2017年09月20日

護憲派議員増やすよりも改憲派議員を減らせ

「大義なき解散」と与党内からも批判され、ドタバタと「人づくり解散」と位置付けるという。
 
それでは「どんな人」をつくるのかと見れば、「高齢者中心の社会保障から子どもや若者への支援も拡充させる」とか、2年後の10月に10%に引き上げられる消費税の増税分から、「幼児教育の無償化など教育、子育て支援にも充てる」という。
 
まるで生産能力のない高齢者を切り捨てて、子どもや若者を中心に、という風に聞こえてきてしまう。
 
5年前、社会保障の充実・安定化と、そのための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すため「社会保障と税の一体改革」として、2012年8月には関連8法案が成立し、その後、社会保障制度改革推進法に基づき、内閣に、社会保障制度改革国民会議が設置され、報告書が2013年8月6日にとりまとめられた。
 
この報告書等に基づき、改革の全体像や進め方を明らかにする法案が提出され、2013年12月に成立したのだが、社会保障は充実するどころか低下しているのが現状である。
 
とりわけ、すでに高齢者に対する社会保障費は削減の一途である。 
 
しかしいずれにしても、そんなことは国会で与野党がしっかり議論すれば済むことであり、わざわざ解散して国民に信を問うようなことではない。
 
もっともあくまでも方針レベルが伝えられているに過ぎないのだが、「改憲」に関しては若干、メディア間で温度差がある。

 「自民「9条に自衛隊」公約 改憲方針、首相提案通り
 
これに対しては、こんな報道もあった。
 
<改憲条文案 公約せず 首相、25日解散表明>
 2017年9月20日 朝刊 東京新聞
20170920kaikennittei.jpg 自民党は19日、「10月10公示−同22日投開票」の日程を軸に実施する衆院選の公約に関し、改憲の条文案は掲げない方針を決めた。消費税率10%への引き上げの増収分の使途を見直し、教育財源などに充てることを盛り込み、主要争点に位置付ける。与党幹部によると、安倍晋三首相は今月25日に記者会見を行い、28日召集の臨時国会冒頭の衆院解散を表明する方向で調整に入った。野党は、解散前に国会審議を行うよう要求したが、自民党は拒否する構えだ。 (生島章弘)
 自民党の二階俊博幹事長は19日の役員連絡会で、首相から早期解散を検討していると伝えられたことを明らかにした。続く記者会見で、改憲の党内論議について「日を区切って結論を出すこと自体が難しい問題で、急ぐ必要はない」と衆院選前の意見集約は見送る考えを示した。
 衆院選で、有権者は条文形式の自民党改憲案に判断を示せないことになる。
 自民党は改憲に関し、首相が提唱する自衛隊の存在明記など4項目で10月中にも自民党案をまとめ、来年の通常国会で発議を目指していた。議論は衆院選後の11月以降に先送りされ、来年に発議する目標も不透明になった。二階氏は消費税の使途見直しについて、党政務調査会で早急に議論し「政策を固め、国民の批判を仰ぐことは当然」と公約に盛り込む考えを示した。
 消費税を巡っては、税率5%から10%への引き上げを決めた2012年の自民、公明両党と民主党(当時)の三党合意に、増収分の2割を年金・医療・介護・子育て支援の充実に、5割強を財政赤字の削減に充てることを明記している。
 使途見直しに対し、19日の自民党厚生労働部会では異論が出た。丹羽雄哉元厚生相は記者団に「高齢化社会でお年寄りが不安になっている。思いつきで(見直しを)やられては困る」と語った。与党内では、20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標の先送りは避けられないとの見方が強まった。
 民進党は自民党との国対委員長会談で、解散前に首相の所信表明演説や代表質問を行うよう要求した。自民党側は「政府に伝える」と答えるにとどめた。民進党の前原誠司代表は「敵前逃亡・自己保身・疑惑隠し解散だ」と批判した。
 自民の改憲議論 改憲を巡り自民党が議論しているのは、9条改憲、大学など高等教育を含む教育無償化、大災害などでの緊急事態条項、参院の合区解消−の4項目。
 今月12日の党憲法改正推進本部の全体会合では、9条改憲を議論。戦力不保持などを規定した2項を残したまま自衛隊を明記するとした安倍晋三首相の案に賛成意見が相次いだ。現行の2項を削除し、国防軍の保持を明記した2012年の党改憲草案を重視する意見も残った。
 衆院解散がなければ、秋の臨時国会中に党の案をとりまとめ、衆参両院の憲法審査会に示す方針だった。公明党などとの協議を経て改憲原案を来年の通常国会に正式に提出し、衆参両院の3分の2以上の賛成で発議、国民投票にはかる−との日程を描いていた。
 
