2017年09月16日

共謀罪は廃止できる! 9・15大集会

秋風が心地よく吹いている夕闇せまる日比谷野外音楽堂で、久々の大集会が開催された。
 
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既に法案が強行採決により成立し施行されたにもかかわらず、反対の声を上げる多くの市民団体が集まった。
 
【共謀罪廃止のための連絡会】

アムネスティ・インターナショナル日本
グリーンピース・ジャパン
日本消費者連盟
ピースボート
日本マスコミ文化情報労組会議
共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
未来のための公共
女性と人権全国ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
自由人権協会
反差別国際運動
共謀罪対策弁護団
共謀罪NO!実行委員会
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
 
政府が何と言おうと、共謀罪という法律が実は「一般市民」を対象にしているということが上記の危機感を持った各団体を見れば明らかである。    
 
法案が成立後の「廃止集会」でこれだけの人が依然として反対の声を上げた集会は珍しいと、主催者側も言っていた。
 
会場には撮影機材を持った多くのメディアが取材に来ていたのだが、ネット配信されている在京主要メディアでは残念ながら数えるほどのメディアしか記事にしていなかった。
 
『共謀罪』廃止へ集結 『監視を恐れず』『改憲つながる恐れ』【東京新聞】
 
共謀罪 廃止訴え3000人集会 東京・日比谷【毎日新聞】
 
『共謀罪』廃止必ず 監視社会許さない 東京・日比谷野音 3000人集会・デモ
【赤旗】
 
オープニングに10代の制服向上委員会3人が登場し会場埋めた老々男女たちを、歌とトークで盛り上げた。
 
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【制服向上委員会 ライブ 2017.9.15 @日比谷野音】
 
主催者挨拶に続いて、共謀罪NO!実行委員会の海渡雄一弁護士がアピールを行った。
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その後は、野党4党の代表がそれぞれの思いから連帯の挨拶を行った。
 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」:民進党:有田芳生 参議院議員】

 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」:日本共産党:藤野保史 衆議院議員】 
 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」:社民党:福島瑞穂 参議院議員】

 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」:自由党: 渡辺浩一郎 元衆議院議員】
  
 
そして、共謀罪により「言論が封じられ」、「内心の自由を奪われ」、「プライバシーが侵害される」ことを許さないと、8つの団体から発言があった。 
 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 芹澤 齊さん (自由人権協会代表理事)】

 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 篠田博之さん (日本ペンクラブ言論表現委員会)】

 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 野平晋作さん (ピースボート共同代表)】

 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 満田夏花さん (国際環境 NGO FoE Japan 事務局長)】
 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 近藤恵子さん (女性と人権全国ネットワーク 共同代表)】

 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 三澤麻衣子さん (共謀罪対策弁護団事務局長)】
 
 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 内田雅敏さん (総がかり行動実行委員会)】
 
 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 岩崎貞明さん (日本マスコミ文化情報労組会議)】

 
そして集会の宣言が満場一致で採択され、コールの後で銀座デモに向かった。
 
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」:〈集会宣言〉纐纈美千世さん (日本消費者連盟事務局長)】

      
【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: コール】
 

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【2017.09.15「共謀罪は廃止できる!9.15 大集会」: 銀座デモ (1)】

 
多くの登壇者や政党代表者が言っていたように、「共謀罪は廃止できる」といって4野党が今度の臨時国会に共謀罪廃止法案を提出したところで、採決どころか審議すらされない可能性もあり、やはり、まずは「安倍内閣」を倒し、総選挙で野党が過半数を取らなくてはならないという至極当たり前のことが、集会参加者全員が共有したことに意義があった。

そして「その日」までは国民は「委縮」せず「自己規制」することなく堂々と安倍政権に対して異議を唱え抗う姿勢をとり続けることにより、安易に共謀罪を適用させないことが必要ではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:52| 神奈川 ☁| Comment(0) | 共謀罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月18日

国民のための法案は後回し、誰のための共謀罪か

150日間の通常国会が閉幕した。
 
こんなに長い期間にも拘わらず、2月以降は「森友学園疑惑」関連、そして後半には「共謀罪法案」と「加計学園疑惑」関連で国民の注目を集め、「ギャンブル依存対策、女性議員増の促進、受動喫煙対策 先送り法案がこんなに」と先送り法案もあったが、労働法制改悪法案は結局は審議されなかった。
 
国会閉幕直前で異例の禁じ手を使って徹夜国会で強引に採決に持ち込んだ共謀罪に対して、「共謀罪法可決は国会法に違反する 禁じ手の強行採決と共謀罪法無効論」と弁護士が指摘しようが、安倍晋三が主犯の加計学園疑惑に関しても、「『今治市長、加計学園に言われるまま96億円の交付決め即日通知』― 公文書見つかる」という新たな証拠が出てきても、政権を追及する公式な場は無くなってしまった。
 
在京大手マスメディアは週末の東京都議会議員選挙告示以降は、再び、昨年の都知事選のような「小池vs自民党」を煽り、国民の目は政局からは遠ざけられてしまうかもしれない。
  
それでは、在京大手紙で「反安倍派」メディアはどんな総括をしているのか。

<認めない・調べない・謝らない 強引答弁で国会閉会へ>
 2017年6月18日04時00分 朝日新聞DIGITAL
 通常国会が18日、閉会する。「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題や「森友学園」への国有地売却問題で疑いのまなざしを向けられ、「共謀罪」法の審議で厳しい追及を受けた政府は、「認めない」「調べない」「謝らない」答弁を連発した。会期150日間の答弁に、批判や疑問を正面から受け止めない姿が浮かぶ。
 三つの「ない」がはっきり表れたのが、共謀罪法案が審議されていた4月19日の衆院法務委員会だった。
 民進党の山尾志桜里氏が、法案の処罰対象になるのは「最初から犯罪を目的としている集団」に限られるのか、「捜査当局に犯罪集団に一変したとみなされた団体」も含むのか、安倍晋三首相にたずねた。
 国会冒頭で首相が「(処罰対象は)『そもそも』犯罪を目的としている集団でなければならない」と述べたのに、その3週間後、政府が市民団体も「犯罪集団に一変したら対象になる」と説明を変えたからだ。
 共謀罪法案の要件に関する根源的な問題で、変化を突かれた首相はメモを手に、「『そもそも』の意味は辞書で調べてみたが、『基本的に』という意味もある。山尾委員はご存じないかもしれないが」と答弁。政府の説明の一貫性を主張しようとした。
 ところがその後、「そもそも」の意味を「基本的に」と説明する国語辞典が存在しないことが判明。それでも政府は5月12日、「三省堂発行『大辞林』には『そもそも』について『(物事の)どだい』等と記述され、『どだい』について『基本』等と記述されている」との答弁書を閣議決定。「そもそも=どだい=基本」の三段論法で、答弁を正当化しようとした。
 誤りを認めず、謝らず――。さらに、首相が大辞林を調べていなかったことも判明した。
 首相や妻昭恵氏の関与の有無が問われた加計学園や森友学園の問題では、国有地売却や国家戦略特区の指定の行政過程の不透明さを指摘する証言が出ても、証言や証拠の真偽を調べたりしなかった。
 山尾氏は「政府の姿勢は、『無理が通れば道理が引っ込む』だ。放置するとウソが真実のようになってしまうので、誤りの指摘から始めなければならず、審議が深まらなかった」。首長経験者の自民議員も「こんな強引なやり方を続けると、政治の議論や行政のモラルが壊れてしまう」と心配する。(南彰)
 
もうすでに、「政治の議論や行政のモラルが壊れて」しまっている事実を素直に認めるべきであり、それを許したメディアの責任は微塵も感じられない。 

「認めない」「調べない」「謝らない」安倍政権に対しては、国民は決して「あきらめない」。
  
<菅氏 「怪文書」で誤算 「鉄壁ガースー」決壊>
 毎日新聞 2017年6月17日22時28分
 安倍晋三首相が国家戦略特区でお友達の利益を図ろうとしたと追及されている学校法人加計学園の一件で、菅義偉官房長官が「怪文書」と断じた「総理のご意向」文書の存在を文部科学省が認めた。長官在任期間が歴代最長で、鉄壁と言われてきた菅氏の危機管理が、ここへきて破綻したのはなぜか。【福永方人、佐藤丈一】
 これまで閣僚の醜聞や失言で批判が高まるたびに、落ち着き払って「そのような指摘は全く当たらない」などと一蹴し、火消ししてきた菅氏。ネット上では「安定のガースー」とも呼ばれている。
 問題の「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」という内部文書を朝日新聞が5月17日に報じた当初も、「意味不明の文書」と取り合わなかった。「存在は確認できなかった」という19日の文科省の即日調査で逃げ切ろうとした。
 文科省の前川喜平前事務次官の記者会見で潮目が変わる。前川氏が「出会い系バー」に出入りしたとする読売新聞報道を受け、菅氏は異例の個人攻撃を展開した。それでも流れは変わらず、土俵際に追い詰められた。
    ◇
 「鉄壁」はなぜ崩れたのか。
 企業に危機管理を指南する「リスク・ヘッジ」の田中辰巳社長は「危機管理どころか、むしろ危機『喚起』をやっている」と菅氏を酷評した。「これまで対応がうまくいっていたわけではない。批判にまともに取り合わず問題を先送りしてきただけです」。危機管理の生命線である「展開の予測」ができていない−−という。
 今回の問題について「国民は真相究明を求めているのに、やましいことがあるからなのか、調査を拒むという正反対の対応を取った」と分析。「前川氏の人格攻撃も証言の信用性を落とす狙いだったのだろうが、地位を失った人は死ぬ気で向かってくる。危機管理に全くなっていない」とあきれて言う。
 「冷静沈着という印象だが、安倍晋三首相と似て感情が先に立ち、痛いところを突かれると猛反撃する人」と語るのは「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)を著したノンフィクション作家の森功さん。「思い入れが先に立つタイプで、自分が疑惑を抑え込まなければ、という責任感から『怪文書』などと言ったのでは。判断を完全に誤り、明らかなうそを押し通そうとした」
 別の見方もある。
 国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は「一見、裏目に出ているようだが一定の計算も感じる」と言う。「前川氏をはじめ獣医学部新設を長年認めてこなかった文科省に厳しい姿勢を示し続けている。これにより規制改革推進派を決起させ、同省を含めた抵抗勢力を一気に潰す狙いは捨てていない」と指摘する。
 「怪文書」が実在していたことについて菅氏は15日、記者会見で「言葉が独り歩きしていることはきわめて残念」と“被害者”のように振る舞った。しかし、16日には参院予算委員会で「文書の出所が明らかになり(怪文書というのは)現在の認識でない」と発言撤回に追い込まれた。
 
「鉄壁と言われてきた菅氏の危機管理が、ここへきて破綻したのはなぜか」と問う前に、ここまで破綻させなかったのは、毎日行われる官房長官会見での各社の政治部記者たちによる記者クラブの弊害が大きかったことは言うまでもない。
 
一方的に発言する菅義偉官房長官に対して、発言内容に鋭く食い込む質問をするような記者は皆無であった。
 
それが、東京新聞の社会部の望月記者の理にかなった質問で菅義偉官房長官がタジタジになり、それを脇目で見ていた御用新聞政治部記者らが、彼女のしつこい質問に辟易し、一時は記者クラブの総意として、彼女に抗議する動きもあったという。
 
その理由は、「いつもなら会見後に菅長官は、気心知れた番記者相手に“オフレコ”で囲み取材に応じるのに、全体の半分ほどの20分弱が彼女の質問に費やされた8日午前の会見後は違った。菅長官はそそくさと会見場を後にし、囲み取材がオジャンになったため、“長官がへそを曲げたのは彼女のせいだ”となって、抗議するという流れになったのです」ということらしい。
 
それでは、社説レベルではどうなのか。
 
■朝日新聞「安倍政権 『議論なき政治』の危機
 
150日間の会期を振り返って痛感するのは、民主主義の根幹である国会の議論が空洞化してしまっていることだ。
民主主義の基本ルールをわきまえない政権が、数の力を背景に、戦後70年、日本の平和と民主主義を支えてきた憲法の改正に突き進もうとしている。
 いま日本政治は危機にある。この国会はそのことを鮮烈に国民に告げている。
 
「この国会はそのことを鮮烈に国民に告げている」から国民はどうするのか、他人事のように問題を投げかけているだけではないのか? 
 
■毎日新聞「議論封じて国会閉会 これは議会政治の危機だ
  
確かに最後は多数決で決めるのが議会制民主主義のルールだ。しかし、その過程では多様な意見に耳を傾け、極力一致点を見いだしていくことが大切だ。先人が作り上げてきた、その原則が壊され始めている。
 首相の姿勢や手法に対して自民党から異論がほとんど出ず、公明党も自民党の独走を抑止する役目を果たしていない。深刻なのはそこだ。
 議会政治の危機だ。この国会で何が起きたか忘れないようにしたい。 
 
「この国会で何が起きたか忘れないようにしたい」ためには、継続的にたえず国民に知らせ続けなければ国民は覚醒しない。
 
◆東京新聞「週のはじめに考える 立法府の危機を憂う
 
三権分立に反して、国会が政府の下請け機関となり、内閣提出法案をただ成立させるだけの採決マシンに堕してしまったら、立法府の危機です。国会は言論の府であることを忘れてはならない。
 そして、その国会に議員を送り出したのは有権者自身であることも、私たちは深く心に留めなければなりません。立法府が危機にひんしているとしたら、私たち有権者も、その責任から逃れることはできないのです。
 
安倍政権を継続させている「私たち有権者も、その責任から逃れることはできないのです」という自省の念が必要である。
 
さて、既に7月11日から施行される共謀罪なのだが、麻生太郎を叔父に持つTBSテレビの報道局記者・同局ニュースキャスターで、ニューヨーク支局では現場至上主義を掲げ、FBI・CIAの対テロ戦争の裏側や国連を中心に取材してきた竹内明が、共謀罪が適用されている米国事情をリポートしている。
  
<ご存じですか?アメリカでは「共謀罪」はこんな風に使われている>
 2017.06.16 現代ビジネス    
 「共謀罪」(テロ等準備罪)が国会で成立した。法務委員会での採決を省略し、参院本会議で可決成立させるという異例の手段をとった。
共謀罪は周知の通り、犯罪の計画に合意した者を処罰する罪だ。「市民生活に影響を及ぼす」、「日常会話が処罰の対象になりかねない」など、様々な反対意見がある。
しかし法案が成立したからには、私たちはこの条文を捜査機関が”どのように使うのか”、それによって”どんな社会になっていくのか”に、冷静に注意を払わねばならない。
米国には古くから「共謀罪」が存在し、捜査で幅広く使われている。実は私の取材対象だった、ニューヨーク在住のイスラム教徒2人も、この共謀罪でFBIに逮捕された。「共謀罪」が米国の捜査の現場でどう使われるのか、まずはお読み頂きたい。
男は”良い人”の仮面をかぶってやってきた
舞台はニューヨーク州の州都オルバニー。モハメド・ホサインが経営するピザ屋にある男がやってきた。男はピザを食べながら、店にで遊んでいたホサインの子供たちに話しかけ、ヘリコプターのおもちゃをプレゼントした。子供たちは言った。
「あの人は良いムスリムだ。イスラム教のことをもっと勉強したいらしいよ」
その男はたびたび店にやってくるようになり、ホサインと言葉を交わすようになった。ホサインはバングラデシュの貧しい農家の出身、豊かな生活を夢見てアメリカに渡ってきた。マリックと名乗るその男はバングラデシュの隣国、パキスタン出身で、ニューヨークでの事業が成功していることをほのめかした。
その言葉通り、いつもBMWやベンツに乗って店にやってくる。着ているのはブルックスブラザースの上質なスーツだった。
マリックは「イスラム教を学びたい」と言い、ホサイン一家が通うモスクに来るようになった。そして、ホサインに様々な救いの手を差し伸べるようになる。
ホサインには知的障害のある弟がいた。米国では運転免許は身分証明書として必須なのだが、知的障害があるので免許取得が難しかった。マリックは「私は通訳の資格があるので、テストに立ち会って助けてあげます」といい、実際のテストでは解答を教えて、本当に合格させた。
次に、マリックが持ちかけてきたのが儲け話だ。ホサインの店は近所の人の溜り場になってはいるが、経営は決して上手くいっていなかった。ある日、ホサインはマリックの家に招かれ、黒い物体を見せられた。
「これは地対空ミサイルの部品です。中国から輸入してムジャーヒドに売ります。彼らはアラーの名の下で、飛行機を撃墜します。あなたもこのジハードで金をつくりましょうよ」
”うまい話”に乗せられて……
マリックが見せたのは地対空ミサイルの引き金部分だった。計画はこうだ。マリックがミサイルの売却益5万ドルをホサインに渡し、ホサインは毎月2000ドルの小切手を事業協力費名目でマリックに渡す。払い戻すのは合計4万5000ドルで、差額の5000ドルはホサインの手元に残る、というおいしい仕組みだ。
要はマネーロンダリング計画なのだが、金に困っていたホサインはこの提案に合意した。続けて、マリックはこう問いかけた。
「私たちの取引に立ち会う証人をおきましょう。だれか中立的な人はいませんか?」
ホサインは答えた。
「アレフさんなら中立です。彼なら私たちを裏切ることはありません」
ホサインはモスクの教導師であるヤシン・アレフを提案した。アレフは毎月の小切手の受け渡しの立会人になった。アレフはもともとイラク在住のクルド人だ。フセイン政権による弾圧に遭い、化学兵器攻撃を受けたとき、アレフは寝たきりの父親を置いて逃げざるを得なかった。その後、隣国シリアに難民として出国、難民として米国にやってきた。190センチ近い長身に、立派な髭を蓄えており、風格十分だが、まだ30代半ばの若き聖職者だ。
アレフ立会いの下で取引を繰り返すうちに、マリックがこんなことを言い始めた。
「私はジャイシュ・エ・ムハンマド(ムハンマドの戦士)と仕事をしています。パキスタンのムシャラフ政権は非ムスリムを助けている。ムシャラフに我々と敵対しないよう教えるためにこのミサイルを使うんだ」
アレフの前でテロ計画を打ち明けることで、環境は整った。ある晩、ホサインとアレフは武装したFBI捜査官に銃を突きつけられ、逮捕されることになる。容疑はテロ支援を共謀したという、いわゆる”共謀罪”だった。
逮捕された2人は、共謀罪の証拠を見せられて驚愕した。これまでのマリックとの会話がすべて録音され、ミサイルを触っている姿まで撮影されていたからだ。
そう。信頼する友人マリックは、FBIの情報協力者で、捜査官の言うなりに動いていたのだ。無論、テロ計画も支援計画も架空の話で、その謀議に加わったことが罪に問われたのだ。
”罠”にかかって罪びとになる
FBIが狙っていたのはアレフだった。米軍がイラクのテロリストキャンプで発見した住所録にアレフの電話番号が書かれていたのが原因だ。国防総省は、アレフの名前の脇に書かれていたアラビア文字が、「司令官」という意味だと翻訳して、その情報をFBIに通報した。この知らせを受けたFBIは「テロ組織の司令官がアメリカにいるのなら逮捕するしかない」となったわけだが、それだけでは逮捕容疑がない。
そこで共謀罪を使った”おとり捜査”を仕掛けることになったのだ。しかし、この「司令官」は国防総省の誤訳だった。実際はクルド語の「ブラザー」、つまり兄弟や友人を意味する言葉だったのだ。こんなあやふやな根拠に基づいた狙い撃ちだったのだ。
捜査機関が、密室での話し合いの証拠を掴むのは至難の業だ。だから米国の捜査機関は共謀罪立件のために、おとり捜査を使う。共謀の証拠を掴むために協力者を潜入させるだけではなく、犯罪の意思がない者を謀議に引きずり込み、合意させるという”罠”が横行している。多くはマフィアやテログループを標的にしたものだが、アレフやホサインのように、誤認されて巻き込まれる一般人がいるのも事実だ。
今のところ、日本ではこうした犯意を誘発する囮捜査は認められていないのだが、ある警察幹部はこう語る。
「日本でテロ等準備罪が新設されたからといって、いまのままでは証拠収集が難しいから捜査には使えない。治安を守るためには、アメリカのような犯意誘発型の囮捜査や、室内音声の秘匿録音、録画など、幅広い捜査手法を認めるようにしなければダメです」
”共謀罪”が成立すれば、次は”共謀罪”立件のためのおとり捜査、電話やメールの傍受、さらには最高裁が違法としたGPS装着など、捜査手法を拡大しようという動きが出るだろう。そうなると、日本はどんな社会になるのだろうか。それは、アレフが保釈中、筆者に語った言葉が象徴している。
「西洋諸国にいるムスリムはいま、差別を感じている。狙った相手のもとにスパイを送り込んで、罠に嵌めるような捜査を続ければ、互いを信頼できず、不信に満ちた世界になります。将来は地球を二分する大きな問題になります」
”共謀罪”が成立したからといって、問題は終わりではない。治安維持を最優先にするのか、相互不信の社会を容認するのかどうか、じっくり考えながら、今後の議論を見守る必要があるだろう。
 
一昨年の戦争法成立後、「平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であり、戦争を未然に防ぐためのものだ。子供たちや未来の子供たちに平和な日本を引き継ぐため、必要な法的基盤が整備された」と言い、「世論調査の結果によれば、まだまだこれから粘り強く、丁寧に法案の説明を行っていきたいと思います」と言いながら、その後は全く説明がなかった。
 
そして共謀罪成立後も、「国民の生命、財産を守るために適切に、効果的に運用していきたい」と言い、3年後に東京五輪・パラリンピックを控えていることを挙げ「一日も早く条約を締結し、テロを未然に防ぐために国際社会としっかりと連携していきたい」と平然とうそぶく安倍晋三首相。
 
未だかつて「平和な暮らし」を享受できない多くの国民が存在し、いじめによる小中学生の自殺は日常茶飯事となり、年金暮らしの高齢者の負担は増加するという現状からは、一体誰のための何のための法律なのか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 13:02| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 共謀罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月15日

国会を殺し、自由と多様性を殺し、メディアを殺し、民主主義を殺そうとしている安倍政権

東京芸術劇場小屋入りを前にした役者の八嶋智人がこんなツイートを飛ばしていた。 
そして夜が明けたら、参議院議員の福島瑞穂のツイートが飛んできた。 
昔から、「徹夜国会」というのは聞いたことがあったが、早朝国会とは常軌を逸している。
 
 「『共謀罪』法が成立、自公強行 委員会採決省略、懸念置き去り

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【東京新聞より】
 
最近の新聞メディアは、はっきりと「親安倍派」と「反安倍派」に分かれている。
 
米国の主要紙は以前から「旗幟鮮明」であったが、日本では「不偏不党」が良しとされてきたので、両論併記スタイルが定着していた。
 
しかし、明らかに間違った政策には真っ向から異を唱え反対することがジャーナリズムの本来の姿である。
 
凶暴罪」と呼ばれてもおかしくはない共謀罪法案の参議院本会議での早朝の採決。
 
「親安倍派」のメディアの社説は全てスルー状態。
 
それでは、旗幟鮮明にした「反安倍派」の社説は、「疑惑隠しの幕引き」という点では共通していた。
 
■朝日新聞国会最終盤 極まる政権の強権姿勢
 
政権側の思惑は明らかだ。
共謀罪法案は何としても成立させる。だが18日までの国会会期を延長する事態になれば、森友学園や加計学園の問題で野党に追及の機会を与えることになる。とにかく早く閉会したい。強引な手法をとっても、人々はやがて忘れるだろう――。
異なる意見に耳を貸さない。数の力で押し切る。国民を軽視する。くり返し指摘してきた政権の体質が、国会の最終盤に、最悪の形であらわれた。
  
■毎日新聞強引決着の『共謀罪』法案 参院の役割放棄に等しい
 
参院法務委員会は公明党議員が委員長を務める。与党が委員会で採決を強行しなかったのは、公明党が重視する東京都議選の告示を来週に控えての配慮とみられている。だとすれば、ご都合主義も極まれりだ。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題も、与党の対応に影響したとみられている。
文部科学省は内部文書の再調査を進めており、結果が公表されれば野党の攻撃が激化する可能性がある。都議選を控え「加計隠し」のため国会の幕引きを急いだのではないか。
 
■東京新聞『共謀罪』法案 成立強行は疑惑隠しか
 
国会では学校法人「加計学園」の獣医学部新設に、安倍晋三首相の意向が働いていたか否かをめぐり、野党側が追及を強めている。
内閣府が「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」と働き掛けたとされる文書が明らかになり、文部科学省は再調査を余儀なくされた。
短期間でも国会を延長すれば、野党に疑惑追及の機会を与える。強行してでも早めに同法案を成立させて国会を閉じ、野党の追及機会を封じた方が得策と、与党側が考えても不思議ではない。
 しかし、それは疑惑隠し以外の何ものでもない。
 
決して国会法には抵触はしていないらしいが、与党が委員会の委員長を務めているにもかかわらず、その委員会採決をすっ飛ばしたことは過去には例がないことであった。
 
<採決を省略「中間報告」 与党委員長なのに…異例>
 2017年6月15日 朝刊 東京新聞
20170615chuukanhoukoku.jpg 「中間報告」は国会の法案審議で委員会採決を飛ばし、直接本会議で採決する手続き。国会法に規定はあるとはいえ、今回のように与党が委員長ポストを握り、委員会運営の主導権を握っているのに用いるのは異例中の異例。与野党の合意がないケースは10年ぶりで、当時も安倍政権(第一次)だった。
 法案は通常、委員会での質疑と採決を経て本会議で採決される。ただし、国会法56条の3は「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる」と定めている。中間報告は過去に衆院で4例、参院で18例ある。
 与野党対決型の法案で、与党がこの手続きを使うのは10年前の2007年、天下りを規制する国家公務員法改正案の参院採決以来だ。
 当時、自民、公明の与党は、法案を審議していた参院内閣委員会の藤原正司委員長(民主党、当時)が、会期末までに採決しないと判断。参院本会議で中間報告を求め委員会採決を省き、可決、成立させた。
 このように中間報告は、野党議員が委員長を務め、採決を認めようとしない場合に、与党が使うことが多い。しかし、「共謀罪」法案のケースでは、与党(公明党)が委員長を務めている。それでも与党が中間報告に踏み切ったのは、今国会の会期内に法案を成立させるため、委員会の法案審議と採決の時間を省略したといえ、野党は強く反発している。
 
もっとも、与党といっても参院の法務委員会の委員長は公明党の秋野公造であり、委員会での採決となれば当然ながら「強行採決」となり、おなじみの怒声が飛び交う田舎プロレスが始まってしまう。
 
そんな醜態を支持者には見せられないという公明党の意向を汲んだという見方もあるが、公明党は都議選では敵に回るので、委員会採決なんかやめて一気に本会議採決に持っていく方が確実だ、という焦りからの異例の行動となったのではないだろうか。
 
オジサンは衆議院で野党側が簡単に2017年度予算案をスンナリと通してしまった時点で、共謀罪法案を「なにがなんでも廃案にする」という強い意志と戦略が野党、特に民進党にはないのではないかと思っていた。
 
先週末頃には、与党側から「10日ほどの会期延長」というアドバルーンがあげられ、23日の都議選前が最大の山場と踏んでいた野党であったが、加計学園疑惑での文科省内の文書の追加調査が発表され、国会会期中に公表すれば、政府を追及できると踏んでいたらしいが、それを避けるためには会期中の全てを片付けたいという政府・与党の思惑を阻止することはできなかった。
 
ネット上ではこんな声が聞こえてきた。  
同じような批判が民進党以外の野党からも上がっていたという。
 
<国会戦術 民進党を他の野党幹部が批判「どうしたいの?」>
 毎日新聞 2017年6月14日 23時37分
 組織犯罪処罰法改正案の採決を巡り、閣僚問責決議案などのカードを早々と切り、与党に審議打ち切りの「大義名分」を与える形になった野党第1党・民進党の国会戦術に、他の野党幹部からは「がっかりだ。どうしたいのか分からない」と批判の声も上がった。
 民進党は13日、山本幸三地方創生担当相への問責決議案を単独で提出。さらに「自民党に『共謀罪』法案を採決しそうな雰囲気がある」と、金田勝年法相の問責決議案提出も主導した。野党にカードを早めに切らせようと駆け引きしていた与党は「これ以上審議は要らない、という野党の意思表明だ」と、中間報告や採決の正当性を強調した。
 「共謀罪」法案では、安倍晋三首相も出席する参院予算委員会の集中審議を与党が「約束」し、民進党などは参院の審議入りをあっさり認めたが、国会会期は残りわずかで、集中審議の実現も風前のともしび。社民党幹部は「衆院で採決が強行されたのだから、もっと抵抗すべきだった」と嘆いた。
 
まさに狡猾な安倍政権に未熟な民進党が翻弄された結果が、早朝の参院本会議採決となった。

そして、ついに安倍政権は、「『共謀罪』、秘密法・安保法の延長線上 改憲へ突き進む安倍政権」となってしまった。
 
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【東京新聞より】
 
このような状況を見越してなのか先週末には、世界平和アピール七人委員会がいつになく激しい口調のアピールを発表していた。  
 
< 国会が死にかけている>
 2017年6月10日 世界平和アピール七人委員会
 かつてここまで国民と国会が軽んじられた時代があっただろうか。
戦後の日本社会を一変させる「共謀罪」法案が上程されている国会では、法案をほとんど理解できていない法務大臣が答弁を二転三転させ、まともな審議にならない。安倍首相も、もっぱら質問をはぐらかすばかりで、真摯に審議に向き合う姿勢はない。聞くに耐えない軽口と強弁と脱線がくりかえされるなかで野党の追及は空回りし、それもこれもすべて審議時間にカウントされて、最後は数に勝る与党が採決を強行する。これは、特定秘密保護法や安全保障関連法でも繰り返された光景である。
 いまや首相も国会議員も官僚も、国会での自身の発言の一言一句が記録されて公の歴史史料になることを歯牙にもかけない。政府も官庁も、都合の悪い資料は公文書であっても平気で破棄し、公開しても多くは黒塗りで、黒を白と言い、有るものを無いと言い、批判や異論を封じ、問題を追及するメディアを恫喝する。
 こんな民主主義国家がどこにあるだろうか。これでは「共謀罪」法案について国内だけでなく、国連関係者や国際ペンクラブから深刻な懸念が表明されるのも無理はない。そして、それらに対しても政府はヒステリックな反応をするだけである。
 しかも、国際組織犯罪防止条約の批准に「共謀罪」法が不可欠とする政府の主張は正しくない上に、そもそも同条約はテロ対策とは関係がない。政府は国会で、あえて不正確な説明をして国民を欺いているのである。
 政府と政権与党のこの現状は、もはや一般国民が許容できる範囲を超えている。安倍政権によって私物化されたこの国の政治状況はファシズムそのものであり、こんな政権が現行憲法の改変をもくろむのは、国民にとって悪夢以外の何ものでもない。
 「共謀罪」法案についての政府の説明が、まさしく嘘と不正確さで固められている事実を通して、この政権が「共謀罪」法で何をしようとしているのかが見えてくる。この政権はまさしく国会を殺し、自由と多様性を殺し、メディアを殺し、民主主義を殺そうとしているのである。
 
このアピールをまとめた委員の1人、写真家の大石芳野さんは、こう語っていた。
 
「緊急アピールの最後に『殺す』という言葉を使った。『この政権はまさしく国会を殺し、自由と多様性を殺し、メディアを殺し、民主主義を殺そうとしている』と。
 これまで、さまざまなアピールを出してきたが、こういう激しい表現を用いたことはなかった。『かつてない状況になってしまった』という危機感からこのようにした。(中略)
 野党が大きく議席数を減らしたことが強権政治を生み出した要因だが、与党にも重い責任がある。以前は自民党の中にも時の内閣を批判する勢力があったのに、いまは誰も声を出さず黙ったままなのが恐ろしい。」
 
「民主主義を殺そうとしている」のではなく、もう既に瀕死の状態が日本の民主主義ではないだろうか、とオジサンは思う。

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2017年06月11日

安倍政権の物言えぬ暗さ、すでに密告社会が始まっている



テレビのCM放送で該当の製品を購入した人々がその効用を話している画面の脇に「あくまでも個人の感想です」という断りをよく見かけるが、ネット上のツイッターも、ある意味では「あくまでも個人のつぶやき」であり、またオジサンのつぶやきも時にはその類になることもある。
 
上記のツイッターは、かなりアクセス数が高いブログ「世に倦む日日」の主宰者の田中宏和なのだが、彼が3か月前に、「『震災から6年』の与良正男の暴言 - 脱原発の気運はどこで挫けたのか」とのタイトルで、毎日新聞の専門編集委員の与良正男を下記のように痛烈に批判していた。
 
震災から6年の特集を放送した12日のサンデーモーニングで、与良正男が聞き捨てならないことを言っていた。原発事故の直後に政府と東電が情報隠しに奔走した映像が流れたが、与良正男が、何を思ったのか、次のように言い放ったのだ。「あのとき、メディアは情報隠しをしていると批判されたが、そうではない。分かっていて隠したわけではない。何が起きていたか僕も分からなかったし、専門家も、日本全体が分かっていなかった」と。この自己正当化の言い訳の言葉は、事故後も何度も聞いた覚えがあるし、与良正男もどこかで発言していたかもしれない。しかし、6年後の今も、こんな身勝手な愚痴を平気で言いのける与良正男の神経はどうなっているのだろうと唖然とする。この男は幼稚だ。安倍晋三と同じで、幼稚園児のような未熟な精神性のままで還暦に達している。与良正男が無知で、そのとき何も状況を理解できなかったことは事実だろうし、わざわざ言うまでもないことだ。だが、科学的な知見を持ち、事故の内実を的確に推測できていた専門家は少なからずいた。広瀬隆がそうだし、田中三彦がそうだし、小出裕章がそうだ。与良正男の言う、専門家も分かっていなかったという主張は真っ赤なウソだ。
 
この批判部分以外の内容は特にクレームを付ける部分は見当たらないのだが、「この男は幼稚だ。安倍晋三と同じで、幼稚園児のような未熟な精神性のままで還暦に達している」とまで言われてしまった与良正男が果たして今でも「未熟な精神性」を持っているのかどうかは、最近の与良正男の記事を読めば良く分かるというものである。

与良正男がまともなジャーナリストであるという名誉のためにも、過去2週の夕刊記事を紹介する。
 
<読売報道とジャーナリズム>
 毎日新聞 2017年5月31日 東京夕刊  
 学校法人加計学園を巡る問題で、一連の内部文書は本物だと証言した先日の前川喜平・前文部科学事務次官の記者会見に私も行ってきた。
 報じられている通り異例の会見だった。だが実は、私が一番驚いたのは会見の終盤で記者の方から次の質問が飛び出したことだった。
 「こういった在職中に知り得たものを明かすのは(国家公務員法の)守秘義務違反に当たらないかという指摘もされると思うんですけど」
 読売新聞の記者だった。前川氏側の答えは「ノーコメント」で終わってしまったから、記者がなぜ、その質問をしたのか意図は分からない。しかし、その守秘義務の壁と私たち記者はずっと戦ってきたのではなかったか。それを記者が問いただす時代になったとは−−と驚いたのだ。
 事実、公務員が内部情報を漏らせば守秘義務違反となる恐れがある。それでも真実を報じることが公正な社会を実現するためになると思えば探り出すのが私たちの仕事だ。
 だからこそ情報源を秘匿し、守るのが鉄則だ。守り切れない過ちを犯したことも過去にはあった。でも何のために報道するのかの原点を忘れてはおしまいだ。政治家や役所の公式発表をたれ流せばいいという話になってしまうではないか。
 読売が会見の3日前の朝刊で、前川氏が現職中に「出会い系バー」に通っていたと報じたことが論議を呼んでいる。「週刊新潮」等々が書いているように前川氏の証言潰しのために官邸が事前に読売にリークしたのかどうか、現時点での私の取材では断定できないが、読売はそういった見方をされるのを承知したうえで報道したのは確かではなかろうか。
 私は米国のように新聞が政治的立場をもっと明確にしてもいいと個人的には考えてきた。正しい政策だと判断すれば政権を後押しすればいいとも思う。ただし原点は、その時々の権力を厳しく監視し、暴走に歯止めをかけることだ。そして権力側に都合よく利用されないことだ。
 政権は今、「親安倍の読売、産経」と「反安倍の毎日、朝日、東京」というように新聞も敵か味方か色分けしているようだ。そう二分化することが好都合なのかもしれない。
 「加計」問題は政治の本質とともに、ジャーナリズムの本質も問いかけていると思う。
 
<安倍政権、物言えぬ暗さ>
 毎日新聞 2017年6月7日 東京夕刊 
 今回も学校法人「加計学園」をめぐる話を書く。
 同学園の獣医学部新設計画について「行政がゆがめられた」と証言した文部科学省の前川喜平・前事務次官に対し、安倍晋三首相は現職中に意見を言う機会はあったと強調し、「なぜその場で反対しなかったのか不思議だ」とラジオで反論した。
 同じ思いをしている人もいるだろう。その点は前川氏本人が「力不足だった」と既に認めている。だが、なぜ現職中に言わなかったのか、首相が本当に「不思議だ」と考えているとすれば、これはより深刻だ。
 今月1日、外務省は森本康敬・釜山総領事を退任させた。
 韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦問題を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として政府は森本氏を一時帰国させた。森本氏はそれらの判断を私的な会食の場で批判し、それが官邸に伝わって更迭されたというのが定説だ。
 一昨年夏には総務省側がある幹部の昇格を提案したが、菅義偉官房長官が「それだけは許さない」と拒否した−−と先日毎日新聞は報じた。この幹部は菅氏が主導したふるさと納税創設に反対していたそうだ。
 府省庁の幹部人事は今、官邸が牛耳っていることは本欄で書いた。人事への報復を恐れ、意見を言いたくても言えない、言わない状況を作り出しているのは今の政権なのだ。
 前川証言で印象に残った言葉を。
 現職中知り得た情報を明かすのは公務員の守秘義務違反ではないかという指摘に対し、前川氏はこう言った。
 「秘にしてはいけないものを、国民に知らせるのはむしろ積極的にやるべきことだ。それがなかったら民主主義は成り立たない
 その通りである。そして「官邸主導」は小泉純一郎政権以降に強く叫ばれるようになったとの見方を示したうえで、こう語った。
 「小泉政権は反対意見もそれなりに受け入れてくれた。抵抗しても報復はなかった。風通しのよさ、明るさがあった」
 そう。確かに小泉時代は今と比べて明るかったし、自由にものが言えた。力ずくで(時に「出会い系バー」の話を持ち出すなどして)異論を封じる安倍政治の本質を突いている言葉だと思うが、首相はそれにも聞く耳を持たない。
 
上記の文章の中で、森本康敬・釜山総領事の退任の件には、「私的な会食の場で批判し、それが官邸に伝わって更迭された」という定説を紹介している。
 
当時のネットニュースでは、こんな風に書かれていた。
 
森本氏は「ノンキャリア」と呼ばれる専門職採用者で韓国語が専門。知人らとの会食の席で、自身の一時帰国を決めた安倍晋三首相ら官邸の判断を批判したとされる。韓国側に誤ったシグナルを送りかねないとして問題視されていた。
 
森本康敬・総領事は昨年6月に着任したばかりであり、通常、外交官や官僚の人事というのは2年が1つの単位であり、1年で交代というのは極めて異例なことである。
 
一時帰国した時に知人との私的な会食で政府の対応を批判したことが首相官邸サイドが問題にしたということである。
 
良く考えてみると恐ろしい事態ではないだろうか。
 
総領事になるような人が、いくら私的な会食と言っても素性あやしい人物が同席するはずがない。
 
つまりその場にいた誰かが、「あいつがこんなことを言っていた」と流し、政府がそれをキャッチしたわけである。
 
ヒョットすると同じノンキャリアの同期たちがいたのかもしれない。
 
それにしても、そのような話が「自然と」官邸側にはいることはありえず、絶えず官邸からみて要注意人物には、それなりの監視の目が張りめぐらされていたことは、「出会い系バー」に通っていた前川喜平・元文科省事務次官が内閣調査室や公安からマークされていたことから想像に難くない。
 
元外交官で当時の小泉純一郎首相を批判し大使を更迭された天木直人ブログは、こんな見方をしていた。
 
 「末期的症状を呈して来た安倍・菅暴政コンビの人事権濫用」 
 
これがいわゆる一般人の場合はどうなるのだろう。
 
201x年、たまたまある環境団体でボランティアを行った人が、その団体の会合に出席した時に、「私たち市民の憩いの場である緑地に市が里山を壊して記念館を作るというので、これから反対運動を行いましょう」という話を聞いてしまった。
 
そのボランティアの人は、自分はその環境団体のメンバーではないから関係ないと思っていたが、以前から目を付けていた当局から「共謀罪容疑」で取り調べを受けた。
 
その取り調べの場では、「お前は直接関わっていないかもしれないが、その場にいたことだけでも罪になる。その反対運動の首謀者の名前を言えば罪は軽減されるか、不起訴になる」と言われ、すべてを話してしまった。
 
これが共謀罪の恐ろしさであり、既に安倍政権は主要閣僚や官僚に対しては、お互いが監視する密告体制が敷かれているから、だれも真実を語ることができないのであろう、とオジサンは思う。
 
最後に、昨日のTBS『報道特集』の「加計学園問題と獣医師の現状」を紹介しておく。

posted by 定年オジサン at 13:03| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 共謀罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月01日

アベ友学園疑惑は消えず、共謀罪は正体を現し始めた

安倍晋三の「お友だち」への便宜供与や利益誘導で、森友学園と加計学園を合わせて「アベ友学園疑惑」と誰が言い出したのかは知らないが、安倍晋三やその側近が形式的な職務で金を受け取っていたことが明らかになっている。
 
一昨日は、「安倍首相 過去に加計役員『報酬、1年で14万円』参院委」とバラされ、役員といっても「監事」なので非常勤役員以下の役職であり、事実上は名前貸しの見返りであろう。
 
そして昨日は、側近が「加計学園 萩生田官房副長官も報酬 落選中に客員教授で」と報じられたが、正確には加計学園の系列の千葉科学大学の「政治家」枠で客員教授になっており、過去には東祥三や井上義行などがいる。
 
それにして萩生田官房副長官は私学卒で単なる「学士」に過ぎないのだが、はたして「月10万円の報酬」に見合うような講義をしていたのか気になるところである。
 
そして、「前川の乱」はその後も続き、「新学部、前次官と話題に 面会認める 圧力は否定 加計学園理事の内閣官房参与」ということも明らかにされた。
 
今国会の会期中に是非とも前川元事務次官の証人喚問を実現させ全ての事実を国民の前で明らかにしなければならない。
 
これに勇気づけられた文科省は、書類審査だけでは設置可否の判断が困難であるとのことから、実地審査を行うことにしたという。
 
<岡山・加計学園 定員、妥当性調査へ 全国平均3倍 8月認可判断 文科省設置審>
 毎日新聞 2017年5月31日 東京夕刊
20170601sinsanokeii.jpg  安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が国家戦略特区に新設を予定している獣医学部について、設置の可否を審査している文部科学省の大学設置・学校法人審議会が、6月5日に愛媛県今治市の建設予定地で実地審査する方針を固めた。加計学園の獣医学部の定員は全国平均の3倍近くに達し、教員や施設の態勢に問題がないか確認するため、実態を調べる必要があると判断した。審議会は実地審査を踏まえて慎重に議論を進め、8月末に認可・不認可を決める。
 加計学園は3月末に岡山理科大獣医学部の新設を文科相に申請。これを受け、文科相が審議会に諮問し、専門家が委員を務める「専門委員会」で教育課程や財政計画などについて書類審査が進められてきた。
 実地審査は、書類審査だけでは設置可否の判断が困難な場合に実施される。加計学園の獣医学部の計画で特徴的なのは、160人という定員の数だ。現在、獣医師養成系の大学は全国で16あり、定員は計930人。平均すると60人弱となっており、新設が認められれば全国最大規模となる。
 審議会は現地で施設の整備状況などを確認し、実際に160人を教えられる態勢が整うのか法人側から聞き取りをする。関係者によると、委員からは教員について「大学を卒業したばかりの若手と65歳以上の教授が多い」と年齢構成に偏りがあると指摘されているという。不十分と判断した場合、計画の修正や補足説明を求める。その場合、学園側は補正申請書を提出し、改めて審議会の判断を仰ぐことになる。【伊澤拓也】
 
さて、国会では、衆院で強行採決された共謀罪の審議参議院で始まったのだが、衆議院での審議よりもさらに踏み込んだ共謀罪の危険性が政府側答弁から飛び出している。
 
しかし参議院では審議時間が衆議院の7〜8割とされており、1日6時間も質疑応答を行えば来週末には、与党は再び強行採決をする可能性が高いという危機感から、昨夜は日比谷野外音楽堂内外に4700名の市民が集まった。
 
 「『自由な社会』が奪われる!〜共謀罪反対、市民の集いに4700人
 
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【レイバーネットより】

 
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【レイバーネットより】

 
纐纈美千世さん(日本消費者連盟)の司会で始まった「5・31共謀罪法案の廃案を求める市民の集い」2017.5.31 @日比谷野音の発言者たちの危機感あふれる熱いスピーチを、昨夜聞くことができなかった人達にお届けする。
 
【豊岡マッシー氏 オープニングライブ】

 
【主催者挨拶  米田祐子さん(グリーンピース・ジャパン事務局長)】
 
【特別アピール 海渡雄一さん(弁護士)】「共謀罪法案の審議をストップし、国連の問いに答えよ!」
 
【民進党・山尾志桜里衆議院議員】

 
【共産党・山下芳生参議院議員】

 
【社民党・福島瑞穂参議院議員】

 
【自由党・森ゆうこ参議院議員】

 
【沖縄の風・糸数慶子参議院議員】

 
【精神科医・香山リカ】

 
【山口 薫さん(アムネスティ・インターナショナル日本)】

 
【旗手 明さん(自由人権協会)】

 
【小林基秀さん(新聞労連委員長)】

 
【山田健太さん(日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)】

 
【小田川義和さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)】
         
 
【加藤健次(法律家団体連絡会)】

 
発言者の話を聞くにつれて、「共謀罪は当局が取り締まりたい人を犯罪者に仕立てあげる法律」であるということが、多くの参加者たちは確信したのではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 11:51| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 共謀罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月30日

環境破壊反対行動や人権を守れ行動も共謀罪

「前川さんがパクられたら、どうするの? 犯罪者の言い分をタレ流したことになるよ」
 
こんな恫喝まがいのセリフを記者にチラつかせながら、「前川告発」の報道を牽制しているという安倍官邸。
 
その口封じ逮捕”の理由に挙がっているのが、公務員時代に知り得た情報を外部に漏らした「守秘義務違反」(国家公務員法違反)、文書を外部に持ち出した「窃盗」のほか、保護者の同意や正当な理由なく、深夜に青少年を連れ出してはならない――とする都の青少年保護育成条例違反等々が密かに計画されているという。
 
 「安倍官邸が醜聞探しに躍起 前川前文科次官“口封じ逮捕”も」(日刊ゲンダイ)
 
確かに、過去にはこんな違法な逮捕があった。
 
それは、「西山事件」と呼ばれ、1971年の沖縄返還協定にからみ、取材上知り得た機密情報を国会議員に漏洩した毎日新聞社政治部の西山太吉記者らが国家公務員法違反で有罪となった事件であり、別名、沖縄密約事件、外務省機密漏洩事件として最高裁まで争われたが、肝心の密約に関してはその後一切報道されず、闇に葬り去られてしまった。
 
しかし今回の加計学園に関しては、まだまだ新しい事実が出てきそうである。
さて、「舞台は参院選になる共謀罪攻防、しかしすでに市民運動に影響が!」とのつぶやきの中で、国連事務総長と安倍晋三首相の会談内容の中味が、国連広報センターと日本のメディアでは異なると、原文を示して、「おそらく国連事務総長と安倍晋三首相の会談に立ち会った通訳とその周辺によって日本のプレス向きに意訳されたものなのであろう。
安倍政権お得意の、『印象操作』の表れである。」とつぶやいた。
 
どうやら、そのことに気づき始めたメディアがいたようである。  
 
<政府と国連の公表内容に差 政府、日韓合意で「事務総長が賛意」>
 2017年5月30日 朝刊 東京新聞
20170530abe_jimusouchoukaidan.jpg 国連は28日、イタリア・タオルミナで行われた安倍晋三首相とグテレス事務総長との懇談内容を発表した。2人は「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に懸念を表明したジョセフ・ケナタッチ氏が務める国連特別報告者の立場や慰安婦問題などについて意見交換したが、発言に関する公表内容が食い違う部分もみられる。 (生島章弘、ニューヨーク・東條仁史)
 国連によると、事務総長は国連特別報告者の立場について「独立しており、人権理事会に直接報告する専門家」と首相に伝えた。慰安婦問題に関しては、一般論として日韓両政府が合意に基づき解決していくことに賛同したが、2015年12月の日韓合意そのものには触れなかった。
 これに対して、日本政府によると、事務総長は国連特別報告者の立場について「国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」などと首相に伝えた。慰安婦問題については、最終的かつ不可逆的な解決を申し合わせた15年の日韓合意の重要性を訴えた首相に「賛意を示すとともに、歓迎する旨を述べた」という。
 日本政府と国連の公表内容を比較すると、特別報告者を巡っては、日本政府が「国連の総意を反映していない」という部分を強調しているようにみえる。慰安婦問題に関しては双方の主張は食い違っている。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は29日の記者会見で、懇談の内容について「日本側が発表した通り」と語った。
◆「バランス欠く」首相が強く批判 国連報告者書簡
 安倍晋三首相は29日の参院本会議で、国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が「共謀罪」法案によるプライバシー権侵害への懸念を表明したことについて、「言動は著しくバランスを欠き、客観的であるべき専門家の振る舞いとは言い難い」と強く批判した。
 首相は、ケナタッチ氏が関係者への意見聴取を行うなどの手続きを経ず、公開書簡を発表したことを念頭に「信義則にも反する。一方的なものである以上、政府のこれまでの説明の妥当性を減ずるものでは全くない」と指摘。自身宛ての質問に対しては「わが国の取り組みを国際社会で正確に説明するためにも、しっかりと返したい」と語った。
◆「事務総長は合意言及せず」韓国発表
 【ソウル=上野実輝彦】慰安婦問題を巡る日本政府と国連の説明内容が食い違っている問題で、韓国政府は29日、グテレス国連事務総長が日韓合意に直接言及しなかったと本人に確認したと発表した。日本政府の説明を否定した形だ。
 韓国政府によると、新外相候補に指名された康京和(カンギョンファ)氏が電話や電子メールでグテレス氏に問い合わせ「特定の合意に対して話したのではなく、当該国同士が問題の解決方法を決めるべきだという原則を表明した」との回答を得た。
 康氏は外相指名の直前まで、国連でグテレス氏の特別補佐官を務めた。本人の回答を得ることで「合意は国際社会で評価されている」とする日本政府の主張に疑問を投げかける狙いがあるとみられる。
 
安倍晋三首相の語学力レベルでは到底外国の要人と直接会話をすることは不可能であり、歴代の首相の中では、「政界随一」と謳われたほどの英語力の持ち主と言われた、10年前に亡くなった宮沢喜一が有名である。
 
【宮沢喜一総理の英語インタビュー Kiichi Miyazawa English Interview】3分頃から
 
 
彼は、外国首脳や大臣との会談では、外交プロトコル上かならず通訳を同席させることが規則だが、英語圏の首脳とは通訳を待たずに直接話し、会話を主導していた程であった。
 
どうやら国連事務総長の話を安倍晋三首相に伝えた外務省の通訳が日本に有利な内容に翻訳したという「忖度」があったかも知れない。
 
それにしても、国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が「共謀罪」法案によるプライバシー権侵害への懸念を表明したことについて、安倍晋三首相が「言動は著しくバランスを欠き、客観的であるべき専門家の振る舞いとは言い難い」と強く批判したということは、おそらくは図星であったということであろう。
 
その共謀罪が昨日の参議院本会議で総括的な質疑応答が始まったのだが、なぜか衆議院で30時間も審議され強行採決されたにもかかわらず、その法案の中身について金田勝年法相の答弁内容が変わっていた。
   
<「共謀罪」人権・環境団体も対象、法相認める 参院審議入り>
 2017年5月30日 朝刊 東京新聞
20170530kanedatouben.jpg
 犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案は29日、参院本会議で審議入りした。金田勝年法相は、環境や人権の保護を掲げる団体でも、実態が組織的犯罪集団と認められれば構成員が処罰対象になる可能性があると認めた。だが、組織的犯罪集団かどうかを判断するのはあくまでも捜査機関。政府などに批判的な団体が認定される可能性がより高まった。 (土門哲雄、大杉はるか)
 古川俊治氏(自民党)の質問に答えた。民進、共産両党は「市民運動、労働運動、政治活動、宗教活動などあらゆる団体に嫌疑がかかる懸念が生じないか」などと一般人が捜査、処罰される恐れを指摘した。
 「組織的犯罪集団」に当たるかどうかを巡り、金田氏はこれまで「自然環境や景観の保護を主張する団体は目的が正当と考えられ、重大な犯罪を実行することにあるとは考えられず、座り込みを計画しても処罰の対象にならない」と説明していた。
 この日、金田氏は「対外的には環境保護や人権保護を標榜(ひょうぼう)していても、それが隠れみので、結びつきの基本的な目的が重大な犯罪を実行することにある団体と認められる場合は処罰されうる」と指摘。そのような団体の構成員は「一般の方々とは言えないことは当然だ」と述べた。
 277の対象犯罪には市民団体などに適用される可能性がある組織的威力業務妨害罪などが含まれている。現在でも市民団体のメンバーに威力業務妨害罪が適用される場合がある。
 また金田氏はこの日、団体が組織的犯罪集団に該当するかどうかは「捜査機関が刑事訴訟法の規定に従い収集した証拠に基づいて、社会通念に従って判断して認定する」と言及。さらに、「組織的犯罪集団だと確実に認められなくても、その嫌疑が客観的にある場合、捜査を開始できる」と述べた。東徹氏(日本維新の会)の質問に答えた。
 政府はこれまで「組織的犯罪集団と関わりがない一般人は捜査の対象にならない」と繰り返してきたが、組織的犯罪集団かどうか分からなくても捜査する場合があることを認めた
 安倍晋三首相は「処罰範囲は明確かつ限定的で、捜査機関による恣意(しい)的な運用はできない。テロ等準備罪の創設は国民の権利、自由を不当に制約するものではない」と理解を求めた。
 
東京都杉並区では、マンションなどの建設反対運動で一般の住民が、威力業務妨害と見なされうる事態が既に起こっている。
 
そして、名古屋市瑞穂区でマンション建設の反対運動をしていた男性(60)は、建設現場で抗議活動中に現場監督を突き飛ばし、ダンプに背中を当てさせたと暴行罪で起訴されたのだが、その男性は「相手に触った覚えもない」と主張したにもかかわらず検察は、けががないときに適用される「暴行罪」で起訴したらしい。
 
対外的には環境保護や人権保護を標榜していても、それが隠れみので、結びつきの基本的な目的が重大な犯罪を実行することにある団体と認められる場合は処罰されうる」と金田勝年法相は指摘し、そのような団体の構成員は「一般の方々とは言えないことは当然だ」と今までの発言内容からさらに踏み込んでいた。
 
「隠れみの」であるのか否かはどうやって見分けるのが。
 
テレビでよく見かける「潜入捜査」などが、現実的なことになりかねない。
 
在特会のようなヘイトスピーチ団体に対して、人権保護団体が「ヘイトデモ」に抗議するために事前に連絡を取り合って集合場所を決めるような行為とそのデモに抗議する人々が犯罪者扱いされるという、正に「石が流れて木の葉が沈む」ような社会になってしまうのではないか、とオジサンは思う。

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2017年05月29日

舞台は参院選になる共謀罪攻防、しかしすでに市民運動に影響が!

文科省の前事務次官が毅然たる態度で「行政がゆがめられた」と会見で発表していらい、「官邸の最高レベル」からの人格攻撃が凄まじい
 
テレビメディアのなかで、テレビ朝日は「アベ友学園」のそば疑惑に関しては寺脇研・元文科省審議官をコメンテーターとして度々登場させているが、その彼が自身のFaceBookでこんなことを明らかにしていた。  
 
某全国紙から、27日朝刊のために前川さんの記者会見についてコメントを求められ、以下のように述べた(文章は記者がまとめてくれたもの)。 その数時間後、その記者から暗い声で電話が… 「このコメントは載せるな、と上からの命令があり掲載見送りになりました」 なのでここに出します。 いやはや、この国の既成メディアの状態はひどい。 今回の一件でそのことも明らかになりつつあります。
 
前川前文科次官の会見は堂々たるもので、信念の人だと改めて感じた。覚悟を決めて証言したのだろう。
 今回の問題は、獣医学部の新設を特区として認めるための手続きが適正に行われたかどうかにある。指摘された文書が本物とすれば、本来あるべき関係省庁の合意形成がないのに内閣府の官僚が首相の意向であるかのように恫喝し、文科省に設置審査入りを急がせていたことになる。
 官僚が首相の意向を勝手に忖度し、手柄を立てて評価してもらおうと強引に進めていたのなら大問題だ。忖度は森友学園の問題とも通じる。官邸が幹部人事をコントロールしていることが、忖度の行政を生んでいるのではないか。
 内閣府という役所は歴史が浅く、他の省庁のように役人としてどうあるべきかという「吏道」が確立していない。官邸の下部機構なので官邸が強大になれば内閣府の官僚は各省庁に対して強権を振るえる。本来、それぞれの所掌について責任を持ち政策提案するのが各省庁の本務のはずなのに内閣府の下請け状態となっている。これは正常な内閣制度とは言えない。
 
まさに至極真っ当な事実にもとづいたコメントであり、決して「安倍総理が直接指示した」なんて話はしていない。
 
内閣府と文科省という省庁間レベルの話が、「官邸の下部機構なので官邸が強大になれば内閣府の官僚は各省庁に対して強権を振る」という箇所が、おそらく官邸から強い「お叱り」を受けることを恐れて「某全国紙」の上層部が掲載を見送らせたということなのであろう。
 
少なくとも前川会見を報道した朝日新聞ではありえず、官邸の意向を忖度する全国紙となればおのずと明らかであろう。 
 
さて、衆議院でまたもや数の暴力で強行採決した共謀罪法案。
 
今週から参議院に論戦の場が移るのだが、10日ほど前に「国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏による日本政府に対する質問状」が公開され、それに対して日本政府が抗議し、再度、ジョセフ・ケナタッチ氏から質問状が送られた件について、毎日新聞「共謀罪 『参院でも丁寧な説明』安倍首相、確実な成立期す」という記事では、このように安倍晋三首相の話を垂れ流していた。
 
「首相は27日午前(日本時間27日午後)、グテレス国連事務総長とタオルミーナ市内で会談した。ケナタッチ国連特別報告者が同改正案に『プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある』と懸念を示したことに対し、グテレス氏は「個人の資格で活動しており、必ずしも国連の総意を反映するものではない』と述べた。」
 
その前に、国際連合広報センターの「特別報告者と作業部会」によれば、特別報告者はこう定義されている
  
「人権に関する特別報告者と作業部会は人権擁護の最前線に立つ。人権侵害を調査し、『特別手続き』に従って個々のケースや緊急事態に介入する。人権専門家は独立している。個人の資格で務め、任期は最高6年であるが、報酬は受けない。」
「これらの専門家は、特定の国における人権状況や世界的な人権侵害について調査し、監視し、公表する」
 
前述の記事中、「個人の資格で活動している」ことは事実であるが、「報酬を受けない、独立している個人の資格で務めている」のであり、その結果が国連に報告され正式なものになるのだが、「必ずしも国連の総意を反映するものではない」という表現は不適切であり、実際の原文を確認してみよう。
 
In response to questions received on the meeting between the Secretary-General and Prime Minister Abe of Japan, the Spokesman had the following to say:
During their meeting in Sicily, the Secretary-General and Prime Minister Abe did discuss the issue of so-called “comfort women”. The Secretary-General agreed that this is a matter to be solved by an agreement between Japan and the Republic of Korea. The Secretary-General did not pronounce himself on the content of a specific agreement but on the principle that it is up to the two countries to define the nature and the content of the solution for this issue.
Regarding the report of Special Rapporteurs, the Secretary-General told the Prime Minister that Special Rapporteurs are experts that are independent and report directly to the Human Rights Council.   
 
少なくとも「必ずしも国連の総意を反映するものではない」などとは言っていない。
 
スポークスマンは、事務総長と日本の安倍総理との間の会合で受理された質問に対し、シチリアでの会合で、事務総長と安倍首相は、いわゆる "慰安婦"問題について議論した。事務総長は、これが日韓合意によって解決されるべき問題であることに同意した。事務総長は、特定の合意内容には言及していないが、この問題の解決策の性質と内容を定義することは両国に任されているという原則に基づいている。
特別報告者の報告書に関して、事務総長は首相に対し、特別報告者は独立しており、人権理事会に直接報告する専門家であると述べた。   
 
おそらく国連事務総長と安倍晋三首相の会談に立ち会った通訳とその周辺によって日本のプレス向きに意訳されたものなのであろう。
 
安倍政権お得意の、「印象操作」の表れである。
  
ところで、沖縄平和運動センターの山城博治議長の5か月間に及ぶ不当な拘留は、まさに共謀罪の先取り的な弾圧であることは言うまでもないのだが、こんな激しい抵抗まではしない、普通の市民の反対の声すら共謀罪の適用になる事実がある。
 
<(問う「共謀罪」)建設反対運動も捜査? きょうから参院審議>
 2017年5月29日05時00分 朝日新聞DIGITAL
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案は29日から、参議院での審議が始まる。政府は「一般市民には適用されない」と説明。一方、法案に反対する専門家は、マンションなどの建設反対運動で一般の住民に「共謀罪」が適用される恐れがある、と指摘する。
 ■抗議の準備にも適用?
 「私ら、普通のじいさんばあさんですよ。それが警察で調べられるなんて。まるで声封じの脅しです」
 東京都杉並区に住む金森克之さん(71)は今年4月、自宅そばの区立学校の建て替え工事に反対する住民運動に絡み、警視庁杉並署で数時間、任意の事情聴取を受けた。60〜70代の隣人10人前後で今年2月に、校門前でプラカードを掲げて工事車両が入るのを防いだ後に測量中の業者の男性が「転ばされた」と主張し、被害届を出したのが理由だった。住民側は「触っていない」と反論している。
 金森さんは今まで住民運動とは無縁だった。だが、昨年1月に区の通知で、現在の中学校を小中一貫校とし、校舎の高さを2倍の約30メートルにする計画を知った。「幹線道路沿いに小中3校をわざわざ統合するのはおかしい」と考え、隣人らと「被害者の会」を結成。近隣の日当たりも悪くなる上に、専門家に依頼したところ、「地盤調査や地中の杭の長さも不十分では」という疑問も出てきた。
 住民との合意なしに工事を進める区に不信感を抱き抗議を始めると、業者は今年5月、「工事妨害だ」と東京地裁に仮処分を申し立て、「工事関係者の前に立ちはだかってはならない」などとする決定が出た。「共謀罪」法案に反対する山下幸夫弁護士は、「やむにやまれぬ行動でも、現行法で威力業務妨害と見なされうる」。
 山下弁護士は「『共謀罪』ができれば、『被害者の会』も、組織的犯罪集団として捜査対象になる恐れがある」と話す。抗議行動に「合意」し、プラカードなどを用意すれば、「組織的威力業務妨害罪」の「計画・準備」として、全員が捜査される可能性もある。
 金森さんと同様に事情聴取を受けた孝本敏子さん(71)は「『何とか防ごう』という話し合いさえ『共謀罪』で封じられれば、どうすればいいのか」と当惑を隠さない。
 (後藤遼太)
 ■普通・悪い、警察どう判断?
 名古屋市瑞穂区でマンション建設の反対運動をしていた奥田恭正・薬剤師(60)は暴行罪で起訴され、公判中だ。起訴内容は、自宅前のマンション建設現場で抗議活動中に現場監督を突き飛ばし、ダンプに背中を当てさせたというもの。
 昨年10月、監督にけがをさせたとして傷害容疑で愛知県警瑞穂署に逮捕されたが、「相手に触った覚えもない」と主張。検察は、けががないときに適用される「暴行罪」で起訴した。
 低層住宅ばかりの街に一昨年、15階建てのマンション建設計画が持ち込まれ、奥田さんは住民約20人でつくる反対運動の会の会長になった。取り調べの時、刑事から「意外に普通の人だな」と言われ、色眼鏡で見られていたことに気づいた。
 確かに建設現場前の歩道にのぼりを立て、一斗缶を置いて反対の声を上げていたら警察官が何度も来た。「これ以上やると、威力業務妨害だ」とも警告された。でも自ら警察署に出向いて事情を説明していたのに……。「何が普通で、何が悪い市民運動なのか。警察はどうやって判断するんだろう。家の前に高層ビルができれば、だれでも嫌でしょう。『嫌なことは嫌』と言えない社会にしていいのか」
 弁護する中谷雄二弁護士も「『共謀罪』があれば、もっと早い段階で複数の住民が逮捕される危険性がある」と警告する。
 (編集委員・伊藤智章)
 ■衆院法務委でも議論
 法案に反対する弁護士は「組織的威力業務妨害」は市民運動への影響が大きく「共謀罪」の対象犯罪から外すべきだと指摘する。政府は「法の適用は組織的犯罪集団の関与と限定されるので、一般人が捜査の対象になることはない」との答弁を繰り返している。
 衆院法務委で19日、民進党の枝野幸男衆院議員がマンションの建設反対運動を例に「建設業者からすれば業務妨害だが、実際に(反対運動が)行き過ぎて業務妨害が成立する線を越えるかは、計画段階では分からない」と指摘。法務省の林真琴刑事局長は「必ず業務妨害になるような形で反対運動をするのでなければ(対象にならない)」と答えた。
 
「法の適用は組織的犯罪集団の関与と限定されるので、一般人が捜査の対象になることはない」という詭弁を何度となく聞かされたが、「組織的犯罪集団」の一員が「私は組織犯罪集団員です」という名札を付けているわけではない。
 
なにも印がない「一般人」を調べるには、その周辺から調査し、本人を終日尾行し、電話を盗聴し監視体制に置かなければ、実証できないのである。
 
いくら「テロ等」と偽りの冠を付けたところで、既に「共謀罪」が成立している英国でも、1週間前に発生した、「英コンサート会場で爆発、19人死亡 テロとして捜査」というテロは未然に防ぐことができなかったことから、共謀罪はテロ対策には全く役に立たない代物である、とオジサンは思う。
 
最後の、安倍政権の実態を告発する動画を紹介しておく。
 
【安倍内閣が英国大使館の敷地の8割8000坪(路線価格約700億円)を英国政府に無償で譲渡したことを、あなたは知っていますか?】
 
 
◆米国債98兆円その原資となる政府短期証券94兆円。官僚の天下り先に貸され返済されない出資・貸付金2百兆円。米国と官僚により食い物pic.twitter.com/Xns9zE7poN / @chateaux1000 キャス
◆しかもこの記事によると、日本政府はこの最高立地の土地1万坪を明治維新直後の1872年から英国政府に貸し出しており、2013年時点での年間の土地賃料は全部で8129万円、つまり1坪当たり8129円でしかないというのである。安倍内閣(財務省)が英国大使館敷地8000坪(路線価格約700億円)を英国政府へ無償譲渡したこの事件は、国家の独立を放棄した売国的犯罪である点で、森友学園事件や加計学園事件どころではないだろう!

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2017年05月24日

共謀罪は立憲主義廃絶への一本道

昨日の衆院本会議では、、自民党・平口洋議員や、公明党・吉田宣弘議員の賛成討論では、イギリスで起こったテロ事件を取り上げ“テロ対策には共謀罪が必要”“共謀罪法案は国際組織犯罪防止条約の締結に不可欠”などと、自民党はさっそくテロ事件を“利用”していた。
 
いくら野党側が反対演説をしたところで、本会議まで来てしまえば数の力で一気に採決されてしまう。
 
共謀罪法案に反対していたメディアのタイトルとわかりやすい説明画像。 
 
 「『共謀罪』衆院通過 自公維など賛成
 
20170524kyoubouzaisanpi.jpg
【東京新聞より】

  
 「クローズアップ2017 『共謀罪』採決強行 治安・人権、折り合わず」 
 
20170525rontenseiri_mainiti.jpg
【毎日新聞より】

 
 「『共謀罪』揺らぐ根拠 説明矛盾、あいまいさ鮮明 必要性・一般人対象か・内心の処罰は
 
20170524kyoubouzai_asahi.jpg
【朝日新聞DIGITALより】

 
参院での審議入りも来週となり、まだまだ廃案の余地は残っているので、「共謀罪法案を廃案にするために役立つ資料庫(チラシ、オススメ記事、反対声明、意見書)*最終追記5月24日」というサイトを活用してほしいものである。
 
さて、国連特別報告者から共謀罪に関して質問状が安倍晋三宛に送られ、それに対しては、安倍晋三を護ることしか頭にない菅義偉官房長官は早速、「菅官房長官、国連特別報告者を『個人』呼ばわり、『質問』に抗議」していた。
 
それに対しては、ただちに反論が届いていた。   

 
 
<「共謀罪」プライバシー置き去り 国連特別報告者「深刻な欠陥ある法案」>
 2017年5月24日 朝刊 東京新聞
20170524kokurenhoukokusya.jpg  プライバシー権に関する国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が公開書簡で、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に懸念を示したことを巡り、日本政府が火消しに懸命になっている。法案の問題点の核心を突かれ、国会審議に影響が出かねないからだ。ただ、懸念を払拭(ふっしょく)するために丁寧に説明するというよりも、「国連の立場を反映するものではない」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)といった切り捨て型の反論が目立つ。 (生島章弘、宮尾幹成)
 ケナタッチ氏は23日、書簡に対する日本政府の抗議を受け「拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対にできない」とする反論文を公表した。22日には政府の抗議について「中身のない、ただの怒り」「多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と本紙の取材に回答した。
 これに対し、政府も譲る気配はない。野上浩太郎官房副長官は23日の記者会見で、ケナタッチ氏の反論について「速やかに説明する用意があると伝達しているにもかかわらず、一方的に報道機関を通じて『懸念に答えていない』と発表したことは極めて不適切だ」と不快感を示した。
 野上氏は、書簡に明記された法案の問題点に関しては「プライバシーの権利や表現の自由を不当に制約するなどの指摘は全く当たらない」と重ねて強調。質問には「追って正式に書簡で回答する」と語った。
 ケナタッチ氏は安倍晋三首相に宛てた18日付の公開書簡で、法案に盛り込まれた「計画」や「準備行為」の定義が抽象的なため、恣意(しい)的に適用される恐れがあることや、テロと無関係の罪が対象に含まれていると指摘。プライバシー権侵害を防ぐための措置を回答するよう求めていた。
 日本政府はすぐさま国連人権高等弁務官事務所を通じ、ケナタッチ氏に抗議。菅氏は22日の記者会見で「書簡の内容は明らかに不適切」と批判していた。
 特別報告者は国連人権理事会から任命され、国別、テーマ別に人権侵害の状況を調査し、人権理事会や国連総会への報告書を作成する。報告に法的拘束力はない。国では北朝鮮やシリア、イランなど、テーマでは表現の自由や女性差別、貧困などが調査の対象だ。
 
この件に関しては、NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」伊藤和子弁護士がブログで「共謀罪可決で沸き起こる、強い違和感」と題して、日本政府を厳しく批判していた。
 
 実は日本は昨年、国連人権理事会の理事国選挙に立候補、「国連特別報告者と対話、協力していく」との公約を掲げて、当選し、今や理事国となっています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000175307.pdf
世界に理事国は47か国、世界的に高い人権の水準を国内でも維持することが期待されるポジションです。
世界の人権基準に照らして疑問を呈されたら、真摯に受け止め、立ち止まってしっかり検討し、対話を尽くすべきでしょう。「なんで日本だけ狙い撃ちされるのか? 」などと激怒するのではなく、冷静に対話して世界に範を示すことが求められているわけです。
それが「強く抗議」とはおよそ外部からの批判を受け付けない強権的な姿勢ではないでしょうか。
そして、恣意的濫用の危険がない、と言い張るのも危険です。
権力は誤りうる、だからこそ謙虚に、市民や国連の声に耳を傾けてこそ暴走を抑止する、そうした自制の意識が全く見られません。
 
外務省人権人道課はメディアの取材に「特別報告者との有意義かつ建設的な対話実現のため、今後もしっかりと協力していく」との誓約を国連加盟各国に配布したと認めている。
 
恥ずかしい菅義偉官房長官の抗議であったのである。
 
さて、1966年、東京都立日比谷高等学校に入学するが、高校2年で成績が学年最下位になり、のち品行不良を理由に退学処分を受け、1968年10月、大学入学資格検定に合格し翌年東京大学入試中止の年に京都大学法学部を受験し不合格となり、駿台予備校を経て、1970年4月、東京大学教養学部文科III類に入学し、1975年3月、同大学文学部仏文科を卒業したという、決してエリート学生ではなかった思想家の内田樹。
 
今朝の東京新聞に「立憲主義廃絶への一本道」と題した文を寄稿していた。
 
独裁政党になりつつある自民党に「半数以上の有権者が賛成し続けている。その理由は誰も説明してくれない」ために私が説明するという、若干、上から目線的な日本人観も垣間見られるが、正鵠を射る部分もあり以下に紹介しておく。
 
【立憲主義廃絶への一本道】
 共謀罪の瑕疵としての審議の異常さについては論をまたない。法案成立後、政府は「隣人を密告するマインド」の養成をすすめるだろう。思想統制は中央集権的に行おうとすれば大変なコストがかかる。国家財政を圧迫しかねず、今の政府にはそれだけの監視コストを担う覚悟はないだろうから、「市民が市民を監視し市民が隣人を密告する」システムを作り出そうとするだろう。
 私が特に興味を持つのは、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪を経由してやがて改憲に至る道である。これは間違いなく立憲デモクラシーの廃絶と一党独裁をめざす一本道なのだが、なぜか「国民主権を廃絶する」と明言している政党に半数以上の有権者が賛成し続けている。その理由は誰も説明してくれない
 18世紀からの近代市民社会の歴史は、個人権利を広く認め、国家の介入を制限する方向で進化してきた。にもかかわらず、私権を制限され、警察の監視下に置かれるリスクを当の市民たちが進んで受け入れると言っているのである。「彼らは理性を失っている」というのが一番簡単な答えだが、そんなことを言っても始まらない。人が理性を失う時でも主観的には合理的な理由がある。
  それは「国民は主権者ではない」ということの方が多くの日本人にとってはリアルだということである。戦後生まれの日本人は生まれてから一度も「主権者」であったことがない。家庭でも、学校でも、部活でも、就職先でも、社会改革を目指す組織においてさえ、常に上意下達の非民主的組織の中にいた。
 それは上位者の指示に唯々諾々と従う者の前にしかキャリアパスが開けない世界だった。その意味では、現代日本人は生まれてから一度も「民主的な制度」の中に身を置いた経験がない。だから、私たちが「立憲デモクラシーなどというのは空語だ」と思ってしまうのは経験知に照らせば当然なのである。
 日本人にはそもそも「主権者である」という実感がない。だから、「国民主権を放棄する」ことも特段の痛みを感じない。現に、企業労働者たちは会社の経営方針の適否について発言する必要がないと思い込むに至っている。
 それは「上」が決めることだ。それでも平気でいられるのは、経営者のさらに上には「マーケット」があり、経営者の適否を過つことなく判断してくれると彼らが信じているからである。「マーケットは間違えない」。これはビジネスマンの信仰箇条である。売り上げが減り、株価が下がれば、どのような独裁的経営者もたちまちその座を追われる。
 それと同じシステムが国レベルでも存在する。日本の統治者のさらに上には米国がいる。米国の国益を損ない、不興を買った統治者はただちに「日本の支配者」の座を追われる。これは72年前から一度も変わったことがない日本の常識である。統治者の適否の判断において「米国は決して間違えない」という信ぴょうは多くの日本人に深く身体化している。それがおのれの基本的人権の放棄に同意する人たちが最後にすがりついている「合理的」根拠なのである。
 
「戦後生まれの日本人は生まれてから一度も『主権者』であったことがない」どころか、400年以上も前から日本の国民は常に「お上」に逆らわず従うことを強いられてきた歴史がある。
 
それが延々と続いて、「家庭でも、学校でも、部活でも」、「常に上意下達の非民主的組織の中にいた」ことは確かである。
 
しかし、1975年12月、合気道自由が丘道場に入門し多田宏に師事し、1977年1月、弱冠27歳で翻訳会社「アーバン・トランスレーション」を設立し、取締役になった内田樹は残念ながらサラリーマン生活を経験していないようである。
 
「企業労働者たちは会社の経営方針の適否について発言する必要がないと思い込む」と断定することは、労働組合を作り、「会社の経営方針の適否について発言」し闘ってきた企業労働者に対してはかなり無神経なことと言わざるを得ない。
 
ただ、国レベルで、「日本の統治者のさらに上には米国がいる。米国の国益を損ない、不興を買った統治者はただちに『日本の支配者』の座を追われる」ということは歴史が見事に語っている。
 
いまや、「さらに上」の米国の統治者が危うい立場になっている現状を鑑みれば、日本の国益を損なうような統治者は、日本人の手でその座から追いださねばならない、とオジサンは思う。

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2017年05月12日

共謀罪成立により、平成の特高が作られる

行政府の長でありながら、ある時は「立法府の長」と言ったり、国会での質問には、総理大臣としては改憲関連発言が答えられないといいながら、自民党総裁として受けたインタビュー記事が、読売新聞のタイトルでは「安倍首相インタビュー」となっていたりと、まさに我が世の春を謳歌してかのような安倍晋三首相。
 
来年9月の総裁選には、党内ルールの「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長するさせることにより、来年の総裁選も「無投票」で選ばれることを狙っている。
 
しかし、いくらなんでも9年は長過ぎ、次期総裁候補たちは黙認しているわけにはいかない気持ちになっている。
 
そして、自民党内合意のないままに唐突に発表した2020年改憲スケジュールに対しては、次期総裁を目指す連中が口を開き始めた。
 
石破前地方創生担当大臣は、「議論を粗略にして憲法改正ができるなんて私は全く思っておりません。勢いで憲法なんか改正していいはずは全くない」と自民党案をベースに議論を深めようという考えであり、戦争オタクの石破茂は国防軍設立が必須という考えである。
 
それに対して次期総裁選に意欲をみせている岸田外務大臣は、「(平和安全法制は)憲法9条との関係でどこまで許されるのかという議論で結論を出したわけですから、その基準となる9条を今すぐに改正することは考えない。私自身は今現在、少なくとも、きょう現在までその考えは変わっていない」と公式に発言していた。
 
もっとも彼らの発言は自分の派閥メンバー向けのガス抜き発言かも知れない。
 
さて、昨日の「新9条案は「3項加憲」と大同小異」の中で、御用ジャーナリストの山口敬之の過去の女性スキャンダルについて、それを警察官僚で菅官房長官の右腕の当時の警視庁の中村格刑事部長がもみ消したことを受けて、「犯罪が存在するのにその犯罪者を無罪放免にする裁量権」を持っている警察が、「政治的な友好者に対しては、犯罪が存在しても無罪放免にする」という警察権力の濫用であろう、とつぶやいた。  
 
それに対して小笠原誠治は自ブログの中で、「準強姦罪を犯したことを示唆する山口敬之氏のメール」と題して週刊新潮の記事がデマではなく、こんなスキャンダルをやらかす連中が安倍晋三を取り巻いていると喝破。  
 
<準強姦罪を犯したことを示唆する山口敬之氏のメール>
 2017年05月10日 小笠原誠治の経済ニュースゼミ
 安倍総理のスポークスマンとしか思えない山口敬之氏のスキャンダルが明らかになりました。
 週刊新潮が報じています。
 「握りつぶされた「安倍総理」お抱えジャーナリストの準強姦逮捕状 被害者女性告白」
 こんな事件を犯して起きながら、毎度テレビに出演して安倍総理の駆けつけ擁護に務めていた山口敬之氏。
 でも、よく考えたら、そうやって握りつぶしてもらったことを恩義に感じて駆けつけ擁護にこれ務めていたとも言えるでしょう。
 では、本当に準強姦罪になるようなことをしでかしたのでしょうか?
 山口氏は、この事件が起きた後、この被害者の女性とメールのやり取りをしているのです。
20170512sinchoukiji.jpg
 私の精子は活動が著しく低調だから、心配要らないみたいに言っているようなのですが…
 でも、それって、白状したも同然ではないのでしょうか?
 こんな男ばかりが安倍総理を取り巻いているのです。
 
かなり前になるが、その本職が異色のブロガーとして人気があり、オジサンも引用させてもらったことがあるラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代が森友学園疑惑に関して、皮肉たっぷりに核心を突く独り言をつぶやいていた。
  
<森友学園問題 : この世に存在しないということ>
 2017-05-11 八木啓代の独り言
 官邸詰めの記者さんのお話では、GWで森友問題はもう鎮火と見て、官邸や閣僚の方々はのんびりモードでいらっしゃったようですが、GW直前の民進党のヒアリングで、籠池氏が出してきた録音が新たな燃料投下となったようです。
 GW明け月曜日の衆議院予算委員会では、籠池氏自身が傍聴に出てきてメディアが大騒ぎになるわ、首相がなぜか新聞の勧誘を始めるわ、尽くしてきたのに歯牙にもかけられなかったジャーナリストがハンカチ噛んだとか、別のジャーナリストの逮捕状は空中消滅したとか、連休明けから、ひと騒動になっております。
 あんなに北朝鮮ミサイル危機を煽ったのに、やっぱり、みんなで外遊に行っちゃったり、ゴルフやったりしてたら説得力なかったですよね。
 で、その翌日の昨日ですが、参議院予算委員会でも、前日のパフォーマンスがすごすぎて見逃され気味ですが、ちょっと面白い質疑がありました。
 ひとつは小川敏夫議員の質疑で、航空局が8億円値引きの根拠になった「ゴミを確認してなかった」と認めちゃいました。
 森友学園 土地8億円値引き ごみ直接見ず算定
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051002000116.html
 小川議員の出してこられた写真に対して、航空局の佐藤局長は、どう見ても廃材が見えない写真について「廃材が確認できる」と、主張しておられました。とはいえ、もちろん、TV画面越しですので、なんともいえません。ほんとうは、廃材がすごくはっきり写っていたのかも。この写真のピクセル数の大きなのを公開していただきたいものです。
 小川議員によると、ゴミがなかったことも、ほぼ立証されたようですので、ぜひ、どこかで詳しい説明をお聞きしたいものです。
 で、その直後、この小川議員の、昭恵夫人の発言に関しての質問に対して、安倍首相は、「言葉の一部を取り出して印象操作をしている」と逆ギレしておられましたが、一部もなにも、みんな、昭恵夫人のお言葉全部をフルでお伺いしたいのですから、ぜひ、Facebookに「いいね」なんてしてないで、あのにこやかなお顔で国会でたくさんお話ししていただきたい、とそこでツッコミを入れたのは私だけではないでしょう。
 そして、森ゆうこ議員が、財務省が、森友学園関連の面談記録などは、電磁データも消しちゃったという件について質問。
 森議員の、「アクセスログから、いつ誰が電磁データを消したのかわかるのではないか」という質問については、アクセスログは取っているけど、いつ誰がアクセスしたかはわからないのだそうです。
 なんのためのアクセスログなんでしょうか(笑)
 ていうか、答えている佐川局長自身、アクセスログが何か、よくおわかりではない感じで、お気の毒です。
 そして、24億円かけている財務省のシステム(ちなみに、NECだそうです)では、災害時に備えて、別の場所にもバックアップセンターを設置し、二重化されているのだそうです。
 なるほど。東京で大震災があっても、ミサイルが飛んできても、あるいは財務省で大火災が発生しても、一次バックアップのクローンサーバーが稼働して、財務省業務はすみやかにつづけられるわけですね。すばらしい。
 ていうか、今を遡る16年前、2001年9.11のツインタワー倒壊のときも、あそこにオフィスのあったほとんどすべての企業は、事故直後から、各社クローンサーバーを稼働させて、とりあえず業務を続けられたわけですから、まあ、そんな自慢するほどのものじゃありませんわな。
 でも、そこまでやっているわりに、二次バックアップの月次データも年次データも一切とっていないのだそうです。それで、ファイルを誤って消したり上書きしたら、2週間経つと、復旧不可能なのだそうです。
 日本中のSIerの方が脱力するような.........まるで、「オートロックの4LDKの高級マンションなのにお風呂がついていない」みたいな、素敵な設計です。 NEC大丈夫か?
  いやでも、NECのサイトでは、ちゃんと二次バックアップの重要性について推奨されていますので、これは、やはり財務省独自仕様のようです。
 つまり、職員が誤ってファイルを上書きしたり削除したりしちゃって、2週間以上経ってから、それに気づいたりした場合は、もう一巻の終わりなんだそうです。正月明けとかGW後とか、財務省で、デスクに突っ伏する職員の方が続出したりしないんでしょうか。
 クラッキングで書類が消されたり改ざんされてるのにすぐ気づかなかったり、2週間経ってから書類に悪さするウイルスとか出てきたらどうするんでしょうね。ああもう、こんなことが露わになっちゃって、我らが日本経済の要である財務省が、世界中のクラッカーに狙われるのじゃないかと思うと心配でなりません。
 ていうか、想定外の事態が起こったときのためのバックアップだと思うんですが、職員が誤ってファイルを上書きしたり削除したりしちゃって、2週間以上経ってから、それに気づく、というよーな、普通にオフィスで起こるようなことすら想定していないというとこが、いろいろとすごいです。24億円もかけて。
 で、そういうわけで、例の森友学園関係の文書は、「この世に存在していない」のだそうです。
 お。断言しましたね。この世にないって。
 ほんとに「この世にない」んですね。
 いいんですね。言い切っちゃって。
 
というか、これだけ疑われて、問題になっている売買の記録がなくなっちゃって、その検証すらできなくなっちゃってる事態に、まともな官僚なら、我が身の潔白が証明できないことに、ものすごく責任感じると思うんですが、むしろ嬉々として答えちゃってるの、なんかとっても不思議です。
 まあ、それを言うなら、夫人や自身の関与が疑われている首相は、自身や夫人の身の潔白を明らかにするためにも、率先して調査を進めさせるべきなのに、意地でも調査を阻もうとしておられるのも、とっても不思議ですが。
 それにしても.......「この世にない」って、強烈ですね。
 
ところで、野党は本気で共謀罪を廃案に追い込むつもりは無いようである。
 
 「『共謀罪』12日に審議再開 16日に参考人質疑
 
参考人質疑をすれば、後はトントンと採決に向けて進んでしまい、
 
 「18日採決方針 与党、維新と修正合意 衆院」となって、野党ではない「ゆ党」の維新を抱き込み、数の力で強行採決に踏み切り、またいつもの国会内プロレスゴッコが繰り広げられるのか。
 
20170512syuseipoint.jpg
【毎日新聞より】

 
この修正合意内容をみても、「十分配慮」とか「検討する」と、警察権力の横暴を抑えることはできない。  
 
やはり、「平成の治安維持法」と呼ばれる共謀罪の恐ろしさは、実際の治安維持法を体験した人ではなければ語れない。 
 
<「共謀罪は廃案に…」特高に半殺しにされた被害者の訴え>
 2017年5月12日 日刊ゲンダイ
 与党が強行採決を視野に成立をもくろむ「共謀罪」は「平成の治安維持法」と呼ばれる。多くの国民は治安維持法について歴史書で学んだことはあっても、どれほど人権を無視したヒドイ法律だったのか実感がわかないだろう。だが、かつて特高(特別高等警察)に治安維持法違反で逮捕され、激しい拷問と人権侵害を受けた人物がいる。今年8月に103歳を迎える杉浦正男氏=船橋市=だ。「共謀罪は治安維持法と同じ。絶対に成立させてはならない」と訴える杉浦氏にあらためて聞いた。
――いつ、どのような状況で逮捕されたのですか。
 1942年11月の夜、都内の家で妻と夕食を食べていると、突然、神奈川県警察部の2人の特高がやってきて、「聞きたいことがある」と外に連れ出されました。不安な表情で私を見つめる妻らに対し、特高は「なあに、すぐに帰れますから」と穏やかな表情で語っていたのですが、警察の建物内に入った途端、態度が一変しました。道場に連れて行かれ、「今、戦地では兵隊さんが命懸けで戦っているのに、貴様ら共産主義活動をしやがって。国賊め。貴様らを叩き殺したっていいことになっているんだ」と5人の特高から竹刀でメッタ打ちされました。髪を掴まれて引きずり回され、半殺し状態です。この体験は今も忘れません。
 ――どんな活動が治安維持法に触れるとされたのでしょうか。
 当時は第2次世界大戦が始まったころで、日本の支配階級は国民を戦争に動員するため、大政翼賛会や(労使一体の官製労組である)産業報国会をつくる一方、既存の労働組合を強制的に解散させていました。私は当時、中小印刷業の労働者でつくる親睦団体「出版工クラブ」で活動していたのですが、当局はクラブを解散しないと幹部を逮捕すると脅してきました。しかし、解散しなかったために目を付けられたのです。
――治安維持法と共謀罪の共通点はどこでしょうか。
 当局が都合が悪いと判断すれば市民弾圧が容易に可能になることです。治安維持法は大学への弾圧から始まり、労働運動、文化・芸能活動へと対象が広がりました。支配層にとって際限なく権限を拡大し、弾圧する武器になるのです。しかも再犯させないため、との理由で刑を終えた人を再び獄中に閉じ込めた。そうやって民主的な運動は徹底的に抑え込まれ苦しめられました。あの悲惨な状況を繰り返してはなりません。
 ――共謀罪が成立すると、どうなると思いますか。
 法律ができると、それを実行する機関がつくられる。治安維持法でも、法律に触れるか触れないかを判断するのが捜査当局になり、彼らは市民監視を強めました。共謀罪が成立すれば、かつての特高に当たる組織がつくられ、法律違反かどうかを(恣意的に)判断することになるでしょう。また、共謀罪の規定には「実行に着手する前に自首した者は、その刑を軽減し、又は減免する」とあります。治安維持法にも同様の規定があり、国民同士が監視、密告するようになりました。社会全体が物言えぬ萎縮した雰囲気になったのです。多くの国民は共謀罪の本質をよく知らないでしょうが、何としてもこの悪法を廃案に追い込まなければなりません。これは治安維持法の犠牲者であった私の心からの願いです。

 
残念ながら、頼りになるはずの大手マスメディアが、「『共謀罪』審議 採決ありきは許されぬ」と社説で遠吠えするだけである。
 
「このまま採決に突き進むことなど、およそ許されない。」ならばどうすればいいのか。
 
多くの国民は共謀罪の本質をよく知らない現状を、マスメディアとしてはどのように変えていくのか。
 
今後、社会全体が物言えぬ萎縮した雰囲気になってしまえばその影響がマスメディアにも及ぶことは容易に想像できることがわかっていないのかもしれない、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:05| 神奈川 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 共謀罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月10日

不敬罪も復活か、危険な共謀罪の行く末

8日の衆院での予算委員会の集中審議は「笑えない、衆院予算員会集中審議風景」とつぶやいたが、昨日の参院の予算委員会での集中審議では、民進党の蓮舫代表と共産党の小池晃書記局長が登場し、安倍晋三の「総理」としての立場と「総裁」の立場としての都合の良い使い分けに対して鋭く追及し、さらには憲法改正に関しては、「自衛隊が違憲だから憲法を変えるのではなく、憲法に反して自衛隊をここまで拡大してしまったのは自民党である」とスバリ核心を突いていた。
 
【安倍晋三vs蓮舫【全41分】 5/9 参院・予算委員会】
 
 
蓮舫と安倍晋三のやり取りは、「<<速報・シェア歓迎>>5月9日 参議院予算委員会の 安倍首相VS蓮舫議員の答弁の一部を書き起しました。 小原美由紀さんからの転載です」を参照してほしい。
 
安倍晋三首相が質問者に対して誠実に答弁していないことが明白であり、論理矛盾のシドロモドロの答弁は笑いを禁じ得ないほどであった。
 
【小池晃議員 参院 予算委員会 集中審議】

 
「自民党総裁として言ったと仰ったが、私、読売新聞を熟読しました。『首相インタビュー』って書いてあるじゃないですか。首相のインタビューに対して国会で質問するのは当然。3項をどう書くのか言ってください。読売新聞では縱に語っておきながら、国会ではそれを熟読しろとは無責任な話はない」  
 
チョット遡るのだが、8日の衆院での集中審議では民進党の福島議員が安倍昭恵と森友学園は「ずぶずぶの関係」と言ったことに対して、安倍晋三首相は「ずぶずぶという品のない・・・」と反論していたが、安倍晋三首相が自ら以前、「ずぶずぶ」という品のない言葉を使っていたことが、ネット上で指摘されていた。

ところで、「官邸サイド」と揶揄されている御用ジャーナリストの山口敬之が、最近テレビの情報番組で見かけなくなったと思っていたら、「握り潰された『安倍総理』お抱えジャーナリストの準強姦逮捕状 被害女性の告白」という内容が週刊新潮に出るからだったらしい。
さて、蓮舫議員の質疑の中で憲法改正に関して、「総理は口を開くたびに、改憲をしたいという条文が毎回変わります。」として以下の変化を列挙した。
 
◆交戦権を認めるべきだ、との発言。
◆時代にそぐわない条文が憲法九条。
◆96条を変えたい、これ、改憲要件を緩やかにする。
◆そのあとは、緊急事態条項。
◆そのあとは、我が党案をベースに国会で審議してくれと。
◆そのあとは自民党憲法草案は単なる党としての公式文書だと。
◆そしてこんどは、自衛隊を明文で書き込むと。
 
憲法審査会内部もこれによって混乱をきたし、なかなか発議までの道のりは遠い。
 
だが、共謀罪法案に関しては、自民党はどうしても今国会での成立を図っており予断を許されない。   
 
共謀罪に反対している人々の中でも戦争体験者はとくにその影響は強いらしい。
 
<ちばてつや氏語る共謀罪の怖さ「人間の内心取り締まる」>
 2017年5月10日 日刊ゲンダイ
 GWが明け国会の審議もいよいよ終盤。最大の注目は、与党側が「強行採決」も視野に成立をもくろむ共謀罪の行方だ。共謀罪に対しては多くの著名人や市民団体が反対の声を上げているが、漫画界の巨匠・ちばてつや氏(78)もそのひとり。あらためて共謀罪の危うさや怖さを聞いた。
――漫画家として共謀罪をめぐる今の状況をどう考えていますか。
 漫画に限らず、何かを表現するためには、可能な限りの自由さが必要です。「光」を表すのに「影」が必要であることは言うまでもありませんが、例えば人間そのものをリアルに描くには「理想的で模範的なキャラクター」だけで魅力ある世界を紡ぎ出すことはできません。そこには当然、エロやグロ、暴力といった、実社会では望ましくないとされる資質を登場させることも必要なのです。共謀罪は、われわれ表現者が大切にする、その人間の「内心」を取り締まる、という点でとても危険な考え方であり、非常に怖いことだと思います。
 ――反対する背景には、自身の「戦争体験」も影響しているのでしょうか。
 5歳くらいの時、家族旅行で「大連」という都市に向かう列車の中に誰かが入ってきました。「憲兵さん」でした。それまで穏やかだった車内がシン……と静まりかえったのは、その時、車内にいた、ごく普通の人々が、皆「憲兵」を恐れ、できるだけ関わらないよう、息を潜めて「萎縮して」いたからです。その時、幼さゆえにその空気を察することができなかった私は、不思議そうな顔で、その「憲兵さん」をマジマジと見つめてしまい、あわてた母親に無理やり窓の外のほうを向かされたのを覚えています。
 共謀罪が新設されて、権力を持った側が今以上の取り締まる権限を与えられた時、本来は私たちの町の治安を守り、頼りにされる存在であるべき、愛される「おまわりさん」が、かつて畏怖の対象であった「憲兵」になってしまうのではないか、と、とても心配なのです。
 ――日本はどんな社会を目指すべきだと思いますか。
 日本人には元来、鳥羽僧正の「鳥獣戯画」や「北斎漫画」に見られるように、擬人化された動物たちの可愛い絵巻から、大人の春画にいたるまで、幅広い作品を楽しむ「大らかな」国民性がありました。共謀罪のようにちょっと「話し合ったり」「考えたこと」まで取り締まりの対象になることになれば、そうした文化を育んできた日本人の、大切な、精神的なゆとりがなくなってしまいます。
 しばしば私は、日本が戦争に突き進んでいった状況を「大きな渦」に例えます。最近の日本には、先のむちゃな戦争に突入していった時と、とてもよく似た、なんとも不穏な空気を感じるのです。「大きな渦」のヘリから、まさに巻き込まれ始める、そのギリギリのところ。そこは一見、とてもゆったりと穏やかなので、その先に深くて黒いブラックホールがあるなんてとても思えないのですが、そのわかりづらさも含めて、今はとても危険な位置にいるのです。
 その「大きな渦」に入ってしまう「過ち」を正すことができるのは、どんな意見でも言えるし、さまざまな表現を許容し、多様性を大切にする、文化的で健全で穏やかな社会です。政府には、どこかの近い国のように、何も言えない、何も知らされない厳しい規律をもって統率された国よりも、多少の清濁を併せのむ、余裕のある大らかな国を目指して欲しいと、心から思います。
 
大きな渦に巻き込まれると、その先にブラックホールがあれば、再びそこから出ることが不可能になる。
 
ようやく戦後から72年目を迎えようとしているこの平和な日本が、再び「畏怖の対象であった『憲兵』」に囲まれるようなことになれば、日本はどうなってしまうのか。 
 
それを示唆するような事態が起こっている国がある。
 
<タイで広がる市民弾圧に見た「共謀罪」成立後の日本の姿>
 2017年5月10日 日刊ゲンダイ
 共謀罪が成立した後の日本社会を見ているようだ。国際人権連盟(本部・パリ)が8日発表したタイの「不敬罪」に関する声明によると、不敬容疑で逮捕された同国民が100人を突破したという。
 タイの刑法ではもともと、国王や王妃を中傷すると不敬罪に問われ、1件当たりの最高刑は禁錮15年が科せられる。さらに、2014年にタイ陸軍によるクーデターが起きたことを受け、タイ政府は翌15年に治安維持を目的として、新たにどんな命令でも下せる「暫定憲法44条」を制定した。当時のタイ政府は「善意の市民は影響を受けない。これは悪事をたくらむ人間を取り締まる法律だ」と、共謀罪とそっくりの説明をしていたが、施行されてみると実際は全く違った。
■政権に対する批判者の取り締まりを強化
 例えば、タイで政治犯の弁護に当たってきた人権派のプラウェート弁護士。先月末、バンコクの自宅で軍人や警官に不敬容疑で拘束されたのだが、理由はネットでタイ王室や政権に批判的な書き込みをしたからだという。仮に裁判で有罪になれば、最高で禁錮150年だ。これを受け、国連人権高等弁務官事務所は5日、「政治的な活動をした人物に対する恣意的な拘束だ。不敬罪の適用は、表現や言論の自由に反する」と声明を発表したが、タイ当局の不当拘束は不敬罪にとどまらない。
 「当局は14年のクーデター以降、騒乱や名誉毀損、コンピューター犯罪法などさまざまな法令を活用し、政権に対する批判者の取り締まりを強化しています。逮捕や訴追を覚悟しなければ、対話や集会にすら参加できない風潮が生まれつつあります」(アムネスティ・インターナショナル日本の山口薫氏)
 昨年4月には、政府の新憲法案批判をネットに書き込んだ数十人が捕らえられた。日本でも共謀罪が成立すれば、後は当局のやりたい放題。タイの状況は将来の日本の姿でもあるのだ。政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「今の日本はタイとは違って不敬罪は廃止されている上、軍事政権でもありません。しかし、何らかの口実をつくって、市民を取り締まっているタイの現状を見ていると、共謀罪成立後の日本社会も決して他人事ではない。政権に従順な人を“一般人”と見なし、そうでない人を監視対象にする。いずれタイのような恐怖社会が現実になるかもしれないのです」
 やはり共謀罪は何が何でも廃案に追い込まないとダメだ。
 
「不敬罪」は確かに今の日本にはない。
 
しかし私人であり参考人招致も実現されなかった籠池元理事長が、「安倍晋三首相が侮辱された」という理由から、突然、国会への証人喚問に変わったという事実から、「安倍王朝」支配の絶対王制国家・日本において「総理への不敬罪」も現実的な話になってくる。

そうなれば、こんな零細運営のブログでも、ブログ管理会社から「過激なつぶやき」に対して削除依頼が来るような世の中になってしまう、とオジサンンは思う。  

posted by 定年オジサン at 12:20| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 共謀罪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする