2018年02月19日

国会答弁で政権の「専守防衛」ができるのか


沖縄県での米軍のヘリコプター事故が1月に連続して起きたのだが、そのこと自体は名護市長選挙には影響しなかった。
 
その後、あたかも米軍機の事故を覆い隠すかのように自衛隊機のヘリの事故も続いている。
 
陸自ヘリ 留め具破断、大阪府内に落下か」という記事を読むと、まさに「箍(たが)が外れる」とはこのことなのだろうが、たとえ落下物が小さい(直径8ミリ、厚さ1.5ミリ、重さ約0.4グラム)物でも、地上の住民は落下からは逃れる事はできないし、直撃すれば大事に至る可能性もある。
 
いまや、緊張感や束縛がなくなればヘリだけではなく、高慢・横暴・驕りの国会議員の秘書にまでその影響が及んでいる。
  
世耕経産相の政策秘書、タクシー運転手殴った疑いで逮捕」という記事中、「しっかりと個人としての責任を果たしてほしいと思います」という世耕弘成経済産業相のコメントに対して、ネット上ではこんな賛否の声が上がっていた。

●世耕大臣、アンタがまず秘書の働かせ改革をするべきじゃないか?監督不行き届きだし・・・
○仕事を離れたところでの、酔っ払いのご乱行やん。雇い主に責任はないやろ
 
中には、過去に同じような被害に遭ったらしい人からは、
「タクドラの時に、こういう身元のしっかりした人に殴られたかった・・・慰謝料で私は口を封じますよと(笑)」、翌日釈放された秘書は身元のしっかりした人で、かなりの示談金を提示されたのかもしれない。
 
少々余談になるが、2009年、沖縄県の米軍普天間基地移設問題で政権を奪取した民主党は、沖縄県の米軍普天間基地移設問題の解決に乗り出し、当時の鳩山由紀夫首相は「最低でも県外」とのスローガンを掲げた。
 
翌年の2010年4月14日、「ワシントンポスト」が鳩山由紀夫首相に対してこんな記事を書いていたことを思い出した。
 
「By far the biggest loser of the extravaganza was the hapless and (in the opinion of some Obama administration officials) increasingly loopy Japanese Prime Minister Yukio Hatoyama」
 
訳:この派手な催しの最大の敗者は、不運で(何人かのオバマ政府高官たちの意見において)ますます頭がいかれた日本の首相鳩山由紀夫だった。
 
この記事が日本に紹介された以降、「ルーピー鳩山」とネトウヨ連中から呼ばれたのだが、本人の名誉のために、「鳩山由紀夫元総理が激白 『売国奴』「普天間基地移設問題“Trust me”の真意」という記事を紹介しておく。  
 
なぜ、突然「ルーピー」という言葉を思い出したかといえば、昨日の、「国会の惨状よそに似非国際学者が闊歩する」というつぶやきの中で批判した自称「国際政治学者」の三浦瑠麗の名前を「【三浦瑠麗】今日のルーリー「多くの官僚は自分の担当期間中に工作船が自爆沈没したり、武器が見つかってもなるべく事なかれ主義で処理する」という記事の中で見たからであった。英語の俗語であるloopyという語は「おばかさん」とか「まぬけ」といった程度の蔑称なのだが、三浦瑠麗の場合は本人自ら「 Lully」と記しているだが、その言動からはすでに立派な「 loopy」の仲間入りを果たしたということであろう。
  
さて、緊張感のない、「箍が外れた」かのような国会答弁関連の話題に入る。 
 
その前に、「専守防衛」についておさらいを。
 
この表現は日本独特の用語であり、2017年版防衛白書は次のように記されている。
 
「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう」
 
つまり国連憲章で認められた自衛権のうち、個別的自衛権しか行使しない、というものであることはいうまでもない。
 
調べてみると、専守防衛という言葉を国会で初めて口にしたのは会議録を検索する限り、自民党が誕生する保守合同前の鳩山一郎民主党政権において、1955年7月の杉原荒太防衛庁長官の答弁らしい。
 
「わが国防衛の建前はあくまでも受身で、侵略を受けた場合に守る。名目のいかんにかかわらず、外に出て行って侵略することでない。言葉は少し固苦しいかもしれないが、専守防衛、専ら守る、あくまでも守る、という考え方だ」
 
それから63年経っても、安倍晋三首相は「専守防衛は、憲法の精神に則ったものであり、わが国防衛の大前提だ。この点には、今後ともいささかの変更もない」と語り、自らが主張する自衛隊の存在を明記する憲法改正が行われても「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と強調していた。
 
ところが、その口先が乾かぬうちに先週はこんなことを言っていたのだ。   
息を吐くように嘘を付く代表の安倍晋三首相らしい発言なのだが、日本政府としても平気で「二枚舌」を使っていた。
 
<「北の脅威」政府に矛盾 衆院選「危機的」→安保法訴訟では否定>
 2018年2月19日 朝刊 東京新聞
20180219_tokyo.jpg 「北朝鮮の脅威」を巡る政府の主張の矛盾が明らかになった。安倍晋三首相が昨年10月の衆院選で、北朝鮮情勢が「危機的な状況」だと強調した一方、同時期に行われた安全保障関連法に関する訴訟では、米国と北朝鮮が衝突する危機にあることを政府自身が否定し、主張を大きく変えているためだ。野党は政府の説明を「二枚舌」と批判。今後の国会審議で追及を強めることも予想される。(新開浩)
 衆院選を通じ、首相や小野寺五典(いつのり)防衛相は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮と、武力行使を含む「全ての選択肢」を否定しない米国との間で、昨年末から今年初めにかけ、緊張が極度に高まる可能性を訴えた。
 首相は衆院選前日の演説で「北朝鮮の危機がある中で、安保法を廃止すると言う人は、あまりにも無責任だ」と強調した。
 一方、集団的自衛権の行使を容認する安保法が憲法九条に違反するとして、陸上自衛官の男性が、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」での防衛出動命令に従う義務がないことの確認を、国に求める訴訟を起こした。
 一審の東京地裁は昨年3月の判決で「原告の部隊に出動命令が出る具体的な可能性があるとは言えない」などとして訴えを退け、男性は東京高裁に控訴した。
 衆院選から約1カ月後の11月末、法務省は高裁に提出した準備書面で、男性が主張した米国と北朝鮮との武力衝突の可能性を「抽象的な仮定」と指摘。存立危機事態が発生する可能性についても「現時点における国際情勢」を理由に想定できないとした。国は北朝鮮情勢の深刻な危機を認めなかったことになる。
 しかし、東京高裁は先月末の控訴審判決で、安保法の成立を理由に、存立危機事態の発生を想定できないとした国の主張を「採用できない」と判断。男性の訴えは「適法」として一審判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。
 衆院選と控訴審での政府の主張の食い違いに関し立憲民主党の枝野幸男代表は14日の衆院予算委員会で「一方で、すぐにもミサイルが飛んできそうな危険をあおりながら、一方では具体的な危険はないと堂々と主張している。二枚舌ではないか」と批判した。上川陽子法相は予算委で、訴訟での法務省の主張を説明しただけで政府内で主張が異なる状況は変わっていない。
 
そんな政府の姿勢は今国会に提出予定の「働き方改革」法案に関しても現れていた。 

<「最長残業」根拠に首相答弁 残業データ、違う質問比較>
 2018年2月19日05時00分 朝日新聞DIGITAL
  裁量労働制で働く人の労働時間について「一般労働者より短いデータもある」とした国会答弁を安倍晋三首相が撤回した問題で、首相の答弁は、裁量労働制で働く人より一般労働者の労働時間の方が長い集計結果が出やすい調査を元にしていたことが分かった。そもそも質問内容が同じでなく、一般労働者に「最長」の残業時間を聞く一方、裁量労働制で働く人には単に労働時間を尋ねていた
  関係者によると、一般労働者への質問は、1日の残業時間について1カ月のうちの「最長時間」を尋ねる内容だった。一方、裁量労働制で働く人には単に1日の「労働時間の状況」を聞いていた。このため、一般労働者の方が長時間の回答が集まりやすくなっていた。質問そのものが異なる調査の結果を単純比較して答弁の根拠にしていたことになり、不適切な答弁だったことが一段と明白になった。データの使い方への疑義が強まるのは必至だ。
 答弁の根拠になったのは厚生労働省が2013年に公表した「労働時間等総合実態調査」。全国1万1575事業所の「平均的な人」の労働時間を調べた。この調査を元に、1日あたりの労働時間は一般労働者(平均9時間37分)より裁量労働制で働く人の方が平均20分前後短いと政府は説明していた。
 首相は働き方改革が議論された1月29日の衆院予算委員会で、厚労省の調査を元に「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁。裁量労働制で働く人の方が1日あたり平均20分前後短いとするデータに疑義があると野党から追及を受け、14日に答弁を撤回した。
 一般労働者の1日の労働時間は、残業時間に法定労働時間(8時間)を足して算出しており、裁量労働制で働く人の労働時間と単純比較できないこともすでに明らかになっている。厚労省は19日朝、データを精査した結果を同委員会の理事会に示す予定。不適切な答弁が作られた意図や経緯が厳しく問われそうだ。(贄川俊、村上晃一)
     ◇
 〈裁量労働制〉 労働時間の規制を緩める制度の一つ。実際に働いた時間でなく、あらかじめ定めた労働時間に基づいて残業代込みの賃金を払う。それ以上働いても追加の残業代は出ない。仕事の進め方をある程度自分で決められる働き手に限って適用できる。研究開発職などが対象の専門業務型と、企業の中枢で企画・立案をする人が対象の企画業務型がある。政権は、残業時間の上限規制と抱き合わせで対象業種を拡大しようとしている。
  
「働き方が違うんだから、質問が違うのさ当たり前。そもそも違うものを並べて比較すること自体がナンセンス。」などと屁理屈をつけて政権を庇う日本維新の会のポンコツ暴言議員もいるが、今回の「働き方改革」の最大の狙いは、限りなく残業代を払わずに、過労死ラインすれすれまで働かせても罰せられないように労働者を働かそうとする経済界の意を汲んだ法案なので、「100%労働者のための法案ではない」ことを、あらためて広めなければならない、とオジサンは思う。

posted by 定年オジサン at 12:17| 神奈川 ☁| Comment(0) | 働き方改革 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする