2017年05月14日

「常軌を逸している」安倍晋三首相には真っ当な批判を!

長きにわたって竹下登や野中広務といった経世会議員の番記者を務めてきた、「リベラル保守」のポジションにあった人物。

それが第二次安倍政権発足後は安倍晋三首相と会食する一方で、テレビでは安倍政権の擁護をダラダラと繰り返すようになったのが、「報道ステーション」(テレビ朝日)コメンテーターの後藤謙次。
 
昨年3月末で、官邸から名指しで「辞めさせろ」と言われたかどうかは定かではなかったが、少なくとも一定の節度を持って政権批判をしていた3人のテレビキャスターがほぼ同時に担当していた番組を降ろされていたことは周知の通りである。
 
「報道ステーション」メーンキャスター、古舘伊知郎とTBS「NEWS23」アンカー、岸井成格、そして後を追うようにNHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスター。
 
そしていずれの局の当該番組は、後任のキャスターによって、気の抜けたサイダーかまたは「泡の無くなったノンアルコールビール」のような内容になったと多くの視聴者から批判の声が上がっていた。
 
とりわけ「報道ステーション」はメインキャスターの交代と共にコメンテーターの人選もそれまでの朝日新聞の論説委員らを排除して無難な、決して政権批判をあからさまにしないコメンテーターを起用し始めた。
 
その一人が、冒頭の後藤謙次であった。
 
たまにチャネルを合わせた時に見た「報道ステーション」での後藤謙次の解説を見てうんざりしたことがあった。
 
そんな後藤謙次が最近、発言の内容に変化をきたしている。
 
『安倍政権はタガが外れている』『報道ステーション』後藤謙次の安倍批判がキレキレ! 御用記者に何が?」の記事を元に時系列に後藤謙次の発言をまとめてみた。
 
■4月5日(共謀罪について)
 「まだ実行行為に至らない、その準備段階で捜査対象にするという法律ですから、仮にこの法律が成立すると、それを支えるものは何かと言えば、すべて情報なんですね。そうすると情報を得るために何をするのか。たとえば会話を盗聴する、電話を傍受する、あるいはおとり捜査をするといった情報手段の法整備がどんどん広がっていく」
■4月6日(同上)
 「警察幹部のOBですら、『テロについてはもうすでに既存の法律で十分対応できる』と言っているんですね。共謀罪については13、予備罪については27もの法律がすでに存在していると、こう言っている」 
■4月12日(森友学園疑惑)
 「森友問題というのは安倍総理にしか収束できない。誰が説明しても、誰も納得できない」
 「安倍総理は委員会の場できちんと釈明・説明するか、あるいはこの問題に限った記者会見を行うべき」

■4月17日(共謀罪について)
 「どんどんどんどん捜査手段が拡大していく。それが取り返しのつかない事態を招く」
 「自分が監視されている、見られているという思いをするだけで、立派に抑止力というのは働いてしまう。そうすると一億総監視社会ができあがってしまうと。非常に恐ろしいと思いますね」
 「『まったくない』というのは安倍総理が国会答弁でしばしば使うものですが、そういう強引な押し切り方で果たしてこの法律を通していいのかと、ずっと懸念が膨らむ」
 「とくに私が非常に心配なのは、北朝鮮情勢の緊迫化に伴ってですね、日本全体のなかにこの『テロ等準備罪』という名称に引きずられたような法案を積極的に容認しようという空気があるということ。逆にこういうときこそ、一歩留まって、慎重に考えるべきだと思うんですね」

■4月19日(金田法相について)
 「呆れて物が言えない。大臣がきちっと説明できないような法案を国民に理解しろということ自体がどだい無理な話」
 「与党側が一方的に官僚の局長を呼ぶための議決をするという、前代未聞の出来事」
 「ほんとうに法案を通したいと政府が熱望しているのなら、まず大臣を変えて、そして国民にきちっと説明、意見できる人が座ってからにしてもらいたい」

■4月25日(今村復興相更迭について)
 「辞任は当然というか遅きに失した」
 「『自主避難者は自己責任』発言自体で更迭理由は十分にあった」
 「政治自体が上から目線、そして権力をもっている人たちのおごりというのが今回、端的に表れた」
 「いまの政権はタガが緩んだのではなくタガが外れている」
■5月1日(海上自衛隊による米艦防護に対して)
 「緊急性のないデモンストレーション」
 「安倍さんが指摘したのは国内向けに非常に特殊なケースを説明して、我々はそのイメージで頭が固まっていた。それで大きく説明責任を果たしていると言えるのか」

■5月7日(安倍晋三首相の新憲法施行宣言に対して)
 「総理の政治的な思惑のなかで、日程や中身を決めていいということはないんです」「(安倍首相の発言は)99条の憲法遵守義務に反すると指摘する人もいます」 
■5月8日(「読売を熟読しろ」発言について)
 「自民党総裁としての立場と内閣総理大臣の立場は違うんだと。その使い分けの一つの舞台装置として読売新聞を使ったと、こう言っているようなもの」
 「はっきり言えば『メディアの私物化』と言ってもいい」

■5月9日(参院予算委員会の集中審議について)
 「きょうに限らず、このところ予算委員会の劣化というのは目を覆うばかり」
 「その問題点の核心というのは、やはり安倍総理の答弁にある」
 「都合が悪くなるとはぐらかしたり焦点をずらしたり、あるいはヤジに対応して茶々を入れたり、その『真摯な態度がない』というところが、いまのこの予算委員会の劣化の最大の要因」
        
■5月11日(五輪がらみの安倍晋三首相の発言に対して)
 「頻繁に自らの内政を推進するために東京五輪の名前を出している。これはある面で、『五輪の政治利用』と言われても仕方がない」
 
同記事では最後に、「メディアの私物化、五輪の政治利用、憲法遵守義務違反、真摯な態度ゼロ──どれも現在の安倍首相の暴走を目の当たりにしていれば“出てきて当たり前”の指摘ばかりではあるが、現在のメディア状況を考えれば、名指しで安倍首相をきちんと評する後藤氏のコメントは、じつに貴重なものと言えるだろう。」というほど、「常軌を逸している」安倍晋三首相を真っ当に批判できないメディアへの危機感を募らせていた。
 
「リベラル保守」や純粋な「リベラル」ジャーナリストやコメンテーターは世に多く存在するのだが、残念ながら彼らは、官邸の顔色を常に伺っているマスメディアの幹部によって、家庭の主婦たちが多く見ている民放テレビの情報番組からは排除され、みんなネットの世界に入ってしまった感がある。
 
従って、共謀罪も「テロ対策」に必要で、一般の人には無関係、さらには2020年東京五輪開催には必要という、安倍晋三のプロパガンダによって、共謀罪に関しては国民の賛否は拮抗している有様である。
 
後藤謙次よりもっと強い保守の老ジャーナリストが最近、こんなことを言ってネットを賑わしている。
 
さて、安倍内閣のポンコツ閣僚連中の失言、放言、暴言が続いているのだが、かれらの任命責任者の安倍晋三首相は口先だけで責任の取り方をしらないらしい。
 
そして知らないのは、それだけではなく「基本的」な言葉の使い方も理解していないようである。
 
国会の答弁に関して、先月19日の「そもそも」答弁に関しては、「首相 大丈夫?答弁の解釈、辞書になく…言葉の粗雑さ露呈」とあからさまに批判されていたが、本来ならば素直に言い直せば済んだものを、なまじ自分で「辞書を調べた」ようなことを言ってしまい、今度は政府として庇わなければならず、遂に、民進党の初鹿明博氏が質問主意書に対して、「安倍首相 『そもそも』用法、政府が答弁書で正当化」という前代未聞のことをしてしまった。

毎日新聞の校正記者である岩佐義樹は、「頭が混乱した」と、「『そもそも』=『基本的に』閣議決定 文法的に『どだい」無理』」という記事を書くほどであった。
 
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【毎日新聞より】

 
ノンフィクション作家の保阪正康は歴代首相の施政演説方針を比較して、「ともすれば改正論者の中には、『押しつけ憲法』とか『占領憲法』と平気でレッテルを貼る者も見られるが、それが吉田茂をはじめ先達たちをいかに愚弄(ぐろう)しているかを知るべきであろう。どこをどう変えるかではなく、改正のみを主張するのもまたこうした愚を犯しているといっていいのではないかと私には思えるのである。」と言っている。  
  
<昭和史のかたち 歴代首相と憲法=保阪正康>
 毎日新聞 2017年5月13日 東京朝刊
 戦後日本肯定する施政方針演説
 安倍晋三首相はこの5月3日にも、憲法改正の意志をあらわにし、それも2020年という時間を設定しての覚悟を示した。近代日本の首相の中で、これほど改正それ自体を強調し、どこをどのように変えるかの論点を明確にしない首相も珍しい。まず「改正ありき」では、論戦そのものが逆立ちしているように思えるほどだ。
現在の憲法が制定されて以来、首相は吉田茂から安倍現首相まで31人に及ぶが、これほど改正のみを叫ぶ人物はこの31人の中に、安倍首相以外ひとりもいなかった。確かに、岸信介、中曽根康弘らは改正を口にしたが、それでもそこには自制が感じられた。私自身そのことに関心を持ち、特に憲法制定以来、昭和という時代に首相の座にあった15人(吉田茂から竹下登)の施政方針、所信表明の演説文を丹念に読んでみた。社会党の片山哲を除いてすべてが自民党とそれに連なる保守系ということになるが、しかしそこには微妙な違いがいくつもあると気づいた。つまり戦後日本の歩んだ道は、この憲法によってつくられてきたとの強い認識を持った。
 たとえば田中角栄は、1972年10月28日の所信表明演説において、「戦後四半世紀にわたりわが国は、平和憲法のもとに、一貫して平和国家としてのあり方を堅持し、国際社会との協調融和のなかで、発展の道を求めてまいりました。わたくしは、外においては、あらゆる国との平和維持に努力し、内にあっては、国民福祉の向上に、最善を尽くすことを政治の目標としてまいります」と語っている。福田赳夫にしても、77年1月31日の施政方針演説で外交・経済政策を訴えたのち、その末尾で憲法には直接触れないにしても、国民の皆様も「いたずらな物欲と、自己本位の欲望に流されがちの世相から訣別(けつべつ)」しようと呼びかけて、次のように断じている。
 「この日本の国土の上に、世界中の国々から信頼と敬意をかち得るように、真に安定した文明社会をつくり上げようではありませんか」
 このように自民党の首相演説を読んでも、現憲法がつくりあげた戦後日本という空間そのものを肯定的に捉えていることがわかる。
 中曽根康弘は83年1月24日の施政方針演説のなかで、「わが国の戦後の発展は、何よりも新憲法のもたらした民主主義と自由主義によって、日本国民の自由闊達(かったつ)な進取の個性が開放され、経済社会のあらゆる面に発揮されたことによるものであります」と極めて明快に説いている。
 吉田茂は現憲法制定を直接に進めた首相だが、第1次内閣組閣時の46年6月21日の議会(このときはまだ帝国議会だったが)で、民主主義と平和主義の実現を目指し、「憲法ノ改正ヲ待ツマデモナク、軍国主義ト極端ナル国家主義トノ色彩ヲ完全ニ払拭(ふっしょく)シ、其(そ)ノ将来ニ於(お)ケル再生ヲ防止スル為(ため)」に努力することを約束している。片山哲、芦田均らもその方向を明確にしている。つまり憲法制定時の首相たちは積極的に自らも関わりをもち、この憲法を守ること、そして憲法の精神を生かすこと、軍国主義復活を許さないこと、を憲法を論じるときの姿勢に据えていることがわかってくる。
 ともすれば改正論者の中には、「押しつけ憲法」とか「占領憲法」と平気でレッテルを貼る者も見られるが、それが吉田茂をはじめ先達たちをいかに愚弄(ぐろう)しているかを知るべきであろう。どこをどう変えるかではなく、改正のみを主張するのもまたこうした愚を犯しているといっていいのではないかと私には思えるのである。
 昭和30年代の、いわゆる55年体制成立後しばらくの首相演説は確かに憲法の精神にそれほど触れていない。鳩山一郎は自主憲法の制定を主張したが、55年体制成立直前の同年1月22日の施政方針演説では、その改正には慎重を期すべきであると前置きをして断じている。
 「政府といたしましては、国民各層の意見を十分に徴して、子細にその内容を検討し、平和主義、民主主義の原則を堅持しつつ、最もわが国情に適するごとく改善の方途を講じなければならない」
 改正するにしても国民総意のもと、その方向は前向きにということである。
 石橋湛山は特に憲法に触れていない。その施政方針演説(57年2月4日)は、石橋が病で倒れたために岸信介首相臨時代理が原稿を代読する形になっている。ハト派の演説をタカ派が代読したわけだ。石橋退陣後に、岸内閣が成立するが、同年2月27日の所信表明演説では、石橋内閣の施政方針を引き継ぐと言っている。憲法観では石橋と異なっていたので、就任時にはあえて触れなかったのであろう。
 保守系内閣の中でもっとも明確な憲法観を打ち出した首相は鈴木善幸で、80年10月3日の所信表明演説では、「私は、今後とも、憲法の定める平和と民主主義、基本的人権尊重の理念を堅持し、国民の優れた力を結集して、わが国の将来を確かなものにしてまいりたい」と宣言している。こういう演説に触れると、月並みな護憲派、改憲派という分け方に改めて疑問がわいてくるのである。
 
「メディアの私物化、五輪の政治利用、憲法遵守義務違反、真摯な態度ゼロ、漢字読解力ゼロ」という安倍晋三首相に知性を求めるのは、いつも言われているように「八百屋で魚を求めるようなこと」なので、「どだい無理」な話しだが、国民にとって最大の不幸なのは、歴代の首相と大きくその憲法観が異なっているということである、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:53| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | マスメディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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