衆院選日程は時の内閣が決めることになっている。
 
憲法54条は、衆院解散の日から40日以内に投票を行わなければならないと規定れており、正式な選挙期間は解散後に衆院選が公示されてから12日間のみである。
 
しかし実際は各党と候補予定者は解散と同時に投票日に向けて一斉に走り出すため、解散から投票日までが事実上の選挙期間に位置付けられている。
 
戦後、解散から投票までの平均期間は約30日だという。
 
最短は1983年の20日間で最長は2009年の40日間で、倍の開きがある。
 
20日間に次いで短いのが1996年、2000年、2014年の23日間となっており、安倍晋三首相が決める衆院選の実質的な期間は2回とも、短さで上位に並ぶことになり、長い選挙戦でボロが出ないうちに済ましてしまおうという意図が透けて見える。
 
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【東京新聞より】

 
今回の解散で、労働側から多くの批判が出ていた「働き方改革関連法案」が閣議決定が見送られ、衆院選の後になることとなった。
 
これにより、法案の審議は来年の通常国会になるとみられるが、この際、じっくりとこの法案の問題点をあぶり出すべきである。
 
しかし、悪法案が見送られることは結構なことなのだが、6年半前に起きた原発震災の後処理がまた先延ばしになってしまった。

<核燃料20年度取り出し開始断念 福島第1原発1、2号機プール>
 2017/9/20 02:2 共同通信
 事故を起こした東京電力福島第1原発1、2号機のプールに保管されたままの使用済み核燃料を巡り、政府と東電が目標としていた「2020年度」の取り出し開始を断念し、3年程度遅らせる方針を固めたことが19日、関係者への取材で分かった。
 1〜3号機の溶融核燃料の最初に取り出しを行う号機の選定と具体的な工法確定についても、目標の「18年度前半」を1年程度遅らせる。いずれも月内に改定する第1原発の廃炉に向けた中長期ロードマップに盛り込む。
 こうした変更は全体の作業工程に影響する恐れもあり、30〜40年で終えるとする廃炉の計画も見直しを迫られる可能性がある。
 
2020年度の取り出し延期とは、まるで東京五輪開催開催時に、「まだフクシマの後処理が終わっていない」との国際批判を避けるためではないかと勘ぐってしまう。先延ばしすればするほどリスクは大きくなることは必至である。
 
ところで、自民党の「改憲」スケジュールが少々不透明になってきたのだが、昨日の毎日新聞夕刊にこんな特集が載っていた。

<特集ワイド いきなり解散と言うけれど… 気がつけば「改憲勢力」ばかり>
 毎日新聞 2017年9月19日 東京夕刊 
 背景に新自由主義の台頭 護憲は「旧態依然」?
 「池田勇人首相以降、本気で改憲をやろうとする首相はいませんでした。その点、安倍首相は本気なので『異質』です。しかし内閣支持率が下落した今、安倍首相は実現のためというより、求心力を維持するために改憲を訴え続けていくしかない、という状況に変わりました」
 こう解説するのが、政権への「辛口」で知られる政治評論家の森田実さん。東京都議選で自民党が惨敗した後の7月13日、官邸で安倍首相と会食し、意見交換した。
 確かに改憲を巡る安倍首相の言動は変化した。5月3日、保守系の民間団体へのビデオメッセージで、憲法9条について、戦争放棄をうたった1項と戦力不保持を定めた2項を堅持した上で、自衛隊の存在を明記。2020年に改正憲法施行というスケジュールも示した。ところが、「森友学園」「加計(かけ)学園」問題などの影響で、7月に内閣支持率が危険水域とされる20%台まで低下すると「スケジュールありきではない」などと述べ、強気の姿勢から一転した。
 安倍首相は衆院を解散する意向を固めたようだが、悲願である改憲は諦めていないとみられる。選挙後に改憲派で3分の2を割るかもしれないが、その「強気」はどこから来るのだろう。
 改憲派の論客、百地章国士舘大特任教授(憲法学)は「小池百合子都知事の存在はプラスになるでしょう」と語る。
 小池氏の力は都議選でさく裂。代表を務めた「都民ファーストの会」から49人を当選させた。小池氏側近の若狭勝衆院議員(無所属)が代表を務める政治団体「日本ファーストの会」は、月内に設立する予定の新党で改憲を目指す考えを明らかにしている。14日の記者会見では、改憲によって衆参両院制から1院制へ変更する基本政策を強調した。「小池知事には訴えの一つにしたいと話して賛同していただいている」と述べた。
 では、小池氏の姿勢はどうか。毎日新聞の03年衆院選の当選議員アンケートでは「改憲賛成」と回答を寄せた。また、第2次安倍内閣発足後の13年3月の衆院本会議で、当時自民党に所属していた小池氏は質問の中で、安倍首相の憲法観を問いただした。「憲法の改正は国会にのみ認められた権限です。国会が最高法規である憲法を議論することは当然です」。都知事就任以降、改憲に関連する目立った発言はないが、改憲派と見ても違和感はない。
 「小池新党」に対しては「都議選の勢いを次の衆院選まで維持すれば一定勢力を形成する」というのが、政界関係者の一致した見方だ。さらに、民進党を離れた細野豪志氏ら、改憲に前向きな国会議員の参加も予定される。小池新党は、改憲を前面に押し出してスタートを切る可能性は高い。
 また、民進党も改憲勢力に加わるとの見方がある。理由は前原誠司新代表の存在だ。以前から自衛隊の存在を明記する「加憲」が持論で、安倍首相の立場と変わらない。6日の広島市内での演説で「憲法については堂々と議論する」と述べた。「安倍政権での改憲は許さない」としてきたこれまでの党執行部の方針とは違い、改憲に向けた議論に取り組む姿勢を見せている。
 小池新党+民進党。そこに与党の公明党、与党寄りの姿勢が目立つ日本維新の会を加えたら、改憲への車輪は動くか−−。
 公明党の山口那津男代表は14日、「自民党内の議論が集約されていない」などと発言し、憲法9条改正や20年の改正憲法施行は現状では難しいとの認識を示した。そうだとしても、公明党は一昨年の安全保障関連法の議論など、これまで最終的には自民党に同調してきた。また、維新は改憲による教育無償化などを掲げているし、代表の松井一郎大阪府知事ら党幹部は、安倍首相らと会談を繰り返すなど近しい関係を築いている。9条改正について、松井氏は「党内で意見集約をしたい」と前向きだ。 この現状を百地さんはどう見ているのか。「若狭さんの改憲発言は小池さんの意向を受けてのことでしょう。前原代表も議論には前向きなので、国会を挙げて改憲問題に取り組む態勢ができてきた。その意味で、画期的なことです」と話し、千載一遇のチャンスだと強調する。
 なぜ改憲勢力がこれほどまでに大勢を占めるようになったのだろう。その答えを日本の政界の動きと世界的な潮流から解説するのは、「右傾化する日本政治」などのと著書がある上智大の中野晃一教授(政治学)だ。
 まず日本の政界について語る。「四半世紀前の(小選挙区比例代表並立制を導入した)政治改革から始まり、構造改革、郵政民営化改革など、この国ではずっと改革ブームが続いています。政治とは改革をするものであり、改革を語れない政治家は守旧派と見なされる。その流れの中で憲法も語られ『改革イコール改憲』とされる一方、護憲派は旧態依然としているというレッテルを貼られてしまうのが現状です」と指摘する。
 世界的な動きでは、東西冷戦の終結後にグローバル資本主義の時代に入り、新自由主義が台頭したことが改憲派の躍進に影響したと分析する。新自由主義は政府による規制をできる限り減らし、自由競争を重んじる考え方だ。それが改憲派の増大を招く理由について中野さんは「政府は『官から民へ』という流れで、国民の面倒を見るというインタレストポリティクス(利益誘導型政治)から撤退した。その結果、どうやって国民の支持を取り付けるかを考えると、特に保守政党はイデオロギーに訴えるようになるのです」と語る。欧米の場合はそれが排外主義や移民排斥などに表れ、日本では、自主憲法制定(改憲)につながっているというのだ。
 改憲勢力の基盤は揺るがないようだが、改憲の実現性について、森田さんと中野さんの見方は一致していた。それは「改正を問う国民投票で過半数の賛成が得られる自信が、安倍首相や自民党になければ、国会発議を見送るのではないか」という考えだ。森田さんが解説する。「1955年の自民結党時、政綱には『現行憲法の自主的改正をはかり』と明記されました。だから国民投票で改正案が否決されると、党の存在理由が揺らいでしまうのです」。報道機関の世論調査では改憲に対する賛否は割れており、改憲への環境が整っているわけではない。
 ただ、国政での護憲派は衰退の一途だ。明確な護憲政党と言える共産、社民両党の衆参の国会議員は計39人。全国会議員(定数717)の5%に過ぎない。国政選挙で護憲の意思を託す受け皿になる政党が弱体化しているのが現実である。
 国民の賛否が割れているテーマを慎重に議論することにこそ、国会議員の存在意義がある。これからの憲法論戦は、この国の行く末を決める重要な節目になりそうだ。
 
世論調査で「改憲に賛成か、反対か」と問えば、賛成の比率が高くなっているが、「憲法9条」についてはまだまだ過半数が改正には反対している。
 
しかし狡猾な安倍政権は北朝鮮のミサイル試射(発射実験)をあたかも日本に向けて発射したかのような印象操作をしており、最近では、落下するかもしれないミサイルの迎撃にはまったく役立たずの地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を北海道の陸上自衛隊函館駐屯地に配置し、地域住民は「標的になる危険性も高まる」と不安を増している。
 
こんな時に「自衛隊が米国と一つになって日本を守る」ということを繰り返せば、安倍晋三首相の思惑通り「9条に自衛隊を明記してもいいのかも」という声が広がってしまう恐れがある。
 
そうならないためには、国会内に明確な護憲政党の議員を増やすことだが、現実的には不可能な状態である。
 
それならば、当面は衆議院の「改憲派」の議員数を減らすことが先決であり、野党側は早急に小選挙区の候補者の絞り込みをしなければならない、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:30| 神奈川 ☁| Comment(0) | 憲法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする