2017年05月15日

本土復帰45年、もう自立してもいい頃だ

またもや北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射したらしいのだが、今回のミサイルは通常より高い高度に打ち上げる「ロフテッド軌道」をとったとみられ、実際の射程は4000キロを超える可能性があり、その場合、米軍のグアム基地が射程に入るという。
 
新型ミサイルを開発すればどこの国でも発射実験を行うし、現在の核保有国もすべて核実験を何回も行っている。
 
最近では米国も大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行ったという報道もあったが、もちろんこれは北朝鮮に対する牽制なのだが、2度も行っていながら、どこの国も、誰も批判はしていない。  
 
◆4月26日未明 「北朝鮮危機のさなか、米空軍がICBM発射実験
◆5月3日    「米軍が大陸間弾道ミサイル発射実験 北朝鮮を牽制か
 
現在の核保有大国は、米・中・露・英・仏のいずれも戦勝国なのだが、現在は休戦中だが朝鮮半島は戦時体制であり、朝鮮戦争は続行中という状況の中で、北朝鮮も小国ながらも事実上核保有国となり、国際外交上の「カード」を持つことになったので、国として早く認めてほしいとの米国への熱い思いかもしれない。
 
そんな中での日本の立場と役割は全く自立性と主体性がなく、米国追随姿勢にしがみ付いている。
 
元外交官のこの人は、分かり易くその辺りを解きほぐしていた。
 
<北朝鮮の瀬戸際外交のゲームに参加できない安倍首相の日本>
 2017.5.15 天木直人ブログ
・・・前略・・・
 果たしてこれから北朝鮮状況はどう展開していくのか。
 こればかりは私も分からない。
 しかしはっきりしている事がある。
 それは、北朝鮮はもとより、韓国も中国も米国も、そしてロシアでさえも、自らの国益を実現するという目標に向かってそれぞれのカードを持って、この一大外交ゲームに参加しているということだ。
 北朝鮮は文字通り金正恩体制の生き残りかけて引き下がる事の出来ない瀬戸際外交を高めている。
 たったいま北朝鮮はミサイル発射の成功を発表したというニュースが流された。
 攻撃されればやり返す。その能力を持っている。そうなれば皆が破滅する。もはや核保有国の北朝鮮を認めるしかない、そうメッセージを送り続けているのだ。
 韓国は民族統一という他の国にはない悲願がある。
 何といっても北朝鮮問題のもう一人の主役は韓国なのである。
 中国は北朝鮮とともに米国と朝鮮戦争を戦った血の同盟国だ。
 米国と世界を二分すると言い出すまでに増長した中国は北朝鮮にとってみれば裏切りだ。
 いち早く核兵器を保有し、どんどんと軍拡を進める中国が北朝鮮に対してどの面さげて核兵器を放棄しろと言えるのか。
 そう北朝鮮に痛罵され、返す言葉はない。
 しかも今の北朝鮮は中国との戦いすらおそれないだろう。
 中国は何があっても話し合いで解決したいはずだ。
 そして米国だ。
 なにしろ北朝鮮のすべての目的は米国によって体制を保証してもらう事だ。
 米国がそれに応じれば北朝鮮問題はあっという間に解決する。
 その米国はいまトランプ大統領の米国だ。
 トランプ大統領の一存ですべてが決まる。
 そしてトランプが最優先するのは米国経済の為になる事だ。
 米朝対話に豹変することは十分ありうる。
 プーチンのロシアはいまや北朝鮮の唯一の支援国だ。
 それを誇示する事によってここぞとばかりに北朝鮮危機を自国のために最大限利用しようとするだろう。
 
すべてが北朝鮮の仕掛けた瀬戸際外交にそれぞれのカードと思惑を持って参加しようとしている

 そんな中で安倍首相の日本は何もない。
 ひとり外交ゲームの埒外にある。
一番怒って、圧力をかけろと叫んでいるごとくだ

 場違いも甚だしい。
 今度の北朝鮮危機ではっきりしたことは、北朝鮮が核とミサイルを保有した国になった時点で戦争は出来なくなったということだ。
 北朝鮮がどんなに許しがたい国であるとしても、共存するしかない。
 それこそが憲法9条の精神が世界に求めるものだ。
 その憲法9条を否定して、蚊帳の外から、ひとり北朝鮮に圧力をかけろと叫び続ける安倍首相は、そのうちお前は黙って引っ込んでいろ、と言われるのがオチだ。
 北朝鮮の危機に、もっとも重要な役割を果たせるはずの憲法9条を持つ日本が、間違った歴史認識と、憲法9条否定で、もっとも役に立たない立場に追いやられている。
 これほどの外交失態はない。
 誰かがその事実を大声で叫ばなければいけない(了)
 
本来ならば、地政学的にも、日本は米朝の間に立って、交渉の主導的立場を握るような外交戦略を駆使すべきであろう。
 
それができず、米国の尻馬に乗って朝鮮半島の危機を煽るだけでは、中国や韓国にとってはそんな日本の存在が迷惑この上ないと思われてしまうかもしれない。 
 
いずれにしても、日本の将来を左右するような国益のかかったタフな外交経験がない安倍晋三首相にとっては、「どだい無理」な話しであろう。
 
ところで、中国の思想家であり哲学者の孔子には3,500人もの弟子がいて、孔子の言葉を弟子たちがまとめた論語には「15歳:立志、30歳:而立、40歳:不惑・・・」とあり、人間は30歳で自立し、40歳では心に迷うことなくと、自分の生き方や行動に従い人生を生きていけると解釈されている。
 
その不惑から5年も過ぎても、実質的に国から自立できない人々が存在する。
 
1945年の敗戦後、米軍の占領下に置かれていた沖縄が、その27年後の1972年に本土に復帰して45年が経った。
 
<沖縄本土復帰45年 今なお遠い憲法 安保優位、続く米軍特権>
 2017年5月15日 朝刊 東京新聞
20170515okinawa_kenpourekisi.jpg
 
 沖縄県が1972年に本土復帰してから15日で45年。復帰を願った県民の希望は、沖縄が本土と対等に日本国憲法に守られる存在になることだった。だが、沖縄は70年前の憲法制定・施行時も、復帰を待つ間も、そして復帰後も、憲法から遠く離れた位置に置かれ続けている。 (村上一樹)
 「政府は(沖縄)県民の代表が帝国議会において失われんとするに当たりまして、あらゆる手段を尽くし、これを防ぎ止めねばならぬ」
 終戦直後の45年12月の帝国議会。沖縄県選出の漢那憲和(かんなけんわ)氏は衆院の委員会で訴えた。米軍占領下となった沖縄県の人たちの選挙権が停止されようとしていたからだ。漢那氏の願いは届かず、沖縄の代表が不在となった46年、現憲法を審議した「制憲議会」が開かれた。
 仲地博・沖縄大学長(憲法、行政法)は当時の状況を「沖縄の声を聞くという姿勢は全くなかった。トカゲのしっぽ切りのように国のために処分されていい地域だった」と話す。
 憲法の施行から25年間、憲法がなかった沖縄では県民の生命や生活が侵され、言論や表現の自由も制限された。県民は米軍統治に抵抗し、本土復帰運動を起こした。仲地氏は「憲法が示す普遍的な価値が、沖縄では侵害されていた。その回復を求める運動に憲法は最も優良な武器だった」と指摘する。
 一方、本土では沖縄が復帰を求めている間も54年の自衛隊発足、60年の日米安全保障条約改定と日米の軍事同盟関係が整備・強化された。「合憲」とする政府解釈のもと、平和主義と戦力不保持をうたう9条の精神はないがしろにされていった。
 小林武・沖縄大客員教授(憲法、地方自治法)は県民の思いについて「日本政府が憲法を変えたいと思っていたことも、当然知っていた」と語る。それでも復帰を望んだのは「普遍的な価値を持つ憲法は、沖縄でこそ真の姿を取り戻せるという確信(があった)」と分析する。
 現実は厳しかった。復帰後の沖縄は、名護市辺野古(へのこ)の新基地建設が進むなど国内の米軍基地負担の大半を担わされ、駐留米軍による事件・事故も続いている。小林氏は「安保条約を沖縄も適用することで、占領下の米軍の特権、地位を引き継いだ。憲法が適用されても安保と二元的な法体系、より実体的には、憲法は安保の下にある」と語る。
 ■漢那憲和氏の発言
(1945年12月・第89回帝国議会) 帝国議会における県民の代表を失うことは、その福利擁護の上からも、また帝国臣民としての誇りと感情の上からも、まことに言語に絶する痛恨事であります。
 (中略)
 このたびの戦争において沖縄県の払いました犠牲は、その質においておそらく全国第一ではありますまいか。この県民の忠誠に対して、政府は県民の代表が帝国議会において失われんとするに当たりまして、あらゆる手段を尽くし、これを防ぎ止めねばならぬと存じます。
 
在京の大手紙では、毎日新聞・社説が「沖縄復帰45年と安倍政権 『償いの心』をかみしめて」というタイトルだったが、朝日新聞は一般記事扱いで、「沖縄復帰45年、最高の好景気 米軍基地負担は依然重く」と「最高の景気」が先にきている内容。
 
残念ながら、というのか予想通りというのか、政府広報紙の讀賣新聞や政権擁護紙の産経新聞などは沖縄関連記事は一切無し。  
 
赤旗は、「県民の尊厳どこに きょう沖縄復帰45年 やまぬ米軍機事故 709件」と現実的内容。
 
ここは、やはり地元2紙に語ってもらう。 
 
<きょう沖縄復帰45年 基地の過重負担いまだ>
 2017年(平成29年) 5月15日 沖縄タイムス
 沖縄の施政権が米国から日本に返還された「沖縄県の本土復帰」から15日で、満45年を迎えた。在日米軍専用施設面積の割合は1972年の58.7%から、最大で75%にまで膨らみ、昨年12月には北部訓練場のうち4千ヘクタールが返還され、70.6%とわずかに減ったが依然、基地の過重負担がのしかかったままだ。
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設で、翁長雄志知事は「沖縄戦で奪った土地を返すのに、新たな土地を沖縄側で用意しろというのは理不尽だ」と反対姿勢を貫く。政府は意に介さず先月25日には、埋め立て本体工事に着手した。対立の溝は深まっている。
 この1年間で、元海兵隊員による女性暴行事件やAV8BハリアーやMV22オスプレイの墜落、恩納村での流弾事件など「基地がある故の事件・事故」が続発。在沖縄米軍基地の面積の7割、兵力の6割を占める海兵隊の撤退を求めるなど、具体的な動きが出ている。
 経済では、年間の有効求人倍率が復帰後初めて1倍を超え、完全失業率も4%台で推移。主要産業の観光を中心に「自立型経済」構築への兆しが出ている。
 沖縄振興法に基づき、県が初めて主体的に策定した沖縄21世紀ビジョンの折り返し点となる。所得格差の解消や子どもの貧困対策、大型MICE施設を中心とした産業施策の推進、米軍基地の跡利用計画などの課題に取り組むことになる。
 
沖縄タイムスからは在京紙の朝日新聞並みに、県民の心底からの怒りの声が聞こえてこないようである。
 
自民党や右派の連中から嫌われている琉球新報が沖縄の現状を的確に伝えていた。 
 
<きょう復帰45年 溝深める政府の強権 「国策の手段」にはならない>
 2017年5月15日 06:02 琉球新報
 1972年5月15日の日本復帰から45年を迎えた。当日の記念式典で屋良朝苗知事は「沖縄が歴史上、常に手段として利用されてきたことを排除して、平和で豊かな県づくりに全力を挙げる」と述べた。その決意は実現しただろうか。
 復帰後も改善されない最たるものは米軍基地の重圧だ。事件事故も後を絶たない。しかし、ここ数年の政府の姿勢を見ていると、負担軽減に取り組むどころか、沖縄との溝を自ら深めているように映る。沖縄の民意を無視し、力技で抑え込もうとする強権的政治だ。沖縄を再び国策の手段として扱うことは断固として拒否する。
高まる「不平等」感
 県民にのしかかる基地の重圧は、本紙の県民世論調査結果が如実に示す。復帰して悪化した点として「米軍基地の被害が増えた」が43.7%と初めて最多になった。国や県に望む施策でも「米軍基地の整理縮小と跡利用」が44.6%と過去最も多い割合になった。米軍基地の沖縄集中については70.0%もの県民が「不平等」と感じ、不条理に強い不満を募らす。
 辺野古新基地問題では、県民は数々の選挙で反対の民意を明確に示してきた。にもかかわらず、政府は沖縄の声に耳を傾けず、「辺野古が唯一」とばかり繰り返し、思考停止に陥っている。東村高江集落近くでのヘリパッド建設強行や辺野古新基地工事では、圧倒的な警察権力で市民運動を抑圧し、不当な長期勾留まで招いた。
 一方で、政府は沖縄の状況に詳しくない県外の人たち向けに、恣意(しい)的に説明する傾向も目立つ。昨年12月のオスプレイ墜落では、日米両政府とも「不時着」と矮小(わいしょう)化した。2012年の沖縄配備以来、県民が指摘し続けてきた危険性への対応をうやむやにした。
 昨年12月の北部訓練場の約4千ヘクタール返還では誇張が目に余った。米軍にとって不要な土地を返し、集落周辺へのヘリパッド新設・集約化を図ったのが実態だが、「負担軽減に大きく寄与」と印象操作した。
 沖縄の苦悩に真摯(しんし)に向き合わず、基地問題の本質から目を背けている例は他にもある。
 昨年、元米海兵隊員の米軍属による痛ましい女性暴行殺害事件が起き、県民は悲しみと怒りを共有した。基地の存在を揺るがす大きな事件だったが、政府が再発防止策として出してきたのは、軍属の範囲縮小やパトロール隊の巡回増加だった。米軍駐留という根本原因には踏み込まず、実効性が疑わしい小手先の対応に終わっている。
際立つ「沖縄ヘイト」
 本土との溝で言うと、近年、事実をゆがめる「沖縄ヘイト」が際立っているのが懸念される。インターネット上のデマや中傷に加えて、ついに地上波テレビでも偽情報を流布させるようになった。一部の動きとは言え、この兆候は国民に与える影響を考えると由々しき事態だ。正しい沖縄の状況を全国に伝えていく必要がある。
 「沖縄の経済は基地に依存している」との風説も、間違った認識の一つだ。復帰直後に県民総所得の15%だった米軍基地関連収入は、5%台まで落ちた。基地経済の限界ははっきりしており、もはや基地は経済発展を阻害する最大要因でしかないというのは県民にとっては常識だ。
 観光業の伸びは目覚ましく、沖縄経済を力強くけん引している。他にも、IT企業の増加や那覇空港の国際貨物ハブの成功が効果を上げている。沖縄は経済成長率も全国トップクラスの伸びで、長年の課題であった「自立経済」は輪郭が見えてきた。こうした正しい沖縄像を伝え、県外との認識の溝を埋めていかないといけない。
 米統治下で、沖縄は圧制を受けながらも人権や自治、民主主義を自らの手でつかみ取ってきた。日本政府の強権に対しても、粘り強く民意を示し、あらゆる手段で抵抗し続ける必要がある。それは「国策の手段」にならない沖縄の未来を描くことにもつながる。
 
「沖縄の経済は基地に依存している」と本気で思っている本土の連中は多い。
 
それでも沖縄出身のジャーナリストや有識者の話を聞く機会があれば、沖縄は「基地経済の限界ははっきりしており、もはや基地は経済発展を阻害する最大要因でしかないというのは県民にとっては常識」という現実を肌身で知ることになり、それを国内に広めることが「基地の沖縄」から基地のない沖縄に解放する大きな手助けになるのではないだろうか、とオジサンは思う。   

posted by 定年オジサン at 12:16| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 辺野古新基地問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月06日

領有権と施政権、そして沖縄辺野古

昨夜8時過ぎに千代田区長選挙の出口調査の結果、予想通をはるかに上回る結果となった。
 
現職の石川区長が4年前の得票数の倍近い票を集めて圧勝。
 
「代理選挙」と言って憚らなかった小池百合子都知事の人気に支えられた当選だった。
 
マスメディアは「代理戦争」と囃し立てていたが、あくまでも都議会で過半数を占めることしか念頭にない小池百合子都知事が、自民党の古参都議の地元に入り込み、自民党支持層の60%以上から石川票を集めた。
 
区長選に応援した自民党のヤメ検の若狭勝衆議院議員は下村博文都連会長から厳重注意を受けたらしいのだが、昨年7月に、二階俊博幹事長から口頭で厳重注意を受けておりこれで2度目の「イエローカード」であり、サッカーの試合ならばこの2枚目のカードで即「レッドカード」になるところ、処分できない自民党の深慮遠謀が見え隠れする。
 
なにしろ小池百合子都知事は、安倍晋三首相との新年あいさつで「衆院選では自民党を応援する」ということ言ったことが明らかにされ、あわてて否定会見を行ったことがあった。
 
いかにも守旧派の自民党に対して改革側勢力が勝利したかのようなメディア報道が多かったが、スポーツの世界に例えれば「自民Aチーム」vs「自民Bチーム」という「紅白戦」にしか過ぎなかったわけであり、別に野党共闘でもなければ反自民勢力が立ち上がった結果ではないことは明らかである。
 
自民党員の小池百合子というやりてのベテラン役者が、都民好みの大衆劇場を開いて仲間内で悪役を決めて自分が正義の味方を演じているといったところであろう。
 
され、連日連夜、朝からツイッター弾を撃ち放っていい気になっている米国トランプ大統領と安倍晋三首相との「日米首脳会談」に向けての恫喝外交の一環として、マティス国防長官が来日したのだが、その前のNHKの報道の仕方が異様であった。
 
<首相 米国防長官と尖閣への安保適用を確認へ>
 2月3日 16時37分 NHKニュース
 安倍総理大臣は衆議院予算委員会で、3日夕方に行われるアメリカのマティス国防長官との会談で、沖縄県の尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されることを確認するとともに、強固な同盟関係を内外に示したいという考えを示しました。
この中で、安倍総理大臣は、アメリカのマティス国防長官との会談について、「アメリカとの間では累次の機会に、『尖閣諸島には、日米安保条約が適用される』との立場を確認してきているが、わが国としては、日米安保条約に対するアメリカのコミットメントを信頼している。当然、このことも確認していきたい」と述べ、沖縄県の尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されることを確認したいという考えを示しました。
・・・後略・・・
 
日本からの「おもいやり予算が少ない」ので駐留米軍の引き上げも辞さないという訳の分からぬことを口走ったトランプ大統領に対して外務省や首相周辺が本気に怯えてしまったことに対して、実は・・・というストーリーが用意されていたらしい。
 
<日米安保条約の尖閣適用を確認 マティス氏「日本の施政損ういかなる行動も反対する!」>
 2017.2.4 01:30 産経新聞
 安倍晋三首相は3日、官邸でマティス米国防長官と会談した。マティス氏は、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲に尖閣諸島(沖縄県石垣市)が含まれると明言。中国を念頭に「尖閣諸島は日本の施政下にある領域。日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と表明した。「核の傘」を含む拡大抑止力の提供にも言及した。安倍首相は「日本は防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていく方針だ」と述べた。
 安倍首相がトランプ米政権の閣僚と会うのは初めて。首相は「トランプ米政権との間でも日米同盟は揺るぎないことを内外に示せると確信している」と強調。マティス氏は「米国は100%、安倍首相、日本国民と肩を並べて歩みを共にすることについて一切誤解の余地がないことを伝えたかった」と述べた。
 安保条約第5条について、マティス氏は「北朝鮮など直面するさまざまな課題に対し、1年前、5年前と同じように第5条は重要であることを明確にしたい。5年先、10年先でも変わらない」と強調した。
 マティス氏は、日本の安全保障関連法の成立を評価。沖縄県の米軍基地負担軽減に伴う普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に関しては「2つの案がある。1つが辺野古で、2つが辺野古だ」と述べ、辺野古移設が唯一の方策とする日本政府の立場と足並みをそろえた。
・・・中略・・・
 トランプ大統領が選挙期間中に増額を求めた在日米軍駐留経費に関しては、安倍首相とマティス氏の会談を含む一連の会談では話題に上らなかった。
 
こんな当たり前のことを言いにわざわざ来日したのではあるまいマティス米国防長官。
 
あらためて「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」の第5条をひも解いてみる。
 
「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」
 
これを素直に読めば、米国が米兵の血を流してまで日本を守る義務はどこにも書いていない。
 
あくまでも「共通の危険に対処」するだけである。
 
しかも、米国は自国の「憲法上の規定と手続きに従って」対処するとあり、それは当然、米国議会が承認しなければ対処できないことである。
 
そして、今度のマティス国防長官も、いままでの米国の立場から一方も踏み込まなかった。
 
いままでの立場とは、尖閣諸島の領有権については日中両国間の問題とみなしている。
 
即ち、米国は領有権の有無には関与せず、実効支配という施政権があれば第5条の適応範囲だと言っているに過ぎない。
 
「尖閣諸島問題」に関する「アメリカの立場」は下記のようになっている。
 
アメリカは尖閣諸島を日本へ返還する際、中台両国の領有権主張にも配慮し、主権の帰属については判断を避けた。1972年5月に、アメリカニクソン政権でキッシンジャー大統領補佐官の指導の下、ホワイトハウス国家安全保障会議において「尖閣諸島に関しては(日中などの)大衆の注目が集まらないようにすることが最も賢明」とする機密文書をまとめた。同年2月に訪中に踏み切ったニクソン政権にとって歴史的和解を進める中国と、同盟国日本のどちらにつくのかと踏み絵を迫られないようにするための知恵だった。この機密文書には、日本政府から尖閣諸島が日米安保条約が適用されるかどうか問われた際の返答として「安保条約の適用対象」と断定的に答えるのではなく「適用対象と解釈され得る」と第三者的に説明するように政府高官に指示している。
1996年9月15日、ニューヨーク・タイムズ紙はモンデール駐日大使の「米国は諸島の領有問題のいずれの側にもつかない。米軍は条約によって介入を強制されるものではない」という発言を伝え、10月20日には大使発言について「尖閣諸島の中国による奪取が、安保条約を発動させ米軍の介入を強制するものではないこと」を明らかにした、と報じた。この発言は日本で動揺を起こし、米国はそれに対して、尖閣は日米安保5条の適用範囲内であると表明した。米国政府は1996年以降、尖閣諸島は「領土権係争地」と認定(「領土権の主張において争いがある。」という日中間の関係での事実認定であって、米国としての主権に関する認定ではない。)した。その一方では、日本の施政下にある尖閣諸島が武力攻撃を受けた場合は、日米安保条約5条の適用の対象にはなる、と言明している。
 
どうやらマティス国防長官の訪日は仕組まれた日米同盟強化の猿芝居と見る向きが強そうである。
 
肝心の増額を求められた在日米軍駐留経費に関しては一連の会談では一切話題にならなかったという報道からして、明らかにできない「密約」があったと推測することは決して間違ってはいない。
 
さらに特徴的なことは、沖縄県の米軍基地負担軽減に伴う普天間基地のかわりに名護市の新辺野古基地建設に関して「2つの案がある。1つが辺野古で、2つが辺野古だ」とあえて言ったという報道がいかにも出来レースである。
 
そしてさっそく唯一の選択肢の辺野古への「サンゴ破壊の環境テロ決行」が始まった。 
  
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掘削調査船『ポセイドン』(4,015トン)。仕様書によると海面から3,000m下まで掘削調査可能。民間企業による運用は日本初という。海の神がサンゴに穴を開け傷つける。=5日午後1時45分頃、大浦湾 撮影:【田中龍作ジャーナルより】
 
辺野古きょう海上本体工事着手 大型ブロック228個投下へ

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沖縄県名護市辺野古の沿岸部に到着した、コンクリート製ブロックを積んだ台船。奥は米軍キャンプ・シュワブ=5日(小型無人機から)

 
<防衛局、海上工事に着手 辺野古新基地建設>
 2017年2月6日 09:53 琉球新報
20170206oourawan.jpg 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は6日午前8時40分ごろ、海上の本体工事に着手した。沖縄防衛局が琉球新報の取材に明らかにした。5日に名護市大浦湾の臨時制限区域に到着した作業用の船団のうち、大型クレーン船1隻が6日午前9時15分ごろ、土のうとみられるものをつり上げる作業を始めた。今後、クレーン船は大型コンクリートブロックを積んだ台船から、クレーン船にブロックを積み替える作業なども行うとみられる。
 県は投下による海底への影響を確認するため、防衛局に詳細な情報を照会中で、確認を終えるまで投下しないよう求めているが、防衛局は3日に県に回答を出したことで説明を打ち切り、作業を強行した。新基地建設問題は海上での本体工事着手という節目を迎えた。
 工事は昨年12月20日、翁長雄志知事による辺野古埋め立て承認取り消しに関する最高裁判決で国が勝訴したことを受けて再開した。
 同時並行で大型特殊船「ポセイドン1」(4015トン)が昨年未完了だった1カ所の海底ボーリング(掘削)調査を始めるとみられる。6日午前9時現在、移動するなどの動きはみられるが掘削調査に関連する作業をしているかどうかは不明。
 海上工事は、護岸造成で生じる汚れの拡散を防ぐ汚濁防止膜(オイルフェンス)を海中に張る工程から始まる。最初にオイルフェンスを固定するため、重量11・2〜13・9トンの大型コンクリートブロックを4地点に計228個海底に投下する。
 米軍キャンプ・シュワブ沿岸の砂浜近くに停泊している大型クレーン船では6日午前7時前から明かりがともり、船上に作業員がいるのが確認された。午前8時40分ごろからクレーンが上がるのが確認された。
 新基地建設に反対する市民らの抗議船6隻、カヌー16艇は午前8時すぎに臨時制限区域付近に到着した。午前9時現在、海上フェンスの外側で抗議行動をしている。海上保安庁のゴムボートも同区域の中で待機し、市民らの動きを警戒している。
 一方、米軍キャンプ・シュワブゲート前では6日午前、新基地建設に反対する市民ら100人以上が抗議行動を始めた。市民らは海上への大型コンクリートブロックの投下を阻止しようと、海上作業員をゲート内に入れないよう座り込みを行った。
 市民がゲートの入り口前に座り込む中、作業員を乗せた車が午前8時15分ごろ、機動隊の誘導で出口側から入る様子が確認された。
 急きょ駆け付けた稲嶺進名護市長がマイクを握り、「大浦湾の多様な生物同様、うちなーんちゅの生存がいま脅かされようとしている。現状は普通でない。それでもわれわれは絶対にあきらめない。われわれ一人ひとりの力で明日の希望を勝ち取ろう」と座り込みをする市民に呼び掛けた。【琉球新報電子版】
 
現地からは生々しい情報が飛び込んできた。



「2つの案がある。1つが辺野古で、2つが辺野古だ」とマティス米国防長官に言わせてから辺野古での作業を強行するという安倍政権の卑劣さは断じて許されることではない、とオジサンは思う。
 
(追伸)
早速「第8期沖縄意見広告を!辺野古阻止へ!」向けて貧者の一灯をカンパした。

   
posted by 定年オジサン at 12:46| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 辺野古新基地問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月16日

辺野古移設に関する本土の常識の誤解を解く

第3次安倍改造内閣で沖縄北方担当大臣として新入閣した島尻安伊子。
 
自分のブログで「沖縄担当大臣として、初の『お国入り』となりました。」と書いているが、生まれは宮城県仙台市。
 
沖縄県人に言わせれば「沖縄に移住してきた日本人で、沖縄人と結婚」して子どもを育て、議員になり、最初は革新系の議員で、ゲート前で基地反対と声を出していたのが、いつのまにやら保守になり、沖縄選出の自民党議員となって国会に行き、辺野古移設容認を言ったはずが、民主党が政権を取った2010年の参院選で「命をかけて(普天間基地の)県外移設に取り組む」と公約し「沖縄人の声を代弁して基地は県外へ」と言い、県外移設を公約に掲げ当選したものの、また自民党が政権を取ると簡単に寝返り自民党に入り、2013年4月、内閣府政務官として「県外」の公約を撤回し「沖縄の取るべき道は辺野古移設」と言うような、節操がまるでない議員である。

 
島尻安伊子の公約撤回を皮切りに13年11月には島尻を含む自民党沖縄選出衆参5議員がそろって辺野古容認に転換。
 
政府が新基地建設の根拠としている仲井真弘多前知事による埋め立て申請承認に結びついてしまったのだが、前年の2012年には新基地建設関連工事の受注業者4社から献金を受け取っていたことも発覚している。
 
それでも「参院沖縄選挙区、当選2回、50歳、額賀派」という肩書を利用して安倍政権は島尻安伊子を起用して振興策担わせ翁長雄志県知事を牽制しようとした。
 
そんな安倍政権の見え透いた姑息な対応に対しても、翁長知事は初志貫徹と予定通りの行動に出た。
 
<不服審査で国対抗 辺野古承認、知事取り消し>
 2015年10月14日05時00分 朝日新聞DIGITAL
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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐり、沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は13日、移設先の名護市辺野古の埋め立て承認を取り消し、これに対して政府は行政不服審査法に基づく不服審査請求を行う方針を固めた。取り消し効力の執行停止が認められれば、政府は11月中にも埋め立ての本体工事に着手ログイン前の続きする。県は政府の強硬姿勢に反発しており、埋め立ての是非が法廷闘争に持ち込まれるのは必至の情勢だ。
 政府は、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事による公有水面埋立法に基づく埋め立て承認について「手続きに瑕疵(かし)はなく、取り消しは違法だ」と主張している。ただ、翁長氏の承認取り消しにより、政府は辺野古埋め立ての法的根拠を失った。
 中谷元・防衛相は13日の記者会見で「移設作業は中断するが、一刻も早く再開するための対応をとる」と対抗措置を明言。14日にも同法を所管する国土交通相に対し、行政不服審査法に基づく不服審査請求を行う。この裁決が出るまでには数カ月以上かかるため、取り消しの効力をいったん止める執行停止も同時に申し立てる。
 執行停止は来週中にも認められる可能性があり、その時点で翁長氏による「取り消し」の効果は止まる。これに対して県は、国交相の決定を取り消すよう東京か那覇の地裁に求める抗告訴訟の提起を検討しており、両者の対立は法廷に舞台を移すことになる。
 
翁長雄志沖縄県知事は、取り消し後の記者会見でこう政府を批判していた。
 
「普天間飛行場が沖縄戦終結後、住民が収容所に強制収容されている間に、強制接収された建設されたもので、それを辺野古に移すということは、土地を奪っておきながら代わりのものも沖縄に差し出せという理不尽な話である」 
 
当然ながら国は対抗措置を取ろうとしているが、行政不服審査法が想定していない「政府や地方自治体など行政機関同士の紛争」に適用しようとしていることが、結果として、政権内の「身内」である国交相が判断することになり公正さを欠くことになる。
 
<辺野古取り消し 防衛省「私人」で不服請求 「身内」の国交相が判断>
 2015年10月15日 朝刊 東京新聞
 防衛省沖縄防衛局は十四日、沖縄県の米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)沖の埋め立て承認を県が取り消したことに対し、行政不服審査法の不服審査請求と取り消しの効力停止を、石井啓一国土交通相に申し立てた。国民の不利益を救済する法の趣旨を、防衛省は「『私人』と同じ立場だ」と利用。国と県の対立の是非を政権内の「身内」である国交相が判断することに対し、批判が出ている。 (横山大輔)
 「同じ内閣の一員である国交相に審査請求を行うことは、不当というしかない。行政不服審査法のあしき前例になる」。沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は14日、政府の対応に反発した。
 行政不服審査法は、第一条で目的を「国民の権利利益の救済を図る」と明記。政府や地方自治体など行政機関同士の紛争を対象としていない。しかし、防衛省は「埋め立て承認を得る手続きが『私人』の場合と共通していたから、同様に資格がある」と主張する。
 政府は自治体と対立した場合、地方自治法で「是正の指示」ができる。自治体が不服なら第三者機関の国地方係争処理委員会に審査を求めることができ、自治体が指示に従わなければ、政府は高裁に訴えることも可能。行政不服審査法に比べ時間がかかるが、第三者が判断できる。
 こうした対応を取らない政府に対し、自由人権協会(喜田村洋一代表理事)は「国の対応は明らかに違法だ。是非は、国地方係争処理委員会や高裁の判断に委ねるよう強く求める」との声明を出した。沖縄県も同様の立場だ。
 行政法に詳しい成蹊大法科大学院の武田真一郎教授は「基地をつくり米軍に提供する工事は『私人』にはできず、国にしかできない」と指摘。「あえて行政不服審査法を使うのは、身内の判断で手早く済ませ、工事を再開して既成事実を積み上げようとの政府の考えが透けて見える。政権内の身内が判断すれば、結果は見えている。非常に不公正と言わざるを得ない」と批判する。
 
憲法に違反してまでも戦争法案を成立させた安倍政権なので、米国のために辺野古に新基地を作るためには違反といわれようが構わず突き進み、既成事実を作り上げ数年後に裁判に負けたとしても、いまさら新基地を壊すには莫大な費用が発生すると、沖縄県民を脅しすかして諦める策略なのであろう。
 
・元々は自民党の保守派であった翁長雄志県知事は、全ての米軍基地が即時撤廃できるとは思っていない。
・これ以上新基地を作らせず、時間をかけて基地の返還を実現しようと、長期的な戦いを構えている。
・当面は、日本国内外の世論に訴え、本土の住民にも沖縄の現状を理解させ、同時に米軍基地の負担を分かち合おうと考えている。
 
こんな皮相的な発想が本土住民の大多数かもしれないが、、辺野古新基地に関して実際のところはどのように考えているのか、その「常識」と言える考え方について、興味深い検証記事があった。
 
<特集ワイド:続報真相 本土「常識」の誤解 辺野古移設は仕方ない?>
 毎日新聞 2015年10月09日 東京夕刊
20151016henokomae.jpg米海兵隊キャンプ・シュワブ前で移設に反対する市民ら。本土で暮らす人は、沖縄の人々の気持ちを分かっているのだろうか=沖縄県名護市辺野古で2015年9月14日、須賀川理撮影
 あくまでも民意に耳を傾けないのだろうか。「反対」の世論を押し切って安全保障関連法を成立させた安倍晋三政権である。永田町から目を転じれば、沖縄県民の声を無視して米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を強行している。だが、私たちもどこかで「辺野古移設は仕方がない」と思っていないか。ヤマトンチュー(本土の人)の「常識」を検証する。
 ◇その1 「日本の抑止力維持のために必要だ」
 軍事費を膨らませる中国がコワい。最近は周辺国と領有権を争う南シナ海の岩礁・暗礁を埋め立てて軍事拠点となり得る人工島を造っている。ならば尖閣諸島を守るはずの沖縄の米軍基地を減らせず、辺野古移設はやむを得ない??という「常識」だ。
 「不勉強も甚だしい。普天間飛行場は米海兵隊の航空部隊の拠点だが、そもそも沖縄の海兵隊に日本を守る抑止力(他国に攻撃を思いとどまらせる反撃能力)はないんだ」と諭すのは、元朝日新聞記者で、冷戦期から防衛問題を取材してきたジャーナリストの田岡俊次さんだ。
 「沖縄の海兵隊の大半は補給・医療などの後方支援部隊で、戦闘部隊は2000人規模の『第31海兵遠征隊』だけ。その主力の歩兵1個大隊はわずか800人ほどです。しかも装備は装甲車が21両、大砲6門、戦車はゼロ。普天間飛行場配備の航空部隊(第36航空群)は、新型輸送機オスプレイ24機とヘリコプター10機あまり。この程度の兵力で戦争はできない。海兵隊の駐留は北東アジアの有事・騒乱時の在留米国人救出が主な目的なんです」
 田岡さんによると、日本に関わる抑止力の柱は、横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備された原子力空母など、米海軍第7艦隊だ。「尖閣諸島に限らず、島国を守るには制空権・制海権の確保が重要ですが、上陸作戦専門の海兵隊にその能力はない。海兵隊は抑止力にならず、辺野古はもちろん、沖縄に駐留する必然性もないんです」
 海兵隊を運ぶ揚陸艦4隻は佐世保基地(長崎県佐世保市)に配備されている。田岡さんは「この周辺に海兵隊の歩兵・航空部隊を移すのが合理的」と説明する。「付け加えれば『1992年にフィリピンから駐留米軍が撤退したから中国が南シナ海に進出した。だから沖縄の基地は減らせない』と言う人がいるが誤り。中国の進出は87年からです」
 ◇その2 「基地があるから国に優遇されている」
 この「常識」、うがった見方をすれば、国は他地域より多くの予算を沖縄に回している、だから沖縄は黙って辺野古移設を受け入れろ、というニュアンスを感じる。
 「誤解の最たるものだね。少し勉強すれば分かるはずだが……」。沖縄4区選出の衆院議員、仲里利信さん(78)はため息交じりに語る。元県議会議長で自民党沖縄県連顧問も務めた沖縄保守政界の重鎮だが、辺野古の基地建設に反対して自民党から除名処分に。昨年末の衆院選で、建設容認派の自民党前職を破り初当選した。
 その仲里さんが解説する。「確かに沖縄県には内閣府所管の『沖縄振興予算』があるが、72年の本土復帰まで国の予算措置や国土開発がなされなかったため始まった制度。でも振興予算の半分は那覇空港整備や不発弾処理など、国が本来やるべき事業や各中央省庁の直轄事業で、これが『振興予算』の名前で入り込んでいる。本当に県が沖縄振興に使えるお金は多くはありません」
 県によると、2013年度決算では、振興予算(3337億円)を含む国庫支出金と地方交付税交付金の合計額は7330億円。これは県民1人当たり換算で全国6位で、これまで1位になったこともない。飛び抜けて沖縄が優遇されているとは言えないのだ。
 さらに「基地がないほうが沖縄は豊かになる、というデータもある」と仲里さん。80-87年に返還された県内3地区の旧米軍用地の経済効果が、返還前後でどう変わったかを県が推計したものだ。返還前の年間の基地関連収入は3地区で計90億円だったが、返還後は跡地にショッピングモールなどが建てられ、経済効果は2436億円に膨らんだという。
 「辺野古移設を認めた仲井真弘多前知事ですら06年、基地による経済効果1800億円に対し、基地全面返還による経済効果は1兆7000億円と推計した。基地がないほうが沖縄は確実に発展します」(仲里さん)
 ◇その3 「『独立論』は空論。新基地を押し付けても沖縄は政府に逆らわない」
 昨夏、英スコットランドで英国からの独立の賛否を問う住民投票があり、反対派が僅差で勝った。この選挙戦を沖縄のメディアや大学研究者らが現地視察していたのはあまり知られていない。沖縄出身の龍谷大教授、松島泰勝さん(地域経済論)もその一人で、沖縄を琉球と呼ぶ。沖縄では今、日本からの独立を目指す論議が深く、静かに進んでいると語るのだ。
 「これまでの独立論は居酒屋談議でしたが、今は違う。13年には政治・経済や国際法の研究者らで『琉球民族独立総合研究学会』を設立し、技術的・学問的に真剣に研究されています」
 背景にあるのは、復帰から43年たった今なお、在日米軍専用施設の74%を押し付ける本土の犠牲になるのはもうごめんだ、という思いだ。さらに昨年、名護市長選から県知事選、衆院選に至るまで、辺野古移設反対の明確な民意が示されたのに、政府が移設を強行したことが決定打になった。
 「第二次世界大戦後、多くの植民地が独立しましたが、各宗主国憲法も日本の憲法同様、独立を認める条文はありません。ですが、多くの国は国際法に基づき、国連支援下で平和的に独立した。琉球も法的に可能です」
 道筋は3段階。(1)独立を求める沖縄世論を形成し、国際社会に基地問題の深刻さをアピールする(2)県議会が、植民地独立を支援する国連・脱植民地化特別委員会のリストに沖縄を登録するよう求める議決をした上で、同委や国連加盟各国に登録を働きかける(3)登録後に国連監視下で独立を問う住民投票を実施する--という流れだ。
 「琉球は日本と文化も民族も異なるれっきとした独立国でした。ですが1879年、日本政府は琉球に軍隊を送り、武力で脅して併合した。これは当時も今も国際法違反です。現在も日米が基地を置くために利用している。植民地と全く同じです」
 独立後は琉球のトップが国家元首として米大統領と直接交渉し、基地撤去を求める。日本から独立すれば沖縄に基地を置く法的根拠はなくなるからだ。「仮に辺野古移設を強行すれば琉球人の心はいよいよ日本から離れ、独立の動きが加速します」と松島さんは断言した。
 ◇その4 「中国と日米は対立している。日米同盟の堅持に移設は不可欠」
 中国の南シナ海進出に米軍高官らが批判を強めている。日本国内にも、米国が中国を仮想敵とするのは心強い、とばかり「米中対立」を期待する向きが一部の保守層、メディアにある。だが前出の田岡さんは「米中の武力紛争はあり得ない」とあきれるのだ。
 米国にとって中国は世界一の米国債保有国であり、ドイツの国内総生産並みの3兆5000億ドルの準備外貨の大半を金融市場で運用してくれるお得意さんだ。
 「しかも米航空機・自動車業界は中国市場が支えているし、中国にとっても米国は最大の市場かつ投融資先。ガチガチの相互依存関係です。中国を仮想敵にしたいのは存在感を高めて予算確保したい米海軍や、日本の外務省や保守派と仲が良いリチャード・アーミテージ氏ら古い世代の米国防関係者だけ。米政府は中国に『苦情』は言っても、対立は避けたいのです」。だから米国は繰り返し日本に中国との関係改善を求めているのだ。
 「辺野古移設が頓挫しても海兵隊は困らない。横須賀、佐世保両港は米国の制海権を保つのに欠かせず、基地の維持費を出してくれる日本との同盟を米国は手放さない。辺野古移設にこだわる必要は日米ともにないんです」
 これでも、辺野古移設は「仕方ない」と言えるのだろうか。【吉井理記】
 
「日本の抑止力維持のために必要だ」という嘘をもっと早く見抜いていれば、鳩山由紀夫民主党政権は、もうすこし寿命が延びていたかもしれない。
 
「基地があるから国に優遇されている」という嘘については、逆に基地がないほうが沖縄は豊かになる、と琉球新報の島洋子・東京報道部長は6月のある講演で、米軍基地の返還後の開発により、基地跡地は経済規模が拡大し、県経済全体を牽引していると、琉球新報が独自に調査した「中南部に位置する米軍基地の経済問題」という資料を基に説明していた。
 
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「『独立論』は空論。新基地を押し付けても沖縄は政府に逆らわない」と思っている本土の人間は、1872年(明治5)琉球藩設置に始まり、79年の沖縄県設置に至る過程のいわゆる「琉球処分」によって沖縄人のルーツである琉球王国は滅びたという歴史を理解していない。
 
沖縄人は今でも琉球王国の復活を忘れてはおらず、これ以上追い詰めると「沖縄独立論」は現実味を帯びてくる。
 
「中国と日米は対立している。日米同盟の堅持に移設は不可欠」というデマもまことしやかに語られるが、最近の安倍政権の米国追従振りにもかかわらず、米国は経済面では中国を無視できず、そのために軍事面での直接的な対立は避けようとの戦略である。 
 
先月の21日、スイス・ジュネーブの国連人権理事会総会で翁長雄志沖縄県知事は、沖縄県の有権者による直接選挙で選ばれた沖縄の最高指導者として史上初めて、国連の場で沖縄の自己決定権に基づく自己主張をした。
 
「沖縄の米軍基地は第2次世界大戦後、米軍に強制接収されてできた。沖縄が自ら望んで提供したものではない」 
 
辺野古新基地建設問題は、単に普天間基地の危険性除去という問題では解決できず、すでに国際基準では「少数民族差別問題」になっており、国家統合の危機ともいえるこの状態を安倍政権は冷静に認識すべきではないだろうか、とオジサンは思う。 

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2015年09月13日

秋晴れの日比谷公園と国会周辺

「640万人が700万リットルのビールを消費する世界一のビール祭り」といわれているオクトーバーフェスト。
 
毎年ドイツのバイエルン州ミュンヘン市で開催されており、きっかけは1810年、当時の皇太子ルードヴィヒとザクセン皇女の結婚式を多くのミュンヘン市民が祝ったお祭りが起源だとか。
 
その後、日本各地で行われるようになったオクトーバーフェスト
 
日本での歴史は、2003年、日比谷シティにて、2年に1度開催されてきたドイツ旅行展終了を機に、同場所にて5月、「ジャーマンフェスト」、横浜の赤レンガ倉庫で10月、 「オクトーバーフェスト」が開催された。
 
そして2006年に東京会場が日比谷シティから日比谷公園内に移動し、名称を「ジャーマンフェスト」から「オクトーバーフェスト」に統一され今日に至っているという。
 
そんな基礎知識もないままに、昨日は国会周辺に行く前に公園内を通ろうしてこのフェストに出くわしてしまった。
 
ビール好きにはたまらない催しだが、入口付近の高価なメニューを見て足が立ち止まってしまった。
 
なにしろいつもの居酒屋で飲む国産生ビールの2倍〜3倍ほどの値段である。
 
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それもそのはず、各店舗の看板がかなり豪華であるのでビール単価に反映しているのではと勘ぐってしまう。
 
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そんな高価なビールとやはり高価な食事を、老いも若きも楽しんでいる。 
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広い芝生の庭で食事しているどこかの国の富裕層たちと見まがうほどである。 
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そんな光景を横目に公園の済のベンチに座り持参した握りとお茶で簡単に昼食をすませ、本日のメイン会場である国会前まで歩き始めた。

 
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英語圏の人にも分かるような横断幕。 
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歩道脇の石垣は既に満員状態。 
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許可を得て写真を撮らせてもらった。 
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都内にもこのような支援団体や組織が多く存在している。 
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当日のシンボルカラーは辺野古の海の色「青」。
偶然なのか、いつも通りなのか警備の警官たちは皆、青一色。
 
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オジサンの息子より若そうなこの警官は、オジサンが座っている前を約2時間ほど、きちんと立っていた。

集会の最後の方で全員で「沖縄を返せ」を歌った時には、気のせいか彼の口元が僅かに動いたように見えたが、何度もカメラを向けても決してカメラ目線にはならなかった。 
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実行委員会が不慣れなのか、発言者が多すぎたのか、終了予定時間を30分もオーバーしてしまった。
 
それでも主催者発表の2万2千人の市民によって国会は包囲され、解放されたオジサンは帰りに経産省前のテント村の皆さんに北海道富良野産のスイカを御馳走になった。 
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<「辺野古新基地阻止」 2万2000人国会包囲>
 2015年9月13日 12:00 琉球新報
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辺野古新基地建設断念を求め、手をつないで国会議事堂周辺を取り囲む参加者ら=12日午後4時ごろ、東京・国会議事堂前(仲村良太撮影) 
 【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設断念を求め、首都圏の県出身者や市民団体、学生らが東京・国会議事堂を取り囲む抗議行動「止めよう!辺野古埋め立て9・12国会包囲」が12日午後、行われた。約2万2千人(主催者発表)が参加し、辺野古新基地に反対する国会包囲行動では過去最大規模となった。参加者は「辺野古に造るな」「ボーリング調査やめろ」と声を上げ、政府に新基地建設断念を訴えた。
 辺野古新基地をめぐる県と政府の集中協議が決裂し、翁長雄志知事が埋め立て承認取り消しにかじを切り、政府が埋め立てに向けた作業を再開する中、初めての大規模抗議行動になった。
 辺野古新基地建設に反対する国会包囲行動は1月25日の第1回約7千人(主催者発表)、5月24日の第2回約1万5千人(同)に続き3回目。参加人数は初回と比べ3倍以上に増えた。
 登壇したヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「ウチナーンチュの、辺野古に新しい基地を造らせないという思いをつぶそうとしても、成功することはない」と気勢を上げた。
 島ぐるみ会議事務局長の玉城義和県議やルポライターの鎌田慧さん、シールズ琉球の元山仁士郎さんもマイクを握り、“辺野古ノー”の声を上げた。
 国会議事堂を取り囲んだ参加者は全員で「沖縄を返せ」「ここへ座り込め」を歌い、思いを一つにし、互いに手をつないで包囲行動を成功させた。td>
 
 
座ってしまうと国会周辺の他の場所の様子が分からず、毎日新聞の写真集から一部を紹介する。
 
 
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国会前で米軍普天間飛行場の辺野古移設の反対を訴える人たち=東京都千代田区で2015年9月12日午後1時56分、竹内幹撮影(以下、同)
 
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14日には翁長雄志県知事は埋め立て承認取り消しを正式に発表する。
 
「2回の国政選挙で国民の支持を頂いたので安保法案も支持されたと考えている」と日ごろから安倍晋三首相は嘯いていたが、それならば、名護市長選、県内全ての選挙区で勝利しかつ県知事に選ばれた翁長県知事は県民の民意を得たわけであるから、堂々と政府と正面から戦うべきであろうし、沖縄県も当然日本国に含まれるので、すべての「国民vs安倍政権」という戦いにならなければならない、とオジサンは思う。

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2015年08月05日

辺野古工事中断しても、戦争法案は強行採決か

連日の35℃を超える猛暑には、テレビで盛んに報道しなくても国民は肌身で十分感じている。
 
涼しくなった夕方に花火大会を見に行こうとしたが「架線断線、JR4線止まる 乗客、線路歩き避難も 横浜・桜木町」という原因不明の事故に巻き込まれ、結局花火は「音だけ」という人たちも多くいたらしい。
 
猛暑の最中、参議院では冷房の効いた特別委員会室でスーツを着た委員たちがクールな審議を続けていた。
 
政府側が衆院と異なる答弁をしても、怒り激しく詰め寄るといったパフォーマンスすら見せない。
 
安倍晋三首相は、2年前「民主党は息を吐くように嘘をつく」と自身のFaceBookで批判していた。 
 
しかし、今や安倍晋三首相こそが「息を吐くように嘘をつく」人間の代表格であろう。
 
昨年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定後の記者会見で掲げた具体例が、今年になって瓦解し始めている。 
 
<首相「米艦単独で行動せず」 集団的自衛権 防護根拠揺らぐ>
 2015年8月5日 07時05分 東京新聞
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 安倍晋三首相は4日、安全保障関連法案に関する参院特別委員会で、他国を武力で守る集団的自衛権行使の事例に挙げる日本近海での米艦防護に関し「米イージス艦が単独で来ることはない」と、部隊単位で行動する米軍が自らイージス艦を防護することを認めた。自衛隊が集団的自衛権に基づき米艦への攻撃に反撃できるようにする法案の必要性に疑問が強まった。
 小川勝也氏(民主)が「朝鮮半島で緊張が高まっている時に、米イージス艦が日本に助けてもらわなければならない少ない船団で行動することはあり得ない。あたかも日本が米軍を守らなければならないようなミスリードをしている」と批判した。
 首相は「米側は自己完結型で、できる限り防御を固めてくる」と米イージス艦は他の米艦艇や潜水艦、米軍機と共に行動し、米軍自ら防御する態勢を整えていることを事実上認めた。その上で「世界最強の米軍であろうと、自衛隊の協力で安全が高まると考えるのは当然だ。米太平洋司令官も歓迎している」と述べた。
 政府は日本近海で弾道ミサイルを警戒中の米イージス艦は「自艦を防御する能力が低下する恐れがある」と集団的自衛権を行使して防護する必要性を強調。日本に向け発射された弾道ミサイルを迎撃する能力を持つ米イージス艦が攻撃された際に、自衛隊が反撃しなければ、日本が壊滅的な被害を受ける明白な危険が生じると説明している。
◆掃海に続き必要性疑問
<解説> 安全保障関連法案に関する参院特別委員会で現実味の薄さが露呈した弾道ミサイル警戒中の米艦防護は、安倍晋三首相が最重視してきた事例だ。その根拠に疑問符がつき、法制化の必要性がさらに揺らいだ。
 首相は2006年発足の第一次政権で集団的自衛権の行使容認の検討を始めた当時から、米艦防護を中心的な課題に据えてきた。安保法案の審議でも、日本防衛にあたる米艦が攻撃された場合に「守らなくていいのか」と繰り返している。
 だが、米艦を防護する状況が想定しづらいという見方は、根強くあった。圧倒的な軍事力を誇る米軍が自らの守りを固められず、自衛隊に支援を要請するのは考えられないという理由からだ。首相がこれを事実上認めたことで、日本を守るための米艦防護というよりも、対米協力の姿勢を示す色彩が一層濃くなった
 首相は、米艦防護と並びこだわる戦時の機雷掃海をめぐっても、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性は低いことを認めている。集団的自衛権行使の代表的な二事例がにわかに起こり得ないことが明らかになり、法案の成立を急ぐ理由の説明はますます苦しくなった。 (生島章弘)
 
さらには中谷元・防衛相が「参院安保特委:『ミサイルも提供』後方支援で防衛相見解」とトンデモないことをシラット言い切っていた。
 
自衛隊が他国軍を後方支援する際に新たに可能となる「弾薬の提供」に関し、「ミサイルも、あえて当てはめれば弾薬だと整理できる」との説明は一体どのような基準から湧き出てくるのだろう。
 
恐らく小学生でもミサイルが弾薬ではなく立派な武器であるということぐらいは知っている。
 
こんな防衛相の下で、自衛隊は米軍の後方支援ではなく、一緒に中東の戦闘地域に赴きイスラム国との戦闘訓練もすでに行っているという。
 
2か月前には「日米共同演習に見る戦争の先取り」の中で西日本新聞のスクープを紹介した。 
 
これが参院特別委で問題になった。 
  
<集団的自衛権で対IS戦争に参戦? 自衛隊が米軍と中東想定の大規模戦闘訓練実施するも安倍政権がひた隠し>
 2015.08.04 リテラ
 7月27日に参議院で審議入りした安保法制関連法案。28日、安倍晋三首相や中谷元防衛相は、安保法案関連で初めて中国を名指しし、「中国が公船による領海侵入を繰り返している」「南シナ海で大規模かつ急速な埋め立てや施設の建設を一方的に強行している」と“仮想敵国”扱いして世論を煽っている。
 しかし一方で、“もうひとつのシナリオ”も着々と進んでいる。それは“アメリカの中東制圧戦争に自衛隊が参戦する”というものだ。
陸自、安保法案先取り 「戦地と同様」砂漠で日米訓練》──7月18日、西日本新聞がこんなスクープを報じた。内容は、昨年1月から2月にかけて、陸上自衛隊が、中東を模したアメリカの砂漠地帯にある陸軍戦闘訓練センター(NTC)で、実戦を想定した日米合同訓練を行っていたというもの。日本側が投じた経費は実に3億5000万。西日本新聞が防衛省に情報公開を請求し入手した陸自の報告書から判明したという。
 米カリフォルニア州にあるNTCは、約3500平方kmの広大な砂漠地帯に位置する。報告書によれば、日本側からは、陸自富士学校の「部隊訓練評価隊」が、アメリカ側からは、陸軍の「第2師団第3ストライカー戦闘旅団」が参加。計28日間に及ぶ訓練の全期間にわたり、「戦地と同様の規律で実施」され、救護や射撃訓練のほか、9日間、実戦形式で敵と戦う「対抗訓練」も行ったことが明記さていた。しかし、開示された資料の大半は“黒塗り”だったという。
 はたして、この合同訓練は、日本の専守防衛を目的としたものなのだろうか。西日本新聞は、訓練を現地取材した軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之氏による、以下の状況報告を掲載している。
〈菊池雅之氏によると、NTCにはアラビア文字の交通標識やモスクもあり、中東風の集落が点在。訓練中はアラブ系俳優が住民に扮して生活し、民間軍事会社の戦闘員がテロリスト役を務めた。演習の想定について米軍からは、架空の2国の間で国境紛争が起き、日米などの有志国連合が平和維持活動として侵攻国の軍やテロリストを制圧するシナリオと説明されたという〉
 アラビア文字、モスク、アラブ系俳優が演じる仮想住民、テロリストに模した民間戦闘員……この大掛かりなシチュエーションが何を意味するか、誰でも想像がつくだろう。
 7月30日の参院特別委では、共産党の井上哲士議員がこの日米合同訓練について質問した。中谷防衛相の答弁によれば、この日米合同訓練に参加した陸自・富士学校部隊訓練評価隊の装備は、小銃、重機関銃、無反動砲(バズーカの一種)、対戦車誘導弾、戦車、装輪装甲車などだというが、こうして列挙するだけでも充実した殺人兵器を訓練に使用したことがわかる。だが、より恐るべきは米側の参加部隊であるストライカー旅団の戦歴だ。
 井上議員が国会で米陸軍HP上のニュースなどをもとに説明したところによれば、このストライカー旅団というのは「全世界に96時間以内に展開する機動性を持った部隊」であり、なかでも陸自が共同で演習した第3ストライカー戦闘旅団は「イラクへ3回、アフガニスタンへ1回展開した、ストライカー旅団の中でも最も展開をした経験」を持つ部隊であるという。さらに、先に触れた「対抗訓練」も「攻撃」「防御」「反撃」と、明確に目的を区分されており、単なる専守防衛とははっきりと異なるように思える。繰り返すが、自衛隊はこうした実績を持つ米軍部隊と、実践形式の訓練を行っていたのである。
 安倍首相は、この日米合同訓練の必要性について問われ、こう答弁した。
「日米の安保条約の第5条において、日本が侵攻を受けたときには日米で共同対処するわけであります。(中略)この場所(NTC)が最も適切であり、かつ効率的と考え、本訓練を実施したものでございます。その上において、今、何で戦車というお話がございましたが、まさに日本に侵攻されたときには、まさに陸上自衛隊と米軍が共に共同対処するのは当然のことでありまして、この共同対処をする日頃の練度を高めていくことが精強性を増し、そしてそれは抑止力につながっていくと、このように考えております」
 無理のある答弁だ。「日本が侵攻されたとき」というが、日本の領土のどこに、この訓練で想定された約3500平方kmもの広大な砂漠地帯があるというのか。国内最大級である鳥取砂丘の90倍以上の面積である。
 ようするに、明らかにこの合同訓練は、自衛隊の中東派兵及び対テロリストへの武力行使を想定した訓練だったのだ。それをあたかも旧来の専守防衛の範囲のように語るのは、詭弁としか言いようがない。
 安倍首相は、5月の閣議決定後の会見で、「例えばISILに関しましては、我々がここで後方支援をするということはありません」と明言した。だが、その約1年前には、事実上のアメリカの中東制圧作戦、それも陸軍兵力を用いた作戦を想定した訓練をしていたことになる。これは、安保法制が成立した後には、自衛隊の現実的運用として、「イスラム国(IS)」の一部支配地域であるシリアやイラクを含む中東砂漠地帯に派兵する用意があることと同義ではないのか。
 もっとも、ISが「建国宣言」をしたのは昨年6月、オバマ米大統領がその制圧を公式に決定したのは昨年9月であり、日付上はNTCでの日米合同訓練の前だが、しかし忘れてはならないのは、米側がISへの空爆の根拠としたのは、ほかならぬイラクからの要請による“集団的自衛権の発動”だったことだ。
 今後、アメリカを中心とする「対IS戦争」が激化した際に、米側から日本に軍事的協力を要請される可能性はきわめて高い。安保法制が定める集団的自衛権発動の条件は、法律解釈上、これを拒否することができないからだ。しかも、安倍首相がホルムズ海峡の機雷掃海について石油資源の確保を理由にその必要性を強調することからもわかるように、仮にISが日本の石油輸入国であるサウジアラビアやUAEなどへ侵攻した場合、これが武力行使の新3要件にある「我が国と密接な関係にある他国への攻撃」と政府によって恣意的に判断されることだってありえる。事実、国会答弁でも安倍首相らは、どの「他国」が「我が国と密接な関係にある」か、明言することを避け続けている。
 安倍首相が「安保法案により他国の戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言して憚らないのであれば、上のようなケースについての具体的条件を詳細に策定する必要がある。しかし、今にいたっても政府は「個別的なケースについては申し上げられない」の一辺倒。つまり安倍首相は、日本の「対IS戦争」参戦の余地を“あえて”残しているのだ。
 ようするにこういうことだろう。安倍政権は中国脅威論を用いて“アメリカの軍事力が日本の近海での防衛力を高める”と喧伝する情報戦略を打ち出しているが、実のところ安保法案の真髄は“アメリカの武力侵攻に日本がより直接的に参加する”という真逆の事態なのだ。安倍首相は、それを国民に悟られたくないのだろう。
 実際、最近になってこんな報道も出ている。今年6月20日から7月1日にかけて、陸上自衛隊は、アメリカとモンゴルが主催する、23カ国合同訓練「カーン・クエスト15」に参加。この訓練は公式発表によればPKOの訓練が目的だというが、実態はこれと異なった可能性がある。「週刊プレイボーイ」(講談社)8月10日号で、フォトジャーナリスト・柿谷哲也氏がこの演習を現地取材した印象を伝えているのだが、それによれば、カーン・クエスト15は「自衛隊が先陣を切ってパトロールを行い、襲撃を受け、後方からモンゴル軍が応援に駆けつけるという設定だった」という。つまり、自衛隊は最前線を任されていたのだ。
 このシチュエーションを想定したのが主催国のアメリカだとすれば、安保法制でいうところの「後方支援」と食い違う。前述のNTCでの日米合同訓練でも、こうした“前線に陸自が投入される”ことを想定した訓練がなされたのでないかという疑念は拭えない。
 というのも、恐ろしいことに安倍政権は、こうした自衛隊の訓練の詳細を国民に公開しようとしないからである。
 たとえば30日の参院特別委では、井上議員がNTC日米合同訓練の詳しい内容を知るため防衛省に資料を求めたところ、出てきたのは「真っ黒」の書類だったことを明かした。また先の衆院特別委でも、資料として提出された「イラク復興支援活動行動史」という書類の大部分が黒塗りであり、強行採決後になってやっと黒塗りが外されたものが出てくる始末だったと、共産党・小池晃副委員長が指摘している。どうやら、政府は都合の悪い情報を徹底的に隠していく方針らしい。
 安倍首相らは、集団的自衛権の行使条件について「客観的、合理的に判断する」と何度も繰り返しているが、他方で肝心の“判断材料”はこうして秘匿する。これでは、国民のあずかり知らぬところで、ときの政府が勝手に物事を進めてしまうことを防げないではないか。
 そして、安倍政権による中国脅威論の影にちらつく「対IS戦争」の思惑。国民が気がついたときには、いつのまにかアメリカの戦争に日本が参戦している──そんなことにさせないためには、この戦争法案を廃案とするだけでなく、一刻も早く安倍首相を総理の座から引きずりおろすしかない。
 
5月の閣議決定後の会見で、「例えばISILに関しましては、我々がここで後方支援をするということはありません」と明言した安倍晋三首相だったが、その約1年前には、事実上のアメリカの中東制圧作戦、それも陸軍兵力を用いた作戦を想定した訓練をしていたことが明らかになっている。
 
そして最近では「中東やISILに関しては後方支援することは『政策的に』にありえません」と言い切っている。
 
このように「息を吐くように嘘をつく」安倍晋三首相に対して国民はますます懐疑的になり、戦争法案の裏の狙いに対しての学習が進んできている。
 
こんな状況にも変わらず、磯崎陽輔首相補佐官が参院で審議中にもかかわらず、生意気にも「9月中頃法案を成立させたい」などと政府側の真意を代弁している。
 
そうなれば、沖縄の辺野古沖での本体工事を9月から着手することは国会運営にも影響があるとの判断で、姑息にも1か月間の工事中断を一方的に政府は発表した。
  
<在日米軍再編:辺野古工事1カ月中断 政府、県と集中協議>
 毎日新聞 2015年08月04日 東京夕刊
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 菅義偉官房長官は4日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し、10日から9月9日まで1カ月間、一切の作業を中止すると発表した。この間、計画に反対する沖縄県と集中的に協議する。これを受けて記者会見した沖縄県の翁長(おなが)雄志(たけし)知事は、この間に辺野古埋め立て承認の取り消しなどの措置は取らないと表明した。また、中断中に、サンゴ礁の損傷調査のため県側が米軍に申請していた臨時制限区域での潜水調査も許可されるとの見通しを示した。【高本耕太】
 協議は政府側から申し出た。政府は現在、ボーリング調査などを行っており、9月にも本体工事に着手する方針だった。しかし、作業中断によって、本体工事は秋以降にずれ込むことになる。ただ、中断期間中は台風シーズンで、作業が進まない時期に当たる。中断による影響は事実上ないとの見方もある。
 辺野古沖埋め立てを巡っては、2013年の承認手続きに関し県の第三者委員会が「法的瑕疵(かし)がある」と結論付けた報告書をまとめている。菅氏は、報告書を受けて翁長知事が月内にも承認の取り消しを検討していることを指摘し、「落ち着いた環境の中で協議をする必要があると判断した。(埋め立てに向けた作業を)全て中止する」と表明。「移設に関する政府の考え方、負担軽減の取り組みを丁寧に説明したい」と述べた。
 だが、「辺野古が唯一の解決策」としてきた政府方針について、政府高官は「これまで答弁してきた通りだ」と述べ、変更しない考えを強調している。
 菅氏は8月中旬にも沖縄県で翁長知事らと会談したい考え。並行して事務レベルでの協議も開始する。
 自民党の谷垣禎一幹事長は4日午前の記者会見で「官房長官が判断して、何が問題点なのかを沖縄県と十分協議することは結構なことだ」と語った。
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 ■解説
 ◇泥沼化回避狙う
 政府が米軍普天間飛行場の移設作業を1カ月中断し、沖縄県側と集中的に交渉する方針を決めたのは、国と県の対立が続けば法廷闘争に発展しかねないからで、泥沼化回避のための「窮余の策」といえる。移設作業を強行すれば、安全保障関連法案で傷ついた内閣支持率がさらに下落しかねないとの危機感もあったとみられる。
 政府が埋め立て承認に「法的瑕疵はない」とし、辺野古への移設を進める姿勢を崩していないのに対し、県側も移設反対の立場を変えず、対立は先鋭化した。沖縄防衛局は3日、県から取り下げを求められていた移設工事の事前協議に関する文書を「取り下げる考えはない」と回答。翁長知事は今月中にも、前知事による埋め立て承認を取り消す可能性を示唆していた。
 こうした中、政府は対話の姿勢を打ち出すことで地元の反発を和らげたい考えだ。翁長氏も期間中は、承認の取り消し判断などの対応は取らない考えを示すなど、一見、歩み寄る姿勢も見せている。
 しかし、菅氏は4日の会見で、政府方針変更の可能性を問われ、「政府の考え方を説明し、問題解決に向けて集中的に協議したい」と述べるにとどめており、政府は移設の変更はしない方針だ。翁長氏も柔軟姿勢を見せてはいない。
 協議期間中は普天間飛行場の危険除去や負担軽減など立場が一致する課題についても議論する予定だが、移設を巡る出口が見えているわけではない。【当山幸都】
 
すくなくともこの措置は沖縄のためではないことぐらい察しが付く。
 
「政府は移設の変更はしない方針」であることは明白であり、この1か月間の中断期間中に沖縄との交渉を行っていますというアリバイ作りを行い、戦争法案が成立させた後に一気に工事再開という魂胆ならば、またしても沖縄は政府の都合に利用されたということになる、とオジサンは思う。 

posted by 定年オジサン at 11:30| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 辺野古新基地問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする