2017年05月07日

理念は都合よく変わる政党の誤謬

日本維新の会という政党の憲法改正案の目玉の1つに「教育完全無償化」がある。
 
その内容は、「義務教育を定めた憲法26条を改正し、『幼児期の教育から高等教育まで無償とする』と規定。さらに、『経済的理由によってその機会を奪われない』と明記し、幼稚園・保育園から大学院までの教育費を無償化する。」というものであることはそれなりに知られている。
 
しかし、旧民主党時代につくられた「高校授業料無償化」に対して、公立高校授業料を無償教育から有償教育へと改変し、「就学支援金」支給に所得制限を導入する「高校授業料無償化廃止法案」に、同党は2013年11月に、自民、公明とともに賛成していることは、あまり知られていない。
 
そしてその後、高校無償化措置を廃止していたのに、今度は無償化のために改憲を主張するという支離滅裂な行動を行っている政党でもある。
 
そのことは、当然、自民党にも当てはまり、民主党に政権を奪われた翌年、現在も残っているホームページには、「高校授業料無償化の問題点!」というタイトルで、「民主党は、『子ども手当』と『高校授業料無償化』の法律案を十分な審議もないまま衆議院を通過させました。自民党は、この理念なき選挙目当てのバラマキ政策には反対です。」と批判していた。
 
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そして、5月3日の憲法記念日向けに讀賣新聞が安倍晋三首相の単独インタビュー記事を発表していた。
 
<教育無償化は維新と連携…首相、改憲論議に期待>
 2017年05月03日 06時00分 讀賣新聞
 安倍首相(自民党総裁)は読売新聞のインタビューで、幼児から大学などの高等教育までの教育無償化を憲法改正の優先項目にする考えを示した。
 無償化を憲法改正案の柱に据える日本維新の会との連携を深め、今後の改憲論議に弾みをつける狙いがある。
 首相は、現行憲法による小中学校の義務教育の無償化が「戦後の発展の原動力になった」と評価し、「高等教育も全ての国民に真に開かれたものにしなければならない」と述べた。「高い教育を受ける機会をみんなが同じように持てなければならない」とも語り、「自民党は議論で積極的な役割を果たす。速やかに改正案を提案できるよう党内の検討を急がせたい」と表明した。
 自民党が2012年にまとめた憲法改正草案には教育無償化の規定は明記されていない。維新案とどこまで共通点を見いだせるかがポイントになりそうだ。
 
そして憲法記念日には極めて私的な集会に、総理大臣の憲法違反の典型とでも言われるメッセージビデオの中で、教育無償化に関してはこんな表現をしていた。
 
70年前、現行憲法の下で制度化された、小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は、まさに、戦後の発展の大きな原動力となりました。
 70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、子どもたちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育についても、全ての国民に真に開かれたものとしなければならないと思います。これは個人の問題にとどまりません。人材を育てることは、社会・経済の発展に確実につながっていくものであります。
 
まさに憲法改正に向けては、過去の政策もかなぐり捨てて突き進むという理念なき2つの政党が露わになっている。
 
さて、今は無き「社会党」は万年野党といわれ、かつ与党自民党の提案する法案には「何でも反対」するという姿勢を貫き、しかし最後は水面下で手を結び法案を成立させていったという歴史がある。
 
衆院選の獲得議席で振り返る 戦後政治史」によれば、「55年体制」が1993年の細川連立政権の発足まで38年間続いた頃までの社会党の議席はいくら頑張っても衆議院で過半数を獲得することはなく、自民党の半分以下の議席だった。
 
それでも、衆議院で与党に3分の2以上の議席を与えず、憲法改正論議を封じていたという存在は認めなければならない。
 
2009年に田中良紹が「国会探検」というブログで「民営化って何なの?」と題してこんな一文を書いていた。
 
「中曽根内閣の国鉄民営化と電電民営化は両方とも失敗だった。
 国鉄民営化は政治利権のために赤字鉄道を作り続けた後始末である。赤字を税金で穴埋めするため民営化せざるを得なくなった。今でも国民は税金で国鉄の赤字分を払い続けている。中曽根総理が労働運動を解体するためと言ったのは大嘘で旧国労主導が旧動労主導に代わっただけである。ストライキはないが労組の影響力は今でも強い。」

それから8年経ち、「労組の影響力は今でも強い」は幻になっている。
 
だが、国鉄分割民営化により国労が弱体化し、総評が解散し社会党が消滅したことは事実である。 
 
そして社会党に代わって野党第一党に民主党という「寄せ集め集団」が誕生し、小沢一郎の暗躍のお蔭で2009年に歴史的な政権交代を実現した。
 
ひとたび政権の座についた党は、野党に転落しても再び政権奪取を目指すことは決して悪いことではない。
 
小選挙区制度が実現した頃は「健全な2大政党による政権交代が行われる」という夢を国民は見せられた。
 
しかしあくまでも「政権交代可能」な野党であれば、その夢は「もう一度」となるかもしれない。
 
そして常に政府案に対しては、「対案」を用意して国民にどちらの案がより良いか、と問うことも可能である。 
 
残念がら、ようやくたどり着いた政権の座からわずか3年余りで転げ落ち、その原因の総括もせず内部抗争を繰り返し、自民党とは異なる政策グループと称する派閥が割拠しているのが、今の民進党である。
 
一桁の支持率ではとてもではないが政権交代の可能性はゼロであり、国民の期待も沸かない。
 
そんな野党ならば昔の社会党のように、与党の政策提案にはまず反対し、最後までトコトン反対し廃案に追い込むことが使命であろう。
 
明日から2日間、国会の予算員会で全閣僚出席のもと、集中審議が開かれる。
 
くすぶっている森友学園疑惑追及も必要だが、最優先は共謀罪成立阻止への反対運動であろう。
 
民進党は2017年02月21日、「共謀罪」創設法案に対する現時点における見解を発表していた。
 
1.TOC条約締結に共謀罪は無用
2.包括的で不明確な共謀罪に反対
3.テロ対策は個別具体的な立法で対応
 
あらためて読んでみると、「2月21日時点」の見解であり、共謀罪に全面的に反対の他野党とは少々温度差があるようだった。
 
猛反対の民進、旧民主では『そっくり案』を国会提出の過去」と産経新聞にすっぱ抜かれてしまった。
 
確かに、「包括的で不明確な共謀罪に反対」という文言には、「全面的に反対」という姿勢はない。
 
そして、その心配が現実的になったのが、「民進『共謀罪』廃案へ独自案 予備罪に人身売買・詐欺追加検討」という記事で、その中では「現行の予備罪に人身売買と詐欺を追加する内容で、事実上の対案」と書かれていた。
 
昨日は遂にこんなニュースとなった。 
  
<民進 テロ等準備罪新設法案の成立阻止で対案提出へ>
 5月6日 4時30分 NHKニュース
・・・前略・・・
民進党は、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案が必要がないことを明らかにして、成立阻止につなげるため、現行法では対応できないテロ対策の強化策などを対案として取りまとめ、来週にも国会に提出する方針です。
衆議院法務委員会で審議が行われている、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案について、民進党は、憲法が保障する内心の自由を侵す可能性が高いうえ、一般の人も処罰の対象になりかねないなどとして、政府を追及しています。
一方で、民進党は、テロ対策の重要性は高まっており、空港や港の警備態勢を強化すべきだとしているほか、組織犯罪に対する国際的な捜査協力を進めるため、「国際組織犯罪防止条約」の締結は必要だとしていて、現行法に不備があれば、個別に必要最小限の立法措置を行うべきだと主張しています。
このため民進党は、現行法では対応できないテロ対策の強化策などの洗い出しを進めていて、来週にも対案として取りまとめ、国会に提出する方針です。
民進党としては、対案を示すことで、処罰の対象を包括的に規定する「テロ等準備罪」の新設が必要でないことを明らかにするとともに、与党側に徹底した国会審議を行うよう迫り、法案の成立阻止につなげていきたい考えです。
 
はっきり言って、国会での戦術としては大きな誤りである。
 
すでに自民党は維新の会と共謀罪法案の修正協議に入っているという。 
 
対案を出せば先に審議されるかどうかは、衆議院では「衆議院議院運営委員会」で決められるがが、委員長が自民党であり、9名の理事の中で野党は民進党の2名だけであり、すんなりと審議される保障はない。
 
仮に先に審議されても民進党側の提案説明後、与党側の質疑が無ければ打ち切り動議が出され、即採決され対案は否決されてしまう。
 
そして審議は尽くされたと打ち切られ、政府案が維新の会を巻き込んで強行採決されてしまう可能性が強い。
 
こんな事態に陥らないためにも、野党は国民のためにならない法案は全て「何でも反対」の姿勢を崩してはならない、とオジサンは思う。  

posted by 定年オジサン at 12:46| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする