2016年12月22日

尽きない破綻サイクルの夢

「今回の安倍晋三の交渉は未来に禍根を残す致命的な失敗であり、国賊の誹りを免れないほどのものであるにも関わらず、自称保守側からは徹底批判がない。」と、自称保守の漫画家が「『お花畑』の国賊政権を糾弾する」と自ブログで、先の日露首脳会談の顛末を徹底批判していた。
 
少々品を欠く表現もあるが、正鵠を突いた内容である。
 
「紛争」を「衝突」と強弁している最近の安倍政権お得意の「言葉のすり替え」を痛烈に皮肉ったツイッターが飛んでいた。

その元凶の安倍晋三の嘘の数々は、いつも引き合いに出されるこの画像が物語っている。
 
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さらに安倍晋三率いる内閣の実態は、めったにテレビではお目にかかれないのだが、この人は明らかにしていた。
 
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さて、「3人寄れば文殊の知恵」の文殊とは知恵をつかさどる菩薩の1人なのだが、わが国の「もんじゅ」は知恵もなければ役立たずの最悪の「金食い虫」であった。
 
1日当たり40億円も費やしながらの廃炉となった。 
 
<もんじゅ廃炉決定 税金1兆円投入、稼働250日>
 2016年12月22日 朝刊 東京新聞
20161222monjyuzenkei.jpg ◆核燃サイクル 失敗認めず維持
 政府は21日、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を廃炉にし、より実用炉に近い「高速実証炉」の開発に着手する方針を決めた。発電に使った以上の核燃料を生み出す「夢の原子炉」と言われたもんじゅは国民の税金を1兆円も投じながら、稼働日数250日で退場する。しかし政府は使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」事業は続ける方針だ。 (吉田通夫)
 政府はもんじゅを核燃サイクルの中核に位置付けてきた。1994年に稼働させたが、爆発しやすいナトリウム漏れ事故が発生。その後もトラブル続きで、ほとんど稼働しなかった。
 2012年には機器の大量の点検漏れが発覚。原子力規制委員会は昨年、運営主体を文部科学省所管の「日本原子力研究開発機構(原子力機構)」から代えるよう求めたが、見つからなかった。また、再稼働には8年間で5400億円以上かかるとの見通しから廃炉を決定した。松野博一文部科学相は「一定の成果はあった」と失敗を認めなかったが、「フル出力での運転はできなかった」として議員歳費とは別に受け取る5カ月分の大臣給与と、賞与の計66万円を自主返納する考えを示した。原子力機構の児玉敏雄理事長も給与の10%の6カ月分の約66万円を返上する。
 政府は一方で使用済み核燃料から出る「高レベル放射性廃棄物(核のごみ)」を減らすためにも、「高速炉開発を推進することが重要だ」(菅義偉官房長官)と強調。仏政府が計画する高速炉「ASTRID(アストリッド)」に資金を拠出するなどして続け、原型炉の次の段階の「実証炉」の建設を目指す。開発の工程表を18年中に作る。
 政府は廃炉には30年で少なくとも3750億円かかると試算。22年までに使用済み核燃料を取り出し、解体作業に入る工程を示した。だが、福井県の西川一誠知事は原子力機構が廃炉作業を担うことに「極めて不安」と反発している。政府は福井県と継続的に協議する場をつくり、説得を続ける。
<もんじゅ> プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使い、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉。実用化までの4段階のうち2段階目の原型炉で出力は28万キロワット。政府は使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」の中核の一つに位置付けていた。
<核燃料サイクル> 原発で燃やした使用済み燃料から再処理工場でプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜてMOX(モックス)燃料に加工し、通常の原発や高速炉で使う構想。青森県六ケ所村に巨費を投じ、再処理工場とMOX燃料工場が建設されているが、いずれも未完成。高速炉開発も、原型炉の「もんじゅ」の段階でつまずき、ウラン資源のリサイクルは行き詰まっている。本紙の調べで、核燃料サイクルには、少なくとも計12兆円が費やされてきたことが判明している。
 
正確には、36年間で1兆410億円の国費を投じてきたのだが、さらに今後は30年間で3750億円かかるという試算も当てにならない。
 
いままで旨い汁を吸い続けてきた「原子力ムラ」の連中は30年後には恐らく生存者は皆無なので、一体だれが責任を持って見届けるのだろうか。
 
それにしても、立場上の責任者である松野博一文部科学相と原子力機構の児玉敏雄理事長が揃って僅か「66万円」で国民にケジメをつけるとは余りにも国民を舐め切っているのだが、同じ思いの人がいた。
 


やはり正直に「税金をドブに捨てる21世紀の大バカ公共事業」というべきである。 
 
「週刊現代」2016年12月24日号では、大手紙が書けない内容をレポートしていた。 
 
<国民負担、総額4兆円!「第2もんじゅ」のずさんな計画書スッパ抜く>
 2016.12.19 週刊現代
「ムラの5人衆」が集結
「(もんじゅは)まだ廃炉が決まったわけではないですよね。将来を考えたら続けるべきだと思いますよ。批判はありますけど、エネルギー資源の乏しい日本にとっては、将来的に絶対に役に立つはずですから」
自宅前での本誌記者の問いかけにこう答えたのは、児玉敏雄・日本原子力研究開発機構理事長。高速増殖炉「もんじゅ」の運営方針を、たった5人で決める政府の「高速炉開発会議」メンバーで、三菱重工副社長まで務めた人物である。原子力ムラの「ドン」のひとりだ。
実用化のめどが立たない「もんじゅ」のような高速増殖炉の開発は、米国や英国では断念されている。それなのに彼らは、まだ巨額の税金をつぎ込むつもりなのだ。児玉氏は事もなげにこう続けた。
「これだけデカいプロジェクトですから。そりゃ(実用化の)可能性はありますよ。時間とお金の問題。『もんじゅ』再稼働にはあと8年かかる。さらにその後8年間、(本格的に)稼働させる。毎年200億円はかかります」
「年間200億円の税金など安いもの」とでも言いたげである。
「もんじゅ」は、純白の外壁に似合わぬ「税金のブラックホール」だ。これまでに費やされた血税は、総額1兆2000億円。国民の猛批判に屈し、ついに今年9月、「廃炉の方針が政府内で決定した」と報じられたはずだった。
にもかかわらず、10月から3回にわたり行われた先述の「高速炉開発会議」では、延命策を書き連ねた「計画書」が、所管官庁の文部科学省によって示された。そしていつの間にか、「もんじゅの延命」「次世代の高速増殖炉=第2もんじゅの開発」という方針が既定路線とされたのだ。「廃炉決定」の報道は何だったのか。
本誌が入手した、「高速炉開発会議」と「計画書」のずさんすぎる内容を見てゆこう。
世耕弘成経済産業大臣が主宰する「高速炉開発会議」は、松野博一文部科学大臣、原研理事長の児玉氏、電気事業連合会(電事連)会長で中部電力社長の勝野哲氏、三菱重工現社長の宮永俊一氏の計5人からなる。原子力ムラを代表する、錚々たるメンツが集う場だが、その選定基準は不透明だ。
「『もんじゅ』は本来経産省ではなく文科省の案件ですが、原子力規制委員会から文科省が『ダメ出し』されたこともあって、世耕さんはかなりやる気になっている。今回の会議のメンバーもトップダウンで決めています」(経産省関係者)
第1回会議では、その「ドン」たちが次々にこんな前口上を述べた。
〈(「もんじゅ」は)投資に見合う価値があると考えております。もんじゅ研究計画に示された残されたミッションを遂行することは我々の使命〉(児玉氏)
〈(高速増殖炉は)重要な国家基幹技術であり、国際競争も激しくなる中で、我が国として必ず保持し続けるべき大事な基幹技術体系だと思っております〉(宮永氏)
いきなり「もんじゅは大事」「絶対に潰すわけにはいかない」という礼賛から始まるのだから、開いた口がふさがらない。
利権がありすぎて潰せない
さっそく議題は「もんじゅ」を維持した場合の莫大なコストの予測へ移る。司会の世耕氏に促され、文科省研究開発局長が言う。
〈大きなコストといたしましては、まず最初の運転保守・維持管理のための経費がございます。これは、今現在、毎年約200億円程度かかっておりますが、再開までの期間と運転期間合わせた16年で約3200億が必要〉
〈工事費につきましては、現在1300億円を見込んでおります。(中略)人件費及び「もんじゅ」の固定資産税等がかかりますので(中略)運転終了までの16年間で5400億円プラスアルファの費用がかかる〉
このとき配られた文科省の資料には、さも当然のように「『もんじゅ』は平成36年(2024年)までに運転を再開、その後平成44年(2032年)まで出力100%で運転を続ける」と、年表形式で記されている。
「原子力ムラのドン」たちは、このメチャクチャな計画にも違和感を抱かなかったかもしれない。しかし国民からすれば、「ちょっと待った」と言いたくなる。原研の元上席研究主幹で、「もんじゅ」での勤務経験もある技術者の田辺文也氏が言う。
「『もんじゅ』は30年以上の歴史をもつ巨大プロジェクトです。三菱重工などの基幹企業、地元業者など多くの権益が複雑に絡み合って、簡単には変えられない。国民の生命や財産を左右するプロジェクトなのに、そもそも『見直す』という選択肢がないし、国民の声を聞く気もないのです」
建造から30年あまりの間に、「もんじゅ」はたった883時間―つまり1ヵ月ほどしか発電していない究極の「ムダ飯食い」である。高速増殖炉の開発を続ければ、巨額の赤字が今後も膨らんでゆくのは確実だ。
今回の「高速炉開発会議」でも、文科省の担当者は今後の売り上げ見込みについて〈売電収入は約270億円〉とさりげなく触れている。5400億円以上かけて、たったの270億円しか儲からないというのだ。しかし、誰一人「おかしい」と声を上げる者はいなかった。
人が死んでも無反省
この後、議論は「もんじゅ」の後継となる原子炉、名前もまだ決まっていない「第2もんじゅ」とも言うべき巨大事業の話題へ進んでゆく。
11月30日に開かれた第3回会議の「検討課題」には、〈今後の実証炉開発を進めるに当たって〉とある。「もんじゅ」は、まだ実用化前の「原型炉」。その次の段階、つまり実際の発電に使える「実証炉」を作る―これが、いつの間にか既定路線とされているのだ。
この時、意気揚々とプレゼンしたのは、「もんじゅ」建造の際にも中心となった三菱重工である。同社の担当者が使った資料にはこうある。
〈「もんじゅ」の炉心設計や安全評価等のエンジニアリングや、主要機器の設計、製作、現地工事、保守などを分担させていただき、その各段階における高速炉開発最先端設計技術や人材を蓄積させていただいて参りました〉
〈蓄積された高速炉開発技術を有効に活用し中核メーカとして高速炉の開発に取組んで参りたいと考えております〉
延べ1ヵ月しか稼働せず、たびたび冷却材のナトリウム漏れ事故を起こし、東日本大震災直前の'10年には3・3トンの中継装置が炉内に落下、担当課長が自殺を遂げた―
そんな「もんじゅ」の過去を省みないだけでなく、あろうことか「第2もんじゅ」の開発に突き進む。信じられないことに、これが国民の目の届かぬ密室で、たった5人の会議で決まったのである。
これまで「もんじゅ」にかかった1兆円超のコストに、最終的な廃炉費用は含まれない。一説にはおよそ4000億円かかると言われるが、これから作るという実証炉が「もんじゅ」同様役立たずなら、同額以上のコストがかかるのは必至。ムダ遣いされる税金は、総額4兆円は下らない。
超党派議員連盟「原発ゼロの会」メンバーの、自民党衆院議員・秋本真利氏が言う。
「以前、経産省の役人が予算の説明に来た際、稼働するめどが立たない高速増殖炉の予算を上げてくるので、私は『いつ動くか分からないのに、何で今年予算がいるの?』と聞きました。すると彼らは『いやいや、3年後には動いてることになってますから』と言って聞かない。
高速増殖炉には電力会社もカネを出していますから、開発を止めて資産をゴミにするわけにはいかない。だから誰も止められないんです」
どうしても動かしたい人たちに、もはや論理は通用しない。新聞やテレビが決して報じない実態を、国民はまず知って、怒りを表明するべきだろう。
 
前述した「66万円」でケジメをつけたつもりでいた児玉敏雄・日本原子力研究開発機構理事長の発言が凄まじい。
 
「これだけデカいプロジェクトですから。そりゃ(実用化の)可能性はありますよ。時間とお金の問題。『もんじゅ』再稼働にはあと8年かかる。さらにその後8年間、(本格的に)稼働させる。毎年200億円はかかります」
「もんじゅは投資に見合う価値があると考えております。もんじゅ研究計画に示された残されたミッションを遂行することは我々の使命」
 
これが原子力ムラを代表する本音なのであろう。
 
あらためて原子力政策による国民へのしわ寄せはまさに青天井であることを図示しておく。
 
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【東京新聞より】

 
「新聞やテレビが決して報じない実態を、国民はまず知って、怒りを表明するべき」なのだろうが、その怒りを表明する機会や手段である「マスメディア」が全く機能していないことが最大の問題なのかもしれない、とオジサンは思う。    

posted by 定年オジサン at 12:27| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月01日

師走になって走り出すのは安倍政権の暴走

「師走」に入り、月めくりのカレンダーが最後の1枚になった。
 
本来ならば昨日で閉会となるはずだった臨時国会が2週間延長された。
 
その最終日となるはずだったのが延長された理由の一つが、「カジノ法案あす採決方針 自民、今国会成立狙う 衆院委」だったのか。
 
なんでも30日、衆院内閣委員会で審議入りし自民党は同日、連立を組む公明党に対し、12月2日に委員会で採決したうえで、6日に衆院を通過させる方針を示したという。
 
あれほど反対の声が大きかったトンデモ法案が、芸能人の覚醒剤使用問題でメディアが騒いでいる間に、国会で短期間で成立させようとしている。
 
どうやら、年内に急いで成立させる裏には早くも日米間の「密約」があったのかもしれない。
 
<法案審議入り 安倍政権“カジノ解禁”でトランプにゴマすり>
 2016年12月1日 日刊ゲンダイ
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日米関係をカジノに託す?(C)AP

 臨時国会が12月14日まで延長されるのに伴い、「カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案(カジノ法案)」が30日の衆院内閣委員会で審議入りした。
 通常、委員会への付託は与野党合意が原則なのに、民進と共産の反対を振り切っての“強行付託”である。採決だけでは飽き足りず審議入りまで強行とは、政府与党も「そこまでやるか」なのだが、スピード審議して今国会での成立まで視野に入れているというからびっくりだ。
「カジノ法案の早期成立は、トランプ大統領就任後の良好な日米関係に“有効”なのですよ」(カジノ議連事情通)
 一体、どういうことなのか。
米大統領選挙でトランプ氏の大スポンサーだったのが、世界一のカジノ王である米ラスベガス・サンズのアデルソン会長です。トランプ氏の政治資金団体に約27億円を寄付しています。そのアデルソン会長が日本進出を熱望している。日本でカジノがやれるようになれば、アデルソン会長が喜び、トランプ氏にとって大きなメリットになる。トランプ氏も、もともとカジノを経営していたビジネスマンですからね。カジノ第1号は大阪が有力です。大阪府の松井知事が前のめりで、自民党の二階幹事長も、2025年万博とカジノをセットでやるつもりです」(前出の事情通)
確かにアデルソン会長は、「日本でカジノ解禁となれば1兆円規模を投資する」と何度もメディアのインタビューに答えていて、鼻息が荒い。そして、トランプの大統領選勝利後は、50億ドルもの巨額の経費がかかるとされる「大統領就任式典」の運営委員にも名を連ねている。つまりトランプが足を向けて寝られない存在だ。ちなみにこの運営委員には、他に2人のカジノ経営者も加わっている。
 安倍首相はトランプと真っ先に会談したのに、TPP離脱表明でハシゴを外され、赤っ恥をかかされた。しかし、早期にカジノ法案が成立すれば、トランプに恩を売ることができ、挽回できるというわけだ。
「多額の献金を受けた借りがあるとすれば、カジノ業界に精通しているトランプ氏ですから、アデルソン氏に対し、何らかの橋渡しをする可能性は十分あるでしょう。ただ、カジノに素人の日本は、いいカモにされるのがオチでしょうが……」(米国事情に詳しいジャーナリストの堀田佳男氏)
 対米追従の安倍政権、カジノ献上で売国まっしぐらだ。
 
こんなカジノには全く無縁の年金生活者には今後さらに年金がカットされる法案が通り、そして今度は医療費に関しては、高齢者の負担に配慮し保険料を軽減する特例措置を廃止するという。
 
<70歳以上の医療費負担増 厚労省案、上限額段階的に>
 2016年12月1日 06時59分 東京新聞
20161201minaosian.jpg  厚生労働省は30日に開かれた社会保障審議会の部会で、医療保険制度の見直し案を示した。医療費の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」については、2018年8月までに70歳以上の負担上限額を段階的に引き上げる。75歳以上対象の後期高齢者医療制度でも、低所得者などの保険料軽減の特例措置を廃止する方針を示した。同省は与党と調整し年内に決める。実施が決まれば、高齢者に医療費と保険料の両面で負担増を求めることになる。 (中根政人)
 高額療養費制度では、医療費が月額100万円かかったと仮定した場合、70歳以上で年収370万円未満の人の入院時の世帯での負担上限額(月額)を、現在の44000円から58000円に引き上げる。年収370円以上の現役並み所得の人については、年収に応じて新たに3つの区分を設定。負担上限額は現在の87000円から最大25万4000円に引き上げる。
 外来受診時の負担上限額は、年収370万円未満の人は現行の12000円から58000円に引き上げる。現役並み所得の人は44000円から最大25万4000円に引き上げる。
 一方、低所得で住民税が非課税の人の外来受診時の負担上限額も、現行の8000円を10000〜15000円に引き上げる案を盛り込んだ。
 後期高齢者医療制度では、低所得者や元会社員の扶養家族など約916万人の定額部分の保険料を最大9割軽減している特例措置を廃止して、本来の軽減幅に戻す案を提示した。特例措置がなくなった場合、夫婦世帯で妻の年金収入が年80万円以下の場合、夫の年金収入が168万円以下の高齢者の医療保険料の月額は、現在の380〜570円から1130円に値上げされる。
◆75歳以上の特例廃止へ
 厚生労働省がまとめた医療保険制度の見直し案は、高齢者に厳しい負担増となる内容です。 (鈴木穣)
 Q 見直しの理由は。
 A 高齢化による医療費増で政府は費用を削減したいのです。でも、受診を控える人が出ないよう注視が必要です。
 Q たとえば、どんな制度を見直すの。
 A 医療費の負担を軽減する高額療養費制度です。月ごとに決めた自己負担額の上限を超えた費用は、医療保険から支払ってくれます。70歳以上は入院で15000〜約8万円、外来で8000〜約44000円が自己負担の上限。治療を受けて高額な出費を強いられた時の重要な支援策になっています。
 Q どのぐらい負担を重くするの。
 A 70歳未満に比べ、70歳以上の自己負担は低く抑えられています。これを現役並みに引き上げる案で、収入の高い人の負担を増やします。見直し案が示された会合でも、委員から「負担能力に応じた制度に」との意見が出ました。
 Q ほかの負担増は。
 A 75歳になると、全員が「後期高齢者医療制度」に加入します。2008年に制度を始めた際、高齢者の負担に配慮し保険料を軽減する特例措置を導入しました。保険料は収入に比例し額が決まります。もともと軽減措置があるのですが、特例でさらに軽減されています。この特例をなくす案です。
 
10月末に、誤嚥性肺炎で緊急入院した母は、当初は大部屋が満員で個室に入れられ、差額ベッド代が数万円におよび、2週間余りの入院費は総計12万円を超えた。
  
当然、本人の年金だけでは支払いはできないのだが、従来は差額分がいくらか還付されていた。

それが今後、負担上限額が引き上げられれば、還付金額が減額され、自己負担額が増すことになる。
  
口を開けば、「現役世代との公平感」などというが、現役世代の年収を毎年減少させるような経済政策の綻びを繕わずに、高齢者に負担させるという、まさに仕事をしない高齢者は国家のお荷物と言わんばかりの政府の施策である。
 
そんな横柄な政治屋連中は、政治活動に使うべき政治資金を自分たちの飲食に費やしていることが、「政治家 行きつけ20選政治資金特集『支出編』」を覗いてもらえば一目瞭然である。 
 
国民のためになるのなら税金を使っても許されるかもしれないが、省益のために無駄な支出をこれ以上続けさせる事は許されない。  
 
<新高速炉 負担増大も もんじゅ代替 18年に工程>
 2016年12月1日 朝刊 東京新聞
20161201kousokurokaihatu.jpg 政府は30日、廃炉が濃厚な高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)に代わる新たな高速炉を国内で建設するため、今後10年程度で必要になる作業をまとめた工程表を2018年中に示す方針を固めた。1兆円の国費を投じながら、ほとんど稼働していないもんじゅの反省もないまま、さらに天井の見えない負担が国民にのしかかる恐れが出てきた。 (吉田通夫)
 官民合同の30日の「高速炉開発会議」で、今後の開発方針の骨子をまとめた。12月中に関係閣僚会議を開き、もんじゅの廃炉時期と併せて正式に決める。
 高速炉の実用化には(1)実験炉(2)原型炉(3)実証炉−の段階を踏み、実験データを集めて研究を進めねばならない。日本では(2)の原型炉のもんじゅの段階でつまずいたが、政府は仏政府が計画する実証炉「ASTRID(アストリッド)」に資金を出して共同研究したり、(1)の実験炉「常陽」(茨城県、停止中)を活用すれば、(3)の実証炉での研究に進むために必要なデータを集められると判断。国内に新しい実証炉を建設する方向で調整している。
 しかし必要な費用は検証できない状態だ。アストリッドは設計段階で、建設費は固まらず日本の負担額は分からない。常陽も東日本大震災後、耐震など新たな規制基準に合わせる工事をしている途中で、費用は不明。さらに新たな高速炉を建設する場合、構造が複雑なため、建設費が通常の原発より数倍は高いとされる。規模によっては一兆円を超えるとの見方もある。
 会議後、経済産業省原子力政策課の浦上健一朗課長は記者団に「現段階で費用は示せない」と話すにとどめた。もんじゅを所管する文部科学省も、過去の会議では、もんじゅを再稼働する場合と廃炉にする場合の費用試算を示しただけ。それでも政府は、原発で使い終わった核燃料を再利用する「核燃料サイクル」には高速炉が必要だとする従来の考え方を強調し、開発続行の方針を打ち出した。
 原子力政策に詳しい原子力資料情報室の伴英幸(ばんひでゆき)共同代表は「政策の流れを変えられないから費用や反省点を検証せず続けるというのでは、新しい高速炉を造ってもうまくいかないだろう」と話した。
20161201kousokurohiyou.jpg

 
「核燃料サイクルをやめれば、『パンドラの箱』が開いてしまう。高速炉開発を続ける意思を示す計画は、箱を封印する『お札』のようなものだ」と経済産業省幹部は、核燃サイクルと高速炉開発の旗を降ろせない理由を説明する。
 
核燃サイクルは、原子力発電所から出る使用済み燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを燃やす。
 
そして高速炉はプルトニウムを燃やしやすくした原子炉であり、高速炉開発をやめれば、使用済み燃料は「ゴミ」となり、青森県六ケ所村の施設で保管する理由がなくなる。
 
政府が高速炉にこだわる理由のもう一つは、日本が保有する48トンのプルトニウム(原爆約6千発分)が、核兵器の原料にもなり、使う見込みなく持ち続ければ、国際社会から核武装の懸念が出る恐れがあるからである。
 
原発の開発は、実験炉から原型炉、実証炉を経て実用化を目指すのだが、それは開発の常道であろう。
 
一般の製品開発ならば、まずはプロトタイプを作り、さまざまな実験を繰り返して製品化に進む。
 
原型炉である「もんじゅ」でつまづき反省もないまま、今後10年程度で実証炉の基本的設計思想を固めるとする。
 
珍しく、朝日新聞は社説で真正面から怒り、批判していた。
  
<もんじゅ後継 無責任さにあきれる>
2016年12月1日 朝日新聞DIGITAL
 利害関係者だけが集まり、密室で不合理な政策を決めていく。手痛い失敗の検証や反省がないまま、成否が見通せない巨額のプロジェクトに突き進む。
 政府はきのう、非公開の会議で、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の後継となる高速実証炉の開発を国内で進める方針を示した。
 無責任さに驚き、あきれる。
 1兆円超を投じたもんじゅは、1994年の初臨界からの20年余で、わずか220日ほどしか動いていない。扱いの難しい冷却用ナトリウムを漏らすなど、事故を起こしたからだ。
 開発の最初の段階にあたる実験炉「常陽」の稼働実績はもんじゅの十数倍、約3千日だ。技術開発は、段階が進むとまさに段違いに難しくなる。
 政府が目指す高速炉は、もんじゅのように炉内で燃料のプルトニウムを増やしていく増殖機能はないが、原理は同じだ。原型炉さえ満足に動かせなかったのに、安上がりで安全な実証炉を造れるのか。国際協力を踏まえるというが、頼りにする仏「ASTRID(アストリッド)」計画は、仏政府が建設の是非を数年後に決めるという段階だ。
 そもそも、議論の場がおかしい。きのうの会議の参加者は経済産業相や文部科学相、電力会社でつくる電気事業連合会、原子炉メーカーの三菱重工業、もんじゅの運営主体である日本原子力研究開発機構と、もんじゅの関係者ばかり。原子力機構の2人は三菱重工業と文科省の出身で、役所と企業の思惑だけで話を進めていると言っていい。
 なぜ、ここまで高速炉開発にこだわるのか。
 原発で生じた使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを燃料に使う。その核燃料サイクルの中核に位置づけてきたのがもんじゅだ。もんじゅ廃炉の方向性は示したものの、後釜を欠けばサイクルが崩壊し原発推進にも影響しかねない。そんな危機感があるのだろう。
 だが日本は既にプルトニウムを48トン、通常の原爆で6千発分を保有する。高速炉の実用化に具体的な展望がない今、経済性も欠くサイクルへのこだわりは国際的な疑念を招くだけだ。
 原子力行政については、一度決めた政策に固執する硬直性への批判が根強い。それでも福島第一原発事故後は、利害や経緯にとらわれない議論の大切さが広く認識されるようになった。
 政府はいま、過去の教訓に目をつぶり、お手盛りの会議で、疑問だらけの高速炉開発に税金をつぎ込もうとしている。こんな愚行は許されない。
 
経産省の技術官僚たちの多くは、理系の大学出身者で、企業経験などないままに出世しているであろうから、このような現実離れした案を平気で出してくるのではないだろうか。
 
もっとも、「高速炉開発会議」には電力会社でつくる電気事業連合会、原子炉メーカーの三菱重工業、もんじゅの運営主体である日本原子力研究開発機構と、もんじゅの関係者ばかりで、役所と企業の思惑だけで話を進めている。
 
「国策産業」にあっては「民間企業」も平気で破廉恥な判断に加担するというこんな愚行をのさばらしてしまったのは一体、誰の責任なのか、改めて第三者委員会などで検証しなければならないのではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:16| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月22日

いくら注込んでも、何年経っても文殊の知恵には届かなかった

3年前の4月頃、「強引な2・2・2の語呂合わせ」の中で、以下のようにつぶやいたことを思い出した。
 
物価が年々下がり賃金も下がるというデフレスパイラルから脱却したいという安倍晋三首相の強引な人事によって実現したのが、デフレファイターの黒田東彦日銀新総裁。
新たな枠組みによる金融緩和の実施を決定した。デフレ脱却の目標時期について「2年程度の期間で消費者物価上昇率2%を実現する」とした上で、金融市場に供給するお金の規模を2年間で2倍に拡大する。
茂木敏充経済産業相は新たな金融緩和策に対して、2%の物価上昇率目標を2年程度を念頭に早期達成、資金供給量を2年間で2倍、国債保有額・平均残存期間を2倍以上とした一連の金融政策について、「2%、2年、マネタリーベース2倍、そして国債2倍と、ツー・バイ・フォーだ」と表現した。
  
それから2年後に実現したのは、「マネタリーベース2倍、そして国債2倍」程度であり国民の暮らしにはなんら役に立つものではなかった。 
 
それにもかかわらず、日銀は黒田東彦総裁のもとで進めてきた大規模金融緩和策の「総括的な検証」を行い、併せて「新しい枠組み」を発表した。 
 
「新たな枠組み」が失敗したら「新しい枠組み」に言い換えればうまくく行くのだろうか。
 
まるで消費増税を見送った時の安倍晋三首相の「新たな判断」と同じように、色あせたその場しのぎの言葉の遊びとしか思えない。
 
毎日新聞の社説では「黒田日銀の転換 あの約束は何だったか」と題して痛烈に批判していた。
 
・無謀な実験は失敗に終わったということだ。
・日銀自身は、誤りを認めようとしない。黒田総裁は、政策の限界が枠組みの変更をもたらしたとの見方を、記者会見で強く否定した。
・日銀は検証の中で、14年の消費税引き上げの影響や海外の景気の鈍化を挙げているが、政策のプロなら、想定外とは言い訳できないだろう。
・確かに原油価格の激しい下落は、予想の域を超えたものだった。これについて日銀の検証は、米国などに比べ、日本人の将来の物価予想が、現実の物価動向に左右されやすいためだとした。長引いたデフレや、春闘という日本特有の賃上げ交渉が、短期的な物価下落の影響を受けやすくしていると説くが、明らかな言い訳、責任転嫁である。
・将来に重大な問題を残した異次元緩和策の責任は、日銀だけにあるのではない。アベノミクスの第一の矢に頼った政府の責任も問われる。
 
「無謀な実験は失敗に終わった」のは安倍政権が強引に進めた金融政策ではなかった。
 
今年の参院選前には、こんな記事が載っていた。 
 
<(核リポート)「もんじゅ」迷走、抜本的に見直す好機>
 2016年7月1日17時36 朝日新聞DIGITAL
20160922monjyuzenkei_asahi.jpg
存続が揺れる高速増殖原型炉「もんじゅ」

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の存続に向けて、文部科学省が対応策を検討している。管理不備などが相次いだことを受けて、原子力規制委員会が、運営主体の日本原子力研究開発機構を「失格」と判断したからだ。7月10日の参院選までにはっきりした結論を出せば選挙に影響する可能性もあるだけに、関係省庁の動きは静かだったが、選挙後は議論が進むとみられている。
 ■有識者委員「責任ある対応を」
 「役所同士のさやあてみたいなことはご勘弁いただきたい。責任ある対応をしていただきたい。もうちょっと大きい場を設定して、腹を据えてしっかりと軌道修正しなければならない」
 5月下旬に開かれた文科省の有識者会合の最終回。委員から、こんな意見も出された。
 無理もないだろう。もんじゅのあり方を検討する場のはずなのに、有識者会合が昨年12月に設置された当初から、もんじゅの管理・運転体制の問題だけを焦点に議論を重ねてきた。もんじゅの存在意義自体、エネルギー政策の中であいまいになっているにもかかわらず、文科省サイドは核燃料サイクルの議論には踏み込まないという姿勢を崩さなかった。委員にも次第に消化不良気味の雰囲気が漂っていった。
 ことの発端となったのは原子力規制委員会の勧告だった。昨年11月、度重なる検査不備などの問題で、「原子力機構はもんじゅの出力運転を安全に行う主体として必要な資質を有していない」と断じた。そのうえで、文部科学相に対し、次の2点を求めた。
 @「機構に代わってもんじゅの出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体的に特定すること」
 A「もんじゅの出力運転を安全に行う能力を有する者を具体的に特定することが困難であるならば、もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと」
 つまり、原子力機構以外で、適切な管理や運転ができる組織を見つけるか。あるいは、燃料を取り出すなど出力運転できないような措置を取って、研究施設としての性格を見直すか。いずれかを求める内容だった。
 このうち、文科省は@に絞って、有識者会合で議論を進めた。Aでは、「もんじゅ」ではもはや発電しないということを指し、事実上の廃炉になるもので、推進官庁の文科省としては、とても考えられる選択肢ではなかった。
 結局、有識者会合は5月の最終会合で、新組織に求められる要件を列挙するにとどまった。
 職員の意識を向上させたうえで、運転・保守管理や品質管理の能力向上に向けて、外部から人材を招くことや、監督官庁に代わって、組織運営の改善や、安全規制の要求に的確に対応するため、外部の専門家を招いた経営協議体を設置することを決めた。
 この報告書を受けて、文科省は、原子力機構から、もんじゅの運転開発部門を切り離し、新たな組織を設立することも検討しているが、関係者間には「争点にしないため参議院選挙前は何も決まらないだろう」という見方が強かった。
 有識者会合の報告書では、もんじゅで使うようなナトリウム技術は「現状として原子力機構にしか存在しない」とした。現実には、原子力機構の職員を柱にした組織にせざるを得ない。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は「看板の掛け替えは認められない」という姿勢を示している。文科省が新たな組織を提示しても、規制委員会が認められないという反応を示す可能性は高い。
 新たな運営主体が認められなければ、勧告の二番目にある、リスクの減少ということになる。そうなれば、研究開発が再開できるか見通しのないものに、予算がいつまで続けられるのか不透明だ。
 一方で、勧告には法的な強制力はない。文科省が、新たな組織の申請をすれば、規制委は受け取らざるを得なくなる。文科省内にも「審査の中で、どこが悪いのか見てもらいたい」という声もある。泥沼状態が続く可能性もゼロではないだろう。
・・・後略・・・
 
省益を第一に考えるのは文科省に統合される前の「科学技術庁」の残党の面々だとオジサンは思っていた。
 
無駄飯食いの「もんじゅ」の廃炉に関しては積極的な経産省に対して、科学技術庁のDNAが残っている文科省とは、「もんじゅ」に対する思入れに大きな溝が存在するようである。 
 
「日本エネルギー会議」の客員研究員の安方護明氏が寄稿した「科学技術庁のDNAはどこに引き継がれたのか」にはこんなくだりがある。
 
旧科技庁は、事務系のエリート官僚が主流を占める中央官庁の中にあって、理工系出身者の技官が事務次官をはじめとする主要幹部ポストに就く機会のある数少ない官庁であった。それだけに、科学技術の進歩や人材育成に積極的な姿勢を重視する風土が存在していたといっていい。原子力の平和利用を「国策」として推進しようという政治的な機運の高まりを受けて、1956年に誕生した旧科技庁には原子力行政を担う科学的、総合的な役割が期待されていた。科技庁長官は大臣ポストであり、原子力委員会の委員長もつとめていたのである。
ところが、中央省庁再編に伴い、原子力局は内閣府原子力委員会、経済産業省の外局である資源エネルギー庁、文部科学省に所管が分割され、原子力安全局は内閣府・原子力安全委員会事務局、資源エネルギー庁と同じく経産省の外局にあたる原子力安全・保安院、文科省へと所管が移された。あわせて、原子力委員会と原子力安全委員会は内閣府の審議会となり、原子力委員長は大臣ポストではなくなり、日本の原子力行政の中枢を担ってきた旧科技庁が解体の運びとなったのである。  
 
したがって、上記文章によって原子力規制委員会が出した2つの勧告もこんな風に読みとれる。
 
@「機構に代わってもんじゅの出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体的に特定すること」
A「もんじゅの出力運転を安全に行う能力を有する者を具体的に特定することが困難であるならば、もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと」
   
ようするに、理工系出身者の技官が減少したことにより、必然的に「能力を有すると認められる者」が育てられなかったのではないだろうか。  
 
当然ながら、もんじゅの廃炉は既定路線に入ってきた。 
 
<もんじゅ廃炉へ 政府、年内に結論 核燃サイクルは維持>
 2016年9月22日 07時04分 東京新聞
20160922monjyu_tokyou.jpg 政府は21日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について関係閣僚会議を開き、「廃炉を含め抜本的な見直しをする」とした。一方で核燃料サイクルは維持し、新設の「高速炉開発会議」で、年末までに今後の方針を出す。もんじゅにはこれまで国費1兆円以上をつぎこんだ。再稼働には数千億円の追加費用が必要。成果を得られないまま幕引きとなる。
 菅義偉官房長官は閣僚会議で「高速炉開発は、原発の新基準の策定など大きな情勢変化がある。本年中に、高速炉開発会議で、廃炉を含めて抜本的な見直しを行う」と述べた。
 核燃料サイクルは、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、再利用する。プルトニウムを燃やすもんじゅはサイクルの柱だ。もんじゅに代わるものとして、フランスとの共同開発や、実験炉「常陽」(茨城県大洗町、停止中)の再稼働が検討される。
 廃炉も容易ではない。もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構の試算によると、30年の期間と3000億円の費用がかかる。地元の福井県には、松野博一文部科学相が陳謝し、直接出向いて事情を説明した。
 もんじゅは、消費した以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」とされた。半面、危険なナトリウムを冷却材に用いる必要があり、構造も複雑。1994年に本格稼働したものの95年にナトリウム漏れ事故を起こして停止した。その後もトラブルが相次ぎ、稼働日数は250日にとどまる。停止状態でも1日あたり約5000万円の維持費が必要だ。
 原子力規制委員会は昨年11月、約1万点の機器点検漏れなどを受け、所管する文部科学省に新しい運営組織を示すよう勧告した。運営主体は、動力炉・核燃料開発事業団に始まり、すでに2回変更されている。文科省は新しい受け皿を探したが、電力会社は難色を示し、引き受け手はなかった。
◆核燃、既に12兆円 本紙調べ
 高速増殖原型炉「もんじゅ」を中心とした核燃料サイクルには、少なくとも12兆円以上が費やされてきたことが本紙の調べで判明している。施設の維持・運営費で年間約1600億円が新たにかかる。
 本紙は1966年度から2015年度までのもんじゅや再処理工場、取り出したプルトニウムを再利用する混合酸化物(MOX)燃料工場、高レベル廃棄物の管理施設の建設費や運営費、必要になる廃炉・解体費などを積算した。立地自治体への交付金も足しているが、通常の原発向けと判別が難しい場合は、全額を除外している。
 その結果、判明しただけで総額は計約12兆2277億円。主なものでは、もんじゅは関連施設なども含めると約1兆2000億円。青森県六ケ所村にある再処理工場はトラブル続きで稼働していないが、7兆3000億円かかった。
 核燃サイクルのコストを巡っては、電力会社などでつくる電気事業連合会が03年、建設から最終処分までの総額は約19兆円と試算している。
・・・後略・・・

もんじゅでは、主な燃料がプルトニウム。中性子を高速でぶつけ、燃料周囲に置いた「燃えないウラン」をプルトニウムに変える。燃料が増えるので、「高速増殖炉」の名があるが、トラブルも一緒に増えているのも事実である。
 
それでは、なんで「もんじゅに代わるものとして、フランスとの共同開発や、実験炉『常陽』(茨城県大洗町、停止中)の再稼働が検討され」ているのか。 
 
<核燃サイクルの国策やめられない理由 もんじゅ廃炉でも>
 2016年9月21日10時21分 朝日新聞DIGITAL 
20160922kakunencycle_asahi.jpg
 日本のエネルギー政策の根幹は、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出して使う核燃料サイクルだ。もんじゅでプルトニウムを増殖させて使う高速増殖炉のサイクルと、プルトニウムとウランを混合したMOX燃料を原発で使うプルサーマル発電のサイクルの二つがある。
 プルサーマル発電を進める経産省は、もんじゅが廃炉になっても、当面は核燃料サイクルがまわると主張する。
 福島第一原発事故以降、原発の安全性に対する社会の目は厳しい。現在稼働中の原発は3基しかない。再稼働の旗を振る経産省にとって、もんじゅがまたトラブルを起こし、それが原発政策に飛び火するリスクは避けたいのが本音だ。もんじゅにこだわり続ければ、「原発政策全体に悪影響を及ぼしかねない。廃炉はやむを得ない」。経産省の幹部はこう漏らす。
 経産省は、エネルギー政策からもんじゅの「切り離し」を進めてきた。2014年改定のエネルギー基本計画で高速増殖炉の実用化の記載は消された。
 高速増殖炉は使った以上のプルトニウムを生み出す。資源の少ない日本ではエネルギー不足の解消にもなるとして開発が進められてきた。だが、ナトリウムを冷却材に使う技術的なハードルも高く、世界で高速増殖炉のサイクルを実用化した国はない。ウラン燃料を原発で使う方が安い状態が続いている。
 とはいえ、もんじゅを廃炉にすれば、再処理で取り出したプルトニウムの消費先が減る。日本が保有するプルトニウムは国内外で計約48トン。原発を稼働させながら、プルトニウムを確実に消費する新たな「絵図面」が描けなければ、核保有国になろうとしているという懸念を国際社会に与えかねない。
 経産省は、フランスが30年ごろの運転開始を目指す次世代高速炉の実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画に協力することで、高速炉研究の旗は降ろさず核燃料サイクルの枠組みを維持する構想を描く。
■文科省幹部「絵に描いたもちだ」
 もんじゅ無しで核燃料サイクルをまわすという経産省の主張に対し、文科省幹部は「まさに絵にかいたもちだ」と批判する。
 「高速炉がなければプルサーマルでもプルトニウムはたまり続ける。いずれ核燃料サイクル政策、ひいては原子力政策全体が立ちゆかなくなる」
 そもそも、原子力規制委員会の勧告は廃炉を求めていない。文科省の幹部は「存続を前提に作業をしてきたのに、なぜ急に廃炉というのか。廃炉うんぬんの前に国策である高速炉開発をどうするのか、きちんとした議論が必要だ」と憤る。
 文科省は規制委の勧告を受け、現在の日本原子力研究開発機構に代わる運営主体として新法人の設立を内々に省内の案としてまとめた。参議院選挙後に首相官邸の協力を取り付ける予定だったが、首相官邸は首を縦に振らなかった。
 経産省が構想に入れる高速炉アストリッド計画についても異を唱える。アストリッド計画はまだ基本設計段階で、資金ぐりを背景に、詳細設計に入る前に見直しも予定されている。
 文科省幹部は「もんじゅ廃炉後、どうやって核燃料サイクル政策を維持するのか、現実的な案を見せるべきだ」と話す。
 
文科省と経産省の綱引きは容易には終わりそうもないが、はっきり言えるいえることは、26年間もかけて12兆円以上を浪費しても結果が出せず、誰も反省も謝罪もせず、責任を取らないことであり、それだけの予算を社会保障や社会福祉に振り向けていたら、おそらく子供の貧困とか待機児童とか年金とかの問題は、いまほどに深刻になっていなかったに違いない。
 
最も不愉快なことは、「本年中に、高速炉開発会議で、廃炉を含めて抜本的な見直しを行う」という菅義偉官房長官の発言であり、これはひょっとすると、経産省にうまく担がれている軽い神輿の安倍晋三首相に「私がもんじゅの廃炉を決断しました」と言わせ、さらに内閣支持率を向上させ、その勢いで年末総選挙に突入するのではないのだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:20| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月05日

寄って集っても文殊になれなかった ’もんじゅ’

『動燃二十年史』には、「もんじゅ」「ふげん」の由来について、「文殊、普賢の両菩薩は、知慧と慈悲を象徴する菩薩で、獅子と象に乗っている。それは巨獣の強大なパワーもこのように制御され、人類の幸福に役立つのでなければならない」と書かれていた。
 
そして「ふげん」は2003年3月29日に運転を終了ののち廃炉手続きに入っており、日本原子力研究開発機構原子炉廃止措置研究開発センターによる廃炉作業が行われている。
 
この「ふげん」と「もんじゅ」について今朝の東京新聞「筆洗」でこう説明されていた。
 
白象は、普賢菩薩(ふげんぼさつ)をその背に乗せる霊獣だ。しかし英語でホワイト・エレファントといえば「始末に困るもの、金のかかる厄介物」という意味になる▼その昔、タイでは王様が気に入らぬ家来に白い象を与えたという。神聖な生き物でしかも王からの贈り物となれば、いくらエサ代がかさもうが手放すこともできずに、家来は破産に追い込まれる。使い道がないのに維持費がやたらかかるもの。それがホワイト・エレファントである▼普賢菩薩にあやかって命名された日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」は、「開栄丸」という白い象をお持ちだ。この炉から出た使用済みの核燃料を運ぶ船なのだが、ここ6年近く一度も運んでいないのに、59億円が維持などに費やされたという▼さらに大きな白い象は、文殊菩薩から名をいただいた高速増殖原型炉「もんじゅ」だ。こちらは20年前に深刻な事故を起こして以来、ほとんど動いていないのに、年に百数10億円もの維持費がかかる▼しかも、それほどの費用を使いながら、原子力機構はまともに点検すらできない。さすがに原子力規制委員会は、もう機構には任せられないと断を下した▼そもそも10兆円を投じても先が見えぬ核燃料サイクルという事業自体、飛び切り大きなホワイト・エレファントだろう。私たちはいつまで、エサ代を払い続けなくてはならぬのか。
 
どうやら「もんじゅ」に対して「エサ代」を払い続けることは許されない状況になってきた。
  
1995年のナトリウム漏洩事故以来、金食い虫と批判され続けた「高速増殖原型炉もんじゅ」。
 
当時の事故に関しては「もんじゅ事故 シュレッダーで粉々にされていた現場写真」という記事では、当時の「もんじゅ」の幹部らによる隠蔽工作が赤裸々に報告されている。
 
まさに胡散臭い代物なのである。
  
一昨日は「もんじゅ改善『手詰まり』 規制委、機構を聴取 対応批判」という記事がでていたが、さらに事態は進んできた。
 
<もんじゅ廃炉へ現実味 核燃料サイクル計画破綻>
 2015年11月5日 朝刊 東京新聞
20151105monjyucycle.jpg 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉が現実味を帯びてきた。原子力規制委員会は点検漏れ問題で文部科学省に対し、信頼できる運営主体を探すか、安全対策を抜本的に改善するかを勧告する。どちらかを実現しないと、廃炉は避けられない。もんじゅは国が推進してきた核燃料サイクル計画の中核的な存在。なくなれば、10兆円をつぎ込んできた計画は名実ともに破綻する。 (小倉貞俊、榊原智康)
 規制委は4日、現在の運営主体の日本原子力研究開発機構では、停止しているもんじゅの保全管理もできておらず、運転は任せられないとの判断を下した。
 かつて「夢の原子炉」とうたわれたが、20年以上も前に造られ、稼働期間はわずか250日。冷却材に爆発的燃焼の危険性が高いナトリウムを使い、維持費もかさむ。機構は20年前のナトリウム漏れ事故以降、甘い管理体制を改善する機会は何度もあったが一向に進まない。まだ待てというのか−。
 規制委の委員五人は全員一致で、文科省への勧告という重い決断をした。
 核燃サイクルは、一般的な原発系と高速炉系の2系統で、使用済み核燃料を再利用する計画。10兆円が投じられてきたが、どちらの循環も回るめどはない。原発で核燃料をMOX燃料として再利用するプルサーマルは、海外で製造した燃料を使って一部始まったが、使用済みMOXをどうするのかは白紙。もんじゅがなくなれば、高速炉系の「輪」は名実ともに消える。
 もんじゅの新たな担い手を半年以内に見つける必要に迫られる文科省は「運営主体は幅広くいろいろなことを検討していきたい」(高谷浩樹研究開発戦略官)と話す。
 考えられる担い手には、(1)文科省所管の別の研究開発法人(2)機構から独立したもんじゅ部門(3)民間の原子力事業者−などがあるが、どれも難しい。
 原子炉の運転経験は絶対に必要な条件で、単なる機構内の看板の掛け替えでは規制委が納得しない。
 文科省幹部は「日本原子力発電(原電)は、もんじゅの次につくる実証炉を受け持つ予定だった」と原電の名を挙げつつも、「不備だらけの現状で、もんじゅを受け取る経営判断をするだろうか」と話す。
 来週にも勧告の具体的な内容が決まり、文科省に出される。これまでの経過からすると、文科省からは中途半端な回答しか出てこないこともあり得る。中途半端で認めれば、規制委の存在理由が問われる。
 一方、文科省の回答を不十分とし、もんじゅの廃炉まで踏み込めば、昨年4月のエネルギー基本計画で核燃サイクルの維持ともんじゅ存続を打ち出した政府の方針と対立する。
 4日の記者会見で、田中俊一委員長にあらためて覚悟を問うと、「(核燃サイクルを)どうするかは国の政策マター(問題)で、私たちがどうこういう話ではない。申し上げているのは、もんじゅの安全の問題への懸念だ」と述べた。
 
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原発の稼働と使用済み核燃料を再利用する計画とは表裏一体であり、「プルサーマル計画」が頓挫すれば当然、今後の政府の原発利用政策にも大きな影響をあたえるのだが、原発推進メディアの今回の原子力規制委員会の勧告に対する記事からみてみた。
 
政府広報紙は社説で「もんじゅ勧告へ 核燃サイクル継続へ正念場だ」とのタイトルで、
一般の原子炉とは異なり、もんじゅは、ナトリウムを冷却材に使う特殊な炉だ。新たな担い手を探すのは容易ではあるまい。
 規制委の勧告決定は、廃炉の可能性を含めて、文科省に厳しい対応を迫る内容と言えよう。
と「廃炉」という言葉を使うほど危機感をもっている。
 
同じく原発推進メディアの産経新聞は、「安全軽視の体質を“断罪” 福島の事故背景に規制強化」という記事の中で、
機構の経緯を振り返ると体質は万全だったとは言い難い。平成7年に配管からナトリウム漏れ事故を起こした際には、機構の前身となる動力炉・核燃料開発事業団が、現場のビデオで都合の悪い部分を編集でカットしたり、ビデオそのものを隠したりして、その隠蔽体質が批判されていた。(原子力取材班)
と、原子力取材班が運営主体の日本原子力研究開発機構を厳しく批判していた。 
 
財界の声を反映する日本経済新聞でも「もんじゅは廃炉も視野に体制を見直せ」と題して、
高速増殖炉でプルトニウムをつくっても、通常の原発で燃やす計画は見通しが立たない。日本が余剰プルトニウムをもつことに国際社会の懸念もある。実用化できたとしても経済性は未知数だ。
 原発への依存度もこれから低下する。こうした状況の変化を踏まえて、高速増殖炉が本当に必要なのか改めて議論すべきだ。 
と、極めて否定的な悲観的な論調だった。
 
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【毎日新聞より】

 
釈迦如来の脇侍として、 右側に白象に乗った普賢菩薩を、そして左側には獅子に乗った文殊菩薩が配置されているが、中でも文殊菩薩は仏の智慧(般若)を象徴する菩薩であり、「愚かな者でも三人集まって相談すれば文殊菩薩のような良い知恵が出るものだ」という諺を生んでいる。
 
しかし、社会心理学者で東北大学大学院文学研究科の大渕憲一教授は、学術の世界と市民をつなぐ情報誌「まなびのめ」の中で「心理学的には集団が個人より賢明とは言えない」ということをインタビューに対して答えていた。
 
“三人寄れば文殊の知恵”は心理学的には疑問
 ・・・前略・・・
集団の決定は個人の決定よりも正しいと思われがちですが、これは社会心理学の研究によれば否定されています。集団の意思決定は、個人の決定よりも慎重ではない方向、リスキーな方向に流れる傾向にあります。集団では、リスクを軽視した楽観的で景氣の良い意見が出ると、迎合が起こるからです。
 仮に「同じくらいの賢さ」の人が五人いたら、議論はしても、最後の決定は一人でした方が間違いが少ないことが、実験や研究から明らかになっています。“三人寄れば文殊の知恵”という言葉がありますが、社会心理学的には大いに疑問です。もちろん、情報を集めて分析するには人数が多い方が有利でしょう。しかし決定は別です。合議制による決定は個人の決定に質で劣るだけでなく、責任の所在という点でも問題が大きいのです。これは政治体制や企業をはじめとする、日本の多くの組織が持つ弱点でもあると言えるでしょう。
 
2020年の東京五輪にむけて新国立競技場の建設問題に関しては、多くの利害関係者らが集まった組織で決定してしまい、建築費用が膨大し、結果的には、様々な思惑があったにしろ白紙撤回に追い込まれた。
 
主管官庁は文科省であった。

「すでに10兆円も投資したのだから、いまさら後には引けない」といった声がでることが予想されるが、これは例えてみれば、バクチで大負けした人間がさらにカネをつぎ込み蟻地獄に陥るということになる。
  
高速増殖原型炉もんじゅも最終的な主管元は文科省であり、「運営主体は幅広くいろいろなことを検討していきたい」と言っていたが、検討することは必要だが、問題はステークホールダーを集めた有識者会議で決めようとすれば、また同じ過ちを犯すことになり、最終決定は最高責任者が行うことが望ましいのだが、その人物が「賢者」ならまだしも「愚者」ならば、またもや悲劇が繰り返されるかもしれない、とオジサンは思う。 

   
posted by 定年オジサン at 11:50| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月08日

政府のサボタージュにより再生可能エネルギーが風前の灯

2国間の首脳会議というのは、直接両国の首脳が膝突き合わせて新しいことを決定して発表するということはまずありえない。 
余程の独裁国家ではない限り、国のトップが独断で決定することはなく、双方の外交専門の事務方が事前に詳細な打ち合わせを行い、発表する合意文書を作成する。 
 
いわゆる実務者会議を幾度となく行い、双方の着地点を見出したところで合意事項をお互いに確認しておく。
 
したがって、報道陣に公開される首脳会談の前後の写真はあくまでも両国民向けのポーズであり、実際の会談内容は決して表には出ない。
 
民主党政権時代の最後の野田佳彦首相以降の最近の日中関係は以下のとおりである。
 
20141108nicchuukankei.jpg
 
2012年に当時の野田佳彦首相が尖閣諸島の3島を国有化し中国を刺激し、安倍政権になってから日中間の首脳会談は開催されていない。
 
9日か10日に行われる予定の安倍晋三首相と習近平国家主席の初の首脳会談の結果は、事前に双方の外交官僚が作成した以下のような合意事項の範囲を超えることはまずないだろう。 
 
      20141108gouibunsyo.jpg 
 
これは読めば読むほど、双方にとって都合の良い解釈が可能な玉虫色の官僚文書であり、特に安倍晋三首相は基本的には譲歩したつもりはないらしく、日中の雪解けというのは政治的には「ポスト安倍晋三」となるであろう。 
 
ところで日中首脳会談関係のニュースの陰では、鹿児島県の伊藤祐一郎知事が川内原発1・2号機の再稼働に同意することを表明していた。
 
今後の再稼働までの流れは下図のようになる。 
 
20141108sendaigenpatusaikadou.jpg 
 
<川内再稼働 知事が同意 避難・設備・火山 不安残し>
 2014年11月08日 東京新聞
20141108sendaigenpatukadai.jpg 鹿児島県の伊藤祐一郎知事は七日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働について、「やむを得ない」と述べ、同意を表明した。年明け以降の再稼働の公算が大きくなった。原子力規制委員会が、新しい規制基準に適合しているとの判断を示したことを根拠に、「安全性が確保された」と強調した。だが、原発内は事故対策の設備整備が未完了のまま残り、住民の避難計画の実効性を誰もチェックしない中での同意となった。 (大野孝志)
 伊藤知事は記者会見で、「資源が限られた日本で、今の国民生活のレベルを守り、産業の活性化を図るにはどうするか。安全性がある程度約束されるなら、当分の間は原発の活用はやむを得ない」と述べた。
 しかし、原発内では、格納容器が破裂するのを避けるため、放射性物質の放出を抑えながら炉内の圧力を下げるフィルター付きベント(排気)設備の整備は2年後の予定。事故収束作業の拠点も、当面は作業員の除染やトイレが不十分な代替設備しかない。
 川内原発が抱える最大リスクの火山の巨大噴火問題では、予兆をつかむ技術は確立されていない。規制委自身が「噴火の規模や時期の予知は難しい。見落としがないよう、検討していく」と認める状況だ。
 仮に予兆がつかめても、炉内の核燃料は高温。数年間は冷却してからでないと移送は難しい。九電は、危険と分かれば核燃料を緊急搬出すると説明し、規制委は問題ないと判断した。搬出方法も搬出先も具体的な検討はされていないのに、規制委は「危険と分かった時点で検討する」ことで、事故時の対応計画など今後の詳しい審査もパスさせようとしている。
 多くの周辺住民が不安を訴える避難計画でも、国は県などに支援の職員を派遣したものの、具体的な動きは原発五キロ圏のみ。その外の周辺自治体の住民の安全をどう確保するか、目に見える支援はない。
 避難計画は実効性があるのかどうか、だれもチェックしない状態にある。
 伊藤知事は規制委のことを「産業技術の最高の人たち」と表現し、事故が起きた場合の最終的な責任は「国にある」とした上で同意に踏み切った。
<川内原発> 鹿児島県薩摩川内市にある九州電力の加圧水型軽水炉。1、2号機の2基あり、出力は各89万キロワット。1984年と85年に運転開始した。再稼働の前提となる原発の新規制基準に適合しているかの審査で、原子力規制委員会は今年7月、2基について合格証の原案となる審査書案をまとめ、事実上、新基準に初めて適合した原発となった。事故に備えた対策が必要な原発の半径30キロ圏の住民は、同県9市町の約22万人。 

「世界一厳しい安全基準」と安倍晋三首相が嘯いていた原子力規制委員会の新規制基準は「原発の安全性」を担保しているわけではなく、地元も九州電力も「安全より経済」という現実的な選択をしてしまい、後世代に大きなツケを残すことになった。
 
川内原発から遠く離れた東京では、昨夜も恒例の官邸前金曜デモが行われたが「再稼働反対叫んだが デモ下火、無関心と無力感 川内原発、知事同意」とあの頃の勢いはなくなっていた。 

しかし小熊英二慶大教授は、こう語っていた。
 
 原発は、表面的には話題の中心になることが少なくなった。だが、世論調査では「脱原発」が多数派だ。この傾向は2011年以降変わらない。世論の定着は、周辺自治体の了解なしで再稼働するしかなかったことが証明する。原発なしで夏も冬も過ごした。電力供給のための再稼働という説明は説得力がない。火力発電の燃料輸入費が増えたという主張もあるが、円安などで名目的に額が増えた効代替果が大きい。
 現存48基のうち新基準をパスして再稼働できそうなのは20基前後。総合的にはコストも高い。もはや斜陽産業だ。過去の歴史をみれば、多数派の民意や経済の流れに逆らう政策が長続きした例はない。撤退の準備と決断をする時期だ。

斜陽産業の原発の撤退を促すためには代替エネルギーとしての再生可能エネルギーの普及が欠かせないのだが、現状は後退気味になっている。
 
<「特集ワイド:続報真相 再生エネ停滞の深謀遠慮」>
 毎日新聞 2014年11月07日 東京夕刊
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潜在力が期待される浮体式洋上風力発電所「ふくしま未来」=福島県楢葉町沖約20キロの太平洋で2013年11月11日午前10時、本社ヘリから小関勉撮影
 のど元を過ぎれば熱さを忘れるという。東京電力福島第1原発事故への反省から始まった再生可能エネルギー普及への動きが頓挫した。九州、四国、沖縄、東北、北海道の電力5社が「固定価格買い取り制度」(FIT)に基づく再生エネの新規買い取りを中断したのは「制度設計が悪かったから」とされるが、それだけか。国、電力会社の「やる気」の問題ではないのか。
 ◇電力5社買い取り中断、制度のせい? スペインは弱点克服し導入率40%
 「2011年に総発電電力量に占める再生エネの比率が20%台となり、初めて原子力を上回りました。福島第1原発事故の惨状を見た国民が再生エネを選択し、エネルギーシフトが進んだのです」。10月21日、東京・永田町の衆院第2議員会館。民間組織「FoE(環境自然保護連盟)ドイツ」のフーベルト・バイガー代表理事の報告に、国会議員やFoEジャパンのメンバーら約70人が聴き入った。
- バイガーさんは、今年改正されたドイツの再生エネ法で再生エネの比率について25年40-45%、35年55?60%との目標が設定されたことも紹介。22年までの原発脱却を掲げる同国で、再生エネが電力の「主役」になりつつあることをうかがわせた。
 翻って日本はどうか。総発電電力量に占める再生エネの比率(13年、水力を除く)は、わずか2.2%だ。
 FITは、原発事故の反省を踏まえて12年7月に始まった制度。経済産業省が認定した再生エネ(太陽光、風力、地熱、バイオマス、中小水力)を電力会社に最長20年間、一定価格で買い取ることを義務づけた。価格は事業者に利益が出る水準に設定され、買い取りに必要なコストは電気料金に上乗せされる。経産省は買い取り価格を年々下げている。6月時点で認定を受けた再生エネは全国で計7178万キロワット。その9割超は、風力などより買い取り価格が高く環境影響調査などの手間も少ない「太陽光」だ。
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太陽光発電所の前途に暗雲?=高松市朝日町で2014年9月30日午後0時44分、伊藤遥撮影
 高値での買い取りが裏目に出て太陽光発電の申請が急増したことを受け、電力5社は「電気を安定的に供給する容量を超えそうだ」として新規の買い取りを停止した。電力の安定供給には需要量と供給量の一致が必要で、天候に左右される太陽光が増えれば周波数や電圧が乱れ、停電のリスクがあるというのが理由だ。FITの根拠となる再生可能エネルギー特別措置法には「電気の円滑な供給確保に支障が生ずる恐れがある」場合は買い取らなくてもいいとの一文がある。経産省は買い取り価格の引き下げなど制度の見直しに着手したが、再生エネ導入が大幅に遅れるのは避けられない状況だ。
 FoEドイツの報告会に参加した菅直人元首相に話を聞いた。自らの退陣と引き換えに、再生エネ特別措置法の成立にこぎつけた経緯がある。「民主党政権下では再生エネ増加を見越し、北海道で送電網の整備も始まっていました。経産省と電力会社が再生エネ受け入れ対策を積極的に進めていれば、こんな事態にはならなかったはずです。サボタージュと批判されても仕方がない」と憤る。矛先を安倍晋三首相にも向けた。「首相は国会で『再生エネを積極的に進める』と述べている。申請された約7000万キロワットは原発15基分に相当するクリーンエネルギーなんですよ。それをもっと活用しようとしないのは、民主党の政策を否定したいためなのか」
 その民主党は、10月にFIT見直しへの対策チームを設けた。座長で元副経産相の増子輝彦参院議員は「短期的には認可された事業者が権利を他社に転売して利益を得たりしないよう制度上の問題を解決したい。その上で再生エネの導入目標や受け入れ可能な国民負担などを議論し、党として提言します。『再生エネは駄目』と決め付け、原発の再稼働や輸出を進める政府と対峙(たいじ)していきます」と語る。
 「『再生エネを入れるとパンクする』という日本は世界の潮流に乗り遅れています」。電力問題に詳しい東京財団の平沼光研究員は手厳しい。「参考になる国」として挙げたのが再生エネ導入率約40%(13年)のスペインだ。
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      各国の再生可能エネルギーの発電比率
 スペインの電力業界の特徴は複数の発電会社と送電会社1社に分離していることだ。送電会社は06年に「再生エネ監視制御センター」を設立。再生エネは天候や風力に影響され電力が安定しないという弱点があるが、センターは情報技術を駆使して再生エネと火力発電を監視・制御している。「気象予測システムを活用して翌日の再生エネの発電量を計算。多ければ火力発電を抑制し、少なければ増やす。いわばオーケストラの指揮者のような役目です」。センターからの制御指令を風力、太陽光発電所に伝え、実行させる時間は15分以内。「世界は、円滑に発電をコントロールする技術の開発に力を入れているのです」(平沼さん)
 だが、スペインのシステムを取り入れようとしても日本には「壁」が存在する。自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長が言う。「地域独占の経営をしてきた大手電力会社には、再生エネを受け入れるために自社の発電を抑制するという発想がなかったのです。再生エネの電力が余るというなら、送電線を使って受け入れ可能な電力会社に回せばいいが、地域独占の壁を越え、変動する電力を効率的に運用する制度そのものがありませんでした。政府も無策だった。独立的な第三者機関が関与し、適切な送電線利用料金の設定など運用計画をつくる仕組みが必要です」
 ◇「原発再稼働優先が国の本音」
 再生エネ普及に暗雲が漂い始めた折も折の3日、宮沢洋一経産相が川内(せんだい)原発のある鹿児島県を訪れ、「再稼働」への協力を関係各方面に要請した。着々と進む再稼働、行き詰まってしまったFIT……この激しい「落差」をどう考えればいいのか。
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池畑憲一鹿児島県議会議長(右)から要望書を手渡される宮沢洋一経産相=鹿児島県議会庁舎で2014年11月3日午後4時55分、須賀川理撮影
 「その二つの動きが重なったのは、決して偶然の一致ではない」とみるのは、元経産省官僚の古賀茂明さんだ。どういうことか。「福島第1原発事故後しばらくは、経産省も電力会社も“免罪符”として再生エネを進める姿勢を見せ、再稼働の議論を封印していました。反原発の世論が沈静化するのをじっと待っていたのです。ところが、政府が4月にエネルギー基本計画を閣議決定し、原発を『重要なベースロード電源』と位置付けると、経産省は『原発を維持するための政策が必要だ』と言い始めた。電力自由化後も原発による電気の価格を保証する案もその一つです。さらにここにきて川内原発の再稼働が確実になった。原発の電気さえあれば、再生エネなど滞ろうが構わないというのが経産省、電力会社の本音。だからこそ、タイミングを見計らってFITの不備を表ざたにしたのではないか」
 政府は、原子力や再生エネなどの電源比率の将来目標「エネルギーベストミックス」の数値について、4月の時点で「速やかに示す」としながら、いまだに策定していない。脱原発を目指す民間シンクタンク「原子力市民委員会」の松原弘直さんは「実際に原発が再稼働するのを待ち、それを前提に決めようとしているのでしょう。多くの国民の声を無視した原発ありきの姿勢がここにも表れている。しかし、事故の損害賠償、安全対策の費用を含めれば原発のコストは他の電源よりも決して安くはありません。優先すべきは再生エネ拡充です」
 松原さんは、核燃料サイクル事業などに掛かる巨額の費用を再生エネ拡充に振り向けるべきだとも訴える。「送電網の整備などに充てれば導入はさらに進む。FITの見直しが課題になっていますが、それでも再生エネ拡充を選ぶか、原発依存に回帰するか、今が岐路なのです」。ドイツやスペインでも国民の負担増などへの批判はあるものの、再生エネの比率を高めることを選択し、実現したのだ。
 環境省は毎年、再生エネの潜在的な発電能力を調査し公表している。国立公園など開発不可能な場所を除いて発電施設を可能な限り設置したとしての試算だ。12年度の報告によると、太陽光1億5000万キロワット▽洋上風力13億キロワット▽中小水力898万キロワット▽地熱233万キロワット。設備が最大限に稼働した場合の発電能力を示す全国発電設備容量が約2億キロワット(10年度)であることを考えれば、「日本は再生エネのデパート」と平沼さんが言うのもうなずける数値だ。
 中でも突出している洋上風力について、平沼さんは「機械の保守点検などは漁業関係者らに任せ、『電気を養殖する』との発想で進めたらどうでしょう」と語る。日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長も「政府が洋上風力発電の開発エリアを選定すれば、企業の進出が進む。造船技術も生かせるし、雇用創出が期待できる」と可能性を強調する。
 今なお数万人が避難生活を強いられている原発事故を繰り返さないためにも、再生エネの灯を消してはならない。【瀬尾忠義】

日本の「経済」と電力会社という「産業」にしか目を向けていない経済産業省に原発政策に替わる政策をそもそも期待する方が間違っていたのだろうか。
 
「電気の円滑な供給確保に支障が生ずる恐れがある」場合は買い取らなくてもいいとの一文を「固定価格買い取り制度」(FIT)に入れ込んだのは経産省であり、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」という国民感情を見越した政府の再エネ普及に対する悪質なサボタージュであったのだろう、とオジサンは思う。
 
posted by 定年オジサン at 12:47| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月27日

再生可能エネルギー「購入中断」はメディアの誤報?

先日、古賀茂明がこんなツイッターを飛ばしていた。

 
特に関連はないのだろうが、一昨日の夕刊にはこんな記事が載っていたことを思い出した。 
  
<九電、再生エネ購入中断 企業は多額投資 自治体も推進>
 2014年9月25日 夕刊 東京新聞
20140927megasolor.jpg九州電力は25日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく契約の受け入れを、九州全域で中断した。対象は新規受け入れに加え、申請を済ませたが契約に至っていない約7万件も含める。10キロワット未満で自家消費している家庭用の太陽光などは対象外とした。
 九電によると、電力の安定供給には需要とのバランスを保つ必要があるが、太陽光発電の急増で供給力が需要を大幅に上回ると、自動的に発電が停止するなど支障が出る恐れがあるという。今後他の電力管内への送電などを検討し、再生エネをどの程度受け入れられるか見極めるとしている。
 太陽光発電は全国的に増えており、北海道電力や沖縄電力も購入に上限を設けている。今回の九電の中断を受け、政府は買い取り制度の見直しを加速させる可能性が出てきた。
 24日の記者会見で九電の山崎尚(たかし)電力輸送本部長は「電力を安定供給する責任があり、このまま無制限に受け入れられない。ご理解いただきたい」と述べた。申請中の事業者が計画見直しを迫られることが想定されるが、金銭面の補償はしないとしている。川内(せんだい)原発(鹿児島県)の再稼働と中断は「関連性はない」と強調した。九電は10月1日から7県で順次説明会を開く。
 九電によると、2014年度から買い取り価格が下がったため、今年3月だけで過去1年分に当たる約7万件の申し込みが殺到した。
 買い取り制度では国の認定も必要で、九州の太陽光・風力発電の認定状況は5月末で1787万キロワット。鹿児島が434万キロワットと最も多く、次いで熊本、宮崎、大分と、この4県で九州全体の4分の3を占めている。
◆「川内原発より送電網を」
 再生可能エネルギーを使う発電事業や計画は九州各地で進んでおり、九州電力が買い取り契約の受け入れを中断した影響が広がりそうだ。買い取りを前提に多額の投資をしてきた企業や、導入促進を掲げる自治体もあり、関係者は「今更買い取れないなんて」と困惑している。
 長崎県佐世保市の宇久島では、京セラ(京都市)や九電工(福岡市)など5社が世界最大規模となる43万キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設を検討。2015年度中の着工が目標で、受け入れの中断が長引けば影響を受ける可能性がある。
 京セラは今後開かれる九電説明会に出席する予定で、広報担当者は「情報収集を急ぎたい」と話す。
 4千キロワットのメガソーラー建設を目指している鹿児島市の男性(50)は会社を設立しことし3月、九電に新規契約を申請した。既に土地代などに約1億円を投資。男性は、再稼働へ手続きが進む川内原発を引き合いに「原発への投資ではなく、送電網に投資するべきだ。多くの企業が反発するだろう」と語気を強めた。
20年度までに県内全家庭の電力消費量相当分を省エネで減らした上ですべてを再生可能エネルギーで賄う目標を立てているのが熊本県。県によると、着工していないメガソーラー計画が6件残ったままだ。村井浩一エネルギー政策課長は「全体の目標に大きな変更はない」とする一方で「県として再生エネ導入の旗振り役を担ってきたが、電力需給のバランスまで考えが及ばなかった」と肩を落とした。
<再生可能エネルギー> 太陽光や風力、水力などで生まれるエネルギーを指す。石油などを燃やす火力発電、ウランを燃料とする原発と異なり、資源が枯渇せず繰り返し使えるのが特徴。地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量も極めて少ない。ただ、政府によると、発電コストは火力や原子力より高い。政府は2012年、電力会社が再生エネによる電気を買い取る制度を義務化、普及を後押ししている。

一応、他の大手マスメディアを調べると、「再生エネ、新規購入中断 九電、太陽光急増で 送電網、対応できず」とほぼ同じタイトルで朝日DIGITALは、ご丁寧にもこんな図を示していた。
 
20140927asahisiryou.jpg
 
鹿児島の川内原発の再稼働の時期がスケジュールに乗るほどになり、それに伴い反対運動も強まっている中で、脱原発を標榜している東京新聞は、九電の山崎尚電力輸送本部長の「川内原発の再稼働と中断は関連性はない」との発言をあえて載せていた。
 
再稼働反対派は当然ながら、再生可能エネルギーを人質にとった九電のあくどいやり方に反発を覚えるものである。
 
しかしどうやらこの間の事情を見ると少々異なる背景があった。
 
<九電、再生エネルギー受け入れ事実上中断へ>
 2014.09.21 エコテックシステム スタッフブログ
昨日、朝刊各紙の1面および経済面や、ヤフーなどで刺激的な見出しが出ました。
「九電、再生エネ買取中断へ」
驚いた方も多いと思います。見出しだけ見ると、まるで売電がなくなるかのような表現ですが、これはマスコミが間違えていて、
正しくは、「新規申し込みに対する回答を保留へ」です。
すでに連系されているものや、九電への接続申請が受理されて工事分担金が提示されているものについては、引き続き問題なく売電できます。
電力会社には、経済産業省の設備認定を受けた認定IDありの物件の接続申込みを拒否する権限はありません。再生可能エネルギー特措法で必ず受理しないといけないのです。おそらく、今後も引き続き申込み受け付けは続けるでしょう。
問題はそれら申込みに対する回答を「保留する」ということです。
10kW以上の買取申込みのルールですが、接続申請後九電から工事分担金の見積回答があり、その金額を支払って初めて売電メーターが設置されます(=運転が開始できます)。
今回の「回答を保留する」という意味は、「工事分担金の見積回答を保留する」という意味です。ここで重要なのは、工事分担金の見積回答がなければ、分担金の支払いができないので、売電メーターを設置できない(=売電できない)ということです。
問題は、いつの申請から回答保留の扱いになるのか、ということです。
ここでおさらいですが、九電に申請するためには、事前に経済産業省の設備認定IDを取得しなければなりません。
この認定ID取得が現在のところ2週間から1か月ほどかかっています。
その間に現場調査を済ませて、設備認定IDが取得できたら九電に接続の申請書を提出に行くという流れになります。
すでに10kW以上で契約している物件は出来るだけ早く九電申請する必要があるのはもちろんですが、今から計画・契約する物件は、即断即決で契約したとしても、設備認定ID取得→九電申請書の提出までに約1か月ほどかかってしまいます。
契約する側も販売する側も、現在および今後の商談に関してはこのことを念頭に置いて話を進めなければなりません。
ニュースでは、九電は回答保留を前提に経済産業省と協議するようですが、実は9月以前にとある筋から情報を得ていて、遅かれ早かれこのような事態になることは知っていました。つまり、ニュースになる前に九電は既に経済産業省に申し入れをしていたということです。
今回のニュースがどこかの新聞のスクープではなく、全紙同じ内容の記事が同時に出たということは、予定されたニュースだということですから、九電側もしくは経済産業省側が、いきなり発表して世間から猛反発を食わないように、事前に情報を小出しにして、徐々に「回答保留やむなし」の雰囲気を作ろうとしているのかな、とも勘ぐってしまいます。
・・・後略・・・
用松 俊彦

そしてこの情報を裏付けるように九電は「9月20日付『九電再生エネ契約中断』等に関する報道について」というプレスリリースを発表。
 
 本日、「九電再生エネ契約中断」「再生エネ受付中断」などと報道されていますが、当社が発表したものではありません。
 離島における再生可能エネルギー接続申し込みへの回答保留については、平成26年7月25日に公表しておりますが、九州本土の対応について、現在、検討をおこなっているところであり、近々公表予定です。
以上

ところが4月17日に九電より経済産業省の電力需給小委員会に提出された文書「今夏の電力供給力および需要の見通しについて」の中でこんな危機感を煽っていた。
 
・・・前略・・・
●原子力の再稼働がなく、電源開発鰹シ浦火力2号機の運転再開が見込めない場合、今夏の供給力は1,730万kW程度。
● H25年並み猛暑の最大電力需要に対し、他電力会社からの応援融通受電(最大149万kW)を含む、可能な限りの供給力対策を織り込むことで、電力の安定供給に最低限必要な予備力(予備率3%)を何とか確保。

そして九電は原発の再稼働が無くても今年の夏は立派に乗り切ったのだが、「電力の安定供給には需要とのバランスを保つ必要があるが、太陽光発電の急増で供給力が需要を大幅に上回ると、自動的に発電が停止するなど支障が出る恐れがある」という説明が全く説得力を持っていないように感じてしまう。
 
安定供給のために「需給バランス」が必要ということはなんとなく理解できるのだが、原発の再稼働が無ければ急増した太陽光発電を最大限利用すればなんら問題はないのではないだろうか、と素人のオジサンは訝ってしまう。

posted by 定年オジサン at 11:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月19日

毒饅頭が横行する世の中に一筋の光明

昨年の今頃、安倍晋三首相は東京・西麻布のフランス料理店「彩季」で中日新聞の小出宣昭社長、東京新聞の長谷川幸洋論説副主幹と食事したと、「ジャーナリストとしての立ち位置とは」で紹介したが、その後、長谷川幸洋論説副主幹は今年になって積極的に安倍晋三首相がご執心な「集団的自衛権行使」に関して前向きな考えを披露していた。
 
もちろん、ジャーナリストにも所属組織とは異なる言論の自由は保障されている。
 
しかし、時の権力者(本人に言わせれば、最高責任者)である総理大臣と会食をするということは、事実を伝え権力の暴走を監視するという意味でかつては新聞は「社会の木鐸」と言われてきたが、今では完全な死語となってしまった。
 
新聞社という組織に属している第一線の記者の中には、ジャーナリストとしての「矜持」を持ち合わせている人はまだ存在するが、第一線から退き自由度の高い「編集委員」という立場になれば、権力側からのお誘いも増えるらしい。
 
昨日も引用した「解釈壊憲へ猪突猛進、安倍晋三」の中で、東京・西新橋のすし店「しまだ鮨」で安倍晋三首相とお食事をした毎日新聞の山田孝男特別編集委員はさっそく本領を発揮していた。
 
<自衛権の論じ方について=山田孝男>
 毎日新聞 2014年05月19日
私は、安倍政権が、国際情勢と無関係に、右翼的心情や軍事的野心から「集団的自衛権」を持ち出したとは思わない。
 集団的自衛権の行使を認めれば、いずれ戦争に巻き込まれる--という批判には一理ある。が、憲法さえ守っていれば、今の経済膨張路線を突き進んでも平穏無事という楽観論にはついていきかねる。
 では、どうすべきか。
 世界に先がけて経済社会を簡素化する。時間はかかっても食料・エネルギーを海外に過度に依存する体制を改める(ただし、原発を使ってはいけない。原発は社会を複雑にし、うわべの繁栄をもたらすが、最後は地域を破壊する)。
 中東ホルムズ海峡防衛こそ生命線--という構造を徐々に変えていく。自衛隊が遠国へ出向いて集団的自衛権を行使する必要がない状況を整えていく。
 全人類が資源を奪い合う21世紀を生き抜くため、地産地消が基本の循環型社会へ変化を加速する。
 高品質、公平で清潔、平和で安全な日本を守る。量的拡大ではなく質的深化に集中する。節度を重んじる日本文化に根差した新・経済発展モデル、人類共生の規範を世界に示す。
 そういう長期ビジョンを明確にしつつ、アメリカの覇権後退を見据え、国際標準の自衛力の回復を探るべきではないか。憲法や当面の国際情勢だけでなく、地球規模の経済社会改革構想という視点が要る。
 私はそう思う。
・・・中略・・・
 今や国内の事件、話題がアッという間に世界中に拡散する時代である。
 伝統的な憲法解釈を改めるという安倍首相のメッセージは、「まず世界平和を求める」という総論部分が弱いと感じる。
 現代国際社会は、武器ではなく言葉による情報戦が日常化している。
 集団的自衛権をめぐる国内の憲法論戦と大報道の白熱が、当事者たちの思惑を超え、日本の軍事的膨張をめぐる大騒ぎとして海外で取りざたされている現状を残念に思う。
 (敬称略)(毎週月曜日に掲載)

いろいろと御託を述べているが、少なくとも山田孝男特別編集委員が属している毎日新聞の16日付社説「集団的自衛権 根拠なき憲法の破壊だ」とは大きな隔たりがあるようだ。
 
「憲法さえ守っていれば、今の経済膨張路線を突き進んでも平穏無事という楽観論」とは一体どこの誰が唱えているのか。
 
「今の経済膨張路線を突き進」めば諸外国との軋轢が生じ、それを解決するためには憲法を変えなければならない、とも取れる。 
 
「しまだ鮨」で高級すしという「毒饅頭」を食いながら、「『まず世界平和を求める』という総論部分」をもっと強化すれば、「伝統的な憲法解釈を改めるという安倍首相のメッセージ」は広く国民や世界に届き理解されたのでは、といった反省会でも行ったのかもしれない。
 
そんな特別編集委員の影響を受けなかったかのような世論調査結果が出た。 
 
<集団的自衛権 憲法解釈変更、反対56% 「行使」54%反対>
 毎日新聞 2014年05月19日
     20140519seronnchousakekka01.jpg 20140519seronnchousakekka02.jpg
毎日新聞は17、18両日に全国世論調査を実施した。15日に安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認に向けた検討を指示したことを受け、集団的自衛権行使の賛否を聞いたところ、「反対」と答えた人が54%で「賛成」の39%を上回った。首相が、集団的自衛権の行使を容認するため、憲法改正ではなく憲法解釈の変更で対応しようとしていることについても、反対が56%で賛成は37%だった。
 首相は今夏にも集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定したい考えだ。公明党は慎重姿勢を崩しておらず、行使容認と解釈変更への反対がいずれも過半数となったことは与党協議にも影響しそうだ。
 内閣支持層では、集団的自衛権の行使に賛成が62%、反対は31%で、賛成が反対を上回った。一方、不支持層では行使に賛成は10%にとどまり、反対は87%に上った。憲法解釈の変更を巡っても、内閣支持層では賛成が60%、反対が36%だったのに対し、不支持層は賛成は8%で、反対が89%だった。
・・・中略・・・
 内閣支持率は49%で前回調査と変わらなかった。不支持も前回と同じ33%だった。【念佛明奈】

ところで、「エネルギーを海外に過度に依存する体制を改める」ということは脱原発派だけではなく政府も口先では言っていたが、それを実現させる具体策が遅れていた。
 
再生可能エネルギーを国内に広く普及し、メガソーラーで発電した電気を事業者が買い上げ、それを自由に必要な人に売る。
 
既に数年前からデンマークなどでは当たり前になっていた「電力を自由に選べる」という時代に一歩近づいてきた。
 
<家庭向け電気、自由化へ道 電気事業法改正案、今国会で成立へ>
 2014年5月19日 朝日新聞
     20140519denkijiyuuka.jpg
電気の小売りを全面的に自由化する電気事業法の改正案が、今国会で成立する見通しになった。「地域独占」だった電気の供給者を増やしてサービス面の競争を促し、値上がりしている電気料金を抑え、選択肢を増やすねらいだ。一方で、安定供給を担う電力大手の経営は厳しくなるかもしれない。改革は進むだろうか。
 改正案は16日の衆院経済産業委員会で、賛成多数で可決された。安倍晋三首相は委員会で、「地域独占は今日まで変えられなかった。岩盤的な電力システムの改革を進める」と答弁し、改革の姿勢を強調した。
 日本は戦後、地域ごとに電力会社をつくり、電力を一手に供給する「地域独占」の体制を整えた。停電などを起こさずに電力を安定供給することは、戦後の経済成長に欠かせなかったからだ。電力各社に対して、設備に投資した分を回収できる電気料金の設定を認める「総括原価方式」は戦前に導入したものだ。
ただ、電力会社が地域ごとにあることで供給者間の競争が進まず、電気料金が高止まりしているとの批判も強まった。1990年代に自由化の動きが始まり、2000年からは産業向けの小売り自由化を条件付きで始めたが、地域をまたいだサービスや新規参入はあまり増えなかった。
 そうした流れを東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が変えた。地域独占で1社に電源が集中することのもろさが露呈し、節電では、各社間で電気を融通しあうことも簡単にできないことが判明した。
 最も切実なのは、電気料金が上がり続けていることだ。東京電力の平均的な世帯向けの電気料金は6月分が8567円となり、震災前の水準と比べて4割近く高くなる見込み。原発の代わりとなる火力発電に使う燃料が増えているほか、国際情勢の影響などで市場価格も高騰している。自由化には、負担増を抑えるような本格的な「競争原理」が働く効果が期待できる。
 安倍政権が進める「電力システム改革」は、(1)地域を超えて電力需給を調整する「広域的運営推進機関」の設置(2)家庭向けの電力小売りの自由化(3)電力会社から送配電部門を切り離す発送電分離に分かれる。
 ■安い電力会社、選べるかも
 電力改革の第2弾となる改正案は、16年から家庭向けの電力小売りを自由にできるようにするものだ。家庭や商店でも「昼は高くても、夜は安い」など生活にあった電気料金のメニューやサービスから、電力会社を選べるようになる。関西電力管内に住む人が地域を越えて、中国電力から電気を買うことも可能だ。
 そんな本格的な自由化をにらんで、人口が集中する首都圏では、中部電力や関西電力などが企業向けの電力小売りに乗り出した。異業種からも、通信大手のソフトバンクなどが企業向けに参入する方針。家庭向けサービスも始める構えだ。
 電気を消費する側だった家庭や商店が、節電で電気を余らせて、自分で料金を安く抑えることができる。設置が進む「次世代電力計」(スマートメーター)を使うことで、実際に電気を多く使う時間帯などがわかる。その時間帯に意識して節電に取り組めば、全体の電力需給の調整に貢献することもできる。これまでは、各家庭がどれだけ電力を使ったかを把握できる方法は、月に1回の検針だけだった。だが通信機能のあるスマートメーターがあれば、30分ごとの利用状況がすぐにネットなどで確認できる。
 金融アナリストのSMBC日興証券の塩田英俊氏は「競争が促されれば電気料金の抑制につながる可能性がある」と指摘する。ただ、競争が進んだからといって、すぐに電気料金の値下げにつながるとは言い切れない。英国では自由化後、一部の電力会社が寡占状態になり、かえって電気料金が上がった例もある。競争環境をいかに整えるかが改革のカギを握る。
 ■原発コスト、負担誰に
 供給者間の健全な競争が進み、家庭がサービス面で様々なメリットを受けられるようになるにしても、生活に欠かせない電気が安定供給されることが前提になる。だが、原発が止まったまま自由化が進むと、担い手の電力大手の経営は厳しくなりかねない。原発は維持・管理と将来の廃炉に巨額のお金が必要だからだ。
 原発(120万キロワット)1基あたりの建設費は約4200億円で、ほぼ同じ能力の火力発電所の2倍以上だ。これまでは「総括原価方式」で、原発建設の投資費用を50〜60年かけて電気料金から回収できたが、この方式は自由化が進んだ段階で廃止する。競争も進めば、原発にかかる巨額の資金を調達するのは難しくなるかもしれない。
 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は9日の衆院経産委員会で、「民間が長期に原子力事業を担えるような、『国策民営』のあり方を検討してほしい」と訴えた。
 安倍政権は自由化を進めつつ、安全性が確認できた原発は順次再稼働する方針だ。中長期の方針をまとめた「エネルギー基本計画」は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけており、自由化と原発政策を両立させようとしている。
 25年ぶりに原発建設計画が持ち上がった英国は、自然エネルギーの普及のために、高い価格で電気を長期間買ってもらう「固定価格買い取り制度(FIT)」と同じ考え方を、原発にも適用する。温室効果ガスの排出量が少ないという点で自然エネルギーと原発は同じだと位置づけた。
 米国でも、原発建設にかかる費用を政府が債務保証する制度をつくった。原発新設の資金調達をしやすくしたことで、スリーマイル島の原発事故以来34年ぶりに、原発が新設されることになった。自由化で競争が進んでも、原発は政府が関与して維持する姿勢を明確に示したかたちだ。
 こうした手法を日本がまねできるかは不透明だ。経済産業省幹部は「原発で新たな負担を求めるのはいまの日本で現実的ではない。独自の仕組みを考えないといけない」と話す。
 (藤崎麻里、大津智義)
 ■電力自由化と原発政策の経緯 
1933年 総括原価方式が料金認可の基準に 
 51年 東京電力など電力9社体制が発足 
 72年 沖縄電力設立でいまの10社体制に 
 95年 電力会社以外で電力販売する新電力を創設 
2000年 産業用など大口利用者は自由化 
 02年 エネルギー政策基本法が成立 
 03年 第1次エネルギー基本計画「原発を基幹電源と位置づけて推進」(自民党政権) 
 04年 商業用の自由化が始まる 
 07年 第2次エネ計画「原子力立国の実現に向けた政策を立案」(自民党政権)
 10年 第3次エネ計画「2030年の原発比率を約5割に」(民主党政権)
 11年 東京電力福島第一原発事故 
 12年 革新的エネルギー・環境戦略決定「原発は重要な電源。2030年代の原ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入」(民主党政権) 
 14年 第4次エネ計画「原発は重要なベースロード電源」(自民党政権)

1955年10月、日本社会党はそれまで左右両派に分裂していたのを統一し、同年11月には自由党と日本民主党が保守合同して自由民主党を結成した。
 
以後、自民党が代表する保守と社会党が代表する革新の対決という構図が展開され、これは米国とソ連による東西対決の代理戦争という性格を持っていた。
 
自民党、社会党の両党は激しく対立する半面、底流では通じ合う癒着構造もつくられ、国会の勢力は、憲法改正に必要な3分の2議席を自民党が占めるのを社会党などがかろうじて阻止するという、いわゆる「55年体制」は93年7月の総選挙で自民党が下野したことによって、38年間で崩壊した。
 
原発を有する電力会社9社による体制は1951年に作られ、現在も続いている。
 
この業界の「51年体制」は政治の世界とは異なり「独占状態」であった。
 
まさに岩盤なのだが、弱い労働者を守る労働法制を既得権益と称して「この岩盤を私のドリルでこじ開ける」なんてことをほざいていたが、「地域独占は今日まで変えられなかった。岩盤的な電力システムの改革を進める」と明言した安倍晋三首相。
 
絵空事の事例を持ち出して「日本人の生命を守る」という戦争ゴッコよりも、日々使用し、生きるためには必須の電気を安い料金ですべての家庭が使えるようにすることの方が、まさに「日本国民の命を守る」ことになるのではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 11:20| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月12日

計画倒れか、現実的戦略なのか基本エネルギー計画

共同通信の世論調査が偏見なく中立で正しく国民の意識を反映している、なんて全然思ってはいないが、原発再稼働反対が過半数を超えているにもかかわらず内閣の支持率は2月に比べて3月は57%近くに上昇したらしい。
 

もっとも4月からの消費税の増税感を実感し始めると支持率は下がるかもしれないが、それにしても国会での横暴振りからは想像できないほどの高さである。
 

これは強面の石破茂自民党幹事長と比らべれば安倍晋三首相のマスクは好感を与えているのかも知れない。
 

いわゆるソフトなイメージをパフォーマン等によって植え付ける印象操作をしているともいえる。

 
しかし最近では「パフォーマンスに逃げ込む安倍首相の窮地」と心配する人もいるようだが、取り巻きの側近連中のしたたかさから、着々と国民をごまかす言葉の言い換えも活発である。

 
一番新しい「言い換え」は、武器の輸出を原則的に禁止する「武器輸出三原則」を「防衛装備移転三原則」と改称したこと。

 
これについては、ネット上で展開している「全日本おばちゃん党」の代表代行を務めている大阪国際大学谷口真由美准教授が、非常にわかりやすい喩で批判していた。

 
「売買春を援助交際と言い換えて罪悪感を減らしたように、武器輸出という言葉をなくせば過酷な現実を連想しづらくなる」

 
イメージを和らげる狙いとしては昨年の12月に強行採決され成立してしまった「特定秘密保護法」も最初は「秘密保全法」と呼ばれていた。 

 
「保全」よりも響きがソフトな「保護」にしたわけである。

 
最近安倍晋三首相がしきりと連呼していた「女性の活用」も「女性をモノとして見て使うだけなのか」との女性側からの反発を受けて「女性が輝く」という表現を使うようになっている。 

 
以前「姑息なイメージ戦略のエネルギー基本計画案」では、こんな風につぶやいた。

 
「ベースロード電源」という表現の意味がよく分からないとの声も上がっているにもかかわらず、こんな姑息なイメージ変更による戦略でエネルギー計画案を推し進めることは余りにも国民を愚弄しているのではないだろうか。

 
その国民を愚弄したエネルギー基本計画が閣議決定された。
 
<原発推進 エネ計画閣議決定  原子力ムラ復権>
 2014年4月12日 東京新聞
20140412energyplan.jpg政府は11日、国のエネルギー政策の指針となる新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定した。原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会の基準に適合した原発を再稼働させ、民主党政権が打ち出した2030年代の「原発稼働ゼロ」方針を撤回することを正式に決めた。
 計画では、原発新増設も必要な原発の数などを「見極める」と含みを残した。原発輸出は、東京電力福島第一原発事故の教訓を国際社会と共有し、原子力の安全性向上に貢献するとして積極的に進める考えを示した。将来の原発や再生可能エネルギーの電源比率をどうするかの具体的な数値目標は盛り込まなかった。
 原発事故後、初の計画。政府は1月の決定を目指したが、与党から原案は原発推進の色が濃すぎるとの異論が出て決定が遅れた。
◆エネ計画ポイント
▼原発は重要なベースロード電源
▼規制基準に適合した原発は再稼働を進める
▼原発依存度は可能な限り低減。安定供給などの観点から確保していく規模を見極める
▼再生可能エネルギーは2013年から3年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進する
▼もんじゅは高レベル放射性廃棄物の減容化の国際研究拠点にする
 
◆経産省主導の舞台裏
 安倍政権は「エネルギー基本計画」で原発推進路線を鮮明にした。東日本大震災から3年で、東京電力福島第一原発事故を忘れたかのような姿勢。電力会社や経済産業省という「原子力ムラ」が復活した。 (吉田通夫、城島建治)
 計画案の了承に向けた与党協議が大詰めを迎えた3月下旬。経産省資源エネルギー庁の担当課長は、再生可能エネルギー導入の数値目標の明記を求められ「できません」と拒否した。
 「その態度はなんだ」。要求した自民党の長谷川岳(がく)参院議員によると、課長は椅子に反り返り、足を組んだまま受け答えしたという。長谷川氏の激怒で協議は中断した。
 与党は原発を「重要」と位置づける部分は容認し、推進の立場は政府と同じだが、脱原発を求める世論を気にして一部議員は再生エネの数値化にこだわった。
 だが、原発依存度の低下につながるのを懸念した経産省は本文に書き込むのを拒否。目標を拘束力の弱い脚注に入れ、本文にそれを「上回る水準の導入を目指す」との対案を与党に提示し「大幅に上回る」との表現で合意した与党の指示をも拒み「さらに上回る」との再提案で押し切った。
 電力各社も介入した。
 電力各社でつくる電気事業連合会は、自民党が所属議員に計画案への考えを聞いたアンケートに便乗。若手らに原発の維持・拡大につながる核燃料サイクル事業を「着実に推進する」と書くよう説いた。
 原子力ムラの動きの背後には、経産省が影響力を強める首相官邸がある。
 安倍晋三首相の黒子役を務める首席秘書官は、経産省出身でエネルギー庁次長も務めた今井尚哉(たかや)氏。首相の経済政策の実権は、今井氏と経産省が握っている。
 昨年7月。今年4月から消費税率を8%に引き上げるか迷っていた首相は、税率を変えた場合に経済が受ける影響を試算することを決めた。指示した先は財務省でなく経産省だ。
 歴代政権の大半は「省の中の省」と呼ばれる財務省を頼ったが、安倍政権は経産省に傾斜。その姿勢が原子力ムラを勢いづかせた。

 
首席秘書官として官邸に送り込まれたのが経産省出身でエネルギー庁次長も務めた今井尚哉。

 
この人物は経団連会長を務めた新日鉄の今井敬・元会長の甥で、伯父は故・今井善衛・元通産事務次官という同省のエースである。

 
2年前の安倍内閣発足時にはこんな報道記事があった。

 
<安倍新内閣:経産省、巻き返し狙う…TPP、エネ政策で>
毎日新聞 2012年12月26日 20時52分
政権再交代で、経済産業省の存在感が高まっている。安倍晋三首相を支える官邸スタッフに多くの経産省出身者が配置されるほか、経済再生担当相や経産相に、同省とつながりの深い自民党商工族議員が就任。官邸と両閣僚をてこに同省は、出遅れていた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加や、民主党政権下で原発ゼロに向かっていたエネルギー政策での巻き返しを図るとみられる。
 官邸人事では、首相秘書官の筆頭格である政務秘書官に、今井尚哉(たかや)・前資源エネルギー庁次長(82年入省)が就く予定。将来の事務次官候補とされるエース官僚で、06〜07年の前回安倍政権時にも事務秘書官として官邸入りし、自民と深いパイプを持つ。事務秘書官には、柳瀬唯夫経済産業政策局審議官(84年入省)が入り、異例の「2人秘書官」体制を実現する方向だ。事務秘書官はこれまで財務省出身者が筆頭格となるケースが多かったが、柳瀬氏は財務省から秘書官に起用される予定の中江元哉主税局審議官と同期。首相補佐官でも、国会議員以外で唯一、OBで前安倍政権時代、内閣広報官を務めた長谷川栄一・東大教授(元中小企業庁長官、76年入省)が起用された。
・・・後略・・・

 
従来の内閣とは異なり経産省が黒子として暗躍している安倍内閣の実態であろう。

 
この閣議決定に関しては、一応在京マスメディアの社説を列挙しておく。

 
■朝日新聞「エネルギー計画 これがメッセージか
原発停止による化石燃料の輸入増を憂え、将来にわたって原発を維持する意向をにじませる一方、原発依存度の低減をうたう。高速増殖炉「もんじゅ」の目的をすり替え、核燃料サイクル事業の推進を明記しながら、「中長期的な対応の柔軟性」を強調して、批判をかわす。
露骨に本音を出して国民の余計な反発は買うまい――。エネルギー政策で安倍政権が続ける焦点外し戦略である。

 
■毎日新聞「エネルギー計画 これは計画に値しない
前計画で掲げた30年に約2割という目安を参考値として脚注に入れ、それを「さらに上回る水準の導入を目指す」ことで決着した。しかし、計画に必要なのはその目標や方策を具体的に示すことである。
それができなかったのは、政府が目標とする将来像を描けていないからだ。問題先送りをレトリックでごまかすばかりでは、「計画」の名に値しない。


■東京新聞
原発回帰の危険な道 新エネルギー基本計画
大手電力会社も含め、いつまでに、どこに、どんな発電所を配置して、どのようなネットワークを築くのか−。原発立地地域の雇用の維持と創出を常に視野に入れながら、もう一つの基本計画を、政府は提示すべきである。
それはそのまま、脱原発依存社会の未来図にもなるはずだ。後戻りしてはいけない。 

 
■讀賣新聞「エネルギー計画 『原発活用』は現実的な戦略だ
中国には15基の原発があり、55基の建設が計画されている。重大な原発事故が起きれば、放射性物質は日本にも飛来する。
安全性能の高い日本の原発を新興国などに輸出することは、国際貢献になると同時に、日本の安全確保にもつながる。

 
各社の「原発政策」に対するスタイルがよく表れているのだが、讀賣新聞の上記の部分は思わず笑ってしまった。
 

なにしろ現在中国にある15基の原発が重大事故を起こせば、「放射性物質は日本にも飛来する」と心配する前に、国内の原発が再びあのような重大事故を起こせば日本中が放射性物質で汚染され、人が住めなくなることを心配すべきであろう。 
 

原発依存度が低くなることを恐れる経産省を中心とした「原子力ムラ」の、再生可能エネルギーに対する常套的批判は以下の様である。

 
再生可能エネルギー比率を2割に引き上げるには、原発10基をフル稼働して作る電力を、再生エネで新たに確保する計算になる。太陽光だけなら東京の山手線内の10倍の用地が、風力では約2万基の風車が要る。現時点では実現性に乏しい目標ではないか。
日照や風の状況による発電量の急変動など、克服すべき課題も多い。官民が連携して技術開発を加速しないと、活路は開けまい。

 
日本は再生可能エネルギーの宝庫である。

 
北は風、南は地熱や太陽光に向いている。


 
水力も豊富にある。長い海岸線を持つ島国の特性として、海に浮かべる洋上風力発電の潜在力も極めて高い。

 
見方を変えれば、原発推進に投資する莫大な予算を再生エネルギー活用に向けて「官民が連携して技術開発を加速」することによって「再生可能エネルギー比率を2割に引き上げる」ことは可能になるのではないだろうか、とオジサンは思う。
 
  
posted by 定年オジサン at 12:15| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月04日

安倍内閣の「なし崩し」的戦略なのか

拉致問題の「在任中の解決」を掲げる安倍晋三首相の強い決意から、北朝鮮が30日に新形態の核実験の可能性に言及する声明を出したにもかかわらず一切非難せずに、31日に行った日朝局長級協議は「協議継続で一致した」ということが唯一の成果だったようだ。

 
それだけなら問題ないのだが、すんなりと行かなかった朝鮮総連中央本部ビルの売却問題に関しては北朝鮮側は強い懸念を表明し、総連本部問題が日朝間の大きな課題になってしまった。 
 

傍から見れば、まさに「マヌケな外交」と言われても仕方がない。
 

こんな日本の外交姿勢の甘さは、「捕鯨外交、自信が裏目 『最強布陣』にあぐら 国際司法裁が中止命令」という周知の事態になったのだが、その最強の布陣とは莫大な税金を使ったことだった。

 
日本政府は準備段階から「日本として最良のチーム」(外務省幹部)という万全の態勢で裁判に臨んできたはずだった。代表団には著名な国際法学者のほか英、仏などの法律顧問も参加した。同じ捕鯨国のノルウェーなどからの科学者も加えた「最強」の布陣。「最低でも数千万円単位の弁護報酬を支払い、世界的権威の弁護士を雇った。完敗はあり得ないとなめていた」(政府関係者)と打ち明ける。

 
国際司法裁判所の裁判官16人のうち、欧米など反捕鯨国出身の裁判官は10人おり裁判官の過半数の9名を確保するにはかなり無理があったようで、結果的には判決ではこのうち9人を含む12人が日本の調査捕鯨中止に賛成した。 
 

20140404hogeichuusisankei.jpg

         
一方的にカネをばら撒くだけの安倍晋三首相お得意の「地球的俯瞰外交」は、本人だけが一人ご満悦なのだが、国と国との戦いである実際の外交には全く役に立っていないということだけが明らかになった。
 

腰砕け外交の安倍政権は、日本の将来のエネルギー政策の指針となる基本計画案策定でも、経産省の強い思惑から擦った揉んだした挙句、ようやく骨抜き的な案が決まった。 

 
<原発「反省」後回し エネ計画案 自公了承>
 2014年4月4日 東京新聞
20140404jikougouipoint.jpg 自民、公明両党は3日、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」案を了承した。政府原案の冒頭にあった東京電力福島第一原発(福島県)事故への「反省」を削除。原発を「重要」と位置付け活用する方針を明確にしつつ、国と電力会社の賠償責任など、事故を想定した対応は示さないままとした。政府は来週にも計画を閣議決定する。
 政府が2月に両党に示した原案では冒頭で原発の「安全神話」に陥って事故を防げなかったとして「深い反省」を強調していた。しかし、両党の協議では「同じ表現が出てくる」(自民党幹部)とこの部分を削除。冒頭はエネルギー基本計画の一般的な説明文へ大幅に差し替え「反省」は8ページ目に後回しにした。また「安全神話」との決別は掲げたものの、事故が起きた場合の国と電力会社の賠償責任は「総合的に検討する」と曖昧なままにした。
 核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の計画は「推進」の方針を堅持し、原発維持の姿勢を明確にした。計画の一環で核燃料を増やす研究をしてきた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)はまともに稼働しないため、核のごみを減らす研究を重視する姿勢は盛り込んだ。ただ、実用のめどが立たない事業に巨額の予算をつぎ込む構図は変わっていない。
 原発への依存度は、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーを増やすなどして「可能な限り低減させる」とした。
 公明党は再生エネの将来の数値目標を「2030年に総発電量の3割にする」と記載することを求めたが、経済産業省が強く抵抗。脚注に10年に政府が定めた「30年に総発電量の2割にする」という目安を載せ、本文では「さらに上回る水準を目指す」という努力目標にとどめることで決着した。

 
安倍晋三首相は口では「責任あるエネルギー政策を構築する」と言いながら、実際に蓋を開けてみたら、「賠償ルールは決めずじまい」さらに「核燃サイクルは展望なし」という、文字通り、責任を果たさない原発政策を平気で閣議決定しようとしている。

 
今後も輸入燃料の高騰という理由から、原発再稼働もなし崩し的に実施されかねない。

 
既存の原発の再稼働だけではなく、青森県大間町に建設中の大間原発に対しては「対岸の火事」どころではないとして、津軽海峡を挟んでわずか23キロ離れた函館市が国や電源開発に対して訴訟を起こした。

 
20140404oomagenpatu.jpg

 
<函館市、大間原発建設差し止め提訴 自治体、初の原告>
 2014年4月3日21時44分 朝日新聞20140404hakodatesuchou.jpg北海道函館市は3日、青森県大間町で建設中の大間原発について、事業者のJパワー(電源開発)と国を相手取り、建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。原発差し止め訴訟で自治体が原告になるのは初めて。訴状を提出した工藤寿樹市長は「危険だけを押しつけられて、(建設の同意手続きの対象外のため)発言権がない理不尽さを訴えたい」と語った。
 函館市は津軽海峡を挟んで大間原発の対岸にあり、市域の一部は原発事故に備えた避難の準備などが必要な30キロ圏の防災対策の重点区域(UPZ)に入る。
 東京電力福島第一原発事故では深刻な被害が30キロ圏に及んだ。函館市は「大間原発で過酷事故が起きれば、27万人超の市民の迅速な避難は不可能。市が壊滅状態になる事態も予想される」と訴え、「市民の生活を守り、生活支援の役割を担う自治体を維持する権利がある」と主張する。
 その上で、立地市町村とその都道府県にある建設の同意手続きが、周辺自治体にはないことを問題視。同意手続きの対象に30キロ圏の自治体を含めるべきで、国が2008年4月に出した大間原発の原子炉設置許可は、福島原発事故前の基準で不備があり、許可も無効と指摘する。
 今回の提訴は、函館市議会が今年3月に全会一致で認めた。弁護団の河合弘之弁護士は「市長が議会の承認を得て起こした裁判で、その重さは裁判官にも伝わるだろう」と語った。
 弁護団は「3年で判決を得たい」とした。函館市は訴訟費用を年間約400万円と見込んでおり、それを賄うため全国に募金を呼びかけ、2日までに109件514万円が集まった。
 大間原発の建設は提訴後も続く見通しだ。Jパワーは「裁判を通じて計画の意義や安全対策の考えを主張していく。函館市に丁寧に情報提供や説明をしながら計画を推進していきたい」とのコメントを出した。
 大間町の金沢満春町長は「他の自治体が決めたことにコメントはできない。町は今まで通り『推進』ということで地域一丸になって頑張る」とコメントした。
 菅義偉官房長官は記者会見で「自治体などの理解を得るために事業者が丁寧に説明を行うことはもちろん、国としても安全性を説明していきたい」と述べた。(磯崎こず恵)
     ◇
 〈大間原発〉 津軽海峡に面する青森県・下北半島の北端で建設が進む。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜた燃料(MOX燃料)を100%使う世界初の「フルMOX原発」として2008年5月に着工。建設工事は東日本大震災で中断したが、12年10月に再開した。工事の進捗(しんちょく)率は37・6%、完成予定は未定。完成すれば出力は約138万キロワット。

 
もっとも、「青森)大間原発動かず、町に暗雲 税収150億円が宙に」という原発立地自治体の皮算用もあるので、函館市の裁判に入る前の「原告適格」問題をクリアする必要がありそうである。
 

原発問題もさることながら、安倍政権が最重要課題としている「集団的自衛権行使容認のための解釈改憲」問題に関し、「与党内の批判の公開はガス抜きという演出」のつぶやきの中で、「わがままな坊ちゃん総理が、ずっと賭けに勝ってきているから怖い」と安倍晋三首相に釘を差した古賀誠が、差した釘を抜き始めている。
 

<高村氏が「限定行使論」 集団的自衛権 公明は慎重姿勢>
 2014年4月4日 朝刊 東京新聞
の自衛権の範囲には、集団的自衛権も含まれるものがある」と、限定的な行使容認に理解を求めた。これに対し、山口氏らは個別的自衛権で対応できないか、まず検討すべきだと慎重姿勢を崩さず、引き続き協議を続けることになった。
 また、高村氏は古賀氏との会談でも、限定的な行使容認論を説明した。高村氏の主張を古賀氏は大筋で容認した。
 古賀氏は安倍晋三首相が目指す閣議決定による解釈改憲を「姑息(こそく)なルール違反」と批判していた。引退後も党内に影響力を残す古賀氏が、高村氏の主張に一定の理解を示したことで、党内論議に影響する可能性がある。
 高村氏はこれまでの自民党の会合などで、限定的な行使容認の具体例として日本近海を警戒中の米艦船が第三国から攻撃を受けた場合、援護のために日本が武力行使するケースを挙げている。自民党執行部には、外国領土での戦争に加わるケースなど国民の不安が大きい事例を対象外とすることで、党内の意見集約を図る案も出ている。
 しかし、限定的とはいえ、いったん集団的自衛権の行使を認めてしまえば、なし崩し的に範囲が広がる可能性がある。

  
原発再稼働も「なし崩し」的行われるとか、集団的自衛権も「なし崩し」的に範囲が広がるとの表現における「なし崩し」とは、「ずるずると悪い方に進行する状態」の意味で使われている。
 

しかし元々の意味は「済し崩し」と表記されるように、「借金を少しずつ返却すること」とか「物事を少しずつすましてゆくこと」であった。

 
だが、安倍内閣のやり方は、「借金をいつの間にかうやむやにする」とか「(原発事故を) 帳消しにする」とか、「無かったことにする」という意図を持っているようである。

 
どうやら、麻生太郎が言った「ナチスの手口」のように、国民の関心を「無し崩し」にしようとする戦略ではないだろうか、とオジサンは思う。

 
posted by 定年オジサン at 12:44| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月26日

姑息なイメージ戦略のエネルギー基本計画案

昨年12月までには「大筋の合意」を目指していたTPP交渉も日米間の合意に至らず、年越しとなっていた。

 
そして再度「大枠の合意」を目指した閣僚会合が開かれたが、珍しく日本側が譲歩せずに不発のまま閉幕してしまった。

 

<要の日米、対立解けず TPP閣僚会合閉幕>
2014/2/26 2:00 日本経済新聞
 【シンガポール=矢沢俊樹、羽田野主】貿易と投資の自由化をめざす環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会合は25日、大枠合意を実現できないまま閉幕した。昨年末に続く2度目の交渉物別れ。要の日米が関税分野で対立し、新興国を含む全体交渉も停滞した。4月下旬のオバマ大統領のアジア歴訪をにらみ仕切り直しとなるが、TPP交渉は停滞感が強まっている。
■誤算の連鎖
20140226amaritpp.jpg 25日開いた閣僚会合後の共同記者会見。当初午後5時に開く見通しだったが、暗礁に乗り上げた閣僚交渉が早々と打ち切りとなり、2時間以上前倒しになった。「交渉は前進した」。開催国のシンガポールのリム・フンキャン通産相は強調したが、居並ぶ各国閣僚の表情は厳しかった。
 今回の交渉は誤算が重なった。「大枠合意にこぎ着けたい」。交渉前、米政府高官は強い意欲を示した。米国はベトナムなどが反発する国有企業改革で譲り、まずは貿易ルール作りで大枠合意。その後に日米を軸とする関税交渉をまとめる2段階シナリオを練った。 もくろみは外れた。「(関税などの)市場アクセスは貿易協定の核心。これ抜きに合意に至れない」(グローサー・ニュージーランド貿易相)。新興国からも「関税抜きの合意はありえない」との声が上がった。経済大国の日米両国の関税協議の着地を見極めるまでは、各国も妥協のカードを切ろうとしなかった。
 日本も交渉を甘くみていたフシがある。「重要農産品5項目のうち、コメ、麦、砂糖の3つは米国と握れているはず」。日本政府内ではこうした楽観的な見方があった。
 例えば、コメと麦は日本政府が毎年一定量買い入れている。買い入れ枠を増やせば米国も納得するとの見立てだった。ところが、フロマン米通商代表部(USTR)代表は甘利明経済財政・再生相との2度の会談で、ほぼすべての農業関税をなくすよう求める従来の姿勢を崩さなかった。
20140226tppmembers.jpg 「フロマン氏との会談を通じて議論が深まった。TPP交渉全体は70〜80%のところには来ている」。甘利氏は25日の記者会見でこう総括したが、関税交渉は最後の20〜30%が難所。そこを進める感触を得られないまま閣僚会合は終わった。
■先行き混沌
 新興国との交渉進展をあてこんで日本に強硬姿勢に出た米国。農産品関税を巡る米国の軟化を期待して、あてが外れた日本。要となる日米両国の誤算は、交渉全体の停滞を決定づけた。
 「もはや妥結の期限は重要な問題ではなくなった」。マレーシアのムスタパ通産相は25日の会合後、日本経済新聞などの取材でこう話した。関税を巡る日米協議の膠着を背景に早期妥結の機運が低下しており、時間をかけて自国の立場を主張しやすくなったためだ。 交渉の先行きは混沌としている。米政府は4月のオバマ米大統領の訪日前の妥結を「最優先課題」(米国務省高官)と指摘。フロマン氏も「日米双方の溝を埋める」と柔軟姿勢に傾きつつある。
 西村康稔内閣府副大臣は25日夜の民放番組で「5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会合までが(大筋合意の)一つの目安になる」と述べたが、11月の米議会選挙が近づくほどTPP反対勢力は勢いづく。
 同日夜、甘利氏から電話で報告を受けた安倍晋三首相は「お疲れさまでした」と労をねぎらった。4月の米大統領来日を控え、首相が前面に立つ場面も出てきそうだ。
 

自民党のTPP交渉参加の判断基準は以下の6項目であった。

 
1.政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2.自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3.国民皆保険制度を守る。
4.食の安全安心の基準を守る。
5.国の主権を損なうようなISD条項(注)は合意しない。
6.政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。

 
その後は政府は、米国との2国間事前協議では「自動車」「金融サービス」に関してはTPP先取り的な動きをしてきた。

 
それでも「わが党は、政府が11月と同様に二枚舌を使いながら、国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さないよう、政府に対して、上記の判断基準に沿うことを強く求めていきます。」という党の決意からか、「聖域なき関税撤廃」については、珍しく日本の主張を貫いているように振る舞ったのが、今回の閣僚会合だったのではないだろうか。

 
そもそも、数年前から多くの有識者たちが指摘してきたように「TPPは関税撤廃」が基本であり、例外は認められない仕組みの中で、あとから交渉に参加した国には、すでに決められたルールに従わなくてはならい。

 
こんな「日米交渉決裂」という下地を作り、安倍晋三首相はオバマ米国大統領の来日時に「大幅な譲歩」を土産にする可能性が強い。

 
選挙時の公約なんか選挙で勝てばいくら破っても責任は取る必要はない、というのが日本の政治屋連中の基本的スタイルである。

 
まさにそんな事態が、日本の将来のエネルギー政策指針において、選挙時の公約が容易に破られてしまった。

 
<公約無視の再稼働推進 エネ計画政府案>
 2014年2月26日 東京新聞
20140226energyplan.jpg 政府は25日、中長期のエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画案を決めた。自民、公明両党が政権に復帰した2010年の衆院選で掲げた「脱原発依存」の公約を無視。逆に、公約にない「重要なベースロード電源」と原発を位置付け、原発の維持・推進方針を明確にした。 (金杉貴雄)
 自民党は衆院選で再稼働には積極的な一方、公約の「政策BANK」のエネルギー項目で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」とし将来的には「脱原発依存」を目指す姿勢を示した。安倍晋三総裁も「原発に依存しない社会をつくる」と訴えていた。
 公明党は期限こそ明示しなかったが、「1年でも5年でも10でも早く、可能な限り速やかに原発ゼロを目指す」と公約した。
 ところが、基本計画案は原発について「依存度を可能な限り低減」とするにとどまった。どの程度、依存度を減らすのか明らかでなく、自民、公明両党の公約から大きく後退した。
 一方、公約には出てこない専門用語の「ベースロード電源」を国民に説明がないまま持ち出して、原発を「重要電源」として活用する考えが盛り込まれた。
 政府は昨年12月、基本計画の原案をまとめた。しかし、与党から「党内で積み重ねてきた議論が全く無視され、国民に約束した公約も反映されていない」などと批判が上がったため、1月の予定だった閣議決定を先送りし、年度内の決定を目指している。ただ、今回の案も基本路線は維持されているため、再び批判が出る可能性がある。
◆原発に固執「ベースロード電源」
 政府が25日に決めた「エネルギー基本計画」案で、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた。どういう意味なのか。 (西尾玄司)
 Q ベースロード電源とは。
 A 昼夜を問わず、1日を通して一定量の電力を供給し続ける発電設備のことだ。政府は原発のほか、石炭火力、地熱発電などを挙げている。電気の使用量は夜よりも昼の方が多いなど、時間帯や季節によって変わる。電力会社は変化する需要に確実に対応するため、複数の発電設備を組み合わせて使っている。
 ベースロード電源で足りない分は、発電量の増減が簡単で、需要が最も大きくなる時間帯に使う石油火力発電といった「ピーク電源」などで賄う。
 Q なぜ、原発はベースロード電源なのか。
 A 一度稼働すれば、少なくとも1年間は連続して運転でき、ほかの発電設備に比べて発電コストが安いというのが、政府や電力会社の理屈だ。
 Q 本当に安定していて安いのか。
 A 東京電力福島第一原発事故のような大規模な事故がいったん起きれば、ベースロードとしての役割を果たせなくなることは明らか。現実的な事故対策費や廃炉費用などを加えればコストも安くない。廃棄物の最終処分の立地場所も全く決まっておらず、費用も見通せていない。政府は原発をベースロードと位置付けて再稼働のお墨付きにする狙いがありそうだ。
 Q 原発を使い続けるとする一方で、「原発依存度を可能な限り低減させる」とも書いてある。
 A どう依存度を下げていくのか、具体的な方法や時期などを示していない。将来的に残す原発の数についても非常にあいまいだ。原発の新増設にも含みを残しており、本当に依存度を下げるつもりなのか疑問が残る。
◇基本計画案ポイント
▼原発は重要なベースロード電源。
▼原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、その判断を尊重し原発の再稼働を進める。
▼原発依存度は可能な限り低減。安定供給やコスト低減の観点から、確保の規模を見極める。
▼核燃料サイクルは、再処理やプルサーマルを推進。
▼もんじゅは徹底的な改革を行い、研究計画に示された成果の取りまとめを目指す。
▼再生可能エネルギーは2013年から3年程度導入を最大限加速し、その後も積極推進。
▼福島を再生可能エネルギー産業拠点化。

2013年12月13日に経済産業省の総合資源エネルギー調査会がまとめた計画案では、原発は「重要なベース電源」と表記されていた。

 
それをなぜ「重要なベースロード電源」と言い換えたのか。

 
「ベース電源」と「ベースロード電源」はどちらも「電気を安定的に供給する電源」という意味で、大きな違いはなく、もともと海外では「ベースロード電源」と呼んでいるため、海外にならって文言を揃えただけとも言える。

 
しかし、これまでと今回の案ではベースロード電源の「説明」に違いが見られる。

 
これまではベース電源を単に「安定供給を行える電源」と説明していたのに対し、今回の案では「発電コストが安い」ことを説明に加え、原発がベース電源として必要であることに説得力を持たせているのだ。

 
これまで資源エネルギー庁では、日本における電源設備を3つのタイプに分類していた。常にほぼ一定の出力で運転を行う「ベース供給力」、電力需要の変動に対応して稼働し主としてピーク時に必要な供給を行う「ピーク供給力」、両者の中間的の役割をもつ「ミドル供給力」である。

 
20140226BASELOAD-POWER.jpg

 
これを今回の案では「コストが安くなる」という点を強調し、説明文を変えベースロード電源は「発電コストが安く済み、昼夜を問わず安定的に稼働できる電源」としたのである。

 
だが、すでに原発による発電コストが安くないことは「原発は発電コストが一番安いって本当?」や「原発コストはそんなに安いのか?」などで明らかに証明されている。

 
エネルギーの安定供給のためには安価である必要があり、燃料価格が大きく変動することは困るし、輸入も安定して行える必要があるとの財界からの要望に沿った議論がなされ、「ベース電源」にはコストが安いことが不可欠との意見に集約された。

 
今回発表された「エネルギー基本計画」をこれまでの案と比べると、元々ベース電源とされていた石炭の他に、地熱や水力などの原子力以外のエネルギーについても、「ベースロード電源」として表記を変更し、原子力だけがベースロード電源ではないとの印象を与えようとしている。

 
さらに「ベース」という言い回しをやめることで、国民の持つイメージを変えているとも言える。

 
茂木敏充経済産業相は今回の変更について、「基本的に方向性が変わったというふうには認識していない」と、閣議後の記者会見で述べている。

 
公明党の山口那津男代表も記者会見で、今後国民によく説明する必要があると話しており、そもそも今回の文言変更については、「ベースロード電源」という表現の意味がよく分からないとの声も上がっているにもかかわらず、こんな姑息なイメージ変更による戦略でエネルギー計画案を推し進めることは余りにも国民を愚弄しているのではないだろうか、とオジサンは思う。


posted by 定年オジサン at 11:52| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 環境・エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする