹介している。個別的自衛権も交戦権も軍事同盟も容認を明記した新憲法を制定しようというのだ。
「憲法の条文に照らして自衛隊合憲論は欺瞞であるとし、歴代政府も護憲派もその欺瞞性を逆手にとられた」とするところから、条文と現実との乖離を最小化して「解釈の余地を政権に与えない」憲法を制定しようとの発想だという。
「自衛隊も安保も容認」したとされている共産党の国民連合政府構想が、「新九条論」者を勢いづかせている一因になってはいないだろうか。気がかりで警戒すべき事態と言わざるを得ない。
東京新聞は、リードで「安倍政権の暴走に憤る人たちの間からは、新九条の制定を求める声が上がり始めた。戦後日本が平和国家のあるべき姿として受け入れてきた『専守防衛の自衛隊』を明確に位置づける。解釈でも明文でも、安倍流の改憲を許さないための新九条である。」と言っている。肯定評価という域を超えて、この方向に意見と運動を誘導しようという意図が見える。
しかし、東京新聞のこのリードはおかしい。「新九条の制定」とは、明文改憲にほかならない。当然に明文改憲を拒否し解釈改憲も許さないとしたのが、今回の戦争法反対の世論であり運動であった。今、この時点で、唐突な明文改憲の主張は明らかに政権側に塩を送る動きである。安倍流でなければ「明文改憲けっこう」とはあまりに、短絡的な発想。「戦後日本が平和国家のあるべき姿として受け入れてきた『専守防衛の自衛隊』」との速断も安易に過ぎる。
・・・中略・・・
ところで、戦争法成立の今、なぜ「戦争法廃止」に集中するのではなく、「新九条論」の提起なのだろうか。
今回の安倍流解釈改憲への反対運動は、「自衛隊は違憲、安保も違憲。自衛権の発動としても一切の武力行使はできない」という伝統派護憲陣営(A)と、「自衛隊は合憲、安保も合憲。集団的自衛権の行使は違憲だが、個別的自衛権の行使としてなら武力行使は可能」という旧来の保守本流の専守防衛陣営(B)との連合だった。A陣営は、B陣営との連携のために、Bの主張を前面に押し出した。安倍政権と自公両党が、現状を大きく変えようと強権の発動をしている以上、現状を維持しこれ以上悪化させないためにはB論で一致することとなる必然性があったからだ。その逆の連携のあり方は非現実的で、あり得ることではなかった。一見すると(A+B)の全体が、あたかもBの見解で統一されたかのごとき観を呈したが、実際にはA陣護憲派は、その見解を留保していたのだ。
共闘とは、小異を捨てて大同に就くこと。自説を曲げることでも捨てることでもない。A陣営の多くが、安倍流の解釈改憲に対抗するための有効な運動体形成のために、一致点を前面に立てていたということを深く認識すべきである。これまでのこととしてだけでなく、これからの「戦争法廃止」「明文改憲反対」を中心とする運動にも重要なこととして。
新九条論は、B陣営の一部の心ない動きである。A論に配慮するところなく、A論を真っ向否定したB論での明文改憲提案なのだから。運動の統一や連帯に配慮を欠いた独走というほかはない。
私見では、今井案も伊勢崎案も「普通の国の普通の憲法」に過ぎない。保守派が大喜びで、こぞって賛成するに違いない。こうして、具体的な修正案に照らすと九条の価値が浮かび出る。九条の価値は飽くまで理想としてのその存在自体にある。この理想を貶めるあらゆる明文改正案が光を失う。これ以上の新九条論の跋扈なからんことを願う。九条については、理想を堅持しつつ、営々と現実を理想に近づける努力を重ねるべきことが大切なのだ。性急な明文改憲など愚策でしかない。

まさに「九条については、理想を堅持しつつ、営々と現実を理想に近づける努力を重ねるべきことが大切」ということが本筋であろう。 
 
ひょっとすると、上記の中でA陣営の代表が共産党であり、B陣営は小林節慶応大学教授かもしれない。
 
そして、本来は「自衛隊は違憲、安保も違憲。自衛権の発動としても一切の武力行使はできない」という見解を留保してまでも、共闘を呼びかけた共産党を無視する民主党を暗に批判しているかのようである。
 
「護憲の立場だったが、9月に、ウェブサイト『マガジン9』に連載しているコラムで、集団的自衛権は禁止すると明記して『「恣意(しい)的な解釈』ができない新9条の制定を提案した」映画作家の想田和弘は、同コラムの最後ではこんなことを言っている。
 
もちろん、そのような「新9条」を制定するには、極めて困難なハードルがある。まずは新9条に賛同する議員を多数当選させ、国会の3分の2を占めなければならない。そして国民投票を発議させ、私たち主権者の過半数によって承認されなければならない。このプロセスには、順調にいったとしても非常に膨大な時間と政治的エネルギーが必要であろう。しかし、私たちは自分たちの力で、主体的かつ民主的に「新9条」を制定する努力をすべきだと思うのだ。それこそが、日本の立憲主義と平和主義を守るための、唯一の道だと思うのだ。でなければ、自衛隊を自由に海外派兵したがっている勢力が、その趣旨に沿った改憲を仕掛けてくるのを、私たちは防ぐことができないと思う。
 
そもそも、新9条を制定する困難なハードルを乗り越える努力ができるのなら、安倍政権を倒し、一連の閣議決定を破棄して、第一次安倍政権発足前の状況に日本を「取り戻す」ことが先決ではないだろうか、とオジサンは思う。

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2015年11月11日

時間の幻惑 David C. Royの世界−6

電気などのエネルギーを一切使わない "ゼンマイ仕掛け" の木製彫刻。
 
"後ろの羽根" を押さえたまま "前の羽根" を回転させることで巻き上げ、最新の作品「Dimensions」ではたった1回の巻き上げで40時間以上、その他のものでは5-15時間も駆動する。

過去30年間で150もの作品を作ってきたアーティストのデヴィット・C・ロイ (David C. Roy)は、ボストン大学で物理の学位を修め、運動力学と彫刻に魅せられたというだけあって、アインシュタインが言った "時は一定でなく、個々は異なる時間軸を生きている" という時間の不思議を感じさせてくれる。
 
今日は出かけています。
 
つぶやきはお休みしますが、代わりにDavid C. Royの不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」の作品を紹介します。
  
【時間の幻惑 David C. Royの世界−6】

 
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2015年11月10日

時間の幻惑 David C. Royの世界−5

時間の幻惑とでもいえばいいのだろうか、不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」。
 
たった1回の巻き上げで5-15時間も駆動するという。

過去30年間で150もの作品を作ってきたアーティストのデヴィット・C・ロイ (David C. Roy)は、ボストン大学で物理の学位を修め、運動力学と彫刻に魅せられたというだけあって、アインシュタインが言った "時は一定でなく、個々は異なる時間軸を生きている" という時間の不思議を感じさせてくれる。
 
明日まで出かけています。
 
つぶやきはお休みしますが、代わりにDavid C. Royの不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」の作品を紹介します。
  
【時間の幻惑 David C. Royの世界−5】

 

 
 
 
 
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2015年11月09日

時間の幻惑 David C. Royの世界−4

時間の幻惑とでもいえばいいのだろうか、不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」。
 
たった1回の巻き上げで5-15時間も駆動するという。

過去30年間で150もの作品を作ってきたアーティストのデヴィット・C・ロイ (David C. Roy)は、ボストン大学で物理の学位を修め、運動力学と彫刻に魅せられたというだけあって、アインシュタインが言った "時は一定でなく、個々は異なる時間軸を生きている" という時間の不思議を感じさせてくれる。
 
水曜日まで出かけています。
 
つぶやきはお休みしますが、代わりにDavid C. Royの不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」の作品を紹介します。
  
【時間の幻惑 David C. Royの世界−4】

 

 

 
 
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2015年11月08日

時間の幻惑 David C. Royの世界−3

時間の幻惑とでもいえばいいのだろうか、不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」。
 
たった1回の巻き上げで5-15時間も駆動するという。

過去30年間で150もの作品を作ってきたアーティストのデヴィット・C・ロイ (David C. Roy)は、ボストン大学で物理の学位を修め、運動力学と彫刻に魅せられたというだけあって、アインシュタインが言った "時は一定でなく、個々は異なる時間軸を生きている" という時間の不思議を感じさせてくれる。
 
水曜日まで出かけています。
 
その間はつぶやきはお休みしますが、代わりにDavid C. Royの不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」の作品を紹介します。
  
【時間の幻惑 David C. Royの世界−3】

 

 

 
 
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2015年11月07日

時間の幻惑 David C. Royの世界−2

時間の幻惑とでもいえばいいのだろうか、不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」。
 
たった1回の巻き上げで5-15時間も駆動するという。

過去30年間で150もの作品を作ってきたアーティストのデヴィット・C・ロイ (David C. Roy)は、ボストン大学で物理の学位を修め、運動力学と彫刻に魅せられたというだけあって、アインシュタインが言った "時は一定でなく、個々は異なる時間軸を生きている" という時間の不思議を感じさせてくれる。
 
週末は出かけています。
 
戻るのは来週の水s曜日を予定しています。
 
その間はつぶやきはお休みしますが、代わりにDavid C. Royの不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」の作品を紹介します。
  
【時間の幻惑 David C. Royの世界−2】

 

 


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2015年11月06日

時間の幻惑 David C. Royの世界−1

時間の幻惑とでもいえばいいのだろうか、不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」。
 
たった1回の巻き上げで40時間以上も動き続ける最新の作品「Dimensions」。
 
その他のものでも5-15時間も駆動するという。

過去30年間で150もの作品を作ってきたアーティストのデヴィット・C・ロイ (David C. Roy)は、ボストン大学で物理の学位を修め、運動力学と彫刻に魅せられたというだけあって、アインシュタインが言った "時は一定でなく、個々は異なる時間軸を生きている" という時間の不思議を感じさせてくれる。
 
今日から夫婦で家を離れます。
 
戻るのは来週の水曜日を予定しています。
 
その間はつぶやきはお休みしますが、代わりにDavid C. Royの不思議な「ゼンマイ機構の壁掛け」の作品を紹介します。
  
【時間の幻惑 David C. Royの世界−1】

 



 
 
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2015年11月05日

寄って集っても文殊になれなかった ’もんじゅ’

『動燃二十年史』には、「もんじゅ」「ふげん」の由来について、「文殊、普賢の両菩薩は、知慧と慈悲を象徴する菩薩で、獅子と象に乗っている。それは巨獣の強大なパワーもこのように制御され、人類の幸福に役立つのでなければならない」と書かれていた。
 
そして「ふげん」は2003年3月29日に運転を終了ののち廃炉手続きに入っており、日本原子力研究開発機構原子炉廃止措置研究開発センターによる廃炉作業が行われている。
 
この「ふげん」と「もんじゅ」について今朝の東京新聞「筆洗」でこう説明されていた。
 
白象は、普賢菩薩(ふげんぼさつ)をその背に乗せる霊獣だ。しかし英語でホワイト・エレファントといえば「始末に困るもの、金のかかる厄介物」という意味になる▼その昔、タイでは王様が気に入らぬ家来に白い象を与えたという。神聖な生き物でしかも王からの贈り物となれば、いくらエサ代がかさもうが手放すこともできずに、家来は破産に追い込まれる。使い道がないのに維持費がやたらかかるもの。それがホワイト・エレファントである▼普賢菩薩にあやかって命名された日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」は、「開栄丸」という白い象をお持ちだ。この炉から出た使用済みの核燃料を運ぶ船なのだが、ここ6年近く一度も運んでいないのに、59億円が維持などに費やされたという▼さらに大きな白い象は、文殊菩薩から名をいただいた高速増殖原型炉「もんじゅ」だ。こちらは20年前に深刻な事故を起こして以来、ほとんど動いていないのに、年に百数10億円もの維持費がかかる▼しかも、それほどの費用を使いながら、原子力機構はまともに点検すらできない。さすがに原子力規制委員会は、もう機構には任せられないと断を下した▼そもそも10兆円を投じても先が見えぬ核燃料サイクルという事業自体、飛び切り大きなホワイト・エレファントだろう。私たちはいつまで、エサ代を払い続けなくてはならぬのか。
 
どうやら「もんじゅ」に対して「エサ代」を払い続けることは許されない状況になってきた。
  
1995年のナトリウム漏洩事故以来、金食い虫と批判され続けた「高速増殖原型炉もんじゅ」。
 
当時の事故に関しては「もんじゅ事故 シュレッダーで粉々にされていた現場写真」という記事では、当時の「もんじゅ」の幹部らによる隠蔽工作が赤裸々に報告されている。
 
まさに胡散臭い代物なのである。
  
一昨日は「もんじゅ改善『手詰まり』 規制委、機構を聴取 対応批判」という記事がでていたが、さらに事態は進んできた。
 
<もんじゅ廃炉へ現実味 核燃料サイクル計画破綻>
 2015年11月5日 朝刊 東京新聞
20151105monjyucycle.jpg 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉が現実味を帯びてきた。原子力規制委員会は点検漏れ問題で文部科学省に対し、信頼できる運営主体を探すか、安全対策を抜本的に改善するかを勧告する。どちらかを実現しないと、廃炉は避けられない。もんじゅは国が推進してきた核燃料サイクル計画の中核的な存在。なくなれば、10兆円をつぎ込んできた計画は名実ともに破綻する。 (小倉貞俊、榊原智康)
 規制委は4日、現在の運営主体の日本原子力研究開発機構では、停止しているもんじゅの保全管理もできておらず、運転は任せられないとの判断を下した。
 かつて「夢の原子炉」とうたわれたが、20年以上も前に造られ、稼働期間はわずか250日。冷却材に爆発的燃焼の危険性が高いナトリウムを使い、維持費もかさむ。機構は20年前のナトリウム漏れ事故以降、甘い管理体制を改善する機会は何度もあったが一向に進まない。まだ待てというのか−。
 規制委の委員五人は全員一致で、文科省への勧告という重い決断をした。
 核燃サイクルは、一般的な原発系と高速炉系の2系統で、使用済み核燃料を再利用する計画。10兆円が投じられてきたが、どちらの循環も回るめどはない。原発で核燃料をMOX燃料として再利用するプルサーマルは、海外で製造した燃料を使って一部始まったが、使用済みMOXをどうするのかは白紙。もんじゅがなくなれば、高速炉系の「輪」は名実ともに消える。
 もんじゅの新たな担い手を半年以内に見つける必要に迫られる文科省は「運営主体は幅広くいろいろなことを検討していきたい」(高谷浩樹研究開発戦略官)と話す。
 考えられる担い手には、(1)文科省所管の別の研究開発法人(2)機構から独立したもんじゅ部門(3)民間の原子力事業者−などがあるが、どれも難しい。
 原子炉の運転経験は絶対に必要な条件で、単なる機構内の看板の掛け替えでは規制委が納得しない。
 文科省幹部は「日本原子力発電(原電)は、もんじゅの次につくる実証炉を受け持つ予定だった」と原電の名を挙げつつも、「不備だらけの現状で、もんじゅを受け取る経営判断をするだろうか」と話す。
 来週にも勧告の具体的な内容が決まり、文科省に出される。これまでの経過からすると、文科省からは中途半端な回答しか出てこないこともあり得る。中途半端で認めれば、規制委の存在理由が問われる。
 一方、文科省の回答を不十分とし、もんじゅの廃炉まで踏み込めば、昨年4月のエネルギー基本計画で核燃サイクルの維持ともんじゅ存続を打ち出した政府の方針と対立する。
 4日の記者会見で、田中俊一委員長にあらためて覚悟を問うと、「(核燃サイクルを)どうするかは国の政策マター(問題)で、私たちがどうこういう話ではない。申し上げているのは、もんじゅの安全の問題への懸念だ」と述べた。
 
20151105monjyukongonougoki.jpg
 
原発の稼働と使用済み核燃料を再利用する計画とは表裏一体であり、「プルサーマル計画」が頓挫すれば当然、今後の政府の原発利用政策にも大きな影響をあたえるのだが、原発推進メディアの今回の原子力規制委員会の勧告に対する記事からみてみた。
 
政府広報紙は社説で「もんじゅ勧告へ 核燃サイクル継続へ正念場だ」とのタイトルで、
一般の原子炉とは異なり、もんじゅは、ナトリウムを冷却材に使う特殊な炉だ。新たな担い手を探すのは容易ではあるまい。
 規制委の勧告決定は、廃炉の可能性を含めて、文科省に厳しい対応を迫る内容と言えよう。
と「廃炉」という言葉を使うほど危機感をもっている。
 
同じく原発推進メディアの産経新聞は、「安全軽視の体質を“断罪” 福島の事故背景に規制強化」という記事の中で、
機構の経緯を振り返ると体質は万全だったとは言い難い。平成7年に配管からナトリウム漏れ事故を起こした際には、機構の前身となる動力炉・核燃料開発事業団が、現場のビデオで都合の悪い部分を編集でカットしたり、ビデオそのものを隠したりして、その隠蔽体質が批判されていた。(原子力取材班)
と、原子力取材班が運営主体の日本原子力研究開発機構を厳しく批判していた。 
 
財界の声を反映する日本経済新聞でも「もんじゅは廃炉も視野に体制を見直せ」と題して、
高速増殖炉でプルトニウムをつくっても、通常の原発で燃やす計画は見通しが立たない。日本が余剰プルトニウムをもつことに国際社会の懸念もある。実用化できたとしても経済性は未知数だ。
 原発への依存度もこれから低下する。こうした状況の変化を踏まえて、高速増殖炉が本当に必要なのか改めて議論すべきだ。 
と、極めて否定的な悲観的な論調だった。
 
20151105kongonomonjyu_mainiti.jpg
【毎日新聞より】

 
釈迦如来の脇侍として、 右側に白象に乗った普賢菩薩を、そして左側には獅子に乗った文殊菩薩が配置されているが、中でも文殊菩薩は仏の智慧(般若)を象徴する菩薩であり、「愚かな者でも三人集まって相談すれば文殊菩薩のような良い知恵が出るものだ」という諺を生んでいる。
 
しかし、社会心理学者で東北大学大学院文学研究科の大渕憲一教授は、学術の世界と市民をつなぐ情報誌「まなびのめ」の中で「心理学的には集団が個人より賢明とは言えない」ということをインタビューに対して答えていた。
 
“三人寄れば文殊の知恵”は心理学的には疑問
 ・・・前略・・・
集団の決定は個人の決定よりも正しいと思われがちですが、これは社会心理学の研究によれば否定されています。集団の意思決定は、個人の決定よりも慎重ではない方向、リスキーな方向に流れる傾向にあります。集団では、リスクを軽視した楽観的で景氣の良い意見が出ると、迎合が起こるからです。
 仮に「同じくらいの賢さ」の人が五人いたら、議論はしても、最後の決定は一人でした方が間違いが少ないことが、実験や研究から明らかになっています。“三人寄れば文殊の知恵”という言葉がありますが、社会心理学的には大いに疑問です。もちろん、情報を集めて分析するには人数が多い方が有利でしょう。しかし決定は別です。合議制による決定は個人の決定に質で劣るだけでなく、責任の所在という点でも問題が大きいのです。これは政治体制や企業をはじめとする、日本の多くの組織が持つ弱点でもあると言えるでしょう。
 
2020年の東京五輪にむけて新国立競技場の建設問題に関しては、多くの利害関係者らが集まった組織で決定してしまい、建築費用が膨大し、結果的には、様々な思惑があったにしろ白紙撤回に追い込まれた。
 
主管官庁は文科省であった。

「すでに10兆円も投資したのだから、いまさら後には引けない」といった声がでることが予想されるが、これは例えてみれば、バクチで大負けした人間がさらにカネをつぎ込み蟻地獄に陥るということになる。
  
高速増殖原型炉もんじゅも最終的な主管元は文科省であり、「運営主体は幅広くいろいろなことを検討していきたい」と言っていたが、検討することは必要だが、問題はステークホールダーを集めた有識者会議で決めようとすれば、また同じ過ちを犯すことになり、最終決定は最高責任者が行うことが望ましいのだが、その人物が「賢者」ならまだしも「愚者」ならば、またもや悲劇が繰り返されるかもしれない、とオジサンは思う。 

   
posted by 定年オジサン at 11:50| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月04日

左手の痺れと首の痛みの原因が分かった

先月「満身創痍に近づいてきた」の中で、以下のようにつぶやいた。
 
そのためお定まりのMRI検査となったが担当医の診察期日に合わせて撮影日が今日となった。
あの時、広がって見えた脊柱管が再び狭くなっているのか、それとも痺れの原因は全く別の個所にあるのか。
どのような結果であろうとも、いまさらジタバタする年齢ではないので、覚悟はできている。 
 
そしてMRI撮影の結果が明らかになった。 
 
首の頸椎には2か所の異常部分があった。
 
ひとつは、頸椎の変性で椎間板がすり減って、2つの頸椎の隙間が狭くなっている。
 
20151104keituihenka.jpg
 
上記の写真はこの大学病院に保存されている過去のMRIの写真で左から2007年、2009年、そして2015年の今年の頸椎の状態で、段々と隙間が狭くなっているのが分かる。 
 
そして骨の形もとげとげしくなっていて、この骨の辺縁がとがっている部分を骨棘(こつきょく)というらしい。
   
もう一つが、椎間板ヘルニアで腰のヘルニアで手術して良くなった人は多く知っているが首の場合は手術は困難らしい(若い担当医は自信がなさそうであった)。
 
20151104mrikeitui.jpg
 
医師の見立てでは、5番目と6番目の間の椎間板によって、神経の通り道が障害され第6頚神経が障害されているという。
 
第6頚神経が圧迫されて障害を受けると、親指から腕の前側に痺れが生じるので、左手の親指と人差し指の痺れの原因らしい。 

当然、もはや手術は困難なので、今後の治療は薬によって痛みや炎症を抑えたり、末梢神経の神経障害性疼痛を抑制し、さらに末梢神経の神経障害を改善するために3種類の薬が処方された。
 
病院の帰りに近くの薬局で処方箋に基づいた2週間分の大量の錠剤を購入しさっそく帰宅後ネットでそれらの薬の詳細をしらべてみた。
 
【製品名】
 ノイロトロピン錠4単位
【一般名】
 ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤
【効 能】
 炎症による痛みや腫れを和らげるお薬です。
【重大な副作用】
 * 肝機能障害、黄疸 (いずれも頻度不明) AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
【その他の副作用】
 過敏症(注1) (0.1〜5%未満) 発疹 過敏症(注1) (0.1%未満) じんま疹、そう痒 消化器 (0.1〜5%未満) 胃部不快感、悪心・嘔気、食欲不振 消化器 (0.1%未満) 下痢・軟便、胃痛、口渇、腹部膨満感、便秘、口内炎、胃重感、胃部膨満感、腹痛、放屁過多、消化不良、胸やけ、胃のもたれ感、胃腸障害、嘔吐 精神神経系 (0.1%未満) 眠気、めまい・ふらつき、頭痛・頭重感 その他 (0.1%未満) 全身倦怠感、浮腫、熱感、動悸、皮膚感覚の異常
 
【製品名】
 リリカカプセル25mg
【効 能】
 過剰に興奮した神経を鎮め、痛みを和らげます。帯状疱疹後神経痛の治療に用いられます。
【副作用】
 浮動性めまい393例(23.4%)、傾眠267例(15.9%)及び浮腫179例(10.7%)であった。(承認時までの調査の集計) 糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛 国内二重盲検比較試験、国内長期投与試験において、本剤150〜600mg/日を1日2回で投与された安全性評価対象例302例中199例(65.9%)に副作用が認められた。
 傾眠74例(24.5%)、浮動性めまい68例(22.5%)及び浮腫52例(17.2%)であった。(承認時までの調査の集計)
 脊髄損傷後疼痛、脳卒中後疼痛及び多発性硬化症に伴う疼痛 脊髄損傷後疼痛患者を対象とした国際共同二重盲検比較試験及び脊髄損傷後疼痛、脳卒中後疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛を対象とした国内長期投与試験において、本剤150〜600mg/日を1日2回で投与された安全性評価対象例215例中165例(76.7%)に副作用が認められた。
 傾眠87例(40.5%)、浮動性めまい43例(20.0%)及び浮腫40例(18.6%)であった。(承認時までの調査の集計) 線維筋痛症 国内二重盲検比較試験、国内長期投与試験において、本剤300〜450mg/日を1日2回で投与された安全性評価対象例356例中295例(82.9%)に副作用が認められた。
 傾眠141例(39.6%)、浮動性めまい98例(27.5%)及び体重増加56例(15.7%)であった。(承認時までの調査の集計)
【重大な副作用】
 めまい、傾眠、意識消失があらわれ、転倒し骨折等に至ったとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止又は減量するなど、適切な処置を行うこと。
 心不全(0.3%未満)、肺水腫(頻度不明注)) 心不全、肺水腫があらわれるとの報告がある(特に心血管障害を有する患者)。心不全のリスクがある患者では、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
 腎不全があらわれるとの報告があるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血管浮腫等の過敏症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
 低血糖があらわれることがあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、意識障害等の低血糖症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
 間質性肺炎があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
 アナフィラキシーショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
 皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
 
【製品名】
 メチコバール錠500μg
【一般名】
 メコバラミン製剤
【効 能】
 骨髄が赤血球をつくるために、又、末梢神経に障害を起こさせないために大切なビタミンB12製剤です。ビタミンB12の欠乏による病気を予防したり、ビタミンB12の不足で起こる、いろいろな病気を治療するお薬です。
【副作用】
 総症例15,180例中、146例(0.96%)の副作用が報告されている。食欲不振、悪心・嘔吐、下痢過敏症)。
 
上記の最初と2番目の錠剤は、後発医薬品(ジェネリック)がない新しい薬で薬価もジェネリックに比べると6倍〜10倍以上もする。
 
さらに高価だけではなく、それらの副作用が半端ではない。
 
もっともこれらの副作用は必ず、誰にでも起きる症状ではなく、極めて稀な体質や特定疾患持った患者、そして大量摂取が原因とされ、医師の適切な処方による量が調整されていれば、特に問題はないはずである。
 
それにしても、痺れや首の痛みの緩和のため今後ずっと飲み続けることになる。
 
ちなみに、毎朝食後に飲む錠剤は、いままでの降圧剤2錠と妻が勝手に通販で買ってくるサプリメント3錠に今回の錠剤4錠が追加され、計9錠を飲むことになった。
 
2週間分処方された薬の効果を確認するために今日は再び大学病院に行く日なのだが、なぜか各錠剤の残量が微妙に異なり、約半日分が余る計算となり、今後、毎朝、毎晩2錠づつとメチコバールは朝昼夕1錠づつ、こんな薬の管理にむしろ神経を使ってしまうのではないだろうか、とオジサンは不安に思っている。

posted by 定年オジサン at 10:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月03日

異例の警視庁機動隊の辺野古と常態化のくい打ち偽装

最初にこの動画を見てもらいたい。
 
 
 
これは、琉球朝日放送 (QAB)の元 アナウンサーであり、映画監督、ドキュメンタリー映像作家として最近ではある自治体から上映に際して後援を断られたドキュメント「戦場ぬ止み」を作成した三上智恵が継続的に撮影している沖縄・辺野古の現状である。
 
この公表した動画に関しては、保守の連中やネトウヨは強烈な衝撃を受けたらしく、かなり辛辣な批判どころか誹謗中傷の嵐であり、とりわけ自称「全国区の保守政治家」を名乗るこの男の「【劇的に変わる沖縄情勢】辺野古警備に警視庁機動隊派遣へ」は凄まじい内容である。 
 
そしてNHKニュースでは「異例」を連発する内容を報道していた。 
 
<名護市辺野古の警備に警視庁機動隊派遣へ>
 10月31日 5時17分 NHKニュース
国がアメリカ軍普天間基地の移設先としている名護市辺野古の沿岸部に警視庁の機動隊員百数十人が派遣され、沖縄県警の指揮の下、警備に当たることが警察関係者への取材で分かりました。現場で続く住民などの抗議行動に県外の警察が直接対応するのは異例のことです。
国が普天間基地の移転先としている名護市辺野古の沿岸部では、埋め立て工事を巡って、国と沖縄県の主張が対立するなか、29日工事が開始され、住民などによる抗議行動が行われています。
周辺の警備には、これまで、地元の沖縄県警があたってきましたが、長期化する可能性もあるとして、要請を受けた警視庁が警察官を派遣することになりました。警察関係者によりますと、派遣されるのは警視庁の機動隊員百数十人で、沖縄県警の指揮の下、来月上旬から現場に配置される予定だということです。警視庁の機動隊が沖縄に派遣されたことはこれまでにもありましたが、主な役割は那覇市内などの重要施設の警備で、今回のように、現場で続く住民などの抗議行動に直接対応するのは異例のことです。
 
「最低でも県外」と言われていた辺野古新基地建設反対現場に、「県外」から最悪の国家集団が派遣されたことになる。 
 
<辺野古に警視庁機動隊100人 抗議激化に対応、週内にも配置>
 2015年11月1日 08:16 フクナワ
20151103henokokidoutai.jpg 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐり、警視庁の機動隊員が11月初旬から沖縄入りし、市民らの抗議行動が続く米軍キャンプ・シュワブゲート前などの警備に当たることが31日までに分かった。複数の関係者によると派遣は少なくとも100人規模で、県外の警察官が辺野古で抗議行動に直接対応するのは初めて。国の建設強行姿勢を受けた抗議行動の激化、長期化を見据えた対応とみられ、今週中にも配置される見通し。
 他県の警察からの応援部隊の派遣は昨年初夏ごろから続いているという。だが、ゲート前などの抗議行動への対応はこれまで県警だけで当たっており、応援部隊は辺野古警備により人員を割かれた県警に替わって県内の他の重要施設などに配置されていたという。
 県警関係者によると辺野古での警備人員は、大規模集会や抗議行動の激化などが予想される際に現場の状況や情勢などを踏まえ対応を検討。これまでの増員では、県内各署の署員が一時的に当てられたという。
 辺野古の新基地建設をめぐっては県と国の対立が続く。翁長雄志知事は前知事による埋め立て承認を取り消したが、石井啓一国土交通相がその効力を止める「執行停止」を決定。10月29日には沖縄防衛局が埋め立て本体工事に着手した。
 県警の人員だけでは長期化が見込まれる抗議行動への対応は「限界」との判断から、県公安委員会が辺野古警備への応援部隊を要請したとみられている。派遣された警視庁の機動隊員らは警察法60条に基づき、県警の指揮下で警備に当たる。
 警視庁機動隊員の沖縄入りについて、沖縄平和運動センターの山城博治議長は「軍隊を引き連れた琉球処分と同じ構図。また暴力装置で沖縄の声を圧殺するつもりだ」と批判。「運動は新しい局面に入る。県民にゲート前への結集を呼び掛けたい」と語った。
 
警視庁機動隊は国家直属の組織であり、安倍政権の強権的な力で沖縄をねじ伏せようとする姿勢が露わである。
 
遅まきながらも、普天間基地の辺野古移設に関しては賛成していた民主党が「民主・細野氏『辺野古が正しいか再検証』抑止力も再研究」などと「六菖十菊」(六日の菖蒲、十日の菊)のようなことを言い始めたが、イソップ寓話の「北風と太陽」を今一度安倍政権は読み返してほしいものである。
 
さて、警視庁の機動隊が「現場で続く住民などの抗議行動に直接対応するのは異例」なことなのだが、この業界では偽装工作が常態化しているようである。 
 
『偽装する環境あった』 管理不足を謝罪 旭化成建材会見」では、かつて不祥事を犯した企業トップのお詫びパフォーマンスが繰り広げられた。
 
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会見を終え、頭を下げる(左から)旭化成の柿沢信行執行役員、平居正仁副社長、旭化成建材の堺正光常務、前嶋匡商品開発部長=2日午後、東京都千代田区、関田航撮影
 
20151103gisouimage.jpg
旭化成建材の偽装のイメージ(朝日新聞より)
 
 
このような偽装工作を生み出すのは業界の下請けの重層構造が大きく影響している。
 
多くの欠陥住宅を検査してきた日本建築検査研究所代表取締役、岩山健一さん(1級建築士)は「元請けには末端の作業員まで管理監督する責任がある。1次下請けは今回の工事にどのように関わったか説明すべきだ」と主張し、下請け業者が複数入る「多重下請け」について「下請けが多重に入れば入るほど、元請けが現場の状況を把握しづらく、手抜きやデータ偽装も生まれやすくなる」と指摘していた。
 
<杭偽装、問われる業界 下請け任せ、不正見逃す>
 2015年11月3日05時00分 朝日新聞DIGITAL
20151103sitaukekouzou.jpg

 旭化成建材による杭工事をめぐる問題で、データ偽装の疑いが全国で約300件にのぼることが明らかになった。偽装を見抜けなかった元請けゼネコンは、三井住友建設だけにとどまらない。下請けに仕事を任せきりにするのが常態化している業界の構造が問われる可能性もある。
 2日午後5時すぎ、東京都千代田区の旭化成建材本社に、国土交通省の職員7人が到着。建設業法にもとづく立ち入り検査が始まった。同省によると、施工態勢などについて前田富弘社長らから聞き取りし、関連資料も提出させた。
 石井啓一国交相は、「複数の地域、なおかつ複数の担当者がデータ流用したことから、会社の管理に問題があるのではないか」と検査に踏み切った理由を説明した。今後、営業停止などの行政処分を視野に、旭化成建材の責任を追及する。
 国交省はさらに、横浜のマンションの元請けのゼネコン、三井住友建設についても調べる方針だ。
 マンションを買う人は、販売会社や元請けは分かるが、下請けまでは分からない。今回、横浜では元請けの担当者は最初の1本目の杭打ちには立ち会ったものの、それ以降は旭化成建材から提出されたデータで確認しただけだった。こうした対応が元請けの役割に照らし問題がなかったか、国交省は関心を持っている。
 元請けと直接契約していた1次下請け、日立ハイテクノロジーズも調査の対象だ。契約では、杭工事の安全面や工程管理を担うことになっていた。ただ、同社の社員が現場に常駐していたのかなどについて同社広報は「まだ調査中」。もし必要な管理業務ができていないと、建設業法が禁じる「丸投げ」に当たる可能性もある。
 建設業界の慣習では、元請けが1次下請けを、1次下請けが2次下請けを決めるとは限らない。元請けがまず、2次下請けを決めた後、商社などを1次下請けにはめ込むケースもある。
 国交省は4日、有識者を集めた「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」の初会合を開く。元請けの責任や重層化した不透明な下請け関係など、業界が抱える構造的な問題点も洗い出す方針で、年内に中間取りまとめを予定している。
 ■旭化成、業績に痛手
 複数の従業員による不正が確認され、問題は会社全体に広がった。親会社、旭化成の平居正仁副社長は2日の会見で、経営者の指示による不正との見方は否定しつつ「経営責任を強く感じている」と話した。旭化成建材だけでなく、旭化成本体の浅野敏雄社長の責任問題に発展する可能性もある。
 グループ全体の業績への影響も避けられそうにない。不正が分かった物件の安全確認の費用を全額負担する。また「ヘーベルハウス」のブランド名で知られる住宅・建材部門は、グループ全体の営業利益の約4割を占める。国交省の立ち入り検査などによるイメージの悪化で、今後の受注に影響が出る恐れもある。
 社内態勢の不備があったかどうかなども内部調査の対象となる。
 
マンション販売は、工事中からモデルルームを作り顧客に完成イメージを見せて契約させることが多いそうである。
  
契約したユーザーは完成時期をめざして現在住んでいる住居からの引っ越し準備をする。
 
賃貸住宅に住んでいる人は、賃貸借契約の解除のタイミングが大きな問題となる。
 
不動産の賃貸借契約の場合、「契約期間は2年間」となっていることが多いのだが、通常、契約期間満了の1-3ヶ月前までには不動産管理会社から「更新するか?解約するか?」の通知書が届くのが一般的であり、購入予定のマンションの完成時期に合わせて解約することがベストである。 
 
そのため完成時期が数か月も遅れると入居予定者に迷惑をかけることになり、現場では納期厳守が至上命令となる。
 
どのような製品でも、品質と納期は守らなければならない必須要件であるが、品質を高めると納期が伸び、納期を死守すれば品質が担保できないという、単純な二律背反的な発想ではなく、いかに「お客様(ユーザー)」が満足するのかという観点からモノ作りをするべきではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:39| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 辺野古新基地建設問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

おバカ首相の陰で官僚の横暴とメディア規制の危険性

昨日の「大筋合意で公約破りのTPPに農業者は怒っている」のつぶやきの冒頭、日中韓首脳会談を前にした在京大手マスメディアの見出しと、元外交官の天木直人が「これは本物の日中韓首脳会談なのか」という内容のブログを紹介した。
 
そして昨日約3年半ぶりに日中韓首脳会談が開かれたのだが、最初に在京大手マスメディアの社説を見比べてみると、特徴的なことが読み取れる。
 
◆朝日新聞日中韓首脳 停滞抜けて再出発を
安倍首相は会談後の共同会見で「日中韓の協力プロセスを正常化させたことは大きな成果だ」と語った。
日中韓の指導者は、歴史や領土の問題をあおり、ナショナリズムを国内向けに利用する振る舞いを慎むべきだ。日本としては、歴史を直視する姿勢を揺るぎなく継続し、わだかまりなく日中韓が協力できる環境を整えておくことが重要だろう。
 中韓首脳も、日本との歴史を政治カードにするような行動は控え、理性的に互恵関係をめざす指導力を示すべきである。
 その意味で3首脳が「歴史を直視し、未来に向かう」とし、会談の定例化を再確認したことには意味がある。
 
まさに「両論併記の中立病」と指摘されている朝日新聞らしい表現で、日中韓の指導者、そして個別には日本と中韓への論評を「公平」に併記し最後は3首脳をもち挙げている。
 
一体、現地同行した記者は何を取材したのだろう。
 
◆毎日新聞日中韓首脳会談 協力深化を共通利益に
今回、3カ国の首脳会談にあわせて、安倍首相は李首相と日中首脳会談を開き、戦略的互恵関係の考え方にもとづいて関係を改善し、発展させていくことを確認した。2日には朴大統領との初めての日韓首脳会談も予定されている。
 安倍外交は、日中、日韓関係が改善できないため、他の地域に比べてアジア外交が不十分だった。ようやく外交環境が整ってきたと言える。
 
これも朝日新聞ほどではないが、会談で何が話され何が約束されたのかが読者には伝わってこない。 
 
◆讀賣新聞日中韓首脳会談 東アジア安定へ対話を重ねよ
安倍首相は共同記者発表で、「3か国の協力プロセスの正常化は大きな成果だ」と指摘した
安倍首相は、戦後70年談話の内容を説明したうえで、「特定の過去にばかり焦点を当てるのは生産的ではない」と強調した
安倍首相は、北朝鮮による日本人拉致問題の解決を訴えた
安倍首相はその後、李氏と個別に会談し、日中が戦略的互恵関係を追求することで一致した。
安倍首相は、中国による南シナ海での人工島造成と軍事拠点化について、懸念を表明している
 
政府広報紙らしく、社説の中で「安倍首相」の発言が最も多く表れており、側近からのリーク取材があったのかもしれない。
 
しかし、いかにも安倍晋三首相が積極的に首脳会談をリードしたかのように伝えるが、単に一方的に主張したに過ぎないことは行間から垣間見られる。
 
◆産経新聞日中韓首脳会談 真の『未来志向』はなお遠い…
・安倍首相は、拉致問題の解決に向けて、中韓両国の協力を求めた。
・安倍首相が「特定の過去ばかりに焦点を当てる姿勢は生産的でない」と述べた。
国際社会がより強い関心を寄せている問題でありながら、当事者を含む3カ国首脳会談で取り上げなかったというなら、きわめておかしな姿ではないか。
 さらに不可解なのは、その後に行われた日中首脳会談で「懸案の諸問題については、互いに内容を公表しない」とされたことだ。安倍首相は会談で、南シナ海問題についての懸念を伝達したとみられるが、なぜこれを伏せるのか。
 中国は尖閣諸島周辺で公船の領海侵入を繰り返し、東シナ海ガス田の開発を一方的に進めている。国際法や主権の侵害に関する重大な懸念を内外に訴えない日本を、国際社会がどうみるかである。 
 
「安倍首相」の発言の記載は讀賣新聞ほどではなかったが、他紙は書かなかったが、「懸案の諸問題については、互いに内容を公表しない」という事実を伝え、不可解であると正直に不満を露わにしている。
 
安倍晋三首相に中国に対する毅然とした発言と強い態度を期待していたのだろうが、残念ながら産経新聞の思うようには安倍晋三首相は中国に対して振る舞うことができなかったようである。
 
首脳会談というのは事前に双方の外務省の事務方が会談内容の詳細を詰めて、落としどころを設定し、最終的に共同声明文を摺合せて発表されるものである。
 
しかし今回の日中韓首脳会談は、会談を開催することが目的であったため、特別な新たな取り決めはできなかったということであろう。
 
その障壁は言うまでもなく安倍晋三首相の中韓に対する歴史認識であり「特定の過去ばかりに焦点を当てる姿勢は生産的でない」なんて言い切ってしまう限りは、中国、韓国との関係は改善しないということであり、産経新聞社説の「真の『未来志向』はなお遠い…」は核心を突いていると言えよう。
 
こんな隣国から信頼されていない安倍晋三の陰では、霞が関官僚たちの横暴振りが目につくようになっている。
 
最近の官僚の言動について田中龍作ジャーナルから紹介する。 
 
<TPPヒアリングで露呈 真相隠しハゲタカに国売る官僚>
 2015年10月29日 16:20 田中龍作ジャーナル
 
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内閣官房と9省庁から官僚21人が出席した。官僚特有のマイクの押し付け合いもなかった。TPPはシナリオができているのだろう。=28日、民主党政調会議室 写真:筆者=

 TPP対策本部となっている内閣官房の官僚がツラツラと謳いあげた ―
「食の安全が脅かされることはない」
「国民皆保険が脅かされることはない」
「日本の規制権利がしっかりと確保されている」・・・
 内閣官房の説明を真に受ければ、巷間言われているようなTPPによる弊害は全くないことになる。
 民主党が28日、国会内で霞が関の関係省庁からTPPについてヒアリングをした。呼ばれたのは内閣官房の他、9省庁だ。TPPが日本経済のあらゆる分野に及ぶことを示している。
 
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外務省出身の緒方議員は外交交渉の裏表を知るだけに、霞が関にとっては厄介な存在だ。=28日、民主党政調会議室 写真:筆者= 
 
 民主党のある議員がズバリ質問した。「農産品と工業製品を差し引きした国益はいつまでに出るのか?」。
 官僚は「鋭意作業中。目標は年内」と逃げた。数字を出せば、TPPにより貿易が活発になり日本は豊かになる、というキャンペーンのウソがばれるからだ。
 外務省出身の緒方林太郎議員は、具体的に数字と項目をあげて追及した ―
 「著作権ビジネスで我が国は年間8千億円の赤字※を出している。著作権が(現行の)50年から70年に拡大されることにより、8千億円の赤字が固定化されることはないか? ミッキーマウス、熊のプ―さん」。
※(輸入=1兆円 / 輸出=2千億円)
 文化庁の官僚が いけしゃあしゃあ と答えた。恐ろしいほど早口だ。
 「我が国の著作物の保護期間も長くなる。クールジャパン政策でアニメやマンガを利用したビジネスにおいて利益を受けられる…」。
 
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ミッキーマウスとキティーちゃん。TPPの出と入りだ。どちらが多いかは言うまでもない。
 
議員たちの間から失笑が漏れた。日本の著作権ビジネスは構造赤字なのである。
 その一例がミッキーマウスだ。ありとあらゆる品物に付いている。これらの著作権料の支払いがさらに20年続く。
 TPPが発効すれば医薬品も加わり、構造赤字はさらに膨らむ。
 最後に民主党・経済連携調査会会長の古川禎久議員(財務省出身)が、官僚たちに釘を刺した―
 「まだまだ分かっていない所がたくさんあるので、明らかにしてもらいたい。フェアな情報公開をしてほしい」。
 霞が関に君臨する財務省出身の古川議員は、官僚の手の内を見透かしていた。
 国民は真相を知らされないままハゲタカに食い尽くされるだろう。
 
TPPに関しては安倍政権が何を言ううとも、関係各省の官僚がすべて仕切っているので、国民に対して正確な情報が決して公表されない可能性が強い。 
 
一昨年の特定秘密保護法の成立後、予想された通りメディア規制が強くなってきており、遂には政府交渉の場で役人の写真撮影も禁止され始めているという。 
 
<対官僚取材に自粛ムード 次に来るのは「メディアお断わり」>
 2015年11月1日 17:24 田中龍作ジャーナル
 
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官僚の顔は撮影できないためプレートだけを写した。=10月30日、参院会館 写真:筆者=
 
 「国土交通省の方と防衛省の方の顔のアップは撮影しないで下さい」。国会議員の秘書がメディアに向かって要請した。
 米軍辺野古基地の埋め立て問題について地元住民と環境団体が30日、国会内で防衛省、国土交通省と交渉を持った。秘書氏は交渉開始前に冒頭の要請をしたのである。
 対政府交渉で「役人の顔」の動画撮影が禁止されることは、これまでにもあった。
 だがスチールにまで及んだのは、田中の知る限り今回が初めてだ。
 公務執行中の公務員に肖像権はないはずだが・・・。納得がいかなかったが、秘書氏の要請に従うことにした。
 肖像権の侵害を理由に官僚が出席を拒否すれば、対政府交渉そのものがなくなってしまう恐れがある。秘書氏の要請は官僚側からの注文だったからだ。
 
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民主党による省庁ヒアリング。民主党が野党第2党、第3党に転落したら、官僚の顔写真は撮らせてもらえなくなるだろう。=10月21日、衆院会館 写真:筆者=

 30日の対政府交渉は主催者から「防衛省は不可だが、国土交通省は可能」と聞いていた。
 これを受け国交官僚の顔を撮影していたところ、出席者(住民側)から肩を叩かれ「顔を写しちゃダメだよ」と注意された。
 自粛である。こうなると霞が関の思うツボだ。高圧的なことを言わなくても国民の側が意を汲んで従ってくれるのだから。
 次に来るのは「メディアはご遠慮願う」だ。官僚の意向に逆らうと、対政府交渉は開かれなくなる可能性が高い。
 だがメディア不在では、官僚からデタラメな回答をされても、泣き寝入りする他ない。
 政党関係者によると弱小政党の議員事務所は、霞が関のご機嫌を損ねるとやって行けなくなる、という。
 お上には物を言えない風潮が蔓延しつつある。
 
役人の顔写真は禁止されてきているが、市民による集会やデモが戦争法案の審議が続けられる度に激しくなり、特に公安警察はデモ参加者の顔写真を撮って威嚇するだけではなく収集もしているようである。
 
さらにはマイナンバー制度により個人IDカードを申請する場合には写真も一緒に提出するのだが、この個人を特定する写真は政府によって合法的(?)に「顔写真データベース」に登録され、将来的には「顔認識システム(FRS)」を活用して日本人の管理がより一層強化される日がやってくるのではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 13:22| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月01日

大筋合意で公約破りのTPPに農業者は怒っている

今日から「日中韓首脳会談」が開始されている。
 
はしゃぐ在京大手マスメディアの見出しはこんな具合である。
 
◆朝日新聞
FTA年内発効、中韓が方針確認 北朝鮮問題も連携 首脳会談
◆毎日新聞
日中韓首脳会談:「歴史直視」宣言に明記へ…1日開催
◆讀賣新聞
日中韓「未来志向」確認へ…3年半ぶり首脳会談
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会談前の記事なので、中身は既に公表されている内容程度であったが、中韓の敵意むき出しのメディアはこんな感じであった。
 
◆産経新聞
『対日共闘』事前打ち合わせ、安倍氏に不快感 李首相が朴槿恵大統領にFTA発効催促か」 
 
・・・前略・・・
韓国で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への「参加論」が高まっているが、中国は自国の孤立を避けるため、韓国の参加を阻止したい思惑があるとされる。会談で、李首相は投資拡大や経済交流強化などを約束し、TPPに参加しないように朴大統領を牽制(けんせい)したとみられる。
 歴史問題で韓国に対し、対日共闘を呼び掛けることも李首相訪韓の主な目的のようだ。中国外務省関係者によると、1日に行われる日中首脳会談で、李首相は安倍晋三首相に対し「日本の歴史認識問題を正す主張」を行うという。一方、安倍首相は中国の南シナ海での人工島建設問題を取り上げるといわれている。これに対し、中国の王毅外相は31日、ソウル市内のホテルで記者団に「日本は南シナ海と何の関係があるのか」と不快感を表明した。
 
国際的な常識では「首脳会談」は各国の政治的な立場のトップ交渉のはずである。
 
米中首脳会談は米国オバマ大統領と中国の習近平国家主席が会談した。
 
ところが今回の日中韓首脳会談には、中国からは習近平国家主席ではなく李克強首相が出席するという。 
 
これについては元外交官の天木直人が「これは本物の日中韓首脳会談なのか」と、こんな見方を披露していた。
 
 日中韓首脳会談のニュースでもちきりだ。
 ついに実現したと。
 これでいよいよ、日本と中国、韓国の関係改善が期待されると。
 なかには、この首脳会談の実現は、安倍外交の成果であるといわんばかりの追従解説まである。
 ちょっと待ってほしい。
 そもそもこれは首脳会談と言えるのか。
 首脳会談とはその国のトップ同士の会談と相場はきまっている。
 確かに韓国の朴槿恵大統領はそうだ。
 しかし中国のトップは習近平主席のはずだ。
 ところが今度の中国の会談相手は李克強首相だ。
 李克強首相は中国のナンバーツーである。
 その事を日本国民なら誰でも知っている。
 もちろん安倍政権も、それに追従するメディアも知っている。
 しかし、この事に触れた報道を見た事が無い。

 かつて習近平主席は嫌々ながら安倍首相と二度会談した。
 それなのに今度は習近平主席は会おうとしないのだ。
 これは日中関係の後退を意味する。
 確かに朴槿恵大統領との首脳会談は、安倍政権になって以来、はじめてだ。
 しかし、そのはじめての会談の主要テーマは慰安婦問題である。
 成果が期待できるというのか。
 これについては三カ国首脳会談の後に発出される共同声明では、「歴史を直視し、未来志向に向かう・・・」とあるらしい。
 これ以上ない、矛盾だ。
 朴大統領からすれば、歴史を直視すれば慰安婦問題について日本は謝罪し補償しなければいけないことになる。
 安倍首相からみれば、いつまでたっても過去にこだわるな、はやく未来志向になれ、となる。
 同床異夢も甚だしい。
 習近平主席に至っては、靖国参拝にこだわり、南京大虐殺を否定するような歴史認識の安倍首相を相手に、馬鹿馬鹿しくてやってられないと言っているのだ。
 だから、子分の李克強首相を出席させ、適当にやってこい、と命じたのだ。
 そもそも、今度の日中韓首脳会談は、日本不在のところで中韓が勝手に決めて、一方的に発表した経緯がある。
 アメリカがうるさく言うから、アメリカのメンツを立てて付き合ってやったといわんばかりだ。
 以上、私がここで書いてきた事は、私のでっちあげではない。
 すべてこれまで報道されてきた事実の積み重ねだ。
 「王様は裸だ」
 そう、安倍首相にはっきりと言葉に出して言う大人が一人もいないので、私が子供の振りをして書いてみただけである(了)
 
米国と並んで2大覇権国を目指している習近平国家主席からすれば、表面的な「向こう三軒両隣」的な内容の共同声明なんかを発表する場には出席する必要はないと思っているようで、ましてや米国の「金魚のフン」状態の安倍晋三首相とは「各」が違うということなのであろう。
 
中国のトップからそのようにしか扱われていない安倍晋三首相なのだが、週刊朝日に不定期に記事を書いている室井佑月は2015年11月6日号で「政府は『デタラメなことばかりしている』」と安倍晋三首相に対してTPPに関して的確な批判をしていた。
 
 安倍晋三首相は10月15日、JA全国大会であいさつし、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意について、
「重要品目について関税撤廃の例外を確保した。日本が交渉をリードし、国益にかなう最善の結果を得ることができた」
 と語った。このとき、会場にヤジが飛んだそうだ。
 TBSとテレ朝のニュースでは、そう報道されていた。が、ほかの局は、そのことについてはスルー。
 ヤジが飛んだということまで流して、報道の意があるんだと思うけど。そこを取り上げなきゃ、ただの広報だ。
 TPPに関して、安倍自民ははじめは断固反対といっていた。それから、聖域はなんとしても絶対に守るになって、ちょっと気が弱く聖域は守りたいな、くらいになって……、見事に半回転し、この国として絶対になんとしてもTPPを進めなくてはならないになった。
 あたしたち国民は、政府の見事な半回転に驚くばかり。どうしてそういうことになったんだ。その具体的な説明もしてもらっていない。
 だいたい、他国との具体的な話し合いが一旦終わってから、この国で対策本部を設置するってどういうこと?
 今更、なにを話し合うの? 決まっちゃったことを、もとに戻すなんて、できるとも思えない。
 きっと、これから話し合われるのは、TPP対策の予算についてだろう。それって来年の参議院選挙の選挙対策のバラマキだ。農業や畜産をやっている方々は、そんな一時的な金に騙されないで欲しいと思う。
・・・後略・・・
 
大丈夫、「そんな一時的な金に騙されない農業や畜産をやっている方々は」安倍政権のTPP交渉結果には決然と「決議違反」との意思を表していた。
 
<「決議違反」69% 内閣支持18% 政府と現場認識にずれ 本紙農政モニター調査>
 日本農業新聞 10月28日(水)14時0分配信
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 日本農業新聞は、本紙の農政モニターを対象に行った環太平洋連携協定(TPP)大筋合意に関する意識調査の結果をまとめた。農産物の重要品目の聖域確保を求めた国会決議が守られたかどうか聞いたところ、「決議違反」としたのは69%に達した。安倍晋三首相は、農業分野を含めて「国益にかなう最善の結果を得ることができた」との認識を示しているが、生産現場の受け止めと大きく懸け離れていることが浮き彫りになった。安倍内閣を支持するとしたのは18%とかつてない低水準にまで下がり、不支持は59%に上った。
 国会決議を「順守している」としたのは7%にとどまった。決議では重要品目について「再生産可能となるよう除外または再協議の対象にする」ことを求めている。一方で安倍首相は「関税撤廃の例外をしっかりと確保することができた」と成果を誇っており、生産現場との間で決議の解釈に大きなずれがありそうだ。一方で順守したかどうか「分からない」とした回答も22%あった。
 国会決議を順守しているかどうかの判断には、農業経営への影響度合いをどうみるかとも関連がありそうだ。大筋合意によって自らの経営が「悪化する」と答えた農業者の87%は「決議違反」とした。経営が「悪化する」とみる農業者は、農業者全体の48%と多数を占めている。経営が「やや悪化する」とした農業者では「決議違反」が64%。経営への影響が「分からない」とした農業者は、49%が「決議違反」とするとともに、44%が決議を順守しているかどうか「分からない」としている。
 第3次安倍改造内閣に対しては、「支持する」が18%にとどまり、極めて厳しい評価となった。「支持しない」は59%に達し、不支持が支持の3倍にも広がる異例の事態となっている。「分からない」は22%。経営が「悪化する」とみる農業者の場合は「支持する」が8%しかなく、「支持しない」が75%まで増えるなど、政権に批判的な評価が大勢を占めている。
 調査は農業者を中心とした本紙の農政モニターら1060人を対象に、10月中旬に行った。27日までに771人から回答を得た。
 
農業協同組合の政治組織である全国農業者農政運動組織連盟(略称は全国農政連)は、組織内候補者を40年以上にわたって参議院議員通常選挙全国区(比例区)に立てて政府自民党内に送り込んでいる。
 
そんな中で、TPP反対の急先鋒である山田俊男参議員は「必要なのは、各国農業の多様性、気候風土を含めた日本農業の特性を基本に据えて、農産物貿易はどうあるべきかを議論すること」であり「食と農を抜きにした国の存立はあり得えない」と2年前には威勢の良い発言をしていた。
 
この議員は改選が2019年で来年の参院選は高みの見物かもしれないが、2014年の第47回衆議院議員総選挙では、比例東北ブロックでは日本共産党候補(高橋千鶴子)も推薦した全国農政連は来年の夏の参院選では傘下の農業者たちの怒りをぶっつけてほしい、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:34| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする