2017年11月09日

北朝鮮の危機を煽るほど武器が売れるトランプ商法


この世に男が存在する限りセクハラは無くならない、と言ったら多くの真っ当な男性から反論されるだろう。
 
力関係から一般的には男の方が強いので女性が被害者になることから、男のセクハラの対象はほとんどが女性である。
 
そして権力を持った男のセクハラは留まるところを知らない。
 
セクハラに関するニュース」というサイトには毎日のように新しいニュースが飛び込んでいる。
 
日本人からみれば「ジェントルマンの国」と昔から思われていた英国。

しかしその英国には「保守党は性でへまをし、労働党は金でへまをする」という古い格言があるらしい。
 
その国で、「セクハラ疑惑 英政界に激震 国防相辞任、自殺議員も」ということが起きているのだから、一定の地位にいる権力側の男はいつでもセクハラの加害者や容疑者になる可能性が高いということであろう。
 
19年新卒採用はや過熱 企業『気が休まる時がない』」という記事を目にすると、「アベノミクスの成果」と自慢する男の顔が浮かぶのだが、実際に新卒者側の「売り手市場」になったのであれば、総選挙での10代と20代の有権者の自民党支持率が高かったのもある程度はうなづける。
 
1年未満の文書は全て破棄しました。パソコン上からも自動で削除されます」という国民を舐め切った言葉が跋扈したのは、森友学園国有地払下げ疑惑を追及していた今年の通常国会。
 
その張本人は安倍政権を守り切ったご褒美として国税庁長官に上りつめたが、今でもその男の罷免署名が続いている。
 
こんなことを思い出させてくれるような、「行政文書の保存1年以上 森友・加計受け政府指針」という記事。
 
 今回の措置のきっかけとなったのは森友学園への国有地払い下げ問題だ。財務省が学園側との交渉記録を軽微な事案として保存期間を1年未満に分類。売買契約の成立後に「廃棄した」と説明したが、どの時点で廃棄したかは不明確なうえ、交渉過程を正確に検証することができなくなった。加計学園による国家戦略特区での獣医学部の新設計画でも、文部科学省と内閣府との調整記録の一部が個人メモとされ、保存されていなかったことが疑念を呼んだ。
 新指針でも懸念はなお残る。新指針では各省の課ごとに保存期間などを判断するとし、行政文書かの認定は「利用状況などを踏まえ、総合的に考慮して実質的に判断される」とした。各省や課ごとの裁量に大きな余地があり、都合の悪い文書を保存すべき行政文書と認定せず、個人メモとして廃棄する道は残る。外部機関のチェックが届かない仕組みも従来と変わらない。重要な文書が客観的なチェックなく安易に捨てられる恐れがある。
 
簡単に言えば、国民の納得は絶対に得られない「ザル法」ならぬ「ザル指針」であることは間違いない。
 
都合の悪いことを隠蔽することは「省益第一」の官僚社会の悪臭紛々する悪習である。   
 
同じ8日には、「会計検査院 税金無駄遣い874億円 16年度」という検査結果が発表された。
 
最も興味深かった省庁の検査結果は以下の通り。
 
 <省庁名>   国交省 
 <指摘金額>  384億円  
 <件数>    30件 
 <指摘事例>  269億円を交付した23自治体の公共工事契約640件で、入札手続きにミス。本来の落札者が失格になる
 
なぜか、国民の関心が強い今年3月に国会から検査要請を受けた学校法人「森友学園」への国有地売却問題については触れられておらず、「検査院は検査結果がまとまり次第、国会に報告する」と言っているのだが、意図的に政権側を忖度して遅らせているようである。
 
さて、格下の同盟国で「ただ酒を飲み好きな肉を食い続けた」トランブ大統領の恫喝的武器セールスの旅も、本命の中国に場を移したようである。
 
もちろん中国は日本・韓国とは異なり国連安保常任理事国であり、米国と2大覇権国を目指している国である。
 
したがって、米国産の武器のセールス相手にはならない。 
 
「その挑発的な言動からリチャード・ニクソン元大統領による『狂人理論』と比較される、トランプ大統領(71)の外交術。安倍晋三総理大臣(63)との関係は蜜月そのもので、初来日した5日のゴルフでは『シンゾーと私は類い希な関係だ!』とご機嫌だ。
日本の報道の多くはこれを好意的に報じていたが、国際社会のアンダーグラウンドマーケットで生きてきた元経済ヤクザの私には、緊張が無限の金を生み出す『マッドマン・エコノミクス』への参加を安倍首相に呼び掛けた『盃儀式』にしか見えないのである」と語るのは、投資顧問会社から暴力団の世界に飛び込んだ「“カタギ出”のインテリ経済ヤクザ」の猫組長。 
 
<元経済ヤクザが分析する「トランプ日本訪問の本当の狙い」>
 2017.11.09 現代ビジネス
まるで「盃儀式
解散から衆院選に向かう10月7日、AFP通信がある重要な外信記事を報じたことをご存じだろうか。日本で話題にならなかったものの、それは『米、サウジにTHAAD売却へ 約1兆7000億円』というものだ。朝鮮半島危機が、中東を舞台に早くも経済効果となって表れたか…と私は驚きを覚えた。
「緊張状態が金を生む」という発想は、暴力団員として生きてきた私にとってあまりにも当然の自己体験によるものだ。組と組の抗争が始まれば、各個人、組織とも「道具」(武器)を整備しなければならず、合法と非合法にかかわらず莫大な金が動くことは言うまでもない。
また「いざ」となった時は実行犯の逃走資金はもちろん、一昔前であれば出頭前の遊興費まで組織が用意した。逮捕後の差し入れ、裁判の弁護士費用から、残された家族の面倒を見るための資金も組織が用意しなければならない。
ヤクザ組織の戦闘力とは「懲役に行ける組員を何人所属させているのか」と同意なのだが、そうした人員を支えるものこそ経済力なのだ。この意味で、緊張状態は金を生む、のである。
ではなぜ極東アジアの緊張が中東で「金」を生むこととなったのか――まずは歴史から振り返ろう。
北朝鮮と中東諸国の軍事的な繋がりは80年代に遡る。1980年にイランで革命が起こり、アメリカ大使館人質事件によってアメリカはイランへの武器輸出を表立っては禁止にした。そのイランに接近し、武器のサプライヤー(供給者)となった国こそ北朝鮮である。
この時期、北朝鮮はシリア、イエメン、そして後に重要なプレイヤーとなるパキスタンにもミサイルを供給した。武器と石油の取引に使われる貨幣はドルなのだから、ミサイルは北朝鮮の貴重な「輸出資源」となっていたのだ。
恐怖が金を生む
90年代、米中関係の問題から、パキスタンにミサイルを供給していた中国が同国から手を引く。パキスタンの敵国は1974年に核を保有したインド。是が非でも核開発と核兵器を搭載するミサイルが欲しいパキスタンで、核兵器とミサイルの独自開発を主張していたのが、同国で「核開発の父」とされたカーン博士(81)である。
ミサイル技術はありながら、核開発技術が欲しい北朝鮮との思惑は一致し、96年にバーター取引が成立した。
98年、パキスタンは北朝鮮の技術を応用したミサイル「ガウリ」の発射と核実験に成功。その8年後、北朝鮮が自国での核実験に成功する。「核とミサイル」の交換である。その北朝鮮の核実験成功に前後して、世界のアンダーグラウンドマーケットで軍事用核物質の価格が高騰。その市場への参入を試みて、現役のヤクザだった私がロシアマフィアに接触した話は以前書いた通りだ。(「金正恩氏の行動は、元経済ヤクザの眼から見れば驚くほど合理的だった」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52970
それから11年を経た2017年、北朝鮮の金主になろうと手を挙げた国こそ、かつてブッシュ元大統領によって北朝鮮とともに「悪の枢軸」と名指されたイランなのである。
本来であればもっと早い時期にイランもミサイルと核爆弾をセットで入手するはずだったのだが、9・11後に浴びせられた欧米諸国の激しい制裁により、今日まで核保有実現には至っていなかった。だがついに、イランは北朝鮮から「禁断の武器」を入手しようとしているのだ。それはまさに、パキスタンの技術によって北朝鮮が核を保有したように――。
冒頭の「サウジへのTHAAD売却」のニュースこそ、その証拠に他ならない。サウジ・イランの間で直接的な軍事衝突はないものの、イエメンにある反政府・反サウジ武装勢力「フーシ派」をイランは支援している。11月4日にもフーシ派がサウジの首都に弾道ミサイルを発射し、サウジが迎撃したという事件が起こったばかり。しかもこのミサイルはイランが供給したものとされている。
オバマ政権下では米・サウジ関係は冷え切っていたものの、トランプ政権となり両者の関係は劇的に改善。今年5月、アメリカはサウジへの約12兆円の武器輸出と10年間で約39.2兆円の追加輸出の契約を結んだばかりだ。
まさに緊張が金を生んでいる。北朝鮮のミサイル発射実験と核実験をうけ、制裁が発動された。困窮する北朝鮮はイランに武器・技術を供与する。イランの脅威が高まることを警戒したサウジアラビアは、アメリカから武器を買う…回り回って、北朝鮮危機はアメリカに大きな利益をもたらしているのだ。
朝鮮半島の緊張を支点に、いわば「マッドマン・エコノミクス」が生まれたわけだが、その利益を享受しているのは、イランという金主を見つけた北朝鮮も同じであるといえよう。
悲観でも楽観でもなく
北朝鮮が追及しているのは「社会主義の具現化ではなく、国益」という実態に私は触れたことがある。04年、小泉政権下で北朝鮮から日本人拉致被害者が帰国した際、表では政府間交渉が行われていたが、北朝鮮が見返りとして求めていたのは「金」だった。
国家には体面があるため、表立って金銭を要求することはできない。表のチャンネルで金銭要求をすれば、日本政府が態度を硬直させることは火を見るよりも明らかだ。
ヤクザ社会には在日の人たちも多かったこともあり、当時北朝鮮は「身代金」の交渉を複数のヤクザ組織を通じて行った。その一つが私の知人の在京組織の系列団体。汚れ役ではあるが、交渉に関与することで国士の体面を保てるし、手数料に与ることもできる。関与したヤクザ組織は懸命に動いたものだった。
戦争というのは、国家が暴力をツールにした「国益追求」の活動である。「戦争は悲惨」と人は言うが、悲惨なのは大量の死者が出ることではなく、たかが銭金のために大量の人が死ぬことだ。拉致問題においても国益を追求した北朝鮮が、金になる打算もなく日本にミサイルを撃ち込むはずがない。
資源もないこの日本の財産は、高等教育を受けた大量の労働力と、超高度に整備された電気、ガス、交通インフラなどがある国富に満ち溢れた国土だ。北朝鮮が国益を追求するのならば、無傷でこの黄金の国土の入手を考える方が合理的である。断言しても良いが北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込むことはない。
ヤクザ社会には「まわり盃」という言葉がある。「兄弟の兄弟は俺の兄弟」という考え方で、自他組織のトップ、幹部同士が盃を結び合うことで、ある種の経済圏、防衛圏を築き上げるのだ。今回のトランプ氏訪日こそ「まわり盃」と私は見ている。
外交重視と言われる安倍総理は第1次、第2次政権の実に6年の間に、諸外国と兄弟分の盃を交わし続けた。そこに就任1年未満のトランプ氏が訪日し、安倍首相との盃を交わすことで、「まわり盃」を結びたい、ということだ。
6日には日米首脳による共同会見が行われたが、トランプ氏の「米国の防衛装備品を日本は大量に買うべきだ」という発言は重要だ。「押し売り」と報じるメディアもいるが、売ろうとしているのは、ヤクザの上部団体が下部団体に売りつける不当に高いトイレットペーパーや水ではない。
優秀なアメリカ製の武器には厳しい輸出規制がかけられており、第三国が求めてもマフィアなど地下組織を媒介にしてしか入手できない。価格が割高になるのは当然で、各国が求めてやまないその武器を、直接売ってくれるというのだ。しかも運用においては「世界最強の暴力組織・米軍が面倒をみまっせ」ということなのだから、この一言が日本の安全保障を強力に担保した、と見るべきだろう。
また、トランプ氏は「米国は、日本に対する巨額の貿易赤字に苦しんできた」と述べながら、経済については「2国間で引き続き議論を重ねることで一致した」と発言した。続いて訪れる各国で、トランプ親分は「シンゾーは私と経済協力を約束してくれた、おたくはどないしてくれますの?」と持ち掛けるカードを手にしたのだ。
北朝鮮とアメリカが創り上げる「マッドマン・エコノミー」の世界に日本が巻き込まれることを、悲観する人もいるだろう。私が選ぶのは悲観でも楽観でもなく、傍観である。はたして日本はアメリカに利益を提供する弟分であり続けるのか、それとも五分の兄弟として「マッドマン」たちから旨みを吸い上げるのか。注目しているのはその点だ。
 
「シンゾーは私と経済協力を約束してくれた、おたくはどないしてくれますの?」と持ち掛けるカードを手にしたのだとの見立てはまさにその通りかもしれない。
 
トランプの相手は北朝鮮なんかではない。
 
米国が独占してきた世界の覇権国という地位を脅かす中国とどのように共存共栄していくか、そしてそれを米国の利益にどのように結び付けるかである。   
 
残念ながら日本のシンゾー君にはそのような戦略が一切なく、ただ米国のあとについていくだけであり、それを見事に演じてくれたのがゴルフ場のバンカーに転げ落ち、その後必死にトランプを追いかけた場面であった。 

それにしても、トランプという男は北朝鮮の危機を餌に、シンゾーに米国兵器のさらなる購入表明させ、その事実を外交カードにして韓国を訪問し、「韓国が米国から原潜購入か、仏メディア「中国は激怒するだろう」ということに成功したことをみれば、狡猾なしたたかな「死の商人」である、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:32| 神奈川 ☀| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月29日

国民の生命と財産より、日本しか守らない安倍政権


選挙に「勝てば官軍」とばかりに、言葉の解釈まで変えてしまうかのような選挙後の自民党の異常な言動が目に余る。
 
例えば、選挙後の安倍晋三首相の会見や閣僚たちの口から、申し合わせたかのように飛び出していた「謙虚」。
 
自民党内でのこの言葉の意味はどうやらこんな内容らしい。
 
【謙虚】・・数の力で何でもやれる。ウソを思いっきり吐く。
      国民を騙すために口当たりの良い言葉を言う。
      選挙前と、選挙後の対応を変える。
      選挙に勝利したら、国会の質問時間を「与党2:野党8」から「与党7:野党3」に変える。


 「野党の質問時間、削減検討 衆院、配分見直す案 政府・自民
 
上記の朝日新聞の記事に対しては、常に一定の「反朝日派」とかネトウヨ連中の批判ツイッターが必ず飛んでいる。
 
朝日新聞に対しては根強い恨みがある団体の一つに「朝日新聞を糺す国民会議」という妖しげな組織がある。
 
自民党の元衆院議員のブログによれば、2014年の10月25日に、「結成国民大集会」が開催されたらしい。
 
この組織の目的は、
朝日新聞が、朝鮮人女性を『強制連行』し、『従軍慰安婦』にしたとの吉田清治の虚偽証言報道を2014年まで30年以上にわたって放置、訂正することがなかったことに関し、国際世論における日本人の名誉を毀損したとして、朝日新聞を糺すことにより日本人の名誉を回復すること」とされている。
 
これだけ読んでもオツムが「フツー」じゃない連中の集まりなのだが、2015年1月26日、日本国内外の8749人は、朝日新聞が掲載した計13本の慰安婦記事について吉田清治の創作証言がそのまま採用され続けてきたことなどを「虚報」とした上で、「多くの海外メディアに紹介され、ねじ曲げられた歴史を国際社会に拡散させた」、「日本国と国民の国際的評価は著しく低下し、原告らを含む国民の人格や名誉が傷つけられた」とし、1人あたり1万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 
当然ながら、2016年7月28日、東京地裁は請求を棄却、原告側は控訴したが原告団参加者も56人に減り、2017年9月、一審支持で棄却され、上告したが最高裁から門前払いされていた。
 
すなわち、朝日新聞を眼の仇にしている右派連中の思い上がった裁判闘争が敗北したに過ぎなかったのだが、それを報じたトンデモメディアがあった。
 
<産経新聞のミスリードがヒドすぎる! 今度は「朝日新聞がネトウヨに勝訴」した慰安婦報道裁判を、「朝日新聞読者らの敗訴」と珍妙見出し>
 2017.10.27 リテラ
  産経新聞が今月25日のウェブ版(本紙26日付朝刊)で掲載した短い記事が、一部で話題を呼んでいる。といっても、注目されているのはその内容ではない。見出しのほうだ。
「朝日新聞読者らの敗訴確定 慰安婦報道巡る集団訴訟」
 朝日新聞の読者が裁判で負けた? どういうこと? と思ってしまうが、実はこれ、朝日新聞の慰安婦報道に対し「朝日新聞を正す会」(以下、正す会)なる団体が提訴した集団訴訟で、原告側が敗訴したという記事だ。
「正す会」は昨年、朝日の慰安婦報道で「国民の『知る権利』が侵害された」などとして原告482人の1人あたま1万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。しかし、2016年9月の一審判決では「記事は特定の人の名誉やプライバシーを侵害しておらず、原告は具体的な権利侵害を主張していない」として請求棄却。今年3月の二審も一審支持。そして、最高裁は今月24日付けの決定で上告を退け、原告団の敗訴が確定した、というわけである。
 原告の訴えを見ても裁判所の判断を見ても、至極当然としか言いようがない判決だが、産経新聞の見出しの立て方はあきらかにおかしい。事実、同じ最高裁決定を報じた朝日新聞の見出しは、「慰安婦報道訴訟、朝日新聞社の勝訴確定」である。ツイッターでもこんな失笑が漏れている。
〈「朝日新聞が勝訴」と書いたら死ぬ病気かなんかだろうか、産経新聞は。〉
〈いやぁ、産経新聞凄いなぁ。「朝日新聞勝訴」と書きたくないんだねw これから産経さんが読者に訴えられて勝訴したら、ちゃんと「産経新聞読者敗訴」って書いて下さいねw〉
〈「朝日新聞を訴えてた似非愛国者集団の敗訴が確定した」という内容をここまで捻じ曲げたタイトルはまとめサイトでもそうそうない。〉
 ようするに、朝日新聞にイチャモンのような裁判を引き起こした連中のことが、産経の手にかかると、「朝日新聞読者」となるらしい。どうしても朝日の勝訴を認めたくないのか、それとも、一般的な意味で朝日新聞を購読している人たちを貶めたいのか、それはわからないが、いずれにせよ、近年稀に見る珍妙な見出しである。
 産経といえばつい先日も、総選挙投票日の一面で「安倍政権5年 審判は」という見出しのもと、立憲民主党の街宣写真を党名を隠して、安倍自民党の街宣風景と錯覚させるように掲載。立憲民主党の盛り上がりが、あたかも「安倍政権への審判」であるかのようにミスリードしていた。もとよりこの新聞にジャーナリズムなど期待すべくもないが、ここまで来るとまとめサイトもびっくりだ。
 こんな見出しが許されるなら、産経新聞を日々チェックしている本サイトもまた「産経新聞読者」として産経の安倍政権御用ぶりを連日批判している事実を、ぜひ産経に報じてもらいたいところだ。
 産経によると、八木秀次も小川榮太郎も杉田水脈も「正論」編集長も、みーんな“朝日新聞読者”

 ところで、この朝日慰安婦報道訴訟は前述の「正す会」以外にも、右派が意味不明な集団訴訟を起こし、無残な敗訴を繰り返しているのをご存知だろうか。
 たとえば2014年に結成された「朝日新聞を糺す国民会議」(以下、糺す会議)なる団体だ。「糾す会議」は、朝日の慰安婦報道で「国民の名誉が傷つけられた」などとして、朝日新聞に謝罪広告の掲載と、原告2万5722人が1人につき1万円の慰謝料を請求する訴訟を起こした。その人数にドン引きだが、興味深いのは原告と関係者の面々である。
 同団体ホームページに掲載されている代表呼びかけ人(14年11月17日現在)を見てみると、上智大名誉教授の故・渡部昇一氏や、安倍首相のブレーンである八木秀次・麗澤大教授、中西輝政・京都大名誉教授、日本会議副会長の小堀桂一郎氏と小田村四郎氏、藤岡信勝・元新しい歴史教科書をつくる会会長などの極右文化人、あるいは水島総・文化放送チャンネル桜社長に田母神俊雄サンほか、小川榮太郎氏、大高未貴氏、潮匡人氏、「なでしこアクション」の山本美優子氏など、いちいち上げていけばキリがないが、とにかく極右のオールスターというべき布陣だ。
 しかも、同団体には関連団体として「朝日新聞を糺す国会議員の会」なる議員組織もあり、先日の選挙で希望の党から当選した中山成彬や、自民党の長尾敬、杉田水脈など、こちらも錚々たるネトウヨ議員たちが参加している。
 だが、肝心の裁判の結果は全面敗訴。「糾す会」は昨年7月、東京地裁であえなく請求棄却。報道によると、地裁は「旧日本軍についての誤った報道で、日本政府への批判的な評価が生まれたとしても、個人の人格権が侵害されたと解するには飛躍がある」という至極当たり前の判断を下した。そして、原告団を2万人超から56人へと大幅に減らして控訴した高裁でも、裁判所は今年9月、「記事は原告らの名誉を侵害するものではない」として一審を支持して請求を棄却。原告団は上告を断念し、敗訴が確定した。
 ということは、産経の論理でいえば、「糾す会議」の面々もまた「朝日新聞読者」になるのだろうか。八木秀次や小川榮太郎は“朝日新聞読者”文化人で、中山成彬や杉田水脈は“朝日新聞読者”議員……。ちなみに、同団体の代表発起人リストには産経新聞社が発行する雑誌「正論」の元編集長・上島嘉郎氏も名を連ねている。なかなかハイレベルなジョークである。
 いずれにせよ、「糾す会議」にしても「正す会」にしても、やっていることは、端的に言ってイチャモンみたいな訴訟であり、裁判所の決定も至極当然としか言いようがない。「産経新聞読者」である本サイトは、今後も産経のヘンテコな記事をどんどん取り上げていく所存である。
 
こんな産経新聞という右派メディアや国民会議なる組織が現在の安倍政権を支えているわけである。
 
その安倍政権は、口先では「国民の生命と財産を守る」と言いながら、同じ国民であるはずの沖縄県民の命よりも米軍の活動を優先している。
 
さらに、米国の核の傘の下で守られているので、世界の趨勢である核兵器禁止条約には参加せず、米国に追随した。
 
そして過去23年間毎年採択されていた「国連核兵器廃絶決議案」は従来に比べてかなり内容的に後退してしまった。   

 「核禁条約触れず、棄権続出 核廃絶決議、非人道性の表現弱める 核使用容認の解釈も
 
<国連委採択 核廃絶決議 賛成国は減少 抑止力前提 日本に反発>
 2017年10月29日 06時57分 東京新聞
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 【ニューヨーク=赤川肇】国連総会第一委員会(軍縮)で27日採択された日本主導の核兵器廃絶決議は、米国や昨年棄権の英仏の核保有国を含む144カ国の賛成を得たが、7月に採択された核兵器禁止条約に触れず、核兵器の非人道性についての表現が後退しており、条約推進国を中心に昨年より10カ国多い27カ国が棄権に回った。昨年より賛成が23カ国減り、150国を下回ったのは2003年以来14年ぶり。
 昨年と同じ中国、ロシア、北朝鮮、シリアの4カ国が反対。条約推進国のブラジル、ニュージーランドなど27カ国が棄権した。
 決議は核拡散防止条約(NPT)の重要性や強化を従来通り主張。北朝鮮の核・ミサイル開発を踏まえ、昨年より安全保障や核抑止力を重視する姿勢を明確にした。
 「核兵器の全面廃絶に向けた共同行動への決意」をうたった本文第1項では、昨年の「核兵器なき平和で安全な世界を目指して」との文言を削除。「国際的な緊張関係を緩和し、NPTで想定された国家間の信頼を強化し」と挿入した。
 百122カ国の賛成で採択された核兵器禁止条約を巡っては、日本や核保有国は不参加の立場。今回の決議でも核保有国の支持を優先して一切言及せず、新たに「核兵器のない世界の実現に向けたさまざまなアプローチに留意する」との一節を設けた。
 核兵器を非合法化する核兵器禁止条約が制定された中、核抑止力を前提にした決議に批判も相次いだ。昨年は共同提案国だったオーストリアのトーマス・ハイノツィ軍縮大使は「国際的な緊張関係を緩和」「国家間の信頼を強化」との文言が加わった決議を「核軍縮を後回しにする書きぶりだ」と日本の変節を疑問視した。
 日本の決議は今回で24年連続の採択。年内にも国連総会本会議で採決され正式な決議となる。
◆「唯一の被爆国」存在埋没
 日本主導で国連総会第一委員会(軍縮)で採択された核兵器廃絶決議案は、賛同国を昨年から23カ国減らした。核兵器を非合法化する核兵器禁止条約の採択や、同条約を推進した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のノーベル平和賞受賞で核廃絶の機運が高まる中、唯一の戦争被爆国の存在が埋没する皮肉な結果となった。 (大杉はるか)
 賛同国が減った背景には、核軍縮に対する日本の姿勢がある。外務省幹部は「『核兵器禁止条約は、核保有国と非保有国の溝を深めるから正しくない』という日本の主張に、イエスと言わない国が相当いる」と認める。
 同条約は、7月に122カ国の賛成で採択された。核拡散防止条約(NPT)が、核兵器国に核軍縮交渉の努力を求めているにすぎず、削減が進まないとの不満が採択を後押しした。核保有国は「国際的な安全保障の現実を無視している。核抑止政策と相いれない」(米英仏の共同声明)などと不参加。米国の核抑止力に依存する日本も「核兵器国を巻き込まなければ意味がない」と参加を見送った。今回の決議案でも条約に直接触れていない。
 外務省幹部は「北朝鮮の核放棄が見込めない中(米国と)逆のことをやるのは、核なき世界の実現に資さない」と話す。北朝鮮の脅威を前に、安保と核軍縮を切り離せないとの説明だ。
 28日に出された河野太郎外相の談話では「全ての国が核軍縮の取り組みにコミット(関与)できる共通の基盤の提供を追求した」と決議案の意義を強調した。だが、賛同国が減ったことを考えると、日本の立場や主張が十分に理解されたとはいえない。核軍縮に向けて政府が目指す「核保有国と非保有国の橋渡し」の実現は、より困難になった。
 
ことしも日本が提案した決議案は国連本会議で正式な決議になるが、内容が後退した決議は、ますます絵に描いた餅状態になってしまう。
 
昨年1月の一般教書演説で当時のオバマ米大統領は、「危機的状況にある全ての国を引き受け、再建することはできない」と述べて「脱・世界の警察官」を宣言した。
 
だがトランプ大統領になってからは、再び世界の警察官的な発想が持ち上がっており、安全保障と核兵器の保有は一体となっている。
 
憲法9条を形骸化して米国の指示の下、世界中に日本の自衛隊を派兵したい安倍晋三首相の意を汲んだ外務省は、米国の顔色を無視することはできないということであろう。
 
ノーベル平和賞が決まった非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の「顔」として核禁止条約制定交渉でも被爆体験を英語で語り、重要な役割を果たしていたカナダ在住の被爆者、サーロー節子さんは、国連の委員会で採択された日本政府主導の核兵器廃絶決議案が核兵器禁止条約に言及していないことについて「被爆者への裏切りだ。失望を超え、腹立たしい」と強く批判していた。
 
非人道的兵器である核兵器による被害者が国内にまだ生存しているにもかかわらず、今回の日本政府の姿勢は、加害者を糾弾すべき被害者があたかも加害者を擁護しているかのようである、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:49| 神奈川 ☔| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月22日

本当に脅威なのは北朝鮮なのか、それとも軍人ファーストの米国か

国連総会で一般討論演説を行い、6回目の核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応について「すべての核・弾道ミサイル計画を放棄させなくてはならない」と強調した安倍晋三首相。
 
この「首相の一般討論演説は5年連続5回目」と報道されていた。
 
これは素晴らしいことなのか否か?
 
例えば、サッカー日本代表はW杯には1998年のフランス大会が初出場だった。
 
その後は、2002年の「日韓大会」、2006年のドイツ大会、2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会と4年連続出場し、さらには苦労しながらも2018年のロシア大会への切符を手に入れ、「6大会連続出場」となる。
 
W杯出場がいかに大変なことなのかは、世界各地域で行われる予選が2年間も行われ、特に欧州の場合は予選が決勝戦並みのチーム同士の試合もありレベルは非常に高い。
 
五輪ではないが出場するだけでも多くのハードな試合で勝ち進まなければならない。
 
さて話しを安倍晋三首相に戻そう。
 
国連総会の出席は加盟国ならば必ず出席できる。
 
そして一般討論演説に関してはこんなツイッターがあった。


さらに、御丁寧にも各国の首脳の一般討論演説における会場の聴衆者の比較までしている人がいた。

実際の会場の様子はこんな感じだったらしい。

国外では何を言っても安倍晋三首相にとって都合の悪いことは決して報道しない日本のマスメディア。
 
しかし、党内コンセンサスも取らずに臨時国会での冒頭解散はまさに「暴走解散』と言われ、自民党内からも批判が出ている。


 
<石破氏「何のための解散か明確にする必要」>
 2017年9月21日 15:26 日テレニュース
 安倍首相が意向を固めた28日の臨時国会冒頭の衆議院解散について、自民党の石破元幹事長は21日、「何のための解散か明確にする必要がある」と述べた。
 石破元幹事長「私の知る限りこの解散の意味って何なんだろうって大勢の人が思っている。国民に対して何のための解散か。そして何を問うのかということは明確にする必要がある」
 与野党からは「解散は加計学園の問題で追及を避けることが目的で、大義がない」などと、批判が出ている。石破元幹事長は解散の理由について、安倍首相は国民が納得する説明をすべきだとの認識を示したもの。また、安倍首相が選挙公約として消費税率を引き上げた際の税収を教育などに充てることを検討していることに異論が噴出している。
 石破元幹事長は党側との調整が不十分だとの認識を示した上で、「党内民主主義をすっ飛ばして国民に問うべきではない」と安倍首相の対応に苦言を呈した。
 
そして、こともあろうか自民党の幹事長がこんな発言をしてしまっていた。 
 
いくら冒頭解散しても国民が解明を求めている疑惑の数々は決して消えることはない。
 
<「加計」、北対応 論戦棚上げ 所信表明せず冒頭解散へ>
 2017年9月22日 朝刊 東京新聞
20170922yamadumikadai.jpg  政府・与党は、28日召集の臨時国会で安倍晋三首相による所信表明演説を行わず、冒頭で首相が衆院を解散する日程を固めた。野党は森友や加計(かけ)問題を巡る政府の説明が不十分だとして、六月の通常国会閉会直後から憲法の規定に基づき、臨時国会の召集を求めていた。政府は3カ月以上も応じなかっただけでなく、冒頭解散で審議はさらに先送りされる。 (金杉貴雄)
 民進党の大島敦幹事長は21日、自民党の二階俊博幹事長と国会内で会い、共産、自由、社民各党との共通の要求として、臨時国会で首相の所信表明演説と、それに対する各党代表質問、予算委員会での質疑を行うよう主張した。加計、森友問題に関し、加計孝太郎理事長と首相夫人の昭恵氏の証人喚問も求めた。二階氏は「承っておく」と述べるにとどめた。
 民進党は、自民党から前向きな回答がなかったとして、同日午後の衆参の議運委理事会を欠席。両院とも22日に改めて開くことを委員長職権で決めた。民進党の前原誠司代表は「議論もせず冒頭解散すれば戦後初の暴挙だ。絶対あってはならない」と批判した。
 
ところで、最近こんな話が湧いてきたらしい。
 
<「森友」記録 復元の可能性 財務省 業者に消去延期指示>
 2017年9月22日 07時04分 東京新聞
 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、財務省と学園側との交渉記録を含む可能性のある電子データが保管されていることが、同省への取材で分かった。「7月末までにコンピューターのハードディスクを破壊してデータを復元不能にする」との業者との契約を同省が覆し、業者に延期を指示した。
 同省が記録復元を視野に入れていることを意味し、情報開示を求める声が再燃することは必至だ。
 問題の電子データをめぐっては、財務省の佐川宣寿・前理財局長(現国税庁長官)が今年2月の衆院予算委員会などで「(学園側との)売買契約締結をもって事案は終了し、交渉記録は残っていない」と答弁。野党や情報開示を求めるNPO法人は「技術的に復元可能だ」と反論していた。
 交渉記録が含まれる可能性があるのは、職員個人のパソコン内のディスクのほか、ファイルを集積管理するサーバーや、文書データが添付された電子メールを中継したサーバーにつながったディスク。財務省と森友学園との交渉の全期間にわたり使われた。
 財務省によると、これらの機器は5月末に4年間のリース契約が満了し、既に新システムでの業務が始まっている。システムを納入したNECと同省の契約では、交渉期間内に使われた旧機器は7月末までにディスクに穴を開けたり、無意味なデータを上書きしたりして、記録を復元不能にするよう定められていた。
 だが、財務省はこの消去期限を延長するようNECに指示。財務省は取材に、「関係機関による調査が行われていることをふまえ、機器の撤去やデータ消去の作業期限を延長している」と回答した。今後の取り扱いについては「調査の推移などをふまえながら検討する」としている。
 
あれほど体を張って(?)虚偽答弁を繰り返し安倍政権を守り切ったとして国税庁長官の地位をゲットした佐川宣寿・前理財局長だったが、「税務署員も悲鳴 佐川長官「罷免運動」拡大で10月辞任も」という罷免運動が大きく報道され、さらには近畿財務局の池田靖前国有財産統括官と籠池前理事長の国有地の払い下げの値引き交渉の音声データを大阪地検特捜部がリークしたらしく、これ以上、財務省としても「知らぬ存ぜぬ」では国民が許さないと判断したのかもしれない。
 
大阪地検特捜部から復元データの提出を求められ差し出す事にでもなれば、この疑惑は解明に大きく前進することになる。
 
さて、米国は北朝鮮に比べて「戦略核弾頭数」では200倍以上、核弾頭数合計では900倍以上保有している超核保有国である。
 
その米国が北朝鮮のミサイル試射や核実験が世界を脅かす重大な危険だと言いふらしている。
 
決して米国本土へ向けて北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射することはできないという事実を米国は十分認識しているにもかかわらず、米国では対北朝鮮核攻撃を念頭においた核兵器開発がおこなわれている。
 
以下に、週刊金曜日(2017.9.15)1152号の「報道されない米国の対北朝鮮核攻撃計画」という記事紹介する。
 
・・・前略・・・
たとえば、米軍の核兵器の製造や実験を担当する国家核安全保障局(NNSA)と米空軍は今年4月、ネバタ州の核実験場で、最新鋭の核爆弾B61-12の実用化に向けた投下実験を、F16戦闘爆撃機を使用して3月に行ったと発表している。
このB61-12は、投下後に地中を貫通し、地下深くに建設された軍事基地や核施設を破壊する機能を備える。
北朝鮮の金正恩が最も恐れている兵器である。
米国の科学誌「ポピュラー・メカニックス」電子版が昨年1月12日に掲載した「なぜ国防総省の新たな核兵器が批判に晒されているのか」という記事では「B61-12は、特に強固に守られているか、地下に建設された北朝鮮の核関連施設に対して使用されるだろう」と指摘していた。
そして同記事によれば、実戦でB61ー12を搭載するのは、米空軍のB2戦略爆撃機であるという。
このB2は同じ地中貫通型核爆弾B61-11も搭載。オバマ政権時代の2013年3月18日にはミズーリ州のホワイトマン空軍基地から韓国上空に飛来し、同国南部海域に模擬爆弾を投下する演習を実施している。
しかも米空軍の核攻撃部隊である「地球規模攻撃軍団」はこの数年、「グローバルライトニング」と呼ばれる地球上のすべての地域を狙える核先制攻撃の軍事演習を実施。
米国の核問題研究家であるウィリアム・アーキン氏が05年に情報公開法で入手した軍の内部資料によれば、「グローバルライトニング」での核攻撃対象国の一つとして、北朝鮮が「核とミサイルの能力を向上させている北東アジアの紫国(North Asia Country of Purple)という変名で登場している。
つまり米国は、核兵器を実戦化していない北朝鮮を核攻撃の対象にし、B2によるそのための演習まで実施しているのだ。
こうした事実を無視し、北朝鮮だけを一方的に非難しても問題解決にならない。
「核武装国による非核装国に対する核攻撃」という米国の戦略こそ、考え直すときではないか。    
 
この記事を素直に読めば、大統領選挙期間中に公約した内容がほとんど反故にされ、軍人に乗っ取られたトランプ政権の方が北朝鮮よりはるかに世界の脅威ではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:24| 神奈川 ☁| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月15日

国連制裁とミサイル発射の国際的イタチゴッコ

今年84歳になる、元『話の特集』の編集長でフリージャーナリストの矢崎泰久が1週間ほど前にある週刊誌に、「北朝鮮」と題してこんな文を書いていた。 
 
 アメリカに対する挑発行為だとわかっている北朝鮮のミサイル発射に対して、日本政府が右往左往している。その度に、「国民の生命と財産を守る」という声明を出しているが、いかにそれが無意味なものかは誰にもわかっている。 
 国民の危機感を煽って、安倍政権が軍国化への道を急いでいることは明らかだ。
 北朝鮮がやっていることは、第2次世界大戦の直前に、日本がアメリカやイギリスに行っていたことと酷似している。結果的には1941年12月8日にハワイの真珠湾攻撃という奇襲に出て、戦争になった。
 つまり追い詰められた結果、無謀な選択をせざるを得なかったのである。その結果は改めて述べるまでもない。無条件降伏した挙句に、アメリカ軍に占領された。72年経った今でも、それは変わらない。
 軍国主義者の一見成敗されたかに繕われたが、岸信介を筆頭に巨悪は残った。平和憲法を破棄し、日本を復活させたい日本会議が現在それを引き継いでいる。
 戦争責任を免れた天皇は、曖昧な「象徴」に棚上げされ、政治上の実権は奪われた。復古主義者たちは、再び明治時代の帝国憲法を復活させ、世界に冠たる日本を作るという野望に燃えている。
 かつての日本が雛形のような北朝鮮は、小泉純一郎、森喜朗、麻生太郎、安倍晋三の4バカによって最高の存在になった。生殺しにして甚振る(イタブル)絶好の素材だった。
 はっきり言って、北朝鮮はマンガの世界におけるヒール役に等しい。わけのわからない小国を国連はオモチャにしてきた。
主としてアメリカの前線基地である日本と韓国が、中国とロシアに対決する構図を作り続けてきたのである。
 北朝鮮の背後には、中国とロシアがいる。いかなる制裁措置を断行しようと、全く意味がない。アメリカは日本と韓国を同盟国としているが、それが中国とロシアに対する盾であることは歴然である。同じ理屈で、北朝鮮は中国、ロシアの防波堤の役割を担っている。
 北朝鮮のミサイルがほぼロシア製であることもわかっている。核実験の技術と資金は中国が負担していると私は思う。ま、とどのつまりは、国際的な鼬(イタチ)ごっこにすぎない。それを百も承知で世界中でやっているわけだから、力関係に歪みが生じたらどうなるかわからない。
 第2次世界大戦直後の戦争が米ソ冷戦の影響を受けていたように、その後の民族紛争や宗教戦争の裏側にもアメリカ、中国、ロシアの影が見えかくれしてきた。ベトナムのようにはっきりと代理戦争が明白になった地域も少なくない。
 世界の覇権を自らが握りたいという野心を大国が捨てない限りは、世界平和など夢のまた夢にすぎない。
 「ミサイル発射から、すべてを把握していた」と嘘をつき首相は毎度同じ言葉を口にする。Jアラートはかつての空襲警報と酷似している。まったく不快そのものだ。第一、被害があった時は終わっているだろう。一瞬の災禍なのだ。いかなる対策をたてようと通用するわけがない。
 それでも自衛隊をミサイル迎撃に配置し、鉄道を止め、自治体に通報する。いかにも姑息な対応を日本政府は繰り返している。既成事実を積み上げて、防衛費の無駄遣いを隠蔽しようとしているかが、見え見えである。
 ミサイル通過の警報なんて、お騒がせ以外の何ものでもない。8月29日のミサイル発射は一切の通告もなかった。第一通告があったとしても、避難訓練にいかなる意味があるのか。いたずらに煽るばかりである。
 国連安保がどのような決定をしても、北朝鮮にとっては、ミサイルの発射や核開発への決意に繋がるだけだと知るべきだろう。
 もっと大胆な覚悟を持って臨むのなら話は別である。
平和が脅かされるなら 東京オリンピックは中止する」くらいの声明をだしたらどうか。
 トランプ大統領だけでなく、習近平主席、プーチン大統領の頭の中はどうなっているのかわからない。3人とも明らかに独裁者であり、核のボタンを握っている。しかも、世界の何処に核爆弾が置かれているかも判然としない。何処から何処へ発射され、着弾するか予想はできない。
 ただはっきり言えることは、核戦争が勃発すれば、一瞬にして地球は破滅する。被害を受けた人々は塗炭の苦しみを受けるに違いない。人類はあらゆるものを失うだろう。おそらく世界の終りに直面する。
 要するに、同じテーブルについて、トコトン話し合うしか解決の道がないのはわかっている。それが出来ないのは、常に疑心暗鬼だからだ。
 核の恐怖はある。その証拠にヒロシマ・ナガサキが厳然と聳えている。
 
さすがに戦中派として戦後の歴史を実体験した内容である。
 
戦後生まれの「軍事評論家」連中とは一味違った見方をしている。 
 
「北朝鮮のミサイルがほぼロシア製であることもわかっている。核実験の技術と資金は中国が負担していると私は思う。ま、とどのつまりは、国際的な鼬(イタチ)ごっこにすぎない。それを百も承知で世界中でやっている」と喝破していたが、まさに大国の「力比べ」となっており均衡しているればよいが、ひとたび力関係に歪みが生じた場合は、最悪の結果を誰も予想すらできないであろう。
 
そして今朝、国連の制裁決議が採択されたのをあざ笑うように北朝鮮がミサイルを発射した。
 
最大高度770kmという日本上空の遙か彼方、ほとんど宇宙空間を飛び去って、襟裳岬の東約2000kmに着水だという。
 
朝の情報番組は全てこのミサイル発射に関する内容一色となっていたが、前回と同じく、今回も「襟裳岬の東」という表現をしてるが、明らかに意図的な印象操作であろう。
 
なにしろ「襟裳岬の東2000km」とあたかも日本の領海とか経済的排他水域に落ちたようなイメージを与えているが、2000km先の海上といえば太平洋のど真ん中みたいなものであり、まさに「大本営発表」の事前訓練なのかと訝ってしまう。 
 
しかし事前通告がなくとも、前日には、「北朝鮮、ミサイル発射の兆候 ICBMの可能性」とい情報が日米韓の間では共有されていたという。
 
さらには、「中ロ、北朝鮮制裁破りか 石炭輸入に抜け道」によると、中ロの制裁破りは戦略の一環だという。
 
中ロ両国は北朝鮮への圧力強化に伴う米国のアジアでの影響力拡大を懸念している。制裁によって北朝鮮を追い込み、大勢の難民が流入することも警戒する。ソウルの国民大学校のアンドレイ・ランコフ教授は「中ロが制裁破りを厳しく取り締まらないのは、北朝鮮の崩壊や混乱の回避に向けた戦略の一環だ」と分析している。
 
そんな抜け道のルートはこんな感じだそうである。
 
20170915seisaiyaburirroot.jpg
【日本経済新聞より】

 
ところで「我が国にとって脅威が増した」時に、最高責任者はどこで何をしていたのか。
 
昨夜の報道ステーションが安倍晋三夫妻のはしゃぎ振りを伝えていた。
 

【安倍総理のダブルスタンダード、インドへの原発技術輸出、モディ首相と会談20170914houdoustation】

 
<日インド首脳会談 新幹線方式導入など円借款1900億円>
 毎日新聞 2017年9月14日 13時05分
 【ガンディナガル加藤明子】インドを訪問中の安倍晋三首相は14日昼(日本時間同日午後)、同国西部ガンディナガルでモディ首相と会談し、日本の新幹線方式を導入するインドの高速鉄道建設などに円借款約1900億円の供与を発表する。北朝鮮の核・ミサイル開発に対しては、国連安全保障理事会の新たな制裁決議の「完全な履行」の必要性を強調。海洋進出を続ける中国を念頭に、海洋での安全保障協力なども確認する。
 高速鉄道はムンバイとアーメダバード間の約500キロを結ぶ計画で、総事業費は9800億ルビー(約1兆8000億円)。今回の円借款は約1000億円で、運営管理を現地スタッフが学ぶ研修施設を建設する。インドは計7路線を計画しており、日本政府は残る6路線の受注も目指している。円借款は他にインド北東州の道路網改善計画(386億円)など。
 また日本企業の進出に対応し、今後5年間でインド人の日本語教師1000人を育成することでも合意する。現地の高等教育機関に100の日本語講座を新設する方針だ。
 
手土産代わりに1900億円の円借款という大盤振る舞いをすれば、当然、国を挙げての大歓迎となるのであろうが、同行した「私人」が相変わらずの品格の無さを振りまいていたが、インドをまるでひと昔前の後進国扱いしているようで、「こんな連中」に日本が支配されることは断じて許されない、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:34| 神奈川 ☁| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月13日

「3度殺された」沖縄遺族の怒り

あくまでも「アベ様」のNHKが8〜10日に実施した調査の結果は、内閣支持率が「支持する」が先月より5ポイントアップの44%、「支持しない」は7ポイントダウンの36%だった。
 
誰もが分かるように「北風」の効果が絶大で、北朝鮮の行動に87%が「不安を感じる」と答え、対話より圧力という安倍晋三首相の対北朝鮮外交を「評価する」が67%に達している。
 
もちろん、北朝鮮がミサイルを日本上空を通過して試射し、核実験を強行したのだから、国民が不安になるのは無理もない。
 
本来ならば政府が国民に対して毅然たる態度で安心感を与えるべき時に、安倍晋三首相が必要以上に北朝鮮危機を煽り立てていることが大いに問題である。
 
具体的には、北朝鮮が6回目の核実験を実施した3日(日)、午後1時、午後5時、午後11時と、露骨にも1日に3回も記者団の前に姿を見せて「差し迫った脅威だ」などと語り、それに歩調を合わすかのように、菅官房長官まで「水爆実験だった可能性も否定できない」と、危機を煽ってみせていた。
 
これに対しては、政治学者の五十嵐仁がこう解説していた。

「安倍首相は、北朝鮮の脅威が迫っているかのように断じていますが、本当に切迫しているのか疑問だらけです。もし、危機が迫っているなら韓国が大騒ぎしているはずですが、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過した8月29日、韓国のトップニュースは卵が殺虫成分に汚染された問題だった。そもそも、北朝鮮が日本を飛び越えてミサイルを撃ったのは、今回が初めてではありません。以前から日本は射程圏内にあるわけで、日本の危機は大きく変わっていない。ミサイルが現実の脅威なら、すぐに原発を停止する必要があるのに、停止もしていない。切迫していないと分かりながら、支持率をアップさせるために危機を煽り立てているのは明らかです」(日刊ゲンダイ)
 
金子勝立正大名誉教授は最近の国内情勢をこう指摘していた。
 
「この5年間、安倍首相が国民を戦時体制に慣れさせようとしてきたのは間違いない。大きかったのは、朝日新聞を筆頭とするメディアと、野党が弱体化したことです。安倍首相にブレーキをかける勢力が力を失ってしまった。その結果、平和を訴える声は小さくなり、勇ましい発言がハバを利かせる社会になってしまった。戦前も軍部にストップをかける政党とメディアが無力化した結果、戦争に突入している。いま日本は非常に危うい状況です」
 
「安倍政権は、北朝鮮が核を保有していることを認めたうえで、『対抗上、日本も持つ必要がある』という理屈を持ちだしてくる可能性があります。その時は、当然、改憲が前提になる。北朝鮮の危機を契機に安倍内閣の支持率がアップしていますが、安倍内閣を支持するほど、日本は北朝鮮危機に巻き込まれる恐れが強まると考えるべきです
 
ところで、安倍晋三首相は8月の内閣改造後、改憲については「スケジュールありきではない」と明言していた。
 
しかし、内閣支持率が上がったことで自民党内ではさっそく「自民、来月にも9条改憲案 支持率復調の中、議論再開」という動きが始まったらしいが、「首相案、押し切れず 党草案、根強い支持 自民改憲本部」という状態であるようだ。
 
さらには、「自民改憲案議論『9条に自衛隊』巡り紛糾 早期発議に公明慎重 」と、自民党の独自憲法改正草案にこだわる連中も多くいるらしく、総選挙日程をにらんで公明党は慎重になっている。
 
さて、話は変わって日曜日にNHKはこんなドキュメント番組を放送していたらしい。

  「核ミサイル、那覇で誤射 NHK報道 59年の米軍飛行場」 
 
その後、こんな事件が沖縄で起きていた。

  「『集団自決』のガマ、荒らされる 説明板抜かれ、遺品割られる 沖縄・読谷」 
 
地元の悲しみと怒りは計り知れない。
 
<『3度殺された』 散らばる遺骨・遺品、千羽鶴…反戦平和を冒涜[チビチリガマ損壊]>
 2017年9月13日 09:42 琉球新報
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全国から届いた千羽鶴も被害を受けた=12日午後、読谷村波平のチビチリガマ

 【読谷】暗闇を明かりで照らすと、粉々になった瓶のガラス片や折り鶴が無残にも散らばっている。「ミルクユニガティ ムルシラシドゥル チビチリガマ(平和な世を願い、みんなに伝えていこう チビチリガマ)」。「チビチリガマ」の歌碑は引き抜かれ、ガマの入り口に建立された「平和の像」の上に投げ出されていた。1987年11月にも平和の像が破壊された。ガマを再び襲った暴力に、チビチリガマの遺族会の与那覇徳雄会長は「初代会長の比嘉平信さんは『遺族は2度殺された』と話したが、今回で3度殺された」と唇をかみしめた。
 チビチリガマは、住民が殺し合いに追い込まれた「集団自決」(強制集団死)の悲劇が起きた場所。遺族にとっての墓所でもあり、平和を祈る場でもある。ガマの中は、戦中に住民が持ち込んだ水やガソリンが入った瓶、皿や茶わんなどの遺品と共に、複数の小さな遺骨も1カ所に集められていた。瓶の破片の傍らに遺骨も見受けられた。与那覇会長は「生き延びた人も苦しんだガマだ。遺族も長年、語れなかった」と語る。第一発見者で僧侶の知花昌一さん(69)=読谷村=は、変わり果てたガマの姿に「ひどいな…」と何度もつぶやく。「平和に対する冒涜(ぼうとく)だ」と言葉を振り絞る。
 午後1時ごろ、通報を受けた嘉手納署の署員が現場を確認した。チビチリガマの入り口に張られた規制線。高校時代の同級生と足を運んだ金城巖(いわお)さん(69)=沖縄市=は「ここを訪れることで分かることがある。反戦平和を考えるために必要な場所をけがされたのは、憤りを感じる。絶対に許せない暴挙だ」と規制線を見つめた。
 規制解除後、地域研究の授業の一環で県外から訪れた学生は、知花さんの案内を受けた。学生の1人は「まさかこんなことになるとは。ここは荒らしていい場所ではない」と言葉を詰まらせた。
    ◇    ◇
 チビチリガマ 読谷村波平にある自然壕。1945年4月の沖縄戦で米軍が上陸したことに伴い、周辺の住民140人が避難。4月2日、米軍の投降に応じずに83人が「集団自決」(強制集団死)に追い込まれた。事実は長い間表に出なかったが、83年に作家・下嶋哲朗さんや住民による調査で全容が明らかになった。
 
少なくとも沖縄県生まれの人ならば、このような蛮行は決してやらない。
 
それでは、どこの誰がやってきて実行したのだろうか。  
 
台湾生まれながら戦後、沖縄県首里に戻り、大阪外国語大学、大阪市立大学大学院を経て、沖縄国際大学で教鞭をとるのだが、そのかたわら、沖縄返還後は戦跡のガイドも務めていた石原昌家沖国大名誉教授の談話にその答えが隠されているように思う。
 
<残酷行為にも非暴力で(談話・石原昌家沖国大名誉教授)[チビチリガマ損壊]>
 2017年9月13日 10:04 琉球新報
 住民が集団で死に追い込まれたチビチリガマは、沖縄戦の日本軍による住民被害を象徴する場所だ。それを破壊する行為は、被害住民を2度も3度も殺すようなものだ。残酷すぎる。「命どぅ宝」という沖縄の平和の思想を発信している場所として注目を集めてきたからターゲットになったのだろう。
 辺野古の新基地建設を阻止する運動が、戦争体験者を先頭に展開されている。今回の行為には、沖縄の武装化を進めたい勢力の、運動をひるませ押しつぶそうという狙いがあるのではないか。
 このような行為に対して、あくまでも非暴力に徹して屈しないという姿勢を貫き、相手を諭すように平和の尊さを訴えていくべきだ。(平和学)
 
今回の行為には、沖縄の武装化を進めたい勢力の、運動をひるませ押しつぶそうという狙いがあるのではないか」との指摘はまさに正鵠を射ている。
 
安倍政権から見れば、辺野古の新基地建設を阻止する運動は「目の上のたんこぶ」なのだろう。
 
それにしても、安倍政権のこの5年間で、この国の空気は一変してしまった。
 
ますます右傾化が進み、軍事色が急速に濃くなっている。
 
北朝鮮のミサイル発射を想定した避難訓練の様子が、当たり前のようにテレビのニュースで報じられている。
 
戦前のように子どもたちが防空頭巾をかぶって逃げるなどということは、5年前には考えられなかったことである。
 
戦時下のようなニュースが、違和感なくお茶の間に流されているという異常性が感じられなくなったとき、日本国民は安倍政権によって命と財産が危険に晒されるということを覚悟しておかなければならないだろう、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 11:43| 神奈川 ☀| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

一笑に付すことができない問題が多い

9月に入って昨日は「残暑」らしかったが、季節的には「秋暑の候」という表現が使われる。
 
地球温暖化が進み、日本の「四季」にも影響が現れており、なかなか季節感が暦からは感じられない日々が続いている。
 
8月に入り20日以上も降雨が観測され、しかも迷走し長寿の台風5号によって日本列島は九州から北海道まで甚大な水害に見舞われた。
 
すでにテレビのニュースからは消えてしまったが、被害に遭った被災地ではまだまだ避難所生活を強いられている人々もいる。
 
6年前に起きた東日本大震災で被災した地域に対する国の復興交付金は総額2兆7888億円になるのだが、その19%の交付金が使われていないという。
 
<復興交付金 5346億円未着手 全体の19%、本社調べ>
 2017/9/9 0:46 日本経済新聞 電子版
 東日本大震災で被災した宮城、岩手、福島3県で復興交付金を使う事業の進捗を日本経済新聞が調べたところ、まだ5346億円分が工事の契約を結べず、着手できていないことがわかった。交付金総額の19%に相当する。前例のない大規模な災害からの復興事業のため、住民合意の形成や並行する大規模工事間の工程調整に想定以上の時間がかかっている。
20170909fukkouokure.jpg
 復興交付金を使った事業は、国が定めた「復興・創生期間」が終わる2020年度末までに完了しなければならない。工事完成のメドが立たないと、事業ができなくなる懸念もある。工事期間を考えれば、着手までに残された時間は少ない。
 東日本大震災の発生から11日で6年半になる。復興交付金を使う事業の3月末の契約状況を復興庁が調べたデータをもとに、被災3県の72市町村の進捗率を集計した。
 復興交付金は16年度までの6年間で総額2兆7888億円。このうち事業が完了したか、建設会社などと契約を結んで事業が進んでいるのは81%にあたる2兆2542億円だった。残る5346億円は震災から6年が過ぎた段階でも工事契約を結べていない。
 「津波で流された橋を架け替えるには重機を通す建設道路をつくる必要がある。道路用地が上下水道などの予定地と重なれば工事期間をずらさなければならない。多くの工事が集中し、事業間の調整が難しい」。宮城県気仙沼市の菅原茂市長は復興事業が遅れがちな要因を、こう説明する。
 2万人近くが犠牲になった東日本大震災では多くの住宅やインフラが津波で流された。国や県、地元市町村が一斉に復興事業に取りかかり、工事期間などの「交通整理」に今も苦心している。
 大規模災害に対応するため、被災自治体の業務量は膨大になった。震災前に気仙沼市の一般会計予算は300億円程度だったが、17年度は約1000億円。震災後の最大時期には2000億円規模のこともあった。一方で職員数に大きな変化はなく、1人あたりの仕事量は3〜6倍に増えた。職員不足も復興事業を遅らせる一因だ。
 街をどんなかたちで再生するかの合意形成にも時間がかかる。岩手県釜石市は21地区の市街地を再建するため、各地区で官民の協議会を設けて議論してきた。テーマは被災者が移り住む住宅の概要から公園や小中学校の再建場所、共同ごみ置き場の位置まで幅広い。
被災地では復興事業がなお続いている(宮城県気仙沼市)
 釜石市復興推進本部事務局の金野尚史係長は「当事者が納得して進めないと将来、事業をやり直すことになり余計に費用がかかるリスクもある」と話す。進捗が遅れている現状は、住民参加を重視した結果でもある。
 復興交付金の期限が近づくなか、気仙沼市は工事の設計業務などで民間委託を増やし、事業を加速する。釜石市は国や岩手県の担当者も交えた調整会議を毎月開き、組織の垣根を越えて工事期間の最適化を進める。
 津波被害が小さかった地域では事業を終える自治体も出てきた。宮城県の村井嘉浩知事は「人手や資金、物資を被害の大きい沿岸部へ集中的に振り向け、復興事業の加速に努める」と話す。
 ▼復興交付金 東日本大震災で大きな被害を受けた地域を再生する国の支援の中核的な制度で、市町村に配分される。被災者が移り住む住宅の建設や市街地再生に向けた土地区画整理など用途は幅広い。3月末時点で北海道から東北、関東、信越の11道県102市町村に交付されている。
 
「多くの工事が集中し、事業間の調整」が必要であり、工事期間などの「交通整理」をするために、東日本大震災復興基本法(平成23年6月24日法律第76号)第4章(24条)に復興庁設置の基本方針が規定され、翌年に復興庁を発足したはずであった。
 
どうやら国民からも強制的に金を徴収したのだが、10年間という復興期間に如何に効率的に事業を進めるのかというグランドデザインをしっかりと作らずに各自治体にカネをばら撒いてしまったことが最大の原因であり、国の失政ともいえる結果である。
 
2020年東京五輪が近くづけば首都圏に多くの人手が集められ被災地はこのままでは見捨てられる可能性が高い。  
 
今週も様々なニュースが飛び込んできたのだが、手元にあるツイッターで主な出来事を整理してみた。   

ところで、テレビメディアでは、当時の高市早苗総務相の民放テレビ局に対する「停波」恫喝の影響が依然として残っているという事態が明らかになっている。
 
 「(Media Times)情報番組、発言の修正要求? 降板のコメンテーター『告発』」 
 
「政治的公平」を定めた放送法を根拠にしたプロデューサーの言い訳であったが、「歴史修正主義発言」は決して政治的に偏っているわけではなく、安倍政権が政治的に大きく右に偏っているに過ぎない。
 
むしろ「言論の自由」の範囲であり、余りにも「歴史を歪める発言」が多い安倍晋三首相に忖度し過ぎの日本テレビの体質自体が問題視されるべきであろう。
 
さて、話は現在のところ最も旬だがが食えない北朝鮮関連話題なのだが、1992年より防衛庁取材を担当している東京新聞論説兼編集委員の半田滋が、「北朝鮮危機の渦中、ついに自衛隊が『敵地攻撃力』を手にする」という記事で、「敵基地攻撃能力の保有は攻撃力ばかりでなく、抑止力にもなるが、どれほどの犠牲も強いてでも攻撃を仕掛けようとする北朝鮮の金正恩労働党委員長には通用しない」と指摘していた。
 
そんな金正恩とトランプのチキンレースが終わるときには、日本が「戦場」になることは間違いないと、米国の主要メディアが報じているという。
 
<米朝衝突「その時」日本はここが狙われる>
 2017.09.09 週刊現代
三沢、横須賀、そして東京
「日本では、北朝鮮による攻撃のもっともありえる標的は東京だ。3500万もの人口を抱える政治・商業の中心地である」――ニューヨーク・タイムズ紙(8月9日付)
「金正恩が(爆撃に)関心を寄せる場所に、東京近郊の3つの在日米軍基地(横田、横須賀、座間)がある。ここを叩けば東京を壊滅させられる」――ワシントン・ポスト紙(7月25日付)
米主要紙は、北朝鮮によるミサイル攻撃のターゲットとして、「日本」を具体的に名指しし始めている。もはや、空想の世界ではないのだ。
米朝戦争は、明日にも始まる可能性がある。豪政府系の戦略政策研究所上級アナリストのマルコム・デービス氏が言う。
「北朝鮮からグアム沖にミサイルが発射され、12カイリ外に落ちようとも、あるいは途中で撃ち落とされようとも、挑発行為だとしてトランプが報復すれば、北朝鮮は間違いなく反撃します。危機が段階的に高まり、朝鮮半島で戦争になれば、有史以来もっとも強烈で暴力的な衝突になる」
8月21日から米韓合同軍事演習が始まり、緊張が高まる。本誌が前号で報じたとおり9月9日にトランプが北朝鮮を空爆するかどうかは、金正恩の出方次第だ。
米朝が開戦すると、日本はどうなるのか。本誌は、長期にわたって米朝の開戦シミュレーションに関与してきた米軍の高位の退役軍人から、驚きの証言を得た。
「米韓の軍事作戦の鍵は、日本だ。レッドラインを超えて開戦に至った際、北朝鮮を壊滅させるのに必要なのは防空圏を叩くことだ。三沢基地の第35戦闘航空団F−16部隊による北朝鮮爆撃が、作戦の第一条件になる」
――何が起こる?
「北朝鮮もそれをわかっているから、F−16戦闘機の攻撃の先手を打ち、日本の三沢をノドンミサイルで爆撃するだろう」
――三沢以外には?
「空海軍の要衝である岩国や嘉手納といった基地は当然狙ってくる。連中からもっとも近い前線基地だから」
戦後72年、はじめて日本が戦争当事国になる可能性が出てきたのは、この「在日米軍」の存在ゆえだ。東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏が言う。
「ジュネーブ条約第一追加議定書では、攻撃する相手国の軍事施設を目標に反撃するのは違反ではないので、北朝鮮が正当防衛を理由に在日米軍基地を攻撃することは可能です」
先の米軍高官も言う。
「ミサイル発射が在日米軍基地に対して始まれば、日本では個別的自衛権だ、集団的自衛権だ、という議論になるだろう。だが日本がアメリカに協調しないことはあり得ない。必ず日米が共同で北朝鮮のミサイルを迎撃することになる」
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏も続ける。
「日本海に常駐しているイージス艦のSM3や国内のPAC3で迎撃することになります。実験結果からすると、ほとんど撃ち落とせるでしょう」
撃ち落とせなかったミサイルは基地に着弾するか、精度が悪く基地周辺の民家やビルに落ちるかもしれない。ただ、攻撃の当初で核弾頭が積まれることは考えにくいため、落ちてしまってもそれほど甚大な被害にはならないと黒井氏は言う。
「日本全土を攻撃する1300kmという射程距離を考えれば、ノドンに載せられる弾頭は700kgが限界です。ビル一棟を壊せるレベルではなく、家屋を6〜7軒壊す程度の威力しかありません」
岡崎研究所の村野将氏もこう語る。
「日本に届く北朝鮮のミサイルはノドン約200発+αだが、開戦初期の数時間で発射できるのは最大で50〜60発ほど。迎撃効率も考えれば、実際に飛んでくるミサイルはもっと少なく、基地周辺が火の海になるという事態は避けられるでしょう」
そもそも、北朝鮮が在日米軍基地の攻撃を意図するとすれば、「軍事的には、朝鮮半島に向かうための兵站・補給支援を断ち切り、日米の軍事能力をそぎ落とすのが狙いであり、いきなり一般の住宅にミサイルを撃ち込むというのは考えにくい」(村野氏)からだ。
だが、問題はその先だ。先の米軍高官が言う。
「在日米軍基地へのミサイル発射に対しては、自衛隊は在日米軍とともに迎撃し続ける。北朝鮮は自暴自棄になって、日本のインフラの壊滅を狙いにいくだろう」
――具体的には?
「サイバーテロに原発テロ、化学兵器によるテロも考えられる。だが、まずは東京周辺の基地、具体的には横須賀を狙うだろう。基地攻撃だという言い訳が立つ上に、都市部に近いことで威嚇効果を上げられるからだ」   
核兵器を使う可能性
東アジア情勢に精通するカナダ人ジャーナリストのマシュー・フィッシャー氏も語る。
「米軍が北朝鮮本土への大規模攻撃やインフラ破壊の工作を続ける選択をするならば、北朝鮮は政権の生き残りをかけて、日本の人口密集地域に対してもノドンを撃つだろう。米軍はさらなる反撃を続け、最終的には北朝鮮側も、核兵器を使用しても、もはや失うものは何もないと結論づけることになる」
日本の人口密集地域への攻撃――。しかも、核兵器の使用もありうる?
前出の村野氏も言う。
「東京を核攻撃して、脅しの信憑性を高める。こんなことをすれば当然アメリカは核で報復するでしょうが、北朝鮮が米都市部を狙える核ICBMを複数持てば、東京を攻撃しても報復を抑止できると誤認する恐れがあります」
'03年に米韓の研究者によって行われた核戦争シミュレーション(マイケル・ユー/デクスター・イングラム「ウォー・シミュレイション」)は、12級の核爆弾が東京で地面爆発するケースを詳細に扱っている。
12級というのは、'16年に北朝鮮が行った核実験の数値とほぼ同じ。東京・永田町付近に、午前8時、核兵器を搭載したミサイルが着弾するシナリオだ。
〈(着弾地点半径)2.5km以内に存在する人の90%以上は、核爆弾が投下された瞬間、苦痛を感じることもなく、カメラのフラッシュのような閃光を見た瞬間に消える〉
約10万人が爆弾投下直後に死亡し、その後強い放射能や火事と酸素欠乏で、30日以内に約32万人が死亡、合計42万3627人が死亡するという。
前出のマルコム・デービス氏も、もっともひどいシナリオは、核戦争の勃発だと証言する。
「私が所属する豪政府系シンクタンクASPIの見解は『あと6〜9ヵ月ほどで半島で紛争が起きる可能性がある。そうなれば第2次大戦以降はじめて核兵器が使われる可能性がある。数万という犠牲者が出た後、北朝鮮の政権は壊滅するが、それに伴い韓国の大部分も破壊され、日本も大きな被害を受ける可能性が高い』というものです。
北朝鮮は最大60発の核兵器を持っているとみられますが、現時点では、核弾頭は韓国や日本までしか飛ばせそうにない。事態がエスカレートすれば、被害に遭うのは日本や韓国です。非常に危険な状況にあります」
米朝開戦へのカウントダウンは、もうすでに始まっている。
「週刊現代」2017年9月2日号より 
 
20年くらい前の週刊誌記事ならば興味深いSF的な読み物であったが、残念ながら現時点では一笑に付すことはできない。
 
1950年6月25日に北朝鮮が国境線と化していた38度線を越えて韓国に侵攻したことによって勃発した朝鮮戦争。
 
その3週間ほど前にオジサンは生まれ、1953年7月27日に国連軍と中朝連合軍は朝鮮戦争休戦協定に署名し休戦に入ったので、その当時中国大陸での侵略戦争に敗れ帰国していた父は進駐軍の運転手として働いていたそうだが、朝鮮特需のお蔭で一時は懐が温かくなっていたと聞いたことがある。
 
しかし再び朝鮮半島で非常事態が発生すれば、日本は安倍政権のために戦争当事国になる可能性があり、特需どころか国民の生命までもが脅かされることになることだけは確かであろう、とオジサンは思う。

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2017年08月21日

誰が止めるのか、増大する防衛関連費

国会の一切の審議もなく、日本の安全保障対策として米国内の軍需産業の要請を受けて、言われるがままに新たな武器の調達を強いられるのが、日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)。
 
過去にも日米ガイドラインを改定し実質上の安保条約を勝手に見直してきた。
 
そして、最近の北朝鮮の米国への挑発に乗じて、トランプ大統領が「米国第一」を掲げて外国への武器売却を進める防衛産業強化路線に対して、憲法上、専守防衛の日本としては、「迎撃システムはいくら導入してもきりがない」という政府側が戸惑いながらも反対はできない。
 
そして、先週は、「トランプ大統領就任後初の2プラス2を前に、防衛省は北朝鮮の弾道ミサイルに対処するため、陸上配備型の新迎撃システム『イージス・アショア』を導入する方針を固めた。米国から購入する。航空自衛隊に『宇宙部隊』を創設し、日米で宇宙監視システムも構築することも決めた。」と報道された。
 
そもそも、イージス艦はその名の通り、海に浮かんだイージス・システムのことであり、艦載イージスBMDを「イージス・アフロート(Aegis Afloat)」と呼んだりもする。
 
このイージス・システムを陸上で使おうという計画が、現在着々と進められおり陸に揚がったイージスBMDのことを「イージス・アショア(Aegis Ashore)」と呼ぶ。
 
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【外観はまるで船の艦橋】
 
 
ちなみに、ポーランドのイージス・アショアのために2017会計年度で米議会が計上した予算は6億2,140万ドルで、この額は施設建設、ウェポン・システムのアップグレード、SM-3ブロック2Aを含めたものであり、これに加えて、2016会計では装備調達費(Aegis Ashore Equipment)として約3千万ドル、施設建設費(Construction of Aegis Ashore)として1億6千900万ドルが計上されているので、計8億2千万ドルほどかかっているという。
 
当然、日本への導入も800億円以上になることは間違いない。    
 
それにしても、北朝鮮が米国向けに脅しで発射するミサイルの落下物に対するシステムとしては余りにも高価な買い物である。
 
<陸上型イージス、導入へ課題山積 隊員養成や国内説明 >
 2017/8/21 0:20 日本経済新聞 電子版
 防衛省は北朝鮮のミサイル発射に備えて導入を決めた地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」を陸上自衛隊に運用させる方向で調整に入った。弾道ミサイル防衛(BMD)を巡る陸海空3自衛隊の連携体制をつくる狙いだが、隊員の確保や養成など課題は多い。野党は導入方針を国内より先に米国に伝えたことを問題視。秋の臨時国会で追及する構えもみせている。
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【イージス・アショアはPAC3と連携して運用する狙いがある=共同】

 イージス・アショアは弾道ミサイルを大気圏外で撃ち落とすイージス艦の迎撃ミサイルを陸上に配備するもの。開発中のミサイル「SM3ブロック2A」を用いれば日本全域を2基でカバーできる。24時間態勢で警戒監視を続けるイージス艦の負担を軽減する狙いもある。
 BMDを巡っては、海上自衛隊がイージス艦、航空自衛隊が地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)をそれぞれ運用している。陸上自衛隊はPAC3展開時の警備などを担っているが、ミサイル防衛用の装備品をもっていない。
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 海自は北朝鮮ミサイルの警戒監視、空自は日本領空への接近を続ける中国機やロシア機への緊急発進の負担が増す。災害派遣の主力を担うものの比較的人員に余裕のある陸自がイージス・アショアの運用を担うことで、陸海空自で一体的に迎撃態勢を構築する。
 だが、ミサイル防衛に習熟していない陸自が隊員を育て、専用部隊をつくるには膨大な時間やコストがかかる。交代制で24時間態勢の警戒監視をするにはイージス・アショア1基あたり100人規模の部隊が必要との声もある。
 ミサイルへの国民の懸念が強まる中、国内への説明も課題だ。イージス・アショア導入の方針は小野寺五典防衛相が17日の日米防衛相会談で米側に伝えたが、国会などで説明したことはない。共産党の小池晃書記局長は日本経済新聞の取材で「国民にも国会にも一切示されないで、米側に説明してしまうことは非常に問題だ」と指摘した。
 イージス・アショアは高性能のレーダーをもつ。近隣地域に電波障害を起こす可能性もあり、住民の理解が欠かせない。導入費は1基あたり約800億円と高額だ。民進党の大串博志政調会長は「財政面はきちんと内容をみて判断していく」と日本経済新聞の取材に語った。
 ミサイル迎撃能力をどう高めるかも引き続き検討が必要だ。政府関係者はイージス艦と同等の迎撃性能をもつイージス・アショアの導入を「今あるミサイル防衛の網を広げる効果がある」と説明する。しかし、網そのものの目を細かくし撃ち漏らしをなくすには、在韓米軍などがもつ地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の導入を求める声もある。
 THAADの迎撃高度は40〜150キロメートル程度と、イージス艦やPAC3の補完性が高いとされる。だが価格は1基あたり約1千億円かかるうえ、日本全域の防護には6基が必要とされる。防衛省はTHAAD導入の検討を続ける方針だが、イージス・アショア以上にハードルが高いとの指摘もある。
 
じつはこのイージス・アショアは、発射装置に対地巡航ミサイル「トマホーク」が収容されており北朝鮮に対する敵基地攻撃論が沸き起こっている中でのイージス・アショア導入となれば、当然日本が対地攻撃能力を保有したとの声がたかまりそうだが、ソフト・ハードが異なり公式的には「対地攻撃はできない」とされているが、ソフトのベースラインの書き換えによって対地攻撃は可能になるとも言われている。
 
そしてさらに防衛省は以前から導入を決めていた無人偵察機「グローバルホーク」の導入の中止を検討し始めたらしい。  
 
 
 
<無人機グローバルホーク導入中止を検討 費用23%増>
 2017年8月21日05時06分 朝日新聞DIGITAL
 上空から監視する無人偵察機「グローバルホーク」の導入について、防衛省が中止を含めて見直す検討を進めていることが分かった。導入を決めた際は3機分で約510億円と見積もっていたのが、米国のメーカーが日本向けに製造するには追加費用がかかることが判明。約23%増の約630億円にまで膨らむ見込みになったためだ。複数の政府関係者が明らかにした。
 防衛装備庁は、高額の装備品の導入にかかる費用が見積もりより15%上回った場合、計画の見直しを義務づけており、今回はその規定が適用される初めてのケースとなる。来年度予算の概算要求に向けて、小野寺五典防衛相が近く、導入を続けるか中止するかを最終判断する。
 現在の中期防衛力整備計画(2014〜18年度)には、滞空型の無人機3機を調達することが盛り込まれている。政府は14年11月、導入する機種を米ノースロップ・グラマン社が製造するグローバルホークに決定。米国政府から「有償軍事援助」(FMS)の形で購入することを決めた。小野寺氏は、14年6月に機種選定手続きが始まった当時の防衛相だった。
 日本政府関係者によると、これまでは3機の本体と地上装置で計約510億円と見積もられていた。しかし、今年4月になって米国政府から「約630億円まで値上がりする」と連絡が入った。米軍向けの製造はすでに終わり、日本向けに取り付けるレーダーの主要な部品の在庫がないため、「メーカーが代替品を開発するために追加の費用がかかる」という説明だったという。合わせて、20年3月と見込まれていた最初の日本への配備も「21年7月にずれ込む」と通告された。
 一方、調達の透明化や効率化を図り、防衛産業の技術基盤を維持していくために15年10月に発足した防衛装備庁は通達などで、高額の装備品の費用が見積もりより15%上昇すると計画を見直し、25%上昇すると中止を検討するよう義務づけている。
 米側からの連絡を受け、防衛省や防衛装備庁はグローバルホークの導入を継続するか検討を開始。「北朝鮮や中国の沿岸部を高い高度から継続的に監視し、艦艇や航空機の動向を把握するために必要」との意見がある一方で、「日本政府がすでに運用している情報収集衛星や開発中の次期電波情報収集機などで、かなりの部分を代替できる」などの意見も多いという。
 さらに費用がかさんで、当初の見積もりより25%以上増える可能性もある。防衛省関係者は「来年度以降、北朝鮮のミサイルを迎撃するための1基約800億円の陸上配備型新システム『イージス・アショア』の導入が始まるなど、今後も高額の装備品の購入が続く。費用の面ではグローバルホークの導入は極めて厳しい状況。あとは、政治決断だ」と話す。(土居貴輝)
     ◇
〈グローバルホーク〉 画像や電波情報の収集、警戒監視、偵察を任務とする高高度滞空型の無人偵察機。高度5万フィート(約1万5千メートル)以上で航行し、滞空時間は約36時間。全長約15メートル、全幅約40メートル。
 防衛省は導入費用として17年度予算までに約490億円(関連経費を含む)を計上。20年3月以降、三沢基地(青森県)に配備する予定だった。同基地には14年以降、米軍が断続的に配備してきており、今年5月には横田基地(東京都)にも初配備された。
 11年の東日本大震災の際には、米軍は「トモダチ作戦」の一環としてグローバルホークで福島第一原発を上空から撮影した。
■防衛省が導入中か導入計画中の高額の装備品
・航空自衛隊・F35A戦闘機(42機)           約8278億円
・海上自衛隊・SH60K能力向上型ヘリコプター(約90機) 約5153億円
・陸上自衛隊・垂直離着陸ヘリコプター・オスプレイ(17機)約2347億円
・陸上自衛隊・新多用途ヘリコプター(約150機)    約2044億円
・陸上自衛隊・水陸両用車(52両)             約352億円
 
上記の「高額装備品」の中で、オスプレイの価格に関しては、2年前に、「自衛隊内でも異論…安倍政権『オスプレイ』相場の2倍で購入」という指摘があったが、その後、「ぼったくりではない日本向けオスプレイの価格」と、軍事ブロガーが価格の詳細を解説していた。
 
さらに、「F35A戦闘機」の価格についても、「バカ高い日本のF35 裏に国内の軍事メーカー保護」では、経団連の要請で安倍政権が国内メーカーに配慮したともいわれている。
 
軍事ジャーナリストの清谷信一が厳しく批判していた。

「補正予算で調達されるものを見れば、一目瞭然です。政府予算で落とされた国内メーカーのヘリや装甲車を購入しているのです。国内メーカーの不満をなだめるために、補正予算でバラマキが行われています。補正予算は、原油が高騰したとか、災害出動が増えて自衛隊員の手当など出費が増加したなど、当初予算では想定しなかった支出を手当てするものです」

さらには、三菱重工の小牧南工場(愛知)とIHI瑞穂工場(東京)に、F35Aのリージョナルデポ(整備拠点)が設置される問題を国会で追及した共産党の本村伸子衆院議員は当時こう語っていた。
 
「米国の政府監査院が他の戦闘機と比べてF35Aのコストが高すぎると指摘しています。米軍はコスト削減のため、整備などを日本に下請けさせると考えられます。日本が調達するF35Aの42機のうち、これまで22機分で総額で6155億円を使い、その多くは米国に支払われた。その上、日本が貢ぐ関係になるのです」    
 
かなり前から「日本は米国のATM」と言われ、米国の言いなりの高額な武器を調達してきた。
 
国家の安全保障に関する費用は「保険」だと言われてきたが、まさに掛け捨て保険に長年、莫大な国家予算を投じてきたのである。
 
5年連続で過去最高を更新した防衛関係費と社会保障費。
 
防衛関係費は、5兆1251億円と、戦後最大となったが、これを20%削減すれば「高等教育の無償化」のために憲法を改正する必要はない。 
 
結局は、米国のトランプ大統領も日本の安倍晋三首相も、「国のため」といいつつ国民を欺いて国内の軍需産業の繁栄と軍事メーカーの援助をしていたに過ぎない、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:24| 神奈川 ☁| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月19日

歴史に学ばない国は同じ過ちを繰り返す

「8月ジャーナリズム」ということばを随分前に耳にしたことがある。
 
マスメディアが、この月にだけせっせと戦争のことを取り上げる風潮を皮肉る言葉なのだろう。
 
実際、現在は某大手マスメディアの管理職になってしまった人が現役の頃の10数年ほど前にこんなことを言っていた。
 
「8月ジャーナリズム」というちょっと奇妙な言葉がある。毎年、8月になると突然のように「平和だ」「不戦だ」と言い出す新聞などメディアの取材姿勢を指したものだ。その言葉の裏には、8月にならないと平和報道に力を入れない、という批判もある。カレンダーで決められたことについてはきちんと報じる、というメディアの官僚的な生真面目さへの比喩も込められている。
 この2、3年を除いて、私は8月の平和企画を毎年のように担当してきた。別に希望したわけではなく、めぐり合わせでたまたまそうなっただけだ。ただ、正直に打ち明けると、私としては、むしろ担当を避けたい気持ちの方が強かった。
 平和報道とひとくちにいっても、新聞の一面で展開する硬派企画と社会面に掲載する軟派企画がある。
 硬派は、世界の安保はこうだ、日米安保はどうだと理屈をこねればまあ記事として成立する。しかし、軟派はそうはいかない。心の動き、人間ドラマを中心に据えて平和の大切さを訴える構成にしなければならないからだ。
 するとどうしても「語り継ぐあの体験」といった既視感の強い記事になってしまう。そして、ほとんどの場合、じゃあ平和の創出にはどうすればいいの、という問いに答えを用意できずに終わってしまう。
 かつて、ヒロシマを訪れた米国の平和活動家は、無数に飾られた千羽鶴を見て「いったい鶴を折ってなんになるのか」「折り鶴が平和をつくるのか」と驚いたという。日本の平和運動全体の隘路とも言えなくもないのだが、軟派の平和企画には、千羽鶴に象徴される「祈り」から抜けきれないうらみがある。祈るだけでいいのか、不戦を誓うだけで平和は来るのか、という批判に、十分に反論できないつらさがある。
 
今年の「8月ジャーナリズム」も8月15日の「終戦の日」を境に終わりに近づいている。
 
子どもたちの夏休みもそろそろ終盤に近づき、旧盆の故郷へ帰り戻るという運転者にとっては過酷な渋滞地獄もなくなった。
 
そんな夏を終える前に、改めて日本の近現代史を見つめなければならない気がしていた。
 
米国のリベラル系オンラインメディアである、2017年4月にThe Huffington Postから改称されたHuffPost。
 
その日本版の「ハフポスト日本版」は朝日新聞社との合弁事業で行われており、執筆は朝日新聞が担当している。
 
この「8月ジャーナリズム」として精力的に以下の記事を掲載していた。
 
 「終戦の『聖断』そのとき昭和天皇は 「何遍も両方の頬をお拭いに...」内閣書記官長の証言で振り返る
 
 「玉音放送を現代語にすると...「耐え難いことにも耐え、我慢ならないことも我慢して...」【終戦の日】
 
 「超自然的な力を信じた「日本の戦争」 歴史家・磯田道史さんと僕たちのたどった道を考える【戦後72年】

上記の各記事へのコメントは控えるが、歴史家・磯田道史へのインタビューをかいつまんで紹介しておく。
 
<【終戦の日】「日本が失敗するパターン」とは 歴史家・磯田道史さんと近現代史をひも解く>
 2017年08月18日 23時54分 JST HUFFPOST
 「日本を良くしよう」と考えるなら、バランスのとれた歴史的な検証が必要
--戦後の体制が変わりつつある中で、これまでの歴史をどう振り返ればいいのでしょうか。
今年、2017年の8月15日で戦争から72年が経ちます。1945年ですから72年が経つわけですよね。
終戦時に8歳だった人が、もう80歳になるということです。終戦時に徴兵検査を受けていた人は92歳になる。もう一線は退いていますよね。成人した人であの戦争を体験した人は日本から少しずつ少なくなっている状況です。
戦後の世界は米ソという2つの争い、冷戦構造があった。戦後、昭和の日本はアメリカの傘の下に入りました。
冷戦下では、もちろんソビエトや中国の核に日本は脅威を感じていましたね。冷戦が終わり、しばらく、日本から核脅威が遠のいていたが、平成も四半世紀が経った2017年になって、今度は北朝鮮のミサイルの問題が深刻化してきた。アメリカと北朝鮮が衝突した場合、北が発射してくるかもしれないミサイルを、日本が必ず迎撃できるかということに、ここ数年で、疑問符がついてきた。
--非常に不安定な世界情勢の中、日本は今後の将来像を描かないといけないですね。
そうです。アメリカの傘の下にあった日本の防衛にも穴があいてきた。アメリカは北朝鮮を「実際に核を発射する可能性がある」という風に見ています。それなのに、それを確実に撃ち落とせるかわからない。
さらに、アメリカのトランプ大統領は、世界のお世話をするよりは「アメリカが第一だ」ということを掲げて当選した。世界の警察官の座から降りているわけです。
作家で元東京都知事の猪瀬直樹さんが面白いことを言っていました。「戦後の日本というのはディズニーランドに近い」と。
これまでの日本は、ある種フィクションの「夢の国」の中で非常に楽しく暮らしてきたわけです。周囲はアメリカに守ってもらってね。でも、日本の防衛に穴が空き、アメリカも自分たちの国のことだけを考えるようになった。2017年、日本は歴史から学びつつ、これからどう世界で生きていかないといけないかと、自分で考えなくてはならない時代に入りました。
「2017年、日本は自分で考えなくてはならない時代に入った」
--まずは歴史から学ぶことが大事なのでしょうか。
そうですね。「これからの日本を良くしよう」と考えると、日本という国の歴史的な検証が必要です。ただ、検証すると、日本はいつも成功してきたわけではないので、失敗した事例も検証せざるを得ない。
私は日本の良い面もたくさん知っています。ただ、うまくいかなかったこともきちんと言います。しかしながら、失敗の検証をすると「自虐史観」「反日」と言う人もいなくはない。一方、日本をほめると、「右翼」「歴史修正主義」という人もいなくはない。
日本は島国なので、自国に耳障りのいいことだけで話を進めてしまう部分がありますね。それで「ドツボ」にハマり、本当に失敗しちゃう例というのは過去によくありました。必要以上に日本を悪くいう必要はない。けれど、日本が明らかに後世から見て失敗したことは、きちんと検証して、次はしないようにするということが肝心です。
一方で、日本が非常に上手くいった事例をもう1回見て、どうして上手くいったのかも将来の参考にする。島国なので、他国にはない良いものが、育ち、維持されてきた面もある。自国の良い点をふつうに評価することができないようでもいけない。
この両方をバランス良くやるということが非常に重要だと思います。
「明治十四年の政変」「統帥権」… 病魔の元は、明治時代に植え付けられていた
--作家の司馬遼太郎さんは、「日比谷焼打事件」を、「魔の季節への出発点」と捉えています。日露戦争はポーツマス条約(1905年)で講和が成立しますが、ロシアから賠償金が取れなかったことを不服に思った大衆が暴動を起こした事件です。
大体の場合、日本が失敗するパターンというのは、感情的にみんなで同調して盛り上がる時です。みんなが「感情の渦」に乗っかってしまう。
日比谷焼打事件を冷静に振り返れば、日露戦争はもうギリギリの戦いだったため、たとえ日本が「勝った」にせよ、客観的に見て、ロシアからお金をとれるような状況になかった。
だけど、国民はわからないわけですね。当時の新聞も「講和条約を破棄せよ」「戦争を継続せよ」と煽り、ロシアに勝ったのだから、日本が賠償金もらうべきだと主張しました。日本は島国なので、しばしば対外的に勢いの強い論調が大衆の感情論になって、責任ある外交を脅かす場合があります。
--磯田さんは日比谷焼打事件の前、「明治十四年の政変」こそ、病魔の元となる菌が植え付けられた、と指摘されました。自由民権運動の流れの中、イギリス型の議院内閣制を重んじる憲法制定を急いだ大隈重信らを、伊藤博文らが追放した事件です。
「明治十四年の政変」などに見られたのは、「部分利益」「部分最適」を追求したことでした。これは怖い。明治維新も、最初はもうちょっと理想があったはずなのに、やっているうちに薩摩・長州の人たちが既得権益となり、自分たちの部分利益を達成しようとし始めます。藩閥政府を固めて、自分たちが華族になった。
明治維新の中心人物、革命のオーナー的な人たちが生きていて、軍の「統帥権」をちゃんと治めているうちは大丈夫でした。だけど、次の世代になっていくと、自由民権運動などの「下からの突き上げ」に対して、時の政府は自分たちで国家の方向性をもっていこうとした。
そこでドイツ・プロイセンに国の仕組みを学んだ。学びすぎたと言っていい。強めに作った「統帥権」の仕組みの弊害が、あとで後遺症として出てくるわけです。
陸軍を抑えるだけの人的な支配がある分には大丈夫だった。明治維新の中心人物たちは、外交と軍事の両方をバランスよくこなした。ところが、最後の元老である西園寺公望が死ぬ段になってくると…無理筋のいくさ=日米開戦です。
明治天皇が生きている時だったら人治でビシっと抑えられたでしょう。けれど、昭和天皇は、人治より法治の立憲君主を目指していましたから、下から法と手続きに基づいて言ってきたことは基本的には追認する法治主義の天皇陛下だったわけです。
法治の官僚主義になると、セクショナリズムの弊害が出ます。陸軍は陸軍のことだけ。海軍は海軍のことだけ、外交は外交のことだけを担う…となってくるわけです。全体をゼネラリストとして統括する人がいなかった。そうなると、国家全体を考えるより個別の省や軍の利益を求めるほうに向かいやすい。
--専門エリアを熟知した「スペシャリスト」がいるということは良いことのようにも見えますが。
ええ。素晴らしいスペシャリストがいるのは日本の強みです。これがうまく統御されている時はいい。日本の勝ちパターンです。ところが、スペシャリストを統御する良きゼネラリストを欠くと、日本は負けパターンに入ります。
明治時代は、専門だけのことをやっていられる状況ではありませんでした(笑)。私は『武士の家計簿』で加賀藩の下級藩士で御算用者(会計係)を務めた猪山成之について書きました。彼は戊辰戦争の中、壊れた軍艦の修理を、応急ドックを作ってこなした。
ソロバン侍が、なぜ応急で軍艦のドックを作って軍艦の修理をやらざるを得なかったのかというと、まだ初期の荒削りな国家の場合はスペシャリストの職員も含め、みんながゼネラリストにならざるを得ないわけです。しかし、ある程度国家の平和が続いて、整ってくると、制度ができあがっているので、自分の所属する小さな部署や組織のことを考えるようになる。
この点では、われわれも平和な時代が72年間続く一方で、経済成長率が落ちて、イノベーションが起きにくく、社会全体に停滞感があることと似ているかもしれません。なかなか「時代を突き破る」ようなことができないでしょう。
・・・中略・・・
--市井の人々が立派だったということですね。
江戸時代の末期、ロシアからやってきて、松前藩に一時捕まっていたロシア人がいた。牢番の足軽がお茶碗をひっくり返して「あなたはここから来て、今このへんにいる」と、サンクトペテルブルクと松前の位置を指差した。
社会的地位が高くない人でも、世界地図が頭の中に入っていることに、ロシア人は驚くわけですよ。「将来この国の民は、ひょっとしてロシア海軍をやっつけちゃうんじゃないか」と。事実そうなったわけです。
一般人の日本人の知識欲や好奇心の強さ、これは世界に冠たるレベルだと思います。礼儀正しいし、知識欲もあるし、努力家です。周りが見ていようが見ていまいが、よくルールを守ります。リーダーはこういったものを、国民の生活が良くなるふうにしっかりと向けられるように誘導していかないといけないですね。
だけど真面目なので、ある制度ができてしまうと、その中でだけ真面目にやるようになって、新しい発展の方向へ向かわなくなる場合がある。江戸時代の終わり頃もそうでした。なんとか制度のしがらみの紐を解いてあげて、日本人が本来持っている一般の人の民度の強さとか、好奇心の高さ、学習意欲の強さ、勤勉さというようなものを上手く活かしていけるようにしたほうがいいだろうと思います。
・・・中略・・・
--司馬遼太郎も「ノモンハン事件」(1939年)などを例に、当時の日本陸軍にあったような「深く考えない」という日本的な習慣を分析していました。
日本人は、作られた型を自分のものにするということは非常に得意です。でも、生真面目な人たちなので、新しい型そのものを作るのは難しい。これはコインの表裏なんですよ。良い面と悪い面がある。真面目なので、危険なことに手を出すということへの躊躇が強いですよね。だけど、みんながやり始めたらあっという間にできる。良い面と悪い面、両方あります。
--深く考えるために、今の日本人が必要なことは。どうすれば「考えられる」ようになるでしょうか。
1つは、空間を飛び越えて同種の事例がないかどうか、参考になる事例がないかを見渡すことでしょう。「よそにもっといいものがないか」と考える空間跳躍力です。これは語学力や広い国際知識がないと無理ですよね。自分がやろうとしている事例で、過去一番良いものは何かを世界中から探す能力です。これを吉田松陰は「飛耳長目」と言った。『管子』が出典です。耳を飛ばす、長い目をもつ。
次に、因果関係を知ること。これは「歴史」ですね。「あれをやったら、こうなる」という過去の事例です。「昔にもっといいやり方がなかったかな」と、時間軸を飛び越す能力です。ものすごく遠くまで過去、歴史を見通す目のことです。「飛耳長目」が肝腎です。
そして3つめが、時間・空間ともに起きてもいない可能性を想像する力、反実仮想力です。「もしAならば、Bという結果を導くにはどうするか」と考えること。
これが一番重要かもしれない。この反実仮想を常にやっていたのが薩摩藩でした。薩摩は「郷中教育(ごじゅうきょういく)」における「詮議」で、こういうことを学んでいた。
(例:「殿様と一緒に乗っていた船が難破した。向こうから一艘の助け船が来たが、乗っているのは自分の親の仇だった。どうするか」「道で侮辱されたら、どうするか」など)
だから、薩摩は戦争に強かった。僕がもしも会社を経営するとしたら「もしもこうなったら…」を考える部署を作りますね。「将来こういう技術開発が起きたり、環境の変化が起きて、うちの会社ではこれが通用しなくなる可能性がある」ということを、ひたすら毎日それだけ考えさせる部署とか。
経営に携わるような係長や課長以上には全員宿題として、例えば「お金の制約があまりないとして、新規事業を展開するとしたら、どこにお金を投資したらいいか」とか考えてもらうのも良いでしょう。
夢物語でも笑い話でもいいんです。取締役会なり課長会議なりで、みんなで発表しあう。急に何か事業に参入するということでも良いんです。いきなり「どじょうの養殖をしてはどうか」とか、笑い話のようなものでもいいわけですよ。常に提案することが大切です。
あの戦争の背景にあった「資源コンプレックス」と「ドイツの幻惑」
--磯田先生は歴史家の目で見て、太平洋戦争に至った理由をどう考えますか。
太平洋戦争は分解すると、英・米に対する戦争と、その前の日中戦争もありますよね。そして最後に参戦してきたソ連との戦争。3つの戦争の複合体であるわけです。
満州事変以後の15年間が本格的な連続戦争ですけれど、日中戦争も含めて考えるとするならば、「アジア・太平洋戦争」という言い方をする学者さんもいらっしゃいます。
戦争に至った理由の一つとして、資源コンプレックスというのがありますよね。
--日本は「持たざる国」だった、と。
日本は、実は自由貿易体制で友好的な時の方が、過去の歴史を見ると常に発展している。にも関わらず、島国なものだから、「資源を確保するところを、軍事を使ってでも持たないと国の発展はない」と過剰に思い込んでしまった。これが危険だった。
日本は海洋国家ですので「国際協調と貿易体制というものが日本の発展の根幹である」ということを見誤ってしまった。基本的な国作りの方針としては、やはりそこに問題があったと思います。
それと、日本は常に世界でナンバーワンの国と組みたがる傾向があります。日英同盟(1902年)なんか、特にそうですよね。もっと言えば、遣隋使あたりからそうですよね。隋・唐もそうだし、そのあとも、スペイン、ポルトガルが7つの海へ出た時には、そこと付き合った。それがオランダになり、明治維新のときは英国になった。やがてナチス・ドイツがヨーロッパを席巻した時には、それに乗ってしまった。そういう外交方針をとるんですよね。その時に、しばしば飛びつく国を間違えることがある。
維新後に越後や東北から出てきた新しい陸軍の官僚の人たちは、日英同盟を結んだ旧薩長側の人たちに対抗した。彼らは真新しく世界を制覇するとみたドイツに幻惑されたという点もあると思います。
世界史には、基本潮流というのがいつもあります。「世界はどのような方向に流れているか」という潮流。これを見誤って軍事や外交をやってはいけない。これは中曽根康弘さんにインタビューをしていて教わりました。僕らが好む好まざるに関わらず、世界史がそっちのほうにどうも流れていくだろうということは、絶対に踏み外しちゃいけません。
21世紀、中国やインドは大国化しますよね。人口が大きくなると同時に、経済規模も大きくなっていく。アメリカ・ロシアも依然として大国で、これとの関係はもちろん重要ですが、今後は、好むと好まざるとにかかわらず、唐(中国)・天竺(インド)が大きくなるということを前提に外交を行わないといけない。
--明治維新後、日本はドイツ(プロイセン)に学ぼうとしました。普仏(プロイセン=フランス)戦争(1870年?71年)後、プロイセンはドイツ帝国を成立させました。君主権が強いドイツの憲法は、当時の日本の指導者たちには日本に適していると考えた。
そこまでは、陸軍大国としては誤ってなかったと思います。それで植民地化を避けるどころか、ある程度の強国になったわけですから。
--その後、日清・日露戦争に勝利し、第一次世界大戦も日英同盟に乗っかって戦勝国となった。
問題はその後でした。ドイツと英・米の経済規模・工業力や海軍力とを比較してみれば、とてもじゃないが、ドイツが勝てるようなもんじゃないわけですよ。GDPの経済規模や科学技術の開発力を考えてみると、ドイツがそう簡単に英・米を凌駕することはないわけです。そこをやっぱり見誤っていたと思いますね。
じゃあどうして見誤ったんだろうと思ったら、それは旧薩長派が居座っている英米派よりはドイツと新しくやった方がいい…という薩長に負けた藩、あるいは薩長に出遅れた地方の出身の軍人や官僚たちの、薩長=英米派への反感からくる立場は、あったと思いますね。これも「部分最適」というのでしょうか。
--司馬遼太郎も「昭和の高級軍人は、あたかもドイツ人になったかのような自己中心で、独楽(コマ)のように論理だけが旋回し、まわりに目を向けることをしなかった」と指摘しています。ドイツへの傾斜は、昭和の頃にも影響を与えていた。
もう1つ重要なのは、将来予測や物量というものを考えずに、精神力というものを重視するというところがあります。勢いのいい議論が感情的に、空気が支配して抑えてしまうということがしばしばあるので。冷静に数字で考えるということがとても大事だというような教訓がありますよね。
そういうところでやっぱり、本来だったら英・米と組んでいる状況は外しちゃいけないのに、独・伊と組むような外交や国内政治の方針をとってしまった。そもそも日中戦争だって上手くいってなかったのに、それを直視しなかった。
「破滅の道」を繰り返さないために、歴史から学べることは
1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下された。終戦の9日前のことだった
--日中戦争での政府の無策は、当時の衆院議員だった斎藤隆夫が国会の演説(いわゆる「反軍演説」)で指摘しました。
一体、支那事変(日中戦争)はどうなるのであるか。いつまでこれは続くのであるか。政府は支那事変を処理すると声明しているが如何にこれを処理せんとするのであるか。国民は聴かんと欲して聴くことが出来ず、この議会を通じて聴くことが出来得ると期待しない者は恐らく一人もないであろうと思う。
(中略)ただいたずらに聖戦の美名に隠れて国民的犠牲を閑却し、曰く国際主義、曰く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、かくの如き雲をつかむような文字を列べたてて、そうして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤るようなことがありますならば、現在の政治家は死しても、その罪を滅ぼすことはできない。
(1940年2月2日 斎藤隆夫 「支那事変処理に関する質問演説」)
そうですね。あの大国の中国と泥沼になった状態で、人口でいったら一番大きい国ですよ。インドよりも大きいわけです。世界最大の人口大国と泥沼の戦争をしながら、GDPで極めて大きな比重を持っている英・米と同時に開戦するという。そんな政治や外交は正気ではないですよ。
だけど、日本は、そういう失敗をしてしまった。これは理屈ではないんです。後年考えてみても、それはやっぱりどこかおかしいわけですよ。
世界最大規模の人口を持つ国と戦争して、泥沼になって、経済規模や工業力でもって世界最大規模のところと同時に戦争をやった。さらに元気になりつつあるロシア(ソ連)との国境が危うくなっても、まだ続けようとした。履いたら死ぬまで踊り続ける「赤い靴」を履いてしまったに近い。
だから、陸軍と海軍という両足を、斧で切り落とすまで踊り続けました。結局、日本は陸海軍という両足を失った。そして戦後しばらく、軍事についてタブーの国になった。ちゃんと直視しなくなってしまった。
これは日本が発展する時に機能した官僚制にも通じます。急速にキャッチアップをやったり、経済成長を進めたり、一糸乱れず成長をするには非常に素晴らしい力を発揮する。一方で、1回踊りだしたら絶対に止まらない。これが官僚制の恐ろしさです。
官僚制度っていうのは、大きな組織だったら会社の中にもあります。国に限ったことではありません。日本人がやる官僚システムは効率よく動きますが、一回はじめたら、とめられない、そういう危険をもっていることをあらかじめ、自覚しておかなければなりません。僕はこれを「日本人の経路依存性」と呼んでいます。これまできた経路、道筋、これに依存してなかなかそこから脱却できないという性質。これは自覚したほうがいいですよね。
組織を統御する立場の人は、自分の会社で「これまでの行きがかりで変えられず、損をしている部分は何か」をぜひ研究してほしいと思います。取締役なり専用の部署を作って、常に研究して見直す必要がある。「これまでもやってきたから」という理由だけでやっていることは見直したほうが良い。
--「太平洋戦争」に至ったような破滅の道を繰り返さないために、僕らは歴史からなにを学べばいいのでしょうか。改めて考えを聞かせてください。
それはやはり、自分たちが持っている制度や自分の思想を絶対視しないことですよね。事実にもとづいて冷静に客観的に判断する。「自分はどういうものにとらわれているのか」を考えることです。
あとは、自分と考えが違うものや、自分が一見腹が立つようなものに対して寛容な気持ちを持つこと。この習慣が極めて重要ですね。その頭の柔らかさ、広い目、こだわらない心。それを養うのが僕は歴史だと思うんです。
曲がりなりにも、こんな島国でありながら長いことGDP世界第2位であり続けた国です。財布を落としても返ってくる国ですから。日本は良い国です。
日本の外の世界を見ると、そうじゃない人たちが増えてきてますよね。日本人は比較的まだ、たしかな民度を持っていると思います。敗戦の時代にはたしかに国が偏った時もありましたが、同じような失敗を繰り返さないようにするには、まだ間に合います
現在、日本は周辺国に国力で追い越されつつあります。GDPのシェア、一人当たりGDPもそうですし。自然科学論文数も、中国・韓国は急増、かつてアメリカと日本は1位2位でしたが、日本はドイツ以下の4位に転落してしまいました。
しかし、私たちが、歴史と向き合い、原因を分析して改善する習慣をつければ、道は開けると思っています。
 
7月8日に週刊金曜日が「日中戦争80年共同キャンペーン」のキックオフ集会を開き、そこで講演した纐纈厚山口大学名誉教授のこの言葉が印象的であった。
 
 ところが戦後、大半の日本人は「戦争は米国の物量、原爆でまけた」あるいは中立条約を踏みにじったソ連に負けた」とは認識しても「中国に負けたのだ」とは決して思いませんでした。これには理由があり、戦後GHQの占領下で、「先の戦争を大東亜戦争という用語を使わず、太平洋戦争と呼べ」との指令があったからです。
 つまり米国は「米国との戦争が主要だった」という歴史的認識を刷り込み、中国やアジアへの侵略を忘却させた。占領政策として、日本人に「米国に敗北したのだから二度とそういう憂き目にあいたくなかったら世界最強の米国に従え」という従属意識を植え付けたのです。
 
そのため、昨年12月28日に安倍晋三首相は、ハワイを訪問し、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊したのは、先の戦争は米国との戦争が中心でであってアジアとの戦争ではなかったかのように国民に知らせるためのパフォーマンスであった。
 
本来ならば、真珠湾に行くのならば、その前に南京に言って頭を垂れ、中国の琴線に触れるような言葉を発するべきであった。
 
「日本人は比較的まだ、たしかな民度を持っていると思います。敗戦の時代にはたしかに国が偏った時もありましたが、同じような失敗を繰り返さないようにするには、まだ間に合います。」
 
問題は、日本人の民度にあった国の指導者を持てるのか、ということであり、少なくとも歴史から全く学んでいない現在の安倍晋三首相がいる限りは、「同じような失敗を繰り返す」可能性が大である、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:03| 神奈川 ☁| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月15日

戦争とは非常事態宣言なり、「過去を忘れるのが早すぎないでしょうか」

果実が全国津々浦々まで行き渡る前に腐ってしまったアベノミクスだが、安倍晋三首相が喜びそうな記事が出ていた。
 
 「日本経済、夏以降も堅調 「いざなぎ」超え視野 民間、年率1%程度の成長予想
 
 「GDP年率4.0%増 4〜6月実質、内需けん引
 
どちらも日本経済新聞記事だが、朝日新聞では「GDP、内需主導は本物か 強い消費、『反動減』懸念も」と手放しには喜べないと懐疑的な内容であった、
 
東京新聞は分かりやすくQ/Aスタイルで解説していた。
 
<GDP 年4.0%増なのに 景気実感 なぜ薄い?>
 2017年8月15日 朝刊 東京新聞
20170815kakonoseichoujiki.jpg内閣府が14日発表した4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で前期比4.0%増となりました。6・4半期連続のプラス成長は11年ぶりの長さですが、国民にとって経済成長が続いている実感は乏しいままです。なぜなのでしょうか。 (白山泉)
 Q 高成長となった背景は何ですか。
 A GDPの6割を占める個人消費が好調だったことです。0.9%増で、2014年4月の消費税率引き上げ後、最高の伸びとなりました。
 Q なぜ消費が伸びたのでしょうか。
 A 08年のリーマン・ショックの後、政府は家電の購入を支援するため家電エコポイント制度などの景気対策を打ちました。11年3月末の制度終了直前には大型家電がよく売れましたが、その時に購入した製品の買い替えが進んでいます。エコカー補助金で販売を下支えした自動車も、買い替え需要と新型車投入効果で販売が堅調です。
 また、野菜などの食品や日用品の価格が高騰せずに安定しているほか、今年に入ってから株価が高い水準にあることも影響しているとみられます。天候や株価など一時的な要因で押し上げられた面もあります。
 Q 個人消費以外はどうだったのでしょうか。
 A 企業の設備投資や公共事業も堅調でした。企業は老朽化した設備の更新のほか、人手不足を補うための新たな設備を積極的に導入しています。公共事業では、昨年10月に成立した政府の経済対策の効果が出てきました。一方、中国向けの電子部品が一服し、輸出は減少しました。
 Q 経済成長の実感が乏しいのはなぜでしょうか。
 A 茂木敏充(もてぎとしみつ)経済再生担当相は「雇用所得環境の改善が続く中で、景気は緩やかに回復していくことが期待される」とコメントしました。17年に入ってから人手不足が深刻化している影響もあり、確かにパートの時給は上がっています。しかし、労働者の約3分の2を占める正社員の給与は伸びが弱く、家計が十分に潤っているとは言えません
 特に若い世代は、将来不安から好景気を実感しにくい状況です。みずほ証券の末広徹氏は「(年齢とともに賃金が上がる)賃金カーブがかつてより平たんになっているため、生涯所得が少なくなることへの不安が根強い」と話しており、今後の個人消費増には懸念が残るとしています。
 
さて、8月15日「終戦の日」である。
 
もうかなり前になるが、「『終戦』か『敗戦』か?」というまとめサイトでは、コメント欄では老若男女による喧々諤々の舌戦が繰り広げられていた。
 
そして5年前には、 言論プラットフォーム「アゴラ」に元商社マンの北村 隆司が「無条件降伏は『終戦』か『敗戦』か、それとも「解放」か?」と、ドイツ・日本研究所のスヴェン・サーラ博士の書いた「ドイツと日本における『終戦』『敗戦』『解放』の記憶』」を読んでドイツの歴史認識を紹介しながら、「政治やイデオロギーとは無縁な『人類的な悲劇からの解放記念日』として国境と思想を超えた記念日にする努力をするべき」と説いていた。
 
その翌年には、澤藤統一郎弁護士が「『敗戦』か、『終戦」か』」の中では「終戦」派を宣言していた。
 
例によって大手マスメディア各紙の社説のタイトルと最後の文章を列挙しておく。
 
但し讀賣新聞はタイトルとは真逆の内容なので段落の小見出しのみとした。 
  
■朝日新聞「72年目の8月15日 色あせぬ歴史の教訓
72年前に破局を迎えた日本と地続きの社会に生きている己を自覚し、再び破局をもたらさぬよう足元を点検し、おかしな動きがあれば声を上げ、ただす。
 それが、いまを生きる市民に、そしてメディアに課せられた未来への責務だと考える。 
 
■毎日新聞「きょう終戦の日 目指すべき追悼の姿とは
72年続く平和がすべての戦争犠牲者を礎にしていることは言うまでもない。立場や事情を問わずに等しく追悼できる環境を整えることが、死者への責任の果たし方だろう。
  
◆讀賣新聞「終戦の日 平和の維持へ気持ちを新たに
◆日米連携で国際秩序どう守るか◆
◆検討に値する9条改正
◆安保環境悪化に備えよ
◆反日の動きは要注意だ

 
◆産経新聞「終戦の日 『名誉』は守られているか 真の歴史知り危機に備えたい
中国や北朝鮮を原因とする危機が迫っている。日本の主権や国民の生命が危うい。
 備えることの重みを理解する上で、終戦に伴う数々の犠牲の史実を知り、無念さに応えようとする大切さを思い起こしたい。
 それは日本人の名誉を守ることであり、これからの日本を担うものの責務といえるだろう。    
 
相変わらず右翼が喜びそうな勇ましい論調なのだが、この新聞社は最近、「産経新聞OBが驚きの社内事情を証言!『本物の右翼はいない』『幹部は商売右翼』『東京新聞に記者が大量移籍』」と紹介されたように、記者が東京新聞に大量に移籍しているという。
 
そんな産経新聞からの移籍組ではなく、入社30年目の瀬口晴義編集局次長が、なかにし礼にインタビューしていた。 
 
<「過去を忘れるのが早すぎないでしょうか」 なかにし礼さんインタビュー>
 2017年8月15日 07時11分 東京新聞
  戦後72年の終戦記念日の特集は、作家で作詩家のなかにし礼さん(78)のインタビューです。創作の原点であり、生と死そして国家と個人を考える端緒となった戦争の闇を語り、その闇の深さから生まれた憲法を「最高の芸術作品」と呼びました。 (聞き手=編集局次長・瀬口晴義)
◆幼少期に引き揚げ
 −せい絶な引き揚げ体験がおありですね。
 僕の人生の幕開けは爆弾の音でした。昭和20年8月で、当時は6歳。交響曲「運命」の第一楽章のようにジャジャジャジャーン!と目が覚めました。
 満州へ両親が北海道の小樽から渡ったのは昭和8年です。酒造りで成功し、私は13年に生まれました。揺籃(ようらん)の穏やかな時が流れていたのに、にわかにソ連軍が侵攻してきました。
 8月11日の午前10時ごろです。わが家の庭にいると、ソ連軍の爆撃機がものすごいごう音で飛んできました。目の前で、腹がぱかっと開いて爆弾がぽろりぽろりと落ち始めて。道一本隔てた陸軍の兵器庫を大爆撃したわけです。僕は吹き飛ばされ、家は爆風でガタガタになりました。
 父は長春に出張中で留守でした。母は「一日も早く逃げるべきだ」と即断します。関東軍に掛け合い、軍人とその家族を避難させる列車に自身と私、7歳上の姉を潜り込ませました。
 夜陰に紛れて牡丹江駅を出発した列車には千何百人も乗っていました。国を守るべき軍人がいち早く国民を捨てて逃げるのです。翌朝、列車が横道河子(おうどうかし)駅の辺りで機銃掃射を受けます。僕たち家族も一般居留民を出し抜いて軍用列車に乗った後ろめたさは感じていましたが、われ先に逃げたのはふんぞり返っていた少佐らしき軍人でした。
 機銃掃射の時、母は「おまえは小さいんだから座席の下に隠れなさい」と僕を座席の下に押し込み、外へ飛び降りて逃げた。僕は、親から見捨てられた気分になりました。生まれて初めての残酷な体験です。列車に戻ってきた母は「これからは自分の意思で逃げて、自分の意思で生きなさい」と。母の名言で、僕ががんになった後、生きる力につながりました。
 −なかにしさんは、がん治療の方法を自らの考えで選択されました。その原点ですね。ハルビンまでの逃避行では、ご著書に印象的なシーンがあります。
 はい。珠河(しゅか)(現・尚志)の駅の手前で、列車が大きな川にさしかかると、鉄橋は今にも壊れそうです。全員下車して川を渡り、貨車だけを通しました。ぬれた体で向こう岸に着き、列車に乗ろうとすると、長野県からの開拓民たちが押し寄せてきました。病人だけでも乗せてくれと、無蓋(むがい)列車の箱枠にしがみついてきます。
 将校は「離れないと、指を切り落とすぞ」と軍刀をかざし、私たちに「その手を振り払え」と叫びます。僕は最後尾の貨車だったので、彼らの手の指1本1本をもぎとるようにはがしていきました。
 その指を離せば彼らはそこで餓死するか、歩いて疲れ死ぬか、中国人の暴動で死ぬかです。指をはがしたのは僕たちの意思というより、兵隊の意思でです。逆らえば、僕たちも殺される。見殺しという言葉がありますが、見殺しに加担したことが僕の幼年期の第一の罪の意識です。はがされる人の指の感触も、顔も覚えています。
 満州で敗戦を迎えた私たちは3度にわたり、国家から見捨てられたわけです。一度目は、関東軍によって棄民されます。二度目は、「居留民はできるかぎり現地に定着せしめる」という外務省からの訓電です。そして三度目は、引き揚げ政策のGHQ(連合国軍総司令部)への丸投げでした。
 −引き揚げ船に乗ったのは翌年ですね。
 そこでも大人たちの姿に幻滅しました。満州でソ連兵の女狩りに協力した避難民へのリンチ劇…。夜には大人の男女がもぞもぞと重なり合い、うめき声をあげる。
 少年心にも、生きていてもしょうがないと。夜の暗い甲板から姉と一緒に死のうとした時、船員さんに止められます。『リンゴの唄』を聞かされ、「君たち、死んではいけない。今、日本では皆この歌を聞きながら、焼け跡から立ち上がろうとしているんだ」と。
 僕は、なぜ平気でこんな明るい歌が歌えるんだろう、と思いました。僕らは玄界灘の真っ暗な海の上をさまよい、まだ戦争は終わっていない。なのに日本人はもう新しい出発をしている。悲しくて。僕にはとても残酷な歌でした。
 中国残留孤児が日本人の生活を見たらどう思うでしょうか。自分たちの戦争はまだ終わっていない。国にも帰れない。やっと訪れたら、自分たちのことなんて忘れて、裕福に生活している。ものすごい悲しい状況でしょう。日本人の得意技ですが、過去を忘れるのが早すぎないでしょうか。私たちはいまだにそうした『リンゴの唄』を歌い続けているわけですよ。
 今年の7月の終わりごろ、生まれ育った旧満州を訪れました。帰国の拠点だった葫蘆(ころ)島には当時の駅舎や鉄道のレールが保存されていました。当時がよみがえり、たまらない気持ちになりました。
◆憲法は最高の芸術
 −日本国憲法を「芸術作品だ」と表現されていますね。
 地獄の底でも落ちる深さが深いほど、跳躍する高さは高くなるでしょう。あの戦争でアジア全体で2000万人以上が亡くなった。大変な犠牲を払い、ついに手に入れた最高の憲法ですよ。
 米国の押しつけだとか言いますね。けれど、これは戦後日本の再出発の宣言書なんです。世界に向けた宣言書。各国が認めて、反対しませんでした。世界が希望する国の形を与えてくれたとも、われわれが選んだとも言えます。大きな歴史のうねりの中で生まれた。本当に奇跡的な、最高の芸術作品だと思います。
 その憲法のもとでとにかく戦争しないで70数年やってきました。一体これの何が不都合なのでしょうか。国民は誰ひとり戦争が起きて幸福にはならないのに、なぜ政治家のまねをして改憲に賛成しなきゃならないのか。政治家とつるんで金もうけでもたくらんでいるのでしょうか。
 「美しい日本」「取り戻す」。そうした抽象的な言葉で何に回帰したいのでしょうか。日本の理想はまだ実現されていません。この憲法の名の下にこれから実現するべきなのです。なのにその努力を怠り、反省すべきを反省せず、戦前の軍国主義を勘違いして、そこに「美」を求めるのはとんでもない反動です。
 昭和20年までの軍国主義によってどれだけの人を悲しませ、苦しませ、犠牲にしたか。そして愚かな戦争によってどれだけの若者たちが無駄死にし、犬死にし、飢え死にしたでしょうか。そして、中国人や韓国人に対してどれだけの過ちをしたか。そうしたことを本当はもっと国民に知らせるべきなんです。
 それなのに若者はそれを知らないし、今、それを言おうとすると大変です。小泉政権のころから「日本は悪くなかった」という国民意識の改革のようなものが始まり、そうした洗脳が10年近くかけて実を結んできたわけです。国民意識の変化は怖いですよ。
 自民党は改憲を言うとき、「対案を出してくれ」と求めます。それには各党が「反対なんだから対案なんて出す必要はない」と言えばおしまいなんです。もともと改正の必要がないわけだから。そうすれば国民の目も覚めますよ。
 自民党の改憲草案は、発想が国家ありき。憲法は国民ありき、個人ありきなのに、逆転の発想がしたくてしょうがないようです。棄民思想をずっと日本はやってきたわけですが、少しも進歩していません。
◆個人が抹殺される
 −現代の「棄民」についてどうお考えですか。
 福島の原発事故が起きて、当時は民主党政権でしたが、あのときの情報を開示しない状況から思い付いたのは「棄民」でした。今も事故によって故郷を追われ、避難民生活を余儀なくされている。
 戦前、国策で満州へどんどん人を入植させました。戦争でやばくなったら、さあ帰ってらっしゃいというのが普通の国家です。今は除染されたから帰れ、帰らないと補助金はあげられないなんて棄民を絵に描いたようなものです。
 国という一つの組織となると、人格を失うというか。まさに戦争とは非常事態宣言です。個人がいかに抹殺されても国家の正義だというものが論理の上では成り立つわけですから。それでは個人がたまったものではない。犠牲になるのはすべて個人です。そう経験した人たちがだんだん減り、戦争を知らない人たちが戦争を云々(うんぬん)しているのは危険だなと思いますね。
 
「憲法は最高の芸術」とは作家で作詞家ならではの表現である。
 
「戦後生まれ」が総人口の80%を超えており、もちろん安倍内閣の閣僚連中も全員、「戦後生まれ」である。
 
だからと言って戦前・戦中のことは知らないという言い訳は許されず、しっかりと歴史から学ばなければならない。
 
「改憲」しか念頭にない安倍晋三には、一生かかっても芸術としての憲法を理解することができないだろう、とオジサンは思う

posted by 定年オジサン at 12:38| 神奈川 ☁| Comment(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月02日

疑惑解明は進まないが、戦前回帰にはまっしぐらの安倍政権

先月末に開花した桜が異例の寒さで震えていたが月が替わり徐々に気温が上昇してきたので、今週末は満開の桜が期待されそうである。
 
国会では、日本会議に連なる輩同士の仲間割れの様相になってきた森友学園疑惑も、小出しに出てくる籠池サイドの情報を残念ながら野党側がうまく利用できず腰が引けてきた感じである。
 
本来ならば次年度予算案を人質にして審議をストップするほどの構えで、財務省の「忖度役人」や自分の肩書を使って自由奔放に振る舞っている安倍昭恵らの証人喚問を要求するべきであった。
 
それがなぜかあっさりと予算案を通過させてしまったので、政府を追い詰めるカードがなくなってしまい、安倍政権のメディア操作により、森友学園疑惑は、籠池前理事長の逮捕によって強引に幕引きされる可能性も出てきた。 
  
そして先月末から昨日にかけて、政府側の不穏な動きが露骨になってきている。
 
中学武道に銃剣道を追加 体育で「異性への関心」は残る
 
こんな記事を見て、「なんでこの時代に銃剣道?」という気持ちになった国民も少なくはなかった。
 
こんな動画を見て、かなり前から銃剣道の大会が行われていたことをオジサンも初めて知った。 
 
【第23回全日本銃剣道選手権大会 準決勝&決勝 ダイジェスト】

 
これに対しては、連日、反対の異を唱えていた人が精力的にツイッターを飛ばしていた。


そもそも「銃剣道」は、接近戦(白兵戦)において相手を銃剣で相手を突き刺して倒す格闘術「銃剣術」から生まれた競技であり、「銃剣」とは、小銃(ライフル銃)の先端に装着する短剣で、鋭い刃を持つもの、先端が尖っているものなどがある。
 
こんな競技をやっている人たちは9割が自衛隊員ということは、中学生のころから銃剣道に親しんでもらい、将来は立派な自衛官になってもらいたいという政権側の思惑が透いて見える。
 
なぜ「銃剣道」が新学習指導要領に加わったのかの答えは、中央教育審議会(中教審)による学習指導要領改訂に関する答申にある。
 
2016年12月に出された、中教審の「学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」では、中学の保健体育について「グローバル化する社会の中で、我が国固有の伝統と文化への理解を深める観点から、日本固有の武道の考え方に触れることができるよう、内容等について一層の改善を図る」としていることから、銃剣道が加わったらしい。 
 
もっとも中学生からでは遅すぎるとばかりに、幼児期からと「保育所で『国旗国歌』 運営指針決定 委員『議論一切なかった』」ということなのか。
 
「国旗国歌」は文科省が積極的に、現実には強制的に推し進め、公立学校では行事の際の日の丸の掲揚と式の初めの君が代斉唱は当たり前になっており、厚労省管轄の保育所でも「国旗国歌」を、と官邸から言われる前に忖度した結果の決定であろう。
 
まさに幼児、園児、中学生と着々と「軍国少年」作りが進んでいるようである。  
 
そして極めつけがこの動きである。 
 
<最近話題の「教育勅語」肯定論は… 歴史修正主義と表裏一体>
 毎日新聞 2017年3月28日 東京夕刊 
  国民の代表たる国会が戦後に否定した127年前の文書について、閣僚が「取り戻そう」と叫ぶ平成ニッポンである。文書とは、森友学園問題で注目された「教育勅語」。稲田朋美防衛相をはじめ、安倍晋三政権の周辺には肯定論を唱える人が多い。彼らの主張は正しいのか?【吉井理記】
「皇国史観」と「国家への服従」思想 明治期、「古くて偏向」と改定の動き 戦時期には「玉砕」を助長
 まず教育勅語を読んでみよう。戦前・戦中は小学校令などでは勅語の写し(謄本)に最敬礼するのが義務だったが、今は平成の世である。落ち着いて読んでほしい。
 教育勅語は、1890年に明治天皇が国民に与えた。戦前教育のベースとされたが、敗戦後の1948年に「主権在君や神話的国体観に基づき、基本的人権を損なう」などとして、戦後の選挙で国民が選んだ衆参両院の議員が議論し、排除・失効を決議した。
 その教育勅語、森友学園の人々だけでなく、稲田氏も「教育勅語の核は取り戻すべきだ」(3月8日、参院予算委員会)と評価した。安倍首相自身、排除された経緯に触れながらも「『夫婦は温かい家庭を築き……』など大変素晴らしい理念が書いてある」(2006年6月2日、衆院教育基本法特別委)と褒めているし、閣僚の多くが関わる保守団体「日本会議」の小堀桂一郎副会長は「教育勅語を復活すべきだ」(月刊誌「正論」03年11月号)と訴えるのだ。
 だが、以下の事実を知っても、彼らの認識は「素晴らしい」と思えるだろうか?
 「教育勅語は、明治期ですら政府内で内容が問題視され、改定が議論された。それを今に至って政治家が称賛するとは……」と絶句するのは、日本教育史が専門の日本大教授、小野雅章さんである。
 実際、教育勅語が出た4年後に文相になった西園寺公望は、勅語の価値観を「文明の進歩に少なからず障害を与える。皆さんは注意し、古く偏った考えを打破し、世界の文明に合わせた教育を進め……」(1895年4月、東京高等師範学校での訓示)と批判し、「女子教育を充実させ……外国人に親切に」などと書き込んだ「第2次教育勅語」の草案を書いた。
 驚くことに、明治天皇自身が西園寺の指摘を受け入れ、草案の起草を命じたという。しかし西園寺の病気で実現しなかった(文相参事官を務めた竹越与三郎著「西園寺公」1947年)。
 小野さんが解説する。「西園寺の懸念は勅語にある『皇祖皇宗、国を肇(はじ)むること……』ににじむ皇国史観が『日本は特別な国だ』という内向き思考を招き、国際協調に悪影響を与える、ということです。教育勅語は数年で改定が議論される程度のものでしたが、天皇の権威が確立し、天皇の言葉の改定・撤回はありえない状況になりました」
 では内容はどうか。安倍首相いわく「大変素晴らしい」ものらしいが……。
 調べると、教育勅語が出た翌年、1891年に出版された解説書「勅語衍義(えんぎ)」に行き着いた。勅語の読み方を詳述したものだ。
 ただの解説書ではない。宮内省帝室編修官を務めた渡辺幾治郎の「教育勅語渙発(かんぱつ)の由来」(1935年)などによると、明治天皇の命で時の文相・芳川顕正が哲学者・井上哲次郎に書かせた。私著として出版されたが、明治天皇も「天覧」し、教育勅語が国民に何を求めているかを説明した事実上の「公式教科書」として扱われた。
 何を求めているか。例えば「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」(国家に事変があれば、勇気を奮い一身をささげて皇室国家のために尽くすべし=尋常小学修身書)の項だ。
 「(臣民は)ただただ徴兵の発令に従いて己の義務を尽くすを要す……真正の男子にありては、国家のために死するより愉快なることなかるべきなり」。もう、訳する必要もあるまい。
 「爾(なんじ)臣民父母に孝に」の項は「一国は一家を広げたもので、君主が臣民に命じることは一家の父母が子らに言いつけることと同じだ」、「以(もっ)て天壌無窮(てんじょうむきゅう)の皇運を扶翼(ふよく)すべし」(かくして天地とともにきわまりなき皇位のご盛運を助け奉るべきなり=同)も「臣民は君主の意を体し、逆らってはならない。服従は臣民の美徳である」など、あらゆる場面で「天皇主権」が強調される。明治政府が勅語を通じて国民に求めたものを、現代ではどう感じるか。
 政治思想史に詳しい放送大教授の原武史さんは「現憲法の国民主権、基本的人権の尊重と正反対の内容です。『良いことも書いてある』と評価する人は、一体どういう読み方をしているのか」とあきれるのだ。
 なぜなら「父母に孝に……」などの「徳目」が並ぶ一文は「以て天壌無窮の……」で結ばれる。「つまり『良いこと』のように並ぶ徳目は、すべて皇室を支えるために臣民に課す、という位置づけです。戦前の小学校でも、これが教育勅語の核と教えられた。一部を切り出し、全体を評価することはできません」と解説する。
 元文部科学相の下村博文氏も14年4月に「内容はまっとうだが、昭和期に誤った使われ方をした」と述べたが、原さんは「確かに小学校で暗唱が課されたが、昭和期に語句が変わったわけではない。最初から問題のある思想を内包していた」と両断した。
 憲法学の専門家の意見を聞いてみたい。早稲田大教授の水島朝穂さんだ。普段は温厚なのに本気で怒っていた。
 「戦前は学校の『奉安殿』に教育勅語の写しと天皇、皇后の写真が保管された。文部省学校防空指針では人命より重視され、空襲時に持ち出そうとして焼け死ぬ校長も相次いだのです。子供も勅語で『皇室国家に命をささげよ』と教えられ、兵士となって戦場では降伏せずに玉砕した。その勅語の称賛は、不見識を越えて不届き至極です」
 現憲法の精神に反する教育勅語をたたえる国会議員は、公務員に課された憲法尊重擁護義務から見ても不適格だ、と怒りが収まらない。
 「歴史修正主義者は、枝葉を否定して全体をも否定しようとします。日本でも戦前・戦中の歴史で同じような議論がありますね。逆に教育勅語では、枝葉を肯定することで全体をも肯定する。勅語肯定論と歴史修正主義は裏表の関係なのかもしれません」
 前出の原さんはこんな危惧を抱く。「来年は『明治維新150年』です。明治天皇の言葉である教育勅語を再評価する可能性もある。結局、私たちが歴史を見る目を養うほかはないんです」
 個人の考えは自由である。だが閣僚や国会議員の歴史観や思想は注視すべきだろう。教育勅語が人々を縛った時代の再来を防ぐためにも。
教育勅語(現代仮名遣い)
朕(ちん)惟(おも)うに我が皇祖皇宗、国を肇(はじ)むること宏遠(こうえん)に、徳を樹(た)つること深厚なり。我が臣民克(よ)く忠に克く孝に、億兆心を一にして、世世(よよ)その美を済(な)せるは、これ我が国体の精華(せいか)にして教育の淵源(えんげん)また実にここに存す。爾(なんじ)臣民父母に孝に、兄弟に友に、夫婦相和(あいわ)し、朋友(ほうゆう)相信じ、恭倹(きょうけん)己を持し、博愛衆に及ぼし、学を修め業を習い、以(もっ)て智能を啓発し、徳器を成就し、進んで公益を広め、世務(せいむ)を開き、常に国憲を重んじ国法に遵(したが)い、一旦(いったん)緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮(てんじょうむきゅう)の皇運を扶翼(ふよく)すべし。かくのごときは、独り朕が忠良の臣民たるのみならず、また以て爾祖先の遺風を顕彰するに足らん。この道は実に我が皇祖皇宗の遺訓にして、子孫臣民の倶(とも)に遵守(じゅんしゅ)すべき所、これを古今に通じて謬(あやま)らず、これを中外に施して悖(もと)らず、朕爾臣民と倶に拳拳服膺(けんけんふくよう)して咸(みな)その徳を一にせんことを庶幾(こいねが)う。
 
そして、遂に歴史修正主義者たちにより、教育勅語そのものが復活するかも知れないところまで来てしまった。
  
<教材に教育勅語、否定せず 政府答弁書「憲法に反しない形で」>
 2017年4月1日05時00分 朝日新聞DIGITAL
 安倍内閣は31日、戦前・戦中に道徳や教育の基本方針とされた教育勅語(ちょくご)について、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定した。だが、教育勅語は、過去に国会で排除・失効決議が出ており、答弁書との整合性や、教育現場でどのように使われるのかが問題になりそうだ。
 民進党の初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えた。教育勅語は、明治天皇が1890年に国民に授ける形で示した「教え」。両親への孝行など一般的な道徳を表す項目がある一方、国民は君主に支配される「臣民」とされ、国に「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家のためにつくせ」(旧文部省図書局の通釈)とも書かれている。
 だが、戦後の1948年、国会が「主権在君並びに神話的国体観に基づいている」ことから、「基本的人権を損」なうなどとして教育勅語の排除・失効の確認を決議。森戸辰男文部相(当時)は同年6月の衆院本会議で「教育上の指導原理たる性格を否定してきた」とし、憲法や教育基本法などの制定で「法制上明確にされた」と答弁した。
 今回の答弁書でも「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」は「不適切」としている。松野博一文部科学相はこれまでの記者会見で、憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば「教材として用いることは問題としない」と発言していた。
 一方、第1次安倍政権時の2006年の国会で、伊吹文明文科相(当時)は「戦中の教育に対する反省などから、天皇陛下のお言葉を基本に戦後の教育を作ることは、そぐわないということになり、教育基本法が作られ、衆参両院の議決によって教育勅語は実質的に廃止されたと理解している」と述べている。
 教育勅語は、学校法人「森友学園」が運営する幼稚園で園児が暗唱していたことが報道などで取り上げられ、国会でも閣僚の認識が論点になった。(水沢健一)
 ■使われ方懸念
 島薗進・上智大教授(日本宗教史)の話 問題は「教育の唯一の根本」かどうかではない。臣民である国民に天皇の命ずる教えに従うことを強いたことが問題。権威に従う態度を強い、神聖な天皇に命を捧げるということまで含む。個々人の命が軽んじられた歴史を学ぶためなら必要かもしれないが、教育現場で一方的に教え込む権威主義的な使い方をされかねない。日本の未来に関わる判断であり、時の政府の都合で閣議決定などすべきものではない
 
オジサンの息子の1歳になる娘は、母親が3月から総合病院の看護師として勤務し始めたので、病院内の託児所に日中は預けられている。
 
しかし3歳になれば近隣の幼稚園に通うことになる。
 
その時に森友学園傘下の塚本幼稚園児のように「教育勅語」を暗唱させられることがない、と果たして言い切れるのか。
 
今の安倍政権をこのまま放置すれば、ますます戦前回帰が進み、そんな悪夢を絶対に孫たちには見させてはならない、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 11:57| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 反戦平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする