2010年10月16日

武器輸出三原則

国際競争力を保つためと称して、日本の大部分の製造業はコストの低い国での現地生産(工場移転)を繰り返してきた。
 
当然の結果として日本国内では製造業の空洞化現象が顕著になった。
 
しかし絶対に「現地生産」できない産業が一つだけある。
 
国家の最高機密でもある兵器を作る「軍需産業」である。
 
少々前の資料になるが、わが国の軍需産業または兵器産業と呼ばれる企業のベスト10である。
 
  防衛庁の装備品契約高上位企業(2000〜2004年年度合計)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー       
1位:三菱重工業  1兆4833億円 
2位:川崎重工業    6319億円 
3位:三菱電機     4934億円 
4位:日本電気     2996億円 
5位:石川島播磨重工業 2467億円   
6位:東芝       2184億円 
7位:小松製作所    1806億円 
8位:富士重工業    1073億円 
9位:IHIエアロスペース 1019億円 
10位:富士通       957億円 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(数字は千田孝之のブログ「ごまめの歯軋り」から引用)

おそらく、2005年から2010年の間の契約高順位も変わっていないと思う。
 
ちなみに、これらの企業では何を生産しているかといえば・・・・・
 
 三菱重工業は(戦車、支援戦闘機、戦闘機、潜水艦、地対空誘導弾など)
 川崎重工業は(輸送ヘリコプター、対戦車誘導弾中等練習機など)
 三菱電機は(地対空誘導弾改善用装備品、中距離地対空誘導弾など)
 日本電気は(音響信号処理装置、師団通信システム、ソーナーなど)
 石川島播磨重工業は(練習機エンジン、戦闘機エンジンなど)
 
少なくとも一般の国民の生活には全く役に立たないものを生産している。
 
当然発注元は防衛省になるのだが、国内だけの需要では頭打ちとなるので、彼らは海外輸出を狙っている。
 
そこで出されたのが「武器輸出三原則」なのだが、これが歴代の内閣によって次第に変節してきている。
 
◆佐藤内閣(1967年)では以下のような国・地域の場合は「武器」の輸出を認めないこととした。
 
 @共産圏諸国向けの場合
 
 A国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
 
 B国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合
 
◆三木内閣(1976年)では、佐藤内閣の三原則にいくつかの項目が加えられた。
 
 @三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない。
 
 A三原則対象地域以外の地域については憲法及び外国為替法及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。
 
 B武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。
 
◆中曽根内閣(1983年)における後藤田正晴官房長官による談話では以下の解釈が付け加えられた。
 
 ◎日米安全保障条約の観点から米軍向けの武器技術供与を緩和することを武器輸出三原則の例外とする。
 
◆小泉内閣(2004年)対米関係では大幅に例外を設けた。
 
 ◎BMD(弾道ミサイル防衛)の共同開発や生産 
 
そして昨年8月、「国民の生活が第一」と主張した民主党が政権交代をはたした。
 
その民主党政府内からは、歴代内閣が曲がりなりにも堅持してきた「武器の輸出の三原則」を見直そうとする気配が強まってきた。
 
  <政府 技術力に危機感 武器輸出三原則 見直し機運> 
 
 他国への武器輸出や技術供与を原則禁止してきた武器輸出三原則について、政府内で見直しの機運が高まってきた。
 背景には、国際的に定着しつつある多国間の武器共同開発に乗り遅れたままでは、日本の防衛力整備に支障が生じるとの危機感がある。     政府は年内にまとめる「防衛計画の大綱」(防衛大綱)に盛り込むことも視野に入れる。 (金杉貴雄)
 
  (以下省略)

     2010年10月16日  
東京新聞
   

実はこの東京新聞の記事がでる3日前には、日本の米軍基地の75%を占める沖縄のメディアから、こんな厳しい意見が示されていた。
<武器輸出三原則 哲学欠いた政権の危うさ>
 
    

 北沢俊美防衛相がゲーツ米国防長官に対し、武器輸出三原則見直しの方針を示し、「(年末までの)防衛計画大綱見直しの中で方向性をつくりたい」と述べた。
 
 北沢氏は1月にも「そろそろ基本的な考え方を見直すこともあってしかるべきだ」と述べている。鳩山由紀夫首相(当時)が「三原則は堅持する」と火消しに回ったため、同じ日の夕方には「問題提起だ(った)」と釈明しているが、今回は国際公約だ。看過できない。
 
 菅直人首相は先の参院予算委で三原則堅持の方針を示している。前首相に続き、現首相も「堅持」と述べている方針を、一閣僚があっさり覆し、外国と約束する。閣内不一致も甚だしい。
 
 しかも、今回は仙谷由人官房長官までが「(見直しの可能性が)全くないとは思わない。21世紀型に見直す必要があるか議論が展開される」と述べており、全くいさめる様子もない。この内閣はたがが外れていると言うほかない。
 
 外国への武器輸出を禁ずるこの三原則の撤廃を、防衛省はかねて求めていた。国際共同開発の流れに取り残され、技術が遅れると同時に、一国単独開発ではコスト高になるというのがその理屈だ。
 
 だが、日本の武器購入費が異常なほど割高なのは、数々の防衛省汚職が示す通り、不透明な随意契約がまかり通っているからではないのか。
 撤廃の主張は、防衛省の制服組や背広組の天下りを大量に受け入れている防衛産業の代弁にすぎないのではないか。そんな疑念がぬぐえない。
 
 三原則撤廃は米国も強く求めている。延長線上にあるのは集団的自衛権の行使であろう。日米の軍事一体化を後押しすることにほかならず、軍拡の種を自らまくようなものだ。
 
 戦後の日本は「死の商人」となる道を慎重に避けてきた。他国の無辜(むこ)の民を殺すのに加担しない、という理念は貴重な財産となってきたはずだ。
 
 政府特別代表としてアフガニスタンで紛争処理をした伊勢崎賢治東京外語大大学院教授は「『日本は武器を輸出しない』を決まり文句に武装解除を進め、掛け値なしに説得力があった。三原則は国益にかなう」と指摘する。
 
 こうした点の検証なしに、米国や防衛産業に言われるまま、国際共同開発に走るのが妥当か。哲学なき政権の危うさをそこに見る。 

   2010年10月13日  
球琉新報     

 
まさに「正鵠を射る」主張であり、オジサンはつくづく、本土メディアとの温度差を感じざるを得ない。
 
また、「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事には、「
日本の軍需産業の不思議な現象」とのタイトルでこんな内容が掲載されている。
 
 ●不思議な現象1 島国に44トンの主力戦車は必要か
 
 ●不思議な現象2 悪い環境の中で軍需産業がたくましく成長
 
 ●不思議な現象3 ローエンドで非常に高価な装備を自主開発
 
 ●不思議な現象の背景 懸命かつ着実に発展する日本の軍需産業

軍事費で世界第二位になっている中国に、余計な警戒と危惧を与えるような「武器輸出三原則見直し」の方針は考え直した方がいいのではないか、とオジサンは思っている。
posted by 定年オジサン at 13:56| 神奈川 | Comment(1) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「武器輸出三原則 見直し決断して国益守れ」と民主党:北沢俊美防衛相がゲーツ米国防長官との会談でが述べ問題ですね?この武器輸出三原則は、日米同盟からも事実上、日本はすべての武器輸出が禁じられた事なのですが、国益の為に菅直人首相も小沢一郎に操られてるのか?日本危うし!国民の為に戦争参戦か?を記事にしてみました。いつもの"おもしろ写真"では「テロ・海賊対策の自衛隊派遣をアニメ:ワンピースのモンキー・D・ルフィで!」「アメリカに煽られ、国益の為に戦闘機・ミサイル防衛の共同技術研究?」「菅首相が小沢一郎に人形みたいに操られてる画像」「佐藤栄作首相が平和表明した武器輸出三原則で悲惨な写真」等を貼ってみました。戦争反対の国民に対して悪党:民主党の輩は何を考えてるんでしょうかね〜?遊びに来て下さい。<m(__)m> (^_-)-☆ トラックバックをさせて戴きたく思っております。<m(__)m>
Posted by 智太郎 at 2010年10月20日 09:28
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