2017年08月12日

国家戦略特区に群がる政商や御用経済学者

もう3年ほど前になるが「月刊日本」という雑誌に評論家の佐高信が「なぜ竹中平蔵をパソナ会長と報道しないのか」というタイトルでインタビューを受けていたのだが、その中で印象的な一節がある。
 
また竹中平蔵は人材派遣会社パソナグループの会長として一億円もの年収をもらいながら、政府の一員として労働規制緩和を推進しているにもかかわらず、大手メディアは竹中を「パソナ会長」ではなく「慶応大学教授」とだけ報道し、利益相反の可能性を追及することがない。
 普通は収入が多い方を本業と見なすのだから、竹中は「パソナ会長」と報道されて然るべきです。ただ大手メディアが「慶応大学教授」という肩書を紹介するのは、利益相反の可能性に意図的に触れないようにしているというよりは、慶大教授の方がパソナ会長よりも上等だという、メディア側の価値判断の結果でしょう。
 
このインタビューの主旨は、小泉政権以降、郵政民営化・TPP・アベノミクスなど、歴代内閣が一貫して推進してきた新自由主義政策を大手メディアが推進してきたことへの批判であった。
 
先月の末には、「『残業代ゼロ』法案に関する日経新聞のトンチンカンな記事について」という内容で、徹底的に日本経済新聞の水野裕司編集委員を論破した日本労働弁護団常任幹事でブラック企業被害対策弁護団代表でもある佐々木亮が、以前、「竹中平蔵パソナグループ会長の『正社員をなくしましょう』発言と派遣法改正案の関係」という記事を書いていたことを思い出させてくれるような日本経済新聞の記事があった。  
 
<派遣社員 無期雇用に パソナやヒューマンHD >
 2017/8/11 23:36 日本経済新聞 電子版 
・・・前略・・・
パソナは専門職として派遣する社員の対象職種を、17年度中に8職種から20職種に拡大する。来春に勤続年数が5年を超える対象職種の派遣社員は最大で約5千人。希望者は無期雇用契約に変更する。時給制から月給制となり、スキルに応じて昇給できる。すでに対象となる派遣社員への説明会を開始した。
 パソナの専門職派遣は従来、貿易関連や秘書などだけだった。サイバーセキュリティーやデジタルマーケティングといったIT(情報技術)関連の領域の派遣社員も対象に加える。
 13年4月施行の改正労働契約法に基づき、18年4月から、勤続年数が5年を超える有期雇用契約の労働者は無期雇用の申し入れができるようになる。
 人材派遣分野では技術者派遣などを除き、大半の派遣社員が有期雇用だ。派遣社員を無期で直接雇用すると、派遣会社は派遣先企業が切り替わる際の待機時などに社員の給料を負担する必要が生じる可能性がある。ただ、深刻な人手不足が続く中、派遣社員の需要は堅調であるため、社員の希望に応じて人材を確保することが競争力強化につながると各社は判断したようだ。
・・・後略・・・
 
2013年の改正労働契約法では多くの派遣労働者たちが「生涯ハケンはゴメン」と反対の声を上げていた。 
 
表向きは、「勤続年数が5年を超える有期雇用契約の労働者は無期雇用の申し入れができるようになる」のだが、受け入れ企業からすれば雇用コストが上昇することから「5年未満」で契約を打ち切られると指摘されてきた。
 
それが、パソナは「勤続年数が5年を超える対象職種の派遣社員は希望すれば無期雇用契約に変更する」という。
 
派遣労働者にとっては契約止めという解雇の恐れはなくなり朗報なのだが、その裏には政府が進める正社員の「派遣社員化」という思惑と一致し、パソナの竹中平蔵会長にとっては業務の拡大に結びつくということであろう。
 
まさに、「政商納言・竹中平蔵の『ぱそな儲かりていとをかし』」と言われた竹中平蔵が加計学園疑惑の中心でもある国家戦略特区でも暗躍していた。 

加計学園獣医学部を擁護していた有識者が、国家戦略特区申請のコンサルティング業務で荒稼ぎするなど、既得権益の立場に立って税金を食い物にする構図が生まれていることが明らかになっており、加計学園獣医学部新設の提案を審査する立場にある国家戦略特区諮問会議と特区申請のコンサルティング会社のメンバーが被っているというズブズブを超えた一体化が指摘されているという。    
 
<加計学園獣医学部の擁護派が国家戦略特区申請コンサルティング会社で荒稼ぎ、諮問会議メンバーも兼ねる最悪の事態に>
 2017年8月11日12:52 Buzzap
国家戦略特区WGで議事要旨の改ざんが指摘されたことを先日報じたばかりの加計学園獣医学部新設問題ですが、提案を審査する立場にある国家戦略特区諮問会議と特区申請のコンサルティング会社のメンバーが被っているというズブズブを超えた一体化が指摘されています。
◆特区ビジネスコンサルティング
問題となっているのは「株式会社特区ビジネスコンサルティング」。理念と提供サービスに関しては以下のように説明されています。
・・・・・・・・・
我々は、単なる規制緩和、特例措置などの提言や要望の提示にとどまらず、具体的な事業戦略立案から行政・政治対応に関するコンサルティングやロビイングの代行事業、及び関連事業への参画・業務支援、広報PR支援まで行うことのできるわが国唯一のビジネスコンサルティング企業です。
(特区ビジネスコンサルティング ? 特区ビジネスコンサルティング(魚拓)より引用)
・・・・・・・・・
2015年1月15日に設立された極めて若い企業ですが、この時点で日本で唯一「国家戦略特区をはじめ、規制改革を伴う民間企業のビジネス展開」で「行政に対する提案から事業開始までのコンサルティングおよびロビイング活動」を実施できるとの触れ込みです。
この会社の顧問には加計学園の関係者でもあることが先日判明した、政権の駆け付け擁護で有名な経済学者高橋洋一氏名前が掲載されています。
こちらの「株式会社特区ビジネスコンサルティング 会社案内 サービス内容(pdf)」(魚拓)によると、1案件あたり150万円からの料金で申請手続きを行っています。
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提案実績を見ると、すでに10件以上の提案が国家戦略特区WGのヒアリングにこぎ着けていますが、高橋洋一氏が教授職を務める嘉悦大学も含まれています。
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さらにこちらの広報・PRサポートとして行われている「有識者ネットワーク」を活用した各種シンポジウム・セミナーの開催のところですが、なんと高橋洋一氏と並んで国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員である竹中平蔵氏の写真が堂々と載せられています。
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これはつまり、国家戦略特区でどのような企画を実施していくのかを審査する立場の国家戦略特区諮問会議の有識者委員が国家戦略特区でのビジネスを提案し、申請するコンサルティング会社とズブズブの関係にあることを意味しています。
◆NPO法人万年野党
ではいったい特区コンサルティングはどのようなシンポジウムやセミナーを行っているのか、調べてみると非常に面白い事が分かりました。
まず、ネットですぐに出てくるのが2015年10月22日に行われたこちらのセミナー(魚拓)。登壇者の中に先日八田座長と共に議事要旨改ざんについて記者会見を行った原英史国家戦略特区WG委員の名前があります。
そして主催が特区ビジネスコンサルティングなのですが、強力しているのが「NPO法人万年野党」というNPO団体なのです。この万年野党の構成員の名簿(魚拓)を見てみますと、会長はなんと田原総一朗氏。そしてアドバイザリーボードには竹中平蔵氏、高橋洋一氏の名前があります。
さらには上記の特区コンサルティングのシンポジウム・セミナーの講演者に名前の上がった堺屋太一氏も同様にアドバイザリーボードです。また、岸博幸氏は理事であり、先ほどの原英史国家戦略特区WG委員も理事として名前が上がっています。
この時点で特区コンサルティングと万年野党が極めて密接な関係を持つ団体であることが分かりますが、これだけではありません。
加計学園問題に絡み、前川前事務次官が通ったとされる歌舞伎町の出会い系バーに突撃取材して「裏取りした」「前川前事務次官と〇〇に行った〇〇ちゃんに聞いた」などと具体的な場所や名前も挙げずに豪語したジャーナリストの須田慎一郎氏や、法科大学院に関する前川氏の談話に獣医学部の話を絡めて批判していた野村修也氏の名前も。

◆特区ビジネスという「既得権益」の存在
そもそも国家戦略特区という特区自体の誕生に産業競争力会議の民間議員である竹中平蔵氏が深く関わっている事は今さら指摘するまでもありません。しかし現在も国家戦略特区諮問会議の有識者委員という審査側の立場にありながら、竹中平蔵氏は特区コンサルティングという特区ビジネスにも深く関係しているという状況が存在しています。
そして特区コンサルティングと密接な関係にあるNPO法人万年野党には竹中平蔵氏のみならず国家戦略特区WG委員までもが在籍しています。そして万年野党の構成員が同じ国家戦略特区案件である加計学園獣医学部新設問題で前川氏を攻撃するのを見るにつけ、既にこの特区ビジネスが既得権益化しているのではないかという疑念を拭い去ることはできません。
巨額の私たち日本人の税金が投入される国家戦略特区が極一部の人々の利権として食い物にされているのだとしたら、極めて由々しき問題であると言わざるを得なそうです。
 
文科省の既得権益に対して岩盤規制にドリルで風穴をあけるべく国家戦略特区が、特区ビジネスとして既得権益化しているという皮肉。

あらためて安倍晋三首相は、「腹心の友」に対する便宜・利益供応だけではなく、特区に群がる「政商」連中にも手厚い便宜供応をしていたということであろう、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:39| 神奈川 ☔| Comment(0) | 加計学園疑惑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする