2016年12月10日

日ロ首脳会談もTPP批准強行もすべて我田引水の安倍晋三

安倍晋三首相が意気込んで、対ロシアとの北方領土交渉は「新しいアプローチ」などという言葉で大きな期待感を国民に与えていたが、先月も「『新しいアプローチ』も成果のない消化試合になるのか」とつぶやいたが、その後の安倍晋三首相のトーンダウンぶりが如実に表していた。
 
9月のプーチン大統領との会談では「手応えを感じた」が、11月のペルーでの会談後の会見では「そう簡単な課題ではない」と言い始め、遂には12月5日会議では「1回の会談で解決できるような簡単な問題ではない」と大幅に態度を後退させていた。
 
今まで何度もプーチン大統領と会談してきたと胸を張っていたが、外交の基本も分からない安倍晋三首相は、したたかなプーチン大統領との差しの会談でもいいように翻弄され続けていたということであろう。
 
それにも拘わらず来週15日にはプーチン大統領が来日するが、その先は安倍晋三首相の地元の山口県である。
 
これについて、マスメディアは特にコミットメントはしていないのだが、今朝の東京新聞の「本音のコラム」で、アラビア語講師でコラムニスト、エジプト人の父と日本人の女性の間に生まれた師岡カリーマ・エルサムニーは「選挙区でのおもてなし」と題して、素朴な疑問を呈しながらも、正鵠を突いたコメントをしていた。
 
 ロシアのプーチン大統領が、いよいよ15日から2日間の予定で来日する。初日は安倍首相の「地元」山口県で、2日目は東京で首脳会談がおこなわれるそうだが、たった2日間の滞在で、わざわざ長距離移動させる意義がよくわからない。
 「(現地は)準備で盛り上がっている。温泉宿でもてなしたい」と安倍首相。超大国の一行が来れば、街は華やぐし、宣伝にもなり経済効果も期待できる。盛り上がるはずだ。必然的に安倍氏の票につながる
 首相には2つの顔がある。国のリーダーであると同時に、選挙を経て議員になった政治家だ。国の重要な外交行事を首相として権限を行使し、議員としての自分に利する地で開催するってあり?法的規制がないのが不思議だ。どっちみち勝てる選挙だとしても、これはケジメの問題だと思うのだ。ブッシュ元米大統領がテキサスの私邸に小泉元首相を迎えたのとはだいぶ事情が違う
 経済産業省によれば、日ロは先月、福島第一原発廃炉で協力を加速すると合意した。それならば福島でやれば筋は通るし、復興支援にもなる。温泉にこだわるなら、熊本地震で痛手を受けた九州の温泉地という手もある。
 安倍氏は東京育ち。山口は彼の「地元」というより、事実上、政治家としての基盤にすぎない。首相としての彼の「地元」は日本全国だとおもうのだが。     
 
「福島第一原発廃炉で協力を加速すると合意」という事実は、11月2日〜6日にかけてモスクワを訪問した世耕弘成経済産業相が日露の経済協力に関してロシアのノバク・エネルギー相と「日露エネルギー・イニシアティブ協議会」の初会合を開催し、その席上、「原子力」の分野では「原子力では東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業への協力策などを検討していくことで合意した」と報道されていた。
 
どの程度ロシアと協力策が検討されるのかは不明だが、少なくとも廃炉作業の費用どころか、「後始末」の費用は途方もなく増大しており、杜撰な見積もりが露呈した東京五輪の開催費用の比ではない。  
 
そのツケが国民に回ってくることが明らかになった。 
 
<原発国民負担「過去分」2.4兆円 福島第一処理費倍増21.5兆円>
 2016年12月10日 07時00分 東京新聞
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 経済産業省は9日、自民党の会合や有識者会合などで、福島第一原発の廃炉など事故処理にかかる費用が、2013年に試算した11兆円から21.5兆円に倍増するとの試算を示した。中でも被災者の損害賠償に充てる費用を捻出するため、「電力消費者は過去に原発の事故に備えた賠償資金を積み立てておくべきだった」として「過去分」の費用2.4兆円程度を原則すべての電力利用者の料金に上乗せする。原発を維持するため、さまざまな形で国民負担が膨らむ。 (吉田通夫)
 原発事故の賠償費用は、東京電力など原発を持つ大手電力会社が、契約者の電気料金に「一般負担金」などを上乗せして負担させる仕組みが事故後の11年にできた。原発を持たない新電力は負担義務がなく、電気料金にも含まれていない。
 これに対し、経産省は「本来は電力会社が原発事業を始めた(1966年)時から、事故に備えて一般負担金を積み立てておくべきだった」として、大手から新電力に移行した消費者も含め「過去分」の負担金を請求する。現在、大手電力会社の契約者が納めている1600億円の一般負担金の規模を基に、2011年までに積み立てておかなければならなかった「過去分」は2.4兆円と試算した。
 20年をめどに大手電力会社の契約者だけでなく、新たに新電力に移った契約者にも、等しく請求し始める方針。経産省は、40年かけて負担する場合、月に257キロワット時の電力を使うモデル世帯の負担額は月額18円だと説明している。
 しかし、賠償費用の総額は7.9兆円に膨らむ見通しで、2.4兆円の追加負担を求めても足りない。残りは引き続き東電と大手電力会社の契約者に求めるため、大手の電力利用者は料金がさらに上がる可能性もある。このほか、廃炉費用は13年試算の2兆円から8兆円へと4倍になる。東電に利益を上げさせて資金を捻出するが、東電管内の電気料金は他社の管内よりもさらに下がりにくくなる。
 放射線に汚染された土壌などを取り除く「除染」の費用も2.5兆円から4兆円に増加。取り除いた土壌を保管する「中間貯蔵施設」の建設費1.1兆円も1.6兆円に膨らむ。ともに国民負担の増加につながる。
 
一般庶民感覚からすれば、「兆」単位の金額は全く想像がつかない。
 
分かり易くすれば、1兆円は、例えば1万円札100枚=100万円を1センチと仮定すれば、1億で1mなので1兆ならば10kmの高さになると考えれば、途方もないほどの金額である。
 
したがって「21.5兆円」というのは雲をつかむような話なのである。   
 
さて、「強行採決は結党以来、したことがない」と平然と嘘を続けて、与党補完政党の日本維新の会等をまきこんだ強行採決で遂にTPPに関する国会での審議は終わってしまった。 
 
<TPP発効見通しなく承認 トランプ氏、2国間交渉の意向>
 2016年12月10日 朝刊 東京新聞
・・・前略・・・
 ◆トランプ氏脱退明言
 安倍政権はTPPの国会承認で、自由貿易の拡大を今後も進める考えだ。トランプ次期米大統領が脱退を明言し、発効に向けた展望がない一方で、国内にも反発が強かった関税や非関税障壁の緩和といった合意事項は、今後、TPPに代わる2国間交渉が日米で進んだ場合の基準となり、さらなる譲歩を求められる可能性がある。
 安倍晋三首相は国会答弁で、TPP承認の意義を「TPP並みのレベルの高いルールを、いつでも締結する用意があるとの意思を示す。他の交渉を加速させる力となる」と述べてきた。日本政府はコメなど今後も関税を維持する「聖域」はTPP交渉の末に守ったとしている。首相の答弁は、これ以上の譲歩はしないとの決意を強調したものだ。
 だが、国際情勢を見ると、首相の言葉を額面通りには受け取れない。
 トランプ次期米政権はTPP脱退を実行した後、2国間交渉を進める意向。米国は日本の約4倍の経済力を背景に、TPPを上回る自由化を迫ってくることは避けられない。過去、日米の2国間貿易交渉は自動車や繊維などで、日本が譲歩してきた歴史があり、今後もそれが繰り返されないとも限らない。
 
「TPPは開国ではなく壊国」とかつては言われていたが、そのTPPが発効しなくても、トランプの出現によって日米FTAという2国間交渉で米国の「America First」政策が露骨になれば、なまじ「TPP並みのレベルの高いルールを、いつでも締結する用意がある」と表明したことが今後は墓穴を掘りかねない。
 
それでもTPP承認にこだわったのは安倍晋三首相のオバマ政権への配慮なのか。  
  
<押され続けた対米交渉 発効執着 オバマ政権配慮色濃く>
 2016年12月10日 朝刊 東京新聞
20161210tppsuii.jpg 環太平洋連携協定(TPP)は、遅れて交渉に参加した日本が9日に国会承認まで進めたのに、先導役だった米国は承認のめどが立たない。これまでの経過をたどると、米国の意向に振り回され、はしごを外された日本の姿が浮かび上がる。
 TPPはシンガポール、ニュージーランドなど4カ国による経済連携協定が前身。オバマ米大統領は2009年にオーストラリアなとともに参加の意向を表明し、10年3月から8カ国で拡大交渉が始まった。
 日本は米国との同盟関係を重視する立場から、当時、民主党の菅直人政権が交渉参加を検討。12年には事前協議も始めた。だが、TPPは関税撤廃を原則としたため、コメや牛肉・豚肉といった国内農畜産業への影響を懸念した野党・自民党などが抵抗。同年の衆院選では、自民党が「聖域なき関税撤廃」が前提の交渉参加に反対と公約に明記した。
 第二次安倍政権が発足すると、安倍晋三首相はすぐにオバマ氏と会い、「聖域なき関税撤廃」が前提ではないと確認したと表明。交渉参加に舵を切り、7月には交渉に合流し、米国と足並みをそろえて交渉を引っ張る姿勢を明確にした。
 いざ交渉が始まると、米国は日本側の「聖域」に対し、関税を撤廃に近い水準まで引き下げるよう圧力をかけてきた。オバマ氏が14年4月に来日した際、安倍首相が夕食会に招待した都内の有名すし店で「人生で一番おいしいすしだ」と喜びつつ、TPP交渉での歩み寄りを首相に真顔で迫る場面もあった。
 15年10月の大筋合意を受け、日本では野党などが「聖域が守られていない」と反発。首相は弁明に追われる中、オバマ氏とともに議会承認を目指した。
 ところが米国では、大統領選の有力候補だった共和党のトランプ氏や民主党のクリントン氏がそろってTPP批判を展開したことで様相が一変。米国内の承認手続きは進まず、今年11月の大統領選ではTPP脱退まで唱えるトランプ氏が勝利したことで、発効の見通しは立たなくなった。
 それでも首相は発効にこだわり、国会承認にこぎ着けた。TPP発効をともに目指しながら、残り任期1カ月あまりとなったオバマ氏への配慮が色濃くにじむ。

本当にオバマ大統領に配慮する意思があったのなら、オバマが欧州訪問中に、他国に先駆けてトランプ詣でなどできなかったはずであった。
 
このあたりが安倍晋三の狡猾さが良く現れているところである。
  
TPPの関連法は、TPP承認に合わせた国内法の整備と影響を受ける畜産農家の支援策など計11本の法改正だが、ほとんどが施行日をTPPの発効日としており、施行の見通しは立っていない。
 
それでは、なぜこのTPP予算をあえて残すのだろうか。  
  
<安倍首相、TPP予算を残す方針 トランプ大統領就任後も>
 2016年12月10日 朝刊 東京新聞
 安倍晋三首相は9日、環太平洋連携協定(TPP)の発効を見越して組んだ約1兆1900億円の関連予算について、来年1月にトランプ氏が米大統領に就任し、実際にTPP脱退を宣言した後も予算の執行を止めない方針を示した。野党からは「無駄遣い」との批判が上がっており、来年1月召集の通常国会でも問題視されそうだ。
 首相は9日午前の参院TPP特別委員会で「TPP(の発効の成否)にかかわらず、わが国に必要な政策であり、執行停止することは想定していない」と述べた。政府は2015年度補正で4875億円、16年度当初で1582億円、16年度補正で5449億円のTPP関連予算を計上。いずれも15年11月にまとめた「総合的なTPP関連政策大綱」に基づく措置で、農林水産業の体質強化や中小企業の海外進出支援策などだ。
 これらの予算について、9日、民進党の大野元裕氏は「トランプ氏が脱退を宣言すれば、未執行の予算は返納すべきだ。(税金は)1円でも無為に使うべきではない」と指摘。民進党は各種事業の正当性に懐疑的な姿勢を示しており、来年の通常国会で追及する方針だ。 
 
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「農林水産業の体質強化や中小企業の海外進出支援策」などは、来年早々にも想定される衆院解散にともなう票集めの目的であることはいうまでもなく、国家予算で自己の保身を図るというまさに我田引水と批判されても仕方がないのでないだろうか、とオジサンは思う。 

posted by 定年オジサン at 12:48| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月08日

「日本文明の墓場」が終着駅のTPPバスからは下車すべし

ハワイでクリスマス休暇中のオバマ大統領に会って、今月26日に「葱を背負った鴨」と言われようとも真珠湾に行き何を語るのか、注目されている安倍晋三首相。
 
その真珠湾に旧日本軍が奇襲攻撃を行ったのが75年前の12月8日。
 
若き現代史家が、東京新聞・【言わねばならないこと】でこう語っていた。
  
<(82)大本営発表を教訓に 近現代史家・辻田真佐憲さん>
 日本軍が米ハワイの真珠湾を奇襲攻撃し、太平洋戦争が始まってから8日で75年。「勝った」「勝った」と国民を欺き続けた戦時中の「大本営発表」は、日本のメディア史で最悪の出来事だった。新聞が軍の動向をきちんとチェックしていれば、国民はそれを知ることができたし、軍もいいかげんなことはできなかった。最後の防波堤が壊れてしまった。
 軍の存在感が高まったきっかけは1931年の満州事変だった。陸軍に批判的な論調だった新聞各紙は、スクープをものにしたいために協力に転じた。戦争に便乗すれば新聞は売れた。軍は機密費で記者を接待するなど、一体化が進み、大本営は敗戦まで、でたらめな発表を繰り返した
 大本営は太平洋戦争で連合国の戦艦43隻、空母を84隻沈めたと発表した。実際の連合軍の喪失は戦艦4隻、空母11隻。米空母「サラトガ」は、昭和天皇が「沈んだのは今度で確か4度目だったと思うが」と苦言を呈したエピソードも残っている。戦果の誇張と損害の隠蔽(いんぺい)も当たり前となり、守備隊の撤退は「転進」、全滅は「玉砕」と美化された。
 大本営発表の問題は福島第一原発事故にも通じる。それまでマスコミは原発にあまり関心を持たなかった上に、電力会社が莫大(ばくだい)な広告費を出し、批判しにくい風潮の中で事故が起きた。マスコミのチェック機能がまひしていたわけで、戦後70年近くが経過しても大本営発表の教訓を学べていなかったのではないか。
 マスコミと政治権力の一体化は戦時下の異常な事態と片付けるのではなく、現在につながるものと考えた方がいい。政治と報道が再び一体化することを防ぐために、大本営発表という歴史の暗部を共有したい。
 <つじた・まさのり> 1984年生まれ。近現代史研究者。文筆家。著書に『大本営発表』『日本の軍歌』『ふしぎな君が代』(いずれも幻冬舎新書)。
 
「マスコミと政治権力の一体化」は、既に着々と進行していることは、今さら言うまでもない。
 
「軍は機密費で記者を接待」したそうだが、今では官房機密費がその役割を担っており、「『官房機密費』の使い道がヤバい!税金を泥棒する政治家・メディア・評論家たち!」というまとめサイトに実例がゴマンと掲載されている。
 
「大本営発表という歴史の暗部」を再現しているのは、2014年1月の就任あいさつで「政府が右と言っているものを左と言うわけにはいかない」と仰天発言し、その後も公共放送のトップとしての資質が度々、問われてきた籾井会長を迎えた「アベ様のNHK」であった。
 
そして、あまりにもの暴言やNHKにハイヤー代を肩代わりさせていたり、経営委に無断で350億円の土地を子会社に買わせたりして、遂に安倍政権から見捨てられ、ようやく来年1月からは新会長に交代するようだが、オジサンからみれば、ヤクザな三井物産出身者から、表向きは「清貧」の人柄の三菱商事出身者に代ったに過ぎず、安倍政権が反対していない人事なので、NHKの体質は変わりがないことは明らかである。
 
政治の世界の話になると不愉快な話題が尽きないのだが、久々にさわやかなニュースがあった。     
  
「子どもたちは抱きしめられるため、周りの人を笑顔にするために生まれてきた。この思いを胸に活動を続けていきたい」
「顔が見える方が子どもの励みになるし、支援しているのは『ヒーロー』ではなく『普通の人』と知ってほしかった」
「施設を出た後の子どもに支援が届くようになってほしいが個人や企業、団体では限界がある。行政も巻き込みたい」
 
こんな発言をしたのじは、6年前、「タイガーマスク運動」の先駆けとして前橋市の児童相談所にランドセル10個を届けた、決して「普通の人」ではできないことをやっていた「伊達直人 私の名は河村正剛、43歳…[『普通の人』」。
 
それに比べて、選挙で国民から負託され国民の税金で暮らしている「特別な人」は、昨日の国会での党首討論で、「質問にまともに答えない。聞かれた趣旨とずれた発言を長々と続ける。45分という党首討論の時間が過ぎるのを待つかのような、安倍首相の姿勢にあきれる。」と朝日新聞の社説に「党首討論 安倍さん、あんまりだ」と書かれる始末。 
 
ますます国会軽視の姿勢が露わになった証なのだが、TPPの国会決議が100%守られていない項目があると、TPPの事前協議に日本政府の交渉官として携わった人が指摘している。
 
<TPP国会決議違反「明白」 事前協議時の交渉官が指摘>
 2016年12月8日 朝刊 東京新聞
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 環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案は9日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立する公算だ。本紙は承認案について、コメ、麦を含む「重要5項目」の関税を維持する「聖域の確保」などを求めた国会決議に反する疑いがあると報じてきた。TPPの事前協議に日本政府の交渉官として携わった明治大学農学部の作山巧(さくやまたくみ)准教授(50)=貿易政策論=は本紙の取材に、重要部分で明白な決議違反があると語った。(清水俊介)
 農水省の国際交渉官として2007年から、経済連携協定などの交渉を担当した作山氏は10年12月からTPP専従に。他の参加国からの情報収集や交渉参加に向けた事前協議を担当した。13年3月に安倍晋三首相がTPP交渉参加を表明した後、退官した。
 国会決議は13年4月、衆参両院の農林水産委員会で行われ、8項目を政府に要求。作山氏は8項目のうち「重みのある3つ」が守られていないと説明した。
 1つは重要5項目を「除外又(また)は再協議の対象」とするよう求めた決議項目。重要5項目は594品目のうち155品目で関税率が維持されたが、「精米」「玄米」のようなくくりで見れば、いずれも低関税や無関税で輸入する枠が新設されたり拡大されたりする。作山氏が今年3月に学会で指摘し、政府側も国会審議で認めた。作山氏は「(事実上)税率を維持した品目はなく、『除外』は存在しない」として、決議に「100パーセント違反している」と述べた。
 作山氏は聖域が確保できない場合、「脱退も辞さない」よう求めた項目も守られていないと指摘。交渉官時代、これまでの貿易交渉よりかなり高い関税撤廃率を求められるなど厳しい条件を突きつけられた経験から「日本は手足を縛られたような交渉を強いられ、重要項目でも影響が少ない順に関税を見直していった」と分析。明らかに聖域は確保されなかったのに「脱退もしなかった」と話した。
 国会や国民に、交渉に関する情報公開を求めた項目も守られなかったとした。
 守られたのは食品表示での安全・安心の確保、企業や投資家が貿易相手国を訴えられる「投資家と国家の紛争解決手続き(ISDS)」条項の乱用防止など3項目で、残り2項目は「守られていないが、それなりに対応した」と評価した。
 政府側は「国益にかなう最善の結果を得られた。決議違反ではない」と国会審議などで主張している。
 
正確には「脱退もしなかった」のではなく、「TPP交渉は、国際法の形式上はともかく、国際政治の実質上は、途中離脱はほぼ不可能であり、しかも、日本にとってどれほど不利な交渉結果であってもそれを飲まざるを得ない可能性が極めて高い」と、日本がTPPに参加するのかしないのか、と当時の民主党政権時代に揉めていた頃、TPP参加反対を唱えていた中野剛志・京都大学大学院工学研究科准教授は、「TPP『交渉後の離脱も可能』は推進論者の詭弁!日米関係悪化を脅しとした協定締結が狙いだ」という記事の中で明確に指摘していたことを思い出す。 
 
最近国会で話題になったことの一つとして、野党時代の自民党の稲田朋美の発言であった。

墓場が終着駅のTPPバスからは、一刻も早く下車しなければ危険だ、と今月の参院のTPP特別委員会で、財務会計専門の会計学者である醍醐聰・東大名誉教授が参考人として発言していた。
 
【「TPPバスからの下車を!」 醍醐聰・参考人12/2参院・TPP特別委員会】

<「TPPバスからの下車を!」 醍醐聰・参考人12/2参院・TPP特別委員会>
【口述要約書き下ろし:一部不明箇所あり】
 醍醐と申します。こういう機会を頂きましてありがとうございます。
私が申し上げたい事は、大きく二つでございます。もはや発効が見込めなくなったTPP協定。それでも国会で承認するという事は、ただ無意味であると言うにとどまらず、危険な行為だと言う事をお話ししたい。
では、どこが危険なのか。協定案をスタートラインとして、二国間協議に入って行く事がどうして危険なのか?その事を少しお話したいと。
その場合、本日の主なテーマである医療、薬価問題を中心にお話ししたいと思っております。
TPP協議に参加入りを決めた時に、全国の大学教員が非常に将来を危惧しました。約850人の様々な分野の大学教員、私の様な名誉教授も含めまして、TPP参加交渉からの脱退を求めようという会を作りました。
今回、この28日に緊急声明を発表しました。今日の私の話と関わる所を少し読み上げさせて頂きます。
「死に体のTPP協定を我が国が国会で承認しようとするのは、無意味であるというにとどまらず、危険な行為である。協定文書を国内で承認すれば、仮にTPPが発効に至らないとしても、日本はここまで譲歩する覚悟を固めたという、不可逆的な国際公約と受け止られ、日米二国間協議の場で協議のスタートラインとされる恐れが多分にある。」
この点を私は強調したいと思っております。
次ですが、これは実は大学教授の会だけが言ったのではなくて、安倍首相ご自身が国会で仰ってる訳です。
28日、昨日私もテレビで見ましたが、この特別委員会の場で安倍首相はこういう答弁をされています。「協定案が国会で承認されるならば、日本がTPP並のレベルの高いルールをいつでも締結する用意があるという国家の意志を示す事になる」こういうことを明言されています。解釈は全く逆ですけれども、将来の見通しについては奇しくもなんか同じになっている様な気がしました。
しかし、その解釈の違いなんですが、つまりTPPバスの行き先が全く違うと言う事ですね。協定案は、それほど、安倍首相が仰るほど胸を張れる内容なのか?バスの行き先は、墓場から〜?へといつ変わったのか??私は変わったとは思っていません。むしろTPPの原理主義である関税無き例外無き撤廃に向かってひたすら走り続けるという事だと思っております。
そのようなTPP協定を国会が承認すると言う事は、そもそもなぜ危険なのかっていう時に、その危険に警鐘を鳴らした国会決議に背いていると言う事です。これにつきまして、(昨日TPP特別委員会をテレビで見ておりまして、その録画をとって貼付けました。)ある議員がこういう事を仰っていました。他国に比べて多くの例外を確保した。と。これは、よく頑張ったと。いう仰り方でした。しかし、この他国に比べてと言う時に、日本は他国をほぼ100%関税を撤廃したのに対して、日本は全品目では95%農林水産品では82%という数字をパネルで紹介されました。問題は、この82%から外れたのは一体なんなのだと。その事を触れられなかったのを私は奇異に思いました。
重要5品目が594ラインです。そのうちの28.5%170品目で関税を撤廃しております。また、269品目45.3%で税率削減か新たな関税割当をしております。このような内容抜きに、よくやった!ととても言えるものではないと思っております。
しかも強調したい事は、この協定案がファイナルではないと言う事です。これからがむしろ、どんどんとTPPバスが先へまっしぐらに走り続けると。その事が協定案の言うまでもない事ですが、付属書をご覧になればもう随所に協議協議と言う言葉がもう登場致します。しかもまた、政府ガードにつきましても牛肉は16年目以降4年間連続で発行されなければ廃止。豚肉は12年目で廃止。と軒並みこれは廃止です。
次のページです。安倍首相は再協議には応じないってことを繰り返し仰ってます。私はこの言葉がすり替えだと言う風に思う訳です。
そもそもTPP協定案で明記されている再協議と言う事ではなくて、協議協議、つまり継続協議を約束すると言う事が、TPP協定の根幹だと思っているわけです。
協議を継続するって言う風に協定案の中に明記されている事をあたかも、任意でやったりやらなかったりできるかの様な、再協議と言う風に呼び方を変えると言うことは私は、すり替えだと思います!
しかも、この継続協議といいますけれども、逆戻りが出来るのかどうなのかです。
片道切符のバスと書きましたが、例えば第二4条一では、何れの締約国も現行の関税を引き上げまたは、新たな関税を採用してはならない!となってる訳ですからもう逆戻りは出来ない!ってことをこれは、もう好き嫌いではなくて約束している訳ですね。これは安倍首相と言えどもこれは変える事は、離脱しない限りは出来ない訳です、免れない訳ですね。
それから、同じ第二の4で前進的に関税を撤廃するってことも明記してます。
また、3項では、関税の撤廃時期の繰り上げについても検討すると。その為の協議を継続する。と言う事をこれをもう明記しております。
さらに、オーストラリア、ニュージーランド、米の要請に基づき現産品の待遇についての約束にセーフガードも含むと。検討をするためこの協定が効力を生じる日の後7年を経過する日以降に協議するとなっております。協議と言いましても、どちらにも向けるんでは無くて、関税を下げる、撤廃の方向にひたすら走る協議だということは、もうこれは動かせない事実となっております。
この後は少し医療をめぐって、意見を述べさせて頂きたいと思います。
協定の2の6、このあたりは時間が無いのでやめますが、その中の第五条で各締約国はこの付属所に関連する事項において協議を求める他の締約国の要請に好意的な考慮を行い協議の為の適当な機会を設ける。と。つまりTPP協定全般ではなくて医療でもこのような約束が明記されていおります。
また、これは日米両国間が交わした書簡というのが含まれております。
今年の2月4日日米がかわした書簡で、フロマン氏からこういう書簡が出されています。日本国及び合衆国は付属書26のa5に規定する協議制度の枠組みの元で付属書に関するあらゆる事項、この中には保健医療制度を含むと、について協議する用意がある事を確認する。本代表は貴国政府がこの了解を共有する事を確認されれば幸いであります。と書きました所、同じ日に高取修一副大臣名で本簡はさらに日本国政府がこの了解を共有していることを確認する光栄を有します。と述べています。
私が、このような協議を入る事を約束している日米の、つまりTPPの中に入り口がリンクされている訳ですね。ですから、TPPと二国間協議はもう連動している訳です。TPPを承認すると言う事は、このような協議に入る事をもう約束すると言う事になる訳です。あるいは、発行はしなくても安倍首相の言葉を借りれば、それを国際公約として胸を張ってこれを約束するってことを仰っている訳ですね。そのことが、どういう懸念があるのかと言う事ですが、2011/2発表されました日米経済調和対話の中の米国側関心事項ってことがございます。
・・・中略・・・
最後に私が感銘を持ったのは、2013年7月4日、こういう場で公表するのはいかがかと思ったんですが、自民党長老の尾辻秀久議員が選挙の出陣式でこういう事を仰っているのをYouTubeで聞きました。「米では4000万人が医療保険に加入していない。WTOは世界の医療保険制度で文句なしに日本が一番と太鼓判を押した。なんで15番の国、米から世界一の日本が偉そうに言われるんですか」
続きまして、「私たちの宝を、米の保険会社の儲けの倉庫にする様な事を絶対にしてはいけない」私はこの言葉を聞いて本当に感銘を覚えました。でこれを受けまして、最後に申し上げたいのは、多国籍製薬資本の営利に国民皆保険制度を浸食されて良いのか?国民皆保険制度を財政面から揺るがさないためには、TPPバスから下車するのが唯一最善の道だと私は考えます!結局今、国会議員の皆さんあるいは国民一人一人、有権者一人一人に問われているのは、未来の世代に尾辻さんの仰る貴重な財産、宝物を未来の世代にしっかりと引き継ぐ事ができるのかどうなのか。その引き継ぐ責任が、問われていると言う風に私は考えまして終わらせて頂きます。
 
米国次期大統領のトランプの「来年の大統領就任時にTPPからの離脱を宣言する」という発言に、国内のTPP反対派は諸手を挙げて歓迎していた人が多かった。
 
しかし、「日本はここまで譲歩する覚悟を固めたという、不可逆的な国際公約と受け止られ、日米二国間協議の場で協議のスタートラインとされる恐れが多分にある。」という醍醐名誉教授の指摘と、一見すると同じように聞こえる、「協定案が国会で承認されるならば、日本がTPP並のレベルの高いルールをいつでも締結する用意があるという国家の意志を示す事になる」という安倍晋三首相の答弁が、むしろ来年以降は、トランプ米大統領に逆手に取られて、日米2国間協定で大幅な譲歩を迫られることは明白ではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:44| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月29日

TPPは決して発効どころか発酵もせず腐敗する

米国オバマ大統領が中国を経済的に包囲するという狙いから、強引に割り込んで主導権を握ったTPPが、トランプの出現によって頓挫し、代りにTPPという考え方を受け入れるのを、なんとか引き止めることを狙って、中国が持ち出した概念である東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に各国が舵を切り始めているという。  
  
<全員参加のTPP後の世界>
 2016年11月28日 (月) マスコミに載らない海外記事
Pepe ESCOBAR
2016年11月24日
Strategic Cultural Foundation
ペルーのリマでのアジア太平洋経済協力会議 (APEC) サミットついでの“約四分間”立ち話前後の、アメリカのバラク・オバマ大統領と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の気持ちのこもらない握手が、オバマ時代のもの悲しい衰退をもののみごとに捕らえている。
オバマと“実存的脅威”たるロシアと中国との険悪な関係の目まぐるしい記憶には、アメリカ政府が支援したキエフのマイダンから、シリアにおける、オバマの“アサドは辞任すべきだ”に至るあらゆることが含まれるが、石油価格戦争、経済制裁、ルーブル攻撃、プーチンとロシアのあらゆる物事の極端な悪魔化、南シナ海での挑発など、全てが盛りを終える状況になっているのは特記に値する。大いにもてはやされた環太平洋連携協定(TPP)の死が、ドナルド・トランプ当選直後、APECで再確認された。
中国の習近平国家主席が、既にプーチンと共有した、地政学的満足感に浴する中、皮肉にも、南米の太平洋海岸を背景に、最後の国際記者会見で、到底目ざましいとは言い難い実績を弁護するオバマの姿を見るのは、余りにつらいことだった。トランプは、リマで姿は見えずとも、至る所に遍在していた。
“貿易のNATO”アジア基軸の武器(2011年10月、ヒラリー・クリントンが初めて発表した)のペルー太平洋海水への水葬儀式は、かくして、習首席にとって、中国にしっかり支持されている東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の利点を売り込む完璧な舞台となった。
RCEPは、世界最大の自由貿易協定となることを狙った野心的な構想だ。世界の人口の46%、GDP合計は、17兆ドルで、世界貿易の40%を占める。RCEPには、ASEAN諸国10カ国、プラス、中国、日本、韓国、インド、オーストラリアとニュージーランドが入っている。
RCEP構想は、四年前、カンボジアでのASEANサミットで生れ - これまで、9回の交渉を経ている。奇妙にも、ASEANがパートナー諸国と締結した手に余る数の二国間協定を結合する仕組みの当初の構想は日本発だった。しかし、今や中国が先頭だ。
アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の支柱でもあるRCEPは、北京でのAPEC会合で、最大の貿易相手国が中国である諸国が、TPPという考え方を受け入れるのを、なんとか引き止めることを狙って、他ならぬ中国が持ち出した概念だ。
RCEP、そして、FTAAPも、(アメリカの多国籍企業によってでっちあげられた)超包括的貿易ルールの新たなセットではなく、既存の協定を、ASEAN諸国や北東アジア、南アジアや、オセアニアの主要な国々に拡張するものだ。
太平洋の風がどちらに向かって吹いているかを知るのにベテラン気象予報官は不要だ。ペルーとチリは、今やRCEP参加に動いている。そして、TPPが息を引き取るまで交渉をしていた日本も、RCEPにむけて舵をきった。
サルタン行動す
一方、プーチンと習が再会し、プーチンは、新シルク・ロード、別名、一帯一路 (OBOR)へのロシアの関与を深めるべく、来春中国訪問の意図を明らかにした。究極的な目標は、中国が率いるOBORをロシアが率いるユーラシア経済連合(EEU)の発展と併合することだ。
これが、11月始め、ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相と中国の李克強首相がサンクトペテルブルクで調印した経済、投資と原子力産業における25の政府間協定と、ロシア-中国ジョイント・ベンチャー・ファンド設置の背景にある精神だ。
並行して、ほぼ突然わずか一撃で、トルコのタイイップ・エルドアン大統領が、パキスタンとウズベキスタン訪問の帰路、過去数カ月既に明らかになっていたことを確認した。“トルコが、上海ファイブに加わっても良いのではないか? 私はプーチン大統領、(カザフスタン大統領)ナザルバエフ、現在上海ファイブに入っている人々にこの話をした… もしトルコが上海ファイブに参加すれば、機構はより円滑に機能できるようになろう”。
この突発的発言は、もちろん、2001年に、上海ファイブ - 中国、ロシアと中央アジア三国、カザフスタン、キルギスタンとタジキスタン (ウズベキスタンが後に参加)として - サラフィー主義聖戦と、アフガニスタンからの麻薬密輸と戦う安全保障同盟として発足した上海協力機構(SCO)に関するものだ。
年月とともに、SCOはより大きく発展し、アジア統合/協調機構となった。インド、パキスタン、イラン、アフガニスタンとモンゴルはオブザーバーで、インドとパキスタンが、2017年までには、まず間違いなく正式加盟国として認められるはずで、それにイランが続こう。トルコ(2013年以来)と、ベラルーシは、SCO“対話パートナーだ”。
狡猾なエルドアンは、トルコが“あらゆる犠牲を払って”EUに加盟する必要はないことの強調と絡めて、SCOにふれたのだ。エルドアンが、7月クーデターを生き延びて以来、極めて明らかな妥協ない取り締まりを開始し、ブリュッセルは恐怖をもってそれに対応し、(これまで)11年間のトルコ加盟交渉は完全に行き詰まった。そして、ドイツに次ぐEU第二の大国フランスは、来年誰が大統領に選ばれようとも、今後必然的に阻止するだろう。
SCOが、OBORや、EEU、中国シルク・ロード基金、アジア・インフラ投資銀行(AIIB)や、加盟諸国のプロジェクトへの資金供与を開始するBRICS新開発銀行(NDB)とさえ益々連動し、他の南の発展途上国にも拡張する中、トルコがSCOに加盟すれば、長期的には、イラン、インドとパキスタンと共に、ユーラシア統合のもう一つの主要結節点となろう。モスクワと北京は、アンカラを大歓迎するだろう。
トランプの中国/アジア外交政策の輪郭がどのようなものであるにせよ、ユーラシア統合は衰えることなく進むだろう。中国は同時に 小売り消費、医療、旅行やスポーツを推進すべく、金融、財政や税政策を含む微調整を含む国内、対外政策旋回も推進しており、 全ユーラシアで推進するOBORと並行して、あらゆるものが経済超大国を強化することになる。
アジア版貿易NATO、TPPは、今や長くくねった道に残された、はぎ取られた頭皮状態だ。南シナ海では、オバマ政権中、醸成させてきた対立を、対話が徐々に追い出しつつある。
APECで、習主席はフィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテとも会談し、中国とフィリピンで海事協力しようと呼びかけた。実利的な結果として、フィリピン漁師は、2012年以来、中国支配下にあるフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の豊穣な漁場の利用が継続できることになる。北京は、水産養殖などの代替産業で、フィリピンの漁師を支援することも約束した。
これを南シナ海横断連携と呼ぼう。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/11/24/all-aboard-post-tpp-world.html
  
「アジア版貿易NATO、TPPは、今や長くくねった道に残された、はぎ取られた頭皮状態」にもかかわらず、世界の潮流の変化を読みとれない日本では、安倍晋三首相が参院本会議でトランプ次期米大統領が離脱表明したTPPについて「今ぶれてはならない。意義を粘り強く訴え続ける」と、12月14日までの会期延長を決めてしまった。
 
これは、TPP承認案は参院で可決されなくても、11月10日に衆院で可決されたため、憲法第61条の「条約の承認に関す衆議院の優越」の規定で30日後の12月9日に自然承認されるからである。
 
14日間延長されると、超過費用はどのくらいになるのか。
 
ちなみに、「平成28年度国会所管 一般会計歳出予算各目明細書」を眺めてみた。
 
あくまでも歳出予算なんだが、衆参関連のそれぞれザックリの数字は以下のとおりである。
 
■衆議院  :73,903,480,000円
■参議院  :44,972,743,000円
◆国会図書館:19,556,320,000円 
   
さらには、裁判官訴追委員会、裁判官弾劾裁判所関連予算もあるがここでは無視する。
 
衆参と国会図書館の年間の運営費予算は、合わせて約138,432,543,000円。
 
おおよそ1400億円となり、国会会期中だけの日数で計算するとかなりの金額になる。
 
国会期間中だけでなく、期間外の様々なことにも税金が使われており、職員の基本給と俸給、各種手当などは会期に関係なく支払われるので、会期中、24時間フル稼働かも知れない。
 
従って年間予算約1400億円を365日で割って見れば、1日当たり約3.8億円となる。
 
固定費を除いて計算しても14日間の会期延長で50億円近くの税金が浪費されることになる。
 
はたして健全な民主主義を担保するための必要経費と言えるものなのだろうか。
 
今朝の東京新聞・社説ではそんな素朴な疑問を投げかけていた。
 
<国会会期 何のための延長なのか>
 2016年11月29日 東京新聞
 そもそも発効しない協定を承認する必要があるのか。私たちの暮らしに関わる年金の法案を、議論を打ち切って、採決を強行して成立させていいのか。一体、何のための国会延長なのだろう。
 今月30日までの臨時国会の会期が14日間、延長されることになった。安倍晋三首相(自民党総裁)と公明党の山口那津男代表がきのう会談して確認した。正式にはきょう国会で議決される。
 環太平洋連携協定(TPP)の今国会承認を確実にするとともに、年金支給額を抑制する年金制度改革関連法案を成立させるためだという。
 TPP承認案と関連法案は今月10日に衆院を通過した。このうち承認案は憲法の規定で、参院で議決されなくても12月9日に自然承認となる。延長幅を14日間としたのは、今国会中にTPPを承認して、早期発効を目指す政権の姿勢を示すためだろう。
 しかし、TPPを取り巻く国際環境は激変した。
 米次期大統領に就任するドナルド・トランプ氏が、来年1月20日の就任当日にTPPを脱退することを正式に表明したためだ。
 米国がTPPから脱退すれば、発効すらしない。そんな協定を承認する必要性がどこにあるのか。
 安倍政権は発効すらしないTPPを承認するばかりか関連法案も成立させ、予算措置も講じるという。これでは、真の目的は各省庁による予算枠の獲得であり、TPPはそのだしに使われただけなのかと、うたぐりたくもなる。
 TPP承認案と関連法案はせめて、トランプ新政権発足後まで棚上げすべきではないのか。
 年金制度改革関連法案も同様になぜ成立を急ぐ必要があるのか、理解に苦しむ。
 年金制度の安定には長期にわたる制度設計を要する。政権交代のたびに制度が変わる不安定さを避けるには、少なくとも野党第一党の理解を得る必要があろう。支給額を抑制するのならなおさらだ。
 国会会期の延長が、与野党が胸襟を開いて議論し、知恵を絞るための時間を確保するためなら理解もするが、現実は関連法案成立のための最低限の時間を与党側が確保するのが目的だろう。     
 会期延長に限らず、安倍政権はこのところ採決強行など数の力を背景にした強引な国会運営が目立つ。望み薄なのは重々承知だが、数の力におごらず、丁寧な国会運営を望みたい。実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな、である。
 
「真の目的は各省庁による予算枠の獲得であり、TPPはそのだしに使われただけ」という疑念は下表の項目とTPP発効前に一部執行されていることを見れば明らかである。
 
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【東京新聞より】

 
「早期発効を目指す」前にすでに「発酵より腐敗」し始めているTPPにこだわる安倍晋三。
 
安倍晋三には「実るほど頭を垂れる稲穂」と期待することは絶望的であり、「人間は実が入れば仰向く、菩薩は実が入れば俯く」という言葉が最も適しているのではないだろうか、とオジサンは思う。

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2016年11月24日

偉そうに「トランプ氏に翻意を促す」ことは内政干渉である

詩人のサトウハチロー作詞の「小さい秋みつけた」という童謡。
 
単純な歌詞ながらも、昔からいろいろな解釈があった。
 
秋にサイズの「大小」があるわけでもないのだが、「古今和歌集」にある平安時代の歌人・藤原敏行の和歌の一つである、「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」と同じように極めて情緒的な表現とも言える。
 
晩夏から初秋の変わり目の微妙な季節を表現して、同時に夏の厳しさから過ごしやすい秋に移る解放感と、厳しい冬の到来をも思わせる秀逸な表現かも知れないが、個人的には今年はこの「小さい秋」がほとんど体感できないほど、激しい温度差の日々があり、暦の上ではすでに「立冬」が過ぎ去り、とうとう一気に初雪となった冬模様の朝である。
 
「54年ぶり11月初雪」といっても、半世紀以上も前の話なので若い人には全くピンとこない初雪。
 
オジサンの小学校6年生の頃らしいのだが、そんな昔の記憶なんて残っているわけがない。
 
雪に関しての思い出は、高校2年も終わりの3月の大雪。
 
都内の公立高校が雪のため「休校」となり、そのニュースを聞いた高校生が珍しさの余り数時間かけて登校した。
 
都心に住んでおり身近な大雪の体験がないオジサンのクラスの連中も次々と雪の中を校庭に集まってきた。
 
そして初めてクラスの仲間と雪合戦を楽しんだことを今でも思い出す。
 
しかし11月というのは余りにも早すぎる冬の訪れである。
 
それにしても今年の下半期の気候は例年に比べても異常であった。
 
すっかり季節が変わり、テレビの情報番組でも忘れかけられている4年後に迫った東京五輪の施設見直し問題。
 
五輪ボート・カヌー会場『長沼』案、見送りへ」と讀賣新聞は当初の予定通りの海の森水上競技場になることを示唆していた。
 
組織委員会の意向を汲んだ記事ともいえる。
 
膨大に膨らんだ五輪開催費用の縮小を願う多くの都民の声を考えれば、ボート・カヌー会場は、作って使用された後の維持費も大きな判断基準となる。  
  
<「海の森」赤字は年間2億円 維持費は戸田の4倍超>
 2016年11月24日 07時02分 東京新聞
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 2020年東京五輪・パラリンピックで、東京都がもともとボートとカヌー・スプリント会場として計画した海の森水上競技場(東京臨海部)は維持管理費が年間3億円と、国内の主要なボート場と比べて桁違いにかかる。最も利用されている戸田漕艇場(埼玉県戸田市)の4倍以上。利用料などの収入は戸田の20倍を見込むが、それでも年間2億円の赤字が出て都が負担する。 (石井紀代美、森川清志)
 都は今月、有識者でつくる調査チームに求められ、海の森の維持管理費などを初めて公表した。本紙は、日本ボート協会がA級コース(2000メートル×6レーン以上)と認定した全国の4施設で年間の維持管理費を調べた。A級は国際大会を開く際の協会規格で、東京五輪は2000メートル×8レーンで開かれる。
 A級で利用者が最も多い荒川沿いの戸田漕艇場は7500万円で、埼玉県が6500万円を負担。ダム湖にある長沼ボート場(宮城県登米(とめ)市)は1300万円で、宮城県が1100万円を負担する。広島と岐阜のA級コースは、ボート場として使う時だけ河川にコースを設営。広島の維持費は年200万円程度で、岐阜は算出されていないが利用状況から多額ではないとみられる。
 海上に造る海の森は常設の場合、維持費は年3億円余で、2億円の赤字を都が負担する。維持費が膨らむ理由の一つは、潮の満ち引きで水位が上下しないよう水門で閉め切り、ポンプで水を循環させて水質を保つ特殊な構造にある。
 早稲田大の原田宗彦教授(スポーツマネジメント論)は「コンクリートは海水で劣化しやすく、ポンプの維持費も想定以上にかかると思う。どれだけ利用されるか分からず、実際に造れば見通しの甘さが露呈するのでは」と指摘。都の鈴木一幸開設準備担当部長は「根拠のあるしっかりとした見積もりで、赤字はこれ以上、膨らませない。縮減していく」と話す。
◆仮設レベル案でも高コスト
 東京都は国際オリンピック委員会(IOC)などと競技会場の見直しを協議中で、今月末に結論が出る見通しだ。ボートなどの会場は海の森の常設案(建設費328億円)と仮設レベル案(298億円)、長沼案(最大200億円)を示す。仮設レベル案は大会後も使い続ける前提で観客席などを簡素化する案だが、維持費がかかる水門やポンプは常設で造る。
 維持管理費と大規模修繕費から収入を差し引いた50年間の都の負担額は、常設案が都の試算で202億円。仮設レベル案が調査チームの見込みで最大152億円。長沼案は改修後の試算が公表されていない。
 海の森は今年7月に着工したが、今は中断している。長沼案に決まった場合、都は建設業者への損害賠償などで100億円が必要としている。
 
海の森水上競技場の五輪後の維持費の赤字が年間2億円ということは、机上の単純計算で50年間で100億円となる。
 
そうなれば、「長沼案に決まった場合、都は建設業者への損害賠償などで100億円が必要」という算出の背景には、海の森にしなければ早急に100億円の支出が求められるが、長沼案を辞めれば、同じ100億円も50年間で支払えばよい、ということになる。
 
どうしても、臨海地域の開発を優先したい都の役人連中の思惑が透けて見えてくる。
 
カケツケケイゴ 英訳なし ローマ字表記を野党追及」された、南スーダンPKOへの「駆け付け警護」任務を与えられた自衛隊の先遣部隊が出発したことを受けて、今まで明らかにしなかった黒塗り資料が公開された。 
  
<南スーダン資料を一転公開 黒塗りは現地報道の情報>
 2016年11月24日 朝刊 東京新聞
20161124southsudansiryou.jpg 防衛省が今年6月、表題以外をすべて黒塗りにして開示した陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)に関する作成資料を今月公開し、内容が現地報道を基に反政府勢力の「支配地域」を示した地図だったことが分かった。現地で公になっている情報まで黒塗りにする姿勢に、野党は「こんなものまで隠すのか」と批判している。 (新開浩)
 黒塗り資料は6月、フリージャーナリストの情報公開請求に対して開示。共産党が今月、同じ資料を要求し、勢力図の地図が公開された。南スーダンPKO10次隊が今年6月に出発する直前、隊員の家族向けに開かれた説明会で使われた資料の一部。「反政府派支配地域」や「戦闘発生箇所」などが記載されている。
 共産党の井上哲士参院議員は資料提出を受け、最近の国会審議で取り上げ「なぜ(6月は)隠したのか」と質問。稲田朋美防衛相は「当時は南スーダン暫定政府が発足したばかりで、内容を公にすれば同国に不利益を与え、わが国との信頼関係が損なわれる恐れがあった」と指摘した。公開に切り替えた理由は、7月に首都ジュバで大統領派と反政府勢力との銃撃戦が発生し、270人以上が死亡したため「情勢を可能な限り国民に説明すべきだと判断した」と述べた。
 一方、これまで稲田氏は国会答弁で、南スーダンでは「反政府勢力が支配を確立した領域はない。武力紛争の当事者が現れたとは認識していない」と説明。戦闘の発生を否定し、衝突が起きているとの考えを示してきた。
 だが、資料には「反政府派支配地域」や「戦闘発生箇所」の表現がある。防衛省として双方とも認定していると受け取れ、自身の答弁と矛盾するが、稲田氏は「現地報道の表現を引用した。不正確な記述だった」と述べ、資料が間違っていたとの見解を示した。
 防衛省は共産党に8月にまとめた資料も公開した。「反政府派支配地域」は「反政府派の活動が活発な地域」に、「戦闘発生箇所」を「衝突発生箇所」との表現に修正していた。
 
「戦闘」ではなく「衝突」と詭弁を駆使した言い訳をしていた安倍政権が、現地で公になっている資料を黒塗りにしていた理由は、「戦闘発生箇所」などが記載されていたことであることを隠すためであったとは、何とも姑息な稚拙な行為であった。
 
根底には政府にとって不都合なことは国民には明らかにしないという姿勢があるからである。 
 
さて、 ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領が、ビデオ声明で、来年1月20日に大統領に就任した初日に、TPPから離脱する意思を通知する方針を受けて、TPP反対派の一部では歓迎の声が上がっていたが、その裏にはもっと日本にとっては危ない現実が隠されているという、ツイッターが飛んできた。






経済評論家の三橋貴明は「TPPとドナルド・トランプ」と題したブログでこんな指摘をしていた。
 
そもそも、トランプはNAFTAという自由貿易協定で割を食ったラストベルト地帯の労働者に向け、グローバル化を批判することで支持を得た結果、大統領選で勝利したわけです。TPP離脱通告は、当然の結末です。
 TPPは、二年以内に六カ国以上、GDP85%の国々が批准しなければ発効しません。アメリカが離脱すると、その時点でTPPは「ジ・エンド」です。
 日本の安倍総理や財界は、
「トランプ氏に翻意を促す」
 と言っていますが、それって内政干渉ですよ。
普段、民主主義、民主主義とうるさい人たちが、総理や財界の「アメリカに翻意を促す」という内政干渉を問題視しないのは、本当に不思議です。要するに、自分の頭では、何も考えていないんでしょ。
 それ以上に問題なのは、安倍政権がこの期に及んでも、TPPについて「今の条件」で批准しようとしている点です。
 トランプは、TPPは離脱し「二か国間貿易取引」を交渉すると明言しています。すなわち、今後、アメリカとの間で日米FTA(もしくは日米EPA)の交渉が始まる可能性が高いのです。
 
海の向こうでは、EU離脱派のミスリードによって国民投票でEU離脱を決めてしまった英国。
 
その結果、新しい首相の下で、法人税率を先進国最低の水準まで引き下げるほか、企業だけでなく低所得者層への助成など歳出の拡大によって離脱後の国内経済を下支えするため、「英国 メイ首相、歳出の拡大に転換へ 『小さな政府』決別」と大きく方向転換を始めた。
 
ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領と英国メイ首相が掲げた法人税率の引き下げは、日本の安倍晋三首相も行っているのだが、決定的に異なるのは「労働者や弱者保護を意識した政策にも手を広げようとしている」ことである。
 
そろそろ安倍晋三首相も「立ち止まって」現在の世界の情勢を見極め、自らの失政を見つめ直すべきではないだろうか、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:37| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月03日

憲法公布70年目に思う事

日本国憲法が施行されたのは1947年5月3日。
 
その翌年、1948年5月3日が「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する日」という目的で制定された日が憲法記念日。
 
憲法に限らず法律とは、施行する前、つまり効力を発揮する前に国民に対し、法律制定手続きがあり、これを「公布」というのだが、日本国憲法は、前の大日本帝国憲法(明治憲法)からの改正という手続きを経て、施行日の半年前になる 1946年11月3日に公布された。
 
その公布された11月3日は明治天皇の誕生日で、当時は明治節という祝日になっていたのだが、明治節をなんとか祝日として残したいという明治天皇を崇拝する連中を中心に運動が始まったらしい。
 
明治神宮のサイトの「御祭神関係」にはこんな説明がある。
  
大正14年に11月3日を祝日に制定する請願運動が行われ、2万名の署名が議会に提出されて同年2月23日、満場一致で可決されたのですが、大正天皇の御病気が悪化していたので、貴族院での審議は中断してしまいました。審議が再開されたのは昭和の御代にはいってからで、昭和2年の3月3日、明治天皇の御聖徳を敬仰して「明治節」として制定されたのです。以来、明治節は国家の大切な行事とされ、「四大節」※7の一つに数えられ、また戦後になっても11月3日は「文化の日」としてお祝いされているのです。
 
したがって、今日11月3日は「文化勲章授与」の日というよりは、憲法公布から70年目の節目になるのだが、いまや岐路に立つといわれている憲法と戦後史を結ぶ現在の沖縄ではその精神が踏みにじられている。
 
<<憲法70年を歩く>きょう公布70年 沖縄を誰が守る>
 2016年11月3日 朝刊 東京新聞
20161103kidoutaivsjumin.jpg 沖縄県北部・東村(ひがしそん)の森で見つけた木の実。楕円(だえん)形で筋状の出っ張りがある。そう、ウルトラマンの顔そっくり。水辺に落ち、川や海に浮かんで運ばれる。
 そこから連なる亜熱帯の森に東村高江(たかえ)周辺の米軍用ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設現場がある。
 「排除ッ!」。機動隊の隊列が、ゲート手前の路上に座り込む市民の腕や足をつかみ、羽交い締めにし、力ずくで路肩へと抱え出す。後ずさりし、記者の足に触れた女性の背中は震えていた。
 この抗議現場に通い、「教授」と呼ばれる元裁判官がいる。仲宗根(なかそね)勇さん(75)で、裁判所職員から「弱者の権利を守りたい」と51歳で簡易裁判所の判事になった。指名されると、スピーチに立つ。「警察官諸君! 憲法が保障する人権と自由を害する権限の乱用があってはならない。警察法2条に書いてあるぞ」
 沖縄は1945年の地上戦の末、米軍の支配下に置かれる。日本国憲法は、72年の本土復帰まで適用されなかった。仲宗根さんは当時、近所の畑で「黒い塊」を見た。米兵に乱暴された女性の死体だった。地元うるま市でも米軍は「銃剣とブルドーザー」で土地を奪い、基地を広げた。
 「むき出しの暴力だった。だからこそ憲法が沖縄人に光り輝いて見えた。人権が守られる、平和な暮らしを取り戻せる、とね」。ところが公布70年の節目を前にして起こったことは。「解釈改憲で集団的自衛権が容認され、憲法違反の安全保障関連法が成立してしまった」
20161103helipad.jpg 安倍晋三首相は、国会の所信表明で海上保安庁と警察、自衛隊への拍手を促した。「沖縄では機動隊や海保の国家暴力を総動員しているのに、『彼らは国民のために頑張っている』と煙幕を張るためだ」。仲宗根さんは思う。「国家の暴走を縛る憲法と立憲主義が、時の権力者の恣意(しい)で着物のように簡単に脱ぎ捨てられた。米軍統治時代よりもワジワジして(怒って)いる」
 基地問題に詳しい前泊博盛(まえどまりひろもり)沖縄国際大教授(55)は言う。「在日米軍は、本土からは外国の脅威を倒してくれるウルトラマンに見えるが、沖縄から見ると怪獣でしかない。私たちを守ってくれる真のウルトラマンは憲法のはず」。だが70年前に生まれたその「実」は根づくどころか、どこかに漂流しようとしている。
 
沖縄から遠く離れた「南スーダンほど危険ではない」永田町では、安倍内閣のポンコツ大臣の言動が止まらない。 
  
暴言の連発で軽率のそしりは免れない、無知蒙昧の極みとまで酷評されている山本有二農水相。
 
『TPP強行採決』発言の山本有二農水相が輸入米の業者からカネ! TPP推進のために輸入米不正取引を見逃しか」ではこう指摘されていた。
 
「山本農水相の無節操ぶりは有名で、金や票になるならなんでもやるタイプ。かつてはサラ金業者の代弁をしたこともあるし、パチンコ議連にも加盟していた。2012年に官製談合が発覚し、指名停止処分を受けた高知県内の建設会社の役員から、同年から3年間で220万円の個人献金を受け取っていたことも発覚しています」(全国紙政治部記者)
 
さらには、こんな昔の話まで暴露されていた。 
 
<“強行採決”暴言の山本農相 なんとTPP反対に署名していた>
 2016年10月29日 日刊ゲンダイ
 驚きの事実が発覚した。衆院で審議中のTPP承認案をめぐって「強行採決」に言及した山本有二農相が、地元・高知のJAまつりで「TPP反対」の署名をしていたというのだ。TPP批准を急ぐ安倍政権では“閣内不一致”となる。山本農相は安倍首相にTPPの「撤回」を進言するか、さもなければ大臣を辞任すべきじゃないか。
 山本大臣が署名したのは「TPPの詳細を速やかに開示し、国会・国民の議論を保障すること」「『合意』は撤回し、協定への調印・批准は行わないこと」を求めた文書。全国規模で署名が集められ、最終的に衆参両院議長宛ての請願として提出された。
 昨年11月、山本大臣の選挙区の高知県須崎市で開かれたJA土佐くろしお主催のJAまつり。毎年4000人が集まる年に一度の大イベントの一角で、農商工団体が「消費税10%増税中止」と「TPP合意撤回」の署名集めをしていた。そこで団体のメンバーが、もち投げに参加していた山本大臣を見つけ、声をかけた。
 「自民党議員だし、無理だろうな」とあきらめ半分だったが、山本大臣は「増税中止は署名できないが、TPPは大筋合意以外に対策は必要。今の段階では反対なので署名させていただく」と言ってサインしたという。
「うれしかったです。金融相も務めた有力者の山本さんが署名してくれた。心強い気持ちになりました。自民党の『TPP反対』の公約もウソじゃなかったのかなと思いました」(須崎民商事務局長の西森克記氏)
 山本大臣は「増税反対」にはあえて署名せず、「TPP反対」だけに進んで署名した。心底「TPPは問題あり」と考えていたのだろう。
 ところが、である。今年8月の内閣改造で農相になったが、安倍政権の路線を踏襲し、TPPの情報公開に消極的。国会では当を得ない答弁に終始している。揚げ句、「(TPP法案)を強行採決するかどうかは、(議運委員長の)佐藤勉さんが決める」と発言し、陳謝させられた。反対署名をした1年前とは、別人かと思うような“変節”である。
 反対署名の重みをどう考えているのか。事務所に問い合わせたが、期限までに回答はなかった。
 
そもそも自民党は野党時代は安倍晋三を前面に出して、「TPPは断固反対」の姿勢を打ち出していたので、政権の座に就いたからといって直ちに「TPPには賛成」という人間ばかりではないことだけは確かである。
 
しかし、若手議員ならまだしも要職に就いた議員はそれなりの立ち居振る舞いが要求されるのだが、そう簡単にできる芸当ではないのかもしれない。
 
TPP農相『冗談』発言 続く不用意言動 政権内に危機感
   
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【東京新聞より】

 
それにしても、山本農水相は一度ならず凝りもせず「冗談」がお好きなようで、最新の発言も明らかになっている。
 
<農水相また暴言 野党が辞任迫る 与党拒否、TPPあす採決狙う 衆院特委は流会>
 2016年11月3日(木) 赤旗
 山本有二農林水産相は1日夜、東京都内で開かれた自民党議員のパーティーであいさつし、自らが先月、環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案の「強行採決」をけしかける暴言をはいたことについて、「こないだ冗談を言ったら、(閣僚を)首になりそうになった」などと述べました。度重なる暴言に日本共産党など野党側は抗議し、山本農水相の辞任を求めましたが、与党は拒否。4日にも衆院TPP特別委員会での採決を狙っています。
 共産、民進、自由、社民の野党4党は2日午前、国会内で国対委員長会談を開き、山本農水相の2度にわたる暴言は「許し難い」と辞職を求めることで一致。このような状況の下で衆院TPP特別委員会を開き、締めくくり総括質疑を行う条件はないと与党側に申し入れることを確認しました。
 野党側の要求に対して、自民党の竹下亘国対委員長は、同日午後に予定されていた衆院TPP特別委員会での質疑と採決は見送ると伝達。同日の委員会は開会されないまま流会となりました。
 一方、竹下氏は山本農水相の辞職を拒否。自民党は2日の同特別委の理事会で4日の委員会採決を提案し、塩谷立委員長が4日の委員会開催を職権で決定しました。
 日本共産党の畠山和也議員は「山本農水相の『冗談』発言は国会を冒とくするものだ。大臣の資格に関わるもので辞任に値する」と厳しく抗議。「このような状況の下で採決を強行することなど断じて許されない」と主張しました。
資格・資質に欠ける
山本農水相暴言 穀田氏が批判
 「強行採決」発言は「冗談」だったと言う山本農水相の新たな暴言について、日本共産党の穀田恵二国対委員長は2日の会見で「山本氏自身が最初の暴言を『行政が国会に介入する不適切な発言だった。反省している』と言っていたのは何だったのか。国会と審議を冒とくしている。軽口の形でまたこんな発言していること自体が大臣としての資格と資質に欠けている」と厳しく批判しました。
 また、山本氏が同じあいさつで「JAの方々が大勢いらっしゃるみたいなので、明日でも先生のご紹介で農林省に来ていただければ何かいいことがあるかもしれない」とも語ったことについて、穀田氏は「依然として古い時代の利益誘導型の政治にどっぷり漬かっていることを示すもので、時代錯誤もはなはだしくまったく許されない。二重の意味で大臣に値しない」と強調しました。
 山本氏は1日の発言後、菅義偉官房長官に電話し、「申し訳ない」と陳謝。これに対し、菅氏は「微妙な時期だから気を付けてほしい」と注意しましたが、2日の会見では「(本人は)軽率な発言だと深く反省しており、辞任する話ではない」などとかばいました。
職権開会決定を塩川議員が批判
 衆院議院運営委員会は2日、野党理事が山本農水相の暴言をめぐり抗議するもと、4日の本会議開会を佐藤勉委員長の職権で決めました。
 日本共産党の塩川鉄也議員は「山本氏の1回目の暴言については、『今後は円満に』という議運委員長の仲裁もあり、その後、TPP特別委員会の審議が進められてきた。今回の再度の暴言はそうした審議を壊すものだ」と批判しました。
 これを受けて佐藤委員長は、「11月4日までまだ2日ある。議長、副議長と相談の上、いろいろなことを進める。私も努力したい」と応じました。
 
「資格・資質に欠ける」農水相をこのまま放置すれば、政府与党の傷口が広がる可能性もあり、最後は山本農水相の「クビ」と引き換えに、という水面下の取引で決着がついてしまうのかもしれない。
 
さて、憲法公布70年の話に戻る。
 
土佐藩の中等の藩士直枝の子として1857年に誕生したのだが、わずか36歳で夭折した明治前期の思想家の植木枝盛。
 
「自由は土佐の山間より出づ」という言葉は後世に残る言葉として知られているが、明治10年代には私擬憲法草案とよばれるものが60種以上あったといわれ、そのうち植木枝盛の「東洋大日本国国憲法」が202条と、大日本帝国憲法76条や日本国憲法103条をはるかにしのいでいた。
 
その中には注目すべき以下のような条文があった。
 
第70条 政府国憲ニ違背スルトキハ日本人民ハ之二従ハザルコトヲ得
第71条 政府官吏圧制ヲ為ストキハ日本人民ハ之ヲ排斥スルヲ得 
 
分かり易く言い換えれば、「政府が憲法に反する行為を行う時には、国民はこれに従うことはない」そして、「政府・官僚が国民を制圧するような時には国民はこれに対抗すべき」となる。
 
「壊国のTPP」といわれる代物を国が強硬に進めようとしている今こそ、この植木枝盛が唱えたこの2つの条文にある反骨精神で政府とたたかう気概が必要なのではないだろうか、とオジサンは思う。 

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2016年11月02日

オクトバー・サプライズは日本に何をもたらすのか

昨日11月1日(火)、自民党と民進党の国会対策委員長が国会内で会談し、衆議院でのTPP承認案に関する採決の日程を協議した結果、今日2日(水)に衆議院特別委員会で、明後日4日(金)に衆議院本会議で採決を行うことで合意した。
 
これで、TPP承認案は4日に衆議院を通過し、参議院に送付されることが確実の情勢になってしまった。
 
しかも、TPP承認案は条約なので衆議院が優越するため、衆議院で可決してしまえば、参院を待たずして30日後には自然承認されてしまうため、昨日の自民党と民進党の合意をもって、TPPは今国会での承認・成立がほぼ決定的な状況となってしまった。 
それにしても、なんでこんなに簡単に承認・成立になってしまうのか。
 
岩月浩二弁護士は、自ブログで「10月31日 衆院TPP委員会参考人 岩月浩二「周知されないISD条項。田村憲久元大臣も“ISDN”と」と題して、TPPの致命的な問題点を国会で発言していた。
 
【国会中継 2016 最新 日本国民の1%しか知らない「らしい」ISD条項。アメリカから訴訟されて勝った国(企業)はありません・・・大反対です。参考人・岩月浩二2016年10月31日 岩月浩二@守山法律事務所】
   
そもそもTPPは、民主党の菅直人政権が協議開始を表明し、野田佳彦政権がそれをいっそう推し進め、2012年末に発足した第2次安倍政権にバトンタッチしたものであった。
 
民主党は当時、山田正彦氏ら党内の「TPP反対派」を実質的に党外へ「追放」したため、「TPP反対派」が党内にほとんどいなくなった現在の民進党が、今国会でTPP承認案反対を貫くことなく、自民党と「手打ち」を行ったというのも、当然の成り行きなのかもしれない。
 
そして、いくら日本が率先してTPPを批准したところで、その発効も最大の条件である米国内のTPPの承認が必須であり、それを左右すべき大統領選挙が来週に迫っている。
 
いままでの大統領選挙と大きく異なる点は、いずれの候補(ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプ)も過去に隠しきれない程の問題を起こしており、決して「人気投票」とはいえないことである。
 
ましてや、共和党の大統領候補となった人物を共和党幹部が支持しないと表明するなど異常な事態もあり、民主党の大統領候補は、自分の私的メールを公務で使い国家機密を危険に晒し、遂には「世論調査では、大半のアメリカ人が、ヒラリーが電子メール・スキャンダルのかどで起訴されるのを望んでいる」という米国内世論がある。
 
そしてそれに後押しされたかのように「FBI長官、ヒラリー捜査を再開」という動きが出始めたのだが、このFBI長官は共和党出身のため陰謀めいたものが裏では動いていると噂されている。
 
かつて、「アポロ捏造説の支持・肯定を公に表明した著名人」と指摘されていたトンデモ評論家で、最近は「トランプ大統領とアメリカの真実」など今回の米国大統領選挙に関する本を書いてい副島隆彦。
 
彼は、自分で管理している掲示板「重たい掲示板」で、「FBIがヒラリー・メールの再捜査を開始。これでトランプの勝利が確定した」という投稿文書の中で、こう書いていた。
 
「これは、米大統領選挙で、早くから言われてきた、まさしく、これが、オクトバー・サプライズ October surprise だ。これが、10月28日に起きた、ということだ。
 このことは、アメリカでは、トランプの大勝利の確定だ。日本では、言論の予言者(よげんしゃ、predictor 。天や神の言葉を伝える 預言者 prophet プロウフェットとは違う)を自称してきた 副島隆彦の勝利だ。」
 
副島隆彦が「天や神の言葉を伝える預言者」がどうかは、特にオジサンは関心がないのだが、トランプが本当に「オクトバー・サプライズ」にるのか否か、それはトランプが米国を本当に救うことができるのか、ということにかかっているという。    
<プーチンがロシアを救ったように、トランプはアメリカを救えるだろうか?>
 2016年10月28日 マスコミに載らない海外記事
 アメリカが直面している危機:
選択肢その一: ヒラリーの勝利。これは、より酷い方向に強化したオバマだ。オバマそのものが、ブッシュ・ジュニアで、しかも、より酷いものであることを想起されたい。もちろん、ブッシュ・ジュニアは、クリントンにすぎず、より酷いだけだ。今や一巡り。クリントンに戻るのだ。ただし今回は、女性で、やることなすことに失敗して、今や30年におよぶ、惨事と失敗の実績を誇る非常に不安定な人物だ。彼女には戦争を開始する権限もない時でさえ、彼女は戦争を一つ始めたのだ(ビルに、セルビア人を爆撃するように言って)。今や、彼女はその権限を持ちかねないのだ。しかも、彼女は何百万人もの人々の前に立って、トランプが、彼女に“プーチンは、ありとあらゆる段階で、あなたを出し抜いた。”というのを聞かねばならないのだ。彼がそう言った時の、彼女の凍り付いた表情をご覧になっただろうか? トランプは正しく、プーチンは実際、彼女とオバマを、あらゆる段階で出し抜いた。問題は、今、プーチンに対して劣等感を持っている大統領(オバマ)の後、またしても、全く同じ劣等感と、シリアで、ロシア軍に対し、飛行禁止空域を押しつけようという異常な決意を持った大統領になることだ。短い髪と滑稽なズボン姿のヒラリーを見るにつけ、“彼女は、自分は全ての点で、あらゆる男性同様にタフであることを証明しようと懸命な女性だ、と私には思える” - もちろん、彼女はそうてはないのだが。彼女の実績も、彼女は弱く、臆病で、何があっても決して刑罰を受けることがないと確信していることを示している。そして今、この悪の救世主の出現を信じる変人で(http://thesaker.is/the-messianic-lunatic-in-her-own-words/)根深い劣等感をもった人物が、全軍最高司令官になりかねないのだ?! 神よ我々全てを救いたまえ!
選択肢、その二: トランプ勝利。問題: 彼は全く孤独だ。ネオコンは、議会、マスコミ、金融機関と裁判所を、もう完璧に支配している。夫クリントンから、妻クリントンまでの間に、連中は、ペンタゴンや、国務省や、三文字の政府機関に深く潜入してしまった。連邦準備制度理事会こそ、連中の拠点だ。トランプは、こうした“地下にたむろする猛烈な狂人連中”に一体どう対処するのだろう? http://www.opednews.com/articles/opedne_donald_a_080423_leo_strauss_and_the_.htm
あらゆる“名士連中”(俳優から、政治家、記者に至るまで)トランプに対して解き放った悪意ある憎悪キャンペーンを考えると - 彼らは退路を断ったのだ。連中は、もしトランプが勝てば、彼らは全てを失うことを知っており(そして、もし彼が、簡単に影響を受けてしまう人物であることがわかれば、彼を選んでも何の違いもなくなることになる)。ネオコンは何も失うものはなく、連中は最後の一人まで戦うだろう。もし彼がネオコンと、連中の代理人に包囲されたら、トランプは一体何ができるだろう? 全く違うチームを呼び入れるのだろうか? 彼は一体どうやって、彼らを調査するつもりだろう? 彼の最初の選択は、ペンスを副大統領に指名することだったが、これは惨事で(既に彼は、シリアと選挙結果で、トランプを妨害している)。トランプが、ホワイト・ハウス大統領首席補佐官に一体誰を任命するのかを聞くのを私は大いにおそれている。ネオコンをなだめるためだけに、彼は悪名高いラーム・エマニュエルの新版のような人物を任命するのではあるまいかと心配しているので… もし、トランプが原則と勇気の持ち主であることを証明すれば、ネオコンはいつでも彼を“ダラスの目”に会わせ、彼をペンスで置き換えることができる。一丁あがり!
私には、一つしか解決策は思いあたらない。
プーチンは、いかにして、ロシアを救ったか
プーチンが権力の座に着いた際には、今のホワイト・ハウス同様、徹底的に腐敗し、裏切り者が蔓延するクレムリンを、受け継いだのだ。ロシアは、独立し、ナチスが支配しているウクライナと同様、かなり悲惨な状態にあった。ロシアも、銀行家と、英米シオニストの傀儡に支配されており、大半のロシア人は惨めな暮らしをしていた。大きな違いは、トランプに起きている物事とは違い、アメリカ・ネオコンのロシア版連中は、プーチンに脅かされようとは夢にも思っていなかったことだ。彼は、支配者たちによって、治安機関の代表として、大企業資本の代表、メドベージェフとともに働くよう、選ばれたのだ。これは、ロシア社会でも依然機能していた、たった二つの部門、治安機関と、石油/ガスの金の間の妥協策だった。プーチンは、サイズがあわないスーツを着た小役人で、内気で、いささかぎごちない小男のように見え、ロシアを動かしている七人の銀行家という強力なオリガルヒにとって、何の脅威にもならないはずだった( https://en.wikipedia.org/wiki/Semibankirschina )。ただし、彼はロシア史上、もっとも手強い支配者の一人だったのだ。権力の座につくやいなや、プーチンがしたのはこういうことだ。
第一に、彼はチェチェンのワッハブ派叛徒を、素早く効果的に粉砕し、国軍と治安機関に、クレムリンへの信頼性を回復させた。これで、オリガルヒと対決する際に、頼りにせざるを得ない人々との間で、彼の個人的な信頼を確立したのだ。
第二に、1990年代には、たとえ実際には、法律がなかったためにせよ、ロシアの全員が、ありとあらゆる実業家や企業が、多かれ少なかれ、法律を破っていた事実を、彼は活用した。彼は、ベレゾフスキーや、ホドロフスキーの類を、連中の政治活動で、弾圧するのではなく、連中を(全く正しいが)賄賂のかどで粉砕した。決定的に重要なのは、彼はこれを、非常に公然と行い、もう一つの大敵、マスコミに、明瞭なメッセージを送ったのだ。
第三に、欧米の人権団体やロシア・リベラルの幻覚と逆に、プーチンは、いかなる反体制派をも決して直接弾圧したり、マスコミを厳しく取り締まったり、まして誰かの殺害を命じたりはしない。彼は遥かに賢明に事をなしとげた。現代のジャーナリスト連中は、何よりもまず、売女マスコミであることを想起願いたい。 プーチンは、オリガルヒを容赦なく取り締まることで、売女マスコミから、収入と政治的支援の源を奪った。ウクライナに移住した者もあれば、辞任しただけの者もあり、ドーシチTV、エホー・モスクヴィ・ラジオや、コメルサント新聞など、ごく少数の容易に識別できるマスコミは、特別保留地、あるいは動物園状態に置かれた。移住した連中は、無関係なものとなり、“リベラル動物園”に止まった連中は - すっかり信憑性を失ってしまい、無害になった。決定的に重要なのは、全員が“メッセージを理解したことだ”。それから先は、ごく少数の本当の愛国者(ドミトリー・キセリョフやマルガリータ・シモニアンら)を主要な地位に任命しさえすれば、運命の風の方向が変わったことを全員すぐに理解した。
第四に、主要マスコミさえ正気に返らされてしまえば、“リベラル”(ロシアでは親アメリカを意味する)政党が、死のスパイラルに入り込むのに、さほど長くかからず、そうした政党は決して回復しなかった。その結果、あらゆる“リベラル”が排除され、ロシア国会には、現在、4党しかなく、いずれの党も、多かれ少なかれ“愛国的”だ。これが、プーチン戦略でも、うまく機能した部分だ。
これまでの所、プーチンは、私が“汎大西洋統合主義者”と呼んでいる第五列の連中を(http://thesaker.is/putins-biggest-failure/ を参照)政府そのものから排除し損ねている。確実なことは、プーチンは、銀行/金融部門内の第五列連中には取り組んでおらず、連中も、彼には、彼らに対して行動をとる口実を与えないよう非常に用心している。
ロシアとアメリカは全く違う国なので、お互い簡単に処方箋を写して済ますことはできない。それでも、“プーチン・モデル”には貴重な教訓があるだろうが、とりわけトランプの最も手ごわい敵は、おそらく連邦準備制度理事会に居すわる連中と、連邦準備制度理事会を支配している銀行だ。確実なのは、当面アメリカのイメージは、アメリカ政府に捨てられたホームレスの退役軍人が国旗に身を包み、カップに小銭を要求するというものであり続けるだろうことだ。
ヒラリーは、アメリカの戦争は見事な成功だと考えている。トランプは、そうした戦争は恥ずべきことだと考えている。この二者間の選択は、実際極めて単純だと私は考える。
英米シオニスト・エリートの中で分裂など有りえないとおっしゃる向きには、ドミニク・ストロス-カーンが次期フランス大統領になるのを防ぐための陰謀の例があるとお答えしたい( https://en.wikipedia.org/wiki/New_York_v._Strauss-Kahn)。これが、ハイエナと同様、英米シオニスト指導者連中は、時に、お互いに攻撃するのだ。そういうことは、政治イデオロギーと無関係にあらゆる政権でおきる(ナチス・ドイツの親衛隊対突撃隊、あるいはボルシェビキソ連でのトロツキー主義者対スターリン主義者を想起願いたい)。
鉄の箒
レオン・トロツキーは、ソ連は、アナキストや貴族を“鉄の箒”で一掃する必要があると良く言っていたものだ。彼はプラウダに“我々には鉄の箒が必要だ”という題の記事すら書いている。もう一人の大量虐殺マニア、フェリックス・ジェルジンスキー、悪名高いChK秘密警察の創設者、秘密警察職員には“燃える心、冷静な頭脳と、清潔な手”が必要だと言っていた。こうした連中に、弱さや、共感を求めても全く無駄だ。彼らはイデオロギーに突き動かされた“熱狂的な信者”、共感という感覚が欠けた社会病質者で、自分たちの邪魔をする誰に対しても大量虐殺的な憎悪を持った根っからの悪連中なのだ。
ヒラリー・クリントンと、彼女のネオコン集団は、精神的に(時には、物理的にも)ソ連のボルシェビキの後継者で、彼らは、ボリシェビキの先祖と同様、敵を粉砕するのに一秒たりともためらわない。ドナルド・トランプは - 彼が本物で、言っていることが本気であるならば - これを理解し、プーチンがした通りにしなければならない。最初に、しかも激しく攻撃することだ。
ちなみに、スターリンも、まさにこれを行い、トロツキストは粉砕された。
最終的に、プーチンが第五列連中を、権力の座から排除できるかどうか、まだはっきりしていないと私は思う。確かなことは、ロシアは少なくとも、英米シオニストの支配からは、ほぼ自由で、アメリカが、現在、連中の最後の砦だということだ。トランプに対する連中の熱狂的憎悪は、(愛国的な意味で言うのではなく、むしろ寄生虫が“自分の”宿主を気づかうように)自分たちの祖国と考える場所において、初めて脅かされてという、こうした連中が感じている危機感によって、一部説明がつくかも知れない。連中には恐れるべきもっともな理由があるのかも知れない。連中には恐れる理由があって欲しいと思う。
トランプを恐怖で萎縮させようという最近の企みへの見事な対処を見て、私は勇気づけられた。昨日トランプは、選挙で不正が行われる可能性があるので、結果を認めるとは誓わないと、あえて断言した。読み書きができる人なら誰でも、大統領選挙を含め、アメリカの選挙では過去に不正が行われてきたことを知っているにもかかわらず、トランプが犯罪的思考という大罪をおかしたと、メディアは主張している。シオニスト・マスコミは独善的に激怒して彼に襲いかかり、発言を撤回するよう彼に大変な圧力をかけている。寝返って“犯罪的発言”を撤回するかわりに、トランプは、もし自分が勝ったら選挙結果を尊重すると答えたのだ。
素晴らしいではないか? 彼がこの勇気を示し続けてくれよう願おう。
トランプは、ジャン=マリー・ル・ペンがフランスでしたことを、今実行している。彼はネオコンに、彼があえて公然と彼らに楯突くことを示し、連中のルールで動くのを拒否しており、連中の激怒も、彼には何の効果もなく、連中は検閲もできず、まして彼を沈黙させることなどできずにいる。彼は、またもや、サイバー攻撃をロシア人のせいにするのを拒否し、逆にロシアとアメリカにとって、友人であるのは良いことだという発言を繰り返した。彼がこの姿勢を一体いつまで保てるか私にはわからないが、当面、彼が英米シオニストの陰の政府や帝国にあからさまに楯突いていることは否定しようがない。
結論:
アメリカ合州国は、アメリカ史上、最も深刻で最も危険な危機の可能性がある状態に入り込もうとしている。もしトランプが選ばれたなら、連中が彼を政治的な動機の抑圧だと非難するいかなる口実も与えることなく、敵に対し、十分に練られた攻撃を、即座に開始しなければなるまい。ロシアでは、プーチンは軍と治安機関の支持が期待できた。トランプが一体誰を頼りにできるのかわからないが、アメリカ軍内には、依然、本当の愛国者がいると私は強く確信している。もしトランプが、FBIを率いる適切な人材を得られれば、彼も、この機関を活用して大掃除し、賄賂や、(ここには随意の単語を)の陰謀や、権限濫用や、公正の妨害や職務怠慢などに対する起訴を次々と行えるだろう。そのような犯罪は、現在の支配層中で蔓延しており、こうしたものは証明が容易なので、賄賂を取り締まれば、トランプは、アメリカ国民から総立ちの拍手喝采を受けるだろう。次に、プーチンがロシアでしたように、トランプもマスコミに対処しなければならない。具体的に、どうするのか私にはわからない。しかし彼は、このけだものと対決し、打ち負かさねばならないのだ。プーチンがそうであるのと同様に、この過程のあらゆる段階で、彼は国民の積極的な支持を得る必要があるだろう。
トランプに、それができるだろうか? 私にはわからない。陰の政府を打倒し、人々の権限を復興するのは、ロシアの場合より、アメリカでの方がずっと困難だと私は思う。英米シオニスト帝国は、一番可能性が高いのは軍事的および経済的敗北の組み合わせにより、外部から打倒する必要があるだろうと私は常々考えている。私はいまでもそう信じている。だが私は間違っているかも知れない - 実際、私は間違っていることを望んでいる - あるいは、トランプは、アメリカ合州国を救うために、帝国を打倒する人物になるのかも知れない。どれほどわずかのものであれ、もしそのような可能性があるなら、我々はそれを信じ、そのために行動すべきだと思う。他の代案は、いずれももっと酷いのだから
The Saker記事原文のurl:http://thesaker.is/will-trump-save-america-like-putin-saved-russia-saker-article-made-into-video/
 
「TPPは米国民の雇用を奪っている」両大統領候補は選挙用に「TPP反対」を掲げている。
 
ヒラリー・クリントンが勝てば、おそらく日本に対して「再交渉」を突きつけてくるであろう。
 
それよりも、誰もが予想したくないトランプが勝利すれば、日本から米軍基地の撤退の可能性が強まる。
 
いずれにしても、米国大統領選挙結果は安倍政権にかなりの影響を与え始めるに違いない。 
 
見方変えれば、こんな外圧を期待しなければ現在の安倍政権を追い込めない現状が甚だ嘆かわしい、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:40| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月01日

五輪施設は大山鳴動でも元の木阿弥か、TPPで国民ははますます疲弊

先日、小池都政に関しては辛口というよりは敵愾心むき出しの御用コメンテーターが、「小池さんは様々なアドバルーンを上げたが、それらの収束を誤ると命取りになりますね。」と御高説を開陳していた。
 
まさにその通りであり、小池百合子都知事としては最終結論(落とし所)をどのあたりに定めていたのかは、第三者の知る由もないのだが、先月のIOCバッハ会長との直談判以降、雲行きが少々怪しきなってきた感がある。  
 
目玉にしていた高額な建設見積もり費用の3施設については、「20年東京五輪・パラリンピック 水泳会場は新設 都チーム案『既存』を断念」という運びになり、わがままなアスリート団体の優勢勝ちといったところか。
 
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【毎日新聞より】

 
それはある程度は予測されてきた結果だが、都知事選の時の「情報の公開、透明化」といった命題については、「五輪会場見直し 4者協議の内容は非公開 都政透明化に逆行」となってしまったらしい。
 
これにより、検討結果だけが発表されるという従来通りの密室談義が踏襲されることになる。
 
組織委員会は「IOCからの意向」というが、10月18日の「小池・バッハ会談では、バッハ会長は「透明性のあるオープンなプロセスで進めていきたい」と言っていただけに、なぜかキナ臭さが感じられてしまう。   
   
さて、キナ臭さよりも危険さ充満なTPPに関しては、自民党が当初予定していた10月28日の「強行採決」は見送られたが、国会の会期を考えると今週末の衆院通過を狙っているようである。 
 
<TPP 4日の衆院採決目指す 与党、きょう通過は断念>
 2016年11月1日 朝刊 東京新聞
20161101tppsyouninan.jpg 与党は31日、環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案について、11月1日の衆院通過を断念し、2日に衆院特別委員会で採決、4日に衆院本会議で採決する日程を野党側に非公式に提案した。野党側は同意せず、引き続き協議することになった。
 1日の衆院通過断念により、30日までの国会会期内に自然承認される期限を過ぎるため、政府・与党は会期延長の検討に入る。
 衆院特別委員会は理事会で、1日午前に3時間の一般質疑を行うことで合意した。民進党は委員会採決前に中央公聴会の開催を求めている。
 自民党の竹下亘国対委員長は党役員会で承認案について「今週中に採決できるよう努力したい」と述べた。
 共産党の小池晃書記局長は記者会見で「審議は入り口に入ったばかりで、全然議論されていないことが出始めている。今週採決というのはとんでもない」と批判した。
◆念頭に「自然承認」
 与党がTPP承認案の衆院採決を急ぐのは、憲法60、61条に基づく「自然承認」も念頭に置いているからだ。TPPは条約に当たるため、衆院を通過した承認案を受け取った参院が、国会休会中の期間を除き30日以内に議決しない場合、衆院の議決が国会の議決となり、承認される。
 与党が当初目指した通り1日に衆院を通過すれば、参院が採決しなくても会期末の11月30日に承認される計算だった。衆院通過は4日以降になったが、通過が遅れた分、国会の会期を延長すれば自然承認が確定する。与党は参院でも過半数を占めるため、30日間を待たずに採決する方針。ただ、野党の抵抗で審議が遅れる事態に備え、自然承認を確定させておく必要があるとみている。
 政府が承認案と合わせて提出した関連法案には、この規定は適用されない。与党は、TPP発効時に必要だとする独占禁止法や特許法など11本の現行法改正案をまとめた一括法案を承認案と同時に採決する構えだ。衆院を通過した法案を参院が60日以内に議決しない場合、否決したと衆院がみなす規定の適用は想定していない。
 
TPPは21分野にもわたる内容が濃い協定であり、それぞれに影響を受ける団体や組織が存在している。
 
単なる国内法ではないので、各分野ごとの地方公聴会を開くべきであり、野党側が審議不足で採決には反対している限りは、「2日に衆院特別委員会で採決、4日に衆院本会議で採決する」ということは、強行採決を行うことが大前提であり、それは安倍晋三首相が国会で断言した「わが党は結党以来強行採決はしていません」という言葉が、正真正銘「息を吐くような嘘」であると証明されることになる。  
 
もっとも安倍晋三首相の数々の「嘘」は枚挙に暇がないほどで、本人にもその自覚がないので、「○○につける薬はない」。
 
すでに9カ月前には、国連人権理事会の「独立専門家(Independent Expert)」であるアルフレッド・デ・サヤス氏(Alfred de Zayas)は、TPPの署名式が直前に迫っている2016年2月2日に、関係各国政府に署名も批准も拒否するよう要請していた。
 
さらに昨日は国会内の院内集会でTPPを批判するニュージーランド・オークランド大のジェーン・ケルシー教授が講演し、参加12カ国の批准に向けた国内手続きの現状を説明していた。   
 
<TPP承認「日本なぜ急ぐ」 NZの教授が講演で説明>
 2016年11月1日 朝刊 東京新聞
20161101tppkyouteijyoukyo.jpg 環太平洋連携協定(TPP)の批准に反対する市民団体「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」が31日、国会内で集会を開いた。TPPを批判するニュージーランド・オークランド大のジェーン・ケルシー教授が講演し、参加12カ国の批准に向けた国内手続きの現状を説明した。
 ケルシー氏は、米国による批准が見通せないため、ベトナムは年内完了を予定していた国内手続きを来年に先送りしたと指摘。さらに、オーストラリア、カナダ、ペルー、メキシコ、チリの5カ国も米国の政治状況を見極める姿勢を取っていると述べた。「(米国以外の)過半数が先に進まない状況だ」と強調した。
 国内手続きを急ぐ国としては、日本とニュージーランドを挙げ「オバマ政権のチアリーダーのようだ。なぜ米国がどうなるのか見極めようとしないのか」と疑問を投げ掛けた。ニュージーランドでは国内関連法案が来週にも成立する見通しだと明らかにした。
 外務省によると、TPP参加12カ国のうち、日本のように協定本体の国会承認が必要な国は7カ国。国内関連法案の成立が必要なのは11カ国。ブルネイは国会の関与は不要だが、別の国内手続きが必要。参加12カ国の中で、国内手続きを終えた国はない。
 TPPは「12カ国の国内総生産(GDP)の85%以上を占める6カ国以上」が国内法上の手続きを終えると発効するため、経済規模1位の米国の国内手続きは不可欠。しかし、米国では民主、共和両党の大統領候補がそろってTPPに反対を表明。国内手続きのめどが立っていない。
 
その頃国会ではこんなやりとりがされていた。
  
Q.国内の医薬品の価格決定に関してアメリカの製薬会社によって価格が左右されるのではないか?
■安倍晋三首相
 「米国から(変えろと)要求されたとしても、今の仕組みを変えることはない」
Q.遺伝子組み換え輸入食品の安全性については?
■「TPPがわが国の(食品の安全に関する)制度に制約を加えるものではない。安全でないものが一般家庭に届けられることはない」 
Q.ISDS条項について
■参考人の学識者「敗訴した場合、外国企業が相手国の(訴訟) 費用も負担し、手続きの透明性が確保されているなど乱訴防止の規定がある」 
 
あらためて、今年の参院選向けに赤旗が特集した「2016参議院議員選挙/各分野の政策」から、TPPに関する記事を紹介しておく。 
 
<TPP-国会決議違反、食・農・地域経済への打撃、ISD条項、食料主権>
 2016年6月 赤旗
 TPP批准・関連法案ごり押しの2つのウソ
 安倍政権がTPP協定の批准をごり押しする手法は、次の2つのウソで国民を欺こうとしていることです。
国会決議違反、公約違反を覆い隠す――1つは、「聖域を守る」とした国会決議、自らの選挙公約をも踏みにじっていることを覆い隠していることです。
 交渉参加をめぐって2013年に採択された国会決議では、農産物の重要5品目―コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖は、関税撤廃は認めず、「除外」または「再協議」にするとしていました。また、自民党は12年の衆院選挙で、「TPP断固反対。ウソをつかない、ぶれない自民党」のポスターまで貼りだし、13年の参議院選挙の公約(注)では、「自然的・地理的条件に制約される農林水分野の重要5品目等やこれまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度などの聖域(死活的利益)を最優先し、それが確保できない場合には脱退も辞さないものとします」などを掲げました。
(注)自民党の参院選の公約(Jファイル)で、TPPについて掲げた「6項目――@自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要5品目(米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、甘味資源作物)等の聖域を確保する、A自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない、B国民皆保険制度を守る、C食の安全安心の基準を守る、D濫訴防止策を含まない国の主権を損なうようなISD条項は合意しない、E政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
 ところが、安倍内閣は、アメリカとの事前交渉で、入場料といわれるアメリカの要求を受け入れるとともに、「あらかじめ関税撤廃を約束されないことが確認された」などとして、交渉参加を強行、交渉を通じても、さまざまな分野で譲歩を続け、大筋合意にしゃにむに突き進んだことが明らかになっています。政府が、署名したTPP協定で日本は、農林水産品2594品目のうち2135品目(82%)で関税の撤廃を約束、聖域とした重要5項目でも29%の品目で関税を撤廃、残った品目でも特別輸入枠の設定(コメ、麦)や関税の大幅引き下げ(牛肉。豚肉)をうけいれています。
 野菜、くだものなどは、圧倒的な多くの品目で関税撤廃を約束するまさに農林水産物の総自由化と言えます。しかも日本のみが農産物輸出国との間で、7年後に再交渉することを義務づけられているのです。しかも、国会論戦で政府は重要5品目で無傷の品目はないことを認めました。これで「国会決議は守った」「聖域は守った」などと言えないことはあきらかです。
 TPP交渉で安倍内閣が果たした役割は、関税交渉とともに「非関税障壁」でも、アメリカ式ルールを日本と参加各国に持ち込む先導的役割であり、売国的な態度と言わなければなりません。
TPPの効果を大きく描き、国民への打撃を小さくみせる――もう1つは、農業や関連産業、地域経済への深刻な影響を「ない」ものと正反対に描きだすまやかしの「経済効果試算」なるもので国民を欺こうとしていることです。2013年に政府が発表した影響試算では、TPPによるGDPの押上効果が3・2兆円、農林水産物の生産額の減少が3兆円としていました。ところが、大筋合意後の影響試算では、GDPの押上効果は14兆円と4倍に膨らみ、農林水産物へのマイナス影響は1300億円〜2100億円と20分の1であり、TPP対策を実行すれば農業生産は維持され、食料自給率も低下しないというのです。政府は、関税が撤廃・削減され、「非関税障壁」が緩和されれば、輸出が増え、雇用が増え、設備投資も増えて、賃金も上がるなど、日本の経済はすべてうまくまわりからGDPは大幅に増える。農産物の関税撤廃・削減による影響については、国内価格の低下は予想されるが規模拡大などの対策をとれば影響は軽微ですむというものです。
 しかも、対策の中心は、大幅に関税を引き下げる牛肉・豚肉の価格低下時の補てん制度(マルキン)を充実させる以外は、米の輸入枠拡大分の備蓄米買い入れ増、経営規模拡大など生産者に自助努力で輸入価格と競争させる構造改革の押しつけであり、現実に生産を担っている大多数の生産者の生産や経営を維持するものではありません。
 結局、日本へのアメリカをはじめとした多国籍企業の進出や日本企業の低賃金国への移転、国際競争のもとでの低価格競争、労働条件の悪化など、TPPがつくりだすと思われる悪影響はいっさい無視し、すべてうまくいくという前提で事態をバラ色に描き、国民をだますものです。
国内農業に壊滅的打撃――国民が生きていく土台を崩していいのか――関税交渉の結果からも、TPP批准が日本の農林水産業に壊滅的打撃を与え、国民への安定的な食料供給と食の安全を土台から崩さずにおかきません。TPP参加と食料自給率の向上は、絶対に両立しません。自国での農業と食料生産をつぶし、もっぱら外国にたよる国にして良いのか、この国の根本的なあり方が問われています。
 TPP参加による農産物貿易の主な競争相手は世界で最も農産物価格が安いアメリカとオーストラリアです。一戸当たりの耕作面積が日本の100倍のアメリカ、1500倍のオーストラリアと、「競争できる強い農業」などというのは、国土や歴史的な条件の違いを無視した暴論にすぎません。米農務省が、TPP合意で2025年までに関税が完全撤廃になった場合に12カ国の農産物貿易がどう変わるかを予測した結果(13年11月13日日本農業新聞)によると、輸出額が85億ドル増え、そのうち33%をアメリカで占め、58億ドル増える輸入額の70%は日本が占めるとしています。日本にとってまさに、外国食料の氾濫であり、安全な国産食料をという国民の願いを真っ向から踏みにじることになります。
 安倍内閣は、重要農産物を関税撤廃から守ったと言いますが、協定書は、「関税撤廃が原則」とされ、除外の規定はありません。しかも、重要5項目の29%の品目で関税撤廃をうけいれ、米では77万dのミニマムアクセス米にくわえて、年7万8000dもの輸入枠をアメリカ、オーストラリアに保障し、麦では、25.3万dもの輸入枠をアメリカ、オーストラリア、カナダに約束しています。牛肉・豚肉も関税を大幅に引き下げます。政府は、米は備蓄米としれ隔離するから国内産に影響させない、牛肉。豚肉は、価格低落時の補てん割合を引き上げるから影響は防げると言います。しかし、米生産者の現状は、生産者米価の下落が続く中で、大規模農家や生産法人などまで経営の存続さえ危ぶまれており、新たな輸入拡大が深刻な影響を与えずにおきません。酪農家や肉牛生産も経営数や使用頭数の減少が止まっていません。
 さらに農業者の生産意欲を奪、地域農業に打撃を与えるのが、突如あきらかにされた野菜、果物を含む多くの農林水産品の即時、あるいは期限を切った関税撤廃です。政府は、国産は品質が良いから影響は軽微だと言いますが、生鮮食料は、豊凶変動や輸入の増減が価格の乱高下を引き起こしており、10%以下の関税が多いとはいえ、輸入増大による市場攪乱は、地域農業と地域経済に大打撃を与えずにはおきません。このようなごまかしは断じてゆるせません。
大震災からの復興への希望を奪う――東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県、今年発生した熊本での大震災も農林水産業に大打撃を与えました。東北と九州の農業県、日本有数の"米どころ"、畜産産地への打撃ははかりしれません。三陸の主要産品であるワカメ、コンブ、サケ・マスなど水産業にも甚大な被害が及びます。被災地の基幹産業である農林水産業への大打撃となるTPP参加の強行は、被災者の生活と生業再建の基盤を壊し、復興への希望さえも奪ってしまいます。
環境や国土の保全など農林水産業の多面的な役割も失う――農林水産業は、環境や国土の保全など、多面的な役割を果たしています。日本学術会議は、農林水産業の多面的機能について、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能、水質浄化機能、生態系保全機能などで年間約90兆円の効果があると試算していますが、TPPは、こうした多面的機能も喪失させます。
・・・後略・・・
 
安倍晋三首相は「日米関係の強化」などと訳の分からないことを口走り、政府がTPPに前のめりなのは、「オバマが成立したがっているのだから仕方がない」と言うが、当のアメリカの世論はTPPに批判的で、トランプもヒラリーも反TPPの姿勢を強調している。
 
さらにオバマ大統領が任期中にTPP発効の承認を議会で得ることは難しく、アメリカが批准する可能性はゼロに近づきつつある事態に自民党の茂木敏充政調会長も「TPPも通せないような大統領は、私はアメリカの大統領じゃないなと思いますね」と言い出す始末である。
 
実は、「アメリカのためのTPP協調」ではなく「オバマなんてたんなる言い訳で、TPPは経産省の“悲願”だからですよ。すでに走り続けてきたものをもう引き返せなくなっているだけ。とくに安倍首相の主席秘書官である今井尚哉氏は経産省出身で第二次安倍政権のTPP交渉を後押ししてきた人物。官邸も“TPPありき”で進んできたので、何の合理性もないんです」と大手新聞政治部記者が実態をばらしていたが、これでは安倍政権は文字通りの「売国奴政権」となり、そのしわ寄せはすべて国民が負うことになってしまうであろう、とオジサンは思う。

     
posted by 定年オジサン at 12:44| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月24日

もはやTPP批准のための無駄な時間を使うな

今年の3月頃、元朝日新聞編集委員でデモクラTV代表の山田厚史が「米大統領選で自壊し始めた『強者のためのTPP』」と題して、TPPの行く末をこう書いていた。
 
環太平洋経済連携協定(TPP)が、各国の批准を前に、失速し始めた。「21世紀の経済ルールを描く」と主導してきたアメリカで鮮明になっている。オバマ大統領は残る任期で批准を目指すというが、肝心のTPP実施法案の成立は絶望視されている。
大統領候補の指名レースで、「TPP賛成」だった共和党のルビオ候補が地元フロリダで負け、撤退を表明。TPPを担ぐ候補は1人もいなくなった。トップを走るトランプ候補は「完全に破滅的な合意だ」と歯牙にもかけない。民主党ではオバマ政権でヒラリー・クリントン候補が「反対」を表明。追撃するサンダース候補はTPP批判の急先鋒だ。 
 
ところで、途中から参加した米国の狙いはTPPの発効により中国包囲網の構築であったと思っていたのだが、米国のシナリオは次のようなステップを踏んでいるという。
 
・最初は中国抜きでTPPを実現する。
・次に、APEC加盟国からのTPP参加を増やして中国を孤立させる。
・最後に、中国に、TPPへの参加条件として国家資本主義からの転換とルール遵守を迫る
 
こう分析する杏林大学客員教授・馬田啓一が「中国のもう一つのTPPジレンマ」と題した論文を発表していた。
 
■ドミノ現象を恐れる中国
 TPP(環太平洋パートナーシップ)合意によって、アジア太平洋地域の通商秩序が大きく変わろうとしている。TPPは高度で包括的な21世紀型のFTAである。現在、TPPに参加しているのは12カ国であるが、将来的には中国も含めてTPP参加国をAPEC全体に広げ、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の実現を目指している。TPPのルールがアジア太平洋地域における新たな通商秩序のベースとなる可能性が高い。
 米国の狙いは、当面、中国抜きでTPPを実現し、その後APEC加盟国からのTPP参加を増やして中国を孤立させる。外堀を埋めてから中国に、TPPへの参加条件として国家資本主義からの転換とルール遵守を迫るというのが、米国の描くシナリオだ。
 TPP合意の直後に、韓国、台湾、タイ、フィリピン、インドネシアが相次いでTPPへの参加の意思を表明した。ドミノ現象を中国は最も恐れている。昨年のAPECマニラ会合で中国が首脳宣言にTPPの文言を盛り込むことに強く抵抗したのも、その表れだろう。
 中国がハードルの高いTPPに参加する可能性はあるのだろうか。国家資本主義に固執する中国だが、APEC加盟国が次々とTPPに参加し、中国の孤立が現実味を帯びてくるようになれば、中国は参加を決断するかもしれない。TPPへの不参加が中国に及ぼす不利益(貿易転換効果)を無視できないからだ。
■日米中貿易トライアングルの構図
 TPPに対する中国の出方次第では、アジア太平洋地域における日米中の貿易トライアングルが危うくなりそうだ。日米中トライアングルの貿易構造には、次のような特徴が見られる。
 第1に、中国の貿易は加工貿易型であり、日本やASEANから中間財(部品)を輸入し、中国で加工・組み立てを行い、最終財(完成品)をアジアのみならず、米国やEUにも輸出している。
 第2に、日本やASEANなど、東アジアにおける中国の周辺国は中間財輸出を通じて対中依存度を高める一方、中国は米国やEUへの輸出を伸ばしており、東アジアへの依存度はさほど高くない。中国の貿易構造については、輸入と輸出の間で「集中と分散の非対称性」が見られる。
 第3に、中国の貿易の主たる担い手は中国に進出した外資系企業であり、中国の貿易の過半を占める。国際生産ネットワークの拡大を通じて、産業内分業や企業内貿易が活発化している。中国は東アジアの生産ネットワークに組み込まれることによって、WTO加盟後の貿易を急増させることができた。
 このような日米中トライアングルの貿易と直接投資が中国の経済成長の原動力となった。日本から中国への直接投資が活発となり、日本の中国向け中間財輸出が急増、つまり、日本が中国に対して中間財の供給を担い、それによって、中国は米国向けの最終財の輸出を増大させていった。
 だが、メガFTAの時代に入り、日米中トライアングルは新たな局面を迎えている。国際生産ネットワークの拡大とサプライ・チェーンのグローバル化に伴って、日米中トライアングルにおける貿易や直接投資は大きく変貌しようとしている。
■中国のTPPジレンマ
 アジア太平洋地域において、TPPが日米中トライアングルに与える影響は大きい。もし中国がTPPに参加しなければ、日米中トライアングルの貿易構造は崩壊するだろう。なぜならば、日本から中国に中間財(部品)を輸出し、中国で加工組み立てした最終財(完成品)を米国に輸出するという貿易パターンの優位性が失われるからだ。
 TPPによってカバーされる国際生産ネットワークから中国がはみ出すことになれば、グローバルなサプライ・チェーンの効率化を目指す日本企業などは、対米輸出のための生産拠点を、中国から、TPPに参加するベトナムやマレーシアなどに移す可能性が高い。中国リスクの高まりがそれに拍車をかけるであろう。タイ、フィリピン、インドネシアなどもTPPに参加すれば、その流れはもっと加速するに違いない。
 中国の集中と分散の非対称的な貿易構造に着目すれば、ASEAN+6によるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が実現しても十分とはいえない。米国抜きのRCEPは日米中トライアングルの貿易全体をカバーすることができないからだ。しかも、皮肉なことに、最終財輸出をみると、RCEPは対米依存が大きい。したがって、貿易構造上、RCEPはいずれTPPと融合するのが合理的ともいえる。
 日米中の貿易トライアングルが中国の経済成長に寄与していることを考えれば、中国の本音はTPPに参加したいであろう。しかし、高い自由化率と米国が重視しているTPPルール(知的財産権、国有企業改革、政府調達、環境、労働など)は中国にとっては受け入れがたい。中国はTPPに入りたくても入れない、「TPPジレンマ」に陥っている。
 そうした中、米国が主導するTPPに反発する中国は、TPPの対抗手段として、アジアから欧州に至る広大なシルクロード経済圏の構築を目指す「一帯一路構想」を打ち出した。中国は、TPPと日米中トライアングルを見限るつもりなのか。
 
2015年度の日本の輸出先は、1位がアメリカ1,522(20.1%)、2位が中国1,322(17.5%)で2010年代から変わっていない。
 
そして同年の輸入先の1位は、中国1,942(24.8%)で2位がアメリカ806(10.3%)であり、やはり2010年以降変わっていない。
 
中国の貿易額の2014年度データでは米国がトップである。
   
今までの数字からみれば、これが「日米中トライアングル」であった。
 
しかし中国がTPPに参加してもしなくても、今後は日米中トライアングルに影響を与えることになり、それが中国のジレンマとなっているという。 
 
8月末には、「米国大統領選とTPPの行く末」の中で、「日本にとっていずれにしても興味深いのはヒラリーもトランプも米国のTPP参加には反対ということである。」とつぶやいた。
 
20160926tpphikaku.jpg 
 
その後、米国大統領選挙の結果にかかわらずTPPが実現しなければ中国のジレンマは解消されるとは限らない、と在北京ジャーナリストの陳言は「頓挫寸前のTPPを笑っていられるか」と警鐘を鳴らしていた。
 
<中国は頓挫寸前のTPPを笑っていられるか>
 2016年9月1日 DIAMOND online
 ほぼ1年前の10月5日、米国や日本、オーストラリアなど12ヵ国の閣僚が、「環太平洋経済連携協定(TPP)」を締結したというニュースが中国にも届いた時、中国のネット上ではそれを嘆く声が上がった。
「TPPによって米国は中国に対する包囲網を完成させた」と確信を込めて言う者もいれば、「中国経済の国際化は『大崩壊』に陥り、中国が享受してきたグローバル化によるボーナス期もこれで終わる」と、大げさに公言する者まで現れた。一部の中国人からすれば、TPPは「中国人を抜きにして遊ぶ」ゲームのようなものであり、彼らの目には、あたかも西側が中国を仲間外れにする排他的なクラブを作りたがっているかのように映るのだ。要するに、中国を巡る国際経済環境は、極めて危険な段階に突入しているということになる。
しかし、皮肉なことに、TPPに対して多くの中国人がまるで災難が降りかかったかのような恐れを抱いていた頃、今年の米国大統領選挙で注目されているドナルド・トランプ氏やヒラリー・クリントン氏、そしてバーニー・サンダース氏らがみな「TPP反対」を表明し、反TPPが米国大統領候補者たちの共通姿勢となってしまった。言い換えると、この1年で米国の政治や経済の情勢が変化し、早々にTPPの終了を宣告することもあり得るということだ。
 「TPP恐怖症」から「自然消滅の瀬戸際にあるTPP」へと事態が展開していることは、多くの人々が世界情勢を見誤っていることの表れであり、さらに米国の政治情勢が大きく変化しつつあることを物語っている。
 
 米国大統領選挙の犠牲となったTPP
TPPが災難に見舞われたのは、米国大統領選挙の年と重なってしまったことが関係している。10ヵ国以上のアジア太平洋の国々との間で、TPPの調印にこぎつけようとしていた頃、米国は得意になっていた。なぜなら、TPPによって米国はアジア太平洋地域でのリーダーシップを強化することができると同時に、発展の著しいアジアにおける「経済ボーナス」の利用をさらに拡大させ、米国の製造業と輸出の回復を図ることができるからだ。
 しかし、当時の米国はTPPの構想を練る一方で、自国経済は金融危機からの回復もゆるやかで経済格差が広がっていく状態であり、自らの目論見の産物であるTPPは自国民から空前ともいうべき反対を受けた。民意が政治の場に伝わったとき、TPPは今年の米国大統領選挙における重要な議論を呼ぶ話題の一つとなった。
オハイオ州やペンシルバニア州などの古くから工業の中心地だった州は、今では「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」となっているが、これらの州は多くの労働者階級の有権者を抱えており、米国の二大政党にとって主戦場といえる。民主党の候補者であるヒラリー氏、共和党の候補者であるトランプ氏のいずれにとっても、これらの州で勝利を収められるかどうかが勝敗に大きく影響する。しかし、これらの州の労働者階級の有権者からしてみれば、貿易の自由化によって仕事が失われることほど腹立たしいものはない。
有権者の気持ちと好みがすべてを決定するという状況下で、ヒラリー氏とトランプ氏は容赦なくTPPを酷評している。米国の二大政党の候補者がいずれも、貿易のグローバル化に対して明らかな敵意を示している。これは歴史的な観点から見ても、第二次世界大戦以降の大統領選挙では一度も見られなかった光景だ。かつてはグローバル化のリーダーだった米国が、態度を一変させて他国を顧みなくなった時、世界は震撼することだろう。
TPPの現状によってバツの悪い思いをさせられているのは、米国のオバマ大統領である。少なくとも発言上はTPPを救おうと試みてきた。5月に伊勢志摩サミットに参加して、日米首脳が会談し、その後の記者会見では、「私どもは引き続き、世界平和、世界経済の成長を促進し、TPPを前進させる必要性について話し合った」とオバマ大統領は語り、さらに別の場では、「TPPはグローバル化と科学技術のニーズであり、TPPの推進を継続しないことは、経済一体化の流れを逆転させるようなものだ」と表明している。
しかし、各国で反エリートや排他的な感情が高まっている中、こうした弁護にも説得力はない。来年の大統領退任前にTPPの議会で批准させることが、オバマ大統領にとってTPP救済の最後のチャンスとなるが、その望みは薄いといわざるを得ない。なぜなら、オバマ大統領が所属する民主党の大多数の議員がTPPを支持しない意向であり、彼が当てにできるのは国際貿易を支持している共和党議員の加勢だけだが、実際に支持を取り付けられるという保証などない。
もしTPPが米国国会で承認されなければ、ヒラリー氏であれトランプ氏であれ、だれが政権をとったとしてもTPPは暗礁に乗り上げることだろう。オバマ大統領が語ったとおり、TPPは「政治のサッカー」、つまり政治家たちの手中で操られる駆け引きの道具と化してしまった。
 
 一部のアジアの国々の焦燥感
 米国のアジア同盟国からすれば、TPPは米国がアジアでの地位を守るための努力の結晶であり、また中国に対してチェック・アンド・バランスを図るという姿勢の表れだ。つまり、TPPは米国の「アジアのリバランス」戦略における経済面での立脚点なのである。
この観点から見れば、一部のアジアの国々の焦燥感も理解できる。近ごろ、シンガポールのリー・シェンロン首相は、「TPPはアジアにおける米国の信用を計る『試金石』だ」という見解を示し、「TPPは米国の労働者と企業に有利なだけでなく、米国が引き続きアジア太平洋地域でリーダーシップを行使し、運命を共にする我々アジアの同盟国とのパートナーシップを強化するという明白かつ重要なシグナルだ」と表明したうえで、さらに「もし米国が長年にわたり苦心しながら交渉を進めてきたTPPを否決するならば、日本の安倍晋三首相をはじめ米国のアジアの盟友は政治面で損害を被ることになり、米国とアジアの同盟国との関係は長きにわたって損なわれることになる」とも語った。
日本でもTPPはかなり危なくなったと懸念する声が多い。しかし、このような同盟国からの不満の声には、恐らく米国内の政策を根本的に変化させるほどの力はないと思われる。
 TPP頓挫の背後で、米国の孤立主義の傾向が高まっている。もちろん、TPPが消滅の危機に瀕しているという現状は、政治の駆け引きの結果とも言い切れない。実のところ、TPPそのものに大きな欠陥が存在している。TPPはただの貿易協定ではなく、実際には各国の国内経済体制および監督・管理規則の変革、そしてグレードアップさせた「高基準」の自由貿易協定の締結を試みるものだ。
しかし、いわゆる「高基準」は「高コスト」を意味する。参加国に対して経済主権を譲渡させるという面で、要求が高すぎるかもしれない。まさにこのことが原因で、米国だけでなくTPP参加国である日本などのアジア諸国からもTPPに難色を示す動きが常に見られる。
事実上、TPPは米国社会に強烈な衝撃を与え、同国の政界や財界など各方面が利益をめぐって駆け引きをするという事態に発展したが、アジア太平洋地域の多くの国々にとってもそれは同様だ。協定は合意されたとはいえ、TPPはこれまでずっとどこか得体の知れない新制度とみなされており、存在そのものがぼやけたままだが、その最終的な姿は各方面間での駆け引きを通じて形成されていくことだろう。
 
 中国はTPPの現状を喜べるのか?
それゆえ、はじめから中国は盲目的な「TPP恐怖症」にかかるべきではない。現在のTPPをめぐる事態の展開は、中国の目の前に立ち込めていた霧を完全に払拭するものであり、TPPに対する過剰な恐れは全く根拠がないことを示している。
しかし、その一方でTPPが頓挫の危機に瀕していることで高笑いするべきではない。その理由として、まず米国の政治情勢は常に変化していることが挙げられる。オバマ大統領にはまだTPPを救うチャンスも残されており、予想に反してTPPが承認される可能性は否定できないからだ。次に、一部の中国人は米国が経済上および政治上の孤立主義を示すことは、中国にとってのチャンスだと考えているが、これはむしろ中国にとって試練となるかもしれない。
例えば、もしトランプ氏が政権をとるとすれば、米国は速やかにアジア地区の秩序を維持するというこれまでの役割を放棄するかもしれない。しかし、米国が去った後の空白状態を埋め合わせられるほどの国力を、中国が持ち合わせていないという状況下では、中国にとって非常に険しい外交局面が待ち受けているだろう。中国と米国との間は、ゼロサムゲームではない。それゆえ、TPPの現状を笑うべきではない。
TPPの話から分かるとおり、現状を越えた速やかな経済の一体化は成功するとは限らない。反エリート、反体制、反融合のトレンドが見られる今の世界ではなおさらだ。とはいえ、世界に災いが及べば中国も被害は免れられない。新たな逆グローバル化の波は中国にとって何を意味するのか?中国はその点を深く、かつ冷静に考えなければならない。
 
中国と同様、日本国内にも盲目的ではないにしろ「TPP恐怖症」にかかっている産業は多く、「現在のTPPをめぐる事態の展開」は、同じように「TPPに対する過剰な恐れは全く根拠がない」と言えよう。
 
そして、多くの業界が反対しているTPPが消滅すれば、日本は米国内のTPP反対派と連携し、独自の対米貿易交渉をしていけばよいのである。
 
今週の20日、米国を訪問している安倍晋三首相は、米国大統領選挙の民主党の候補、ヒラリー・クリントン前国務長官と会談し、TPPの早期発効を目指す考えを示したのに対し、「雇用を奪うあらゆる貿易協定を阻止する」TPPに反対する考えを表明しているクリントンはあっさりと同様の考えを安倍晋三首相に伝えたという。
 
とんだピエロの役を演じてしまった安倍晋三首相。
 
もっとも2年前の総選挙では「聖域を守らないTPPは断固反対」と熱く訴えていたにもかかわらず、選挙後は何食わぬ顔でTPP締結に突き進んでいたのも安倍晋三首相であった。 
 
来週の26日から臨時国会が開会する。
 
TPP発効までの期間は2年なので、米国の大統領が誰になっても、2年間塩漬けにすればTPPは消滅する。
 
臨時国会の会期末は流動的だが、安倍政権はTPPの承認案を米大統領選のある11月8日までに衆院採決に持ち込みたい考えらしい。
 
しかしそれよりも、2016年度第2次補正予算案や消費増税の延期法案、さらには野党が提出している「戦争法の廃止法案」の審議等、もっと時間をかけて議論すべき問題が山積しており、わざわざ先の見えないTPP批准のための無駄な時間を費やす必要はない、とオジサンは思う。

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2016年08月29日

米国大統領選とTPPの行く末

築地市場の豊洲新市場への全面的移転日は11月7日と決められており、それを延期するか否かは小池百合子都知事の判断にかかっているといわれている。
 
もっとも、都民のために自分の立場を危うくするようなマネはしないだろう、というのが大方の見方らしい。 
 
11月は世界中が注目する米国大統領選挙が8日に行われる。
 
最近では、「(2016米大統領選)第3政党、支持伸ばす リバタリアン、本選影響も」という動きもあり、いわゆる無党派層の受け皿としては無視できない。 
 
「米大統領選で民主・共和両党候補の「非好感度」が5〜6割超で高止まりする中、政府の役割の極小化を求める第3政党「リバタリアン党」が支持を伸ばしている。今後の伸び方次第では2大政党の票を奪い、11月8日の本選に影響を与える可能性がある。」
 
しかし、リバタリアン党の大統領候補、ゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事の支持率は10%程度なので、大きく影響を与えることはなさそうである。
 
そうなれば、オバマ大統領の後継として民主党のヒラリー・クリントン、共和党からは当時は泡沫候補と批判されながらも指名選挙を勝ち抜いたドナルド・トランプの一騎打ちとなる。  
 
元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者のPaul Craig Robertsは、自分のサイトで「Trump vs. Hillary: A Summation」と題して、ヒラリーの悪行三昧を列挙し、疑う余地のない戦争候補者を拒否するのであるのならば、トランプに賭けてみればと勧める。
 
<トランプ 対 ヒラリー:総括>トランプ 対 ヒラリー
 今年11月のアメリカ大統領選挙で、アメリカ国民の大多数が、救いようのないほど愚かなのかどうかが分かる。もし有権者がヒラリーを選べば、アメリカ国民は救い難いほど愚かであることを我々は知ることになる。
トランプについて我々は良く知らず、事実ではなく、反トランプ・プロパガンダが支配している。
だが我々はヒラリーに関しては多くの事実を知っている。彼女が機密種別分けの法律に違反したこと、民主党政権が、それについて何をするのも拒否したことを我々は知っている。民主党は、法律を実行するよりも、ホワイト・ハウスの支配を優先して、アメリカにおける法の支配が横たわっている柩に、とどめの釘を打ち込もうとしている。
彼らの言動、そして物質的成功から、クリントン夫妻が、ウオール街、巨大銀行、軍安保複合体、イスラエル、アグリビジネスや、採取業界の代理人であることを我々は知っている。二人の膨大な個人的財産、約1億2000万ドルと、夫妻財団の16億ドルの大半が、政治的便宜を計らう見返りに、海外から得たものであることが、クリントン夫妻は、アメリカを支配している、実際、オーストラリアから、日本、北アメリカや、ヨーロッバや、東欧、そしてロシア国境に到るアメリカ帝国を支配しているひと握りの集団の代理人なのだという疑いようのない事実を証明している。
ヒラリーが、夫のビル同様、ウソつきなのを我々は知っている。
ヒラリーが、戦争屋なのを我々は知っている。
ヒラリーが、これまでの大統領候補によるものの中で、最も無責任な発言で、ロシア大統領は、“新たなヒトラー”だと宣言して、核大国間の緊張を、冷戦時代の緊張よりも高いものにしたことを我々は知っている。
ヒラリーがネオコンと手を組んでおり、アメリカの世界覇権というネオコン・イデオロギーに対する彼女の思い込み ロシアと中国との戦争をもたらす結果になる可能性が高いことを我々は知っている。
我々が、トランプについて知っていることと言えば、巨大な政治力を持ったひと握りの支配集団、アメリカの雇用を外国に送り出した連中、アメリカを、なかなか同化しない移民だらけにした連中、公教育を破壊した連中、ウオール街や“大き過ぎて潰せない銀行”を救った連中、アメリカの自宅所有者や、固定した収入で暮らす退職者を犠牲にした連中、社会保障もメディケアも、民営化するのを狙っている連中、市民を殺害する警官や、容赦ないプライバシー侵害や、世界最多の刑務所収容者を生み出し、アメリカ国民に対する行政権力を強化する為、アメリカ憲法を破壊した連中が、トランプに猛烈に反対しているということだけだ。この反対が、トランプこそ、我々が大統領執務室にいて欲しいと思う人物であることを語っている。
全ては茶番で、トランプは、ヒラリーを選出するための役を演じていると主張する人々もいる。アメリカ政治は、実に腐敗しているので、どんなこともあり得る。だが、支配層エリートと連中の傀儡は、自分たちの支配に対する、トランプの挑戦を本気で懸念しているように見えるし、連中は、トランプ反対で団結している。連中は大金を使って、“進歩派”ウェブサイトを買収し、印刷媒体とTVに金を出して、反トランプ・プロパガンダをインターネットに進出させ、インターネットのマスコミと、印刷媒体、TVと、NPRの売春婦に残業させて、トランプを悪魔化し、ヒラリーを選ばせようとしている。
アメリカの権力構造丸ごと、ヒラリー支持だ。既存政治勢力の民主党も共和党も、ネオリベラルと、ネオコン双方のイデオロギーも、ヒラリー支持だ。
ヒラリーへの投票が自らの無力化への賛成投票であることを悟るのに、アメリカ国民は、これ以上どれだけ証拠が必要なのだろう?
どうやら、アメリカ人は、その無頓着さの虜になったままのようだ。ニュース報道によれば、有権者の大多数は、ヒラリーに投票した結果がどうなるのか、いまだに分かっていない。世論調査はヒラリーが大差でリードしていると報じている。こうした報道は本当の世論調査なのだろうか、それともトランプ支持者を落胆させるための売女マスコミによる、もう一つのウソなのだろうか? もう負けているのだから、投票に行っても無駄だよと。
トランプに対するプロパガンダ攻撃は実に激しかったが、共和党予備選挙では成功しなかった。マスコミによるトランプ非難にもかかわらず、他の共和党候補者連中を、彼は易々と一掃した。
現在のマスコミによるトランプの悪魔化も失敗する可能性がある。実際、あまりにあからさまなので、彼が選ばれそうなくらいだ。
もっぱら必要なのは、十分な人数のアメリカ国民を無頓着さから目覚めさせ、トランプに激しく反対している連中は、自分自身の生活、自分自身の生活水準や、自身の自由に対する敵であると認識させることだ。
もしアメリカ国民がこの理解に至れなければ、彼らに未来はなく、地球にとっても、未来はない。
ひと握りの支配集団は、彼がロシアとの戦争を否定し、NATOの目的に疑問を投じ、アメリカ人の雇用の海外移転に反対し、アメリカ合州国を、まとまりの欠けた多文化組織へと変えつつある野放しの移民に反対しているがゆえに、トランプを憎悪しているのだ。巨大な政治力持ったひと握りの支配集団は、アメリカ合州国をバベルの塔に変えようとしている。まとまりのない多様性の中では、ひと握りの支配集団の力が指数関数的に増大する。
言い換えれば、トランプは、アメリカのため、アメリカ人のためを思っているのだ。
ひと握りの支配集団と、連中のたいこもちが、トランプを憎悪するのはこれが理由だ。
ヒラリーに投票する大間抜けなアメリカ人は、戦争と自分自身の貧困化に投票しているのだ。
トランプに投票しても、同じ結果になる可能性もある。しかしトランプの場合は、それが確実かどうかは分からない。ヒラリーの場合、我々はまず確実にそうと分かっている。
もちろん、アメリカ人の投票だけが問題ではない可能性もある。電子投票装置をプログラムする連中が、投票結果を決定し、二大既存政治政党の支配層は、全面的に、トランプに反対なので、そのようにプログラムされた装置がヒラリーを選ぶ可能性はある。わが国の選挙の実績から、我々はそれを知っている。アメリカは、既に、出口調査でわかる勝利候補者が、投票用紙の証拠を残さず、票を確認する方法がない電子投票装置によって選ばれた候補者と異なる選挙を経験している
もしヒラリーが大統領執務室入りすれば、一期目の任期終了前に、核戦争になる可能性がある。ヒラリーへの投票は、核戦争への投票だ。
来る選挙を、現実的な目で見れば、売女マスコミ丸ごとと、アメリカ支配体制は、有権者によって、政府に対する支配を失うリスクより、核戦争のリスクを好んでいると結論する以外の道はないことがわかる。
アメリカ人が、責任を負わない権力の勃興を許してしまった事実から、我々が知るべきなのは、国民による職務怠慢のかどで、アメリカ合州国民が有罪だということだ。アメリカ人は、責任を負う政府を必要とする民主主義を維持しそこねたのだ。アメリカ政府は、自ら、アメリカ憲法にも、アメリカ法にも、国際法にも、有権者にも、説明責任を負わないことを証明している。
もし、アメリカ国民の職務怠慢の結果が、核戦争なのであれば、アメリカ国民は、地球の死にも責任があることになる。これだけ重い責任を背負えば、アメリカ国民とて、疑う余地のない戦争候補者を拒否し、彼の発言に責任を取らせるべく、トランプに賭けてみても良いではないかと思いたくなる。
 
かなり過激な内容なのだが、日本にとっていずれにしても興味深いのはヒラリーもトランプも米国のTPP参加には反対ということである。
 
何事も米国追随政策を推し進めている日本政府だが、ことTPPに関しては、先に国内で批准して米国を後押ししようとする動きがあることは事実である。 
 
<審議日程 窮屈に TPP 強行採決の可能性 政府与党>
 2016年08月27日 日本農業新聞
 環太平洋連携協定(TPP)承認案の審議が、9月召集の臨時国会で再開する。11月8日の米大統領選までの衆院通過を目指す政府・与党。だが民進党代表選の影響で召集日は26日にずれ込む見通し。審議日程が窮屈になり、強行採決の可能性もある。
 政府・与党は、臨時国会を9月13日に召集し、TPPの審議時間を確保する構えだった。だが民進党代表選が15日に設定され、26日召集で調整せざるを得なくなった。同党の新執行部が決まらなければ、事実上、審議が進められないためだ。
 約2週間のずれ込みだが、政府・与党には「かなり痛い」(政府筋)。米大統領選候補がTPP反対を強調する中、「大統領選までに衆院を通過させ、日本が承認する見通しを付ける」(同)ことで、米国の早期批准を促す考えがあるからだ。
 26日召集になれば、2016年度第2次補正予算案の審議などを優先し、衆院TPP特別委員会の審議再開は、10月中旬にずれ込むとみられる。参院選でTPP反対を掲げた民進、共産などの野党の厳しい追及は必至で、11月8日までに衆院通過が「微妙」(自民党幹部)な情勢だ。
 円滑な審議に向け、自民党は臨時国会で衆院TPP特別委員長を西川公也氏から塩谷立氏に代える。通常国会では、西川氏の著作とされる「TPP内幕本」が審議停滞の一因となったためだ。審議日程を野党と調整する筆頭理事も森山裕前農相に交代し、万全を期す。
 与党側は、衆院通過までに、通常国会(約23時間)と合算して40時間程度の審議を想定する。だが野党はゼロからやり直すとの考え。8月に就任した山本有二農相らのTPPへの答弁能力も未知数で、政府・与党内には「与党だけで強行採決もやむを得ない」との指摘もある。
 
TPPには絶対反対の立場の孫崎享は今日のメルマガでこんなことを言っていた。
 
この国はどこか狂っている。米国でTPP批准がありえないのに、強行採決も模索する日本政府
A: 事実関係、8月28日付日本農業新聞 「審議日程 窮屈に TPP 強行採決の可能性 政府与党」
・・・前略・・・
B 評価
・最早、米国が現TPPを批准することはありえない。
・共和党トランプ候補は一貫して、貿易協定に反対している。
・民主党のクリントンは本来TPPの推進者であったが、米国世論の反対で、クリントンは態度の変更を余儀なくされ、8月11日ミシガン州で演説し”環太平洋連携協定(TPP)は職を奪う。選挙が終わって大統領になっても反対だ”と強調」(共同)した。
・TPPは現在の米国議会でも極めて微妙な状況であった。ここでは逆転現象が起き、共和党の多数が民主党の多数の反対を押し切ってかろうじて賛成の立場を維持していた。
・米国世論の強い反対で、議院もまた、TPP反対の姿勢を打ち出さなければならなくなった。
 「アメリカ議会で多数を占める野党・共和党の上院トップ、マコネル院内総務は、TPP環太平洋パートナーシップ協定について、上院が年内に承認することはないという考えを示している。、マコネル院内総務が25日、地元ケンタッキー州で農業団体との会合に出席し、「現在のTPPには、深刻な問題がある。ことしは承認されない」と述べたと伝えました。」
・米国のTPP批准は日本がどうこうすれば、米国議会が対応を変えるという問題ではない。
・TPPは国内でも反対の存在する中、強行採決も模索する日本政府は狂っているとしか言いようがない。
 
TPPは、参加12カ国が協定文書に署名した後、全参加国で議会承認など批准の完了を通告して60日後に発効する。
 
ただし、署名後、全参加国が2年以内に批准できない場合、一部の国が政治情勢などで批准が滞っても発効可能になるように、TPP域内の国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占める6カ国以上の批准で発効できる決まりを最終規定に盛り込んでいる。
 
国際通貨基金(IMF)の統計によると、2013年時点で米国のGDPが域内の約60%、日本は約18%を占めており、日米の両国の批准がTPP発効の前提となっている 
 
即ちTPP交渉に後から参加した日本と米国が完全に支配できるような仕組みを作ったのだが、まさか米国内の事情で批准が大幅に遅れることは想定外であった。 
 
したがっていくら日本が強行採決によって国会の承認を得ても、米国がいなければ意味が無くなる。
 
11月7日も注目する日だが、8日も注目せざるを得ない日になるのではないだろうか、とオジサンは思う。

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2016年04月12日

途方もない恐喝の可能性を生み出したバナマ文書の選択的漏洩

日本の政府は沈黙しているのだが、「PanamaPapers」に関しては世界では「パナマ文書、各国税務当局が対応協議へ OECD」という運びになって来たらしい。
  
さらに、お馴染みの夕刊紙もこんな煽り記事を書き始めた。
 
<“風評被害で”株価暴落? 「パナマ文書」に載る日本企業>
 2016年4月10日 日刊ゲンダイ
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英キャメロン首相は釈明に大わらわ(C)AP
 
 「パナマ文書」の波紋は広がる一方だ。世界各国の首脳らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用していた事実を暴露したもので、アイスランドの首相は辞任に追い込まれ、亡父が設立した投資ファンドを所有していた英キャメロン首相も釈明に追われている。世界中を巻き込む大騒ぎに、日本の市場関係者は「“風評被害”が怖い」と戦々恐々だ。
 恐れるのも当然だ。そもそもタックスヘイブンを利用すること自体は違法ではないにもかかわらず、政治家個人の道義的責任とごっちゃにしているネット住民らは、パナマ文書に記載されている具体的な日本の企業名を挙げ、「許せん」などと一方的に盛り上がっているからだ。
 パナマ文書の一部を公開した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の「オフショア・リークス・データベース」に記載されている、日本に拠点を置く法人は40社超。主な企業は〈別表〉の通りで、そうそうたる面々だ。
 楽天は「記載されたのは中国企業への投資で一般的なスキームであり、日本の税法にものっとっています。租税回避とは明らかに異なるもの」。ファーストリテイリングは「そういった事実はない。むしろ驚いています」と言下に否定したが、大半の企業は「記載されていることは承知していますが、詳細については現在調査中」(伊藤忠丸紅鉄鋼)などと困惑しきりだ。
「パナマ文書は過去40年にわたるデータの上、租税回避目的ではないケースも含まれている。ところが今のこの状況では社名が出るだけで悪者扱いされ、株価にも悪影響を与えかねません」(外資系証券会社関係者)
 それどころか、安倍政権が足を引っ張っているから目も当てられない。各国が対応に大わらわだというのに、「軽はずみなコメントは控えたい」(菅義偉官房長官)などとすっとぼけ、調査しない方針を示したせいで、ネット住民らは「何か裏があるぞ」などと勘繰っている。騒動の火に油を注いでしまった。株式評論家の倉多慎之助氏がこう言う。
 「公開されたパナマ文書はまだ一部で、今後どんな新事実が飛び出してくるか分からない。安倍政権も“奥の深さ”を測りかねているのでしょう。下手に調査するとヤブヘビになりかねないし、さらに株価を押し下げかねません。参院選を控えている安倍政権にとっては痛しかゆしだと思います」
 パナマ文書は5月に完全公開されるという。ただでさえ円高・株安局面だけに、ドカンと暴落なんてことがあっても不思議じゃない。
 
実は「国際調査報道ジャーナリスト連合」とは、フォード財団やカーネギー基金、そしてロックフェラー・ファミリー基金などがスポンサーの組織であり、アメリカ政府から資金供与を受けている組織犯罪汚職摘発プロジェクト (OCCRP)の一環なのだが、巨大欧米企業や欧米の億万長者の情報は決して表には出ない仕組まれた情報のリークで、それは恫喝に利用される可能性もあると、「マスコミに載らない海外記事」では指摘している。
 
<途方もない恐喝の可能性を生み出したバナマ文書の選択的漏洩>
 2016年4月4日 Moon of Alabama
 パナマの法律事務所からのデータ漏洩は実に興味深い。多数の金持ち、および/または、政治家連中は、パナマのそのような企業が提供するダミー会社に金を隠している。ところが今大いに喧伝されているそのようなデータの、いくつかのNATOが支援している報道機関や、アメリカ政府が資金提供している "非政府組織" への"漏洩" は、アメリカ帝国が嫌悪している一部の人々を中傷する下手な取り組みに過ぎない。あれやこれやの要求に応じるのと引き換えに、ある種のデータ公表しないという巨大な恐喝の好機にもなる。
約16カ月前、ケン・シルバースタインが、大手の怪しいダミー会社提供業者、パナマのモサク・フォンセカについて、Viceで報じた。(シルバースタインが当時働いていた、ピエール・オミダイアのInterceptは、記事の発表を拒否した。) イヴズ・スミスが、モサク・フォンセカの資金洗浄事業に関する重要な記事を公表した。シルバースタインは、シリアのアサド大統領の裕福ないとこ、ラミ・マフルーフが、モサク・フォンセカのダミー会社に金を隠していたという良く知られている事実も繰り返した。彼はこう説明する。

仕事をするには、Drexなどのダミー会社は、場合によって弁護士の登録代理人が必要で、この代理人が、必要な設立文書を提出し、その事務所が、通常ダミーの住所になる。この過程で、特にもしダミー会社が、法律と規制の不可侵の壁で、所有者情報が保護される、秘密ヘイヴンに登録された場合、ダミーと、その所有者の間にはレイヤーが作られる。私が発見したマフルーフの場合や、様々な他の不正な実業家や国際暴力団の場合、ダミー会社を設立して、それを国際的精査から隠蔽するのを支援した組織が、モサク・フォンセカと言う名の法律事務所で、同社は、2000年7月4日から、2011年末まで、Drexの登録代理人をつとめていた。

一年前、誰かが、モサク・フォンセカからの何トンものデータを、ドイツの新聞社、南ドイツ新聞に提供した。このミュンヘン日刊紙は、政治的に中道右派で、断固NATO支持派だ。(注)ガーディアン、BBC、ルモンド、国際調査報道ジャーナリスト連合や、全て支配体制の擁護者である他のいくつかの報道機関と協力している。
"漏洩した"データには、約214,000のダミー会社と、14,000人のモサク・フォンセカ顧客があると、南ドイツ新聞は主張する。確実に多数の不祥事がそこに隠されている。一体何人のアメリカ上院議員がそのような企業に関与しているだろう? どの欧州連合政治家が? どのような巨大ウオール街銀行やヘッジ・ファンドがパナマに隠れているのだろう? 申し訳ない。南ドイツ新聞と、パートナーはこうしたご質問にお答えできない。彼等は下記のようにデータを"分析した" 。

ジャーナリストたちは、重要な政治家、国際的犯罪人や、著名なプロ選手などのリストを作成し. デジタル処理が、漏洩データを、こうしたリスト上の名で検索することを可能にした。"党寄付スキャンダル" リストには130人の名があり、国連経済制裁リストには、600以上。わずか数分で強力な検索アルゴリズムがリストを1150万文書と比較した。
見つかったそれぞれの名前に対し、以下の質問をする、詳細な調査が開始された。この人物の企業ネットワークにおける役割は何か? 金の出所はどこか? それは一体どこに行くのか? この構造は、合法的だろうか?

本質的に、南ドイツ新聞は、既知の犯罪人や、アメリカが嫌っている人々や組織のリストを作成し、それを "漏洩した"データベースと照合した。選ばれた一致を更に評価した。結果は、モサク・フォンセカ・データ中で、触れられてもいないロシアのプーチン大統領を中傷すいつもの企み、アメリカから大いに嫌悪されているサッカー協会FIFAの様々な人々の非難、さほど重要ではない他の悪漢連中について多少言及する類だ。
アメリカ人についての話は皆無で、重要なNATO政治家についても無い。これまでのところ高位の政治家"犠牲者" は、妻とともに、ダミー会社の一つを所有していた、見当違いのアイスランド首相、シグムンドゥル・ダヴィード・グンラウグソンだ。この会社が持っていた金が非合法だったという証拠は無い。
すると、肝は一体どこにあるのだろう?
元イギリス大使クレイグ・マレーは書いている。肝は(もしあるとすれば)漏洩を管理している組織が隠していることにある"。

商業マスコミによる、このモサク・フォンセカ情報の選別は、欧米政府の狙いにぴったり沿ったものだ。巨大欧米企業や欧米の億万長者 - 主要顧客がモサク・フォンセカを使っていたという記述は皆無だ。しかも、ガーディアンは素早く、“漏洩した資料の大半は公にされないままだ”と請け合った。
一体何を期待されるだろう? 漏洩は、アメリカのセンター・フォー・パブリック・インテグリティが資金提供し、組織した壮大ながらも、ばかばかしい名称の“国際調査報道ジャーナリスト連合”なるものが管理している。彼らの資金提供者には下記もある。
フォード財団
カーネギー基金
ロックフェラー・ファミリー基金
W K ケロッグ財団
オープン・ソサエティー財団(ソロス)

国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ)は、USAID経由で、アメリカ政府から資金供与を受けている組織犯罪汚職摘発プロジェクト (OCCRP)の一環だ。
"漏洩"なるものは、 "欧米の" 人物や組織に関する大量の不祥事が含まれていると推定されるアメリカのシークレットサービスが入手した可能性が高いデータベースから親米組織が選んだデータだ。
"漏洩した"データから極めて厳選されたデータだけを公表するのには狙いが二つある。
プーチン大統領や アサドと関連しているだけで、様々な"帝国の敵"を中傷すること
データベースの中では触れられているが、まだ公開されていない他の重要な人々に、アメリカあるいは、その"お仲間マスコミ"が、いつでも、連中の汚い資金洗浄を広く暴露できるのを知らしめることだ。そこで、これは完璧な恐喝の道具となる。
"パナマ文書""漏洩"画策は、アメリカが嫌悪している少数の人々や組織を有罪にすべく設計された限定された暴露だ。これは、モサク・フォンセカと仕事をしたが、まだ公表されていない人々に対する"拷問手段"であるという示威行動でもある。彼等は今や、データベースを管理している連中の手中にある。彼等は要求された通りのことをするか、さもないと ...
2016年4月4日12:25 AM投稿
記事原文のurl:http://www.moonofalabama.org/2016/04/selected-leak-of-the-panamapapers-creates-huge-blackmail-potential.html
 
(注)ジャーナリストの小林恭子は「東洋経済オンラオイン」で南ドイツ新聞はミュンヘンに拠点を置く、左派リベラル系の全国紙と紹介している。
 
以下は、原文の訳者の感想の一部である。
 
素人が様々なニュースを見る時の原則、二つだけ。
一つは発生源は誰で誰の利益になるのかということ。
もう一つは、全メディアが一つのことを一斉報道する時は他に隠したいものがあるということ。
同盟国幹部すらやりだまにあげながら、宗主国(米国)最高幹部やら、宗主国大企業幹部は話題にならない都合の良さ。
甘利明の口利きも、宗主国の仕込みだろうと妄想する。
属国(日本)の大企業がやりだまにあげられているようだ。
それはTPP問題点の報道をしたら、暴露するぞという宗主国による恐喝発動ではあるまいかと妄想する。
そういうリストには永久にのれないが、TPPの標的にはなり続ける庶民としては、TPP国会しか関心を持てない。 
 
TPP問題点の報道をしたら、暴露するぞという米国による恐喝発動」という見立ては、国会に提出された黒塗りの文章を見る限り、あながち妄想ではないかも知れない、とオジサンは思う。 

*TPP関連主要記事リストは、こちら


 
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